説明

画像形成装置、認証装置、画像形成システムおよび記録媒体

【課題】認証・集計といったアカウンティング機能やユーザの使用量制限をサーバで一元管理することが可能なシステムにおいて、制限枚数内で処理を実行するために、制限枚数を超えていないかどうかを問合せる仕組みにおいて、問い合わせ回数を効率良く減らす。
【解決手段】複合機100の上限値問合せ部108は、ジョブの実行に際し、認証サーバ200に、1頁目の処理に関する条件情報を送り、処理可能枚数を問合せる。その後、変更検出部110にて、次に処理する頁の条件情報に変更があることが検出されると、上限値問合せ部108は、再度、変更後の条件情報による処理可能枚数を問合せる。機器制御部104は、条件情報の変更が検出されると、新たな記録用紙への処理を禁止し、処理可能枚数が新たに取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用させる記録用紙の枚数制限を行うことのできる画像形成装置、認証装置、画像形成システムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
PC(パーソナル・コンピュータ)上で動作するアプリケーションと画像形成装置の機能を連携し、該画像形成装置がトータルアプリケーションシステムの一部となって動作するシステムがある。このシステムを利用することにより、認証・集計といったアカウンティング機能やユーザの使用量制限をサーバで一元管理することができる。
【0003】
特許文献1には、認証時にカラーやモノクロなどの機能(サービス)と該サービスに対応する利用予定枚数をユーザに入力させ、これを画像形成装置側から利用量制限装置に送信させ、この予定枚数がサービスに対応した利用可能な枚数の範囲内であって、利用量制限装置にて利用が許可されると、画像形成装置が入力された利用予定枚数の範囲内でジョブ(印刷や複写)を実行する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2は、画像形成装置に対して印刷データを送信する前にプリンタ制御装置にて印刷データの解析を行って、正確な料金をユーザに提示する技術が記載されている。これによれば、全頁のカラー/モノクロを判別して、印刷料金を算出した上で印刷を開始する。
【0005】
また、従来、多くのコンビニエンスストア等の店頭には複写機が設置され、訪れた利用者が気軽に複写処理を行えるようになっている。通常、このような複写機には、ユーザに対して複写処理の対価を請求するための料金管理装置が備わっており、ユーザは、複写処理を行う前にこの料金管理装置に料金を投入することで、投入した料金の範囲内で複写処理を行うことができる。そして、複写処理を行った量がユーザの投入した料金に見合う量を超過すると、複写処理が自動的に停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−186101号公報
【特許文献2】特開2006−88382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
店頭に設置された複写機を用いて複写を行う場合もそうであるが、今日、ユーザに対して、何がしかの条件に基づいて、画像形成装置において複写や印刷に利用(使用)できる記録用紙の枚数に制限を課し、制限の範囲内であれば使用を許可するといった画像形成装置の使われ方が増えている。
【0008】
このような場合に、特許文献1のように、認証時にカラーやモノクロなどの機能(サービス)と該サービスに対応する利用予定枚数をユーザに入力させて、利用量制限装置にてジョブを実行させるかどうかを判断させる構成では、入力操作等にかかる分、処理開始までに時間がかかり、画像形成装置のパフォーマンスの低下が余儀なくされる。
【0009】
特許文献2の場合も同様であり、印刷データの解析が終了するまでにかかる時間分だけ処理の開始が遅延し、画像形成装置のパフォーマンスの低下が余儀なくされる。この技術を複写に利用し、画像形成装置でスキャンしたスキャンデータをプリンタ制御装置に送信して解析させた場合も同様である。
【0010】
そして、今日、画像形成装置の処理速度はますます高速化されており、非常に高いパフォーマンスをもつ機種も登場している。しかしながら、このように、使用可能な枚数の算出に時間がかかることで、画像形成動作の開始が遅れてしまい、高いパフォーマンスを生かしきれていない。
【0011】
ところで、上述した、認証・集計といったアカウンティング機能やユーザの使用量制限をサーバで一元管理することが可能なシステムにおける枚数制限処理では、サーバあるいはPCが、ジョブ実行開始直前に、承認処理を行ってカラーであれば何枚、モノクロであれば何枚という指定を行い、画像形成装置は、指定された制限枚数に到達したときにジョブを停止する。
【0012】
たとえば、カラーが50円/1枚、モノクロが10円/1枚の単価設定において、ユーザが料金管理装置に100円投入すると、上記システムを構築するアカウントアプリケーションでは、カラーなら2枚、モノクロであれば10枚といった指定しか行えない。そのため、投入された金額内で、カラーおよびモノクロの両処理に対処するためには、画像形成装置は、1頁(1枚)の画像形成処理(ジョブ実行)ごとに、処理開始前に、アプリケーションに処理を実行してよいかどうか(制限枚数を超えていないかどうか)を問い合わせ、実行してよいと認証される度に処理を実行する構成とする必要がある。
【0013】
このような構成では、特許文献1,2のように、印刷予定枚数をユーザに入力させたり、プリンタ制御装置にて全頁のカラー/モノクロを解析させたりする必要がないので、処理の開始は迅速に行われる。
【0014】
しかしながら、50枚の画像形成処理を行うためには、50回の問い合わせが必要となり、処理枚数が増加するほど問い合わせ回数も増える。そのため、処理枚数が多くなると、問い合わせに要する時間が嵩んでしまい、画像形成装置のパフォーマンスの低下が余儀なくされる。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、認証・集計といったアカウンティング機能やユーザの使用量制限をサーバで一元管理することが可能なシステムにおいて、制限枚数内で処理を実行するために、制限枚数を超えていないかどうかを問合せる仕組みにおいて、問い合わせ回数を効率良く減らすことが可能な画像形成装置、認証装置、画像形成システム、プログラム、および記録媒体に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、認証装置と通信ネットワークを介して接続可能であり、機器制御部が、認証装置にて設定される画像形成処理が可能な処理可能枚数により画像形成部を制御して画像形成ジョブの実行を制限する画像形成装置であって、ジョブの実行に際し、認証装置に、1頁目の処理に関する条件情報を送り、その条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる初回問合せ部と、ジョブの実行中に、条件情報に変更があることを検出する変更検出部と、上記変更検出部にて条件情報の変更が検出される度に、変更後の条件情報と、変更前の条件情報で処理する処理枚数の情報とを認証装置に送り、変更後の条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる再問合せ部とを備え、上記機器制御部は、上記初回問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、当該ジョブの実行を開始し、ジョブの実行中、処理枚数が、当該条件情報での処理に許可されている処理可能枚数に達すると、新たな記録用紙への処理を禁止して当該ジョブを停止することを特徴としている。
【0017】
ここで、上記条件情報とは、例えば、カラー設定や、用紙サイズ、用紙種類、両面設定などの画像形成ジョブに対して設定されている設定条件の中の、認証装置が処理可能枚数を算出するために必要とする設定条件である。
【0018】
上記構成によれば、初回問合せ部にて1頁目の条件情報に基づく処理可能枚数の問合せが実施され、処理可能枚数が取得された後は、変更検出部にて条件情報の変更が検出されるまで、認証装置への処理可能枚数の問い合わせは行われない。
【0019】
変更検出部は、条件情報の変更を検出し、上記変更検出部にて条件情報の変更が検出される度に、再問合せ部が、変更後の条件情報と、変更前の条件情報で処理する処理枚数の情報とを認証装置に送り、変更後の条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる。
【0020】
機器制御部は、初回問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、当該ジョブの実行を開始し、ジョブの実行中、処理枚数が、当該条件情報での処理に許可されている処理可能枚数に達すると、新たな記録用紙への処理を禁止して当該ジョブを停止する。
【0021】
このように、上記構成によれば、認証装置への処理可能枚数の問合せ回数を、初回と、条件情報の変更があるときのみとでき、画像形成装置のパフォーマンスを極力低下させることなく画像形成処理を実施できる。
【0022】
本発明の画像形成装置においては、さらに、上記変更検出部は、画像形成部にて1頁分の処理がなされる毎に、条件情報の変更の有無を確認し、上記機器制御部は、上記変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、新たな記録用紙への処理を禁止し、上記再問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除し、当該ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が、直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、新たな記録用紙への処理を禁止する構成とすることもできる。
【0023】
上記構成によれば、初回問合せ部にて1頁目の条件情報に基づく処理可能枚数の問合せが実施され、処理可能枚数が取得された後は、変更検出部にて条件情報の変更が検出されるまで、認証装置への処理可能枚数の問い合わせは行われない。これにより、画像形成部は、条件情報の変更が検出されるまでは、連続して画像形成を実施する。
【0024】
その後、変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、機器制御部が、新たな記録用紙への処理を禁止する。これにより、無駄な画像形成が行われる記録用紙の発生を阻止できる。
【0025】
また、変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、再問合せ部にて変更後の条件情報に基づく処理可能枚数の問合せが実施され、変更後の条件情報に見合った処理可能枚数が取得される。このとき、再問合せ部は、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報も認証装置に送信する。これにより、変更前の条件情報で処理した処理結果を加味して設定された正確な処理可能枚数を取得することができる。
【0026】
機器制御部は、再問合せにて変更後の条件情報に見合った処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除する。これにより、画像形成が再開される。
【0027】
そして、機器制御部は、当該ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が、直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、新たな記録用紙への処理を禁止し、当該ジョブを停止する。
【0028】
このように、上記構成では、認証装置への処理可能枚数の問合せ回数を、初回と、条件情報の変更があるときのみとできるので、各頁毎に認証装置に対して処理可能枚数を問合せる構成に比して、一部の例外を除くほとんどの場合において減らすことができる。その結果、処理枚数が多い場合には、画像形成装置のパフォーマンスを極力低下させることなく画像形成処理を実施できる。なお、上記の一部の例外とは、頁毎にジョブ情報が変更するような画像形成ジョブ(例えば、モノクロ頁とカラー頁とが交互にあるような特殊な原稿の複写や印刷)である。
【0029】
本発明の画像形成装置においては、さらに、上記変更検出部は、画像形成部による処理とは関わりなく独立して条件情報の変更の有無を確認し、上記機器制御部は、各条件情報でそれぞれの条件情報の処理に許可されている処理可能枚数に達するまで処理を継続して行い、処理枚数が、当該条件情報での処理に許可されている処理可能枚数に達すると、新たな記録用紙の給紙を禁止する構成とすることもできる。
【0030】
