説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】直接転写方式及び間接転写方式の混在方式を採用する画像形成装置において、いずれか一方のトナー濃度検知センサが故障した場合も他方のトナー濃度検知センサで濃度調整が可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、第1のセンサと、第2のセンサと、トナー濃度調整手段と、故障検知手段と、を有し、故障検知手段が第1のセンサの故障を検知した場合、第1の転写ベルトに転写されたトナーパターンを第2の転写ベルトに転写し、第2のセンサによって前記トナー濃度調整を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接転写方式および間接転写方式の混在方式を採用する画像形成装置において、直接転写方式もしくは間接転写方式のいずれか一方のトナーパターン濃度検知センサが故障した場合においても他方のトナーパターン濃度検知センサでトナー濃度の調整が可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式においては、ある特定の色は用紙に直接転写する直接転写方式を採用し、その他の色は一度中間転写体に転写してから用紙に転写する間接転写方式を採用する混在方式の画像形成装置の構成は既に知られている。
【0003】
当該方式の画像形成装置は、直接転写方式で生成した基準トナーパターンの濃度を検知する濃度検知センサと、間接転写方式で生成した基準トナーパターンの濃度を検知する濃度検知センサの双方を備えており、それぞれの転写方式のトナー濃度調整方法も既に知られている。
【0004】
トナー濃度調整とは、画像濃度の変動(電子写真方式の画像形成装置では経時劣化や環境変動で画像濃度の変動が生じる)を修正し、各色の画像濃度が安定するようにトナーの濃度を制御することをいう。具体的には電源投入時や所定枚数の印刷毎のプロセス調整運転(現像バイアス、帯電バイアス、露光量等の調整)により各色の画像濃度が安定するように制御を行う。
【0005】
当該トナー濃度調整を行う為には、濃度検知センサが正常に使用可能であることを必要とする。直接転写方式および間接転写方式の混在方式による画像形成装置では直接転写方式によるトナーパターンの濃度検知センサと間接転写方式によるトナーパターンの濃度検知センサの双方が正常に使用可能でなければ全てのトナー濃度調整はできない。
【0006】
しかし、上記2つの濃度検知センサの使用条件(使用頻度等)は均等ではない。そのため、一方の濃度検知センサの故障により全てのトナー濃度の調整ができなくなるケースがあった。
【0007】
また、混在方式の画像形成装置は2つの濃度検知センサを有する為、直接転写方式あるいは間接転写方式のどちらか一方の方式による画像形成装置と比較して、濃度検知センサ全体の故障の確率が高くなるという問題も有している。
【0008】
特許文献1には、出力特性の異なる複数個のパッチ画像(画像品質安定の為、画像形成装置のウォーミングアップ終了後や出力動作中に特定パターンを像担持体や中間転写体に形成する画像)読み取りセンサを持つ画像形成装置において、1のセンサが故障した場合にも、もう一方のセンサで故障したセンサを代用し、ダウンタイムを低減する方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来技術においては下記の問題が存在している。
【0010】
特許文献1の技術は単一の転写方式を採用する画像形成装置については採用可能な技術である。しかし、直接転写方式と間接転写方式の混在方式による画像形成装置ではそのまま使用することはできない。なぜならば、単一の転写方式の場合はパッチ画像の形成位置を変えれば代用可能であるが、混在方式ではそもそもセンサの位置が同一ベルト上に存在しないので、パッチ画像の形成位置を変えることによる対応のみでは代用できないからである。
【0011】
また、混在方式の画像形成装置は2つの転写方式を使用する為、センサの数が増加する。上記の従来技術は混在方式の画像形成装置における、センサ数の増加を要因とする濃度検知センサ全体の高故障率の問題は解決できていない。