説明

画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラム

【課題】省メモリ環境においても専用のハードウェアを使用せず、原稿画像に地紋データを付加することができ、これによって、印刷性能の劣化を最低限に抑制できること。
【解決手段】本発明にかかる画像形成装置は、印刷データを受信する入力データ受信部301と、印刷データを解析して中間データを作成するDL作成部302と、中間データをもとに印刷画像を描画する描画処理部304と、地紋処理部305と、を備える。地紋処理部305は、中間データ内の地紋印刷設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、この地紋パターンの生成途中に作成した各中間生成物および生成情報を記憶し、記憶した中間生成物を再利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、文書の不正コピーの防止を目的として、印刷対象の原稿画像に対して地紋データを印字する地紋印刷が知られている。地紋データは、地紋印刷した文書等の原稿において視認不可または視認困難な潜像画像等の模様である。
【0003】
一般的に、地紋データは、地紋印刷後の原稿をコピーした場合、出力された複写物に視認可能な模様となって浮き出る、もしくは消える。このような現象を有する地紋データは、原稿が原本または複写物の何れであるかを判断するために利用される。
【0004】
原稿画像に地紋データを付加するためには、潜在画像となる「コピー禁止」等の文字列を印字し、潜在画像を視認しづらくするために原稿画像の背景にドットパターンを印字し、さらには、より潜在画像を視認しづらくするために、この背景のドットパターンにマスク等の模様を追加する等、様々な処理を行って地紋データを作成する必要がある。
【0005】
近年、これらの処理をプリンタドライバ内で実行する、プリンタコントローラ内で実行する、または双方を利用して実行するといった技術が既に開示されている。また、地紋パターンを含む地紋データ生成する際に必要となるメモリ量を削減する、すなわち省メモリ環境においても、ハードウェア等のリソースを追加せずに地紋印刷を可能にする技術も開示されている。
【0006】
例えば、省メモリ環境であっても原稿画像に地紋印刷できるようにするために、ページサイズ分の地紋画像を作成するのではなく、潜像パターンおよびカモフラージュ模様等の各パターンの縦横の長さの最小公倍数の大きさの画像を最小単位とし、この最小単位の画像をタイル状に配置して地紋画像を生成する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のプリンタコントローラでは、メモリを十分に利用できない環境が多く、原稿画像一面に付加する地紋データを保持し続けることが困難であった。このため、原稿画像のページ毎に地紋データを作成しなければならず、この結果、プリンタの印刷性能が劣化するといった問題があった。
【0008】
また、原稿画像に対して地紋パターンを生成・合成するためのハードウェアを別途用意して専用のメモリ領域を確保した場合、省メモリ環境での地紋印刷を実現できるが、その反面、このハードウェアの導入によってコストが増加するといった問題があった。
【0009】
なお、上述した特許文献1に記載の従来技術では、地紋印刷において各パターンの最小公倍数の大きさの画像を最小単位としているが、原稿画像のサイズによっては、この最小単位の画像と原稿画像のページサイズとが同等の大きさを持つ場合があり、この結果、地紋パターンの作成にかかるメモリを削減できない可能性がある。したがって、この従来技術では、省メモリ環境において原稿画像のページ毎に地紋パターンを作成する必要があるため、印刷性能が劣化するという問題を解消できていない。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、省メモリ環境においても専用のハードウェアを使用せず、原稿画像に地紋データを付加することができ、これによって、印刷性能の劣化を最低限に抑制できる画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置であって、印刷データを受信する受信手段と、前記印刷データを解析して中間データを作成する中間データ作成手段と、前記中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画処理手段と、前記中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、前記地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物および該各中間生成物の生成情報を記憶し、前記印刷画像に前記地紋パターンを合成した後、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した前記中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成する地紋処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、画像形成システムであって、上記に記載の画像形成装置を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、画像形成装置で実行される画像形成方法であって、前記画像形成装置は、受信手段と、中間データ作成手段と、描画処理手段と、地紋処理手段とを備え、前記受信手段が、印刷データを受信する受信ステップと、前記中間データ作成手段が、前記印刷データを解析して中間データを作成する中間データ作成ステップと、前記描画処理手段が、前記中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画ステップと、前記地紋処理手段が、前記中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、前記地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物および該各中間生成物の生成情報を記憶し、前記印刷画像に前記地紋パターンを合成した後、