説明

画像形成装置、画像補正方法、画像補正プログラムおよび画像形成システム

【課題】印字ムラの低減のための補正処理に際して、補正処理に係る処理量の増大を抑えつつ、良好な補正効果を得る。
【解決手段】記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、該補正手段は、補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置で補正領域を分割し、それぞれの領域区切り位置で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像補正方法、画像補正プログラムおよび画像形成システムに関する。さらに詳述すると、インクジェット方式による画像形成における印字ムラの低減に好適な画像形成装置、画像補正方法、画像補正プログラムおよび画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ(印刷装置)、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(以下、インクともいう)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッド(以下、ヘッドともいう)を含む装置を用いて、被記録媒体(以下、用紙ともいうが材質を限定するものではなく、また、記録媒体、媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する)を搬送しながら、液体としての記録液を用紙に付着させて画像形成(以下、記録、印刷、印写、印字も同義で使用する)を行なう、いわゆるインクジェット方式の画像形成装置がある。
【0003】
インクジェット方式の画像形成装置は、高速記録可能で、いわゆる普通紙に特別の定着処理を要せずに記録でき、また、記録時の動作音が非常に小さい等の利点があり、オフィス用等として注目され、従来から種々の方式が提案され、実用化されている。
【0004】
インクジェット方式による画像形成は、インク液室と、それに連通したノズルが形成された記録ヘッドを用いて、インク液室内のインクに画像情報に応じて、圧力を加えることにより、インク小滴をノズルから吐出させ、紙やフィルムなどの被記録媒体に付着させることにより実現される。非接触で画像形成するため、さまざまな被記録媒体に記録が行えるという特徴がある。
【0005】
ところで、インクジェット方式の画像形成装置の抱える課題として、印字のムラ(以下、印字ムラ、色ムラ、ムラともいう)についての問題が知られている。印字ムラの原因としては種々のものが知られているが、特に、インクジェットヘッドのインク吐出特性のばらつきが問題となることが知られている。
【0006】
インクジェットヘッドは、複数のノズルを有し、ノズルに連通する液室に圧力を加えてインクを吐出させるが、個々のノズル性能について、製造上、多少のばらつきが生じ得ることは不可避であるため、インクの吐出特性は必ずしも同じになるとは限らない。ここで、「吐出特性(単に、特性ともいう)」とは、例えば、インク液滴の大きさ、速さ、着弾位置、形状等をいい、これらによって記録用紙上でのインクの被覆の仕方が変わるため、印字ムラを生じてしまう。
【0007】
また、近年、画像形成装置は、さらに高速化高画質化が要求されており、この要求を満たすため、1ヘッドあたりのノズル数(ヘッドの長尺化、ノズル形成密度)は、ますます増加する傾向にある。ノズル数やノズル形成密度が増加すれば、それに連れて不良ノズルの発生数も増加するため、上記の吐出特性のバラツキについての問題は、益々重要となっている。
【0008】
上記問題について、例えば、特許文献1には、濃度ムラによるバンディング現象(用紙の送り誤差やヘッドのガタツキ等の種々の要因からスキャンのつなぎ部のドット着弾位置がずれてスジ状の画像障害が生じる現象)を軽減することを目的として、ノズルごとに入出力の補正をかける(吐出するドットの数を補正する)ことにより、ヘッドの特性を補正する印刷装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のように、インクジェットヘッドのノズル数は、ヘッドの長尺化および高密度化に伴い、増大傾向にある。また、色域向上、高速化、解像度向上等のために多くのヘッドを搭載する画像形成装置も開発されており、管理しなければならないノズル数は膨大となる。
【0010】
さらに、例えば、ベタ付近では、もともとほとんど紙面がインクで埋まっているために多少ドット径が変わっても色味は変化しにくいが、ハイライトからミドル(ベタとハイライトの中間をいう)では、紙面が埋まりきっていないため、色味が変わりやすいなどの問題がある。すなわち、同じノズルであっても、階調によって補正係数(補正パラメータ、色の補正量)が異なる場合があり、一律な係数では補正できない場合がある。特に、複数の滴種(大滴、中滴、小滴等)を扱う多値のインクジェットプリンタでは、滴種によって特性が異なる場合、例えば、中滴は同じだが、大滴は大きさが異なるなどの場合もあるため、この問題が顕著になる。
【0011】
以上をすべて考慮すると、「ヘッド数(複数のヘッドを有する場合)×ノズル数×階調数」の数だけ補正パラメータを用意し、これを適用することが必要となる。例えば、補正パラメータを画像印刷結果から測定して作成するようにすると、「ヘッド数×ノズル数×階調数」分の画像を出力測定して作成する必要があることとなってしまう。このような制御を行うようにすると、全てのノズルの吐出特性を取得するための構成や、多量のパラメータを記憶、適用するための構成を必要とし、製品の高コスト化、処理速度の低下等に繋がることとなる。
【0012】
この問題に対し、補正する単位(補正単位)を広くすること、すなわち、複数のノズルを一単位(領域)として捉え、ノズル領域ごとにまとめて補正パラメータを適用して、補正を行うことが考えられる。
【0013】
これにより、パラメータ生成のための測定点や、補正パラメータ数を大幅に低減することが可能となる。しかしながら、単に、補正単位を大きくすることは、補正効果の減少に繋がることとなってしまう。例えば、補正領域の境界部において色変化のギャップ(差)が生じたり、印字パターンの切り替えが目立ったりすることが考えられ、印字ムラを十分に解消できないこととなる。
【0014】
そこで本発明は、印字ムラの低減のために、いくつかの補正領域に分割して補正を行う補正処理に際して、補正領域を最適な色ムラ補正効果を得られるように分割することにより、良好な補正効果を得ることができる画像形成装置、画像補正方法、画像補正プログラムおよび画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置は、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、該補正手段は、補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置で補正領域を分割し、それぞれの領域区切り位置で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置を決定するものである。
【0016】
また、請求項2に記載の画像形成装置は、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、該補正手段は、補正領域の分割に際し、異なる分割数で補正領域を分割し、それぞれの分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する分割数を決定するものである。
【0017】
また、請求項3に記載の画像形成装置は、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、該補正手段は、補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置および異なる分割数で補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置および分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置および分割数を決定するものである。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、補正領域について、異なる領域区切り位置および/または異なる分割数について考えられるすべての組み合わせについての補正効果を算出するものである。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、異なる領域区切り位置および/または異なる分割数について算出したすべての補正効果のうち、最も補正効果の高くなる領域区切り位置、および/または分割数により補正領域を分割するものである。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、異なる領域区切り位置および/または異なる分割数について補正効果を順に算出していき、所定条件を満たす補正効果を算出した領域区切り位置および/または分割数を検出次第、該領域区切り位置および/または分割数により補正領域を分割するものである。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、補正手段は、異なる分割数について補正効果を順に算出する際に、分割数を少ないものから順に補正効果を算出していくものである。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の画像形成装置において、所定条件を満たす補正効果を算出した領域区切り位置および/または分割数を検出しない場合は、算出したうちの最も補正効果の高い領域区切り位置および/または分割数により補正領域を分割するものである。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から8までのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、決定した領域区切り位置および/または分割数における補正効果が所定条件を満たさない場合に、その旨を当該装置の外部に通知する通知手段を備えるものである。
【0024】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1から9までのいずれかに記載の画像形成装置において、補正効果は、明度、濃度、彩度、または輝度のいずれか、またはその組み合わせからなる画像特性情報を基準に判断されるものである。
【0025】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、画像パッチを印字出力する出力手段と、画像パッチを読み取る読取手段と、を備え、読取手段により、画像特性情報を取得するものである。
【0026】
また、請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の画像形成装置において、補正効果は、補正後の画像特性情報の分散、ばらつき幅、平均値に基づく総和または二乗平均平方根、微分情報の少なくとも1つに基づいて判断されるものである。
【0027】
また、請求項13に記載の発明は、請求項1から12までのいずれかに記載の画像形成装置において、補正手段は、画像データの階調値を変更する階調補正、および/または、各補正領域に相当するノズルの駆動信号を変更する駆動信号補正により、補正領域ごとに入出力特性を補正するものである。
【0028】
また、請求項14に記載の発明は、請求項1から13までのいずれかに記載の画像形成装置において、入出力特性の補正、領域区切り位置、分割数のうちの少なくともいずれか1つを、当該装置の印刷モードに応じて変更するものである。
【0029】
また、請求項15に記載の発明は、請求項1から14までのいずれかに記載の画像形成装置において、当該装置の温湿度環境を検知する温湿度センサを備え、入出力特性の補正、領域区切り位置、分割数のうちの少なくともいずれか1つを、温湿度センサによる検知結果に応じて変更するものである。
【0030】
また、請求項16に記載の発明は、請求項1から15までのいずれかに記載の画像形成装置において、記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた繋ぎ記録ヘッドを備え、該繋ぎ記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直行方向に相対移動することによって画像形成するものである。
【0031】
