説明

画像形成装置、画像読取装置及び画像処理システム

【課題】原稿読み取りの際の処理時間を小さくする。
【解決手段】画像形成装置100は、紙媒体に埋め込む情報に応じて、パターン画像を生成し、生成されたパターン画像を用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に透明トナーを塗布する。画像形成装置100は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布する。画像読取装置は、紙媒体上の画像データをスキャンし、画像データの画素値を取得し、取得した画素値を用いて、隣接する画素同士の輝度値の差分を算出し、該輝度値の差分が所定の閾値以上である場合には、隣接する画素のうち輝度値が低い画素を透明トナーが塗布された部分として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像読取装置及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーコードに代表されるマーキングと呼ばれる技術がある。マーキング技術とは、特定パターンを印刷することで情報を原稿に埋め込み、読み取り時にはこのパターンを検出することによって、情報を取り出す技術である。
【0003】
この技術は現在さまざまな用途に使われており、例えば、商品のラベルや出版物には、関連ホームページへ誘導するためのバーコード(QRcode)が付加される。また、オフィスの文書にも、コピー機でのコピー許可やコピー禁止を指示する地紋が使われている。例えば、図12に例示するように、画像印刷装置が、マーキングパターン(2次元バーコード)を紙媒体に印刷し、画像読取装置が、紙媒体をスキャンして、埋め込まれた情報を抽出する。
【0004】
近年、電子写真プロセスにおいて、透明なトナーが使われるようになってきている。図13に示すように、このような透明なトナーを塗布しない領域は、用紙が持つ低い平滑性が維持され光沢が生じないが、透明なトナーを塗布した領域は、平滑性が高まり光沢が生じる。これにより、透明トナーを塗布した領域は、透明トナーを塗布しない領域に比較して、光を当てると正反射光が増加し、逆に乱反射光が減少する。
【0005】
このような透明トナーを検出する技術として、一度目は通常の光量で、二度目は少ない光量で、乱反射光を受光する素子を用いて、それぞれ乱反射光を測定する。そして、各乱反射光の光量の差分から光沢部分、すなわち透明なトナーを塗布した領域として検出技術が知られている。
【0006】
また、透明トナーを検出する技術として、正反射光を受光する素子を用いて、透明トナーが塗布され光沢が出ている箇所を検出する技術も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術では、乱反射光を2度測定するので、処理時間が長くなるという問題点があった。また、正反射光を受光する素子が必要となるため、装置コストが高くなるという問題点があった。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、透明トナーを検出する処理時間が短く、且つ、装置コストを抑えた画像形成装置、画像読取装置及び画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、紙媒体に埋め込む情報に応じたパターン画像を生成するパターン生成部と、前記パターン生成部によって生成されたパターン画像を用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に透明トナーを塗布するための透明版データを生成する透明版データ生成部と、を備え、前記透明版データ生成部は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、該有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布するような透明版データを生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
処理時間を短くし、且つ、装置コストを抑えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施形態の画像形成装置の概略構成例を示す図である。
【図2】図2は、画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、透明版データ生成部の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、透明トナー重ね合わせ前のデータ例を示す図である。
【図5】図5は、透明トナー重ね合わせ後のデータ例を示す図である。
【図6】図6は、位相をずらした透明トナーの重ね合わせ後のデータ例を示す図である。
【図7】図7は、実施形態の画像読取装置の構成例を示す図である。
【図8】図8は、光電変換素子の構成例を示す図である。
【図9】図9は、埋め込み情報抽出部の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、透明トナーによる輝度落ちの模式図である。
【図11】図11は、位相をずらした透明トナーによる輝度落ちの模式図である。
【図12】図12は、マーキング技術の利用例を説明する図である。
