説明

画像形成装置、電源切り替え制御方法

【課題】画像形成装置における省電力モード時の消費電力削減技術を提供する。
【解決手段】
一般に、実施形態によれば、画像形成装置は、1次側平滑回路4、2次側電力出力部6、負荷92、リレー7、リレー制御部8を備える。1次側平滑回路は、整流素子41およびコンデンサ43を備え、商用電源91から電力が入力される。2次側電力出力部は、蓄電素子62を備え、1次側平滑回路から変圧器5を介して電力が入力される。負荷は、2次側電力出力部から電力が供給され、省電力モード時には省電力モード移行信号を出力する。リレーは、商用電源と1次側平滑回路との間にある。リレー制御部は、負荷から省電力モード移行信号が入力されると、リレーにより1次側平滑回路の商用電源との通電状態を遮断し、コンデンサおよび蓄電素子の放電により電力が2次側電力出力部から負荷に出力されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、画像形成装置における省電力モード時の消費電力削減技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策や節電志向の高まりを受け、各方面でさまざまな対策が実施されている。オフィスや家庭で利用されているOA機器の分野においても、省電力の観点から各種の技術開発が進められている。
コピー機能、スキャン機能、印刷機能等の各種機能を備えた画像形成装置においても、通常動作モードのほかに待機モードやスリープモードと呼ばれる省電力モードを設け、省電力化を図っている。
【0003】
画像形成装置の通常動作モードでは、例えば原稿を読み取って印刷を行う際に待つことなく印刷が完了するように、感光体ドラムの静電潜像を記録紙に速やかに転写できるようにしておく必要がある。このため、トナーをシートに加熱定着させる定着器のヒータを常時加温状態にする必要がある。
通常動作モードにおける印刷モードでは、光源駆動用モータ、用紙などを搬送させるための駆動用モータ、定着器のヒータへの通電等の多数の動作を維持するための電力供給が必要である。各種機能を有する画像形成装置においても、この印刷モードは電源に対する負荷が最も大きくなる動作モードである。
【0004】
待機モードは、印刷がいつでもできるように待機している状態の動作モードである。電子回路の動作は印刷モードとほぼ同じであるものの、実際に印刷を行うわけではないので、各種モータやヒータを動作させておく必要はない。このため、待機モードでは、モータの駆動をオフにしたり、ヒータへの通電をオフにしたりして電源に対する負荷を印刷モードに比べて格段に小さくなるようにしている。待機モード時にコントロールパネルや外部のパーソナルコンピュータ等から印刷指示が入力されると直ちに印刷モードへ移行して印刷を行う。
【0005】
スリープモードは、上述した待機モードが所定の時間継続したときに自動的に移行する動作モードであり、最も電源に対する負荷が小さくなる動作モードである。具体的には、コントロールパネルや外部パーソナルコンピュータ等との通信を行う機能への電力供給を除き、その他の機能を実行する箇所への電力供給を全て停止する。コントロールパネルや外部から印刷指示があると、これらの印刷指示信号は電力供給を受けている通信部で認識される。その後、通信部から必要な電子回路への電力供給が指示されて待機モードへ復帰し、更に印刷モードへ移行する。
【0006】
このように、従来の技術では、通常動作モードに加えて待機モード、スリープモードを設けたことにより、通常動作モードのみの場合と比較すると大幅な省電力が図れるようになった。しかしながら、待機モード、スリープモード等においても電源効率の改善は図れるが、これらの省電力モード時においても、常時稼働状態を維持しなければならない箇所へは商用電源から電力を供給しなければならず、消費電力の低減には限界があった。
【0007】
そこで、省エネモード時の電源供給を、2次側に設けた電気2重層キャパシタやリチウムイオン電池等の蓄電素子により行うことで、省エネモード時の消費電力の削減を図った画像形成装置が知られる(例えば、特許文献1,2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の画像形成装置では、省エネモード時において、2次側に設けた蓄電素子に頼った電力供給を行うために蓄電素子を大容量化する必要があり、コストが増大するという問題がある。
【0009】
