説明

画像形成装置、画像形成方法、及び画像形成プログラム

【課題】有色画像の画質劣化を抑制し、且つ白色色材の消費量の抑制を図る。
【解決手段】特性情報取得部22は、記録媒体Pの光学特性を示す特性情報を取得する。白色色材量決定部26は、特性情報に基づいて、記録媒体Pが予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が低いほど第1の量に向かって多い白色色材の量を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として画素毎に決定する。白色画像形成部207は、決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、記録媒体Pに白色画像を形成する。有色画像形成部206は、有色画像の画像データに基づいて、記録媒体Pに有色画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上に記録されたカラー画像の色は、記録媒体そのもの光沢や白色度等の光学特性の程度によって影響を受けることが知られている。
【0003】
そこで、記録媒体上に、カラー画像の上層または下層に白色色材を付与する技術が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1には、有色トナーにより形成される画像の領域を少なくとも写真領域と文字領域とに分離し、写真領域に選択的に白色トナー像を形成することが開示されている。特許文献2には、記録媒体上の、黒色トナーによる画像の形成されていない領域や、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のトナー画像による合計の透過濃度が1.0以下の領域に、白色トナー像を形成することが開示されている。また、特許文献3には、記録紙に画像を形成する前に、記録紙全面を白色に印刷することが開示されている。また、特許文献3には、記録紙の色と濃度に応じて、記録紙上に形成する各色のトナーの使用量を調整することが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、写真領域に選択的に白色トナー像を形成するため、写真領域と文字領域との境界が、白色トナーの付与の有無により色差として視認される場合があった。また、特許文献2において、黒色トナーによる画像の形成されていない領域に白色トナー像を形成した場合には、白色トナーの消費低減を図ることは困難であった。また、特許文献2において、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色のトナー画像による合計の透過濃度が1.0以下の領域に白色トナー像を形成した場合には、白色トナー画像の形成領域と該形成領域以外の領域の境目が境界として視認される場合があった。また、特許文献3では、記録媒体に一様に白色印刷を行うため、白色トナーの消費低減を図ることは困難であった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、有色画像の画質劣化を抑制し、且つ白色色材の消費量の抑制を図ることができる、画像形成装置、画像形成方法、及び画像形成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体の光学特性を示す特性情報を取得する取得手段と、前記特性情報に基づいて、前記記録媒体が予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって前記記録媒体上で実現される遮光性が低いほど前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定する決定手段と、決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、前記記録媒体に白色画像を形成する白色画像形成手段と、前記画像データに基づいて、前記記録媒体に有色画像を形成する有色画像形成手段と、を備えた画像形成装置である。
【0008】
また、本発明は、記録媒体の光学特性を示す特性情報を取得するステップと、前記特性情報に基づいて、前記記録媒体が予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって前記記録媒体上で実現される遮光性が低いほど前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定するステップと、決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、前記記録媒体に白色画像を形成するステップと、前記画像データに基づいて、前記記録媒体に有色画像を形成するステップと、を備えた画像形成方法である。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに実行させるための画像形成プログラムであって、記録媒体の光学特性を示す特性情報を取得するステップと、前記特性情報に基づいて、前記記録媒体が予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって前記記録媒体上で実現される遮光性が低いほど前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定するステップと、決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、前記記録媒体に白色画像を形成するステップと、前記画像データに基づいて、前記記録媒体に有色画像を形成するステップと、を前記コンピュータに実行させるための画像形成プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有色画像の画質劣化を抑制し、且つ白色色材の消費量の抑制を図ることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、主制御部をハードウェアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロック図である。
【図3】図3は、白色色材量決定部を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、白色色材の記録量と分光反射率との関係を示す線図であり、(A)は、分光反射率の異なる複数種類の記録媒体上における白色色材の記録量と分光反射率との関係を示す線図であり、(B)は、記録媒体の分光反射率と第1の量との関係を示す線図である。
【図5】図5は、輝度成分と記録量比との関係を示す線図である。
【図6】図6は、本実施の形態の画像形成装置における、画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、白色色材量決定部の図3とは異なる形態を示す機能ブロック図である。
【図8】図8は、画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置の一の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の画像形成装置10の構成を示す模式図である。
【0014】
画像形成装置10は、主制御部12、画像形成部14、操作部15、供給部16、搬送部17、及び排出部18を備える。
【0015】