また、請求項17に記載の発明は、請求項1から15までのいずれかに記載の画像形成装置において、記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた記録ヘッドユニットを備え、該記録ヘッドユニットのノズル列と直行方向に記録媒体を搬送することで画像形成するものである。
【0032】
また、請求項18に記載の発明は、請求項16または17に記載の画像形成装置において、記録ヘッドごとに、入出力特性の補正、領域区切り位置、分割数のうちの少なくともいずれか1つを変更するものである。
【0033】
また、請求項19に記載の画像補正方法は、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置における画像補正方法において、記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理を行い、該補正処理における補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置、および/または、異なる分割数で補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置、および/または、分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置、および/または、分割数を決定するようにしている。
【0034】
また、請求項20に記載の画像補正プログラムは、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置に実行させる画像補正プログラムにおいて、記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理を実行させ、該補正処理における補正領域の分割は、異なる領域区切り位置、および/または、異なる分割数で補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置、および/または、分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置、および/または、分割数を決定するものである。
【0035】
また、請求項21に記載の画像形成システムは、記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置と、該画像形成装置を制御する画像処理装置と、を備えた画像形成システムにおいて、画像処理装置は、画像形成装置が記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する際に、異なる領域区切り位置、および/または、異なる分割数で補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置、および/または、分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置、および/または、分割数を決定し、該決定内容に基づいて画像形成装置を制御するものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、印字ムラの低減のための補正処理に際して、補正処理に係る処理量の増大を抑えつつ、良好な補正効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態における構成の一例を示す側面図である。
【図2】画像形成装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】記録ヘッドの一例を示す断面図(液室長手方向)である。
【図4】記録ヘッドの一例を示す断面図(液室短手方向)である。
【図5】制御部の概要を示すブロック図である。
【図6】印刷制御部の一例を示すブロック図である。
【図7】印刷制御部の駆動波形生成部で生成出力される駆動波形の一例を示す説明図である。
【図8】印刷制御部の駆動波形生成部で生成出力される駆動波形のうち、小滴、中滴、大滴を形成する場合、及び微駆動の場合に選択される駆動パルスをそれぞれ示す説明図である。
【図9】記録液の粘度による駆動波形の違いを示す説明図である。
【図10】画像形成装置が構成する画像形成システムの一例を示すブロック説明図である。
【図11】画像形成装置が構成する画像形成システムにおける、画像処理装置の一例を示すブロック説明図である。
【図12】画像処理部を概略的に示すブロック図である。
【図13】色ムラのないヘッドによる画像形成例を示す説明図である。
【図14】色ムラのあるヘッドによる画像形成例を示す説明図である。
【図15】色ムラの発生例を示す説明図であって、(a)均一な着弾、(b)ドット径や着弾形状のばらつき、(c)着弾位置のばらつき、(d)サテライトばらつき、の例である。
【図16】出力階調による着弾変化を示す説明図であって、(a)高階調、(b)中階調、(c)低階調、の例である。
【図17】記録周波数による着弾変化を示す説明図であって、(a)高記録周波数、(b)中記録周波数、(c)低記録周波数、の例である。
【図18】滴種による着弾変化を示す説明図であって、(a)大滴、(b)中滴、(c)小滴、の例である。
【図19】(a)ヘッド位置と明度との関係を示すグラフ、(b)領域分割して補正を行った場合のヘッド位置と明度との関係を示すグラフである。
【図20】補正領域の分割数を(a)分割なし、(b)2分割、(c)3分割、(d)4分割、(e)5分割とした場合のヘッド位置と明度との関係を示すグラフである。
【図21】(a)分割位置の違いによる補正効果の違いを説明するためのグラフ、(b)領域分割された記録ヘッドの模式図である。
【図22】分割位置を可変とする補正領域分割処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】分割位置を可変とする補正領域分割処理の他の例を示すフローチャートである。
【図24】補正領域数を可変とする補正領域分割処理の一例を示すフローチャートである。
【図25】補正領域数を可変とする補正領域分割処理の他の例を示すフローチャートである。
【図26】補正領域数および分割位置を可変とする補正領域分割処理の一例を示すフローチャートである。
【図27】補正領域数および分割位置を可変とする補正領域分割処理の他の例を示すフローチャートである。
【図28】階調補正処理において出力される階調パッチの模式図である。
【図29】領域毎の階調特性と目標特性との関係を示すグラフの一例である。
【図30】階調補正処理の一例を示すフローチャートである。
【図31】ヘッドをノズル列方向に複数個繋いだ繋ぎヘッドの説明図である。
【図32】繋ぎヘッドにおける色ムラ発生についての説明図である。
【図33】ヘッドをノズル列方向に複数個繋いだラインヘッドの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る構成を図1から図33に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0039】
<第1の実施形態>
(画像形成装置の構成)
図1及び図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す図であり、図1は機構部の全体構成の側面説明図、図2は同機構部の平面説明図である。
【0040】
画像形成装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、記録ヘッド走査手段として、主走査モータ4で駆動プーリ6Aと従動プーリ6Bとの間に張架したタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。キャリッジ3には、例えば、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる4個の記録ヘッド7y、7c、7m、7k(色を区別しないときは「記録ヘッド7」という)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8にはインク供給チューブ9を介して図示しないメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0041】
記録ヘッド7を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、色毎に独立したヘッド構成に限るものではなく、複数の色の液滴を吐出する複数のノズルで構成されるノズル列を有する1又は複数の液体吐出ヘッドで構成することもできる。
【0042】
一方、給紙カセット10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
【0043】
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送する搬送手段として、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された押さえコロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
【0044】
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2のベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト21の裏面側には記録ヘッド7による画像形成領域に対応してガイド部材29を配置している。また、帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置されている。
【0045】
また、図2に示すように、搬送ローラ27の軸には、スリット円板34を取り付け、このスリット円板34のスリットを検知するセンサ35を設けて、これらのスリット円板34及びセンサ35によってロータリエンコーダ36を構成している。
【0046】
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
【0047】
また、背部には両面給紙ユニット61が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット61は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
【0048】
さらに、図2に示すように、キャリッジ3の走査方向の一方側の非印字領域には、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構56を配置している。この維持回復機56は、記録ヘッド7の各ノズル面をキャピングするための各キャップ57と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード58と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行なうときの液滴を受ける空吐出受け59などを備えている。
【0049】
このように構成した画像形成装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて押さえコロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ26に対して正負が交互に繰り返す交番電圧を印加して、搬送ベルト21を交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが交互に所定の幅で繰り返されるパターンで帯電させる。この帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0050】
そこで、キャリッジ3を往路及び復路方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行なう。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
【0051】
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベルト21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
【0052】