この明細書は、コストを増大させることなく省電力モード時の消費電力を削減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般に、実施形態によれば、画像形成装置は、1次側平滑回路と、2次側電力出力部と、負荷と、リレーと、リレー制御部と、を備える。1次側平滑回路は、整流素子およびコンデンサを備え、商用電源から電力が入力される。2次側電力出力部は、蓄電素子を備え、1次側平滑回路から変圧器を介して電力が入力される。負荷は、2次側電力出力部から電力が供給され、省電力モード時には省電力モード移行信号を出力する。リレーは、商用電源と1次側平滑回路との間にある。リレー制御部は、負荷から省電力モード移行信号が入力されると、リレーにより1次側平滑回路の商用電源との通電状態を遮断し、コンデンサおよび蓄電素子の放電により電力が2次側電力出力部から負荷に出力されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の内部構成を示す図である。
【図2】低圧電源部の概略構成図である。
【図3】低圧電源部の動作を示すフローチャートである。
【図4】平滑用電解コンデンサのみの放電による電力の電位を示す図である。
【図5】コンデンサおよびキャパシタの放電による電力の電位を示す図である。
【図6】商用電源と蓄電素子との切り替え制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1は、画像形成装置1の内部構成を示す図である。
画像形成装置1は、MFP(Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、タッチパネル11でユーザの操作入力を受け付けると、ADF12(Auto Document Feeder) や原稿台131上にセットされたシートを、画像読取部13にてCCD(Charge Coupled Device)132により読み取り、画像データや印刷枚数等のコマンドを含む印刷ジョブを生成する。
【0013】
続いて、画像形成装置1は、ピックアップローラ211等により給紙カセット14からシートを取り出した後、搬送ローラ212によってシートを画像形成部22に送り、画像形成部22にて印刷ジョブに基づきシートに画像を形成する。
【0014】
画像形成部22では、レーザユニット221がレーザにより現像器ユニット222の各色毎の感光体2221Y〜2221K上に静電潜像を形成する。現像器ユニット222は、感光体2221Y〜2221K上の静電潜像を現像し、感光体2221Y〜2221K上に各色毎のトナー像を形成する。感光体2221Y〜2221Kは、各色のトナー像を転写ユニット223の転写ベルト2231上に重ねて転写し、1枚のカラートナー像を形成する。転写ベルト2231は、転写位置Pにてシートにトナー像を転写する。画像形成装置1は、トナー像が転写されたシートを定着器23により加熱押圧した後、排紙トレイ24に排紙する。画像形成装置1は、印刷ジョブが両面印刷等を指示する場合、一方の面に画像を定着させたシートをADU25により反転させて転写位置Pに送り、他方の面にも画像形成部22により画像を形成する。画像形成装置1は、その他、各要素の制御を司る不図示のCPU(Central Processing Unit)やネットワーク監視IC(Integrated Circuit) 、CPUから読み出される各種のプログラム等を格納するメモリ等を備える。CPUおよびネットワーク監視ICは、省電力モード時においても所定の電力を消費する。
【0015】
図2は、低圧電源部3の概略構成図である。
画像形成装置1は、外部電源である商用電源91からの交流の電力を、低圧電源部3によって直流かつ5Vの低圧の電力に変換して負荷92に供給する。負荷92は、スキャン機能、コピー機能、印刷機能等の画像形成装置1の主たる機能を実現するためのADF12や画像形成部22、定着器23、CPU、およびネットワーク監視IC等の各要素を含む概念である。
【0016】
負荷92は、背景技術で説明したような通常動作モードと、待機モードやスリープモード等の省電力モードとを有する。負荷92は、低圧電源部3から電力が供給される。負荷92は、通常動作モードから省電力モード時への移行時には省電力モード移行信号を低圧電源部3に出力する。また、負荷92は、省電力モード時においてユーザの指示等によりFAX送信指示や印刷ジョブが入力される場合、および起動時に、起動信号を低圧電源部3に出力する。
【0017】
低圧電源部3は、1次側平滑回路4、変圧器5、2次側電力出力部6、リレー7、リレー制御部8を備える。