搬送部17は、転写ベルト214と、転写ベルト214を内側から支持して回転させる支持部材214A及び支持部材214Bを備える。転写ベルト214は、支持部材21A及び支持部材214Bの回転に伴って回転し、外周側に記録媒体Pを保持して搬送する(図1中、矢印A方向)。
【0016】
画像形成部14は、記録媒体Pに画像を形成する。画像形成部14は、有色画像形成部206及び白色画像形成部207を備える。これらの有色画像形成部206及び白色画像形成部207は、転写ベルト214による記録媒体Pの搬送方向(図1中、矢印A方向)に沿って配列されている。
【0017】
有色画像形成部206は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の画像を形成する。有色画像形成部206は、画像形成ユニット206C、画像形成ユニット206M、画像形成ユニット206Y、及び画像形成ユニット206Kを備える。白色画像形成部207は、白色の画像を形成する。
【0018】
有色画像形成部206Cは、シアン(C)の画像(以下、シアン画像と称する場合がある)を形成する。有色画像形成部206Cは、感光体201C、帯電装置202C、現像装置203C、転写装置208C、除去装置204C、を備え、公知の電子写真方式の構成である。帯電装置202Cは、所定方向に回転する(図1中、矢印B方向)感光体201Cの表面を帯電させる。露光装置214Cは、シアン(C)用の印刷画像データに基づいて変調された露光光205Cにより感光体201C表面を露光し、感光体201C上に静電潜像を形成する。現像装置203Cは、シアントナーで静電潜像を現像し、感光体201C上にシアントナーによるトナー像としてのシアン画像を形成する。転写装置208Cは、感光体201C上に形成されたシアン画像を、転写ベルト214を搬送されてきた記録媒体Pに転写する。除去装置204Cは、感光体201Cの表面の付着物を除去する。
【0019】
有色画像形成部206M、有色画像形成部206Y、有色画像形成部206K、及び白色画像形成部207は、公知の電子写真方式の構成である。有色画像形成部206Mは、マゼンタ(M)の画像(以下、マゼンタ画像と称する場合がある)を形成する。有色画像形成部206Yは、イエロー(Y)の画像(以下、イエロー画像と称する場合がある)を形成する。有色画像形成部206Kは、ブラック(K)の画像(以下、ブラック画像と称する場合がある)を形成する。白色画像形成部207は、白色(W)の画像(以下、白色画像と称する場合がある)を形成する。
【0020】
有色画像形成部206M、有色画像形成部206Y、有色画像形成部206K、及び白色画像形成部207は、有色画像形成部206Yと同様に、感光体(201M、201Y、201K、201W)、帯電装置(202M、202Y、202K、202W)、現像装置(203M、203Y、203K、203W)、転写装置(208M、208Y、208K、208W)、除去装置(204M、204Y、204K、204W)、及び露光装置(214M、214Y、214K、214W)を備えている。
【0021】
これらの有色画像形成部206M、有色画像形成部206Y、有色画像形成部206K、及び白色画像形成部207における、感光体(201M、201Y、201K、201W)、帯電装置(202M、202Y、202K、202W)、現像装置(203M、203Y、203K、203W)、転写装置(208M、208Y、208K、208W)、除去装置(204M、204Y、204K、204W)、及び露光装置(214M、214Y、214K、214W)の機能及び構成は、各々、有色画像形成部206Cにおける感光体201C、帯電装置202C、現像装置203C、転写装置208C、除去装置204C、及び露光装置214Cの各々と、以下の点以外は同じである。
【0022】
露光装置214Mは、マゼンタ(M)用の印刷画像データに基づいて変調された露光光205Mにより感光体201M表面を露光する。露光装置214Yは、イエロー(Y)用の印刷画像データに基づいて変調された露光光205Yにより感光体201Y表面を露光する。露光装置214Kは、ブラック(K)用の印刷画像データに基づいて変調された露光光205Kにより感光体201K表面を露光する。露光装置214Wは、白色(W)用の印刷画像データに基づいて変調された露光光205Wにより感光体201W表面を露光する。
【0023】
現像装置203Mは、マゼンタトナーで静電潜像を現像する。現像装置203Yは、イエロートナーで静電潜像を現像する。現像装置203Kは、ブラックトナーで静電潜像を現像する。現像装置203Wは、白色トナーで静電潜像を現像する。
【0024】
なお、本実施の形態では、有色画像形成部206C、有色画像形成部206M、有色画像形成部206Y、有色画像形成部206K、及び白色画像形成部207において、トナー(シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナー、及び白色トナー)により画像を形成する場合を説明するが、各々の色の色材によって画像を形成する構成であればよく、トナーを用いた画像形成に限られない。例えば、これらの画像形成部は、トナーに代えて、各色の色材を含む液滴と吐出するインクジェット方式を用いた画像形成部であってもよい。
【0025】
供給部16は、図示を省略する用紙貯留部に保持された記録媒体Pを、搬送部材210及びレジストローラ211等によって転写ベルト214へと搬送する。なお、レジストローラ211は、記録媒体Pを搬送すると共に、該記録媒体Pを予め定めた位置に位置合わせする。供給部16は、記録媒体Pの光学特性を測定する測定部213を備える。
【0026】
記録媒体Pの光学特性とは、記録媒体Pの特性の内、記録媒体Pに形成される有色画像の色に影響を与える特性を示す。記録媒体Pの光学特性としては、具体的には、記録媒体Pの分光反射率、分光透過率、白色度、及び色相が挙げられる。なお、本実施の形態では、測定部213は、記録媒体Pの光学特性として、記録媒体Pの分光反射率を検知する場合を説明する。測定部213としては、例えば、測色センサが挙げられる。
【0027】
測定部213は、具体的には、白色LED213A、光電センサ213B、及び基準白板213Cを含む。光電センサ213Bは、RGB3色のフィルタの各々で覆われた3つの光電変換素子を含んでいる。白色LED213Aから光が出射されると、該光は、基準白板213Cまたは記録媒体Pで反射し、光電センサ213Bに入射する。光電センサ213Bでは、3つの光電変換素子による出力信号の大きさの比を、基準白板213Cによる反射光を受光したときと、記録媒体Pによる反射光を受光したときと、の各々で求める。そして、光電センサ213Bでは、求めた比と、予め測定した基準白板213Cの分光反射率と、に基づいて、記録媒体Pの分光反射率を算出する。そして、算出した分光反射率を、記録媒体Pの特性情報として主制御部12へ出力する。
【0028】
なお、本実施の形態では、測定部213は、記録媒体Pを転写ベルト214へと搬送するレジストローラ211より、記録媒体Pの搬送方向上流側で且つ該レジストローラ211の直前の領域に配置されている場合を説明する。しかし、測定部213は、図示を省略する用紙貯留部から記録媒体Pを搬送経路へと搬送する搬送部材210より該記録媒体Pの搬送方向下流側で、且つ搬送部材210に近い領域に配置してもよい。なお、測定部213は、レジストローラ211の直前に配置する方が、他の搬送機構(例えば搬送部材210)と共用できるので、より安価に実現することが可能となる。