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した前記中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成する地紋処理ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、印刷データを受信する受信ステップと、前記印刷データを解析して中間データを作成する中間データ作成ステップと、前記中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画ステップと、前記中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、前記地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物および該各中間生成物の生成情報を記憶し、前記印刷画像に前記地紋パターンを合成した後、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した前記中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成する地紋処理ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、省メモリ環境においても専用のハードウェアを使用せず、原稿画像に地紋データを付加することができ、これによって、印刷性能の劣化を最低限に抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成システムの一構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、コントローラの基本的なソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、PDL部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、地紋処理部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、地紋印刷の一具体例を示す模式図である。
【図6】図6は、地紋印刷された原稿を複写した場合の一具体例を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態にかかる画像形成方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、地紋パターン生成処理の処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、地紋パターン生成途中で作成されるパターンの一例を示す模式図である。
【図10】図10は、地紋パターン生成途中で作成される背景ストリップパターンの一例を示す模式図である。
【図11】図11は、地紋パターン生成途中で作成されるマスクパターンおよびタイルの一例を示す模式図である。
【図12】図12は、地紋パターン生成途中で作成される抑止文字列の一例を示す模式図である。
【図13】図13は、生成された地紋パターンの一例を示す模式図である。
【図14】図14は、中間生成物および生成情報の一具体例を示す模式図である。
【図15】図15は、メモリ不足時の中間生成物の解放処理を説明するためのフローチャートである。
【図16】図16は、印刷画像のページ間において用紙サイズが変更になった際の中間生成物の再利用例を示す模式図である。
【図17】図17は、印刷画像のページ間において地紋パターンの抑止文字列が変更になった際の中間生成物の再利用例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置および画像形成システムのハードウェア構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる画像形成システムの一構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる画像形成システムは、画像形成装置10と、ホストパーソナルコンピュータ(PC)150とを備える。
【0019】
また、本実施の形態にかかる画像形成装置10は、コントローラ100と、プリンタエンジン160と、パネル装置170とを備える。コントローラ100は、画像形成装置10の制御を行う。プリンタエンジン160は、用紙等の印刷媒体に画像を印刷する。パネル装置170は、ユーザが入力を行う操作パネルおよび操作状態を表示する。
【0020】
つぎに、コントローラ100のハードウェア構成について説明する。コントローラ100は、図1に示すように、中央処理装置(CPU)110と、リードオンリーメモリ(ROM)120と、ランダムアクセスメモリ(RAM)130と、不揮発性メモリ(NVRAM)140と、ネットワークインターフェース(I/F)151と、エンジンI/F161と、パネルI/F171と、ハードディスクドライブ(HDD)180とを備える。
【0021】
CPU110は、ソフトウェアプログラムの命令を実行する。具体的には、CPU110は、バスを介して接続されるROM120やHDD180に記憶された各種ソフトウェアを読み出してこれを起動し、画像形成装置10全体を制御するとともに各種機能を実現させる。
【0022】
ROM120は、コントローラ100においてCPU110が実行するために必要なプログラムを格納する。RAM130は、コントローラソフトが作成するページメモリおよびソフトウェアが動作するために必要なワークメモリとして機能する。NVRAM140は、画像形成装置10の印刷条件設定等を保存する。
【0023】
ネットワークI/F151は、ネットワーク上に接続されたホストPC150とデータのやり取りを行う。エンジンI/F161は、プリンタエンジン160との間で印刷指示等を行う。パネルI/F171は、パネル装置170との信号の入出力を行う。HDD180は、CPU110が各種ソフトウェアを実行する際の各種データや各種ソフトウェアを記憶する。
【0024】
なお、上述したCPU110、ROM120、RAM130、NVRAM140、ネットワークI/F151、エンジンI/F161、パネルI/F171およびHDD180は、バスを介して接続される。
