説明

画像形成装置およびデータ転送方法

【課題】スキャナで読取った画像データの転送技術を提供すること。
【解決手段】画像形成装置100は、スキャナ101が読取った画像をデジタル化された画像データに変換し、該画像データを外部出力するエンジン部160と、エンジン部160による画像データの外部出力を制御するコントローラ部150と、エンジン部160と、コントローラ部150とを接続する汎用バス120とを含み、スキャナ101が読取った画像の副走査後端に白ラインデータを追加して記憶装置114に転送する場合に、画像形成装置100の動作状態による汎用バス120のバス帯域幅の余裕度を判断して、白ラインデータを記憶装置114に転送するためのデータ転送速度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データのためのデータ転送技術に関し、より詳細には、スキャナで読取った画像データの転送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機は、原稿台上に載置された原稿をCCDアレイなどを搭載するスキャナによって読込んで画像データを生成し、印刷・ファクシミリ送信・メール転送・ファイルアップロードなどの処理を行っている。スキャナ動作では、スキャナで読取った画像データを、エンジン部からコントローラ部へデータ転送(Scanner to Memory転送)する際、エンジン部からコントローラ部への転送は、PCIバスなどの汎用バスを使用して行われている。また、プリンタ動作の場合は、蓄積画像データをコントローラ部からエンジン部への転送(Memory to Plotter転送)を、スキャナ動作と同様の汎用バス(PCIバス)経由で行う。
【0003】
上記のような画像形成装置においては、Scanner to Memory(以下、S2Mと呼ぶ)転送とMemory to Plotter(以下、M2Pと呼ぶ)転送の合計転送量がPCIバス帯域を上回ってしまうと、S2M、M2Pそれぞれの転送速度を律速してしまう。スキャナ動作の場合、S2M転送速度がスキャナ読取り速度を下回ってしまうと異常画像となってしまう。そこで、例えば、特開2007-28691号公報(特許文献1)においては、S2M転送と、M2P転送の最大転送速度がPCIバス帯域を満たすように、スキャナ読み取り速度が決められており、S2M転送速度はスキャナ読み取り速度と常に等しくなっている。
【0004】
複合機のコピー動作において、読み取り原稿が定形サイズである場合には、原稿読み取り前に出力画像サイズをCPUにより設定可能である。スキャナ読み取り部で読み取られる定形の原稿サイズより大きい画像サイズを出力画像サイズとして設定された場合、エンジン部にて、読み取り原稿データの副走査後端に白画素を追加することで出力画像データを生成し、コントローラ部へ転送している。
【0005】
よって、読み取り原稿が定形サイズのS2M転送は、原稿領域と副走査後端の白画素領域とに分けることができる。副走査後端の白画素追加処理は、スキャナ読み取りとは独立した処理である。したがって、原稿領域のS2M転送はスキャナ読み取り速度で行うが、白画素追加領域のS2M転送はエンジン部内部のMAX速度で行うことで、スキャナ動作の転送速度を向上させることが求められている。
【0006】
しかしながら、上述のように従来技術では、S2M転送速度はスキャナ読み取り速度と常に等しく、副走査後端の白画像追加処理のS2M転送速度もスキャナ読み取り速度と同一となっているために、”出力サイズ指定読み取り”スキャナ動作の性能向上の妨げとなっていた。すなわち、従来では、S2M転送速度(すなわち、スキャナ読み取り速度)は、S2M転送とM2P転送とが同時に転送しているMulti Application動作(以下MA動作として参照する。)を条件にして決めれている。したがって、M2P転送が発生していない場合には、S2M転送がPCIバスを占有できるにもかかわらず、PCIバス帯域を最大限に利用できず、スキャナ読取速度を低下させてしまっていた。また、逆にS2Mデータ転送が発生していない状態では、M2P転送のデータ転送を高速化できるにもかかわらず、画像形成速度を低下させてしまっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたものであり、本発明では、PCIバス帯域の余裕度を検知することで、動的にデータ転送経路に対してバス帯域幅を割当てることにより、画像形成効率の向上、およびスキャナ読取動作の高速化を実現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、スキャナが読取った画像をデジタル化された画像データに変換し、該画像データを外部出力するエンジン部と、記憶装置を備え、エンジン部による画像データの外部出力を制御するコントローラ部と、エンジン部と、前記コントローラ部とを接続する汎用バスとを含む画像形成装置が、スキャナが読取った画像の副走査後端に白ラインデータを追加して記憶装置に転送する場合に、画像形成装置の動作状態による汎用バスのバス帯域幅の余裕度を判断して、白ラインデータを前記記憶装置に転送するためのデータ転送速度を制御する。
【0009】
本発明では、汎用バス帯域幅の余裕度は、画像形成装置の動作状態に対応してスキャナから記憶装置へのデータ転送と、印刷動作のため記憶装置からエンジン部へのデータ転送とが同時に発生する場合に判断される。この際余裕度は、記憶装置からエンジン部に転送する画像データのフォーマットを使用して行われる。汎用バスは、PCIバスまたはPCI Expressとすることができ、汎用バスは、スキャナ部から記憶装置の間のデータ転送を行う第1の汎用バスと、記憶装置からエンジン部への印刷動作のためのデータ転送を行う第2の汎用バスとして分離した構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の画像形成装置100の機能ブロックを示す図。
【図2】CDIC103とデータ通信を行うIPP104の機能ブロックを、画像処理のためのデータフローとともに示す図。
【図3】CDIC103の機能ブロックの概略図。
【図4】VDC105の機能ブロックの概略図を示す図。
【図5】図1に示すIMAC110の機能ブロックの概略図。
【図6】FCU108の機能ブロックの1実施形態を示す図。
【図7】第2の実施形態の画像形成装置700の機能ブロックを示す図。
【図8】第2の実施形態において実装されるIPP704の機能ブロックを示す図。
【図9】第2の実施形態において実装されるCDIC703の機能ブロック図を示す図。
【図10】第2の実施形態において実装されるVDC705の機能ブロックの概略図を示す図。
【図11】第2の実施形態で実装されるIMAC710の機能ブロックの概略図を示す図。
【図12】原稿画像と画像データとの関係を使用して説明する図。