【0029】
記録媒体Pは、供給部16、及び転写ベルト214によって、白色画像形成部207、及び有色画像形成部206によってトナー像を転写される領域を順次搬送される。これによって、記録媒体Pには、白色トナーによる白色画像、シアントナーによるシアン画像、マゼンタトナーによるマゼンタ画像、イエロートナーによるイエロー画像、及びブラックトナーによるブラック画像が順次転写される。
【0030】
なお、本実施の形態では、転写ベルト214の搬送方向(図1中、矢印A方向)の上流側から下流側に向かって順に、白色画像形成部207及び有色画像形成部206がこの順に配置されている場合を説明する。しかし、白色画像形成部207が有色画像形成部206より、転写ベルト214の搬送方向の下流側に設けられた構成であってもよい。
【0031】
排出部18は、定着装置212を備える。定着装置212は、各色の画像の転写された記録媒体P上の画像(トナー像)を該記録媒体Pに定着させる。これによって、記録媒体Pには、各色の画像が固着される。排出部18は、図示を省略する搬送装置を備えており、画像の形成された記録媒体Pを、図示を省略する排出部へと搬送する。
【0032】
操作部15は、画像形成装置10で印刷する印刷画像データや、記録媒体Pの基準特性を示す基準特性情報等の各種情報を入力する。操作部15としては、例えば、キーボード、タッチパネル付のディスプレイ、外部装置や記憶装置等からデータを受け付ける入力インターフェース、公知のスキャナ装置等が挙げられる。なお、記録媒体Pの基準特性については、後述する。
【0033】
主制御部12は、画像形成装置10を制御する。主制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、後述する画像形成処理を実行する画像形成プログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、及びこれらを接続するバスを含んで構成されている。主制御部12は、画像形成装置10に設けられた装置各部に電気的に接続されている。
【0034】
主制御部12を、ハードウェアとソフトウエアとに基づいて定まる機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、主制御部12は、図2に示すように、印刷画像データ入力部20、有色色材量決定部24、白色色材量決定部26、及び特性情報取得部22を有する。
【0035】
印刷画像データ入力部20は、パーソナル・コンピュータ等の外部装置から印刷ジョブを受けつける。そして、受け付けた印刷ジョブに含まれる、PDLなどのページ記述言語で記述された、有色画像の印刷画像データを、有色画像形成部206及び白色画像形成部207で印刷可能な形式(例えばビットマップ形式)で描画された画像データに変換する。なお、有色画像の印刷画像データとは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像を形成する有色画像形成部206で各色画像を形成するために用いる画像データである。
【0036】
印刷画像データ入力部20は、変換した画像データ(ビットマップ形式のRGB画像データ)を、有色色材量決定部24及び白色色材量決定部26へ出力する。本実施の形態では、印刷画像データ入力部20は、印刷画像データ入力部20は、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)のビットマップ画像データを、有色色材量決定部24及び白色色材量決定部26へ出力する。
【0037】
有色色材量決定部24は、受け付けたRGBのビットマップ画像データを、公知の方法によりC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のビットマップ画像データに変換する。このCMYKのビットマップ画像データの作成によって、有色色材量決定部24は、画像データの画素毎に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各々の色材量を決定する。そして、有色色材量決定部24は、このCMYKのビットマップ画像データを、有色画像形成部206へ出力する。有色画像形成部206では、有色画像形成部206KでKのビットマップ画像データを受け付け、上述のようにブラック画像を形成する。また、有色画像形成部206Yでは、Yのビットマップ画像データを受け付け、上述のようにイエロー画像を形成する。また、有色画像形成部206Mでは、Mのビットマップ画像データを受け付け、上述のようにマゼンタ画像を形成する。また、有色画像形成部206Cでは、Cのビットマップ画像データを受け付け、上述のようにシアン画像を形成する。
【0038】
特性情報取得部22は、測定部213から記録媒体Pの特性情報を受け付ける。本実施の形態では、上述のように、特性情報取得部22は、測定部213から記録媒体Pの分光反射率を受け付ける場合を説明する。そして、特性情報取得部22は、受け付けた特性情報である記録媒体Pの分光反射率を、白色色材量決定部26へ出力する。
【0039】
白色色材量決定部26は、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率に基づいて、記録媒体Pが予め定めた基準特性(詳細後述)を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量(詳細後述)を決定する。また、白色色材量決定部26は、印刷画像データ入力部20から受け付けたRGBのビットマップ画像データ(有色画像の画像データ)に含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が低いほど第1の量(詳細後述)に向かって多い白色色材の量を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として画素毎に決定する。
【0040】
白色色材量決定部26の詳細を以下に説明する。
【0041】
白色色材量決定部26は、詳細には、図3に示すように、抽出部30、LPF(ローパスフィルタ)32、第1決定部36、第2決定部34、及び出力部38を備える。
【0042】
抽出部30は、印刷画像データ入力部20から受け付けたRGBのビットマップ画像データの各画素データから輝度成分を抽出する。そして、画素毎に輝度成分を定めた、輝度成分のビットマップ画像データを、LPF32へ出力する。
【0043】
なお、本実施では、抽出部30は、RGBのビットマップ画像データの各画素データから輝度成分を抽出する場合を説明するが、明度成分や色相成分等を抽出し、抽出結果を輝度成分に変換してもよい。
【0044】
LPF32(第1除去手段)は、抽出部30から受け付けた輝度成分のビットマップ画像データに含まれる複数の画素の内の1つを、順に注目画素として定める。そして、注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素における輝度成分の空間周波数から高周波成分を除去する。なお、この周辺画素としては、注目画素に隣接する周囲の画素を定めてもよいし、注目画素に隣接する周囲の画素と該周囲の画素に隣接する周囲の画素を周辺画素として定めてもよい。
【0045】
そして、LPF32は、抽出部30から受け付けた輝度成分のビットマップ画像データに含まれる複数の画素の各々を注目画素として上記高周波成分の除去を行い、高周波成分の除去後の輝度成分のビットマップ画像データを、第2決定部34へ出力する。