【0025】
つぎに、コントローラ100の基本的なソフトウェア構成について説明する。図2は、コントローラの基本的なソフトウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、コントローラ100は、ソフトウェア群として、ネットワークI/F部202と、パネルI/F部203と、プリンタコントロールシステム204と、ページ記述言語(PDL)部205と、エンジンI/F部206とを有する。
【0026】
これらの実体は、図1に示したROM120やHDD180に記憶された各種ソフトウェアである。CPU110がこれらの各種ソフトウェアを読み出して実行することによって、各種ソフトウェアが起動して、以下に示す各種機能が実現される。
【0027】
ネットワークI/F部202は、ホストPC150とデータの交換を行う。パネルI/F部203は、パネル装置170の制御を行う。プリンタコントロールシステム204は、コントローラ100全体の制御を行う。PDL部205は、印刷データを受け取り、受け取った印刷データをもとに印刷画像を作成する。エンジンI/F部206は、プリンタエンジン160に対する印刷指示等を行う。
【0028】
つぎに、上述したPDL部205のソフトウェア構成について詳細に説明する。図3は、PDL部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。PDL部205は、入力データ受信部301と、中間データ(DL:Display List)作成部302と、中間データ格納部303と、描画処理部304と、地紋処理部305とを有する。
【0029】
入力データ受信部301は、図2に示したネットワークI/F部202およびプリンタコントロールシステム204を介して、ホストPC150から入力されたPDLデータ等の印刷データを受信する。
【0030】
DL作成部302は、入力データ受信部301から印刷データを取得し、得られた印刷データを構文解析し、これによって、テキスト、イメージ、ベクターグラフィックス、描画設定情報等の中間データを作成する。中間データ格納部303は、DL作成部302が中間データを作成した場合、その都度、作成された中間データを取得して保存する。
【0031】
描画処理部304は、上述した中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画処理手段として機能する。具体的には、描画処理部304は、中間データ格納部303に保存された中間データを読み取り、得られた中間データに基づいてレンダリング処理を行って、印刷画像を描画する。
【0032】
地紋処理部305は、地紋印刷を行う場合に、描画処理部304を介して中間データ格納部303内の中間データを取得し、得られた中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成する。その後、地紋処理部305は、描画処理部304によって描画された印刷画像に対して、この作成した地紋パターンを合成する。
【0033】
また、地紋処理部305は、上述したように地紋パターンを生成するとともに、この地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物およびこれらの各中間生成物の生成情報を記憶する。さらに、地紋処理部305は、印刷画像に地紋パターンを合成した後、記憶した各中間生成物の生成情報をもとに、これらの各中間生成物の中から次回の地紋パターンの生成に使用可能な中間生成物を選択する。ついで、地紋処理部305は、選択した中間生成物を再利用して地紋パターンを生成し、この地紋パターンを次回の印刷画像に合成する。
【0034】
つぎに、地紋処理部305のソフトウェア構成について詳細に説明する。図4は、地紋処理部のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、地紋処理部305は、地紋用タイル生成部310と、地紋パターン格納部320と、地紋合成部330とを有する。
【0035】
地紋用タイル生成部310は、図3に示した描画処理部304によって入力された地紋設定情報J1に従って、前景パターンFP、背景パターンBP、マスクパターンMP、不正コピーパターンGPを用い、これによって、地紋用タイルパターンを生成する。
【0036】
なお、前景パターンFPは、複写時に残るパターンであり、背景パターンBPは、複写時に消えるパターンである。また、マスクパターンMPは、前景パターンと背景パターンの境界を視認しづらくするために用いられるパターンであり、不正コピーガードパターンGPは、特定のパターンを有し、検出装置によって検出した場合に印刷不可にするパターンである。
【0037】
地紋パターン格納部320は、地紋用タイル生成部310が地紋用タイルパターンを作成した際に、その生成途中で生成されるパターン等の中間生成物および生成後の地紋用タイルパターンを記憶する。地紋合成部330は、地紋用タイル生成部310が生成した地紋用タイルパターンを原稿画像I1(すなわち、描画処理部304が描画した印刷画像)と合成する。
【0038】
つぎに、地紋印刷について具体的に説明する。図5は、地紋印刷の一具体例を示す模式図である。図6は、地紋印刷された原稿を複写した場合の一具体例を示す模式図である。地紋印刷とは、大小ドットを組み合わせたパターンを印刷対象の原稿に対して合成する処理である。この地紋印刷が施された原稿には、複写時にドットのサイズの差によって消える部位と、顕在化する浮き出る部位とが存在する。
【0039】
具体的には、図5に示すように、原稿画像I1には「ABCDEFG」という文書が印刷されており、この原稿画像I1に対して地紋印刷を行って、地紋印刷画像I2を作成する。地紋印刷画像I2には、複写時に残る前景パターンFPと複写時に消える背景パターンBPとが合成され、この前景パターンFPによって、例えば「COPY」等の文字列が形成されている。
【0040】
ここで、この地紋印刷画像I2において、文字列「COPY」を形成する前景パターンFPには、複写時に浮き出るように大きめのドットが使用され、この文字列以外の背景パターンBPには、複写時に消えるように小さめのドットが使用される。
【0041】