また、印字待機中にはキャリッジ3は維持回復機構56側に移動されて、キャップ57で記録ヘッド7のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ57で記録ヘッド7をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド7のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード58でワイピングを行なう。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行なう。これによって、記録ヘッド7の安定した吐出性能を維持する。
【0053】
また、画像形成装置は、後述するように、センサ、スキャナ、測色計等の画像光学特性を取得可能な手段(読取手段)備えることが好ましい。さらに、画像形成装置は、画像形成装置の装置環境(温湿度)を検知するための温湿度センサ(不図示)を備えることが好ましい。
【0054】
(記録ヘッドの構成)
次に、記録ヘッド7を構成している液体吐出ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
【0055】
この液体吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び圧力発生室である液室106、液室106に流体抵抗部(供給路)107を通じてインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
【0056】
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0057】
さらに、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル126を接続している。
【0058】
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0059】
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
【0060】
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
【0061】
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。
【0062】
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
【0063】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
【0064】
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0065】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0066】
(制御部の構成)
次に、画像形成装置の制御手段としての制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM)204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
【0067】
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのホストI/F206と、記録ヘッド7を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部207と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド7を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ4及び副走査モータ31を駆動するためのモータ駆動部210と、帯電ローラ26にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、エンコーダセンサ35からの各検出信号、環境温度を検出する温度センサ215などの各種センサからの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル214が接続されている。
【0068】
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の画像(情報)処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの画像データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F206で受信する。
【0069】
そして、制御部200のCPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ない、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は後述するようにホスト側のプリンタドライバで行なっても良い。
【0070】
また、CPU201は、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ35からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ4に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ4を駆動する。同様に、ロータリエンコーダ36を構成するエンコーダセンサ35からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ31に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介しモータドライバを介して副走査モータ31を駆動する。また、CPU201は、後述するように、画像形成装置の各ブロックと協働して、補正手段240として機能する。
【0071】
印刷制御部207は、上述した画像データをシリアルデータでヘッドドライバ208に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッドドライバ208に出力する。
【0072】
また、印刷制御部207は、ROM202に格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバ208に与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ208に対して出力する。
【0073】
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド7の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0074】
(印刷制御部・ヘッドドライバの構成)
次に、印刷制御部207及びヘッドドライバ208の一例について、図6を参照して説明する。印刷制御部207は、上述したように、1印刷周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部301と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部302とを備えている。
【0075】
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ208の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ315の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき波形でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
【0076】
ヘッドドライバ208は、データ転送部302からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/CH)を入力するシフトレジスタ311と、シフトレジスタ311の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路312と、階調データと制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ313と、デコーダ313のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ315が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ314と、レベルシフタ314を介して与えられるデコーダ313の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ315と、を備えている。
【0077】
アナログスイッチ315は、各圧電素子121の選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部301からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と制御信号MN0〜MN3をデコーダ313でデコードした結果に応じてアナログスイッチ315がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子121に印加される。
【0078】
(記録液)
次に、この画像形成装置において使用する記録液であるインクについて説明する。本実施形態に係る画像形成装置では、例えば、顔料、水溶性有機溶剤、炭素数8以上のポリオールまたはグリコールエーテル、および水を少なくとも含んでなるインク構成を用いることにより、普通紙上へ印字した場合でも,(1)良好な色調(十分な発色性,色再現性を有する)、(2)高い画像濃度、(3)文字・画像にフェザリング現象やカラーブリード現象のない鮮明な画質、(4)両面印刷にも耐え得るインク裏抜け現象の少ない画像、(5)高速印刷に適した高いインク乾燥性(定着性)、(6)耐光性,耐水性などの高い堅牢性を有した高画質画像を達成することができ、画像濃度、発色性、色再現性、文字にじみ、色境界にじみ、両面印刷性、定着性等を大幅に改善することができる。
【0079】
このようなインクを使用する場合に好ましい駆動波形の一例について、図7及び図8を参照して説明する。
【0080】
駆動波形生成部301からは1印刷周期(1駆動周期)内に、図7に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立下り後の状態から立ち上がる波形要素などで公正される、8個の駆動パルスP1ないしP8からなる駆動信号(駆動波形)を生成して出力する。一方、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって使用する駆動パルスを選択する。
【0081】
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、これによって圧電素子121が収縮して加圧液室106の容積が膨張する引き込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、これによって圧電素子121が伸長して加圧液室106の容積が収縮する加圧波形要素である。
【0082】
そして、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって、小滴(小ドット)を形成するときには図8(a)に示すように駆動パルスP1を選択し、中滴(中ドット)を形成するときには図8(b)に示すように駆動パルスP4ないしP6を選択し、大滴(大ドット)を形成するときには図8(c)に示すように駆動パルスP2ないしP8を選択し、微駆動の(滴吐出を伴わないでメニスカスを振動させる)ときには図8(d)に示すように微駆動パルスP2を選択して、それぞれ記録ヘッド7の圧電素子121に印加させるようにする。
【0083】
中滴を形成する場合、駆動パルスP4にて1滴目、駆動パルスP5にて2滴目、駆動パルスP6にて3滴目を吐出させ、飛翔中に合体させて一滴として着弾させる。このとき、圧力室(液室106)の固有振動周期をTcとすると、駆動パルスP4とP5の吐出タイミングの間隔は2Tc±0.5μsが好ましい。駆動パルスP4とP5は、単純引き打ち波形要素で構成されているため、駆動パルスP6も同様の単純引き打ち波形要素にするとインク滴速度が大きくなりすぎてしまい、他の滴種の着弾位置からずれてしまうおそれがある。そこで、駆動パルスP6は、引き込み電圧を小さくする(立下りの電位を少なくする)ことでメニスカスの引き込みを小さくし、3滴目のインク滴速度を抑えている。ただし、必要なインク滴体積をかせぐために立ち上げ電圧は小さくしない。
【0084】