【図13】図13は、反射光の強度と方向を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、画像読取装置及び画像処理システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、実施形態の画像形成装置100の概略構成例を示す図である。図1を用いて基本的な画像形成装置100の動作を説明する。なお、以下では、本実施形態の画像形成装置100とは、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機のことをいう。
【0014】
画像形成装置100は、有色トナー及び透明トナーを塗布する。記録紙1は、給紙コロ2によって一枚ずつ分離して呼び出され、搬送ローラ対3へと搬送される。さらに搬送ローラ対3は、記録紙1を搬送し、レジストローラ対4へと搬送する。レジストローラ対4は図示しないレジストクラッチによってローラの回転、停止を自在にコントロールできる構成を採り、後述する一連の画像形成プロセス完了を待つために、一旦レジストローラ対4で記録紙1を停止させる。
【0015】
また、図1において、点線36で囲んだ部分は、ブラック版の作像ステーションである。感光体11の周りに帯電チャージャ12、露光ビーム13、現像器14、クリーニングブレード15、1次転写チャージャ16が配置されており、一連の作像動作を行うものである。
【0016】
帯電チャージャ12によって一様に帯電された感光体11の表面に対して、図示しない書き込みユニットから露光ビーム13が照射され、感光体11上に潜像が形成される。現像器14では、潜像に対してブラックトナーを現像し、トナー像として可視化させる。さらにトナー像は、1次転写チャージャ16によって中間転写ベルト40に転写される。感光体11上に残留したトナーはクリーニングブレード15によって掻き取られる。さらに、再び帯電チャージャ12により帯電され、以降、上述の画像形成動作を繰り返し行う。
【0017】
また、図1において、点線37、38、39で囲んだ部分は、それぞれシアン版、マゼンタ版、イエロー版の作像ステーションであり、ブラック版と同様の動作によって、各版のトナー像を中間転写ベルト40に転写する。さらに、点線35で囲んだ部分は、透明トナー版の作像ステーションであり、その動作は他の色版と同様である。
【0018】
すべての版のトナー像を転写ベルト40に転写させた後、レジストローラ対4で一旦停止させておいた記録紙1を、タイミングを合わせて再搬送させ、2次転写チャージャ41で記録紙上にトナー像を転写させる。次いで定着装置43に搬送され、熱と圧力によって未定着トナーは記録紙に定着され、出力される。中間転写ベルト40上に残存したトナーは、中間転写クリーナ42をベルトに当接させることによって掻き取られ、中間転写ベルト40がクリーニングされる。
【0019】
次に、図2を用いて、画像形成装置100内の画像処理部100Aについて説明する。図2は、画像処理部100Aの構成を示すブロック図である。なお、画像処理部100Aによって実行される画像処理は、PC200上で実行されてもよい。
【0020】
画像形成装置100は、画像処理部100Aを有し、PC(Personal Computer)200と接続されている。PC200は、ユーザからの印刷指示を受け付けると、プリンタドライバ210を介してPDL(Printer Descript Language)表記されたプリンタコマンドを画像処理装置100に出力する。プリンタコマンドは、文字、グラフィック、イメージの3種類のオブジェクトに対する描画コマンドからなる。また、ユーザは、PC200上でプリンタドライバの印刷設定画面から透明トナーを使用した情報埋め込みを行うか否かを指示できる。PC200は、埋め込みを行うか否かを示す埋め込み情報を含めて画像形成装置100に出力する。
【0021】
画像形成装置100の画像処理部100Aは、有色トナーを塗布するドットに対して、有色トナーのドット上に透明トナーの載る部分と載らない部分の両方が存在するように、透明版データを生成する。画像処理部100は、コマンド解釈部110、展開部120、色補正部130、中間調処理部140、透明版データ生成部150およびプリンタ160を有する。
【0022】
コマンド解釈部110は、送られてきたオブジェクト毎に描画コマンドを解釈する。そして、コマンド解釈部110は、埋め込み情報を透明版データ生成部150に出力する。また、コマンド解釈部110は、オブジェクト情報(文字、グラフィック、イメージのいずれに属するかの情報)を展開部120に出力する。
【0023】
展開部120は、図示しない描画メモリ上にRGBデータとして画像を展開する。色補正部130は、RGBデータをCMYBkデータに変換する。なお、この色補正部130の処理は広く知られた処理であり詳細を省略する。
【0024】
中間調処理部140は、各色の各画素のドットオンオフなどの低階調データで画像を表現するために、CMYBkデータの各々にディザ処理や誤差拡散処理などの処理を行う。中間調処理部140は、生成した中間調処理後の画素データを透明版データ生成部150に出力する。なお、中間調処理後の画素データは、透明版のデータ生成に利用される場合がある。
【0025】