また、これら前景パターンFPおよび背景パターンBPの単位面積当たりのドット数はそろえるようにする。すなわち、大きめのドットによる前景パターンFPでは、ドット間隔を広くし、小さめのドットによる背景パターンBPでは、ドット間隔を密にする。これによって、地紋印刷画像I2内の前景パターンFPと背景パターンBPとでは、ドットサイズの違いが視認しづらくなり、この結果、地紋印刷画像I2内の前景パターンFPと背景パターンBPとは視覚的に区別しづらくなっている。
【0042】
一方、この地紋印刷画像I2を複写した場合、図6に示すように、その複写画像I3では、原稿画像I1の文書である「ABCDEFG」と、地紋印刷によって施された文字列「COPY」とが顕在化する。これは、地紋印刷画像I2内の背景パターンBP(小さいドットパターン)がスキャナの読み取りによって消え、前景パターンFP(大きいドットパターン)がスキャナの読み取りによって顕在化したためである。この現象を利用して、地紋印刷画像I2は原本であり、複写画像I3は、この原本の複写物であることが視認できる。
【0043】
つぎに、本発明の実施の形態にかかる画像形成方法について詳細に説明する。図7は、本発明の実施の形態にかかる画像形成方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる画像形成方法は、図3に示したPDL部205の処理によって実現される。
【0044】
詳細には図7に示すように、PDL部205は、まず、PDLデータを受信する(ステップS101)。この場合、入力データ受信部301は、ネットワークI/F部202およびプリンタコントロールシステム部204を介して、ホストPC150から入力された印刷データすなわちPDLデータを受信する。
【0045】
つぎに、PDL部205は、受信したPDLデータを中間データへ変換し(ステップS102)、得られた中間データを保存する(ステップS103)。この場合、DL作成部302は、このPDLデータを解析して中間データを作成する。ついで、中間データ格納部303は、この作成された中間データを保存する。
【0046】
その後、PDL部205は、ホストPC150から入力されるPDLデータが終了したか否かを判定し(ステップS104)、終了していない場合(ステップS104,No)、ステップS101に戻り、このステップS101以降の処理手順を繰り返す。すなわち、PDL部205は、PDLデータの入力がなくなるまで、ステップS101〜S104の処理手順を繰り返す。
【0047】
一方、PDL部205は、ステップS204においてPDLデータの入力が終了した場合(ステップS104,Yes)、得られた中間データをレンダリング処理する(ステップS105)。この場合、描画処理部304は、中間データ格納部303に保存された中間データを読み取り、得られた中間データに基づいてレンダリング処理を実行する。これによって、描画処理部304は、この中間データに基づく印刷画像をメモリに描画する。なお、この印刷画像は、図5に例示した原稿画像I1に相当する。
【0048】
つぎに、PDL部205は、レンダリング処理対象の中間データが終了したか否かを判定し(ステップS106)、終了していない場合(ステップS106,No)、ステップS105に戻り、このステップS105以降の処理手順を繰り返す。
【0049】
一方、PDL部205は、ステップS106においてレンダリング処理対象の中間データが終了した場合(ステップS106,Yes)、地紋パターンの生成・合成処理を実行し(ステップS107)、本処理を終了する。
【0050】
このステップS107において、地紋処理部305は、まず、描画処理部304から処理対象の印刷画像と地紋設定情報J1を取得する。ついで、地紋処理部305は、地紋設定情報J1をもとに、この印刷画像に対応する地紋パターンを生成する。これとともに、地紋処理部305は、この地紋パターンの生成途中に作成した各中間生成物およびその生成情報を記憶する。さらに、地紋処理部305は、印刷画像のページ間において、印刷画像のサイズまたは向き等のパラメータが変更された際に再利用可能な中間生成物であるか否かを識別するフラグ等の識別情報を、各中間生成物に対応付けて記憶する。
【0051】
その後、地紋処理部305は、生成した地紋パターンを処理対象の印刷画像に合成して、地紋を施した印刷画像、すなわち地紋印刷画像を生成する。この地紋印刷画像は、例えば図5に示した地紋印刷画像I2に相当し、プリンタエンジン160によって印刷される。
【0052】
一方、地紋処理部305は、上述した印刷画像の後に描画処理部304が次回の印刷画像を作成した場合、地紋パターンの各中間生成物を記憶しているか否かを判定する。ついで、地紋処理部305は、これらの各中間生成物のうち、記憶していると判定した中間生成物を再利用する。この場合、地紋処理部305は、上述した生成情報をもとに、記憶した各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択する。その後、地紋処理部305は、再利用した中間生成物を用いて地紋パターンを生成し、生成した地紋パターンを次回の印刷画像に合成する。
【0053】
つぎに、上述したステップS107の地紋パターン生成処理について詳細に説明する。図8は、地紋パターン生成処理の処理フローの一例を示すフローチャートである。図9は、地紋パターン生成途中で作成されるパターンの一例を示す模式図である。図10は、地紋パターン生成途中で作成される背景ストリップパターンの一例を示す模式図である。図11は、地紋パターン生成途中で作成されるマスクパターンおよびタイルの一例を示す模式図である。図12は、地紋パターン生成途中で作成される抑止文字列の一例を示す模式図である。図13は、生成された地紋パターンの一例を示す模式図である。
【0054】
図8に示すように、地紋処理部305は、地紋パターンの生成処理において、まず、パターン情報を取得し(ステップS201)、得られたパターン情報をもとに各パターンを作成する(ステップS202)。
【0055】
この場合、地紋処理部305は、中間データに基づいて指定されたパターン情報を取得し、得られたパターン情報をもとに、前景パターン、背景パターンおよびマスクパターンを作成する。例えば図9に示すように、地紋処理部305は、パターン情報をもとに、パターンのビットマップを作成する。ここで、このパターン情報は、ビットマップとして指定されるだけでなく、省メモリ化のために、図9に示すようにパターンを構成する情報から成る場合もある。