リレー7は、商用電源91に接続される一対の可動接点71a、71bを有する。リレー7は、リレー制御部8による制御の下、画像形成装置1が通常動作モードから省電力モードに切り替わると、一対の可動接点71a、71bを1次側平滑回路4の入力端40a,40bに接触した状態(クローズした状態)から入力端40a,40bから離した状態(オープンした状態)に切り替えることにより、商用電源91と1次側平滑回路4とを通電状態から遮断状態に切り替える。リレー7は、逆に、画像形成装置1が通常動作モードに切り替わると、リレー制御部8による制御の下、一対の可動接点71a、71bを入力端40a,40bに接触した状態に切り替え、商用電源91と1次側平滑回路4とを通電状態に切り替える。
【0018】
可動接点71a、71bは、入力端40a,40bに接触した状態とされると、該接触状態が物理的に維持される構成となっている。また、可動接点71a、71bは、入力端40a,40bから離れた状態にされると、該離れた状態が物理的に維持される構成となっている。すなわち、リレー7は、商用電源91と1次側平滑回路4との通電状態または遮断状態への切り替えの際における可動接点71a、71bの可動のみに電力を消費するいわゆるラッチ機能を有している。
【0019】
1次側平滑回路4は、ノイズフィルタ41(整流素子)、整流ダイオードブリッジ42、平滑用電解コンデンサ43を備える。
ノイズフィルタ41は、平滑用コンデンサ411、412、413を備える。ノイズフィルタ41は、リレー7がクローズしている時に商用電源91からの電力が入力され、整流ダイオードブリッジ42に電力を出力する。平滑用電解コンデンサ43としてはアルミ電解コンデンサが望ましい。整流ダイオードブリッジ42は、交流電力を直流電力に変換する。平滑用電解コンデンサ43は、1次側平滑回路4が商用電源91と遮断される省電力モード時に放電し、2次側電力出力部6から5Vの低電圧の電力が負荷92に出力されるようにする。平滑用電解コンデンサ43は、1次側平滑回路4と商用電源91とが通電状態となる時に充電される。
【0020】
変圧器5は、整流ダイオードブリッジ42および平滑用電解コンデンサ43に接続する1次コイル51と、2次側電力出力部6に接続する2次コイル52とを備える。
2次側電力出力部6は、1次側平滑回路4から変圧器5を介して電力が入力される電線61、および電気二重層キャパシタ62(蓄電素子)を備える。2次側電力出力部6は、1次側平滑回路4から変圧器5を介して5Vの直流電力が入力されて該電力を負荷92に出力する。
【0021】
2次側電力出力部6は、画像形成装置1の省電力モード時には、1次側平滑回路4の平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の放電により、5Vの低電圧の電力を負荷92に出力する。電気二重層キャパシタ62は、1次側平滑回路4が商用電源91と通電状態となる時に充電される。
【0022】
2次側電力出力部6は、リレー制御部8の各部と接続している。図2において、リレー制御部8におけるDC5Vと記載した部分は、2次側電力出力部6と接続する部分であり、2次側電力出力部6からの電位を示している。
リレー制御部8は、電位監視部81、計時部82、フリップフロップ83を備える。
【0023】
図3は、低圧電源部3の動作を示すフローチャートである。以下、リレー制御部8の機能を図2および図3を参照しながら説明する。
リレー制御部8は、負荷92が省電力モードから通常動作モードに切り替わる際や負荷92の起動時において、負荷92から起動信号が入力されると(Act1)、フリップフロップ83を介してリレー7をクローズし、1次側平滑回路4と商用電源91とを通電状態にする(Act2)。すると、商用電源91から入力された電力は、1次側平滑回路4を介することで直流電力に変換され、変圧器5、2次側電力出力部6を介して5Vの低圧の電力とされて負荷92に出力される。負荷92に商用電源91からの電力が出力される際に、同時に、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62が充電される(Act3)。
【0024】
リレー制御部8は、負荷92が通常動作モードから省電力モードに切り替わる際に負荷92から省電力モード移行信号が入力されると(Act4:YES)、フリップフロップ83を介してリレー7をオープンし、1次側平滑回路4の商用電源91との通電状態を遮断する(Act5)。すると、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62が放電することにより、2次側電力出力部6から、直流かつ5Vの低電圧の電力が負荷92に出力され、省電力モードの保持に必要な電力が負荷92に供給される(Act6)。この際、商用電源91から画像形成装置1への電力の供給は遮断されているので、外部の商用電源91からの画像形成装置1の消費電力は0となる。
【0025】