つまり、複数の駆動パルスのうちの最終駆動パルスの引き込み波形要素では引き込み電圧を相対的に小さくすることによって、当該最終駆動パルスによる滴吐出速度を相対的に小さくして、着弾位置を他の滴種と極力合わせるようにすることができる。
【0085】
また、微駆動パルスP2とは、ノズルのメニスカスの乾燥を防ぐため、インク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる駆動波形である。非印字領域ではこの微駆動パルスP2が記録ヘッド7に印加される。また、この微駆動波形である駆動パルスP2を、大滴を構成する駆動パルスの一つとして利用することにより、駆動周期の短縮化(高速化)を達成することができる。
【0086】
さらに、微駆動パルスP2と駆動パルスP3の吐出タイミングの間隔を、固有振動周期Tc±0.5μsの範囲内に設定することにより、駆動パルスP3によって吐出するインク滴の体積をかせぐことができる。つまり、微駆動パルスP2によって生じた振動周期によって加圧液室106の圧力振動に駆動パルスP3による加圧液室6の膨張を重畳させることによって駆動パルスP3で吐出できる滴の滴体積を駆動パルスP3単独で印加する場合よりも大きくすることができる。
【0087】
なお、インクの粘度によって必要な駆動波形が異なることから、この画像形成装置においては、図9に示すように、インク粘度が5mPa・sのときの駆動波形、同じく粘度が10mPa・sのときの駆動波形、同じく20mPa・sのときの駆動波形をそれぞれ用意し、温度センサからの検出温度からインク粘度を判定して、使用する駆動波形を選択するようにしている。
【0088】
つまり、インク粘度が小さいときは駆動パルスの電圧を相対的に小さく、インク粘度が大きいときは駆動パルスの電圧を相対的に大きくすることにより、インク粘度(温度)によらずインク滴の速度及び体積を略一定に吐出させることができる。また、駆動パルスは、インク粘度に合わせて波高値を選択することにより、インク滴を吐出させることなくメニスカスを振動させることができる。
【0089】
このような駆動パルスから構成される駆動波形を使用することによって、大中小の各滴が用紙に着弾するまでの時間を制御することができ、吐出開始の時間が大中小の各滴で異なっても、各滴をほぼ同じ位置に着弾させることが可能となる。
【0090】
(画像形成システムの構成)
次に、画像形成装置に接続された画像処理装置に記憶された画像形成プログラムを実行して、画像形成装置により印刷画像を出力する画像形成システムの一実施形態について図10を参照して説明する。画像形成システムは、パーソナルコンピュータ(PC)などからなる1又は複数台の画像処理装置400と、インクジェットプリンタ(画像形成装置)500とが、所定のインタフェース又はネットワークで接続されて構成されている。
【0091】
画像処理装置400は、図11に示すように、CPU401と、メモリ手段である各種のROM402やRAM403とが、バスラインで接続されている。このバスラインには、所定のインタフェースを介して、ハードディスクなどの磁気記憶装置を用いた記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCDやCRTなどのモニタ405と、図示しないが、光ディスクなどの記憶媒体を読み取る記憶媒体読取装置が接続され、また、インターネットなどのネットワークやUSBなどの外部機器と通信を行なう所定のインタフェース(外部I/F)407が接続されている。
【0092】
画像処理装置400の記憶装置406には、本発明に係る画像補正プログラムを含む画像処理プログラムが記憶されている。画像処理プログラムは、記憶媒体から記憶媒体読取装置により読み取って、あるいは、インターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。このインストールにより画像処理装置400は、以下のような画像処理を行なうために動作可能な状態となる。なお、画像処理プログラムは、所定のOS上で動作するものであってもよい。また、特定のアプリケーションソフトの一部をなすものであってもよい。
【0093】
なお、以下に説明する画像形成はインクジェットプリンタ側で実施することができるが、この例では、インクジェットプリンタ500側では、装置内に画像の描画又は文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たない例で説明する。すなわち、ホストとなる画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフトなどからのプリント命令は、画像処理装置400内にソフトウェアとして組み込まれたプリンタドライバで画像処理されてインクジェットプリンタ500が出力可能な多値のドットパターンのデータ(印刷画像データ)が生成され、それがラスタライズされてインクジェットプリンタ500に転送され、インクジェットプリンタ500が印刷出力される例で説明する。
【0094】
具体的には、画像処理装置400内では、アプリケーションやオペレーティングシステムからの画像の描画又は文字の記録命令(例えば記録する線の位置と太さと形などを記述したものや、記録する文字の書体と大きさと位置などを記述したもの)は描画データメモリに一時的に保存される。なお、これらの命令は、特定のプリント言語で記述されたものである。
【0095】
そして、描画データメモリに記憶された命令は、ラスタライザによって解釈され、線の記録命令であれば、指定された位置や太さ等に応じた記録ドットパターン(印字データ)に変換され、また、文字の記録命令であれば画像処理装置400内に保存されているフォントアウトラインデータから対応する文字の輪郭情報を呼びだし指定された位置や大きさに応じた記録ドットパターンに変換され、イメージデータであれば、そのまま記録ドットパターンに変換される。
【0096】
その後、これらの記録ドットパターンに対して画像処理を施してラスタデータメモリに記憶する。このとき、画像処理装置400は、直交格子を基本記録位置として、記録ドットパターンのデータにラスタライズする。画像処理としては、例えば色を調整するためのカラーマネージメント処理(CMM)やγ補正処理、ディザ法や誤差拡散法などの中間調処理、さらには下地除去処理、インク総量規制処理などがある。そして、ラスタデータメモリに記憶された記録ドットパターンがインタフェースを経由してインクジェットプリンタ500へ転送されるものである。
【0097】
なお、インクジェットプリンタ500を用いてコピーする場合は、インクジェットプリンタ500で記録ドットパターンに中間調処理などを施す必要があり、その場合、印刷制御部207が、スキャンされた画像データに対し、前述したような処理を行って中間調処理などが行われた記録ドットパターンを生成する。
【0098】
(画像処理部)
本実施形態では、画像形成方法として、記録媒体に対して1回の主走査で画像を形成する、いわゆる1パス印字を用いても良いし、記録媒体の同一領域に対して同一のノズル群あるいは異なるノズル群によって複数回の主走査を行うことで画像を形成する、いわゆるマルチパス印字を用いても良い。また、主走査方向にヘッド7を並べて、同一領域を異なるノズルで打ち分けても良い。これらの記録方法は適宜組み合わせて用いることができる。
【0099】
以下、マルチパス印字について説明する。図12は、本実施形態の画像処理部600を概略的に示すブロック図である。図中、601は入力端子、602は記録バッファ、603はパス数設定部、604はマスク処理部、605はマスクパターンテーブルを示している。
【0100】
画像処理装置400から送信されたビットマップデータ(印字データ)は、入力端子601から入力され、記録バッファ制御部により、記録バッファ602の所定のアドレスに格納される。記録バッファ602は1スキャンと紙送り量分のビットマップデータを格納できる容量を有し、FIFOメモリのような紙送り量単位のリングバッファを構成している。
【0101】
記録バッファ制御部は、記録バッファ602を制御し、1スキャン分のビットマップデータが記録バッファ602に格納されるとプリンタエンジンを起動し、記録ヘッド7の各ノズルの位置に応じて記録バッファ602よりビットマップデータを読み出し、パス数設定部603に入力する。また、記録バッファ制御部は、入力端子601から次回のスキャンのビットマップデータが入力されると、記録バッファ602の空き領域(記録が完了した紙送り量に相当する領域)に格納するように記録バッファ602を制御する。
【0102】
次に、画像形成装置におけるパス数設定部603のより具体的構成例を説明する。パス数設定部603では分割パス数を決定し、そのパス数をマスク処理部604へ出力する。マスクパターンテーブル605では予め格納されているマスクパターンテーブル、例えば、1パス記録、2パス記録、4パス記録、8パス記録のマスクパターンから、必要なマスクパターンを決定された分割パス数に応じて選択し、マスク処理部604に出力する。
【0103】
マスク処理部604は記録バッファ602に格納されているビットマップデータを、マスクパターンを用いてパス記録毎にマスクしてヘッドドライバ208に出力すると、ヘッドドライバ208ではそのマスクされたビットマップデータを記録ヘッド7が用いる順に並び替え、記録ヘッド7に転送する。
【0104】
なお、記録バッファ602は、例えばRAM203で実現され、マスクパターンテーブルは例えばROM202に記憶される。パス数設定部603及びマスク処理部604は、印刷制御部207、印刷制御部207及びCPU201の組み合わせ、又はCPU201のいずれかで実現されうる。記録バッファ制御部はCPU201で実現されうる。
【0105】
(色ムラ発生のメカニズム)
以下、本実施形態に係る画像形成装置による印字ムラ(色ムラ)制御について説明するが、先ず、色ムラ発生のメカニズムについて説明する。なお、本実施形態では、色ムラを表現する特性として明度を用いて説明するが、色ムラとは色の不均一性をいうものであり、例えば、濃度や彩度のような明度以外の特性についても同義である。また、色ムラの差を明度差または色差という。
【0106】
画像形成装置を用いて印字をする場合、仮にヘッド7内のすべてのノズルの吐出特性が均一(色ムラのないヘッド)であれば、図13に示すような色ムラのない均一な画像が形成可能である。しかしながら、ヘッド7内の各ノズルの吐出特性が不均一(色ムラのあるヘッド)である場合、図14に示すように、ヘッド幅の領域内で色ムラが目立ってしまう。なお、図13および図14は、3回の走査(スキャン)を実行することによって、図中右側に示す完成画像700を完成させる場合を模式的に示した説明図である。
【0107】
また、図14に示す色ムラのあるヘッド7を用いた画像形成結果について、1スキャン内での色変化が許容範囲であったとしても、次のスキャンとの境界部分700a,700bでは、色変化のギャップが発生し、画像不具合となってしまう。
【0108】
また、解像度や吐出安定性を高めるためにマルチスキャンにて画像形成をすることがあるが、色ムラのあるヘッド7を用いて、複数回同じ領域をスキャンして画像形成を行うと、色変化を、さらに強調してしまうことに繋がる。
【0109】
次に、色ムラを生じる要因について説明する。例えば、図15(a)に示すように、核ノズルが吐出するドットの大きさおよびその着弾位置が均一の場合は、色ムラは発生しない。一方で、ノズルごとの製造ばらつき等によって、吐出するドットの大きさ、形状、着弾位置等が異なる場合は、図15(b),(c)に示すように、紙面のインク被覆にムラができ、これが色ムラとなる。
【0110】
また、インクジェット方式の画像形成装置では、滴を吐出する際に、吐出中の滴の尾引きなどによって本来吐出したいドットとは別に意図しないドットを形成してしまうことがある(サテライトと呼ばれる)。サテライトの発生を完全に無くすことは難しく、着弾位置も制御不可能なことが多いため、ノズルによって、サテライトの有無や着弾位置にばらつきが出る(図15(d))ことによっても、色ムラを生じることがある。
【0111】
このため、ヘッド7の吐出特性を補正して、各ノズルの吐出特性を均一にし、色ムラを低減することが重要となる。ヘッド7の吐出特性の補正方法としては、例えば、ヘッド7に印加する駆動電圧を調整することで、ドット径を制御し、色ムラを補正する方法が考えられるが、ヘッド内部のような細かい単位について電圧を補正することは難しく、装置の構成を複雑化し、装置のコストアップに繋がってしまう。
【0112】