【0056】
つぎに、地紋処理部305は、ステップS202において作成した各パターンをメモリの空き状況に応じて記憶する。すなわち、地紋処理部305は、作成したパターンが保存可能か否かをパターン毎に判定する(ステップS203)。そして、地紋処理部305は、保存可能と判定したパターンがある場合(ステップS203,Yes)、このパターンの作成に要した処理時間を測定し(ステップS204)、ついで、このパターンの記憶に要した使用メモリ量を算出する(ステップS205)。その後、地紋処理部305は、このパターンを中間生成物として保存するとともに、このパターンの処理時間および使用メモリ量を中間生成物の生成情報として保存する(ステップS206)。
【0057】
続いて、地紋処理部305は、印刷画像のページ幅だけ背景パターンを繰り返したパターンである背景ストリップパターンを作成する(ステップS207)。この場合、地紋処理部305は、ステップS202において作成した背景パターンを印刷画像のページ幅だけ繰り返し描画して、図10に示すように、この印刷画像のページ幅に合った背景ストリップパターンBSPを作成する。
【0058】
その後、地紋処理部305は、この背景ストリップパターンBSPをメモリの空き状況に応じて記憶する。すなわち、地紋処理部305は、作成した背景ストリップパターンBSPが保存可能か否かを判定する(ステップS208)。そして、地紋処理部305は、保存可能と判定した場合(ステップS208,Yes)、この背景ストリップパターンBSPの作成に要した処理時間を測定し(ステップS209)、ついで、この背景ストリップパターンBSPの記憶に要した使用メモリ量を算出する(ステップS210)。その後、地紋処理部305は、この背景ストリップパターンBSPを中間生成物として保存するとともに、この背景ストリップパターンBSPの処理時間および使用メモリ量を中間生成物の生成情報として保存する(ステップS211)。
【0059】
つぎに、地紋処理部305は、地紋パターンの背景を形成するタイルを作成する(ステップS212)。この場合、地紋用タイル生成部310は、例えば図11に示すように、ステップS202において作成した背景パターンBPとマスクパターンMPとを用いて、最小公倍数のパターンとなるタイルT1またはタイルT2を作成する。
【0060】
なお、タイルパターンによっては、片方のパターンサイズ(タイルT1、T2のいずれか)に統一され、最小限のパターンサイズとなるが、パターンサイズの最小公倍数が印刷画像のページサイズに近づく、または超える場合もある。この最小公倍数がページサイズを超えた場合、地紋用タイル生成部310は、作成したタイルパターンをページサイズでクリップすることによって、不要な情報を削除する。
【0061】
その後、地紋処理部305は、このタイルT1、T2をメモリの空き状況に応じて記憶する。すなわち、地紋処理部305は、作成したタイルT1、T2が保存可能か否かを判定する(ステップS213)。そして、地紋処理部305は、保存可能と判定した場合(ステップS213,Yes)、保存可能なタイルの作成に要した処理時間を測定し(ステップS214)、ついで、このタイルの記憶に要した使用メモリ量を算出する(ステップS215)。その後、地紋処理部305は、このタイルを中間生成物として保存するとともに、このタイルの処理時間および使用メモリ量を中間生成物の生成情報として保存する(ステップS216)。
【0062】
つぎに、地紋処理部305は、複写時に浮き出るまたは消える文字列、すなわち抑止文字列を作成するためにラスタライズ処理を実行する(ステップS217)。この場合、地紋処理部305は、例えば図12に示すように、ベジエ曲線等のグラフィックによって指定された文字列(図12では「C」)をラスタライズ処理して、地紋パターンに付加可能な文字列にする。なお、抑止文字列は、ビットパターンによって指定される場合もある。
【0063】
その後、地紋処理部305は、この抑止文字列をメモリの空き状況に応じて記憶する。すなわち、地紋処理部305は、作成した抑止文字列(例えば「COPY」等)が保存可能か否かを判定する(ステップS218)。そして、地紋処理部305は、保存可能と判定した場合(ステップS218,Yes)、この抑止文字列の作成に要した処理時間を測定し(ステップS219)、ついで、この抑止文字列の記憶に要した使用メモリ量を算出する(ステップS220)。その後、地紋処理部305は、この抑止文字列を中間生成物として保存するとともに、この抑止文字列の処理時間および使用メモリ量を中間生成物の生成情報として保存する(ステップS221)。
【0064】
つぎに、地紋処理部305は、上述したように作成したタイルおよび抑止文字列等を合成して地紋パターンを作成する(ステップS222)。この場合、地紋処理部305は、例えば図13に示すように、処理対象の印刷画像のページ高さおよびページ幅に合わせてパターンサイズを調整しつつ、この印刷画像1ページの地紋パターンを作成する。
【0065】
その後、地紋処理部305は、この地紋パターンをメモリの空き状況に応じて記憶する。すなわち、地紋処理部305は、作成した地紋パターンが保存可能か否かを判定する(ステップS223)。そして、地紋処理部305は、保存可能と判定した場合(ステップS223,Yes)、この地紋パターンの作成に要した処理時間を測定し(ステップS224)、ついで、この地紋パターンの記憶に要した使用メモリ量を算出する(ステップS225)。
【0066】
続いて、地紋処理部305は、この地紋パターンを中間生成物として保存するとともに、この地紋パターンの処理時間および使用メモリ量を中間生成物の生成情報として保存し(ステップS226)、その後、図7に示したステップS107にリターンする。
【0067】
ここで、地紋処理部305は、ステップS203において保存可能と判定したパターンがない場合(ステップS203,No)、ステップS204〜S206を実行せずにステップS207に進み、ステップS208において保存可能と判定していない場合(ステップS208,No)、ステップS209〜S211を実行せずにステップS212に進む。
【0068】