【図13】本実施形態のデータ転送方法のフローチャート。
【図14】CDIC103の画像データ入力制御部302の内部機能ブロックを示す図。
【図15】画像出力部1403の処理のフローチャート。
【図16】非ゲートカットモードのデータ転送処理のフローチャート。
【図17】ライン周期制御部1402が生成するライン周期判定の真偽表(ルックアップテーブル)1700を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態の画像形成装置100の機能ブロックを示す。図1に示した実施形態は、概ねMFP(Multi-Function Peripheral)の構成に相当する。図1に示す、画像形成装置100は、エンジン部160とコントローラ部150を備えており、エンジン部160とコントローラ部150との間は、PCIバスといった汎用バス120で接続されている。
【0012】
画像形成装置100は、原稿を光学的に読取るスキャナ部101を備えており、スキャナ部101は、受光素子(図示せず)を備えており、受光素子は、ミラーおよびレンズを介して原稿に対して照射される光源の反射光を受取る。本実施形態の受光素子は、CCDなどを挙げることができるが、CMOSアレイを利用することもできる。受光素子は、SBU(センサ・ボード・ユニット)102に搭載されている。受光素子は、受光した光を電気信号(アナログ)に変換し、アナログの電気信号は、アナログ・デジタル・コンバータにより、デジタルの画像データに変換された後、SBU102から出力される。
【0013】
また、SBU102から出力される画像信号は、CDIC(圧縮/伸張及びデータインタフェース制御部)103に入力される。各機能処理部とデータバス間における画像データの伝送は、このCDIC103がバスマスタとして機能し、データ転送を制御する。更にCDIC103は、画像データに関し、SBU102、汎用バス120、IPP(画像処理プロセッサ)104の間のデータ転送、および本実施形態の画像形成装置100を制御するシステムコントローラ115と画像データに対する画像形成プロセスを制御するプロセスコントローラ116と間のデータ通信も制御している。
【0014】
SBU102からの画像信号は、CDIC103を経由してIPP104に転送され、光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化として参照する。)が補正され、再度CDIC103へ出力される。また、IPP104からCDIC103へと転送された画像データは、CDIC103から汎用バス120を経由してIMAC(画像メモリアクセス制御)110に送られる。このIMAC110では、システムコントローラ115の制御に基づき、画像データと、MEM(メモリモジュール)109との間のアクセス制御、外部PC(パソコン)111のプリント用データの展開、メモリ有効活用のための画像データの圧縮/伸張が行われる。IMAC110へ送られたデータは、データ圧縮後、MEM109に蓄積される。MEM109に蓄積されたデータは、画像処理のプロセスからの要求に対応して読出しが実行される。
【0015】
読出されたデータは、伸張されて画像データとされた後、IMAC110から汎用バス120経由でエンジン部160のCDIC103に送付される。画像データは、CDIC103からIPP104に転送され、転送後に画質処理が適用され、さらにVDC105で画像データに対応した作像パルスを生成するパルス制御が行われる。作像パルスは、作像ユニット106に送られてポリゴンミラー/レーザダイオードの同期制御が行われてこれにより作像ユニット106が転写紙上に再生画像を形成する。汎用バス120およびCDIC103でのバス制御により、CDIC103でのバス制御により、上述したデータフローが提供され、画像形成装置100の機能が提供されている。
【0016】
一方、画像形成装置100がファクシミリ送信を実行する際には、スキャナ部101で読取られた画像データに対してIPP104が画像処理を適用し、その後、CDIC103および汎用バス120を経由して画像処理後の画像データをFCU(FAX制御ユニット)108へ転送する。FCU108は、送付された画像データを通信網に応じたデータ形式に変換した後、PN(公衆回線)107を使用してFAXデータとして送信する。
【0017】
また、ファクシミリ受信の場合には、画像形成装置100は、PN107から受信した回線データをFCU108に送付する。FCU108は、受信した回線データを復号して画像データを再生し、画像データを汎用バス120およびCDIC103を介してIPP104に送付する。ファクシミリ受信の場合、特に画質処理を行うことなく、VDC105に画像データが送付され、VDC105がドット再配置および作像パルスの生成といったパルス制御を適用し、作像ユニット106が転写紙上に再生画像を形成する。
【0018】
複数のジョブ、たとえば、コピー機能、FAX送受信機能、プリンタ出力機能が並行に動作する場合には、スキャナ部101、作像ユニット106などの入力・出力機能を提供する機能部に関する汎用バス120使用権をどのジョブに割当てるかの調停は、プロセスコントローラ116およびシステムコントローラ115が行う。この調停において、プロセスコントローラ116は、画像データのデータフローを制御し、システムコントローラ115は、システム上で実行されているプロセス全体を管理し、各ハードウェア資源の起動・処理・停止を制御している。
【0019】
上述したMFPといった画像形成装置100の機能は、Ope.Pane(操作部)112から、ユーザが機能選択を入力し、当該入力に応答してシステムコントローラ115がハードウェア資源およびソフトウェア資源を動作させることにより、コピー機能やファクシミリ機能など処理が指定され、その処理の内容が設定される。
【0020】
システムコントローラ115およびプロセスコントローラ116は、汎用バス120、CDIC103、内部バス140 を介して相互に通信を行う。このとき、CDIC103は、汎用バス120と内部バス140との間のインタフェースとして機能し、CDIC103は、汎用バス120と、内部バス140との間のデータフォーマット変換を実行する。
【0021】
図2は、CDIC103とデータ通信を行うIPP104の機能ブロックを、画像処理のためのデータフローとともに示す。スキャナ部101によって取得された画像データは、SBU102およびCDIC103を介してIPP104に送付される。IPP104に送付された画像データは、入力I/F201を介してスキャナ画像処理部203へ転送される。スキャナ画像処理部203は、画像データのデータ転送に伴う劣化を補正する機能を備えており、画像データに対してシェーディング補正、スキャナγ補正、MTF補正などの画像処理を適用する。また、スキャナ画像処理部203は、画像データに対し、拡大/縮小の変倍処理なども適用することができる。スキャナ画像処理部203は、画像データの補正処理終了後、出力I/F202を介してCDIC103に画像データを転送する。