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、直接転写方式および間接転写方式の混在方式を採用する画像形成装置において、いずれか一方のトナーパターン濃度検知センサが故障した場合も他方のトナーパターン濃度検知センサでトナー濃度の調整を可能とすることにより、濃度検知センサ全体の故障率の低減が可能な画像形成装置、画像形成装置の制御方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、トナーパターンを転写する第1の転写ベルトのトナー濃度を検知し、前記トナー濃度に応じて出力する第1のセンサと、トナーパターンを転写する第2の転写ベルトのトナー濃度を検知し、前記トナー濃度に応じて出力する第2のセンサと、画像濃度の変動を修正して画像濃度が安定するようにトナーの濃度を制御するトナー濃度調整手段と、前記第1のセンサの出力に基づいて前記第1のセンサが故障しているか否かを判断する故障検知手段と、を有し、前記故障検知手段が前記前記第1のセンサの故障を検知した場合、前記第1の転写ベルトに転写された前記トナーパターンを前記第2の転写ベルトに転写し、前記第2のセンサによって前記トナー濃度調整を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の画像形成装置の制御方法は、トナーパターンを転写する第1の転写ベルトのトナー濃度を検知し、第1のセンサが前記トナー濃度に応じて出力するステップと、トナーパターンを転写する第2の転写ベルトのトナー濃度を検知し、第2のセンサが前記トナー濃度に応じて出力するステップと、画像濃度の変動を修正して画像濃度が安定するようにトナーの濃度を制御するトナー濃度調整ステップと、前記第1のセンサの出力に基づいて前記第1のセンサが故障しているか否かを判断する故障検知ステップと、前記故障検知手段が前記前記第1のセンサの故障を検知した場合、前記第1の転写ベルトに転写された前記トナーパターンを前記第2の転写ベルトに転写し、前記第2のセンサによって前記トナー濃度調整を行うステップと、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明のプログラムは、上記に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0016】
本発明の記録媒体は、上記に記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、直接転写方式および間接転写方式の混在方式を採用する画像形成装置において、いずれか一方のトナーパターン濃度検知センサが故障した場合も他方のトナーパターン濃度検知センサでトナー濃度の調整を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のプリンタ部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の作像部の機械構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置のプリンタ部の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置の濃度調整を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置の濃度調整時における二次転写ユニット部を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る濃度検知センサが故障した場合の濃度検知センサの出力結果例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る濃度調整の処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】本発明の第6の実施形態に係るユーザーと調整結果の選択結果の例を示す図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】本発明の第7の実施形態に係る印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るプリンタ部のハードウエア構成を示すブロック図である。図1に示すように、プリンタ部の制御系は、CPU301、RAM302、ROM303、I/O制御部304、転写駆動モータI/F306a、ドライバ307a、転写駆動モータI/F306b、ドライバ307bから構成されている。
【0021】
CPU301は、コントローラ110から入力される画像データの受信および制御コマンドの送受信制御をはじめ、プリンタ部全体の制御を行う。
【0022】
また、ワーク用として用いるRAM302およびプログラムを記憶するROM303、I/O制御部304は、バス309を介して相互に接続され、CPU301からの指示によりデータのリード/ライト処理および接離機構などの各負荷305を駆動するモータ、クラッチ、ソレノイド、センサなど各種の動作を実行および濃度検知センサの検知を行う。
【0023】