これによれば、上記変更検出部は、画像形成部による処理とは関わりなく独立して条件情報の変更の有無を確認するので、画像形成部による画像形成処理が、条件変更点まで到達したときには既に、再問合せ部による問合せの回答を受領していることも可能となり、画像形成装置のパフォーマンスをより一層低下させることなく画像形成処理を実施できる。
【0031】
上記課題を解決するために、本発明の認証装置は、画像形成装置と通信ネットワークを介して接続可能であり、画像形成装置より送信される画像形成ジョブに関する情報を基に処理可能枚数を設定する認証装置であって、画像形成装置より、画像形成ジョブの処理に関する条件情報を含む処理可能枚数の問合せを受信すると、条件情報を基に、あるいは条件情報と共に処理枚数の情報が送信されてきた場合は条件情報と処理枚数の情報とを基に、当該条件情報で処理した場合の処理可能枚数を設定して、画像形成装置に対して送信する制限情報設定部を備えることを特徴としている。
【0032】
上記構成によれば、制限情報設定部が、条件情報を含む処理可能枚数の問合せを受信すると、条件情報で処理した場合の処理可能枚数を設定して、画像形成装置に対して送信するので、本発明の上記した画像形成装置と組み合わせて、画像形成システムを構築できる。
【0033】
また、本発明は、上記した画像形成装置と、上記した画像形成装置に適した認証装置とで構築される画像形成システムも本発明の範疇に含まれる。
【0034】
また、上記画像形成装置、認証装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各部として動作させることにより、上記画像形成装置、認証装置をコンピュータにて実現させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、認証・集計といったアカウンティング機能やユーザの使用量制限をサーバで一元管理することが可能なシステムにおいて、制限枚数内で処理を実行するために、制限枚数を超えていないかどうかを問合せる仕組みにおいて、問い合わせ回数を効率良く減らすことができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる画像形成システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図2】上記画像形成システムを構成する複合機の概略構造を示す縦断面図である。
【図3】上記画像形成システムにおいて、ある画像処理ジョブを実行するにあたり、複合機と認証サーバとの間で実施される情報(信号)のやり取りを示す説明図である。
【図4】上記画像形成システムにおいて、別の画像処理ジョブを実行するにあたり、複合機と認証サーバとの間で実施される情報(信号)のやり取りを示す説明図である。
【図5】上記画像形成システムにおける複合機が、認証サーバにて承認された制限内で画像形成ジョブを実行する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムで用いられる、アプリケーションに関連する情報の例(その1)を示す説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムで用いられる、アプリケーションに関連する情報の例(その2)を示す説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムで用いられる、アプリケーションに関連する情報の例(その3)を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムで用いられる、アプリケーションに関連する情報の例(その4)を示す説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムにおいて、アプリケーションから印刷ジョブを受信したときの複合機および認証サーバの動作を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムにおいて、複合機の機器制御部において、ジョブ実行継続許可問合せの結果に応じて印刷条件を変更して印刷する処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムにおいて、認証サーバの上限値設定部が、使用枚数の上限値に加算する増加枚数の例である。
【図14】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムにおいて、認証サーバの上限値設定部が、印刷終了時に使用枚数の上限値を変更する処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の他の実施形態にかかる画像形成システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図16】図15の画像形成システムにおける複合機が、認証サーバにて承認された制限内で画像形成ジョブを実行する際の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図5に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、コンビニエンスストア等の店頭に設置された複合機における処理を、認証サーバが、利用者が投入した金額の範囲内に制限する画像形成システムを例示する。
【0038】
図1は、本実施形態にかかる画像形成システムXの概略構成例を示すブロック図である。画像形成システムXにおいては、複合機(画像形成装置)100と、認証サーバ(認証装置)200と、情報処理装置(PC)301とが、インターネットやイントラネット等である通信ネットワーク60を介して接続されている。
【0039】
複合機100は、原稿読取ユニット30によって原稿を読み取って得た画像を、画像形成エンジン20によって記録用紙に対して形成する複写処理や、情報処理装置301から伝送された印刷データに応じた画像を記録用紙に形成する印刷処理を実行するものである。以下、複写処理と印刷処理とを特に区別する必要のない場合、両処理をまとめて画像形成処理と称する。
【0040】
複合機100は、画像形成処理を行うにあたり、認証サーバ200に対して処理可能な枚数の問合せを行い、ユーザの利用(使用)を利用可能な範囲内に制限することができるようになっている。具体的には、ユーザが支払った代金に見合った枚数の記録用紙への画像形成のみを許可するようになっている。
【0041】
認証サーバ200は、情報処理装置やサーバのCPUが、RAM等に格納されたアカウントアプリケーションを実行することで実現されており、コインベンダー等の課金装置300と接続されている。認証サーバ200は、課金装置300に投入された金額より、複合機100が、複写処理や印刷処理等の画像形成処理にて実行できる処理可能枚数を算出して複合機100に通知するものである。上記複合機100は、認証サーバ200にて承認された処理可能枚数の範囲内で画像形成処理を行う。
【0042】
図1では、課金装置300は認証サーバ200にローカル接続されているが、通信ネットワーク60上に接続されていてもよい。また、複合機100にローカル接続されていて、入金金額の情報が、複合機100の送受信部101より送信されてくる構成であってもよい。
【0043】
情報処理装置301は、複合機100の印刷機能を利用するものであり、PC/AT互換機やMAC規格機等の情報処理装置や、PDA等の携帯端末等の端末であってもよい。通信ネットワーク60に接続された、同様の構成の情報処理装置301が複数存在してもよい。
【0044】
通信ネットワーク60は、LAN、無線LAN、WiMAX、PLC、c.link等のイントラネット/インターネット等のIPネットワーク等であり、外部のネットワークと接続することもできる。また、通信ネットワーク60は、電話線、シリアルケーブルなどであってもよい。
【0045】
まずは、上記複合機100の構成について、図2を用いて説明する。図2は、複合機の概略構造を示す縦断面図である。複合機100は、複写処理、原稿読取処理、FAX処理および印刷処理を行うものであって、原稿読取ユニット(原稿読取部)30、画像形成エンジン(画像形成部)20、およびこれらを制御する制御部50を備えている。
【0046】
複合機100の画像形成エンジン20は、図2に示すように、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、感光体クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、転写ユニット10、定着ユニット7、給紙カセット81、および排紙トレイ91などを備えている。
【0047】
複合機100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、および感光体クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、4個ずつ設けられており、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの4つの画像形成ステーションを構成している。
【0048】
帯電器5は、同一画像形成ステーションに配された感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。帯電器5としては、スコロトロンなどのチャージャ型を用いてもよいし、接触式のローラ型やブラシ型を用いてもよい。
【0049】
露光ユニット1は、各画像形成ステーションの帯電器5によって均一に帯電された各感光体ドラム3に対して原稿の画像データに応じて露光を行い、画像データに対応する静電潜像を感光体ドラム3の表面に形成するものである。露光ユニット1としては、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いてもよいし、発光素子(例えばELやLED)をアレイ状に並べた書き込みヘッドを用いてもよい。なお、本実施形態の複合機100では、高速印字処理を行うために、複数のレーザ光を利用することにより照射タイミングの高速化を低減する2ビーム手法を採用している。
【0050】
現像器2は、同一画像形成ステーションに配された感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、収容しているトナー(YMCKのうちの何れか1色のトナーを収容)により顕像化してトナー像を形成するものである。
【0051】
また、感光体クリーナユニット4は、同一画像形成ステーションに配された感光体ドラム3の表面にトナー像転写後に残留するトナーを、除去して回収するものである。
【0052】
中間転写ベルトユニット6は、回転駆動される中間転写ベルト61の表面に、各画像形成ステージョンの感光体ドラム3表面に形成されたトナー像を、記録用紙上に転写させて重なり合わせるものである。
【0053】
中間転写ベルト61の内側には、各画像形成ステーションの感光体ドラム3と中間転写ベルト61を介して対向するように、中間転写ローラ64が4本設けられている。中間転写ローラ64には、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写電圧が印加される。
【0054】
また、中間転写ベルトユニット6には、さらに、記録用紙へトナー像を転写した後に中間転写ベルト61表面に残留するトナーを除去して回収するベルトクリーニングユニット65が設けられている。
【0055】
給紙トレイ81は、画像形成に使用する記録用紙を蓄積しておくためのトレイである。本実施形態では、大量の用紙に対して高速印字処理を行うために、本体下部に複数の給紙トレイ81a・81bが配置され、各トレイには定型サイズの用紙がそれぞれ500〜1500枚収納されている。また、給紙トレイ81a・81bに加えて、本体側部には、複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセットからなる給紙トレイ81c、並びに主として不定型サイズの用紙に対して印字を行う際に用いる手差しトレイよりなる給紙トレイ81dがさらに配置されている。これらの給紙トレイ81a〜81dに蓄積された記録用紙は、それぞれ給紙ローラ11a〜11dによって給紙された後、中間転写ベルト61と転写ユニット10との当接部位である転写ニップ部位へと搬送される。
【0056】
排紙トレイ91は、画像形成済みの記録用紙を集積するためのトレイである。排紙トレイ91には、本体内から排紙ローラ12によって排紙された記録用紙が載置される。なお、本実施形態の複合機100は、排紙トレイ91に代えて、画像形成後の用紙に対してステープル処理・パンチ処理などを行う後処理装置や、複数段の排紙トレイをオプションとして配置することも可能になっている。
【0057】
また、画像形成エンジン20には、給紙トレイ81a〜81dより給紙された記録用紙を転写ユニット10、定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送るための、略垂直形状の記録用紙搬送路Sが設けられている。給紙トレイ81a〜81dまでの記録用紙搬送路Sの近傍には、給紙ローラ11a〜11dを初めとして、複数の搬送ローラ、レジストローラ13、転写ユニット10、定着ユニット7、排紙ローラ12などが配されている。