また、電圧によりドット径を制御する場合、そのノズルの吐出の強さを一律に変えることになるが、色ムラの問題は、出力する階調によって影響の出方が異なる。例えば、図16に示すヘッド7における一部のノズル(図中の領域7aにおけるノズル)が、所望のドット径よりも大きくなってしまうノズルであった場合、図16(a)に示すように、ベタ付近(階調高)においては、すでに紙面がほぼ埋まった状態であるので、紙面のインク被覆量に差は出にくく色ムラは生じにくいが、図16(b),(c)に示すように、ドット形成量の少ない階調(階調中、階調低)においては、ドットの大きさが紙面のインク被覆量につながりやすく色ムラが顕著になりやすい。
【0113】
また、吐出側についても出力するドットの種類や打ち方によってばらつき方が異なることがある。例えば、記録周波数(記録密度)が異なることによりばらつき方が異なることがある。インクジェット方式の画像形成装置では、ヘッド7の液室に圧力を加えることでインクを吐出しているため、同じ大きさの液滴を飛ばすように制御していても、滴の吐出周期によって滴面の振動や液室へのインク供給速度が異なることになり、結果としてドットの吐出特性が吐出周期によって異なるというものである。
【0114】
これにより、例えば、図17(a)〜(c)に示すように、印字データ上は同じドットを形成したとしても、記録周波数が高い場合と、低い場合とで実際の紙面上に着弾するドットには差が出てしまうことがある。
【0115】
また、本実施形態の画像形成装置は、上述のように、例えば、大きさの異なるドット(大滴/中滴/小滴)を打ち分けて、複数種類の多値の液滴を吐出する(図8参照)ため、滴種によってノズル液面の振動の仕方が異なり、滴種によってばらつき方が異なる場合もある。また、ノズル径の異なる複数のノズルを備え、大きさの異なる複数種類の液滴を吐出するヘッドも同様である。このような場合に、特定の滴だけばらつきやすかったりすることも考えられる。図18(a)〜(c)は、滴種によって特性が異なる場合の印字結果の例であって、(b)中滴のみ特性が一部異なる例を示している。
【0116】
このような特性のばらつきがある場合、上記の電圧による補正のように吐出の強さを一律に制御するような補正方法では、階調ごとに異なる特性の差を補正しきれず、一律に吐出強さを補正すると、補正結果が、逆に色ムラを悪化させることにも繋がる。
【0117】
このため、ノズルだけでなく、各ノズルが出力する階調についても色補正をする必要があり(階調補正)、これはγ補正(入出力機器のガンマ値に応じた最適のカーブに画像の階調を補正する)のように入出力特性を補正することが好ましい。
【0118】
しかしながら、上述のように、ノズルごとのような細かい単位で補正を行なうためには、「ヘッド数×ノズル数×階調数」と膨大な数の補正パラメータが必要になる。また、印字モードや装置環境変化によっても、色ムラの出方が異なる場合もあるため、これらも補正するとなるとさらに膨大な数のパラメータが必要になり、装置上に各種の測定器を搭載して、リアルタイムで補正を行なう場合などにおいては、測定用の画像出力枚数や、測定点数や、パラメータの作成数等、補正に要する工数が膨大なものとなってしまう。そこで、全てのノズルについて異なる補正を行うことは現実的ではなく、ある程度大きな領域単位で補正を行なうことが、画像形成装置の補正制御としては現実的な補正制御であるといえる。
【0119】
しかしながら、上述のように、補正領域の境界部分において、明度差やパターン変化等の問題が起きることとなる。すなわち、例えば、図19(a)に示すようにヘッド7の上から下に向かって明度傾斜のあるヘッド(図中、ヘッド上側の明度が高く、ヘッド下側に向かうに連れて明度が低くなる特性を有するヘッド)があったとすると、これを2つの領域に分割して補正を行う場合、例えば、図19(b)に示すように、それぞれの領域の平均値を合わせることが考えられる。
【0120】
図19(b)に示すように、平均値を求めて補正を行う場合、ヘッド内の明度の最大値と最小値との差は減少する。また、ヘッド上端とヘッド下端との明度差も減るため、ヘッド7を改行した際(次の領域でのスキャン)における改行の繋ぎ目での明度差も減少する。しかしながら、補正領域の切り替え部分(すなわち、ヘッド7の中間部分)701では、新たな明度差が生じることになり、これが色ムラに繋がることとなる。
【0121】
さらに、図20(a)〜(e)に示すように、補正の分割数(領域分割数ともいう)を増やして補正領域を小さくしていくことにより、補正領域の切り替え部分における明度差の問題は軽減されるが、その分ノズル単位で補正する場合と同様に、パラメータ数の増加やそれに伴うパラメータ作成処理量が増加するという問題が生じてしまう。
【0122】
また、図19に示す例では、ヘッド7の上から下に向かって明度傾斜のあるヘッドを示した。しかしながら、ヘッド7の明度特性は、図19に示す例に限られず、逆の明度傾斜を有するものや、部分的に特性が異なるものや、山状、谷状に変化する特性を有するものなどがあり、またその明度傾斜の変化量も異なることがある。したがって、ヘッド内を単に、複数の領域に分割して補正を行うようにしたとしても十分な補正効果が得られない場合がある。
【0123】
(色ムラ低減制御)
そこで、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、記録ヘッド7を複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段240(図5)を備え、該補正手段240は、補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置で補正領域を分割し、それぞれの領域区切り位置で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて補正領域を分割する領域区切り位置を決定するものである(図22等参照)。このように、記録ヘッド7の特性プロファイルを取得して、補正の分割数が同じであっても、より効果的な補正効果が得られる位置で領域を分割するものである。
【0124】
先ず、補正の分割位置(領域区切り位置ともいう)を変えた場合の補正効果の違いについて説明する。図21(a)は、図21(b)に示すヘッド内の各領域(1〜10の10領域)についての明度情報(明度測定データ)を測定し、それを補正する場合の説明図である。
【0125】
図21(a)における「補正なし」のグラフは補正を実施していないヘッドにおける特性を示しており、同じヘッド内でも特性のムラが大きいことが見て取れる。また、「補正あり1」は、ヘッド7を領域1〜4,5〜7,8〜10の3つの領域に区分し、それぞれの領域の平均値を合わせるように補正(図21の例では、各領域の明度平均値を50に合わせる)を行った場合の特性を示している。また、「補正あり2」は、ヘッド7を領域1〜3,4〜5,6〜10と異なる3つの領域に区分し、それぞれの領域の平均値を合わせるように補正(図21の例では、各領域の明度平均値を50に合わせる)を行った場合の特性を示している。
【0126】
ここで、「補正あり1」と「補正あり2」は、補正領域の分割数が3つと同じであるため、補正に必要になる明度測定データや補正パラメータ数も同じになるが、補正効果は異なり、「補正あり2」は「補正あり1」よりもヘッド内のばらつきを小さくすることができている。
【0127】
このように、各ヘッド7の特性形状は一律ではなく、補正領域の分割数が同じであっても、分割の境界位置をどこにするかで補正結果が変わってしまう。そのため、以下に詳述するように、本実施形態に係る画像形成装置は、補正位置を変えた場合の補正効果をシミュレートし、補正効果の高い位置で補正領域を区切ることにより、各ヘッド7の特性に合わせた補正を行うものである。
【0128】
次に、補正条件および補正を行う場合における補正効果の評価基準となる特性プロファイルについて説明する。なお、特性プロファイルは、先ず、画像パッチを出力し、スキャナやセンサ、分光測色計等の読取手段により、出力された画像パッチの明度や輝度等に基づいて取得される。また、特性プロファイルに基づいて、補正条件の検索や補正を実施する。
【0129】
なお、本実施形態では、明度を用いる例について説明をするが、例えば、濃度、彩度、輝度値など明度以外の画像特性情報を元にしてもよく、また、ドット径やインク被服面積などを検出し、これを元に補正条件の検索や補正を実施してもよい(補正の狙い値の決め方や補正処理の詳細は後述する)。
【0130】
[補正領域分割処理(1)]
次に、補正領域の分割処理について説明する。ここでは、補正領域の区切り位置を変えながら、それぞれの補正領域の明度平均値を狙い値に合わせるように補正した場合における、補正後の明度プロファイルを求めていき、補正効果の高くなる区切り位置を求めるものである。
【0131】
補正領域の分割数は固定であって分割位置を可変とする補正領域分割処理について、図22および図23のフローチャートを用いて説明する。
【0132】
図22に示す補正領域分割処理は、先ず、画像パッチを出力し、読取手段により、特性プロファイルを取得して(S101)、所定の分割位置(予め設定された初回分割位置)にて分割を行う(S102)。
【0133】
また、この分割領域毎に補正を行い(S103)、補正後の特性プロファイルについての補正効果の程度を評価する(S104)。次に、考えられるすべての分割位置についての評価(S104)が終わっているかどうかを判断し(S105)、終わっていない場合(S105:NO)は、分割位置を変更して(S107)、S103へ戻る。一方、すべての分割位置についての評価が終わっている場合(S105:YES)は、もっとも評価の高い(すなわち、補正効果の高い)分割位置を選択して、これを求める分割位置とするものである(S106)。この図22に示す例では、すべての分割位置の組み合わせについて評価をして、最も補正効果の高い分割位置を求めている。
【0134】
次に、図23に示す補正領域分割処理について説明する。S201〜S204は、それぞれS101〜S104に対応するため、説明は省略する。
【0135】
評価処理(S204)の後、予め設定されている所望レベルの補正効果目標を達成しているかどうかを判断し(S205)、満たしていない場合(S205:NO)は、分割位置を変更して(S207)、S203へ戻る。一方、満たしている場合(S205:YES)は、これを求める分割位置とするものである(S206)。この図23に示す例では、すべての分割位置の組み合わせについて評価をすることはせず、狙い(狙い以上)とする補正効果が得られる分割位置を検出次第、処理を終了するものである。
【0136】
補正領域の分割位置を可変とする場合の補正領域分割処理は、上記いずれの方法でもよく、図22に示した例では、処理量は多いが補正効果の最も高い分割位置を検索することができ、図23に示した例では、所望の補正効果を満たす分割位置を、迅速に求めることが可能となる。
【0137】
なお、図23に示す例において、狙いを満たす分割位置がない場合は、図22と同様に、求めた評価のうち最も高い分割位置を求めるようにすればよい。また、補正が狙いを達成できない場合は、装置の不具合の可能性があるため、その旨を外部に通知するための通知手段を備えることが好ましい。例えば、メンテナンスや装置サポート元への連絡を促すメッセージを出力する出力手段や、ネットワーク環境では、ネットワークを介して、装置サポート元へ装置の状態を送信する送信手段を備えるようにして、装置の不具合を通知することにより、迅速な対応を促すことが可能になる。
【0138】
また、図22に示す例では、最も補正効果の高い条件を選択できるが、この場合も、図23と同様に、求めた分割位置での評価が効果目標を達成していない場合に、装置の状態を外部に通知する通知手段を備えることが好ましい。
【0139】
[評価処理]
上記補正効果の程度を評価する処理(S104,S204)について説明する。基本的には、各ヘッド7について色ムラがないフラットな特性(補正の必要がないほどにばらつきのない状態)が狙いとなるため、これに近づいているか否かの判断を行うものである。
【0140】
判断手法は、例えば、明度プロファイルの分散、変化のレンジ、平均値からの差の総和や、RMS(二乗平均平方根)など、またはそれらの組み合わせに基づいて判断をすればよい。また、ヘッド内のばらつきや変化のレンジは小さいが、あるポイントだけ急激な変化をする場合もあり、このような急な特性の変化は目につきやすい。そこで、明度プロファイルを微分する等して、その変化量を判断基準に加えても良い。その他、公知の判断手法を用いても良い。
【0141】
これらは単独、または複数の条件が狙いからどの程度離れているかや、所定の基準を満たしているかどうかを判断するものである。よって、上述した特性は、いずれも絶対値が小さいほうが好ましい。
【0142】