透明版データ生成部150は、埋め込み情報および中間調処理後の画素データに基づいて、透明版データを生成する。透明版データとは、塗布される透明トナーの画素のオンオフを指示するデータである。ここで、図3を用いて、透明版データ生成部150の構成について説明する。図3は、透明版データ生成部の構成を示すブロック図である。図3に示すように、透明版データ生成部150は、パターン生成部151および透明版生成部152を有する。
【0026】
パターン生成部151は、コマンド解釈部110から出力された埋め込み情報に応じた埋め込みパターンを紙媒体に生成する。例えば、パターン生成部151は、印刷日時の情報を紙に埋め込む場合には、印刷日時を示す情報をデジタル情報で表現した後、二次元座標上の画素のオン、オフに変換する。以下では、これを埋め込みパターンと呼ぶこととする。
【0027】
透明版生成部152は、生成された埋め込みパターンを用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に透明トナーを塗布するための透明版データを生成する。ここで、透明版生成部152は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布するような透明版データを生成する。透明版生成部152は、埋め込みパターンの並びを維持しながら、有色版データとの位置関係を考慮しながら、最終的に塗布される透明トナーのデータである透明版データを生成する。その後、透明生成部152は、透明版データをプリンタ160に出力する。
【0028】
プリンタ160は、生成された透明版データを用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に透明トナーを塗布する。また、プリンタ160は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布する。ここで、生成された透明版データを用いて、透明トナーを塗布する処理について、図4および図5の例を用いて説明する。図4は、透明トナー重ね合わせ前のデータ例を示す図である。図5は、透明トナー重ね合わせ後のデータ例を示す図である。図4および図5に示すように、横方向の矢印が主走査方向であり、縦方向の矢印が副走査方向を示している。
【0029】
図4に示すように、1ドットの単位で有色トナーが塗布されている。図4の例では、有色トナーのみが紙媒体に塗布されている。そして、図5に示すように、透明版生成部152は、色版トナーの上に有色版トナーの1ドットに対して半分の大きさのドットで透明トナーを塗布する。透明トナーを常に有色トナーの半分の大きさで塗布したとすると、透明版データは、生成された埋め込みパターンと同じ並びとし、例えば有色版データに対して半ドットだけ下にずらした位置で塗布するようなデータとする。
【0030】
また、図6に示すように、埋め込み情報から変換された透明トナーのパターンを、有色版に対して画素半分だけ位相をずらして塗布するように画像生成データを作成するようにしてもよい。つまり、透明版生成部152は、透明トナーと有色トナーとのドット塗布位置の位相を変えて、有色トナーが塗布される間隔よりも透明トナーが塗布される間隔を大きくなるような透明版データを生成する。このとき、有色トナーのある画素が透明トナーに完全に覆われてスキャンできなくなることを防ぐために、例えば位相をずらす方向の透明トナーの塗布間隔を有色トナーの間隔の2倍にする。言い換えれば、副走査方向の解像度を半分にする。
【0031】
これにより、透明トナーのドットのサイズが、有色トナーのドットサイズと同じに出来るため、透明トナー用の特別なドットサイズ制御が必要ないという利点がある。
【0032】
次に、図7を用いて、画像読取装置300の構成について説明する。図7は、実施形態の画像読取装置300の構成例を示す図である。図7の(a)では、フラットヘッド方式の画像読み取り装置300の構成例を示しており、図7の(b)では、シートスルー方式の画像読み取り装置300の構成例を示している。
【0033】
図7の(a)に示すように、原稿は固定し照明光を移動させるフラットヘッド方式の画像読み取り装置300は、照明光源301、第1キャリッジ302、第2キャリッジ303、レンズ304、光電変換素子305を有する。ラットヘッド方式の画像読み取り装置300は、第1キャリッジ302と第2キャリッジ303を、図面上水平方向に移動させる。
【0034】
図7の(b)に示すように、照明光は固定し原稿を移動させるシートスルー方式の画像読み取り装置300Aは、照明光源301、第1キャリッジ302、第2キャリッジ303、レンズ304、光電変換素子305、搬送ドラムローラ306を有する。シートスルー方式の画像読み取り装置300Aは、搬送ドラムローラ306を回転させて、原稿を移動させる。
【0035】
照明光源301は、図面に対し垂直の方向(主走査方向)に伸びた線状の照明光源である。照明光源301として、LEDアレイやキセノンランプが一般に使われる。原稿310の面に対し45度の角度に照明光を照射し、90度の角度に反射した光(乱反射光)を、第1キャリッジ302や第2キャリッジ303のミラーで折り返し、レンズ304で光電変換素子305に結像させている。光電変換素子305は、1ラインの画素数だけ並んだフォトダイオードアレイ(PDアレイ)307で構成されるCCDラインセンサである(図8参照)。
【0036】