【0058】
搬送ローラは、記録用紙の搬送を促進し補助するための小型のローラであり、記録用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、給紙ローラ11a〜11dは、給紙トレイ81a〜81dより1枚ずつピックアップされた記録用紙を記録用紙搬送路Sに供給する。
【0059】
また、レジストローラ13は、記録用紙搬送路Sを搬送されている記録用紙を一旦保持するものである。そして、中間転写ベルト61に転写されたトナー像の先端と記録用紙の所定の位置とを合わせるタイミングで記録用紙を転写ユニット10に搬送する。転写ユニット10には、中間転写ベルト61上のトナー像を記録用紙に転写するための転写電圧が印加される。
【0060】
定着ユニット7は、中間転写ベルトユニット6によって記録用紙上に転写されたトナー像を溶融して記録用紙に圧接することにより、トナー像を記録用紙上に定着させるものである。定着ユニット7は、定着ローラ71および加圧ローラ72を備えている。定着ローラ71の外周部には、用紙剥離爪、ローラ表面温度検出部材(サーミスタ)、ローラ表面をクリーニングするクリーニングユニットなどが配置されている。
【0061】
さらに、定着ローラ71の内部には、定着ローラ71の表面を所定の温度(概ね160〜200℃)に加熱するために、ハロゲンランプなどの熱源が配置される。他方、加圧ローラ72には、各ローラ71・72の両端部で加圧ローラ72が定着ローラ71に対して所定の圧力で圧接することができるように加圧部材が配置され、さらに加圧ローラ72の外周には定着ローラ71の外周と同様に用紙剥離爪、クリーニングユニットなどが配置されている。定着ユニット7は、これらの定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部(定着ニップ)において、記録用紙上の未定着トナーを定着ローラ71の表面温度で溶融するとともに2つのローラ71・72で圧接することにより、用紙上に定着させる。
【0062】
原稿読取ユニット30は、主として自動原稿給紙装置31および走査部32を有している。自動原稿給紙装置31の載置台に載置された複数の原稿用紙は、順次、走査部32の上部へ供給され、原稿の読み取りが行われる。
【0063】
また、複合機100は、図2には示していない操作部103(図1参照)を有しており、ユーザは、この操作部103によって、複合機100を操作することができるようになっている。例えば、ユーザは、操作部103によって複合機100に対して複写処理の開始を指示したりすることができる。
【0064】
制御部50は、上述した画像形成エンジン20および原稿読取ユニット30の各部に対する動作制御や画像データに対する画像処理を行うためのものである。制御部50は、CPU及びRAM、ROMを少なくとも含むマイクロコンピュータであり、ROM・RAMに記録されたプログラムを読み込み、RAMを作業領域として利用することによって機能している。
【0065】
また、上述したように、複合機100においては、ユーザの利用(使用)を利用可能な範囲内に制限することができるようになっている。このような利用制限は、制御部50によって行われている。
【0066】
次に、複合機100による画像形成工程について説明する。ここでは、複写処理について説明する。操作部103がユーザから複写処理の実行を受け付けると、原稿読取ユニット30によって原稿用紙が1枚ずつ読み取られ、画像データが作成される。そして、原稿の画像データに応じたサイズの記録用紙が、給紙トレイ81a〜81dのいずれかから給紙され、搬送ローラによってレジストローラ13まで搬送される。
【0067】
レジストローラ13に到達した記録用紙は一旦停止し、記録用紙の先端と中間転写ベルト61上のトナー像の先端とが一致するタイミングで再び搬送される。そして、再び搬送された記録用紙は、上述した転写ニップ部位においてトナー像が転写された後、定着ユニット7によってトナー像が定着され、排紙トレイ91上に排出される。
【0068】
ここで、複合機100が複数のモード(例えばコピーモード、プリンタモード、FAXモード)や、複数の印字処理手法(例えば片面印字または両面印字)を有している場合、定着ユニット7から排紙トレイ91までの搬送経路は、モードや印字処理手法に応じて変化する。
【0069】
これは、通常、コピーモードでは、ユーザが装置の周辺で操作を行うことから印字面が上側になって排出される「フェースアップ排出」が多く用いられる一方、プリンタ、FAXの各モードでは、ユーザが装置の周辺に居ないことから排出用紙のページ順を揃える「フェースダウン排出」が多く用いられるためである。したがって、複合機100は、定着ユニット7を通過した用紙を排紙トレイ91に排出するまでの間に、複数の搬送経路と複数の分岐爪を有し、目的に応じて搬送経路を選択している。
【0070】
また、複合機100においては、単位時間あたりに画像形成可能な記録用紙の枚数を向上させるために、マルチプロセス処理を行っている。
【0071】
ここで、マルチプロセス処理について説明する。上述したように、画像形成プロセスは通常、大きく分類して、給紙トレイから記録用紙を取得する給紙プロセス、感光体ドラム上に形成されたトナー像を記録用紙に転写させる転写プロセス、記録用紙に転写したトナー像を熱および圧力で定着させる定着プロセス、定着が行われた記録用紙を排紙トレイに排出する排紙プロセスにより構成され、これら各プロセスは別々に行われる。
【0072】
マルチプロセス処理においては、ある記録用紙に対して上記の何れかのプロセスが行われている最中に、他の記録用紙に対しては別のプロセスが行われる。表1に、マルチプロセス処理の一例を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示すように、1枚目の記録用紙に対して排紙ローラ12によって排紙トレイ91上に排紙する排紙プロセスを行うと同時に、2枚目の記録用紙に対して定着ユニット7によって定着プロセスを行う。また、3枚目の記録用紙に対して転写ユニット10によって転写プロセスを行い、さらに、4枚目の記録用紙に対して給紙ユニット81a〜81dから給紙ローラ11a〜11dによって給紙する給紙プロセスを実行する。
【0075】
複合機100は、複数の記録用紙に対して異なる処理を同時に実行することにより、処理速度が向上している。高速出力機能を有する画像形成装置では、このようなマルチプロセス処理が行われるのが一般的である。マルチプロセス処理を行うことで、高速な画像形成装置では100PPM以上の速度で出力が可能となっている。PPMとは、1分間の処理枚数である。
【0076】
再び、図1に戻り、複合機100および認証サーバ200の各機能について説明する。まずは、複合機100より説明する。
【0077】
図1に示すように、複合機100は、上述した画像形成エンジン20、原稿読取ユニット30に加えて、送受信部101、操作部103、ジョブパラメータ記憶部105、画像データ記憶部102、機器制御部104、変更検出部110、上限値記憶部107、カウント値記憶部106、算出部111、更新部109、上限値問合せ部(初回問合せ部、再問合せ部)108を備えている。
【0078】
これら各部のうち、機器制御部104、算出部111、更新部109、変更検出部110、上限値問合せ部108は、制御部50のCPUがRAMにロードされたプログラムを実行することによって実現される。
【0079】
操作部103は、タッチパネルなどのユーザ・インタフェースによって構成され、ユーザからの入力を受け付けるとともに、ユーザに対して各種情報を通知するものである。操作部103がユーザから受け付ける情報としては、(1)複写処理またはFAX送信処理などのジョブの種類を指定する情報およびジョブの実行命令、(2)複写処理またはFAX送信処理を実行する際の詳細な画像形成方法を示す詳細設定情報(出力部数、用紙タイプ、用紙サイズ、メディア量、出力濃度、ホチキス止めリクエスト、穴あけリクエスト、ページ照合リクエスト、カラー/モノクロ、カラー属性、カラー深度、両面印刷/片面印刷、割付形式、用紙トレイ選択、スキャンあて先、印刷あて先など)などが挙げられる。
【0080】
操作部103が受け付けたこれらの情報のうち、ジョブの詳細設定情報は、ジョブパラメータ記憶部105に格納される。ジョブパラメータ記憶部105は、ジョブの詳細設定情報を格納するメモリである。
【0081】
送受信部101は、例えばネットワークインターフェイスカードなどによって構成され、印刷処理の際に、外部の通信端末から印刷ジョブデータを受信するものである。
【0082】
送受信部101が受信した印刷ジョブデータには、画像データと上述した詳細設定情報とが含まれる。送受信部101が受信した印刷ジョブデータのうち、画像データは画像データ記憶部102に格納され、詳細設定情報はジョブパラメータ記憶部105に格納される。
【0083】
画像データ記憶部102は、画像形成処理する画像データを格納するメモリである。複写処理の際には、上述した原稿読取ユニット30が原稿用紙を読み取って作成した原稿の画像データが画像データ記憶部102に順次格納される。
【0084】
また、送受信部101は、後述する上限値問合せ部108からの指示により問合せ情報を認証サーバ200に送信し、かつ、この問合せに応答して認証サーバ200より送信されてくる処理可能枚数の情報を受信するものである。受信した処理可能枚数は、上限値記憶部107に格納される。
【0085】
上限値記憶部107は、認証サーバ200より送信されてきた処理可能枚数を上限値として記憶するものである。複合機100は、上限値記憶部107に記憶された上限値を超えないように、画像形成処理を実施する。
【0086】
上限値問合せ部108は、画像形成処理のジョブ(画像形成ジョブ)の実行に際し、画像形成エンジン20にて処理可能な枚数を問合せる問合せ情報を認証サーバ200に送り、処理可能な枚数を取得するものである(初回問合せ)。上限値問合せ部108が、ジョブ開始に際して送る問合せ情報には、1頁目の画像形成処理の条件情報が含まれている。上限値問合せ部108は、ジョブパラメータ記憶部105より機器制御部104に送られる詳細設定情報を参照して1頁目の条件情報を取得する。認証サーバ200からは、その条件情報で処理可能な枚数が送られてくる。
【0087】
ここで、条件情報について説明する。条件情報とは、カラー設定や、用紙サイズ、用紙種類、両面設定などの画像形成ジョブに対して設定されている処理に関する各種の設定条件の中の、認証サーバ200が、処理可能枚数を算出するのに必要な設定条件である。
【0088】
例えば、画像形成処理の単価(一枚当りの金額)は、カラー/モノクロ設定や、記録用紙のサイズなどで異なる単価に設定されることが多い。例えば、用紙サイズA3でカラー/モノクロ設定が白黒であれば30円/枚、A3以外で白黒であれば10円/枚や、用紙サイズにかかわらず、カラーであれば50円/枚、白黒であれば10円/枚というように設定されることもある。また、用紙サイズやカラー/モノクロ設定に加えて、用紙タイプや、ホチキス止め・穴あけ等の後処理の有無などによって、さらに細かく単価が設定されることもある。
【0089】
また、カラー/モノクロ設定におけるカラーがさらに細分化されたカラー属性もあり、カラー属性には、全ての色トナーを用いる「フルカラー」、色トナーのうちの複数色を用いる「選択カラー」、および色トナーのうちの1色を用いる「1色カラー」の3種類がある。このうち、「フルカラー」が最も単価が高く、「1色カラー」が最も単価が低い。また、詳細設定情報のカラー深度によって、単価が異なることもある。カラー深度とは、カラー画像における情報量を指し、解像度と同義である。カラー深度が高ければ高いほど、データのサイズが大きくなるため単価が高くなる。また、単価を左右するパラメータとして、カラー量を用いることもできる。カラー色材の消費量を指し、当然、カラー量が大きくなると単価が上がる。
【0090】
さらに、カラー/モノクロ設定におけるモノクロがさらに細分化された、モノクロ属性もあり、モノクロ属性には、色トナーのうちの2色を用いる「グレースケール」と、黒トナーのみを使用する「モノクロ2値」との2種類がある。グレースケールの方が単価が高い。また、単価を左右するパラメータとして、階調度属性を含めることもできる。階調度属性とは、各ドットの階調度を指し、階調度が高くなるほど画像がきれいになるが、その分データのサイズが大きくなるため、単価が高くなる。
【0091】
認証サーバ200が処理可能枚数を算出するのに必要な設定条件(条件情報)は、画像形成装置を導入する環境に依存する。したがって、条件情報は、認証サーバ200から、あるいは複合機100の操作部103を用いて自由に設定できる構成とすることが好ましい。
【0092】