【0022】
さらに、CDIC103の処理後に送付された画像データは、再度IPP104へと入力I/F205を介して戻され、画像データを画質処理部206が受領する。画質処理部206は、画像データに関し、面積階調変換処理を行う。画質処理後の画像データは、出力I/F207を介してVDC105に送付される。面積階調処理は、8ビット深度で表現された色濃度を面積に変換する濃度変換の他、ディザ処理、誤差拡散処理などを含むもので、色濃度の階調情報を、トナーといった固定濃度の現像剤で再現するための面積変換を主な処理とする。
【0023】
一旦スキャナ画像処理された画像データは、メモリやハードディスク装置などの持続性記憶装置に蓄積しておくことで、ユーザ要求などに対応して画質処理を変えるだけで種々の再生画像生成したり、各種のデータ転送プロトコル、例えばファクシミリ、メール転送、ファイルアップロードなどを使用したデータ転送を行うことができる。具体的には、例えば再生画像の濃度を振ったり、ディザマトリクスの線数を変更したりすることができ、これらの処理を使用して再生画像の視覚的雰囲気を変更することができる。この場合、処理を変更する度に画像をスキャナ部101から読み込み直す必要はなく、MEM109から格納画像を読出すことで同一データに対し、何度でも異なる処理を実施できる。
【0024】
また、スキャナ部101は、画像形成装置100から別体に構成された、単体スキャナとすることもできこの場合、画像形成装置100は、スキャナ画像処理と階調処理を合せて適用し、画像データをCDIC103へと転送する。CDIC103での処理内容は、プログラムに応じて変更することができ、処理の切替え、処理手順の変更は、プログラムに応じてコマンド制御部204が管理している。
【0025】
図3は、図1に示すCDIC103の機能ブロックの概略図を示す。CDIC103は、画像データ入出力制御部301を備えており、画像データ入出力制御部301は、SBU102から送付された画像データを受領し、IPP104へと画像データを出力する。以下、このデータ転送処理をS2M転送として参照する。SM2転送は、プロセスコントローラ116からコマンド制御部304に対してSM2転送開始を指令するコマンドが発行される。コマンド制御部304は、SM2転送開始コマンドを受領すると、画像データ入力制御部302に対して、IPP104においてスキャナ画像補正された画像データの読込みを指令する。読み込まされた画像データには、データ転送のデータ量を抑制し、汎用バス120での転送効率を高めるためにデータ圧縮部305において、データ圧縮が行われ、その後、汎用バスI/F310を介して汎用バス120へと送出される。
【0026】
一方、汎用バス120からは、エンジン部160が取得した画像データが送付され、送付された画像データは、汎用バスI/F310を介してデータ変換部308に送られる。このデータは、汎用バス120を介した転送効率を改善するため圧縮されているので、データ変換部308におけるフォーマット変換を受けた後、データ伸張部306で伸張処理が適用される。伸張された画像データは、画像データ出力制御部303に送付され、IPP104に送付される。上述したように、CDIC103は、汎用バス120と内部バス140との間の転送プロトコルの変換機能を備えている。
【0027】
システムコントローラ115は、汎用バス120を介したデータ転送指令し、プロセスコントローラ116は、内部バス140を介したデータ転送を指令する。このため、CDIC103は、さらに上述した2つの分離したコントローラ間の通信のためのデータ変換も実行する。さらに、CDIC103は、CDIC103が処理を実行するために内部バス140にアクセスするための内部バスI/F309も備えており、内部バスI/F309は、IPP104との間のインタフェース機能も備えている。
【0028】
図4は、VDC105の機能ブロックの概略図を示す。VDC105は、入力される画像データに対し、作像ユニット106の特性に応じ、パルス変調のために必要な追加の処理を行う。VDC105は、エッジ平滑処理部404と、パルス制御部405とを備えている。エッジ平滑処理部404は、エッジ平滑処理によるドットの再配置処理を画像データに対して適用し、パルス制御部405は、ドット形成のための変調信号を生成するためにパルス制御を実行する。
【0029】
VDC105により上記処理が適用された画像データは、作像ユニット106へと送付され、作像ユニット106で画像形成が行われる。図4に示したVDC105は、画像データの変換とは別に、汎用バス120と、内部バス140との間のデータ転送プロトコルのフォーマットを変換するデータ変換部402を備えており、VDC105単独でもシステムコントローラ115およびプロセスコントローラ116との間のデータ通信に対応している。
【0030】
図5は、図1に示すIMAC110の機能ブロックの概略図である。IMAC110は、汎用バスI/F508を備えており、汎用バスI/F508は、汎用バス120を介して転送される画像データのためのインタフェースである。IMAC110は、MEM109への画像データの格納/読出しおよび主に外部のPC111から入力されるエンコードデータを、画像形成装置100が処理可能なフォーマットの画像データへと展開する処理を制御する。
【0031】
IMAC110に入力されたエンコードデータは、ラインバッファ503に一旦蓄積され、IMAC110における後続処理を待機する。ラインバッファ503に格納されたエンコードデータは、システムコントローラI/F501を介して入力されたシステムコントローラ115からの展開処理命令に基づき、ビデオ制御部504に送付され、画像形成装置100が処理可能なフォーマットの画像データに展開される。
【0032】
展開された画像データ、またはスキャナ部101などから汎用バスI/F508を介して汎用バス120を経由して入力された画像データは、メモリアクセス制御部502に送付され、MEM109に格納される。データ変換部507は、格納対象とする画像データを選択し、データ圧縮部505に送付する。データ圧縮部505は、メモリ使用効率を上げるためのデータ圧縮を適用し、メモリアクセス制御部502に圧縮された画像データを送付する。メモリアクセス制御部502は、MEM109のアドレスを管理しながら、MEM109に画像データを格納する。
【0033】
一方、MEM109に格納された画像データの読み出しは、メモリアクセス制御部502が、読出し対象の画像データが格納された読出先アドレスを制御して、画像データを読出す。読出された画像データは、データ伸張部506に送付されて伸張され、伸張された画像データが汎用バス120を経由してCDIC103へと転送され、以後の画像形成処理に投入される。CDIC103へと画像データを転送する場合、汎用バスI/F508を介してデータ転送が行われる。以下、この転送をM2P転送として参照する。
