説明

画像形成装置および定着装置

【課題】
加熱コイルを本体側に残した状態で交換可能とし、かつコストの低減が図られた定着装置、およびその定着装置を備えた画像形成装置を提供する.
【解決手段】
定着装置が、定着フレームと、循環移動しながら誘導加熱を受ける無端の加熱ベルトと、記録媒体を加熱ベルトとの間に挟んで記録媒体を加圧する加圧ロールと、加圧ロールとの間に加熱ベルトを挟んだ加熱ベルトの内側に配置されて加圧ロールによる加圧を受け止める受け部材とを有し、本体フレームに着脱自在に装着される定着ユニット、および本体フレームに定着ユニットが装着された状態における加熱ベルトを誘導加熱する加熱コイルを有し、本体フレームに支持されて定着ユニットが本体フレームから取り外されても本体フレームに支持された状態を維持する本体側ユニットを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体上にトナー像を形成しそのトナー像を定着装置で加熱および加圧することにより記録媒体上に定着する画像形成装置が知られている。このタイプの画像形成装置において定着装置は比較的寿命が短く、このため定着装置を着脱自在としておき寿命に達したときに容易に交換可能とする構成が採用されることがある。
【0003】
引用文献1には、定着装置について、電磁誘導発熱部材と加圧ローラが本体に対して引き出し可能な1つの定着ユニットに取り付けられていて、磁場発生手段は本体に取り付けられていて定着ユニットを本体から引き出しても本体に残る構造が示されている。
【0004】
引用文献2には、定着装置について、電磁誘導により発熱する回転体と磁場発生手段を持っていて、被装着装置本体側に設けたコイル等の電気的構成要素と組み合わせて使用可能としてなる構造が示されている。
【0005】
引用文献3には、定着装置において、加熱ローラをもつ上ユニットと加圧ローラを含む下ユニットを設けたユニットを構成し、上ユニットの加熱ローラ長手方向に沿って開口した部位を閉塞する断熱カバー、或いはクリーニング手段、或いは離形材塗布手段をユニット内の同一箇所に対してそれぞれ着脱可能にした構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−135246号公報
【特許文献2】特開2005−190693号公報
【特許文献3】特開2005−250371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、加熱コイルを本体側に残した状態で交換可能とし、かつコストの低減が図られた定着装置、およびその定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1は、
本体フレームと、
記録媒体を搬送する搬送機構と、
搬送機構により搬送されてきた記録媒体にトナー像を形成するトナー像形成部と、
トナー像の形成を受けて搬送機構によりさらに搬送されてきた記録媒体を挟んで加熱および加圧することにより、トナー像を記録媒体に定着する定着装置とを備え、
上記定着装置が、
定着フレームと、循環移動しながら誘導加熱を受ける無端の加熱ベルトと、搬送機構により搬送されてきた記録媒体を加熱ベルトとの間に挟んで記録媒体を加圧する加圧ロールと、加圧ロールとの間に加熱ベルトを挟んだ加熱ベルトの内側に配置されて加圧ロールによる加圧を受け止める受け部材とを有し、本体フレームに着脱自在に装着される定着ユニット、および
本体フレームに定着ユニットが装着された状態における加熱ベルトを誘導加熱する加熱コイルを有し、本体フレームに支持されて定着ユニットが本体フレームから取り外されても本体フレームに支持された状態を維持する本体側ユニットを備え、
上記定着ユニットが、加熱ベルトの、本体側ユニットに対面する領域に沿って広がって加熱ベルトを覆い、定着ユニットが本体フレームに装着された状態で加熱ベルトと本体側ユニットとの間に介在するカバー部材を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
請求項2は、請求項1の画像形成装置において、上記カバー部材が、加熱コイル側を向いた面に立設して縦方向に延びるリブを有し、カバー部材と本体側ユニットとの間に空気流路が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記カバー部材が、そのカバー部材の上部に定着フレームに回転自在に支持された支持部を有し、加熱ベルトをカバー部材で覆った閉状態とカバー部材が加熱ベルトから離れた開状態との間で回転自在な部材であることを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置において、上記定着ユニットが、本体フレームに装着された状態で本体側ユニットに接し本体側ユニットとの間の相対位置を規制する位置決め部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5は、