但し、本実施形態の画像形成システムXにおいては、説明を簡略化するために、設定条件のうちのカラー/モノクロ設定のみを、条件情報としている場合を例示する。
【0093】
変更検出部110は、ジョブ実行中において、ジョブパラメータ記憶部105より機器制御部104に送られる詳細設定情報を参照し、次に処理される頁の条件情報に変更がある場合に、これを検出するものである。変更検出部110は、処理される頁の条件情報に変更があることを検出すると、上限値問合せ部108と、機器制御部104と、更新部109とに、変更有りを通知する。
【0094】
上限値問合せ部108は、変更検出部110より、条件情報に変更があることが通知されると、処理可能枚数を問合せる問合せ情報を再度、認証サーバ200に送って、新たな処理可能枚数を再取得する(再問合せ)。
【0095】
上限値問合せ部108が、条件情報の変更を検出して送る問合せ情報には、変更後の条件情報と、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報とが含まれている。上限値問合せ部108は、後述するカウント値記憶部106にてカウントされている処理枚数を、変更前の条件情報で処理した結果として用いる。
【0096】
ここで、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報を、変更後の条件情報と一緒に送信するのは、認証サーバ200にて、変更前の条件情報で処理された結果を考慮した上で、処理可能枚数を算出させるためである。これにより、認証サーバ200から送信されてくる変更後の条件情報で処理可能な枚数の情報は、複合機100において変更前の条件情報で処理された結果を考慮して算出された正しい値となる。
【0097】
変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報としては、処理済枚数であるカウント値と、このカウント値における条件情報とを送信する。また、認証サーバ200が、前回(初回の場合もある)、処理可能枚数を算出した際の条件情報を記憶しておける構成であれば、カウント値のみを送信すればよい。
【0098】
上限値問合せ部108は、変更検出部110が、次に処理される頁の条件情報に変更があることを検出する度に、認証サーバ200にこのような再問合せを行い、変更後の条件情報で処理可能な枚数を取得する。そして、上限値記憶部107の値は、条件情報が変更されて新しい処理可能な枚数が取得される度に書き換えられることとなる。
【0099】
機器制御部104は、画像形成エンジン20の上述した各部を制御することにより、画像データ記憶部102より受け取った画像データに応じた画像を、ジョブパラメータ記憶部105に格納されている詳細設定情報に従って、記録用紙上に形成するものである。
【0100】
機器制御部104は、複写処理の場合には原稿読取ユニット30が原稿用紙を読み取って作成した原稿の画像データを、印刷処理の場合には送受信部101が受信した印刷ジョブデータのうちの画像データを、画像データ記憶部102から受け取る。そして、機器制御部104は、受け取った画像データとジョブパラメータ記憶部105に格納された詳細設定情報とに基づいて画像形成エンジン20の上述した各部を制御することで、画像形成エンジン20が記録用紙に対して所望の画像(外部の通信端末から受信した印刷データに応じた画像または原稿用紙に描画された原稿画像に応じた画像)を形成する(画像の詳細な形成方法は、詳細設定情報に従う)。
【0101】
そして、機器制御部104は、上限値問合せ部108による初回の問合せにて処理可能枚数が取得されると、ジョブの実行を開始する。そして、変更検出部110にて条件情報の変更が検出されると、新たな記録用紙への処理を禁止し、上限値問合せ部108の再問合せにて処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除して処理を再開する。さらに、機器制御部104は、ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が、直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、新たな記録用紙への処理を禁止し、当該ジョブを停止する。
【0102】
詳細については後述するが、機器制御部104には、処理可能枚数である上限値(上限値記憶部107に格納されている値)と、画像形成エンジン20が上限値を取得してから実際に処理した処理枚数との差が入力されるようになっており、機器制御部104は、入力された差が1以上の場合に処理を実行するようになっている。
【0103】
カウント値記憶部106は、画像形成エンジン20が、当該ジョブにおいて画像形成処理した処理済枚数(カウント値)を記憶するものである。処理済枚数は、条件情報が変更されると、ゼロに設定され直すので、条件情報毎に算出される。カウント値記憶部106のカウント値は、ジョブ開始前はゼロに設定されている。
【0104】
更新部109は、画像形成エンジン20が1枚の記録用紙に画像形成処理を実施する度に、カウント値記憶部106のカウント値を1つ増加させるものである。更新部109は、変更検出部110にて条件情報の変更が検出されると、カウント値記憶部106のカウント値をゼロとする。これにより、条件情報毎の処理済枚数の算出が可能となる。
【0105】
算出部111は、上限値記憶部107から上限値を取得し、カウント値記憶部106からカウント値(処理済枚数)を取得し、上限値からカウント値を差し引くことによって、上限値とカウント値との差を算出するものである。算出された差の値は、機器制御部104へ送られる。
【0106】
機器制御部104は、算出部111から受け取った差の値に基づいて、画像形成エンジン20による画像形成処理を実施するか否かを決定する。上述したように、機器制御部104は、差の値が1以上の場合には、新たな記録用紙に対して画像形成を行うように画像形成エンジンを制御し、差の値が0の場合には、機器制御部104は、画像形成エンジン20が新たな記録用紙に対して画像形成を開始することを禁止する。
【0107】
つまり、画像形成エンジン20が画像形成を行うたびに減少していく、算出部111によって算出される差の値に基づき、差がセロとなったときに(カウント値が上限値に到達したとき)、機器制御部104は、新たな記録用紙に対する画像形成を開始させないように、画像形成エンジン20を制御する。
【0108】
機器制御部104が、このように、画像形成エンジン20を制御することで、画像形成エンジン20が、上述したマルチプロセス処理にて画像形成を行っていた場合でも、処理可能枚数を超えた記録用紙(無駄になる記録用紙)に対して、余分な画像形成が行われることを阻止できる。
【0109】
これについて、もう少し詳細に説明する。マルチプロセス処理においては、上述したように、給紙プロセス、転写プロセス、定着プロセス、排紙プロセスの各プロセスが同時に実行される。そのため、画像形成エンジン20が処理した枚数のカウントを、排紙プロセスが完了した時点で行うと、その時点で上限値に到達していることを検知して直ちに新たな記録用紙への画像形成を禁止したとしても、その時点ですでに後続の記録用紙に対して各種プロセスが実行されているために間に合わず、これらの記録用紙への画像形成が無駄になる。先に示した表1の例を用いると、少なくとも3枚の記録用紙に対して余分な画像形成が行われてしまう。
【0110】
これに対し、上述したように、機器制御部104が、カウント値と上限値との差が1以上である場合に、新たな記録用紙に対する画像形成を開始させ、上記差がゼロである場合に、新たな記録用紙に対する画像形成を開始させないように画像形成エンジン20を制御することで、処理可能枚数を超えた記録用紙に対して、余分な画像形成が行われることを確実に阻止できる。
【0111】
また、このような構成では、処理済枚数(カウント値)が上限値に到達する、あるいは条件情報の変更がある場合を除いて、各プロセスにて並行して処理が行われる記録用紙の枚数は低減されないので、常にシングルプロセス処理を行う画像形成装置に比べて、高速な処理が可能となる。
【0112】
さらに、本実施形態においては、上限値問合せ部108は、ジョブの実行が完了するあるいは停止されると、完了時点あるいは停止時点のジョブの処理結果情報である最終処理結果情報を認証装置に報告する機能(報告手段)も有している。上限値問合せ部108には、機器制御部104から、ジョブの完了、あるいは上限値到達によるジョブ停止が通知される。
【0113】
上限値問合せ部108は、ジョブの実行が完了する、あるいは上限値到達でジョブが停止すると、カウント値記憶部106に記憶されているカウント値を参照し、このカウント値と、このカウント値における条件情報とを、最終処理結果情報として、認証サーバ200に送る。これにより、認証サーバ200は、最終の処理枚数を取得することができるので、正確な残金管理が可能となる。なお、この場合も、認証サーバ200が、前回、処理可能枚数を算出した際の条件情報を記憶しておける構成であれば、カウント値のみの送信でもよい。
【0114】
次に、認証サーバ200について説明する。図1に示すように、認証サーバ200は、送受信部201、操作部205、条件記憶部204、上限値設定部(制限情報設定部)202、残金管理部(金額情報取得部)203を備えている。これら各部のうち、上限値設定部202、残金管理部203は、認証サーバを構成している情報処理装置あるいはサーバ装置のCPUがRAMにロードされたプログラムを実行することによって実現される。
【0115】
送受信部201は、複合機100より送信されてくる問合せ情報や、最終処理結果情報を受信するものである。また、送受信部201は、上限値設定部202にて設定された処理可能枚数を複合機100に送信するものである。
【0116】
認証サーバ200の送受信部201と、複合機100の送受信部101との間で実施される、処理可能枚数の問合せや処理可能枚数の返答等のやり取りは、HTML、XML、WMLおよびXHTMLからなるグループから選択された何れか1つのマークアップ言語によって記述されたデータコマンドによって行われる。これにより、汎用的な方法で情報のやりとりが可能となる。
【0117】
送受信部201は、問合せにおいて情報に含まれる、1頁目の条件情報(初回の問合せ)や、変更後の条件情報(再問合せ)は、上限値設定部202に送り、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報は、残金管理部203に送る。
【0118】
残金管理部203は、課金装置300より入力される入金金額と、複合機100より送信されてくる、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報に基づき、残金を算出するものである。残金管理部203は、処理結果情報が送信されてくる度に、現時点での残金を算出する。算出した残金の情報は、上限値設定部202に出力される。
【0119】
上限値設定部202は、残金管理部203より送られてくる入金金額(初回)、あるいは残金情報(初回以外)と、複合機100より送られてくる条件情報とを基に、当該条件情報で処理した場合の処理可能枚数を算出して設定するものである。
【0120】
処理可能枚数の算出には、条件記憶部204に記憶されている条件情報のパラメータも参照する。条件記憶部204には、処理可能枚数の算出に必要な、各条件情報に応じた単価が記憶されている。
【0121】
上述したように、本実施形態の画像形成システムXにおいては、詳細設定条件のうちのカラー/モノクロ設定のみを、条件情報としている。このような場合であれば、カラーの単価と、モノクロの単価とが、条件記憶部204に記憶されている。
【0122】
上限値設定部202は、条件情報がカラーである場合は、カラーの単価で入金金額(初回)、あるいは残金情報(初回以外)を除して、その商の値の整数値を処理可能な枚数として設定する。
【0123】
条件記憶部204に記憶されている条件情報、および条件情報に応じた単価については、操作部205を用いて変更できるようになっている。操作部205は、認証サーバ200を構成している情報処理装置あるいはサーバ装置のユーザ・インタフェースである。
【0124】
図3に、上記画像形成システムXにおける複合機100にて画像処理ジョブを実行するにあたり、複合機100と認証サーバ200との間で実施される、情報(信号)のやり取りを示す。図3の例では、カラー5頁(連続)/白黒26枚頁(連続)/カラー9頁(連続)/白黒1頁の計41頁のカラー頁と白黒頁とが混在している印刷データを、投入金額1000円で処理する場合のやり取りを示している。単価は、カラー50円/1枚、白黒10円/1枚である。
【0125】
複合機100は、画像形成ジョブの実行命令を受け付けると、認証サーバ200に対して初回の問合せを行う。ここでは、1頁目の条件情報であるカラー設定であることを送信する。
【0126】
認証サーバ200は、この問合せを受けて、投入金額1000円をカラーの単価で除した場合の商である「20」を処理可能枚数として設定し、承認結果である「カラー20枚OK」を回答する。