転写駆動モータI/F306aは、CPU301からの駆動指令により、ドライバ307aに対して駆動パルス信号の駆動周波数を指令する指令信号を出力する。この周波数に応じて転写駆動モータM1が回転駆動される。同じく、転写駆動モータI/F306bは、CPU301からの駆動指令により、ドライバ307bに対して駆動パルス信号の駆動周波数を指令する指令信号を出力する。この周波数に応じて転写駆動モータM2が回転駆動される。
【0024】
転写駆動モータM1と転写駆動モータM2の回転駆動は、図2に示す直接転写ベルト駆動ローラz5もしくは間接転写ベルト駆動ローラz7のいずれか一方に伝達される。
【0025】
また、RAM302はROM303に記憶されているプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。このRAM302は揮発性メモリのため、振幅・位相値など次のベルト駆動で使用するパラメータに関しては、不揮発性メモリであるNVRAM310に記憶しておき、電源オン時もしくは転写駆動モータ306aもしくは転写駆動モータ306bの駆動時にsin関数もしくは近似式を用いて、ベルト一周期分のデータをRAM302上に展開する。
【0026】
本実施形態のプリンタ部で実行されるプログラムは、後述する各部(印刷制御部51、濃度調整制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、二次転写制御部55、計測部56など(図3参照))を含むモジュール構成となっており、実際のハードウエアとしてはCPU301がROM303からプログラムを読み出して実行することにより上記の各部が主記憶装置上にロードされ、印刷制御部51、濃度調整制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、二次転写制御部55、計測部56などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0027】
図2は、本実施形態に係る作像部を中心としたメカ構成を示す図である。印刷時は、Kドラムz14に潜像した画像は、紙上に直接転写し、Yドラムz11〜Cドラムz13の潜像した画像は間接転写ベルトz9上に載せ、二次転写ユニットに転写バイアスを印加することで、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色の画像を紙上に転写することで印刷を行う。
【0028】
図3は本実施形態に係る画像形成装置のプリンタ部の機能構成を示している。本実施形態のプログラムを実行することによって実現する機能または手段を示すものである(作像部の機械構成については図2を用いて説明する)。
【0029】
プリンタ部は、CPU301(図1)がプログラムに従って動作することにより、印刷制御部51と、濃度調整制御部52と、間接転写制御部53と、直接転写制御部54と、二次転写制御部55と、計測部56とを備えている。
【0030】
印刷制御部51は、フルカラー印刷やモノクロ印刷を実行するためにシステム全体(濃度調整制御部52、間接転写制御部53、直接転写制御部54、二次転写制御部55、計測部56など)を制御する。直接転写制御部54は、フルカラー印刷およびモノクロ印刷時に、K色の画像形成ユニット(K画像形成ユニット12K)を制御して、転写紙に直接転写するためのブラックのトナー画像を形成する。
【0031】
間接転写制御部53は、フルカラー印刷時に、Y、M、C色の画像形成ユニット(Y画像形成ユニット12Y、M画像形成ユニット12M、C画像形成ユニット12C)や間接転写ベルトz9を制御し、転写紙に転写するためのY、M、Cのトナー画像を形成する。二次転写制御部55は、二次転写部の二次転写ローラz15)を制御して、二次転写ローラz15に接触している間接転写ベルトz9を転写紙に接近させることにより、間接転写ベルトz9に転写したYMCのトナー画像を転写紙に転写するものである。
【0032】
二次転写制御部55は、フルカラー印刷のときには、転写紙に転写可能な位置まで二次転写ローラz15を接近させる。これにより、間接転写方式によって間接転写ベルトz9上で重ねあわされたY、M、Cのトナー画像が転写紙に転写される。
【0033】
また、二次転写制御部55は、モノクロ印刷時には、転写紙にY、M、Cのトナー画像を転写する必要がないため、転写紙に転写可能な位置から離間させる。また、二次転写制御部55は、濃度調整制御用パターンの画像形成時には転写紙にY、M、Cのトナー画像を転写する必要がないため、二次転写部の二次転写ローラz15を制御し、転写紙に転写可能な位置から離間させる。
【0034】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置が実施する濃度調整の具体的処理内容について説明する。