ところで、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の放電により2次側電力出力部6から供給される5Vの低電圧の電力により、負荷92の省電力モードが保持されるが、時間とともに負荷92に供給される電力の電圧は低下する。ここで、リレー7は、図2に示されるように、DC5V部分、すなわち2次側電力出力部6と接続しており、2次側電力出力部6から出力される電力を元に動作する。本実施形態では、リレー7が動作可能な動作電圧を4Vとする。
【0026】
従って、本実施形態では、省電力モード時に2次側電力出力部6から出力される電力の電圧がリレー7の動作電圧である4Vを下回ると、リレー7をクローズできず、負荷92が通常動作モードに復帰できなくなり画像形成装置1の機能が停止してしまう。
そこで、本実施形態では、低圧電源部3から出力される電力の電圧に閾値を設け、低圧電源部3から出力される電力の電圧が閾値を下回るとリレー7をクローズし、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62を充電する。そして、本実施形態では、再度リレー7をオープンし、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の放電により負荷92に5Vの電力を供給することを繰り返すことにより、画像形成装置1の機能を保持しつつ、省電力モード時における商用電源91からの電力の消費を抑えている。
【0027】
以下、上記制御に係るリレー制御部8の電位監視部81、計時部82の構成および動作を具体的に説明する。
低圧電源部3から出力される電力の電圧の閾値は、リレー7の動作電圧4Vよりも僅かに高い値となっている。
電位監視部81は、2次側電力出力部6と接続されており、2次側電力出力部6の電位を監視する。電位監視部81は、複数のフォトカプラPC1および抵抗素子を備える。省電力モード時に2次側電力出力部6から出力される電力の電圧の閾値は、フォトカプラPC1周辺の抵抗素子等による抵抗定数にて設定される。
【0028】
リレー7がオープンし、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の放電により2次側電力出力部6から電力が供給されている状態において(Act6)、2次側電力出力部6の出力電圧の電位が閾値まで低下すると(Act7:YES)、リレー制御部8は、フォトカプラPC1がOFFすることによりフリップフロップ83を介してリレー7をクローズする(Act8)。これにより、1次側平滑回路4と商用電源91とが通電状態となり、2次側電力出力部6から負荷92へ5Vの電力が供給されるとともに、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62が充電される(Act9)。
【0029】
計時部82は、タイマーIC821を備える。タイマーIC821は、フォトカプラPC1がOFFし、1次側平滑回路4と商用電源91とが通電状態とされるのと同時に計時し始める、すなわち、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の充電時間を計時し始める。タイマーIC821は、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の充電時間が所定値に達すると(Act10:YES)、フリップフロップ83に信号を出力する。これによりリレー制御部8は、再びフリップフロップ83を介してリレー7をオープンすることとなる(Act5)。なお、前記所定値である充電時間は、タイマーIC821周辺のコンデンサ82等により設定される。
【0030】
低圧電源部3は、省電力モード時においては上記の動作を繰り返し(Act5〜Act10)、商用電源91と平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62とを電源として交互に切り替えて用い、負荷92の省電力モードを保持する。
省電力モード時において、FAX送信指示や印刷ジョブが負荷92に入力され、負荷92からリレー制御部8に起動信号が入力される際に、リレー7がオープンしている場合(Act61:YES)、リレー制御部8は、リレー7をクローズして定常的に商用電源91からの電力を負荷に供給し、通常動作モードに対応した状態となる(Act2、Act3、Act4:NO)。省電力モード時においてリレー制御部8に起動信号が入力される際にリレー7がクローズしている場合(Act91:YES)、リレー制御部8は、リレー7をクローズした状態のまま定常的に商用電源91からの電力を負荷に供給し、通常動作モードに対応した状態に戻る(Act3、Act4:NO)
【0031】