【0034】
M2P転送に際しては、プロセスコントローラ116からCDIC103のコマンド制御部304にM2P転送指令コマンドが発行され、M2P転送指令コマンドにより、CDIC103は、汎用バス120からのM2Pデータ転送によるデータ入力受付け可能な状態に設定される。
【0035】
図6にFCU108の機能ブロックの1実施形態を示す。FCU108は、画像データを通信形式に変換して外部回線に送信し、外部からのデータを画像データに戻して外部I/F601および汎用バス120を介して作像ユニット106において印刷出力する機能を提供する。FCU108は、FAX画像処理部602と、画像メモリ603と、メモリ制御部604と、ファクシミリ制御部605と、画像圧縮伸張部606と、モデム607と、網制御部608とを備えている。これらの機能処理部のうち、FAX画像処理部602では、受信画像に対する二値スムージング処理は、VDC105のエッジ平滑処理部404が適用し、画像メモリ603の出力バッファ機能は、本実施形態では、IMAC110およびMEM109がその機能の一部を利用する構成とされている。
【0036】
図6に示したFCU108は、画像情報の伝送を開始する場合、ファクシミリ制御部605がメモリ制御部604に指令を発行し、画像メモリ603に蓄積された画像情報を順次読出しを実行する。読出された画像情報は、FAX画像処理部602に送付され、FAX画像処理部602が、伸張処理を適用して本来の画像信号を再生する。再生された画像データは、FAX画像処理部602においてさらに密度変換処理および変倍処理が適用され、ファクシミリ制御部605に戻され、画像信号の加算が行われる。
【0037】
ファクシミリ制御部605の画像信号は、画像圧縮伸張部606に送付され、符号圧縮され、モデム607によって信号変調された後、網制御部608を介して宛先へとファクシミリ送信される。送信が完了した画像情報は、好ましい実施形態では、画像メモリ603から削除される。また、FCU108は、画像データを受信すると、受信画像を一旦画像メモリ603にバッファリングする。画像メモリ603は、この場合、受信した画像データが記録出力可能であれば、1枚分の画像の受信を完了した時点で記録出力する。一方、複写動作時など、他の画像形成処理中の着呼に応答してデータ受信を開始した場合は、画像メモリ603の使用率が設定値、例えば80%に達成するまでは画像メモリ603に蓄積し、画像メモリ603の使用率が80%に達した場合には、その時に実行しているデータ書込み動作を強制的に中断し、受信した画像データを画像メモリ603から読出して記録出力させる。
【0038】
この場合、画像メモリ603からのデータ削除により画像メモリ603の使用率が設定値、例えば10%まで低下した時点で、中断していたデータ書込み動作を再開させ、その書込み動作が完了したタイミングで、残りの受信画像を記録出力させる。また、書込み動作を中断した後に、再開できるように中断時に設定されていた書込み動作のための各種パラメータは、例えばRAM114などを使用して内部的に退避させ、書込に動作の再開時に、退避させておいたパラメータを内部的に復帰させることで、画像メモリ603のオーバーフローが回避されている。
【0039】
以下、図7〜図11を参照して、第2実施形態の画像形成装置700について説明する。第2の実施形態の画像形成装置700ではエンジン部760と、コントローラ部750とを接続する汎用バスは、S2M転送用の汎用バス730と、M2P転送用の汎用バス720として、それぞれ分離して実装されている。図7は、第2の実施形態の画像形成装置700の機能ブロックを示す。
【0040】
図7に示すCDIC703は、図1で説明したと同様の構成を備えているが、CDIC703の周辺の機能ブロックの構成が変更されている。図1と比較しながら説明すると、VDC705は、プリンタ制御部として実装されており、IPP704のデータフローの下流側ではなく、汎用バス730に直接接続されており、エンジン部760を例えばプリンタとして実装する場合に、エンジン部760のコスト低減を可能としている。
【0041】
図7に示した画像形成装置700は、原稿を光学的に読取る読取りユニット701を備え、図1で示した画像形成装置100と同様に光電変換によりデジタル信号として画像データを生成し、SBU702は、生成した画像データを出力する。SBU702から出力された画像データは、CDIC703に送付される。図7の実施形態においても、図1に示した実施形態とと同様に、機能デバイスおよびデータバス間の画像データの伝送は、CDIC703がバスマスタとして機能することによって制御する。また、CDIC703は、画像データに関し、SBU702、汎用バス720、IPP704間のデータ転送の他、図7に示す画像形成装置700の全体の動作を制御するシステムコントローラ715と、画像データに対するプロセスコントローラ716と間のデータ通信を制御する機能を備える。
【0042】
SBU702からの画像信号は、CDIC703を介してIPP704に転送され、光学系及びデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化とする)が補正され、再度CDIC703へ出力される。また、IPP704からCDIC703へ転送されたデータは、CDIC703から汎用バス720を介してIMAC710へと送付され、システムコントローラ715の制御により画像データと、MEM709のアクセス制御、外部PC711のプリント用データの展開、メモリ、バス帯域幅などの有効活用のため、画像データの圧縮/伸張が行なわれる。IMAC710に送られたデータは、データ圧縮後、MEM709に蓄積される。MEM709に蓄積された画像データは、図7の実施形態では、VDC705によって処理シーケンスに対応して読出しが行われる。
【0043】
VDC705は、読出した画像データを伸張し、本来の画像データを生成し、さらに図1の実施形態と同様に画質処理およびパルス制御が適用されて、作像ユニット706が転写紙上に再生画像を形成させる。また、FAX送信機能、FAX受信機能についても、図1で説明した実施形態と同様にして機能が提供され、複数ジョブが並列して実行される場合の処理についても図1で説明した実施形態と同様にしてその機能が提供されている。
図8は、第2の実施形態において実装されるIPP704の機能ブロックを示す。読取りユニット701が取得した画像データは、SBU702、CDIC703を介してIPP704の入力I/F801に送付され、入力I/F801の画像データが、スキャナ画像処理部803へと伝送される。このスキャナ画像処理部803は、読み取り画像信号の劣化補正を目的として、シェーディング補正、スキャナγ補正、MTF補正などを行う。