【0035】
本実施形態の画像形成装置においては、電源投入時あるいは所定枚数のプリントを行う度に、各色の画像濃度を適正化するために現像バイアス、帯電バイアス、露光量などを調整するプロセス調整運転が行われている。電子写真方式の画像形成装置は経時劣化や環境変動で画像濃度が変動してしまう弱点があるので、上記プロセス調整運転を実行して画像濃度が安定するように制御している。当該制御のことを濃度調整という。
【0036】
まず、上記のプロセス調整運転の制御について説明する。電源投入時あるいは所定枚数のプリント前後の時間を利用し、プロセス調整運転信号が上位制御装置よりシステムコントローラに指示され、プロセス調整運転がスタートする。
【0037】
プロセス調整運転がスタートすると、システムコントローラは、画像信号発生回路を画像ナシの状態とする。次に、システムコントローラのCPUは、中間転写ベルトに光を照射して正反射光を第2受光素子で受光する。そして、第2受光素子の出力(受光信号)が予め決められた所定値になるように、光量調整回路で光学センサの発光素子の発光強度を調整する。これは、発光素子の発光効率個体差、温度変動や経時変動により、第2受光素子の出力値がばらつく。このため、第2受光素子の出力値が、目標出力値となるように、発光素子の発光強度を調整することで、精度良くトナー像濃度を計測することが可能となる。すなわち、光学センサで精度良くトナー像の付着量を計測するための光学センサの校正動作に相当する。
【0038】
このような光学センサの校正動作が終わったら、パターン画像を中間転写ベルト上における各光学センサに対向する位置に自動形成する。パターン画像は、濃度レベルの異なる5個程度のパッチ画像からなり、Bk色のパターン画像、M色のパターン画像、C色のパターン画像、Y色のパターン画像が順次中間転写ベルトに形成される。このパッチ画像は、露光条件をそれぞれ変えて形成される。このとき帯電、現像バイアス条件は予め決められた特定値で実行される。この中間転写ベルト上のパターン画像を光学センサで光学的に計測する。
【0039】
次に、各色パターン画像の各パッチ画像を検知して得られた乱反射光を受光する第1受光素子の5点の受光信号を、トナー付着量と受光素子の出力値との関係に基づき構築された付着量算出アルゴリズムを用いてトナー付着量(画像濃度)に変換処理する。これにより、各パッチ画像のトナー付着量が検知される。なお、黒色の着色剤として、カーボンブラックを用いた場合は、Y、M、C色と、Bk色とで付着量に対する受光素子の出力値が異なるので、Y、M、C色用と、Bk用との2つの付着量算出アルゴリズムを用いる。
【0040】
色毎に各パッチ画像のトナー付着量を検知したら、各パッチ画像のトナー付着量
と各パッチ画像を作成したときの各現像ポテンシャルとの関係から、線形近似した現像ポテンシャル−トナー付着量直線を各色求める。この現像ポテンシャル−トナー付着量直線から傾き、切片を各色算出する。このように各色の傾き、切片を求めることで、濃度変動要因(経時劣化・環境変動)によって直線の傾きおよび切片が狙いの特性とずれていることが検出できる。傾きのずれを補正するための露光光量補正パラメータを傾きから決定する。また、現像が開始される現像ポテンシャルのズレを補正するため補正パラメータを切片から決定する。
【0041】
露光光量補正パラメータを露光信号に掛け合わせることで傾きが主に補正され、現像バイアスに補正パラメータを掛け合わせることで切片が主に補正されることで、
狙いとする画像濃度を安定して得ることが可能となる。なお、上述では、露光光量と現像バイアスを補正しているが、帯電電位や転写電流など画像濃度に寄与するその他のプロセス制御値を補正しても良い。
【0042】
図4は、本実施形態の通常の濃度調整の流れを示すフローチャートである(作像部の機械構成については図2を用いて説明する)。直接転写方式側の濃度調整を行う場合は(ステップS401/YES)、Kドラムz14に潜像した画像を、直接転写ベルトz3上に載せ(ステップS402)、同ベルト上に記述された検知パターンを濃度検知センサ(直接転写用)z21の濃度検知センサで読み取ることで、トナーパターン濃度を検知し(ステップS403)、検知結果から濃度調整を行う(ステップS404)。
【0043】
間接転写方式側の濃度調整を行う場合は(ステップS401/NO)、Yドラムz11〜Cドラムz13の各色ドラムに潜像した画像を、間接転写ベルトz9上に載せ(ステップS405)、同ベルト上に記述された検知パターンを濃度検知センサ(間接転写用)z20で読み取ることで、トナーパターン濃度を検知し(ステップS406)、検知結果から濃度調整を行う(ステップS407)。
【0044】