【0046】
第1決定部36は、画像形成対象の記録媒体Pの特性情報としての分光反射率に基づいて、記録媒体Pが予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定する。
【0047】
第1決定部36及び後述する第2決定部34は、記録媒体Pの基準特性を予め記憶している。この記録媒体Pの基準特性とは、有色画像形成部206及び白色画像形成部207によって有色画像(CMYKの画像)及び白色画像の形成された後の記録媒体Pに対する、ユーザの所望の光学特性を示す。この光学特性は、具体的には、分光反射率、白色度、分光透過率、及び色相が挙げられる。記録媒体Pの基準特性は、測定部213が測定する光学特性と同じ特性の所望の値を予め定めることが好ましい。上述のように、本実施の形態では、測定部213は、記録媒体Pの光学特性として、記録媒体Pの分光反射率を検知する場合を説明する。このため、記録媒体Pの基準特性としては、記録媒体Pの分光反射率のある特定の値が予め定められる。なお、この基準特性は、予め操作部15等を介してユーザによって入力され、第1決定部36及び第2決定部34に予め記憶しておけばよい。
【0048】
第1決定部36は、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率に基づいて、第1の量を決定する。
【0049】
第1の量とは、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態記録媒体Pが基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である。
【0050】
第1決定部36は、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの分光反射率に対応する第1の量を、目的とする記録媒体Pの基準特性ごとに予め測定して記憶している。そして、第1決定部36は、予め記憶した基準特性と、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率と、に対応する第1の量を読み取ることによって、第1の量を決定する。そして、決定した第1の量を、第2決定部34へ出力する。
【0051】
図4(B)には、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの分光反射率と、上記第1の量と、の関係を、記録媒体Pの基準特性としての分光反射率毎に示した。
【0052】
図4(B)に示すように、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの分光反射率が低いほど、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態記録媒体Pが基準特性を示すためには、単位面積あたりに付加する白色色材の量である第1の量を多くする必要がある。また、また、目的とする記録媒体Pの基準特性である分光反射率が80%(図4(B)中、線図44参照)、85%(図4(B)中、線図42参照)、90%(図4(B)中、線図40参照)と大きくなるほど、記録媒体Pの分光反射率が同じであっても、該基準特性を満たすために単位面積あたりに付加する白色色材の量である第1の量を多くする必要がある。
【0053】
第1決定部36は、図4(B)に示すような、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの分光反射率と、上記第1の量と、の関係を示すルックアップテーブル(LUT)を、記録媒体Pの基準特性としての分光反射率毎に予め記憶している。そして、第1決定部36は、予め記憶した基準特性と、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率と、に対応する第1の量を、このルックアップテーブルから読み取ることによって、第1の量を決定すればよい。
【0054】
なお、図4(B)に示す関係は、例えば、以下のようにして求めればよい。
【0055】
例えば、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の分光反射率の異なる複数種類の記録媒体Pを用意する。そして、各分光反射率の記録媒体Pに白色色材を記録し、白色色材の単位面積当たりの記録量と、該記録量の白色色材を記録した後の記録媒体Pの分光反射率と、の関係を測定する(例えば、図4(A)参照)。そして、目的とする分光反射率(例えば、85%)に対応する白色色材の記録量を、各種類の記録媒体P毎に読取る。そして、読み取り結果に基づいて、図4(B)に示す関係を導き出せばよい。
【0056】
なお、本実施の形態では、測定部213がRGBの各々の分光反射率を検出することから、図4(B)には、R波長領域の分光反射率と第1の量との関係を示した。しかし、G波長領域及びB波長領域についても同様にして、分光反射率と第1の量との関係が求められる。すなわち、第1決定部36には、R、G、Bの色毎に、記録媒体Pの分光反射率と第1の量との記録媒体Pの基準特性毎の関係を、予め記憶している。
【0057】
なお、本実施の形態では、記録媒体P上の任意の1点の分光反射率を測定部213によって読み取る場合を説明するが、記録媒体Pを予め複数の領域に分割し、分割した各領域毎の分光反射率を測定部213によって読み取ってもよい。この場合には、第1決定部36では、記録媒体Pの上記領域毎に、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの分光反射率と、上記第1の量と、の関係を、記録媒体Pの基準特性としての分光反射率毎に予め記憶すればよい。
【0058】
また、測定部213で記録媒体Pの白色度、色、分光透過率を測定する場合には、第1決定部36では、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの白色度、色、または分光透過率と、上記第1の量と、の関係を、記録媒体Pの基準特性としての白色度、色、または分光透過率毎に予め記憶すればよい。
【0059】
第2決定部34は、LPF32から受け付けた、高周波成分の除去後の輝度成分のビットマップ画像データと、第1決定部36から受け付けた、記録媒体Pが基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量と、に基づいて、記録媒体Pに付加する白色色材の量を画素毎に決定する。
【0060】
具体的には、第2決定部34では、高周波成分の除去後の輝度成分のビットマップ画像データに含まれる各画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が低いほど、第1決定部36で決定した第1の量に向かって多い白色色材の量を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として画素毎に決定する。本実施の形態では、抽出部30で輝度成分を抽出したため、第2決定部34では、各画素の輝度値が高い(すなわち、遮光性が低い)ほど、第1の量に向かって多い量の白色色材を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として決定する。
【0061】
第2決定部34は、詳細には、記録量比決定部34A及び白色色材の記録量決定部34Bを備える。