定着フレームと、循環移動しながら誘導加熱を受ける無端の加熱ベルトと、トナー像が形成されて搬送されてきた記録媒体を加熱ベルトとの間に挟んで記録媒体を加圧する加圧ロールと、加圧ロールとの間に加熱ベルトを挟んだ加熱ベルトの内側に配置されて加圧ロールによる加圧を受け止める受け部材とを有し、本体フレームに着脱自在に装着される定着ユニット、および
本体フレームに定着ユニットが装着された状態における加熱ベルトを誘導加熱する加熱コイルを有し、本体フレームに支持されて定着ユニットが本体フレームから取り外されても本体フレームに支持された状態を維持する本体側ユニットを備え、
上記定着ユニットが、加熱ベルトの、本体側ユニットに対面する領域に沿って広がって加熱ベルトを覆い、定着ユニットが本体フレームに装着された状態で加熱ベルトと本体側ユニットとの間に介在するカバー部材を備えたことを特徴とする定着装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の画像形成装置および請求項5の定着装置によれば、加熱コイルを本体側に残した状態で交換可能とし、かつコストの低減が図られる。
【0014】
請求項2の画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べ、加熱ベルトで発生した熱が本体ユニット側に伝熱されにくい。
【0015】
請求項3の画像形成装置によれば、固定されたカバー部材を備えた場合と比べ、搬送中の記録媒体が閊えたときにその記録媒体を容易に取り除くことができる。
【0016】
請求項4の画像形成装置によれば、本構成を有しない場合と比べ、加熱コイルと加熱ベルトの相対位置が安定し、加熱コイルから加熱ベルトに、常に制御された量のエネルギーを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像形成装置の一例としての複写機の概略構成図である。
【図2】図1に示す複写機に内蔵されている定着装置の概要構成図である。
【図3】図2に示す定着装置を構成する定着ユニットの概略構成図である。
【図4】図2に示す定着装置を構成する本体ユニットの概略構成図である。
【図5】カバー部材の形状を示した図である。
【図6】本体ユニットの形状を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1は、画像形成装置の一例としての複写機の概略構成図である。
【0020】
この複写機100は、スキャナ101とプリンタ102とを有する。スキャナ101は、原稿から画像を読み取って画像データを生成する装置である。このスキャナ101は、従来のスキャナと変わるところはなく、詳細説明は省略する。
【0021】
このスキャナ101で生成された画像データは、プリンタ102の制御部10に入力される。この制御部10では、スキャナ101から入力されてきた画像データが、後述する露光器26における露光光変調用の画像データに変換される。
【0022】
プリンタ102は、本体フレーム90を有し、このプリンタ102を構成する部材はこの本体フレーム90に支持されている。このプリンタ102の上部には、画像が形成された後の用紙が排出される排紙台11が設けられている。このプリンタ102の下部には、給紙台12が配置されている。この給紙台12には画像形成前の用紙Pが積み重なった状態に収容されている。この給紙台12は、用紙Pの補給のために、引出し自在に構成されている。
【0023】
この給紙台12からは用紙Pがピックアップロール13により送り出され、さばきロール14により1枚ずつに分離され、その1枚の用紙Pが搬送ロール15により搬送路151上を矢印A方向に上方に搬送され、待機ロール16によりそれ以降の搬送のタイミングが調整されて、さらに上方に搬送される。この待機ロール16以降の用紙の搬送については後述する。
【0024】
このプリンタ102の上下方向のほぼ中央には、4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kが配置されている。これらの画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、Y(イエロー)色、M(マゼンタ)色、C(シアン)色、K(黒)色のトナーを用いてトナー像を形成する装置である。これら4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kはいずれも同一の構成を有するため、ここでは、画像形成エンジン20Yを取り挙げてその概要を説明する。
【0025】
この画像形成エンジン20Yは、図1に矢印Bで示す向きに回転する感光体21Yを有し、その感光体21Yの周囲に、帯電器22Y、現像器23Y、およびクリーナ24Yが配置されている。また、後述する中間転写ベルト31を感光体21Yとの間に挟んだ位置には、転写器25Yが置かれている。
【0026】