図5は、濃度調整時における二次転写ユニット部の構成を示した図である。二次転写ローラ7と二次転写ローラ8は、モノクロ印刷時や濃度調整のためのパターン画像形成時は離れ、フルカラー印刷のときには用紙に転写可能な位置まで接近する。
【0045】
図6は、本実施形態に係る印刷処理の流れを示したフローチャートである(作像部の機械構成については図2を用いて説明する)。以下は、Kドラムz14のトナー濃度調整(ステップS601/YES)に特化して説明する。
【0046】
まず、通常の動作と同様に、Kドラムz14に潜像した画像を、直接転写ベルトz3上に載せ(ステップS602)、同ベルト上に記述された検知パターンを濃度検知センサ(直接転写用)z21で読み取ることで、トナーパターン濃度を検知する(ステップS603)。
【0047】
ここで、濃度調整を行う前に、濃度検知センサの出力結果から、濃度検知センサの故障を判定する(ステップS604)。故障と判定されなければ(ステップS605/NO)、通常の動作と同様にKのトナー濃度を調整し(ステップS609)、終了する。
【0048】
故障と判定された場合は(ステップS605/YES)、改めてKドラムz14から同ドラムに潜像した画像を、直接転写ベルトz3上に載せる(ステップS606)。ここで、二次転写ローラ7と二次転写ローラ8を転写が可能な距離まで接近させ、印刷時とは逆のバイアスをかけることで、直接転写ベルトz3から間接転写ベルトz9へトナーパターンを転写する(ステップS607)。そして、間接転写ベルトz9へ転写したトナーパターンを濃度検知センサ(間接転写用)z20にて読み取り(ステップS608)、濃度検知結果を元にKのトナー濃度を調整する(ステップS609)。
【0049】
図7は、濃度検知センサが故障したときの同センサの出力結果例である。以下に故障の判定方法について詳しく述べる。トナーパターンの濃度は、図7に示すようなトナーパターン検知時間内のセンサの出力値によって判定される。故障検知部61(図3)で、この出力値があらかじめ設定した期待値上限・期待値下限の中に入ることを判別し、センサの故障の有無を判定する。期待値上限、期待値下限はNVRAM310(図1)に記憶されている。
【0050】
(実施形態2)
次に、図8、図9を用いて第2の実施形態について説明する(作像部の機械構成については図2を用いて説明する)。第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。Kドラムz14のトナー濃度調整(ステップS801/YES)に特化して説明する。
【0051】
図8、図9は本実施形態の印刷処理の流れを示したフローチャートである。故障検知部61(図3)で濃度検知センサの故障を判断すると(ステップS805/YES)、その検査結果をRAM302(図1)に記録する(ステップS809)(図8)。印刷が開始されると(図9)、RAM302(図1)より濃度検知センサの故障検知結果を読み出し(ステップS901)、故障があった場合には(ステップS902/YES)、その印刷ジョブが画質優先であれば(ステップS904/YES)、印刷をキャンセルし(ステップS906)、そうでなければ(ステップS904/NO)、印刷を開始する(ステップS905)。
【0052】
本実施形態によれば、故障した濃度検知センサ以外で濃度検知を行った結果、通常の動作より画質が低下する恐れがある場合でも、印刷ジョブから判断して画質の劣る画像の出力を防ぐことができる。
【0053】
(実施形態3)
次に、第3の実施形態について説明する。図10は、本実施形態の印刷処理の流れを示したフローチャートである。濃度検知センサの故障検知と、故障の記憶は第2の実施形態(図8)の内容と同じである。
【0054】
印刷が開始されると(図10)、RAM302(図1)よりセンサの故障検知結果を読み出し(ステップS1001)、故障があった場合には(ステップS1002/YES)、オペレーションパネルに印刷を継続するか否かの選択を促す表示を出力する(ステップS1003)。ユーザーがキャンセルを選択すれば印刷を中止し(ステップS1004/NO)、継続を選択すれば(ステップS1004/YES)、印刷を行う(ステップS1005)。
【0055】
本実施形態によれば、故障した濃度検知センサ以外で濃度検知を行った結果、通常の動作より画質が低下する恐れがある場合でも、ユーザーが求める画質によって印刷の可否を選ぶことができる。
【0056】
(実施形態4)
次に、第4の実施形態について説明する。図11は、本実施形態の印刷処理の流れを示したフローチャートである。第1の実施形態と濃度検知センサの故障検知および故障検知後の調整動作は同じである。本実施形態では、濃度調整が終了したとき(ステップS1101)、その調整動作において故障を検知したか否かを判定し(ステップS1102)、故障を検知していたときのみ(ステップS1102/YES)テスト印刷を行う(ステップS1103)。