【0062】
記録量比決定部34Aは、記録量比を決定する。
【0063】
記録量比決定部34Aは、RGBの各画素データの示す輝度成分(すなわち、輝度値)と、輝度成分に対応する記録量比と、を対応づけたルックアップテーブル(LUT)を、記録媒体Pの基準特性ごとに、予め記憶している。
【0064】
記録量比とは、記録媒体Pが基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量に対する、白色色材の量を示す。この白色色材の量とは、記録媒体Pの色が、記録媒体P上に形成された各輝度値の有色画像の各画素の光学特性に影響を与えないために必要な最低限の白色色材の量を示す。
【0065】
ここで、記録媒体P上にCMYKの有色画像を形成すると共に、該有色画像より上層側または下層側に、白色色材による画像(白色層)を形成するのは、記録媒体Pに形成された有色画像の高画質を実現するためである。すなわち、白色色材による画像によって、記録媒体Pそのものの光学特性(色等)や、記録媒体Pが透けて記録媒体Pの裏面や記録媒体Pの下にある物体によって、有色画像の画質が劣化することを抑制している。しかし、CMYKの有色画像による記録媒体Pの遮光性が高ければ、これらの影響を受けにくくなることから、白色色材による画像を形成しない、または白色色材の量を少なくしても、高画質を維持することができる。
【0066】
そこで、本実施の形態では、高周波成分の除去後の輝度成分のビットマップ画像データに含まれる各画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が低いほど、第1決定部36で決定した第1の量に向かって多い白色色材の量を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として画素毎に決定する。
【0067】
図5には、Rの画像データに含まれる画素データの示す輝度成分(輝度値)と、記録量比との関係を示した。なお、図5に示す例は、記録媒体Pの基準特性が、分光反射率85%である場合の例である。
【0068】
図5に示すように、画素データによって示される輝度値が高いほど、すなわち、画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が低いほど、記録量比(必要な白色色材の量)は大きい。一方、画素データによって示される輝度値が低いほど、画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が高く、記録量比(必要な白色色材の量)は小さくてよい。
【0069】
なお、本実施の形態では、測定部213がRGBの各々の分光反射率を検出することから、図5には、R(赤)の画像データに含まれる画素データの示す輝度成分と、記録量比との関係を示した。しかし、G(緑)の画像データ及びB(青)の画像データについても同様の、輝度成分と記録量比との関係を示す。そして、記録量比決定部34Aでは、各色(RGB)毎に、輝度成分に対応する記録量比を、記録媒体Pの基準特性ごとに記憶している。
【0070】
そして、記録量比決定部34Aでは、LPF32から受け付けた、高周波成分の除去後の輝度成分のRGBのビットマップ画像データと、第2決定部34に予め記憶されている記録媒体Pの基準特性に対応する輝度成分と記録量比との対応を示すルックアップテーブルから、RGBの記録量比を画素毎に求める。そして、記録量比決定部34Aは、画素毎に求めたRGBの記録量比の内の最大値を、各画素の記録量比として決定する。そして、記録量比決定部34Aは、決定した各画素の記録量比を、白色色材の記録量決定部34Bへ出力する。
【0071】
記録量比決定部34Aが、画素毎に求めたRGBの記録量比の内の最大値を、各画素の記録量比として決定するので、効果的に高画質化を図ることができる。
【0072】
白色色材の記録量決定部34Bは、記録量比決定部34Aから受け付けた、各画素の記録量比と、第1決定部36から受け付けた第1の量と、を乗算することによって、画素毎の白色色材の量を決定する。
【0073】
そして、白色色材の記録量決定部34Bは、画素毎の白色色材の量を定めた白色画像データ(ビットマップ形式)を、出力部38へ出力する。出力部38は、受け付けた白色画像データを、白色画像形成部207へ出力する。白色画像形成部207では、受け付けた白色画像データに基づいて、公知の電子写真方式により白色画像を形成する。このため、記録媒体Pには、白色色材量決定部26で画素毎に定めた白色色材の量に対応する量の白色トナーが、各画素に対応する領域に付与される。
【0074】
次に、画像形成装置10における画像形成処理の流れを説明する。図6は、本実施の形態に係る画像形成装置10における、画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
画像形成装置10の主制御部12では、印刷画像データ入力部20がパーソナル・コンピュータ等の外部装置から印刷ジョブを受けつけると、供給部16を制御して記録媒体Pの搬送部17への搬送を開始する。また、主制御部12では、搬送部17の搬送を開始し、画像形成処理を行うための画像形成プログラムをROMから読み取り、図6に示す処理を実行する。
【0076】
まず、特性情報取得部22が、記録媒体Pの特性情報(例えば、光学的反射特性)を測定部213から取得する(ステップS100)。次いで、印刷画像データ入力部20が、受け付けた印刷ジョブに含まれる、PDLなどのページ記述言語で記述された、有色画像の印刷画像データを、有色画像形成部206及び白色画像形成部207で印刷可能な形式(例えばビットマップ形式)で描画された画像データに変換する(ステップS102)。
【0077】
次に、白色色材量決定部26が、上記ステップS100で特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報に基づいて、記録媒体Pが予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定する。また、白色色材量決定部26は、印刷画像データ入力部20から受け付けたRGBのビットマップ画像データ(有色画像の画像データ)に含まれる各画素の画素データに基づいて、記録媒体Pに付加する白色色材の量を画素毎に決定する(ステップS104)。
【0078】
次いで、有色色材量決定部24が、印刷画像データ入力部20から受け付けたRGBのビットマップ画像データを、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のビットマップ画像データに変換する。これにより、有色色材量決定部24が、画像データの画素毎に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各々の色材量を決定する(ステップS106)。
【0079】