【0127】
これを受けて、複合機100はジョブを開始し、連続するカラー5頁分の処理を実施する。5頁目の記録用紙が給紙された後であって、6頁目の条件設定が確認され、条件情報がカラーから白黒に変更されることを検出すると、複合機100は、6頁目の記録用紙の給紙を禁止し、認証サーバ200に対して再問合せを行う。ここでは、6頁目の条件情報である白黒設定であること、および既にカラーを5枚処理したことを送信する。
【0128】
認証サーバ200は、この再問合せを受けて、投入金額1000円からカラー5枚を処理した場合の残金750円を白黒の単価で除した場合の商である「75」を処理可能枚数として設定し、承認結果である「白黒75枚OK」を回答する。
【0129】
これを受けて、複合機100は給紙禁止を解除し、6頁目から31頁までの連続する白黒26頁分の処理を実施する。そして、31頁目の記録用紙が給紙された後であって、32頁目の条件設定が確認され、条件情報が白黒からカラーに変更されることを検出すると、複合機100は、32頁目の記録用紙の給紙を禁止し、認証サーバ200に対して再問合せを行う。ここでは、32頁目の条件情報であるカラー設定であること、および既に白黒を26枚処理したことを送信する。
【0130】
認証サーバ200は、この再問合せを受けて、先の残金750円から白黒26枚を処理した場合の残金490円をカラーの単価で除した場合の商である「9」を処理可能枚数として設定し、承認結果である「カラー9枚OK」を回答する。
【0131】
これを受けて、複合機100は給紙禁止を解除し、32頁目から40頁までの連続するカラー9頁分の処理を実施する。そして、40頁目の記録用紙が給紙された後であって、41頁目の条件設定が確認され、条件情報がカラーから白黒に変更されることを検出すると、複合機100は、41頁目の記録用紙の給紙を禁止し、認証サーバ200に対して再問合せを行う。ここでは、41頁目の条件情報である白黒設定であること、および既にカラー9枚処理したことを送信する。
【0132】
認証サーバ200は、この再問合せを受けて、先の残金490円からカラー9枚を処理した場合の残金40円を白黒の単価で除した場合の商である「4」を処理可能枚数として設定し、承認結果である「白黒4枚OK」を回答する。
【0133】
これを受けて、複合機100は給紙禁止を解除し、41頁目の白黒1頁分の処理を実施して、ジョブを完了する。その後、複合機100は、白黒を1枚処理したことを、最終処理結果として送信する。
【0134】
認証サーバ200は、この最終処理結果を受信して、先の残金40円から白黒1枚を処理した場合の返金30円を課金装置300に送信する。
【0135】
一方、図4に、ジョブの途中で制限に到達し、ジョブが途中で停止されるケースの例を示す。図3と図4の違いは、印刷データにある。図3の例では、カラー5頁(連続)/白黒26枚頁(連続)/カラー9頁(連続)/白黒1頁の計41頁のカラー頁と白黒頁とが混在している印刷データであった。これに対し、図4の例では、最終の白黒頁が7頁(連続)となっている。投入金額や単価設定は同じである。
【0136】
図4の最終段に示すように、認証サーバ200からの承認結果である「白黒4枚OK」を受けて、複合機100は給紙禁止を解除し、41頁目〜47頁目の白黒7頁分の処理を実施しようとするが、4枚処理した時点で、算出部111の算出値がゼロとなるので、この時点でジョブを停止する。その後、複合機100は、白黒を4枚処理したことを、最終処理結果として送信する。認証サーバ200は、この最終処理結果を受信して、先の残金40円から白黒4枚を処理した場合の返金0円を課金装置300に送信する。
【0137】
図3、図4の例では、複合機100から認証サーバ200への問合せ回数は、初回と条件情報が変更される3回の合計4回のみとなり、1頁(1枚)の処理ごとに問合せを行う場合の合計41回に比べて、大幅に減らすことができる。このような問合せ回数の削減による効果は、処理枚数が多く、また、ジョブの全処理枚数に対する条件情報の変更回数が少ないほど得られ、複合機100のパフォーマンスを大幅に向上させることができる。
【0138】
図5のフローチャートに、上記複合機100における認証サーバ200にて承認された制限内で画像形成ジョブを実行する処理手順を示す。
【0139】
複合機100は、ジョブの実行命令を受け付けると(S1)、頁単位のジョブ情報を取得する(S2)。取得したジョブ情報の中から、1頁目の詳細設定条件を参照し、1頁目の条件情報を認証サーバ200に通知する(S3)。これにより、認証サーバ200より1頁目の条件情報に見合う処理可能枚数が送信されてくる。複合機100は、送信されてきた処理可能枚数を受信し、処理可能枚数である上限値を取得する(S4)。
【0140】
上限値が取得されると、複合機100は、カウント値記憶部106のカウント値(処理済枚数)と上限値とを比較する(S5)。ここで、カウント値が上限値以上である場合には、S17に移行して、上限値到達としてジョブを停止し、処理を終了する。
【0141】
一方、カウント値が上限値よりも小さい場合には、画像形成エンジン20に1頁分のデータを送信して1頁目の処理を開始する(S6)。また、画像形成エンジン20に1頁分のデータを送信すると、カウント値記憶部106のカウント値を1増加させる(S7)。
【0142】
そのあと、ジョブが完了したかどうかを判断する(S8)。ここで、完了したと判断すると、処理を終了する。
【0143】
一方、S8にて、ジョブが完了していないと判断すると、次頁の条件情報に変更があるかどうかを判断する(S9)。ここで、変更なしと判断すると、S5に戻り、次頁の処理について、カウント値が上限値未満である場合に、次頁のデータを画像形成エンジン20に送信する。以降、S5〜S9の処理を、S9にて、変更ありと判断されるまで繰り返し、その間、S5にてカウント値が上限値以上であると判断される、あるいはS8にてジョブ完了と判断されると、処理を終了する。
【0144】
S9にて、変更ありと判断されると、変更後の条件情報を、変更前の条件情報の処理済枚数と共に、認証サーバ200に通知する(S10)。これにより、認証サーバ200より変更後の条件情報に見合う処理可能枚数が送信されてくる。複合機100は、送信されてきた処理可能枚数を受信し、上限値を設定しなおす(S11)。また、S10においては、認証サーバ200への通知と共に、カウント値記憶部106のカウント値もゼロに戻す。
【0145】
変更後の条件情報に見合う新しい上限値が取得されると、複合機100は、カウント値記憶部106のカウント値(処理済枚数)と上限値とを比較し(S12)、カウント値が上限値よりも小さい場合には、画像形成エンジン20に条件情報の変更があった1頁分のデータを送信して処理を開始する(S13)。そして、S7と同様に、画像形成エンジン20に1頁分のデータを送信すると、カウント値記憶部106のカウント値を1増加させる(S14)。そして、そのあと、ジョブが完了したかどうかを判断し(S15)、ジョブが完了していないと判断すると、次頁の条件情報に変更があるかどうかを判断する(S16)。ここで、変更なしと判断すると、S12に戻り、次頁の処理について、カウント値が上限値未満である場合に、次頁のデータを画像形成エンジン20に送信する。以降、S5〜S9と同様に、S12〜S16の処理を、S16にて、変更ありと判断されるまで繰り返し、その間、S12にてカウント値が上限値以上であると判断される、あるいはS15にてジョブ完了と判断されると、処理を終了する。
【0146】
一方、S16にて変更ありと判断されると、S10に戻り、変更後の条件情報を、変更前の条件情報の処理済枚数と共に、認証サーバ200に通知し、上限値を設定しなおす(S11)。その後、S5〜S9と同様のS12〜S16の処理を繰り返す。S16にて、変更ありと判断されてS10に戻ってS12〜S16の処理を繰り返すうちに、S12にてカウント値が上限値以上であると判断される、あるいはS15にてジョブ完了と判断されると、処理を終了する。
【0147】
なお、図5のフローチャートでは記載を省略しているが、S8、あるいはS15にて、ジョブ完了と判断した場合、およびS17にて上限値到達としてジョブを停止した場合には、処理を終了する前に、認証サーバ200に対して、直前の問合せを行ってから複合機100にて処理した枚数を報告する処理を実施する。
【0148】
以上のように、複合機100においては、上限値問合せ部108が、認証サーバ200に、画像形成ジョブの実行に際し、1頁目の処理に関する条件情報を送り、その条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せ、ジョブの実行中に、次に処理する頁の条件情報に変更があると、その度に、変更後の条件情報と、変更前の条件情報で処理した処理結果情報とを認証サーバ200に送り、変更後の条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる。そして、機器制御部104は、初回問合せによる問合せにより処理可能枚数が取得されると、当該ジョブの実行を開始し、条件情報の変更が検出されると、新たな記録用紙への処理を禁止し、再問合せにより処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除する。
【0149】
このように、上記構成では、認証サーバ200への処理可能枚数の問合せ回数を、初回と、条件情報の変更があるときのみとできるので、各頁毎に認証装置に対して処理可能枚数を問合せる構成に比して、一部の例外を除くほとんどの場合において減らすことができる。その結果、処理枚数が多い場合には、画像形成装置のパフォーマンスを極力低下させることなく画像形成処理を実施できる。
【0150】
〔実施形態2〕
本発明の一実施形態について図6から図13に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、オフィス等に設置されている複合機における処理を、認証サーバが、ユーザ毎に設定されている制限枚数内に制限する画像形成システムを例示する。
【0151】
なお、説明の便宜上、実施形態1で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0152】
図6は、本実施形態にかかる画像形成システムYの概略構成例を示すブロック図である。画像形成システムYにおいては、複合機(画像形成装置)100Aと、認証サーバ(認証装置)400と、アプリケーションサーバ500とが、インターネットやイントラネット等である通信ネットワーク60を介して接続されている。
【0153】
(複合機100Aの説明)
本実施形態の複合機100Aは、実施形態1の複合機100と同様であるが、認証問合せ部115をさらに備えている点と、上限値問合せ部(継続許可問合せ部)108が、上限値到達時にジョブ実行継続許可の問合せを行う点が異なる。
【0154】
まず、認証問合せ部115について説明する。認証問合せ部115は、以下の処理を行う。ユーザが複合機100Aを使用するときに、ユーザにより認証情報(例えば、ユーザのログイン名とパスワード)を入力させ、入力された認証情報を認証サーバ400に送信してユーザ認証を行う。
【0155】
認証許可の信号が受信されたときには、認証サーバ400から返信されたユーザIDを記憶するとともに、操作部103にアプリケーション選択画面等の初期画面を表示する。
【0156】
ログインしたユーザがアプリケーション選択画面にて実行すべきアプリケーションを選択すると、選択されたアプリケーションの実行要求をアプリケーションサーバ500に送信する。
【0157】
ここで、アプリケーションに関連する情報とは、例えば、アプリケーション名、印刷ジョブを実行する際にユーザが設定した実行ジョブの印刷条件(例えば、カラー設定情報、両面設定情報、集約設定情報等)、あるいはアプリケーションが登録されているアプリケーションサーバのドメイン名等である。
【0158】
上限値問合せ部108は、上限値到達時に、ジョブ実行継続許可問合せ情報を認証サーバ400に通知する。ジョブ実行継続許可問合せ情報には、カウント値記憶部106に記憶されているカウント値およびこのカウント値における条件情報が含まれている。
【0159】
(認証サーバ400の説明)
次いで、認証サーバ400の構成について説明する。認証サーバ400は、認証部401、上限値設定部403、送受信部201から構成されている。
【0160】
認証部401は、ユーザの入力した認証情報(ログイン名、パスワード)を複合機100Aから受信して、ユーザ情報管理データベース402と照合して認証し、認証された場合には、認証許可の信号とユーザIDを返信し、証されないときには認証不許可の信号を返信する。
【0161】
ここで、ユーザ情報管理データベース402には、ユーザ認証とユーザの使用枚数に関する情報が記憶されている。
【0162】
ユーザ認証に関する情報としては、複合機100Aを利用可能なユーザを識別するために、ユーザID、認証情報(ログイン名およびパスワード)が記憶される。