【0057】
その後、オペレーションパネルに印刷を継続するか否かの選択を促す表示を出力し(ステップS1104)、ユーザーの選択を待つ(ステップS1105)。印刷継続を選択すれば(ステップS1105/YES)、調整動作をそのまま終了する。一方、印刷継続を選ばない場合は(ステップS1105/NO)、印刷中止状態に移行(ステップS1106)して調整動作を終了する。
【0058】
本実施形態によれば、故障した濃度検知以外で濃度検知を行った結果、通常の動作より画質が低下する恐れがある場合でも、ユーザーが実際の画質を確認して印刷の可否を選ぶことができる。
【0059】
(実施形態5)
次に、第5の実施形態について説明する。図12は、本実施形態の印刷処理の流れを示したフローチャートである。濃度調整結果は、調整毎にNVRAM310(図1)に保存しておく。故障検知と、故障の記憶は第2の実施形態(図8)の内容と同じである。
【0060】
故障前後の調整結果を比べるためのテスト印刷モードが用意され、テスト印刷が開始されると、NVRAM310(図1)より故障前後の調整結果を読み出し、故障前の濃度調整結果を用いたテスト印刷と、故障後の濃度調整結果を用いたテスト印刷を行う(ステップS1203)。その後、オペレーションパネルに、どちらの調整結果のパラメータで印刷を継続するかの選択を促す表示を出力し(ステップS1204)、故障検知後のパラメータを選択すれば(ステップS1205/YES)、故障検知後の調整結果によりパラメータ設定を行う(ステップS1206)。故障検知前のパラメータを選択すれば(ステップS1205/NO)、故障検知前の調整結果によりパラメータ設定を行う(ステップS1207)。その後の印刷動作は、ユーザーが選択した調整結果を用いて印刷を行う。
【0061】
本実施形態によれば、故障した濃度検知以外で濃度検知を行った結果、通常の動作より画質が低下する恐れがある場合でも、ユーザーが実際の画質を確認して印刷に用いる調整結果を選択することができる。
【0062】
(実施形態6)
次に、第6の実施形態について説明する。図13は、本実施形態の印刷処理の流れを示したフローチャートである。濃度調整結果は、調整毎にNVRAM310(図1)に保存しておく。故障検知と、故障の記憶は第2の実施形態(図8)の内容と同じである。
【0063】
故障前後の調整結果を比べるためのテスト印刷モードが用意され、テスト印刷が開始されると、NVRAM310(図1)より故障前後の調整結果を読み出し、故障前の濃度調整結果を用いたテスト印刷と、故障後の濃度調整結果を用いたテスト印刷を行う。その後、オペレーションパネルに、どちらの調整結果のパラメータで印刷を継続するかの選択を促す表示を出力する。調整結果の選択後(ステップS1302)、ユーザーの識別子の入力を促す表示をオペレーションパネルに出力する(ステップS1303)。
【0064】
次に、調整結果の選択内容と、ユーザーの識別子を図14で示すように関連付けを行い(ステップS1304)、NVRAM310(図1)に保存する。次回の印刷からは、この関連付け結果をユーザー毎にNVRAM310(図1)から読み込み、印刷に使うパラメータ設定を切り替える。
【0065】
本実施形態によれば、故障した濃度検知以外で濃度検知を行った結果、通常の動作より画質が低下する恐れがある場合でも、ユーザー毎に実際の画質を確認して印刷に用いる濃度調整結果を選択することができる。
【0066】
(実施形態7)
次に、第7の実施形態について説明する。図15および図16は、本実施形態の印刷処理の流れを示したフローチャートである(作像部の機械構成については図2を用いて説明する)。まず、間接転写方式における濃度調整(ステップS1501/NO)について説明する。間接転写ベルトz9上の濃度検知センサ(間接転写用)z20が故障したときは(ステップS1511/YES)、再度、間接転写ベルトz9にトナーパターンを転写し(ステップS1512)、その後、直接転写ベルトz3にトナーパターンを移し(ステップS1513)、濃度検知センサ(直接転写用)z21による濃度検知を行う(ステップS1514)。当該検知結果を元に調整動作を行う(ステップS1515)。
【0067】
次に直接転写方式における濃度調整(ステップS1501/YES)について述べる。直接転写ベルトz3上の濃度検知センサ(直接転写用)z21の故障を検知したときは(ステップS1505/YES)、RAM302(図1)に”印刷中断”を保存し(ステップS1507)、調整を終了する。これは、直接転写ベルトz3から間接転写ベルトz7への転写が、通常と逆の転写動作になるため、調整動作の品質保証が困難である事による。
【0068】