ここで、図8を用いて、光電変換素子の構成について説明する。図8は、光電変換素子の構成例を示す図である。図8に示すように、各PDアレイ307は、原稿の色や平滑度合いを反映した反射光量に応じた電荷を蓄える。各PDアレイ307の電荷をCCDアナログシフトレジスタ308に移し、転送クロックによってシリアルにAD変換部309へと送る。AD変換部309では、各画素の電荷量を多値のデジタルデータ(8bit/画素)に変換する。これにより主走査方向1ライン分の輝度画像データが得られる。以上を副走査方向に繰り返せば、2次元の輝度画像データを得ることができる。これは原稿と照明光を副走査方向に相対移動させることで実現される。
【0037】
続いて、一度のスキャンで取得した画像から埋め込み情報を抽出する処理を説明する。ここで、読み取り側の機器では、埋め込み情報の埋め込み方式が既知であるとする。つまり、有色版のドットよりも小さいドットとして有色版の下半分に埋め込まれたことが、既知であるとする。
【0038】
ここで、図9を用いて、スキャン画像を取得した画像読取装置300が有する埋め込み情報抽出部400の構成について説明する。図9は、埋め込み情報抽出部の構成を示すブロック図である。図9に示すように、埋め込み情報抽出部400は、透明トナー検出部410および埋め込み情報抽出部420を有する。
【0039】
透明トナー検出部410は、紙媒体上の画像データをスキャンし、紙媒体上の画像データを読み取り、該画像データの画素値を取得する。そして、透明トナー検出部410は、取得した画素値を用いて、隣接する画素同士の輝度値の差分を算出し、該輝度値の差分が所定の閾値以上である場合には、隣接する画素のうち輝度値が低い画素を透明トナーが塗布された部分として検出する。
【0040】
また、透明トナー検出部410は、透明トナーが塗布される間隔に応じて解像度を変更し、該解像度で紙媒体上の画像データを読み取る。図5の透明トナーを検出する場合には、透明トナー検出部410では、有色版のみのデータを読み取る場合に比べて、縦に2倍の解像度で画素値を読み取る必要がある。例えば有色版が600dpiでの解像度で原稿を読み取っていれば、透明トナーは実質的に1200dpiの解像度で原稿を読み取らなくてはならない。これを簡単に実現する方法として、副走査の走査周期を変えず移動速度を半分にすることで解像度を2倍にする方法がある。
【0041】
透明トナー検出部410は、読み取った結果得られる画素値による画像データから透明トナーを検出するために、図10に示すように、主走査方向の同一座標で、副走査方向に1画素となりの画素(言い換えれば、副走査方向に隣接している画素)の輝度値が落ちている箇所を検出する。なお、透明トナーが有色トナーの上に載ることによる輝度値の減少には多少のばらつきがあるため、十分に測定をした上で閾値を設定し、輝度値の減少度がその閾値を超えた場合には透明トナーが載っていると検出すれば良い。また、スキャンによって得られる輝度値は一般的にRGBの3色であり、それぞれの色について輝度値減少度の閾値を設定する。
【0042】
埋め込み情報抽出部420は、検出した透明トナーから、埋め込まれた情報を抽出するには、埋め込み情報を透明トナーのパターンに変換した処理の逆の変換を行う。例えば、埋め込み情報抽出部420は、透明トナーのオン、オフの二次元情報に対してパターンマッチングを行う。
【0043】
以上により、印刷時に紙に埋め込まれた情報を、スキャン画像から復元することができる。この時、スキャンした画像から、本来得るべき原稿の画像データを生成するためには、透明トナーが載っているとされなかった画素の画素値を用いて、読取時の解像度に対して半分の解像度の画像データを生成すればよい。
【0044】
ここで、有色版に対して位相をずらして透明版を生成し、トナーを塗布した場合の画像データ(前述の図6参照)に対する透明トナー検出方法について説明する。この場合、図11に示すような模式図になる。透明トナーを検出するには、例えば、副走査方向に隣接している画その輝度値の減少度が閾値を超えている箇所を検出する。このとき、その下の画素は上半分が透明トナーによって輝度値が落ちているはずなので、原稿の画像データを復元するためには、下半分(輝度値が高い方)の輝度値を使う。
【0045】
このように、上述したように、第1の実施形態における画像形成装置100によれば、紙媒体に埋め込む情報に応じたパターン画像を生成し、生成されたパターン画像を用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に透明トナーを塗布するための透明版データを生成する。ここで、画像形成装置100は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、該有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布するような透明版データを生成する。このため、処理時間を短くし、且つ、装置コストを抑えることができる。
【0046】
また、第1の実施形態における画像読取装置300によれば、紙媒体上の画像データを読み取り、該画像データの画素値を取得し、取得された画素値を用いて、隣接する画素同士の輝度値の差分を算出する。そして、該輝度値の差分が所定の閾値以上である場合には、隣接する画素のうち輝度値が低い画素を透明トナーが塗布された部分として検出する。このため、処理時間を短くし、且つ、装置コストを抑えることができる。
【0047】