【0163】
また、ユーザの使用枚数に関する情報としては、ユーザIDごとに、使用済み累積枚数、使用枚数の上限値等を記憶している。この使用済み累積枚数は、ユーザが使用した処理枚数の累積である。使用枚数の上限値は、使用枚数制限を行うためにユーザに割り当てられた処理枚数の上限値であり、使用済み累積枚数がこの上限値に到達した場合、処理の実行を停止する。
【0164】
ここで、使用枚数の上限値は、複合機100Aとの間で予め定められた条件情報に応じて設定されている。本実施形態では、実施形態1と同様に、説明を簡略化するために、設定条件のうちのカラー/モノクロ設定のみを、条件情報としている場合を例示する。
【0165】
上限値設定部(制限情報設定部、継続許可判定部)403は、複合機100Aからの問合せに対し、条件情報に応じた処理可能枚数を、ユーザ情報管理データベース402を参照して回答するものである。
【0166】
また、上限値設定部403は、複合機100Aにて処理枚数が上限値に到達し、複合機100Aよりジョブ実行継続許可問合せが通知されると、下記のような情報を記憶したアプリケーション情報データベース404を参照して、複合機100Aから受信したアプリケーションに関連する情報とを照合して、ジョブ実行の動作(継続許可、継続不可)を判定する。
【0167】
(1)図7のように、アプリケーション名に対応してジョブ実行継続可否の区別を記憶しておき、複合機100Aから受信したアプリケーションに関連する情報(アプリケーション名)と対比して、継続許可または継続不可を判定する。
【0168】
(2)図8のように、アプリケーション名に対応してアプリケーションの利用条件が有料か無料かの区別を記憶しておき、複合機100Aから受信したアプリケーションが有料の場合には、継続許可とし、無料の場合には継続不可と判定する。
【0169】
(3)図9のように、アプリケーション名に対応してアプリケーションの設定条件(例えば、カラー設定情報、両面設定条件、集約設定条件等)を記憶し、実行ジョブの設定情報が複合機100Aから受信したアプリケーションに対応するアプリケーションの設定条件を満足しているとき継続許可とし、満たしていないときに継続不可と判定する。
【0170】
例えば、図9の条件の下、ユーザがアプリケーション1を用いて、カラー設定をモノクロ印刷、両面設定を両面印刷、集約設定を2ページを1ページに集約して印刷する設定でジョブの実行要求を行っている場合に、白黒の画像形成処理の上限値に到達したとしても、アプリケーション情報データベース404に記憶しているアプリケーション1の処理条件を満たしているため、継続許可となり、ジョブの実行が継続される。
【0171】
一方、ユーザがアプリケーション1を用いて、カラー設定をカラー印刷、両面設定を両面印刷、集約設定を4ページを1ページに集約して印刷する設定でジョブの実行要求を行っている場合に、カラーの画像形成処理の上限値に到達した場合には、アプリケーション1の処理条件を満たしていないため、継続不可となり、ジョブの実行が停止される。
【0172】
(4)図10のように、アプリケーションサーバの属するドメイン名を記憶し、複合機100Aから受信したアプリケーションに関連する情報(アプリケーションが登録されているアプリケーションサーバの属するドメイン名)が登録されているときには継続許可とし、登録されていないときには継続不可と判定する。
【0173】
アプリケーションサーバで実行可能なすべてのアプリケーションについて、使用枚数制限に到達しても印刷実行が継続されるように設定する場合には、アプリケーション情報データベース404にアプリケーションごとに設定する必要がなくなり、登録作業が容易になる。
【0174】
また、アプリケーションに関連する情報が上記のアプリケーション情報データベース404に登録されていない場合には、継続不可と判定する。
【0175】
(アプリケーションサーバ500の説明)
次いで、アプリケーションサーバ500の構成について説明する。アプリケーションサーバ500は、1つ以上のアプリケーションソフトを記憶しており、複合機100Aからの要求により指定されたアプリケーションソフトを実行する。このアプリケーションは、当該アプリケーションの実行要求した複合機100Aと連携して画像形成ジョブによる印刷処理の実行を要求する。
【0176】
(印刷実行の処理手順の説明)
次に、アプリケーションから印刷ジョブを受信したときの複合機100Aおよび認証サーバ400の動作について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0177】
複合機100Aは、アプリケーションサーバ500で実行中のアプリケーションから印刷ジョブを受信すると(S1)、実施形態1の説明で用いた図5のフローチャートにおけるS2〜S16までの処理を行う。但し、本実施形態では、S3の初回問合せにおいて、ユーザIDと当該アプリケーションに関連する情報も認証サーバ400に送信する。
【0178】
S2〜S16の処理を行う間に、S5、あるいはS12にて、処理枚数が上限値に到達すると、図5のフローチャートではS17にてジョブ停止を行ったが、本実施形態では、図11に示すS21に進み、ジョブ実行継続許可問合せ情報を認証サーバ400に送信する。
【0179】
そして、認証サーバ400から継続許可が返信された場合には(S22のYES)、ジョブを継続して印刷を実行し(S24)、S25にてジョブ完了と判断されるまで、印刷を実行し、ジョブ完了と判断されると、処理を終了する。
【0180】
一方、認証サーバ400から継続不可が返信された場合には(S22のNO)、ジョブの実行を停止して、処理を終了する。
【0181】
なお、図5のフローチャートと同様に図11においても記載を省略しているが、S25にて、ジョブ完了と判断した場合、およびS23にてジョブを停止した場合には、処理を終了する前に、認証サーバ400に対して、直前の処理可能枚数の問合せを行ってから複合機100Aにて処理した枚数を報告する処理を実施する。
【0182】
一方、認証サーバ400においては、複合機100Aから実行継続許可問合せ情報を受信すると(S30)、アプリケーション情報データベース404を参照して、複合機100Aから受信したアプリケーションに関連する情報を基に実行継続あるいは実行不可を決定する(S31)。
【0183】
S31にて、実行継続と決定されると(S32のYES)、実行継続通知を複合機100Aに返信し(S33)する。一方、S31にて、実行継続不可と決定されると(S32のNO)、実行不可通知を複合機100Aに返信する(S34)。
【0184】
(変形例1)
上記の実施形態2は、印刷が実行継続と判定された場合、使用枚数の上限値を超える印刷でもユーザの設定した印刷条件で印刷される。本変形例1は、上記上限値を超えて印刷を実行する場合、複合機内の紙やトナーなどの資源を節約する印刷条件に置き換えて印刷するものである。
【0185】
本変形例1に拠れば、例えば、上記上限値を超えて印刷するときに、カラー印刷をモノクロ印刷に置き換えて印刷し、また、数ページを1ページに集約して印刷し、紙やトナーの資源を節約することができる。
【0186】
複合機100Aの機器制御部104では、印刷ごとに、認証サーバ400から実行継続通知を受信すると、ユーザが設定した印刷ジョブの設定情報に拘らず上記紙やトナーなどの資源を節約する印刷条件に変更し、印刷を実行する。
【0187】
図12のS41〜43は、機器制御部104において、本変形例1の処理手順を示すフローチャートであり、図11のS21からS24に代わるものである。
【0188】
なお、ユーザが設定した印刷ジョブの設定情報が紙やトナーなどの資源を節約する印刷条件よりも節約可能な場合では、ユーザの設定情報のままとしてもよい。例えば、ユーザの設定情報が6−upで、予め設定された印刷条件が4−upの場合には、6−upのままとして印刷を行わせる。
【0189】
(変形例2)
以上の実施形態2は、上限値を超える印刷の実行後は、特定のアプリケーションからの印刷ジョブ以外は、印刷ができなくなる。
【0190】
本変形例2では、印刷が終了した時点で、ユーザの使用枚数の上限値を変更することによって、上記上限値を超えた印刷がなかったようにして、次回の印刷ジョブを印刷可能にするものである。
【0191】
認証サーバ400の上限値設定部403は、アプリケーションに対応してユーザの使用枚数の上限値に加算する枚数を記憶するテーブルを保持し、当該印刷ジョブの印刷が終了した時点で、上記テーブルを参照して、当該印刷ジョブの実行を要求したアプリケーションに対応した枚数を取得し、ユーザの使用枚数の上限値にこの取得した枚数を加算して更新する。
【0192】
例えば、図13のように、上記テーブルに記憶する枚数は、「実行枚数」、「ゼロ枚」または「任意の枚数」あり、「実行枚数」は印刷ジョブが印刷した枚数、「ゼロ枚」は加える枚数がない、「n枚」は加算される枚数が任意に設定された枚数を示している。実行枚数を加算することにより、当該アプリケーションによる印刷ジョブが実行されなかったことと同じ状態になる。
【0193】
図14は、認証サーバ400の上限値設定部403において、本変形例2の処理手順を示すフローチャートである。
【0194】
従来は、使用枚数制限に到達したユーザは使用枚数制限をシステム管理者によって緩和してもらうまで、印刷ジョブを実行することができないが、本変形例2のように、ジョブ完了受信(S50)後に、S51,S52を行って、印刷ジョブ実行後に使用枚数の上限値を増やすことにより、ユーザは次回のジョブも実行することが可能となる。
【0195】
これは、私的印刷の場合は使用枚数制限を課すが、授業の教材などやむを得ず印刷しなければならないものについては使用枚数制限を課さないといった用途に有効である。
【0196】
〔実施形態3〕
本発明の一実施形態について図15、図16に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態でも、実施形態2と同様、オフィス等に設置されている複合機における処理を、認証サーバが、ユーザ毎に設定されている制限枚数内に制限する画像形成システムを例示する。
【0197】
なお、説明の便宜上、実施形態1、2で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0198】
(複合機100Bの説明)
本実施形態の複合機100Bは、画像形成エンジン20による画像形成処理とは関わりなく独立して、ジョブ実行中に各頁の条件情報を解析して、条件情報の変更がある場合には、先の条件情報での画像形成処理の完了を待たずに、認証サーバ200に対して処理可能枚数の問合せを行う点である。
【0199】
図15に示すように、本実施形態の複合機100Bは、実施形態1の複合機100に備えられていた変更検出部110、上限値問合せ部108、機器制御部104、更新部109に代えて、変更検出部110B、上限値問合せ部108B、機器制御部104B、更新部109Bを備えている。なお、本実施形態では、実施形態1の複合機100からの変更を例示するが、実施形態2の複合機100Aから同様の変更も可能である。
【0200】
変更検出部110Bは、ジョブ実行中において、画像形成エンジン20による処理とは関わりなく独立して、各頁の条件情報を解析して、条件情報の変更の有無を検出するものである。実施形態1(実施形態2)の変更検出部110は、画像形成エンジン20にて1頁分の処理がなされる毎に、条件情報の変更の有無を確認する構成である。これに対し、本実施の形態の変更検出部110Bは、ジョブパラメータ記憶部105に格納されている、各頁の詳細設定情報を参照して、画像形成エンジン20による処理とは関わりなく、条件情報の変更を検出する。つまり、20頁分の画像データからなる印刷ジョブであれば、20頁分の画像データの各条件情報を順次解析していき、N頁目とN+1頁目との間、N+5頁目とN+頁目との間、…で条件情報の変更がされるなどの情報を、画像形成処理とは関係なく検出する。
【0201】
変更検出部110Bは、条件情報の変更があることを検出すると、上限値問合せ部108Bに、変更後の条件情報♯2と、変更前の条件情報♯1で処理する処理枚数の情報とを送る。変更検出部110Bは、ある頁から条件情報が♯1から♯2変更されることを検出すると、変更前の条件情報♯1で処理する頁数(既に処理した頁数も含む)が、上限値記憶部107に記憶されている上限値の範囲内かどうかを判断する。
【0202】
そして、変更検出部110Bは、変更前の条件情報♯1で処理する頁数が範囲内であれば、変更前の条件情報♯1で処理する頁数を変更前の条件情報♯1で処理する処理枚数の情報として、変更後の条件情報♯2と共に、上限値問合せ部108Bに送る。変更前の条件情報♯1で処理する頁数が範囲を超えている場合は、上限値問合せ部108Bに、変更前の条件情報♯1のみを送る。
【0203】