また、複数の条件を重み付けした評価式を作成し、この評価式に基づいて、判断を行うようにしても良い。例えば、分散、またはRMSが最も小さいもので判断する場合や、明度差の最大値−最小値、微分量の最大値−最小値が規定値内に入る条件のうちで、最も分散が小さい条件を選択するなどを行うようにしても良い。
【0143】
また、補正効果の評価に際しては、当該ヘッド7の上端と下端との差も考慮してプロファイルを評価することが好ましい。これは、図13、図14に示したように、ヘッド7を改行して印字する場合に、ヘッド7の上端で印刷した画像とヘッド7の下端で印刷した画像が隣接するため、この境界部分の明度差も生じるからである。したがって、プロファイル評価に際しては、ヘッド7の上端と下端とを繋ぎ合わせた部分も考慮した1ヘッド以上の長さから評価することがより好ましい。以上説明したように、効果的な補正を可能とする補正領域の分割位置を決定して、領域ごとに補正を実施するものである。
【0144】
[補正領域分割処理(2)]
ここで、補正領域の分割数(すなわち、各ヘッドの補正領域数)を多くすれば、補正効果を高めることができるが、その一方で、補正に係る処理量が多くなる。一方、分割数を少なくすれば、補正効果はそのぶん低いが、処理量も少なくできる。ヘッド7の特性ごとに補正に必要な領域分割数は異なるといえるため、補正領域分割処理において、補正領域数を可変とすることで、より効果的な補正を行うことが可能となる。
【0145】
補正領域の分割数を可変とする場合の補正領域分割処理について、図24および図25のフローチャートを用いて説明する。なお、分割位置は、分割数毎に所定位置としておけば良い。
【0146】
図24に示す補正領域分割処理は、先ず、画像パッチを出力し、読取手段により、特性プロファイルを取得して(S301)、所定の分割数(予め設定された初回分割数)にて分割を行う(S302)。
【0147】
また、この分割領域毎に補正を行い(S303)、補正後の特性プロファイルについての補正効果の程度を評価する(S304)。次に、考えられるすべての分割数についての評価(S304)が終わっているかどうかを判断し(S305)、終わっていない場合(S305:NO)は、分割数を変更(分割数をインクリメント)して(S307)、S303へ戻る。一方、すべての分割数についての評価が終わっている場合(S305:YES)は、もっとも評価の高い(すなわち、補正効果の高い)分割数を選択して、これを求める分割数とするものである(S306)。この図24に示す例では、すべての分割数の組み合わせについて評価をして、最も補正効果の高い分割数を求めている。
【0148】
次に、図25に示す補正領域分割処理について説明する。S401〜S404は、それぞれS301〜S304に対応するため、説明は省略する。
【0149】
評価処理(S404)の後、予め設定されている所望レベルの補正効果目標を達成しているかどうかを判断し(S405)、満たしていない場合(S405:NO)は、分割数を変更して(S407)、S403へ戻る。一方、満たしている場合(S405:YES)は、これを求める分割数とするものである(S406)。この図25に示す例では、すべての分割数の組み合わせについて評価をすることはせず、狙い(狙い以上)とする補正効果が得られる最も少ない分割数を検出次第、処理を終了するものである。
【0150】
補正領域の分割数を可変とする場合の補正領域分割処理は、上記いずれの方法でもよく、図24に示した例では、処理量は多いが補正効果の最も高い分割数を検索することができ、図25に示した例では、所望の補正効果を満たす分割数を、迅速に求めることが可能となる。
【0151】
なお、原則として、分割数が多い方が、補正効果を高くなるが、図19に示したように、領域分割補正を実施する場合、補正領域の境界に特性の急激な変化を発生させる場合がある。このような場合、ヘッド7の特性や補正効果の判定条件によっては、効果の優劣が逆転する場合もあるため、図24のように、すべての分割数の組み合わせについて評価することが有効となる。ただし、原則は、分割数が多い方が補正効果が高くなるため、検索の際には、設定可能な補正分割数の最大値から検索することが好ましい。また、すべての条件を探索するのではなく、所定数ずつ分割数を減らしていき、その中から補正分割数を決定するようにしても良い。
【0152】
また、図25に示した例では、まず少ない補正分割数にて分割補正する場合について補正効果を算出し、これが目標をクリアできない場合に領域分割数を上げて、再度補正効果を実施し、補正結果が目標を満たすまでこれを繰り返しているが、これに限られるものではなく、例えば、逆に補正分割数が多い方から少ない方へ目標達成できる最小の分割数を検出するようにしても良いし、また、中間の分割数にて、まず補正効果を評価して目標達成している場合は、分割数が少ない方向へ、目標達成していない場合は、分割数が多い条件へ探索していく等の処理を行うことも好ましい。
【0153】
なお、評価処理(S304,S404)等の他の処理については、上記の例と同様であるので、説明を省略する。また、上述のように、目標を達成できない場合、最も補正効果が高い条件とすることや、最適な条件を設定する場合についても目標値との比較を行うことや、目標を達成できない場合に、装置の状態を外部に通知する手段を備えることが好ましいことや、評価に際してヘッド7の上端と下端とのつながりも考慮することが好ましいこと等も、上述のとおりである。
【0154】
[補正領域分割処理(3)]
上述のように、同じ領域分割数でも領域の区切り位置によって補正効果が異なり、かつ、分割数を増加させると補正効果が向上するため、上記補正領域分割処理において、補正領域の分割数と分割位置の双方を可変とすることで、補正に係る処理量を抑えつつ、さらに効果的な補正を行うことが可能となる。
【0155】
補正領域の分割数および分割位置を可変とする場合の補正領域分割処理について、図26および図27のフローチャートを用いて説明する。
【0156】
図26に示す補正領域分割処理は、先ず、画像パッチを出力し、読取手段により、特性プロファイルを取得して(S501)、分割数を初期設定値に設定する(S502)。
【0157】
また、所定の分割位置(予め設定された初回分割位置)にて分割を行い(S503)、この分割領域毎に補正を行い(S504)、補正後の特性プロファイルについての補正効果の程度を評価する(S505)。
【0158】
次に、考えられるすべての分割位置についての評価(S505)が終わっているかどうかを判断し(S506)、終わっていない場合(S506:NO)は、分割位置を変更して(S507)、S503へ戻る。
【0159】
一方、すべての分割数についての評価が終わっている場合(S506:YES)は、もっとも評価の高い(すなわち、補正効果の高い)分割位置と、そのときの補正効果を現在の分割数と対応付けしてRAM203等に一時記憶する(S508)。
【0160】
次に、考えられるすべての分割数についての評価(S505)が終わっているかどうかを判断し(S509)、終わっていない場合(S509:NO)は、分割数を変更して(S510)、S503へ戻る。一方、すべての分割数についての評価が終わっている場合(S509:YES)は、S508で記憶されているうちで、もっとも評価の高い(すなわち、補正効果の高い)分割数と分割位置の設定を選択して、これを求める分割数および分割位置とするものである(S511)。
【0161】
このように、図26に示す例では、先ず、分割数を固定として、その分割数にて領域区切り位置を振って、最適な区切り位置を検索し、次に分割数を変えた条件で、その分割数における最適な領域区切り位置を検索することを繰り返し、最も補正効果の高い領域分割数と補正領域の区切り位置の組み合わせを探るものである。
【0162】
次に、図27に示す補正領域分割処理について説明する。S601〜S608は、それぞれS501〜S508に対応するため、説明は省略する。
【0163】
もっとも評価の高い(すなわち、補正効果の高い)分割位置と、そのときの補正効果を現在の分割数と対応付けして記憶した後(S608)、予め設定されている所望レベルの補正効果目標を達成しているかどうかを判断し(S609)、満たしていない場合(S609:NO)は、分割数を変更して(S610)、S603へ戻る。一方、満たしている場合(S609:YES)は、現在の分割数と分割位置の設定を選択して、これを求める分割数および分割位置とするものである(S611)。
【0164】
このように、図27に示す例では、先ず、分割数を固定として、その分割数にて領域区切り位置を振って、最適な区切り位置を検索し、その条件化で目標を達成できるかを判断する。目標達成できない場合、分割数を増やし、領域区切り位置を振ってその分割数での最適な区切り位置を検索し、その条件化で目標達成できるかを繰り返し、目標達成できる最小の領域分割数および最適な補正領域区切り位置を探るものである。
【0165】
なお、評価処理(S505,S605)等の他の処理については、上記の例と同様であるので、説明を省略する。また、上述のように、目標を達成できない場合、最も補正効果が高い条件とすることや、最適な条件を設定する場合についても目標値との比較を行うことや、目標を達成できない場合に、装置の状態を外部に通知する手段を備えることが好ましいことや、評価に際してヘッド7の上端と下端とのつながりも考慮することが好ましいこと等も、上述のとおりである。
【0166】
[補正処理(階調補正)]
次に色ムラ補正について説明する。色ムラの補正については、例えば、補正したい部分の画像データの階調値を変更することにより、狙いよりも濃い部分は薄く、狙いよりも薄い部分は濃くすれば良い。
【0167】
これは、例えば、インクジェットのドット吐出データに多値化(大滴/中滴/小滴/なしの4値)前のCMYKあるいはRGBデータの段階で、補正テーブルを用いて入出力の階調特性を補正した後に、多値化処理を行うのが好ましい。なお、補正テーブルは、例えば、CMYKあるいはRGBの入力レベル0〜255に対し、出力レベルをそれぞれいくつにするかを記載したテーブルであって、ROM202等に保持しておき、これを適用すればよい。なお、補正テーブルは補正領域ごとに予め用意しておく。
【0168】
補正領域の分割は、例えば、画像データを多値化前のCMYKあるいはRGBデータの段階で、設定した領域分割数、領域区切り位置に分割し、それぞれの領域に対応する補正テーブルを用いて補正を行えばよい。
【0169】
補正の狙い値は、画像形成装置の画像特性の狙いをどのように設定するかによるものであって、例えば、紙面の濃い部分に他の部分を合わせる、紙面の薄い部分に他の部分を合わせる、紙面の平均値に全体を合わせる、予め設定した狙い値に全体を合わせるなどが考えられる。
【0170】
しかしながら、濃くなる方向に階調補正をかける場合については補正の限界が存在する。すなわち、例えば、そのヘッド7が吐出しうる最大量のインクを吐出しているにも関わらず、狙いの濃さに達していない場合は、それ以上補正を行うことはできない。このように、階調補正では、薄くする方向には階調を下げて、吐出するインク量を減らすことで薄く補正できるが、濃くする方向にはベタ以上にインク量を増やすことができないため、原則としては、薄くする方向への補正が主となる。
【0171】
このため、最もベタが薄い部分をベタの目標とし、紙面とベタ目標を所望の階調特性で結んだ特性を、目標特性としてそこに合わせて補正をすることが好ましい。
【0172】
上記の説明について、図28に示す階調補正処理において出力される階調パッチの模式図と、図29に示す領域毎の階調特性と目標特性との関係を示すグラフと、図30に示す階調補正処理のフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは補正領域の分割数や補正領域の区切り位置については、すでに決まっているものとして説明する。
【0173】
まず、パラメータ作成用の階調パッチ画像702を出力し、測定を行う(S701)。なお、当該処理は、補正処理の開始時ではなく、上記補正領域分割処理において出力したものについて、画像や明度特性データを共用してもよいし、それぞれの処理において出力/測定するようにしても良い。
【0174】
また、階調については、全階調を印刷/測定をしてもよいが、飛び飛びの階調値を印刷/測定し、近似にて階調特性を作成して、印刷や測定に必要な処理量を減らすことも好ましい。このようにすることは、印刷や測定のムラ等によって極所的に特性値の階調逆転が生じる可能性があり、この場合、階調の逆補正をしてしまう可能性もあるため、ノイズの影響を低減させることができる点からも好ましい。
【0175】
また、この階調特性は、補正領域ごとに作成し、実際の補正では、領域の平均値を制御することになるため、各補正領域における明度特性の平均値の階調特性を作成する(S702)。