すなわち、光沢領域の検出の際に、原稿の色を読み取るための乱反射光を受光する素子のみを使うことで、正反射光を受光する素子が不要となり、装置のコストを抑えることが出来るという効果を奏する。また、第1の実施形態における画像形成装置100によれば、一度の読み取りを用いて原稿の色の測定と光沢領域の検出をおこなうことが出来るため、二度スキャンした場合に比べて、読み取り処理にかかる時間の増加が抑えられ、一度目にスキャンした内容を蓄えるメモリが必要なく、光学読み取り位置のずれを防ぐことが出来るという効果を奏する。
【0048】
また、第1の実施形態における画像形成装置100によれば、透明トナーと有色トナーとのドット塗布位置の位相を変えて、有色トナーが塗布される間隔よりも透明トナーが塗布される間隔を大きくなるような透明版データを生成する。これにより、例えば、透明トナーのドットサイズを有色ドナーのドットサイズにすることができる結果、透明トナー用の特別なドットサイズ制御を行う不要にすることができる。
【0049】
また、第1の実施形態における画像読取装置300によれば、透明トナーが塗布される間隔に応じて解像度を変更し、該解像度で紙媒体上の画像データを読み取る。このため、透明トナーを適切に検出することができる。
【0050】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
100 画像形成装置
100A 画像処理部
110 コマンド解析部
120 展開部
130 色補正部
140 中間調処理部
150 透明版データ生成部
160 プリンタ
200 PC
210 プリンタドライバ
300 画像読取装置
301 照明光源
302 第1キャリッジ
303 第2キャリッジ
304 レンズ
305 光電変換素子
306 搬送ドラムローラ
307 フォトダイオードアレイ
308 CCDアナログシフトレジスタ
309 AD変換部
400 埋め込み情報抽出部
410 透明トナー検出部
420 埋め込み情報抽出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2010−102032号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体に埋め込む情報に応じたパターン画像を生成するパターン生成部と、
前記パターン生成部によって生成されたパターン画像を用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に透明トナーを塗布するための透明版データを生成する透明版データ生成部と、
を備え、
前記透明版データ生成部は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、該有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布するような透明版データを生成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記透明版データ生成部は、前記透明トナーと有色トナーとのドット塗布位置の位相を変えて、前記有色トナーが塗布される間隔よりも前記透明トナーが塗布される間隔を大きくなるような透明版データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
透明トナーを紙媒体に塗布することで紙媒体に形成されたパターン画像を読み取る画像読取装置であって、
前記紙媒体上の画像データを読み取り、該画像データの画素値を取得する画素値取得部と、
前記画素値取得部によって取得された画素値を用いて、隣接する画素同士の輝度値の差分を算出し、該輝度値の差分が所定の閾値以上である場合には、隣接する画素のうち輝度値が低い画素を前記透明トナーが塗布された部分として検出する検出部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記画素値取得部は、前記透明トナーが塗布される間隔に応じて解像度を変更し、該解像度で紙媒体上の画像データを読み取ることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像形成装置と、画像読取装置と備える画像処理システムであって、
前記画像形成装置は、
紙媒体に埋め込む情報に応じたパターン画像を生成するパターン生成部と、
前記パターン生成部によって生成されたパターン画像を用いて、有色トナーが塗布された紙媒体に塗布するための透明版データを生成する透明版データ生成部と、
を備え、
前記透明版データ生成部は、有色トナーが塗布されたドットよりも小さい面積のドットで、該有色トナーが塗布されたドット上の一部に透明トナーを塗布するような透明版データを生成し、
前記画像読取装置は、
前記紙媒体上の画像データを読み取り、該画像データの画素値を取得する画素値取得部と、
前記画素値取得部によって取得された画素値を用いて、隣接する画素同士の輝度値の差分を算出し、該輝度値の差分が所定の閾値以上である場合には、隣接する画素のうち輝度値が低い画素を透明トナーが塗布された部分として検出する検出部と、を備える
ことを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−62749(P2013−62749A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201148(P2011−201148)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】