上限値問合せ部108Bは、変更検出部110Bより、変更前の条件情報♯1で処理する処理枚数の情報と変更後の条件情報♯2とが送信されてくると、送受信部101を介して認証サーバ200に、変更後の条件情報♯2での処理可能枚数を問合せる問合せ情報を送信し、認証サーバ200より新たな処理可能枚数を取得する(再問合せ)。
【0204】
そして、上限値問合せ部108Bは、認証サーバ200より、新たな処理可能枚数を取得すると、変更前の条件情報♯1で画像形成処理が完了するまでそれを保持し、画像形成処理が完了すると、上限値記憶部107に記憶されている上限値データを更新する。
【0205】
また、上記変更検出部110Bは、上限値問合せ部108Bに対して、変更後の条件情報♯2と、変更前の条件情報♯1で処理する処理枚数の情報とを送ったのち、再び、条件情報の変更(♯2から♯3への変更)があることを検出すると、上記と同様に、変更前の条件情報♯2で処理する頁数が、上限値記憶部107に記憶されている或いは上限値問合せ部108Bにて保持されている条件情報♯2の処理可能枚数の範囲内かどうかを判断する。
【0206】
そして、変更検出部110Bは、変更前の条件情報♯2で処理する頁数が範囲内であれば、変更前の条件情報♯2で処理する頁数を変更前の条件情報♯2で処理する処理枚数の情報として、変更後の条件情報♯3と共に、上限値問合せ部108Bに送る。変更前の条件情報♯2で処理する頁数が範囲を超えている場合は、上限値問合せ部108Bに、変更前の条件情報♯2のみを送る。
【0207】
上限値問合せ部108Bは、変更検出部110Bより、変更前の条件情報♯2で処理する処理枚数の情報と変更後の条件情報♯3とが送信されてくると、先の処理と同様に、認証サーバ200に変更後の条件情報♯3での処理可能枚数を問合せる問合せ情報を送信し、新たな処理可能枚数を取得する(再問合せ)。そして、上限値問合せ部108Bは、認証サーバ200より、新たな処理可能枚数を取得すると、変更前の条件情報♯1、♯2で画像形成処理が完了するまでそれを保持し、条件情報♯1、♯2の画像形成処理が完了すると、上限値記憶部107に記憶されている上限値データを更新する。
【0208】
上限値問合せ部108Bには、機器制御部104Bより、変更前の条件情報♯1、♯2での画像形成処理が完了したことが通知される。
【0209】
このようにして、本実施形態の複合機100Bにおいては、変更検出部110Bおよび上限値問合せ部108Bは、ジョブパラメータ記憶部105内のジョブの詳細設定情報を参照して条件情報の変更の有無を判断し、変更を検出すると、画像形成エンジン20の画像形成処理を待たずに、各条件情報の処理可能枚数を認証サーバ200に問合せ、各条件情報の処理可能枚数を取得していく。
【0210】
一方、機器制御部104Bは、上限値問合せ部108Bによる初回の問合せにて処理可能枚数(条件情報♯1の処理可能枚数)が取得されると、ジョブの実行を開始する。機器制御部104Bは、画像データ記憶部102より入力される頁の画像データを、ジョブパラメータ記憶部105に格納されている当該頁の条件情報を含む詳細設定情報に基づいて画像形成エンジン20の各部を制御して、該当頁の画像形成処理を行う。
【0211】
機器制御部104Bには、条件情報♯1の処理可能枚数である上限値(上限値記憶部107に格納されている値)と、画像形成エンジン20が上限値を取得してから実際に処理した処理枚数との差が算出部111より入力される。機器制御部104Bは、入力された差が1以上の場合に画像形成処理を実行する。
【0212】
また、機器制御部104Bは、ジョブパラメータ記憶部105に格納されている当該頁の条件情報を含む詳細設定情報より、条件情報の変更を検出すると、上限値問合せ部108Bに対して、上限値記憶部107の上限値の更新を指示する。同様に、機器制御部104Bは、更新部109Bに対して、カウント値記憶部106のカウント値をゼロとするよう指示する。
【0213】
図16のフローチャートに、複合機100Bにおける認証サーバ200にて承認された制限内で画像形成ジョブを実行する処理手順を示す。
【0214】
複合機100Bは、ジョブの実行命令を受け付けると(S1)、頁単位のジョブ情報を取得する(S2)。取得したジョブ情報の中から、1頁目の詳細設定条件を参照し、1頁目の条件情報♯1を認証サーバ200に通知する(S3)。これにより、認証サーバ200より1頁目の条件情報♯1に見合う処理可能枚数が送信されてくる。複合機100Bは、送信されてきた処理可能枚数を受信し、処理可能枚数である上限値を取得する(S4)。取得された上限値は、上限値記憶部107に格納される。
【0215】
1頁目の条件情報♯1の上限値が取得されると、複合機100Bは、画像形成エンジン20による画像形成処理と、変更検出部110Bによる上限値取得処理とを、並行して実施する。
【0216】
まず、上限値取得処理について説明する。S110では、変更検出部110Bが、S2で取得した頁単位のジョブ情報の解析を開始し、まずは、次頁の条件情報を比較対象に設定して、既に設定されている条件情報(初回の比較では1頁目の条件情報♯1が設定されている)とを比較する(S111)。
【0217】
S112では、S111の比較結果を判断し、次頁の条件情報と既に設定されている条件情報とが同じである場合は、条件情報変更無しとして、処理をS117に進め、比較対象が最終頁の条件情報であるかどうかを判断する。最終頁の条件情報である場合は、S118に処理を進めて、上限値取得処理を終了する。
【0218】
一方、S112において、S111の比較結果が、次頁の条件情報と既に設定されている条件情報とが異なる場合は、条件情報変更有りと判断し、処理をS113に進める。S113においては、変更前の条件情報の処理枚数(変更前の条件情報で既に処理した枚数および処理予定の枚数も含む)とその上限値とを比較する。
【0219】
S114では、S113の比較結果を判断し、処理枚数が上限値以下である場合は、処理をS115に進める。S115においては、変更後の条件情報を、変更前の条件情報の処理枚数と共に認証サーバ200に通知し、変更後の条件情報での上限値を取得し(S116)、処理をS111に戻す。
【0220】
一方、S114において、処理枚数が上限値よりも多い場合には、処理をS118に進め、上限値取得処理を終了する。
【0221】
S111〜S116の処理は、S117にて最終頁が設定されていると判断されるか、S114にて処理枚数が上限値を超えていると判断されるまで、繰り返される。
【0222】
次に、画像形成処理について説明する。S5では、カウント値記憶部106のカウント値(処理済枚数)と上限値とを比較する。ここで、カウント値が上限値以上である場合には、処理をS17に進め、上限値到達としてジョブを停止し、画像形成処理を終了する。
【0223】
一方、カウント値が上限値よりも小さい場合には、画像形成エンジン20に1頁分のデータを送信して1頁目の処理を開始する(S6)。また、画像形成エンジン20に1頁分のデータを送信すると、カウント値記憶部106のカウント値を1増加させる(S7)。
【0224】
そのあと、ジョブが完了したかどうかを判断し(S8)、ここで、完了したと判断すると、処理をS17に進め、画像形成処理を終了する。
【0225】
一方、S8にて、ジョブが完了していないと判断すると、次頁の条件情報に変更があるかどうかを判断する(S100)。なお、実施形態1,2の複合機100,100Aでは、変更検出部110が条件情報の変更を検出していたが、本実施の形態の複合機100Bでは、変更検出部110とは別に機器制御部104Bも条件情報の変更を検出する。
【0226】
S100において、変更なしと判断すると、処理をS5に戻す。そして、次頁の処理について、カウント値が上限値未満である場合、次頁のデータを画像形成エンジン20に送信する。以降、S5〜S100の処理を、S100にて変更ありと判断されるまで繰り返し、その間、S5にてカウント値が上限値以上であると判断される、或いはS8にてジョブ完了と判断されると、処理をS17に進め、画像形成処理を終了する。
【0227】
S100にて、変更ありと判断されると、続いて、上限値の更新データがあるかどうかを判断する(S101)。S101では、上限値取得処理にて、上限値の更新データが取得されており、まだ更新していない上限値の更新データが存在する場合は有りと判断する。なお、上限値取得処理にて、上限値問合せ部108Bにて上限値の更新データが取得されていない場合や、取得されていても、既に更新している場合は、無しと判断する。無しと判断した場合は、S17に進み、処理を終了する。
【0228】
一方、S101にて有りと判断した場合は、上限値記憶部107に格納されている上限値データを更新すると共に、更新部109Bが、カウント値記憶部106のカウント値をゼロに戻した後、処理をS5に戻す。なお、変更検出部110Bにて検出された条件情報の変更ポイントが多く、上限値問合せ部108Bにて上限値の更新データが複数取得されている場合は、条件情報の変更順に従って、次の条件情報に対応した上限値に更新される。
【0229】
S5〜S102の処理は、S8にてジョブ完了と判断されるか、S101にて上限値の更新データが無いと判断されるまで、繰り返される。
【0230】
(その他の変形例)
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0231】
例えば、上述の実施形態2では、認証サーバおよびアプリケーションサーバが複合機に通信ネットワークを介して接続するシステムとして説明したが、これらの認証サーバおよびアプリケーションサーバを複合機の内部に備えている場合についても同様に適用することができる。
【0232】
この場合、複合機の機器制御部に、アプリケーションサーバと認証サーバの機能を実行
する機能を設ける。例えば、webサーバプログラムを複合機に実装し、そのWebサーバプログラム上でアプリケーションサーバ機能と認証サーバ機能を提供するようにする。複合機内部のアプリケーションサーバ認証サーバと機器制御部とは、通信部を介してローカルループバックで通信を行うことにより、上記の実施形態と同じ仕組みで通信できる。
【0233】
また、複合機100、100Aにおいて、制御部50に含まれる各機能ブロック、すなわち、機器制御部104、算出部111、更新部109、変更検出部110、上限値問合せ部108、認証問合せ部115は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0234】
すなわち、複合機100、100Aの制御部50は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである複合機100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記複合機100に供給し、制御部50のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0235】
また、複合機100,100Aを通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0236】
以上のように、本発明の画像形成装置は、認証装置と通信ネットワークを介して接続可能であり、機器制御部が、認証装置にて設定される画像形成処理が可能な処理可能枚数により画像形成部を制御して画像形成ジョブの実行を制限する画像形成装置であって、ジョブの実行に際し、認証装置に、1頁目の処理に関する条件情報を送り、その条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる初回問合せ部と、ジョブの実行中に、次に処理する頁の条件情報に変更があることを検出する変更検出部と、上記変更検出部にて条件情報の変更が検出される度に、変更後の条件情報と、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報とを認証装置に送り、変更後の条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる再問合せ部とを備え、上記機器制御部は、上記初回問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、当該ジョブの実行を開始し、上記変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、新たな記録用紙への処理を禁止し、上記再問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除し、当該ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が、直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、新たな記録用紙への処理を禁止し、当該ジョブを停止することを特徴としている。
【0237】
ここで、上記条件情報とは、例えば、カラー設定や、用紙サイズ、用紙種類、両面設定などの画像形成ジョブに対して設定されている設定条件の中の、認証装置が処理可能枚数を算出するために必要とする設定条件である。