またこれら4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kの下には露光器26が配置されている。この露光機26には、制御部10で生成された、露光器26での露光光変調用の画像データが入力される。この露光器26からは、入力された画像データに基づいて変調された光ビームからなる、各画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kそれぞれに対応する露光光261Y,261M,261C,261Kが出射される。各画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kを構成する各感光体21Y,21M,21C,21Kは、各露光光261Y,261M,261C,261Kの照射を受ける。
【0027】
ここで、感光体21Yは、ドラム形状を有し、帯電により電荷を保持し露光によりその電荷を放出してその表面に静電潜像を保持する。
【0028】
帯電器22Yは、感光体21Yの表面をある帯電電位に帯電する。
【0029】
また、露光器26からは、その入力された画像データに応じて変調された露光光261Yが出射される。感光体21Yは、帯電器22Yによる帯電を受けた後、露光器26からの露光光261Yの照射を受け、感光体の表面に静電潜像が形成される。
【0030】
感光体21Yは、露光光261Yの照射を受けて表面に静電潜像が形成された後、現像器23Yにより現像され、その感光体21Yの表面に、トナー像(この画像形成エンジン20Yではイエロー(Y)のトナーによるトナー像)が形成される。
【0031】
これら4台の画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kの上には中間転写ベルト31が備えられている。
【0032】
現像器23Yによる現像により感光体21Y上に形成されたトナー像は、転写器25Yの作用により中間転写ベルト31上に転写される。
【0033】
この転写後に感光体21Y上に残存するトナーは、クリーナ24Yによって感光体21Y上から取り除かれる。
【0034】
中間転写ベルト31は、複数のロール32に架け回された、無端の、矢印C方向に循環移動するベルトである。
【0035】
画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kのそれぞれで形成された各色トナーによるトナー像は、順次重なるように中間転写ベルト31上に転写され、2次転写器41が配置された2次転写位置に搬送される。これと同期して、待機ロール16にまで搬送されてきていた用紙が2次転写位置に搬送され、2次転写器41の作用により、中間転写ベルト31上のトナー像が、搬送されてきた用紙上に転写される。このトナー像の転写を受けた用紙は、さらに搬送され、定着装置50による加圧および加熱により用紙上のトナー像がその用紙上に定着され、定着されたトナー像からなる画像が用紙上に形成される。画像が形成された用紙は、さらに搬送されて、排紙台11上に排出される。
【0036】
2次転写器41によりトナー像を用紙上に転写した後の中間転写ベルト31はさらに循環移動し、その表面に残存するトナーがクリーナ42によって中間転写ベルト31上から取り除かれる。
【0037】
また、中間転写ベルト31よりも上方には各色トナーを収容するトナー容器43Y,43M,43C,43Kが装着されている。これらのトナー容器43Y,43M,43C,43Kに収容されている各色トナーは、現像器23Yなど、対応する画像形成エンジン20Y,20M,20C,20Kにそれぞれ備えられた各現像器におけるトナーの消費量に応じて各現像器に補給される。
【0038】
制御部10は、スキャナ101から入力されてきた画像データを露光用に変換することのほか、このプリンタ102の全体の制御を担っている。
【0039】
また、このプリンタ102の、図1における左側面には、開閉自在な2枚の扉91,92が設けられている。これらの扉91,92は、搬送中の用紙Pがその途中で閊えた場合に、その閊えた用紙を取り除くためのものである。また、2枚の扉91,92のうちの上方の扉91は、定着装置50のうちの定着ユニット51(図2,図3参照)の着脱の際にも開閉される。定着装置50の詳細については後述する。さらに、この定着装置50の上部には、定着装置50で発生した熱を外部に排出するためのファン61が配置されており、これに対応して、本体クレーム90の側面の、ファン61に対応した部分には、排気口93が形成されている。
【0040】
図2は、図1に示すプリンタ102に内蔵されている定着装置の概要構成図である。
【0041】
また、図3は、図2に示す定着装置を構成する定着ユニットの概略構成図、図4は、図2に示す定着装置を構成する本体ユニットの概略構成図である。
【0042】