次に、白色画像形成部207が、上記ステップS104で決定した画素毎の白色色材量を定めた白色画像データに基づいて、記録媒体Pに白色画像を形成する(ステップS108)。次いで、有色画像形成部206が、上記ステップS106で生成されたC、M、Y、Kのビットマップ画像データに基づいて、上記ステップS108で白色画像の形成された記録媒体Pに、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像を形成する(ステップS110)。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置10によれば、白色色材量決定部26が、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率に基づいて、記録媒体Pが予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定する。また、白色色材量決定部26は、印刷画像データ入力部20から受け付けたRGBのビットマップ画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって記録媒体P上で実現される遮光性が低いほど第1の量に向かって多い白色色材の量を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として画素毎に決定する。
【0081】
このように、画像形成装置10では、有色画像の画像データに含まれる各画素データの画素によって記録媒体Pで実現される遮光性と、記録媒体Pの光学特性と、に着目する。そして、本実施の形態の画像形成装置10では、遮光性が低いほど、記録媒体Pが予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量に向かって多い白色色材の量を、記録媒体Pに付加する白色色材の量として画素毎に決定する。このため、有色画像及び白色画像の形成された記録媒体Pの光学特性が、目的とする基準特性を示すように、画素毎に白色色材の量を定めることができる。また、白色色材の量は、有色画像の画像データに含まれる各画素データの画素によって記録媒体Pで実現される遮光性と、記録媒体Pの光学特性と、に応じて定めるので、有色画像の画質劣化を抑制することができる。
【0082】
従って、本実施の形態の画像形成装置10では、有色画像の画質劣化を抑制し、且つ白色色材の消費量を抑制することができる。
【0083】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、LPF32において、注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素における輝度成分の空間周波数から高周波成分を除去する。そして、第2決定部34では、LPF32から受け付けた、高周波成分の除去後の輝度成分のRGBのビットマップ画像データに基づいて、画素毎に白色色材の量を決定する。
【0084】
このように、画像形成装置10では、注目画素とその周辺画素の画素データに基づいて、注目画素の白色色材の量を決定する。このため、白色画像の記録媒体P上での形成位置と、有色画像の記録媒体P上での形成位置とがずれた場合であっても、有色画像の画質劣化を抑制することができる。
【0085】
また、LPF32が、注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素における輝度成分の空間周波数から高周波成分を除去するので、白色画像の記録媒体P上での形成位置と、有色画像の記録媒体P上での形成位置とがずれた場合であっても、有色画像の画質劣化を抑制することができる。
【0086】
具体的には、CMYKの有色画像の遮光性が高いほど、上述のように、記録媒体P上の同じ位置に付与する(対応する画素の)白色色材の量は少ない。しかし、遮光性の高い(例えば輝度値の低い)有色画像の画素に隣接した領域に、遮光性の低い有色画像の画素が形成される場合には、有色画像と白色画像とがずれて形成されることで、有色画像の画質劣化が生じる場合がある。しかし、LPF32が、注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素における輝度成分の空間周波数から高周波成分を除去するので、周囲に遮光性の低い有色画像の画素が有る場合には、遮光性の高い有色画像の画素であっても、白色画像が重ねて形成される。
【0087】
このため、白色画像の記録媒体P上での形成位置と、有色画像の記録媒体P上での形成位置とがずれた場合であっても、有色画像の画質劣化を抑制することができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、主制御部12は、LPF32を有する白色色材量決定部26を備える場合を説明したが、図7に示すように、LPF32に代えてフィルタ33を有する白色色材量決定部27を備えた構成であってもよい。
【0089】
フィルタ33としては、注目画素の輝度成分から、該注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素の輝度成分の内の最大の輝度値を示す高輝度成分を除去するフィルタを用いればよい。
【0090】
このようなフィルタ33を用いた場合についても、LPF32を用いた場合と同様に、白色画像の記録媒体P上での形成位置と、有色画像の記録媒体P上での形成位置とがずれた場合であっても、有色画像の画質劣化を抑制することができる。
【0091】
なお、本実施の形態では、第1決定部36は、図4(B)に示すような、YMCKの有色画像や白色画像の形成されていない状態の記録媒体Pの分光反射率と、上記第1の量と、の関係を示すルックアップテーブル(LUT)を、記録媒体Pの基準特性としての分光反射率毎に予め記憶している場合を説明した。そして、第1決定部36は、予め記憶した基準特性と、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率と、に対応する第1の量を、このルックアップテーブルから読み取ることによって、第1の量を決定する場合を説明した。
【0092】
しかし、第1決定部36は、外部装置から白色色材量決定部26で受け付けるビットマップ画像データの属性ごとに、該LUTを更に記憶してもよい。この場合には、第1決定部36は、予め記憶した基準特性と、特性情報取得部22から受け付けた記録媒体Pの特性情報としての分光反射率と、に対応する第1の量を、受け付けたビットマップ画像データに対応するルックアップテーブルから読み取ることによって、第1の量を決定すればよい。なお、ビットマップ画像データの属性としては、圧縮画像データ、非圧縮画像データ、文字データ、写真データ、グラフィックスデータ等が挙げられる。
【0093】
このように、第1決定部36が、ビットマップ画像データの属性に応じて第1の量を決定することによって、より詳細な制御ができ、記録媒体Pに形成する有色画像の画質劣化を更に抑制することができる。
【0094】
また、本実施の形態では、画像形成装置10は、図1に示すように、白色画像形成部207より記録媒体Pの搬送方向下流側に、有色画像形成部206が設けられている場合を説明した。しかし、白色画像形成部207より記録媒体Pの搬送方向上流側に、有色画像形成部206が設けられた構成であってもよい。
【0095】
なお、白色画像形成部207より記録媒体Pの搬送方向下流側に、有色画像形成部206が設けられている構成であると、白色画像が有色画像より記録媒体P側に形成されるので、有色画像側から記録媒体Pを観察することとなり、有色画像への記録媒体Pの色の影響や記録媒体Pの透けによる裏映り等を抑制することができる。
【0096】
一方、記録媒体Pとして、透明な記録媒体(例えば、OHPシート等)を用い、有色画像を、記録媒体Pを介して観察する用途に用いる場合には、白色画像形成部207より記録媒体Pの搬送方向上流側に、有色画像形成部206が設けられた構成であることが好ましい。この場合には、記録媒体P上に、白色画像及び有色画像がこの順に形成される。