また、地紋処理部305は、ステップS213において保存可能と判定していない場合(ステップS213,No)、ステップS214〜S216を実行せずにステップS217に進み、ステップS218において保存可能と判定していない場合(ステップS218,No)、ステップS219〜S221を実行せずにステップS222に進む。
【0069】
一方、地紋処理部305は、ステップS223において保存可能と判定していない場合(ステップS223,No)、ステップS224〜S226を実行せずに、図7に示したステップS107にリターンする。
【0070】
つぎに、上述した中間生成物および生成情報について具体的に説明する。図14は、中間生成物および生成情報の一具体例を示す模式図である。ここで、中間生成物は、地紋パターンが生成されるまでに作成された各種パターン等であり、具体的には図14に示すように、前景パターン、背景パターン、マスクパターン、背景ストリップパターン、タイル、抑止文字列および地紋パターンである。
【0071】
これらの各中間生成物は、図14に示すように、各中間生成物の生成情報、すなわち処理時間および使用メモリ量と対応付けて地紋処理部305に記憶される。なお、これらの各中間生成物のうち、背景ストリップパターンは背景パターンを含み、タイルは背景パターンおよびマスクパターンを含む。
【0072】
地紋処理部305は、印刷画像を描画する等の処理によってメモリ不足になった際、このメモリ不足を解消するために解放する中間生成物の優先度または必要なメモリ量にマッチした中間生成物を、図14に示す生成情報をもとに選択できる。
【0073】
つぎに、地紋印刷処理においてメモリ不足になった際に中間生成物を解放してメモリ不足を解消するための処理フローについて詳細に説明する。図15は、メモリ不足時の中間生成物の解放処理を説明するためのフローチャートである。
【0074】
図3に示したPDL部205は、図7に示したステップS101〜S107の処理手順を適宜繰り返し実行して、印刷画像に地紋印刷する。この印刷画像に地紋印刷する際の使用可能なメモリ領域は、1ページ目の地紋印刷の場合に比して2ページ目以降の地紋印刷の場合の方が小さくなる。これは、1ページ目の地紋印刷において、印刷画像に合成する地紋パターンを作成し、記憶するためにメモリ領域が使用されるからである。このため、2ページ以降の地紋印刷では、メモリ不足になる場合がある。
【0075】
PDL部205では、このようにメモリ不足になった場合、地紋処理部305が、各中間生成物の生成情報をもとに、これらの各中間生成物の中から、このメモリ不足を補える中間生成物を解放して、使用可能なメモリ量を増やす。
【0076】
すなわち、図15に示すように、PDL部205は、まず、描画処理を実行して(ステップS301)、地紋印刷画像を生成する。この場合、PDL部205は、図7に示したステップS101〜S107の処理手順を実行して、例えば図5に示したような地紋印刷画像I2を生成する。
【0077】
つぎに、PDL部205は、次回の描画処理に必要なメモリ量が不足したか否かを判定し(ステップS302)、メモリ不足になった場合(ステップS302,Yes)、必要メモリ量を算出する(ステップS303)。
【0078】
続いて、PDL部205は、この算出した必要メモリ量を捻出するために解放する中間生成物を決定する(ステップS304)。この場合、地紋処理部305は、例えば図14に示した各中間生成物およびその生成情報のデータテーブルを参照し、各中間生成物の生成情報をもとに、必要メモリ量の捻出に最適な中間生成物を選択する。例えば、地紋処理部305は、この必要メモリ量に近い使用メモリ量の中間生成物を選択する。
【0079】
その後、PDL部205は、メモリを解放して(ステップS305)、次回の描画処理に必要なメモリ量を捻出する。この場合、地紋処理部305は、ステップS304において選択した中間生成物を解放することによって、使用可能なメモリ量を増やす。このメモリ量の増加によって、次回の描画処理が継続可能となる。
【0080】
つぎに、PDL部205は、描画オブジェクトが全て完了したか否かを判定し(ステップS306)、完了していない場合(ステップS306,No)、ステップS301に戻って描画処理を継続し、このステップS301以降の処理手順を繰り返す。
【0081】
一方、PDL部205は、ステップS302においてメモリ不足になっていない場合(ステップS302,No)、ステップS303〜S305を実行せずにステップS306に進む。また、PDL部205は、ステップS306において描画オブジェクトが全て完了した場合(ステップS306,Yes)、本処理を終了する。
【0082】
つぎに、印刷画像のページ間において印刷画像のパラメータが変更された際の中間生成物の再利用について具体的に説明する。図16は、印刷画像のページ間において用紙サイズが変更になった際の中間生成物の再利用例を示す模式図である。
【0083】
地紋印刷処理において、例えば図16に示すように、1ページ目の印刷画像の用紙サイズがA4サイズであり、2ページ目の印刷画像の用紙サイズがA3サイズである場合、地紋処理部305は、1ページ目の地紋印刷処理において記憶している中間生成物を2ページ目の印刷画像に再利用する。
【0084】
具体的には図16においては、地紋処理部305は、1ページ目の地紋印刷処理において、前景パターン、背景パターン、マスクパターン、背景ストリップパターンおよびタイルを記憶している。このため、地紋処理部305は、A3サイズに用紙サイズが増加した2ページ目の印刷画像に対し、この記憶している中間生成物のうちのタイルを再利用して、2ページ目の印刷画像の用紙サイズ(A3サイズ)に収まるようにタイリング処理している。一方、地紋処理部305は、解放等によって記憶していない抑止文字列「COPY」のみを再作成し、これを再利用のタイルに合成して地紋パターンを生成している。
【0085】
ここで、地紋処理部305は、印刷画像のページ間において、印刷画像のサイズまたは向き等のパラメータが変更された際に再利用可能な中間生成物であるか否かを識別する識別情報を、各中間生成物に対応付けて記憶している。地紋処理部305は、この識別情報をもとに、上述したように用紙サイズが変更された時に最適な中間生成物としてタイルを選択している。
【0086】