RAM302(図1)に”印刷中断”を保存後の印刷要否の判断は、図16に記載の通りである。まず、RAM302(図1)から印刷中断の有無の読み出しを行い(ステップS1601)、印刷中断の要否判断を行う(ステップS1602)。印刷中断を選択すれば(ステップS1602/YES)、印刷をキャンセルする(ステップS1604)。印刷中断を選択しなければ(ステップS1602/NO)、印刷を開始する(ステップS1603)。
【0069】
本実施形態によれば、故障した濃度検知センサ以外のセンサで濃度検知を行うときの転写方向により、故障前の調整結果より画質が落ちる可能性がある場合でも、画質の落ちた状態での出力を防ぐことができる。
【0070】
上述した実施形態は以下のようにすることもできる。
【0071】
本実施形態の画像形成装置は、故障検知手段が故障を検知した場合、高画質を求める印刷ジョブであれば印刷を中止し、高画質を求めない印刷ジョブであれば印刷を継続することを特徴とする。
【0072】
本実施形態の画像形成装置は、故障検知手段が故障を検知した場合、印刷ジョブごとに印刷継続の要否を選択することができることを特徴とする。
【0073】
本実施形態の画像形成装置は、第1の転写ベルトに転写されたトナーパターンを第2の転写ベルトに転写し、第2のセンサによってトナー濃度調整を行った場合、トナー濃度調整の結果により第1のセンサの故障前後の調整結果を比べるテスト印刷を行い、テスト印刷の結果により印刷継続の要否を選択することができることを特徴とする。
【0074】
本実施形態の画像形成装置は、故障検知手段が前記第2のセンサの故障を検知した場合、印刷継続の要否を選択することができることを特徴とする。
【0075】
本実施形態の画像形成装置は、故障検知手段による故障検知前後のトナー濃度調整結果の記憶が可能である故障検知結果記憶手段を有し、故障検知結果記憶手段に記憶された故障検知前後のトナー濃度調整結果によりテスト印刷を行い、テスト印刷の結果により故障検知前後のいずれのトナー濃度調整結果を用いて印刷を実行するか選択できることを特徴とする。
【0076】
本実施形態の画像形成装置は、テスト印刷の結果により故障検知前後のいずれのトナー濃度調整結果を用いて印刷を実行するかについてのユーザーごとの選択結果が保存可能であることを特徴とする。
【0077】
本実施形態の画像形成装置は、直接転写方式による転写手段と、接転写ベルト上の基準トナーパターン検知手段と、間接転写方式による転写手段と、間接転写ベルト上の基準トナーパターン検知手段と、基準トナーパターン検知手段の故障検知手段と、基準トナーパターンを中間転写から直接転写ベルトもしくは直接転写から中間転写ベルトに転写する転写手段と、を備え、いずれかの転写ベルト上の基準トナーパターン検知手段の故障を検知したとき、もう一方の転写ベルト上へ基準トナーパターンを移し、故障していない基準トナーパターン検知手段を利用して、トナー濃度を調整することを特徴とする。
【0078】
本実施形態の画像形成装置は、一方のトナーパターン検知手段が故障したことを記録しておき、画質重視の印刷ジョブであれば、故障検知後は印刷動作を止めることができることを特徴とする。
【0079】
本実施形態の画像形成装置は、一方のトナーパターン検知手段が故障したことを記録しておき、印刷ジョブごとに、印刷を継続するか否かをユーザーが選択することができることを特徴とする。
【0080】
本実施形態の画像形成装置は、基準トナーパターン検知手段の故障を検知し、別の基準トナーパターン検知手段で調整した後、別の基準トナーパターン検知手段で調整した結果を用いたテスト印刷を出力し、以降の印刷を継続するか否かをユーザーが選ぶことができることを特徴とする。
【0081】
本実施形態の画像形成装置は、濃度調整毎に調整結果を不揮発メモリに記録し、基準トナーパターン検知手段の故障を検知し、別の基準トナーパターン検知手段で調整した後、テスト印刷モードにおいて、別の基準トナーパターン検知手段で調整した結果を用いたテスト印刷と、不揮発メモリに記録した故障検知前の調整結果によるテスト印刷を出力し、どちらの調整結果を使って印刷を実行するかをユーザーが切り替えることができることを特徴とする。
【0082】
本実施形態の画像形成装置は、故障検知後の調整動作結果を使用するか、不揮発メモリに記録した調整結果を使用するかを選択した結果が、ユーザーごとに保存できることを特徴とする。
【0083】
本実施形態の画像形成装置は、故障したトナーパターン検知手段の位置によって、以降の印刷を継続するか否かを設定可能であることを特徴とする。
【0084】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体的に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