図4は、本実施形態の低圧電源部3から電気二重層キャパシタ62を除外し、平滑用電解コンデンサ43のみを設けた低圧電源部3において、省電力モード時に2次側電力出力部6から出力される電力の電位を示す図である。
図4に示すように、商用電源91をOFFすると、所定時間経過後に平滑用電解コンデンサ43の電位が0Vとなるのと同時に2次側電力出力部6から出力される電力の電位も0Vになることが分かる。
【0032】
図5は、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62が設けられた本実施形態の低圧電源部3において、省電力モード時に2次側電力出力部6から出力される電力の電位を示す図である。
図5に示すように、本実施形態では、商用電源91をOFFして平滑用電解コンデンサ43の電位が0Vになっても、電気二重層キャパシタ62の放電により2次側電力出力部6から出力される電力の電位はすぐには0Vにならず、ある電位を保持し続けることが分かる。なお、商用電源91をOFFしてから平滑用電解コンデンサ43の電位が0Vになるまでの時間は、負荷92への電流量および平滑用電解コンデンサ43の容量に依存する。また、平滑用電解コンデンサ43がOFFしてから2次側電力出力部6から出力される電力の電位が低下して閾値に達するまでの時間は、負荷92への電流量および電気二重層キャパシタ62の容量に依存する。
【0033】
図6は、リレー制御部8による商用電源91と蓄電素子43,62との切り替え制御を示す図である。以下、該切り替え制御については簡略に説明する。
画像形成装置1の電源が入れられると、リレー制御部8は、リレー7をクローズして商用電源91と平滑用電解コンデンサ43とを通電状態にし、商用電源91をONする。これにより、商用電源91から低圧電源部3に交流電力が入力され、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62が充電されるとともに、交流電力が1次側平滑回路4および変圧器5により整流および変圧されて2次側電力出力部6から負荷92に対して安定した5Vの直流電力が供給される。
【0034】
ユーザの操作入力により、または一定期間使用しない状態等により負荷92が省電力モードに移行すると、負荷92(CPUやメモリ等を備える負荷92の制御部)から省電力移行モード信号がリレー制御部8に入力される。すると、リレー制御部8は、ラッチ機能を有するリレー7をオープンして商用電源91と1次側平滑回路4との通電状態を遮断し、商用電源91をOFFする。この際、2次側電力出力部6から出力される5Vの直流電力は、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の充電分で補われる。
【0035】
平滑用電解コンデンサ43は放電と共に電位が低下し、平滑用電解コンデンサ43の電位が0Vになると、電気二重層キャパシタ62からの放電により2次側電力出力部6からの電力の出力は保持される。電気二重層キャパシタ62の放電が継続し、2次側電力出力部6から出力される電力の電位が低下して閾値(4Vより若干高い値)に達すると、リレー制御部8は、リレー7をクローズして商用電源91をONし、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62が充電される状態にする。この際、平滑用電解コンデンサ43が瞬時に充電されるとともに、2次側電力出力部6から出力される電力の電位が閾値近傍から定格である5Vに戻る。
【0036】
リレー制御部8は、2次側電力出力部6から出力される電力の電位が低下して閾値に達してからの経過時間、すなわち平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の充電時間、を計時する。リレー制御部8は、充電時間が所定値となるとリレー7をオープンして商用電源91をOFFし、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62の放電により負荷92への5Vの電力の出力を保持する。以降、リレー制御部8は、上記動作を繰り返すことにより、電源を商用電源91または蓄電素子43,62に切り替えていく。
【0037】
なお、省電力モード時の負荷92の消費電力をより低減させることにより、平滑用電解コンデンサ43および電気二重層キャパシタ62による電力の出力をより長く保持でき、1時間当たりの充電回数をより減らすことができる。これにより、1時間当たりの外部電源からの消費電力量をより0whに近づけることができる。
【0038】