【0176】
次に、全領域のベタ階調のうち最も明度の高い点を検索し、ここをベタの明度目標とする(S703)。そして、紙面の明度とベタ明度目標を所望の特性でつないだ特性を目標とする階調特性(目標特性)とする(S704)。
【0177】
本実施形態では、図29に示すように、最も明度の高い、領域1のベタ明度がベタ明度目標に設定され、明度リニア(焼き込み)を狙いの特性としてベタ目標明度と紙面明度を繋ぎ、目標特性としている。
【0178】
次に、求めた目標特性に、それぞれの階調特性が合うように、領域ごとに入出力補正テーブルを作成する(S705)。このように作成した補正テーブルは、装置のROM202等に保存される。
【0179】
最後に、この補正テーブルを用いて、入出力補正を行うことにより、各補正領域を狙いの階調特性に補正して、紙面内の色ムラを軽減することができる(S706)。
【0180】
[補正処理(駆動信号補正)]
次に、ヘッド7の駆動信号を変えることによる補正処理について説明する。入出力の補正は、駆動信号を変えることで補正を行うこともできる。すなわち、濃くしたい部分についてはインク吐出量を多くするような駆動信号を変え、薄くしたい部分についてはインク吐出量を少なくするように駆動信号を変えるものである。なお、駆動信号の補正は、駆動波形そのものを変更してもよいし、印加する電圧を変え、波高値を変えることによっても良い。
【0181】
駆動信号補正による補正処理についても、図30に示したフローチャートと同様の処理を行えばよいが、駆動信号を変えた場合に明度がどれだけ変化するかをあらかじめ求め、これを設定しおくか、または、駆動信号を振った条件と階調値を振った条件を掛け合わせたパッチを出力、測定することで、目標特性に補正する際に、各領域、各階調をどのような条件で駆動すべきかを知ることができるため、その条件をROM202等に保存しておき、補正処理を行うようにすればよい。
【0182】
しかしながら、上述のように、駆動条件をヘッド内の細かい領域で切り替えたり、印刷する階調ごとに切り替えたりする構成を実施するためには、ハードウェア上の制約が多くなり、装置構成が複雑化になるおそれがあるため、上記階調補正または、階調補正と駆動信号補正との組み合わせを行うことがより好ましい。
【0183】
[補正処理(階調補正および駆動信号補正)]
次に、上述の階調補正と駆動信号補正との双方を組み合わせて実施する場合の補正処理について説明する。
【0184】
階調補正は、補正パラメータを変更することにより補正を実施できるため、補正領域の単位も比較的細かく設定しやすく、また、階調ごとの特性変化量が異なっていても補正がしやすいという利点があるが、吐出するドットの数や種類を変えることにより補正を行うものであるため、ベタ以上にインク付着することはできないため、基本的には明度を高くする補正を行うこととなる。
【0185】
これに対して、駆動信号補正は、吐出するインク量を変化させることができるため、ヘッド7の安定駆動の範囲内で明度を上げることも下げることもできるという利点があるが、補正領域の細分化や、階調ごとに信号を切り替えるためにはハードウェア上の制約を受けることとなる。
【0186】
そこで、階調補正と駆動信号補正の双方を組み合わせて補正処理を行う。すなわち、ベタの目標を駆動信号で制御した上で、階調補正にて階調補正することが、より好ましい。
【0187】
例えば、画像形成装置に具体的なベタ目標値(明度)がある場合は、各領域のベタがこれに近づくように安定吐出範囲内で駆動信号を調整するようにし、具体的なベタ目標値がない場合は、安定吐出範囲内において最もベタ明度が低くなるような駆動信号とするものである。
【0188】
このようにすることにより、ベタ明度そのものを目標値に近づけることができるため、画像形成装置の構成を複雑化することなく、装置間の機差を縮め、出力画像のダイナミックレンジを狭めることなく補正を行うことが可能になる。
【0189】
また、階調補正は、紙面に着弾するドットパターンを変更することで紙面のインク被服量を近づけ、色ムラを減少させるものであるが、明度が同じ(すなわち、マクロでのインク被服量が同じ)であっても補正領域間で紙面上のドット着弾パターンに違いが生じ、これが目についてしまう可能性もある。特に、大きな明度変化を階調補正で吸収しようとした場合、このような問題が顕著になる可能性もある。
【0190】
これに対し、階調補正と駆動信号補正の双方を組み合わせて補正処理を行うことで、予め補正領域間のドットの大きさを駆動信号補正により近づけた上で、階調補正を行うことができるので、上記パターンの違いが表れにくくなり、より高い色ムラ補正効果を得ることができる。
【0191】
また、上記の補正領域分割処理、補正処理の実行前に、画像形成装置は、所定のメンテナンス動作や、ノズルチェックチャートを印字して吐出不良がないことを確認する処理を実行することが好ましい。このようにすることでノズルの吐出不良等が補正に影響することを防ぐことができる。
【0192】
また、上記の補正領域分割処理においては、複数の階調パッチを出力、測定して、上述の処理を行ってもよいが、特性のパターンのパッチを測定することで上記判定を行ってもよい。
【0193】
これは、ヘッド内の特性の振れ幅は、出力するパターンによって異なるものの、ヘッド内の特性の形状については、ヘッドの構造に起因する部分が多く、特定のパターンにて分割数や領域数を判断できる可能性が高いためである。換言すれば、ヘッドごとに振れ幅は違うが、他の階調においても薄い部分は薄く、濃い部分は濃い等の変化のパターンは共通していることが多い。そこで、ヘッドの特性が振れやすいパターン(紙面が埋まりきらない中間パターンがよいことが多い)を用意し、これについての測定結果から領域分割数や分割位置を決めることで、画像出力枚数や測定量の削減につながり、補正に係る処理量をさらに短縮することが可能となる。
【0194】
[補正設定の適用範囲]
次に、補正設定の適用範囲について説明する。上述のように、画像形成装置が備えるヘッド7は、それぞれその特性にばらつきがあり、また、同じヘッド7においても印刷モード(例えば、解像度や用紙など)や温度湿度等の条件の違いによって、特性の違いが出ることとなる。
【0195】
また、色によっても紙面での影響の出方は異なり、インクの被服量の変化は同じだが、ブラックは変化が目立ちやすく、イエローは変化が目立ちにくい等の特性がある。
【0196】
補正領域分割処理での分割数および区切り位置、および補正処理における各領域の補正条件については、ヘッド7ごと、印刷モードごと、温度湿度条件ごと、色ごとに応じて、それぞれ適用させることがより好ましい。
【0197】
また、特に、解像度や色が異なる場合は、補正結果の評価項目や評価式を変えたり、プロファイルを求めるための解像度や測定値(例えば、ブラックは明度で判断、イエローは彩度で判断する等)を変更したりすることも好ましい。これにより、各ヘッド7や印刷条件に応じた補正を行うことができる。
【0198】
なお、これらの補正設定の適用範囲の設定は、条件ごとの補正分割数、補正領域区切り位置、各補正領域の補正パラメータを、ROM202等に保存しておき、条件に合わせて適宜呼び出して補正を行うようにすればよい。
【0199】
なお、補正領域分割処理および補正処理は、製品出荷前の製造工程で行うようにしても良いし、画像形成装置に、センサ、スキャナ、測色器等の読取手段を搭載して、出荷後に、パッチ読取、補正パラメータ作成を行うようにしても良い。この場合、階調パッチを印字する出力手段(印刷制御部207等で構成される)と、センサ等の読取手段を必ずしも備える必要はない。なお、出荷後に、パッチ読取、補正パラメータ作成を行う場合は、補正パラメータの作成に要する時間や手間が重要となるため、補正処理に係る処理量を低減できる本発明の適用が特に好適であるといえる。
【0200】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置によれば、印字ムラの低減のための補正処理に際して、補正処理に係る処理量の増大を抑えつつ、良好な補正効果を得ることができる。例えば、分割数を同じとした場合でも、最も効果的な色ムラの補正を可能とする領域区切り位置を算出して効果的な補正を行うことができる。また、領域区切り位置、および/または、分割数を変えることにより、ヘッド7の特性に合わせて、補正処理に係る処理量を低減させることができる。
【0201】
<第2の実施形態>
以下、本発明に係る画像形成装置のその他の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の点についての説明は省略する。
【0202】
近年、画像形成装置は、さらに印刷速度の高速化が要求されている。しかしながら、長尺化ヘッドの生産にはフレームの剛性や共振などの技術的な難易度が高いことや、ノズル数が増えるために不良ノズルの発生確率も上がり、歩留まりが現象するなどの課題が多い。
【0203】
そこで、図31に示すような記録ヘッド7をノズル列方向に複数個繋いだヘッド(繋ぎヘッド7tという)を備え、繋ぎヘッド7tを用紙搬送方向と直交する方向に往復移動することで画像形成を行うシリアル方式の画像形成装置が知られている。
【0204】
繋ぎヘッド7tにおいて、基本となる構成(4ヘッド)は、上記第1の実施形態で説明した画像形成装置と同様であるが、ヘッド7を長尺方向に複数並んで有し、改行動作をするため、図32に示すように、ヘッド間の特性差と、スキャン間の特性差(上端ヘッドの上端特性と下端ヘッドの下端特性の差)の両方が問題となる。また、補正すべきヘッド数も増えるため、本発明を適用して、補正処理に係る処理量を低減することで、迅速な補正処理を行うことができる。
【0205】
また、繋ぎヘッド7tでは、上下ヘッドの切り替え部分や上ヘッドの上端と下ヘッド下端の切り替え部分で生じる特性差も問題となるため、補正効果を評価する際には、これら切り替え位置も考慮し、繋ぎヘッド長以上の長さの特性プロファイルから補正効果を評価することが好ましい。
【0206】
また、ライン方式の画像形成装置についても、以上述べた印字制御を行うことにより同様の効果を得ることができる。図33は、ライン方式の画像形成装置による印字の様子を示している。
【0207】
この画像形成装置は、用紙12の用紙幅に渡って、記録ヘッド7がつなぎ合わされたラインヘッドユニット7lが配置され、ノズル列と直交する方向に用紙を搬送させて画像形成を行うものである。このようなライン方式の画像形成装置では、原則として1パス(1回の用紙搬送)で画像形成が完了するため、印刷速度が非常に速いが、ヘッドの特性ムラがそのまま画像品質を左右してしまう。よって、ラインヘッドユニット7lを構成する個々のヘッドが印刷する画像特性のばらつきを抑えることが特に重要となる。
【0208】
ライン方式の画像形成装置は、制御対象となるヘッド数は、シリアル機の数倍〜数十倍と大幅に増大し、また、印刷分野など色校正を求められる環境にて使用されることも多い。上述の補正処理を行うことで、1ヘッドごとの補正処理量を低減し、全体の処理量を大幅に削減することが可能となるため、上述の補正処理を適用することが非常に効果的である。なお、補正効果の評価の際には、繋ぎヘッドを備える画像形成装置と同じように、隣接するヘッドとの境界部の特性差も考慮して評価を行うことが好ましい。
【0209】
以上説明したように、複数のヘッドを繋げた繋ぎヘッドを備えた画像形成装置、およびライン方式の画像形成装置においても、補正処理に係る処理量の増大を抑えつつ、良好な補正効果を得ることができる。よって、色ムラの発生を抑えたインクジェット記録装置とすることができ、色ムラのない良好な記録物を得ることができる。
【0210】
また、上記補正領域分割処理および補正処理は、画像形成装置に接続される画像処理装置400にて実行する(補正手段240を画像処理装置400が備える)ようにしても、画像形成装置の補正手段240で実行するようにしても良い。近年の複合機では、ホストコンピュータを解さずに、スキャンや印刷処理を実施する装置も多いため、画像形成装置単体で、補正処理を実施可能な構成とすることで、幅広い使用ニーズに対応する画像形成装置を提供することができる。また、一般に、画像形成装置のCPU201等は、画像処理装置400に比べて処理能力が低いため、本発明を適用して、補正処理に係る処理量を低減することで、迅速な補正処理を行うことができる。
【0211】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0212】
1 ガイドロッド
2 ガイドレール
3 キャリッジ
4 主走査モータ
5 タイミングベルト
6A 駆動プーリ
6B 従動プーリ