【0097】
また、本実施の形態の画像形成装置10では、白色画像形成部207の位置は固定されているものとして説明したが、主制御部12から白色画像形成部207へ白色画像データが送られた場合にのみ、白色画像形成部207の感光体201Wが記録媒体Pに接するように構成してもよい。この場合には、白色画像形成部207を、感光体201Wが転写ベルト214に接する位置と、感光体201Wが転写ベルト214から離間した位置と、の間で移動可能に構成すればよい。
【0098】
また、本実施の形態では、画像形成装置10は、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である場合を説明したが、有色画像を形成するための有色色材及び白色画像を形成するための白色色材を用いて画像を形成する装置であればよい。例えば、本実施の形態の画像形成装置10は、有色色材を含む有色インクや、白色色材を含む白色インクを吐出することで画像を形成するインクジェット記録方式の画像形成装置であってもよい。
【0099】
なお、本実施の形態では、測定部213が、記録媒体Pの光学特性として分光反射率を測定する場合を説明したが、測定部213は、記録媒体Pの光学特性として、分光透過率、色、及び白色度等を測定してもよい。
【0100】
この場合には、測定部213の、基準白板213C(図1参照)の位置に、光電センサ213Bを配置すればよい。このように配置することで、測定部213は、記録媒体Pの分光透過率を測定することができる。なお、この場合には、白色LED213Aから出射した光は、直接または記録媒体Pを介して、光電センサ213Bに入射する。そして、光電センサ213Bでは、3つの光電変換素子による出力信号の大きさの比を、白色LED213Aから出射した光を直接受光したときと、記録媒体Pを介して該光を受光したときと、の各々で求める。そして、光電センサ213Bでは、求めた比と、予め測定した基準白板213Cの分光透過率と、に基づいて、記録媒体Pの分光透過率を算出する。そして、算出した分光透過率を、記録媒体Pの特性情報として、主制御部12へ出力すればよい。
【0101】
また、本実施の形態では、抽出部30は、RGBのビットマップ画像データの各画素データから輝度成分を抽出する場合を説明するが、明度成分や色相成分等を抽出し、抽出結果を輝度成分に変換してもよい。また、抽出部30では、各画素データから、最も白色度の高い白との差を示す差分情報を抽出してもよい。この場合には、LPF32、第1決定部36及び第2決定部34では、輝度成分(輝度値)に代えて、この差分情報を用いればよい。
【0102】
また、本実施の形態では、測定部213が、白色LED213A、光電センサ213B、及び基準白板213Cを含み、光電センサ213Bが、RGB3色のフィルタの各々で覆われた3つの光電変換素子を含む場合を説明した。このため、測定部213は、記録媒体Pの光学特性として、RGBの分光反射率を測定する場合を説明した。しかし、測定部213が、CIEXYZ等の色を検出してもよい。この場合には、測定部213では、測定した色を、RGBに変換して出力してもよい。また、より精密に制御するため、測定部213が、分光反射率を更に細分化し検出して取り扱うようにしてもよい。逆に、より実現を容易にするため、上述したように、測定部213は、記録媒体Pの白色度や明度を検出してもよい。
【0103】
なお、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像処理プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0104】
さらに、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0105】
また、本実施の形態の画像形成装置10で実行される画像処理プログラムは、上述した各部(印刷画像データ入力部20、特性情報取得部22、有色色材量決定部24、白色色材量決定部26または白色色材量決定部27)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから決定処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、印刷画像データ入力部20、特性情報取得部22、有色色材量決定部24、白色色材量決定部26または白色色材量決定部27が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0106】
なお、上記実施の形態では、本実施の画像形成装置10を、プリンタ機能を有する画像形成装置に適用した例を挙げて説明するが、プリンタ機能と、コピー機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも1つの機能と、を有する複合機に適用してもよい。
【0107】
図8は、本実施の形態の画像形成装置10のハードウェア構成例を示すブロック図である。本図に示すように、画像形成装置10は、コントローラ270とエンジン部(Engine)260とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ270は、画像形成装置全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部260は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部260には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0108】
コントローラ270は、CPU271と、ノースブリッジ(NB)273と、システムメモリ(MEM−P)272と、サウスブリッジ(SB)274と、ローカルメモリ(MEM−C)277と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)276と、ハードディスクドライブ(HDD)278とを有し、ノースブリッジ(NB)273とASIC276との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス275で接続した構成となる。また、MEM−P272は、ROM(Read Only Memory)272aと、RAM(Random Access Memory)272bと、をさらに有する。
【0109】
CPU271は、画像形成装置10の全体制御をおこなうものであり、NB273、MEM−P272およびSB274からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0110】
NB273は、CPU271とMEM−P272、SB274、AGP275とを接続するためのブリッジであり、MEM−P272に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0111】
MEM−P272は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM272aとRAM272bとからなる。ROM272aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM272bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0112】