図9は、第2の実施形態において実装されるCDIC703の機能ブロック図を示す。画像データ入出力制御部901は、SBU702からの画像データが出力され、IPP704に対して画像データを出力する機能を備える。第1の実施形態と同様に、このデータ転送を、S2M転送として参照する。S2M転送は、第1の実施形態と同様に、プロセスコントローラ716によってデータ転送がトリガされ、コマンド制御部903がS2M転送開始コマンドを受領すると、コマンド制御部903は、画像データ入力制御部902に対し、IPP704でスキャナ画像補正された画像データを取得させる。このときの画像データは、汎用バス720での転送効率を高めるためにデータ圧縮部904において、データ圧縮が行われ、その後汎用バスI/F908を介して汎用バス720へ送出される。
【0044】
CDIC703は、説明する第2の実施形態では、S2M転送だけを行い、M2P転送を実行しないので、図3の実施形態とは異なり、データ伸張部306および画像データ出力制御部303は、実装しなくともよい。
【0045】
図10は、第2の実施形態において実装されるVDC705の機能ブロックの概略図を示す。VDC705は、入力される画像データに対し作像ユニット706の特性に応じて、追加の処理を行ない、図4で示したと実質同一の構成を備えるため、詳細な説明は省略する。しかしながら、第1の実施形態と同様に、VDC705によるMEM709に格納された画像データの読出しから作像ユニット706への出力までの一連のデータ転送は、第1実施形態と同様に、M2P転送として参照される。
【0046】
図11は、第2の実施形態で実装されるIMAC710の機能ブロックの概略図を示す。IMAC710は、図1の実施形態と同様に、汎用バスI/F1109からの汎用バス720を介した画像データのインタフェースを管理しており、MEM709との間での画像データの格納/読み出しの他、主に外部のPC711から入力されるコードデータの画像データへの展開を制御する。
【0047】
展開された画像データまたは汎用バスI/F1109を介して入力された画像データは、MEM709に格納される。以下の処理については、第1の実施形態と実質的に同様に処理されるので、以下詳細な説明を省略する。なお、第2の実施形態の画像形成装置700についてもFCU708の構成および機能については、第1の実施形態と同様なので、以下より詳細な説明は、省略する。
【0048】
以下、本実施形態において、スキャナ部101、701を使用したデータ読取り時におけるS2M転送速度の最適化を行うための最適化処理について説明する。図1および図7に示した画像形成装置100、700では、複写機能の実行時には、スキャナ部101、701が原稿台から画像を読取る。この読取られた画像信号は、SBU102、702、CDIC103、703、IPP104、704へと転送され、その後さらにCDIC103、703へと転送された後、CDIC103、703から汎用バス120、720およびIMAC110、710を介してMEM109、709に蓄積される。その後、IMAC110、710および汎用バス120、720を介して再度CDIC103、703に送られ、最終的に作像ユニット106、706に送られて画像形成するための変調パルスに変換される。
【0049】
以下説明の便宜上、第1の実施形態の画像形成装置100の機能を例として説明するが、第2の実施形態の画像形成装置700においても処理およびその機能は同様である。画像形成装置100の複写動作(ファクシミリ原稿読取動作も含む。)においては、S2M転送と、M2P転送は、並列に行われ、エンジン部160と、コントローラ部150を接続する汎用バス120には、S2M転送データと、M2P転送データとに対して転送要求が並列的に発生する。さらに、複写動作と、プリンタ動作が可能な場合では、複写動作とプリンタ動作とが各処理を並列的に実行する動作(以下、“MA動作”として参照する。)も発生する可能性がある。この様な場合には、複写動作のS2M転送およびM2P転送の他、プリンタ動作に起因するS2M転送およびM2P転送も汎用バス120の帯域幅を要求する。
【0050】
このため、本実施形態では、汎用バス120のバス帯域幅は、S2M転送の転送速度の上限値が、スキャナ部101の読取り速度であることを考慮して、汎用バス120が最も混雑するケースを想定して決定される。汎用バス120のバス帯域幅を最大限に利用するため、本実施形態では、CDIC103が汎用バス120の利用状態に応じてS2M転送速度を可変制御する。
【0051】
以下、本実施形態のデータ転送制御方法の作用を説明する目的で、エンジン部160からコントローラ部150に宛てて転送される画像データの出力サイズを、図12に示した原稿画像と画像データとの関係を使用して説明する。エンジン部160からコントローラ部150へ転送する画像データのサイズは、CDIC103の画像データ入力制御部302が制御する。画像データ入力制御部302が出力する画像の副走査サイズは、読取り原稿がFAX原稿や長尺原稿のように定型サイズでない場合には、図12(a)に示すように、SBU102からCDIC103に転送される原稿の副走査サイズに等しい。なお、図12(a)に示すような動作モードを以下、“ゲートカット(GCUT)モード”として参照する。
【0052】
一方、読取り原稿が定型サイズの場合は、原稿読取りの前に出力画像のサイズが検知可能なので、画像データ入力制御部302の出力画像サイズは、プロセスコントローラ116などによる副走査ライン数レジスタへの設定値と等しく設定することができる。これを説明するのが図12(b)である。図12(b)に示した画像は、副走査ライン数レジスタへの設定値がA4横サイズであり、原稿がA3サイズの場合である。図12(b)に示す実施形態の場合には、副走査ライン数レジスタへの設定値(A4横)のライン数を出力した時点でS2M転送は、転送を完了する。
【0053】
さらに図12(c)は、副走査ライン数レジスタへの設定値がA3縦で、原稿がA4サイズの場合を示す。図12(c)の実施形態では、原稿の副走査サイズの画像データが入力完了した時点で、副走査ライン数レジスタ設定値(A3縦)に満たないため、残りのラインデータとして、白ラインデータを付加して転送する。この場合のモードを以下、”非ゲートカット(GCUT)モード”として参照する。この非ゲートカットモードの場合、出力画像データは、原稿領域と、白画素追加領域とによって形成される。
【0054】
原稿領域の画像データは、上述したようにSBU102から汎用バス120に転送されるので、最大でもスキャナ読取りの転送速度を割当てるだけで必要十分となる。しかしながら、白ライン追加領域は、画像データ入力制御部302内部でプロセス制御上の要請から生成されるダミー画像なので、スキャナ読取り転送速度を考慮する必要がない。このため、汎用バス120の帯域幅における輻輳が発生しない範囲内で転送速度を可変制御できる。