【0238】
上記構成によれば、初回問合せ部にて1頁目の条件情報に基づく処理可能枚数の問合せが実施され、処理可能枚数が取得された後は、変更検出部にて条件情報の変更が検出されるまで、認証装置への処理可能枚数の問い合わせは行われない。これにより、画像形成部は、条件情報の変更が検出されるまでは、連続して画像形成を実施する。
【0239】
その後、変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、機器制御部が、新たな記録用紙への処理を禁止する。これにより、無駄な画像形成が行われる記録用紙の発生を阻止できる。
【0240】
また、変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、再問合せ部にて変更後の条件情報に基づく処理可能枚数の問合せが実施され、変更後の条件情報に見合った処理可能枚数が取得される。このとき、再問合せ部は、変更前の条件情報で処理した当該ジョブの処理結果情報も認証装置に送信する。これにより、変更前の条件情報で処理した処理結果を加味して設定された正確な処理可能枚数を取得することができる。
【0241】
機器制御部は、再問合せにて変更後の条件情報に見合った処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除する。これにより、画像形成が再開される。
【0242】
そして、機器制御部は、当該ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が、直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、新たな記録用紙への処理を禁止し、当該ジョブを停止する。
【0243】
このように、上記構成では、認証装置への処理可能枚数の問合せ回数を、初回と、条件情報の変更があるときのみとできるので、各頁毎に認証装置に対して処理可能枚数を問合せる構成に比して、一部の例外を除くほとんどの場合において減らすことができる。その結果、処理枚数が多い場合には、画像形成装置のパフォーマンスを極力低下させることなく画像形成処理を実施できる。なお、上記の一部の例外とは、頁毎にジョブ情報が変更するような画像形成ジョブ(例えば、モノクロ頁とカラー頁とが交互にあるような特殊な原稿の複写や印刷)である。
【0244】
本発明の画像形成装置は、さらに、一連の画像形成プロセスの流れに沿って、複数枚の用紙に対して同時に処理を行うマルチプロセス処理を実施可能である構成とすることもできる。
【0245】
上記構成によれば、条件情報の変更を検出した時点で、新たな記録用紙への処理が禁止されるだけであるので、マルチプロセス処理において、既に給紙済みで画像形成部にて処理中にある記録用紙に対しては処理が継続して行われる。したがって、新しい処理可能枚数が取得されると共に、遅延なく処理を再開でき、画像形成装置のパフォーマンスの低下を極力避けることができる。
【0246】
本発明の画像形成装置は、さらに、上記条件情報は、認証装置からの指示、あるいは当該画像形成装置に備えられたユーザ・インタフェースを用いて設定可能である構成とすることが好ましい。
【0247】
認証装置が処理可能枚数を算出するのに必要な設定条件(条件情報)は、画像形成装置を導入する環境に依存するものである。このように、認証装置からの指示、あるいは画像形成装置のユーザ・インタフェースを用いて自由に設定できる構成とすることで、画像形成装置を導入する環境に適したものとすることができる。
【0248】
本発明の画像形成装置は、さらに、当該ジョブの実行が完了するあるいは停止されると、完了時点あるいは停止時点の当該ジョブの処理結果情報を認証装置に報告する報告部をさらに備えている構成とすることが好ましい。
【0249】
これによれば、認証装置が、ジョブが完了したあるいは停止した時点での処理済枚数等を把握することができるので、ジョブ毎に処理済枚数を確定することができ、次に画像形成装置から処理可能枚数を要求された場合に、正確な値を返すことが可能となる。
【0250】
本発明の画像形成装置は、さらに、当該ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、認証装置に対して、当該ジョブのアプリケーションが、制限に拘らずジョブの実行を可能とするアプリケーションに該当するか否かの問合せを行う継続許可問合せ部を備え、上記機器制御部は、当該ジョブのアプリケーションが上記要件に該当する場合は、ジョブ完了まで当該ジョブを実行し、該当しない場合は、当該ジョブを停止する構成とすることもできる。
【0251】
上記構成によれば、認証装置より取得した処理可能枚数に到達すると、継続許可問合せ部にて、認証装置に対して、制限に拘らずジョブの実行を可能とするアプリケーションに該当するか否かの問合せがなされ、ここで、継続が許可されると、制限を越えて処理可能となり、ジョブを完了できる。
【0252】
本発明の画像形成装置は、さらに、上記機器制御部は、上記画像形成ジョブのアプリケーションが上記要件に該当し、当該ジョブを実行する際に設定された処理に関する設定条件が、予め設定された第2の画像形成条件を満たさない条件を含む場合、当該処理の設定条件を上記第2の画像形成条件に変更して画像形成を実行する構成とすることもできる。
【0253】
本発明の画像形成装置は、さらに、条件情報の送信、処理結果情報の送信、あるいは処理可能枚数の受信が、HTML、XML、WMLおよびXHTMLからなるグループから選択された何れか1つのマークアップ言語によって記述されたデータコマンドによって行われる構成とすることが好ましい。
【0254】
これによれば、汎用的な方法で情報のやりとりが可能となる。
【0255】
本発明の認証装置は、さらに、画像形成装置における画像形成ジョブの実行のために投入された金額情報を取得する金額情報取得部を備え、制限情報設定部は、条件情報、或いは条件情報と共に処理枚数の情報が送信されてきた場合は条件情報および処理枚数の情報と、金額情報取得部にて取得された金額情報とを基に処理可能枚数を算出することで設定する構成とすることもできる。
【0256】
上記構成によれば、認証装置は、条件情報に見合った処理可能枚数の設定を、投入金額に基づいて実施するので、本発明の上記した画像形成装置と組み合わせることで、コンビニエンスストア等に設置される課金装置付きの画像形成システムを構築できる。
【0257】
本発明の認証装置は、さらに、制限に拘らず印刷ジョブの実行を可能とするアプリケーションの要件を記憶するアプリケーション情報データベースを備え、画像形成装置より、処理可能枚数に到達しても当該ジョブの継続が可能か否かを問合せる継続許可問合せを受信すると、上記アプリケーション情報データベースを参照して、当該ジョブのアプリケーションが上記要件に該当するか否かを判定して、判定結果を送信する継続許可判定部を備える構成とすることもできる。
【0258】
上記構成によれば、継続許可判定部が、画像形成装置からの継続許可問合せを受信すると、アプリケーション情報データベースを参照して、当該ジョブのアプリケーションが上記要件に該当するか否かを判定して、画像形成装置に送信するので、本発明の継続許可問合せを行う上記画像形成装置と組み合わせて、継続許可問合せを行う画像形成システムを構築できる。
【0259】
この場合、上記アプリケーション情報データベースに記憶されるアプリケーションの要件は、アプリケーション名に対応して記憶されるアプリケーションの利用条件であり、上記継続許可判定部は、利用条件が有料の場合には画像形成を許可し、無料の場合には画像形成を不可とする構成とすることもできる。
【0260】
また、上記アプリケーション情報データベースに記憶されるアプリケーションの要件は、アプリケーション名に対応して記憶される当該アプリケーションの画像形成条件であり、上記継続許可判定部は、上記画像形成ジョブを実行する際に設定した画像形成の設定情報が画像形成条件を満足しているとき画像形成を許可し、満たしていないときに画像形成を不可とする構成とすることもできる。
【0261】
また、上記アプリケーション情報データベースに記憶されるアプリケーションの要件は、アプリケーションサーバの属するドメイン名であり、上記継続許可判定部は、当該画像形成ジョブに係るアプリケーションが実行されているアプリケーションサーバのドメイン名が登録されているとき印刷を許可し、登録されていないときには印刷を不可とする構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0262】
20 画像形成エンジン(画像形成部)
30 画像読取ユニット
100 複合機(画像形成装置)
100A 複合機(画像形成装置)
100B 複合機(画像形成装置)
104 機器制御部
108 上限値問合せ部(初回問合せ部、再問合せ部)
110 変更検出部
200 認証サーバ(認証装置)
202 上限値設定部(制限情報設定部)
203 残金管理部
400 認証サーバ(認証装置)
403 上限値設定部(制限情報設定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証装置と通信ネットワークを介して接続可能であり、機器制御部が、認証装置にて設定される画像形成処理が可能な処理可能枚数により画像形成部を制御して画像形成ジョブの実行を制限する画像形成装置であって、
ジョブの実行に際し、認証装置に、1頁目の処理に関する条件情報を送り、その条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる初回問合せ部と、
ジョブの実行中に、条件情報に変更があることを検出する変更検出部と、
上記変更検出部にて条件情報の変更が検出される度に、変更後の条件情報と、変更前の条件情報で処理する処理枚数の情報とを認証装置に送り、変更後の条件情報で処理した場合の処理可能枚数を問合せる再問合せ部とを備え、
上記機器制御部は、
上記初回問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、当該ジョブの実行を開始し、
ジョブの実行中、処理枚数が、当該条件情報での処理に許可されている処理可能枚数に達すると、新たな記録用紙への処理を禁止して当該ジョブを停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記変更検出部は、画像形成部にて1頁分の処理がなされる毎に、条件情報の変更の有無を確認し、
上記機器制御部は、上記変更検出部にて条件情報の変更が検出されると、新たな記録用紙への処理を禁止し、上記再問合せ部による問合せにより処理可能枚数が取得されると、新たな記録用紙への処理の禁止を解除し、当該ジョブの実行中に、直近の問合せにて処理可能枚数を取得してからの処理済枚数が、直近の問合せにて取得した処理可能枚数に到達すると、新たな記録用紙への処理を禁止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記変更検出部は、画像形成部による処理とは関わりなく独立して条件情報の変更の有無を確認し、
上記機器制御部は、各条件情報でそれぞれの条件情報の処理に許可されている処理可能枚数に達するまで処理を継続して行い、処理枚数が、当該条件情報での処理に許可されている処理可能枚数に達すると、新たな記録用紙の給紙を禁止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置と通信ネットワークを介して接続可能であり、画像形成装置より送信される画像形成ジョブに関する情報を基に処理可能枚数を設定する認証装置であって、
画像形成装置より、画像形成ジョブの処理に関する条件情報を含む処理可能枚数の問合せを受信すると、条件情報を基に、あるいは条件情報と共に処理枚数の情報が送信されてきた場合は条件情報と処理枚数の情報とを基に、当該条件情報で処理した場合の処理可能枚数を設定して、画像形成装置に対して送信する制限情報設定部を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置と、該画像形成装置と通信ネットワークを介して接続される請求項4に記載の認証装置とを備える画像形成システム。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置における、機器制御部、初回問合せ部、変更検出部、或いは再問合せ部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項7】
請求項4に記載の認証装置における、制限情報設定部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−136015(P2012−136015A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258317(P2011−258317)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】