SB274は、NB273とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB274は、PCIバスを介してNB273と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0113】
ASIC276は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP275、PCIバス、HDD278およびMEM−C277をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC276は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC276の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C277を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部260との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC276には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)230、USB(Universal Serial Bus)240、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース250が接続される。操作表示部220はASIC276に直接接続されている。
【0114】
MEM−C277は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)278は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0115】
AGP275は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P272に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にする。
【符号の説明】
【0116】
10 画像形成装置
22 特性情報取得部
26、27 白色色材量決定部
30 抽出部
32 LPF
33 フィルタ
34 第2決定部
36 第1決定部
206 有色画像形成部
207 白色画像形成部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【特許文献1】特開2002−328501号公報
【特許文献2】特開2006−220694号公報
【特許文献3】特開平7−114241号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の光学特性を示す特性情報を取得する取得手段と、
前記特性情報に基づいて、前記記録媒体が予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって前記記録媒体上で実現される遮光性が低いほど前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定する決定手段と、
決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、前記記録媒体に白色画像を形成する白色画像形成手段と、
前記画像データに基づいて、前記記録媒体に有色画像を形成する有色画像形成手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
前記特性情報に基づいて前記第1の量を決定する第1決定手段と、
前記画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、各画素の輝度成分を抽出する抽出手段と、
注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素における輝度成分の空間周波数から高周波成分を除去する第1除去手段と、
高周波数成分を除去した後の前記注目画素の輝度成分に基づいて、該注目画素が高輝度であるほど白色色材の量が前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定する第2決定手段と、
を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記特性情報に基づいて前記第1の量を決定する第1決定手段と、
前記画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、前記画像データに含まれる各画素の輝度成分を抽出する抽出手段と、
注目画素の輝度成分から、該注目画素及び該注目画素の周辺の周辺画素の輝度成分の内の最大の輝度値を示す高輝度成分を除去する第2除去手段と、
前記高輝度成分を除去した後の前記注目画素の輝度成分に基づいて、該注目画素が高輝度であるほど白色色材の量が前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定する第2決定手段と、
を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記光学特性は、分光反射率、分光透過率、白色度、及び色相の何れかである請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体の光学特性を示す特性情報を取得するステップと、
前記特性情報に基づいて、前記記録媒体が予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって前記記録媒体上で実現される遮光性が低いほど前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定するステップと、
決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、前記記録媒体に白色画像を形成するステップと、
前記画像データに基づいて、前記記録媒体に有色画像を形成するステップと、
を備えた画像形成方法。
【請求項6】
コンピュータに実行させるための画像形成プログラムであって、
記録媒体の光学特性を示す特性情報を取得するステップと、
前記特性情報に基づいて、前記記録媒体が予め定めた基準特性を示すために付加の必要な単位面積あたりの白色色材の量である第1の量を決定すると共に、有色画像の画像データに含まれる各画素の画素データに基づいて、該画素データの画素によって前記記録媒体上で実現される遮光性が低いほど前記第1の量に向かって多い白色色材の量を、前記記録媒体に付加する白色色材の量として画素毎に決定するステップと、
決定された画素毎の白色色材の量を示す白色画像データに基づいて、前記記録媒体に白色画像を形成するステップと、
前記画像データに基づいて、前記記録媒体に有色画像を形成するステップと、
を前記コンピュータに実行させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3411(P2013−3411A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135624(P2011−135624)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】