【0055】
図13は、本実施形態のデータ転送方法のフローチャートを示す。図13の処理は、ステップS1300から開始し、ステップS1301でコントローラ部150からのM2P転送開始指令を受領する。ステップS1302では、S2Mで白ラインデータを転送する読取画像であるか否かを判断し、白ラインデータを転送する必要が無いと判断された場合(no)、処理をステップS1307に分岐させる。
【0056】
一方、ステップS1302で、白ラインデータを転送すると判断された場合(yes)、ステップS1303でM2P転送のデータフェーマットを検査する。検索の結果を受領してCDIC103は、ステップS1304でルックアップテーブルを参照して汎用バスの帯域幅の余裕度を判定する。ステップS1305では、余裕度の判断に応答してM2P転送に割り当てたバス帯域幅をS2M転送に割り振る。その後、ステップS1306では、S2M転送が終了したか、否かをフレーム末端のデリミタなどの検出を利用して判断し、S2M転送が終了していない場合(no)処理をステップS1305に戻し、S2M転送終了と判断するまでバス帯域幅の割当を確保する。
【0057】
一方、ステップS1306でS2M転送終了と判断した場合(yes)、ステップS1307で通常設定のバス帯域幅割当てでのデータ転送に戻し、ステップS1308で本実施形態のデータ転送処理を終了する。
【0058】
図14にCDIC103の画像データ入力制御部302の内部機能ブロックを示す。本実施形態の画像データ入力制御部302は、レジスタ部1401と、ライン周期制御部1402と、画像出力部1403とを含んで構成されている。図14に示した画像データ入力制御部302の機能を、図15および図16のフローチャートの処理を参照して、機能部と対応付けながら説明する。
【0059】
図15は、図14に示した画像出力部1403の処理のフローチャートである。画像形成装置100が、”ゲートカットモード”で動作している期間は、図15のフローチャートが適用され、読取画像の転送開始後、IPP104から受領するフレーム終了フラグを検知することによって転送レートを切り換えを制御する。図15の処理は、ステップS1500から開始し、ステップS1501で読取画像を転送し、ステップS1502で主走査カウンタを+1カウントアップする。ステップS1503で主走査画素カウンタ=主走査画素数レジスタ値か否かを判断し、この判断が否定的な結果を返す場合(no)処理をステップS1501に戻して読取画像の転送を継続する。
【0060】
一方、ステップS1503の判断が肯定的な結果を返す場合(yes)、設定された主走査長の画像の転送が完了したのでステップS1504で、フレーム終了フラグが検出されたか否かを判断し、フレーム終了フラグが検出されない場合(no)、処理をステップS1501に戻し、フレーム終了フラグが検出されるまで、読取画像の転送を継続させる。一方、ステップS1504でフレーム終了フラグが検出された場合(yes)、処理をステップS1505に進め、転送動作を終了させる。図15に示したゲートカットモードの場合には、白画素データを挿入する契機が存在しないので、従来通りのデータ転送処理が適用される。
【0061】
図16は、非ゲートカットモードのデータ転送処理のフローチャートである。図16の処理は、ステップS1600で読取画像転送が指令されて開始する。ステップS1601で読取画像の転送を行い、ステップS1602で、主走査画素カウンタを+1カウントアップし、ステップS1603で、主走査カウンタ=主走査画素レジスタ値か否かを判断する。ステップS1603の判断が否定的な結果を返す場合(no)、処理をステップS1601に戻し読取画像の転送をそのまま継続する。
【0062】
一方、ステップS1603の判断が肯定的な結果を返す場合(yes)、ステップS1604で副走査ラインカウンタを+1カウントアップする。ステップS1605では、副走査ラインカウンタ=副走査ライン数レジスタ値か否かを判断し、肯定的な結果が返された場合(yes)、処理するべき読取画像が終了したので、ステップS1614に処理を進め、データ転送を終了させる。また、ステップS1605で否定的な結果が返された場合(no)転送するべきデータがまだ存在するか否かを判断するためステップS1606に処理を進め、フレーム終了フラグを検出した否かを判断する。ステップS1606でフレーム終了フラグが検出されない場合(no)さらにデータ転送を行う必要が有るので、処理をステップS1601に戻し、さらにデータ転送を継続する。
【0063】
一方、ステップS1606でフレーム終了フラグが検出された場合(yes)、読取画像の終了示しているので、ステップS1607で白画像データの転送を開始する。このとき、CDIC103は、汎用バス120のバス帯域幅を、M2Pデータ転送のために最大限割当てるように各機能部を制御する。ステップS1608では、主走査カウンタを+1カウントアップし、ステップS1609では、主走査画素カウンタ=主走査画素数レジスタ値か否かを判断し、ステップS1609の判断が否定的な結果を返す場合(no)、さらに転送するべき白画像データがあるので処理をステップS1607に戻す。
【0064】
また、ステップS1609の判断が肯定的な結果を返す場合(yes)、ステップS1610で副走査ラインカウンタを+1カウントアップし、ステップS1611で、副走査ラインカウンタ=副走査ライン数レジスタ値か否かを判断する。ステップS1611の判断が否定的な結果を返す場合(no)、ステップS1612に分岐させ、主走査画素カウンタ>ライン周期か否かを判断し、ステップS1612の判断が否定的な結果を返す場合(no)、ステップS1613で1クロックwaitし、主走査カウンタを+1カウントアップし処理をステップS1611に戻し、副走査ラインのデータが完了するまで処理を継続させる。ステップS1611の判断が肯定的な結果を返す場合(yes)、白画素データを転送する必要がないので、処理をステップS1614に戻し、データ転送を終了させる。
【0065】
また、ステップS1612の判断が肯定的な結果を返す場合(yes)、主走査方向に関し、白画素データの転送が終了したので、処理をステップS1607に戻し、さらに白画像データの転送を継続する。以上の処理によって、エンジン部160に送付される画像データの転送速度が最大化でき、効率的、かつ高速印刷に対応可能な画像形成装置が提供できる。
【0066】
図17は、図14に示したライン周期制御部1402が生成するライン周期判定の真偽表(ルックアップテーブル)1700を示す。ライン周期制御部1402は、システムコントローラ115によりレジスタ部1401に設定された「スキャナライン周期」、「M2P転送画像フォーマット」指令信号、「強制MAX速度」指令信号、およびコマンド制御部304から入力される「M2P転送開始」信号を受領して、汎用バス120の帯域余裕度を判断し、白画素データ追加領域におけるデータ転送速度を、転送ライン周期単位で制御する。