この定着装置50は、定着ユニット51と本体ユニット52を備えている。定着ユニット51は、プリンタ102内に着脱自在に装着される。すなわち、この定着ユニット51は、図1に示す扉91を開けて、図1の左側から右側へのスライドにより、本体フレーム90(図1参照)と一体な装着台94上に装着され、固定ネジ71により固定される。
【0043】
これに対し、本体ユニット52は、本体フレーム90(図1参照)と一体なサブフレーム95に、支持されている。この本体ユニット52は、定着ユニット51が装着台94から取り外されても、サブフレーム95に支持された状態を維持する。
【0044】
定着ユニット51は、定着フレーム511を有し、その定着ユニット51を構成する各部材は定着フレーム511に組み付けられている。この定着ユニット51は、加熱ベルト512と、加圧ロール513と、受け部材514を有する。本体ユニット52は、加熱ベルト512を誘導加熱するための加熱コイル521を有する。加熱ベルト512は、矢印Dで示す向きに循環移動しながら本体ユニット52の加熱コイル521からの電磁誘導による誘導加熱を受ける無端のベルトである。また、加圧ロール513は、搬送路151(図1参照)に沿って搬送されて2次転写器41の作用によりその表面にトナー像を載せた用紙を加熱ベルト512との間に挟んで矢印Eで示す向きに回転し、用紙を加圧するとともに搬送するロールである。また、受け部材514は、加圧ロール513との間に加熱ベルト512を挟んだ、加熱ベルト512の内側に配置されて、加圧ロール513による加圧を受けとめる部材である。用紙は、シュート515に案内され搬送路152上を矢印Fで示す向きに進み、加熱ベルト512と加圧ロール513に挟まれてさらに進み、加熱ベルト512に付着したまま連れ回らないように剥離部材516により加熱ベルト512から剥離され、矢印Gで示す向きに進む。用紙は、その後、図1に示す排紙台11上に排出される。
【0045】
また、この定着ユニット51には、カバー部材517が備えられている。このカバー部材517は、加熱ベルト512の、本体ユニット52に対向する領域に沿って広がって加熱ベルト512を覆っている。このカバー部材517は、定着ユニット51の着脱の際の加熱ベルト512の損傷を防止するとともに、熱せられた加熱ベルト512が作業者の手に触れて作業者が火傷を負う危険を避けている。このカバー部材517は、その上端部517aが定着フレーム511に回転自在に支持されており、自重で図2,図3に示すような、垂れ下がった姿勢となり、下端部517bが、ストッパ518に突き当たっている。このカバー部材517は、樹脂の成形部材であって電磁力はそのまま透過させる材質であり、本体ユニット52の加熱コイル521は、このカバー部材517を挟んだ状態のまま、加熱ベルト512を誘導加熱する。また、このカバー部材517には、本体ユニット51側を向いた外面517cに立設して縦方面に延びるリブ517dを有する。
【0046】
このカバー部材517の、本体ユニット52側を向いた外面517cと、本体ユニット52の、そのカバー部材517側を向いた面522との間には、矢印Hから矢印Iに向かう向きに空気を流す空気流路53が形成されている。この空気流路53を通った空気は、ここを通過する間に暖められて、図1に示すファン61により排気口93から排気される。
【0047】
ここに空気流路53を形成したことで、加熱ベルト512の熱で本体ユニット52が暖まるのが抑制される。本体ユニット52の温度上昇を抑えると、その本体ユニット52の加熱コイル521として耐熱性の低い材料を使うことができ、コストダウンや長寿命化に寄与する。また、ここを流れる空気により、カバー部材517の温度上昇も抑えられる。定着ユニット51は、加熱ベルト512と加圧ロール513の間を通過した用紙が剥離部材516により剥離されずに加熱ベルト51に連れ回って用紙が詰まってしまったときなどに一旦取り出され、カバー部材517が上端部517aを中心に開かれて詰まった用紙が取り除かれるが、その際、作業者の手がカバー部材517に触れることになる。この空気流路53に空気が流れ、カバー部材517の温度上昇が抑えられていると、作業者には熱が伝わりにくく安全である。
【0048】
図5は、カバー部材の形状を示した図である。図5(A)はそのカバー部材を本体ユニット52側から見たときの正面図、図5(B)は側面図である。
【0049】
カバー部材517は、図5(A)の左右両側において上方に突き出た上端部517aが形成されており、その上端部517aには定着フレーム511への軸支用の穴517eが設けられている。またこのカバー部材517の、本体ユニット52(図2,図4参照)側を向いた外面517cに、リブ517dが等間隔に立設している。これらのリブ517dは、この外面517cと本体ユニット52(図2,図4参照)との間に形成される空気流路53(図2参照)に沿う縦方向に延びており、カバー部材517と本体ユニット52との間の空気流路53(図2参照)における空気の流れを助けている。また、このリブ517dを設けたことで、定着ユニット51を取り出したときに、作業者の手はリブ517dに触れることになり、この点でも作業者の手に伝わる熱が低減される。