なお、地紋処理部305は、上述した用紙サイズの増加に限らず、印刷画像のページ間において用紙サイズが縮小された場合、用紙の向きが変更された場合等、印刷画像の各種パラメータの変更に対応して、上述した識別情報をもとに最適な中間生成物を選択し、再利用できる。
【0087】
一方、従来の画像形成装置では、ジョブ中に印刷画像のページ間において用紙サイズまたは用紙方向が変更された場合、既に作成している地紋パターンを再利用することができず、ページ毎に地紋パターンを再作成しなければならなかった。このため、省メモリ環境においては、メモリ不足を招き、その結果、印刷性能が劣化していた。
【0088】
これに対し、本発明にかかる画像形成装置10は、上述したように、印刷画像のパラメータの変更に対応して最適な中間生成物を再利用できるため、地紋印刷処理における使用メモリ量を節約でき、この結果、省メモリ環境においても印刷性能を劣化させない。
【0089】
つぎに、印刷画像のページ間において地紋パターンの抑止文字列が変更された際の中間生成物の再利用について具体的に説明する。図17は、印刷画像のページ間において地紋パターンの抑止文字列が変更になった際の中間生成物の再利用例を示す模式図である。
【0090】
図17に示すように、1ページ目の地紋印刷画像と2ページ目の地紋印刷画像とのページ間において、地紋パターンの抑止文字列が「COPY」から「コピー禁止」に変更されている。この場合、地紋処理部305は、1ページ目の地紋印刷処理において記憶している前景パターン、背景パターン、マスクパターン、背景ストリップパターンおよびタイルのうち、タイルを再利用し、2ページ目の印刷画像にタイリング処理している。
【0091】
また、地紋処理部305は、変更された抑止文字列「コピー禁止」のみを再作成し、この再作成した抑止文字列と再利用のタイルとを合成している。これによって、地紋処理部305は、2ページ目の印刷画像に合成する地紋パターンを省メモリ環境下で生成することができる。
【0092】
なお、この場合も、地紋処理部305は、上述した印刷画像のパラメータ変更の場合と同様に、記憶している各中間生成物の中から、抑止文字列のみ変更の場合に再利用する中間生成物として最適なものを選択している。
【0093】
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、地紋パターンの生成途中に作成した各中間生成物と、これら各中間生成物の生成情報とを記憶し、この生成情報をもとに、記憶している各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成している。
【0094】
このため、次ページの印刷画像に合成する地紋パターン全体を再作成および記憶する必要がなくなるとともに、生成した地紋パターン全体を記憶できない程の省メモリ環境においても、必要な中間生成物を再利用して途中から地紋パターンを生成できる。これによって、地紋パターンの再作成に要する処理時間を最小限に抑制できるとともに、使用可能なメモリ量の残量に応じて中間生成物を解放することによって、描画処理に必要なメモリ量を増やすことができる。
【0095】
この結果、原稿画像に使用するメモリの圧迫を防止できるとともに、省メモリ環境においても専用のハードウェアを使用せずに地紋印刷を行えることから、地紋印刷を行う際の印刷性能の劣化を最低限に抑制できる。
【0096】
また、各中間生成物の生成情報をもとに、記憶している各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択できるため、印刷画像のページ間において地紋パターンの一部が変更したい場合、メモリ量を浪費せずに最適な中間生成物を再利用して、地紋パターンを容易に変更できる。
【0097】
さらに、印刷画像のパラメータが変更された際に、変更後の印刷画像に再利用可能か否かを識別する識別情報を各中間生成物に対応付けて記憶するため、ページ間で印刷画像のパラメータが変更された場合であっても、この識別情報をもとに、再利用に最適な中間生成物を選択でき、ページ間で用紙サイズまたは用紙方向が異なる印刷画像に対して容易に地紋パターンを付加できる。
【0098】
なお、上述した実施の形態では、地紋パターンの生成処理時にメモリアクセスの効率を高めるために背景ストリップパターンを作成していたが、これに限らず、背景パターンをページ一面に繰り返し描画してもよい。この場合、上述した背景ストリップパターンの作成処理を省略してもよい。
【0099】
また、上述した実施の形態では、各中間生成物および各生成情報を対応付けたデータテーブルを用いていたが、これに限らず、メモリ不足時に中間生成物を全て削除してメモリ量を増やしてもよいし、中間生成物の作成順に適宜中間生成物を削除してメモリ量を増やしてもよいし、中間生成物の使用メモリ量の多い順に適宜中間生成物を削除してメモリ量を増やしてもよい。この場合、上述したデータテーブルは作成しなくてもよい。
【0100】
さらに、上述した実施の形態では、各中間生成物および各生成情報のデータテーブルを参照し、要求されているメモリ量に近い使用メモリ量の中間生成物を解放してメモリ量を増やしていたが、これに限らず、使用メモリ量の大きい中間生成物を解放してもよいし、単位メモリ量あたりの処理時間(処理時間/使用メモリ量)を算出し、この算出値の小さい中間生成物を優先的に解放してもよいし、各中間生成物の構成要素から判断して解放する中間生成物を選択してもよいし、これらを組み合わせた方法でもよい。
【0101】
なお、各中間生成物の構成要素から判断する場合、例えば、背景ストリップパターンは背景パターンを包含しているため、背景パターンを解放しても背景ストリップパターンを再利用すれば地紋パターンの生成に支障は無いと判断して、背景パターンを解放してもよい。同様に、タイルは背景パターンおよびマスクパターンを包含しているため、背景パターンおよびマスクパターンを解放してもタイルを再利用すれば地紋パターンの生成に支障は無いと判断して、背景パターンおよびマスクパターンを解放してもよい。
【0102】
また、上述した実施の形態では、CPU110が実行するソフトウェアプログラムを予めROM120等に格納されていたが、これに限らず、本実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0103】