【0067】
上述したように、汎用バス120のバス帯域幅は、複写動作のためのS2M画像データ、M2P画像データの他、プリンタ動作に起因するM2P画像データも汎用バス120を使用する可能性がある。このため、画像形成装置100の汎用バス120の帯域幅割当ては、MA動作が発生することを前提として設定されているので、MA動作中のライン周期は、スキャナ読取り速度(スキャナライン周期)と等しくすることが、ハードウェア資源の点から最も効率的である。このため、M2P開始信号がアサートされている場合のライン周期はスキャナライン周期に設定される。
【0068】
しかしながら、MA動作中であっても、プリンタ動作におけるM2P画像データが16bitカラーフォーマットではなく、8bitカラーフォーマットの場合は、16bitカラーフォーマットの場合と比較して、汎用バス120のデータ転送帯域幅に対する負荷が軽減される。この結果、データ転送のライン周期を速くすることが可能となる。具体的に説明すると、プリンタ動作におけるM2P画像データが16bitカラーフォーマットではなく、8bitカラーフォーマットの場合には、プリンタ動作のM2P画像データ量は、単純に半分となる。このため、16bitカラーフォーマットのデータ転送時と比較して、転送速度を半分に減らしてもデータ転送の遅延による影響は生じない。
【0069】
プリンタ動作におけるM2P画像データの転送速度を半分に減らすことができることは、取りも直さず余剰のバス帯域幅を、複写動作におけるS2M画像データの転送速度に振り替えることが可能となることを意味する。汎用バス120のバス帯域幅のうち、例えば30%を複写動作のS2M画像データ転送に割当て、30%を複写動作のM2P画像データ転送に割当て、40%をプリンタ動作のM2P画像データ転送に割当てるMA動作を想定した場合、プリンタ動作のM2P画像データが16bitカラーフォーマットではなく8bitカラーフォーマットになることによって、プリンタ動作のM2P画像データが占有する汎用バス120帯域幅を、40%から20%に削減することが可能になり、余剰の帯域幅20%を複写動作のS2M画像データ転送に割当てることが、ハードウェア資源の変更を伴うことなく可能となる。この結果、複写動作のS2M画像データ転送が占有する汎用バス120帯域幅を、30%から50%にまで引き上げることが可能となる。
【0070】
このことは、8bitカラーフォーマットの場合のS2M画像データのデータ転送のライン周期を、16bitカラーフォーマットの場合と比較し、1.66倍(1.66=50/30[%/%])増加させることが可能になる。これをライン周期で比較すると、8bitカラーフォーマット時の周期は、16bitカラーフォーマット時のライン周期×0.6(30/50[%/%])まで短縮する、すなわち高速化することができることを意味する。
【0071】
同様に、4bitカラー、4bitモノクロ、2bitモノクロ、1bitモノクロの各フォーマットの場合にも、32bitカラーフォーマットの場合と比較して、はるかに汎用バス120のバス帯域幅の占有率が軽減されるため、ライン周期を短縮することが可能になる。
【0072】
汎用バス120の使用がS2M転送のみの複写単体動作またはFAX単体動作の場合は、汎用バス120の帯域幅にさらに余裕ができるので、ライン周期をゼロとし、その分のバス帯域幅を、画像データ入力制御部302内部での白画像データ転送に割くことができるので、汎用バス帯域幅のMAX速度を割当てることも可能となる。
【0073】
なお、汎用バス120としては、PCIバスおよびPCI Expressを選択可能であり、搭載する汎用バス120の種類を、画像形成装置100の機種によって使い分けることもできる。汎用バス120として、PCIバスおよびPCI Expressの規格を選択できる場合、スキャナ読取り速度にも依存するケースも発生するものの、汎用バス120にPCI Expressを選択すれば、白画素追加領域のデータ転送は、現状の汎用バスとして可能な最高速を提供することができる。この結果、より高速画像形成が可能な画像形成装置100を提供することができる。
【0074】
第2の実施形態では、画像形成装置100の全ブロック構成を、エンジン部160と、コントローラ部150との間のS2M転送データおよびM2P転送データとに対し、汎用バス120を共用使用するのではなく、S2M転送およびM2P転送とでそれぞれ分離した汎用バス120を使用することもできる。この実施形態の場合、S2M転送が汎用バス120を占有しても他の汎用バス120を使用して白画素追加領域のデータ転送をMAX速度とすることができる。すなわち、本実施形態で可能なデータ転送速度は、画像形成装置100の全体ブロック構成に応じて、ライン周期を柔軟に制御することが可能となる。
【0075】
また、第2の実施形態において、CDIC703の内部のレジスタ部1401に、初期値が”0”となる強制MAX速度転送レジスタを用意することもできる。エンジン部160とコントローラ部150とを接続する汎用バスが本実施例の図1のようにS2M転送とM2P転送とで共通で使用する構成の場合には、強制MAX速度転送レジスタの値を初期値”0”のまま(不使用)とすることで、複写動作、プリンタ動作を含んだ動作でバス仕様効率を最大化することができる。さらに、S2M転送とM2P転送とでそれぞれ分離した汎用バスを使用するブロック構成の実施形態の場合は、画像形成装置100の初期化シーケンス処理において、システムコントローラ115により強制MAX速度転送レジスタに”1”(有効)にセットしておくことで、ライン周期制御部1402が生成するライン周期をゼロとして、M2Pデータ転送速度を増加させることができる。
【0076】
以上のように図7の実施形態の画像形成装置700では、CDIC703がS2Mデータ転送だけを行い、M2Pデータ転送を処理しない構成とすることができる。このため、エンジン部160と、コントローラ部150とを接続する汎用バス720をS2Mデータ転送に占有させることもできるため、白ラインデータ追加領域のためのデータ転送は、MAX速度とすることができる。
【0077】
以上説明したように、本発明によれば、PCIバス帯域の余裕度を検知することで、動的にデータ転送経路に対してバス帯域幅を割当てることにより、画像形成効率の向上、およびスキャナ読取動作の高速化を実現できる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 画像形成装置
101 スキャナ部
102 SBU
103 CDIC
104 IPP
105 VDC
106 作像ユニット