7,7y,7c,7m,7k 記録ヘッド(ヘッド)
7l ラインヘッド
7t 繋ぎヘッド
8 サブタンク
9 インク供給チューブ
10 給紙カセット
11 用紙積載部(圧板)
12 用紙(記録媒体)
13 半月コロ(給紙ローラ)
14 分離パッド
15 ガイド
21 搬送ベルト
22 カウンタローラ
23 搬送ガイド
24 押さえ部材
25 押さえコロ
26 帯電ローラ
27 搬送ローラ
28 テンションローラ
29 ガイド部材
31 副走査モータ
32 タイミングベルト
33 タイミングローラ
34 スリット円板
35 エンコーダセンサ
36 ロータリエンコーダ
51 分離爪
52 排紙ローラ
53 排紙コロ
54 排紙トレイ
56 維持回復機構
57 キャップ
58 ワイパーブレード
59 空吐出受け
61 両面給紙ユニット
101 流路板
102 振動板
103 ノズル板
104 ノズル
105 ノズル連通路
106 液室
107 流体抵抗部(供給路)
108 共通液室
109 インク供給口
121 圧電素子
122 ベース基板
123 支柱部
126 FPCケーブル
130 フレーム部材
131 貫通部
132 インク供給穴
151 圧電材料
152 内部電極
153 個別電極
154 共通電極
200 制御部
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 不揮発性メモリ(NVRAM)
205 ASIC
206 ホストI/F
207 印刷制御部
208 ヘッドドライバ(ドライバIC)
210 モータ駆動部
212 ACバイアス供給部
213 I/O
214 操作パネル
240 補正手段
301 駆動波形生成部
302 データ転送部
311 シフトレジスタ
312 ラッチ回路
313 デコーダ
314 レベルシフタ
315 アナログスイッチ
400 画像処理装置
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 入力装置
405 モニタ
406 記憶装置
407 外部I/F
500 インクジェットプリンタ
600 画像処理部
601 入力端子
602 記録バッファ
603 パス数設定部
604 マスク処理部
605 マスクパターンテーブル
700 完成画像
701 補正領域の切り替え部
702 階調パッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0213】
【特許文献1】特開2006−224419号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、
該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、
前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、
該補正手段は、前記補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置で前記補正領域を分割し、それぞれの領域区切り位置で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて前記補正領域を分割する領域区切り位置を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、
該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、
前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、
該補正手段は、前記補正領域の分割に際し、異なる分割数で前記補正領域を分割し、それぞれの分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて前記補正領域を分割する分割数を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、
該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置において、
前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正手段を備え、
該補正手段は、前記補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置および異なる分割数で前記補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置および分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて前記補正領域を分割する領域区切り位置および分割数を決定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記補正手段は、前記補正領域について、異なる領域区切り位置および/または異なる分割数について考えられるすべての組み合わせについての補正効果を算出することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正手段は、異なる領域区切り位置および/または異なる分割数について算出したすべての補正効果のうち、最も補正効果の高くなる領域区切り位置、および/または分割数により前記補正領域を分割することを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正手段は、異なる領域区切り位置および/または異なる分割数について補正効果を順に算出していき、所定条件を満たす補正効果を算出した領域区切り位置および/または分割数を検出次第、該領域区切り位置および/または分割数により前記補正領域を分割することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記補正手段は、異なる分割数について補正効果を順に算出する際に、分割数を少ないものから順に補正効果を算出していくことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記所定条件を満たす補正効果を算出した領域区切り位置および/または分割数を検出しない場合は、算出したうちの最も補正効果の高い領域区切り位置および/または分割数により前記補正領域を分割することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正手段は、決定した領域区切り位置および/または分割数における補正効果が所定条件を満たさない場合に、その旨を当該装置の外部に通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記補正効果は、明度、濃度、彩度、または輝度のいずれか、またはその組み合わせからなる画像特性情報を基準に判断されることを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像パッチを印字出力する出力手段と、
前記画像パッチを読み取る読取手段と、を備え、
前記読取手段により、前記画像特性情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記補正効果は、補正後の画像特性情報の分散、ばらつき幅、平均値に基づく総和または二乗平均平方根、微分情報の少なくとも1つに基づいて判断されることを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記補正手段は、画像データの階調値を変更する階調補正、および/または、各補正領域に相当するノズルの駆動信号を変更する駆動信号補正により、前記補正領域ごとに入出力特性を補正することを特徴とする請求項1から12までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
入出力特性の補正、領域区切り位置、分割数のうちの少なくともいずれか1つを、当該装置の印刷モードに応じて変更することを特徴とする請求項1から13までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
当該装置の温湿度環境を検知する温湿度センサを備え、
入出力特性の補正、領域区切り位置、分割数のうちの少なくともいずれか1つを、前記温湿度センサによる検知結果に応じて変更することを特徴とする請求項1から14までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた繋ぎ記録ヘッドを備え、
該繋ぎ記録ヘッドを記録媒体の搬送方向と直行方向に相対移動することによって画像形成することを特徴とする請求項1から15までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記記録ヘッドを2以上ノズル列方向に並べた記録ヘッドユニットを備え、
該記録ヘッドユニットのノズル列と直行方向に記録媒体を搬送することで画像形成することを特徴とする請求項1から15までのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記記録ヘッドごとに、入出力特性の補正、領域区切り位置、分割数のうちの少なくともいずれか1つを変更することを特徴とする請求項16または17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、
該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置における画像補正方法において、
前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理を行い、
該補正処理における前記補正領域の分割に際し、異なる領域区切り位置、および/または、異なる分割数で前記補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置、および/または、分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて前記補正領域を分割する領域区切り位置、および/または、分割数を決定するようにしたことを特徴とする画像補正方法。
【請求項20】
記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、
該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置に実行させる画像補正プログラムにおいて、
前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する補正処理を実行させ、
該補正処理における前記補正領域の分割は、異なる領域区切り位置、および/または、異なる分割数で前記補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置、および/または、分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて前記補正領域を分割する領域区切り位置、および/または、分割数を決定するものであることを特徴とする画像補正プログラム。
【請求項21】
記録液を吐出するための複数のノズルを有する記録ヘッドを有し、該記録ヘッドから記録液を記録媒体に吐出することにより画像形成を行う画像形成装置と、
該画像形成装置を制御する画像処理装置と、を備えた画像形成システムにおいて、
前記画像処理装置は、前記画像形成装置が前記記録ヘッドを複数の補正領域に分割して、該補正領域ごとに入出力特性を補正する際に、
異なる領域区切り位置、および/または、異なる分割数で前記補正領域を分割し、それぞれの異なる領域区切り位置、および/または、分割数で分割した場合の補正効果を算出して、該算出結果に基づいて前記補正領域を分割する領域区切り位置、および/または、分割数を決定し、該決定内容に基づいて前記画像形成装置を制御することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図33】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図28】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−179842(P2012−179842A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45203(P2011−45203)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】