さらに、本実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態にかかる画像形成装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0104】
また、上述した実施の形態では、本発明の実施の形態にかかる画像形成装置を、プリンタ機能を有するシステムに適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
10 画像形成装置
100 コントローラ
110 CPU
120 ROM
130 RAM
140 NVRAM
150 ホストPC
151 ネットワークI/F
160 プリンタエンジン
161 エンジンI/F
170 パネル装置
171 パネルI/F
180 HDD
202 ネットワークI/F部
203 パネルI/F部
204 プリンタコントロールシステム
205 PDL部
206 エンジンI/F部
301 入力データ受信部
302 DL作成部
303 中間データ格納部
304 描画処理部
305 地紋処理部
310 地紋用タイル生成部
320 地紋パターン格納部
330 地紋合成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】特許第4125203号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを受信する受信手段と、
前記印刷データを解析して中間データを作成する中間データ作成手段と、
前記中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画処理手段と、
前記中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、前記地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物および該各中間生成物の生成情報を記憶し、前記印刷画像に前記地紋パターンを合成した後、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した前記中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成する地紋処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記地紋処理手段は、メモリの空き状況に応じて前記各中間生成物を記憶し、地紋パターンを生成する際に前記各中間生成物が記憶されているか否かを判定し、前記各中間生成物のうち記憶されていると判定した中間生成物を再利用することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記生成情報は、前記各中間生成物の生成に要した処理時間および使用メモリ量であり、前記各中間生成物とともに記憶されることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記地紋処理手段は、メモリ不足の場合、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から前記メモリ不足を補える中間生成物を解放して、使用可能なメモリ量を増やすことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記地紋処理手段は、前記印刷画像のページ間において印刷画像のパラメータが変更された際に再利用可能な中間生成物であるか否かを識別する識別情報を、前記各中間生成物に対応付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像形成装置を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、受信手段と、中間データ作成手段と、描画処理手段と、地紋処理手段とを備え、
前記受信手段が、印刷データを受信する受信ステップと、
前記中間データ作成手段が、前記印刷データを解析して中間データを作成する中間データ作成ステップと、
前記描画処理手段が、前記中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画ステップと、
前記地紋処理手段が、前記中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、前記地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物および該各中間生成物の生成情報を記憶し、前記印刷画像に前記地紋パターンを合成した後、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した前記中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成する地紋処理ステップと、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
印刷データを受信する受信ステップと、
前記印刷データを解析して中間データを作成する中間データ作成ステップと、
前記中間データをもとに印刷画像をメモリに描画する描画ステップと、
前記中間データに含まれる地紋印刷の設定情報をもとに地紋パターンを生成するとともに、前記地紋パターンの生成途中に作成したパターンを含む各中間生成物および該各中間生成物の生成情報を記憶し、前記印刷画像に前記地紋パターンを合成した後、前記生成情報をもとに、前記各中間生成物の中から使用可能な中間生成物を選択し、選択した前記中間生成物を再利用して次回の地紋パターンを生成する地紋処理ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図5】
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【図6】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−191403(P2012−191403A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52738(P2011−52738)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】