107 PN
108 FCU
109 MEM
110 IMAC
111 PC
112 Ope.Pane
115 システムコントローラ
116 プロセスコントローラ
117 RAM
120 汎用バス
140 内部バス
150 コントローラ部
160 エンジン部
203 スキャナ画像処理部
204 コマンド制御部
206 画質処理部
301 画像データ入出力制御部
302 画像データ入力制御部
303 画像データ出力制御部
304 コマンド制御部
305 データ圧縮部
306 データ伸張部
308 データ変換部
309 内部バスI/F
402 データ変換部
404 エッジ平滑処理部
405 パルス制御部
501 システムコントローラI/F
502 メモリアクセス制御部
503 ラインバッファ
504 ビデオ制御部
505 データ圧縮部
506 データ伸張部
507 データ変換部
601 外部I/F
602 FAX画像処理部
603 画像メモリ
604 メモリ制御部
605 ファクシミリ制御部
606 画像圧縮伸張部
607 モデム
608 網制御部
700 画像形成装置
701 読取りユニット
702 SBU
703 CDIC
704 IPP
705 VDC
706 作像ユニット
708 FCU
709 MEM
710 IMAC
711 PC
715 システムコントローラ
716 プロセスコントローラ
720 汎用バス
730 汎用バス
750 コントローラ部
760 エンジン部
803 スキャナ画像処理部
901 画像データ入出力制御部
902 画像データ入力制御部
903 コマンド制御部
904 データ圧縮部
1402 ライン周期制御部
1403 画像出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2007-28691号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ部が読取った画像をデジタル化された画像データに変換し、該画像データを外部出力するエンジン部と、
記憶装置を備え、前記エンジン部による前記画像データの外部出力を制御するコントローラ部と、
前記エンジン部と、前記コントローラ部とを接続する汎用バスとを含む画像形成装置であって、
前記スキャナ部が読取った前記画像の副走査後端に白ラインデータを追加して前記記憶装置に転送する場合に、前記画像形成装置の動作状態による前記汎用バスのバス帯域幅の余裕度を判断して、前記白ラインデータを前記記憶装置に転送するためのデータ転送速度を制御する、画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラ部は、前記画像形成装置の動作を指令するシステムコントローラ手段を備え、
前記エンジン部は、前記指令に応答して読取動作による前記スキャナ部から前記記憶装置へのデータ転送と、印刷動作のため前記記憶装置から前記エンジン部へのデータ転送とが同時に発生する場合に、前記エンジン部と前記コントローラ部とを接続する汎用バス帯域幅の前記余裕度を判断する画像データ入力制御部を含む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像データ入力制御部は、前記エンジン部と、前記コントローラ部を結ぶ汎用バス帯域の余裕度の検知を、前記記憶装置から転送するべき画像データのフォーマットを使用して実行する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記汎用バスは、PCIバスまたはPCI Expressである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記エンジン部と前記コントローラ部とをそれぞれ接続し、前記エンジン部から前記コントローラ部へと前記スキャナ部が取得したデータを転送する第1の汎用バスと、前記コントローラ部の前記記憶装置から前記エンジン部へとデータを転送する第2の汎用バスとを備え、
画像データに前記白ラインデータを追加して前記記憶装置に転送する場合に、前記副走査後端に追加する白ラインデータを前記記憶装置に最大の転送速度で転送する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
スキャナ部が読取った画像をデジタル化された画像データに変換し、該画像データを外部出力するエンジン部と、記憶装置を備え、前記エンジン部による前記画像データの外部出力を制御するコントローラ部と、前記エンジン部と、前記コントローラ部とを接続する汎用バスとを含む画像形成装置におけるデータ転送方法であって、
前記スキャナ部が読取った前記画像の副走査後端に白ラインデータを追加して前記記憶装置に転送することが必要な原稿であるか否かを判断するステップと、
前記エンジン部が現在転送するべき画像データのフォーマットを使用して、前記白ラインデータを追加するべき原稿であるとの判断に応答して前記画像形成装置の動作状態による前記汎用バスのバス帯域幅の余裕度を判断するステップと、
前記余裕度の判断に応答して前記汎用バスを介して前記記憶装置から前記エンジン部に転送するべき画像データのための帯域幅を前記白ラインデータのための帯域幅に割り振るステップと
を含む、データ転送方法。
【請求項7】
さらに、前記コントローラ部から受領した指令に応答して読取動作による前記スキャナ部から前記記憶装置へのデータ転送と、印刷動作のため前記記憶装置から前記エンジン部へのデータ転送とが同時に発生するか否かを判断するステップと、
読取動作による前記スキャナ部から前記記憶装置へのデータ転送と、印刷動作のため前記記憶装置から前記エンジン部へのデータ転送とが同時に発生すると決定された場合に前記余裕度を判断するステップに分岐するステップと
を含む、請求項6に記載のデータ転送方法。
【請求項8】
前記汎用バスは、PCIバスまたはPCI Expressである、請求項6または7のいずれか1項に記載のデータ転送方法。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記エンジン部と前記コントローラ部とをそれぞれ接続し、前記エンジン部から前記コントローラ部へと前記スキャナ部が取得したデータを転送する第1の汎用バスと、前記コントローラ部の前記記憶装置から前記エンジン部へとデータを転送する第2の汎用バスとを備え、
前記第1の汎用バスを介した前記副走査後端に追加する白ラインデータの前記記憶装置への転送速度を最大値に設定するステップを含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載のデータ転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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