前記実施形態では、2次側電力出力部の蓄電素子として電気二重層キャパシタを用いたが、2次側電力出力部の蓄電素子として、電解コンデンサ、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、燃料電池のいずれかを用いてもよい。また、蓄電素子は、アルミ電解コンデンサであってもよい。
【0039】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0040】
1…画像形成装置、4…1次側平滑回路、6…2次側電力出力部、7…リレー、8…リレー制御部、41…ノイズフィルタ(整流素子)、42…コンデンサ、62…電気二重層キャパシタ(蓄電素子)、81…電位監視部、82…計時部、91…商用電源、92…負荷。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2006−211768号公報
【特許文献2】特開2007−240650号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流素子およびコンデンサを備え、商用電源から電力が入力される1次側平滑回路と、
蓄電素子を備え、前記1次側平滑回路から変圧器を介して電力が入力される2次側電力出力部と、
前記2次側電力出力部から電力が供給され、省電力モード時には省電力モード移行信号を出力する負荷と、
前記商用電源と前記1次側平滑回路との間にあるリレーと、
前記負荷から前記省電力モード移行信号が入力されると、前記リレーにより前記1次側平滑回路の前記商用電源との通電状態を遮断し、前記コンデンサおよび前記蓄電素子の放電により電力が前記2次側電力出力部から前記負荷に出力されるようにするリレー制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記リレー制御部は、前記2次側電力出力部の電位を監視する電位監視部を備え、前記1次側平滑回路と前記商用電源との通電状態が遮断された状態において前記2次側電力出力部の電位が閾値以下になると、前記リレーにより前記1次側平滑回路を前記商用電源と通電状態にし、前記コンデンサおよび前記蓄電素子が前記商用電源からの電力により充電される状態にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記リレー制御部は、前記コンデンサおよび前記蓄電素子の充電時間を計時する計時部を備え、充電時間が所定値に達すると前記リレーにより前記1次側平滑回路の前記商用電源との通電状態を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記蓄電素子は、アルミ電解コンデンサであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記蓄電素子は、電気二重層キャパシタ、電解コンデンサ、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、燃料電池のいずれかであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記リレーは、前記1次側平滑回路と前記商用電源とを通電状態または遮断状態に切り替える際にのみ電力を消費するラッチ機能を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
整流素子およびコンデンサを備え、商用電源から電力が入力される1次側平滑回路と、蓄電素子を備え、前記1次側平滑回路から変圧器を介して電力が入力される2次側電力出力部と、前記2次側電力出力部から電力が供給され、通常動作モード起動信号と、通常動作モードから省電力モード時への切り替え時に省電力モード移行信号を出力する負荷と、前記商用電源と前記1次側平滑回路との間にあるリレーと、を備える低圧電源部の電源切り替え制御方法であって、
前記負荷から前記通常動作モード起動信号が入力されると、前記リレーにより前記1次側平滑回路と前記商用電源とを通電状態にし、前記2次側電力出力部から前記負荷に前記商用電源からの電力が出力されるようにし、
前記負荷から前記省電力モード移行信号が入力されると、前記リレーにより前記1次側平滑回路と前記商用電源との通電状態を遮断し、前記コンデンサおよび前記蓄電素子の放電により電力が前記2次側電力出力部から前記負荷に出力されるようにする
ことを特徴とする電源切り替え制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−54355(P2013−54355A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−190305(P2012−190305)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】