z1 定着ローラ
z2 二次転写ユニット
z3 直接転写ベルト
z4 転写ユニット
z5 直接転写ベルト駆動ローラ
z6 レジストローラ
z7 間接転写ベルト駆動ローラ
z8 一次転写ユニット
z9 間接転写ベルト
z11 Yドラム
z12 Mドラム
z13 Cドラム
z14 Kドラム
z15 二次転写ローラ
z20 濃度検知センサ(間接転写用)
z21 濃度検知センサ(直接転写用)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特開2007−322745号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーパターンを転写する第1の転写ベルトのトナー濃度を検知し、前記トナー濃度に応じて出力する第1のセンサと、
トナーパターンを転写する第2の転写ベルトのトナー濃度を検知し、前記トナー濃度に応じて出力する第2のセンサと、
画像濃度の変動を修正して画像濃度が安定するようにトナーの濃度を制御するトナー濃度調整手段と、
前記第1のセンサの出力に基づいて前記第1のセンサが故障しているか否かを判断する故障検知手段と、を有し、
前記故障検知手段が前記前記第1のセンサの故障を検知した場合、
前記第1の転写ベルトに転写された前記トナーパターンを前記第2の転写ベルトに転写し、前記第2のセンサによって前記トナー濃度調整を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記故障検知手段が故障を検知した場合、
高画質を求める印刷ジョブであれば印刷を中止し、高画質を求めない印刷ジョブであれば印刷を継続することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記故障検知手段が故障を検知した場合、
印刷ジョブごとに印刷継続の要否を選択することができることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の転写ベルトに転写された前記トナーパターンを前記第2の転写ベルトに転写し、前記第2のセンサによって前記トナー濃度調整を行った場合、
前記トナー濃度調整の結果により前記第1のセンサの故障前後の調整結果を比べるテスト印刷を行い、前記テスト印刷の結果により印刷継続の要否を選択することができることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記故障検知手段が前記前記第2のセンサの故障を検知した場合、
印刷継続の要否を選択することができることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記故障検知手段による故障検知前後の前記トナー濃度調整結果の記憶が可能である故障検知結果記憶手段を有し、
前記故障検知結果記憶手段に記憶された前記故障検知前後の前記トナー濃度調整結果により前記テスト印刷を行い、
前記テスト印刷の結果により前記故障検知前後のいずれの前記トナー濃度調整結果を用いて印刷を実行するか選択できることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記テスト印刷の結果により前記故障検知前後のいずれの前記トナー濃度調整結果を用いて印刷を実行するかについてのユーザーごとの選択結果が保存可能であることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナーパターンを転写する第1の転写ベルトのトナー濃度を検知し、第1のセンサが前記トナー濃度に応じて出力するステップと、
トナーパターンを転写する第2の転写ベルトのトナー濃度を検知し、第2のセンサが前記トナー濃度に応じて出力するステップと、
画像濃度の変動を修正して画像濃度が安定するようにトナーの濃度を制御するトナー濃度調整ステップと、
前記第1のセンサの出力に基づいて前記第1のセンサが故障しているか否かを判断する故障検知ステップと、
前記故障検知手段が前記前記第1のセンサの故障を検知した場合、
前記第1の転写ベルトに転写された前記トナーパターンを前記第2の転写ベルトに転写し、前記第2のセンサによって前記トナー濃度調整を行うステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−63621(P2012−63621A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208413(P2010−208413)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】