【0050】
図2,図3に戻って説明を続ける。
【0051】
定着ユニット51には、定着フレーム511に、2つの嵌合溝518a,518bが形成されている。これらの嵌合溝518a,518bには、本体ユニット52の嵌合ピン523a,523bがそれぞれ嵌り込んでいる。定着ユニット51は、このプリンタ内に装着されてきたとき、嵌合溝518a,518bに本体ユニット52の嵌合ピン523a,523bが嵌り込むことによって、定着ユニット51の、本体ユニット52に対する位置決めがなされる。定着ユニット51は、嵌合溝518a,518bに嵌合ピン523a,523bが嵌り込んだ状態で、固定ネジ71により、本体フレーム90(図1参照)の一部を成す装着台94上に固定される。定着フレーム511に形成されたこれらの嵌合溝518a,518bは、本発明にいう位置決め部の一例に相当する。
【0052】
ここで、上下の嵌合溝518a,518bのうちの上側の嵌合溝518aは、嵌合ピン523aの直径と同一幅に形成されており、この嵌合溝518aに嵌合ピン523aが嵌り込むことによって、定着ユニット51と本体ユニット52との間の縦方向の位置決めがなされる。また、この上側の嵌合溝518aの、図2の紙面に垂直な方向の幅も、嵌合ピン523aの同方向の長さと同一であり、この嵌合溝518aに嵌合ピン523aが嵌り込むことによって、奥行き方向(図2の紙面に垂直な方向)についても、定着ユニット51と本体ユニット52との間の位置決めがなされる。一方、下側の嵌合溝518bは、嵌合ピン523bに対し余裕のある寸法を有する。下側の嵌合溝518bは、嵌合ピン523bが突き当たる面によって、本体ユニット52の回転止めとなっている。
【0053】
図6は、本体ユニットの形状を示した図である。図6(A)は、本体ユニット52を定着ユニット51側から見た平面図、図6(B)は側面図である。
【0054】
この本体ユニット52の、定着ユニット51側を向いた面522は、定着ユニット51のカバー部材517の外面517cに沿う円弧状に形成されており、その両側には、その面522から円弧状に立設した突き当てリブ524が設けられている。この突き当てリブ524は、定着ユニット51が装着されたときカバー部材517の両側部に近接する。この定着ユニット51側を向いた面522の、左右の突き当てリブ524に挟まれた領域が、カバー部材517との間に空気流路53(図1参照)を形成している領域である。
【0055】
また、嵌合ピン523a,523bは、図6(A)に示すように左右に延びており、これに対応して、定着フレーム511に形成された嵌合溝518a,518b(例えば図2参照)も、各嵌合ピン523a,523bに対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0056】
前述の通り、上側の嵌合ピン523aは、嵌合溝518aに嵌り込んで上下方向から押えられ、定着ユニット51と本体ユニット52との間の上下方向の位置決めに寄与している。また、この嵌合溝518aは、嵌合ピン523aの先端523a´と干渉する寸法を有し、嵌合溝518aに嵌合ピン523aが嵌り込むと、嵌合溝518aは、嵌合ピン523aの先端523a´の位置を規制し、これにより定着ユニット51と本体ユニット52との間の、図6(A)の奥行き方向(図2の紙面に垂直な方向)の位置決めに寄与している。一方、下側の嵌合ピン523bに対応する嵌合溝518bは、下側の嵌合ピン523bに対し余裕のある寸法を有し、その嵌合溝518bに嵌合ピン523bが突き当たることで本体ユニット52の回転止めとなっている。
【0057】
また、この本体ユニット52は、図6(A)の左右に突出した取付部525を有する。この取付部525には、ボス525aが設けられており、このボス525aの中央にはネジが通る穴525bが形成されている。
【0058】
この本体ユニット52は、図4に示すように、固定ネジ72により、本体ユニット52と本体フレーム90(図1参照)の一部をなすサブフレーム95との間にバネ73を挟んで、サブフレーム95に取り付けられている。
【0059】
本体ユニット52をサブフレーム95に直接に固定せずにここにバネ73を配置したのは、定着ユニット51が装着されて本体ユニット52と結合したときの寸法誤差等を吸収するためである。
【0060】
以上の実施形態によれば、劣化の少ない加熱コイル521を本体側に備えたことで、定着ユニット51を安価に提供でき、ランニングコストの低減が図られる。また加熱ベルト512をカバー部材517で常に覆ったまま加熱することで、加熱ベルト512の熱が加熱コイル521に伝わりにくく、耐熱性の低い材料で加熱コイル521を構成することができ、この点から製造コストの低減も図られる。
【0061】
尚、ここでは、図1に示す複写機100に本発明を適用した例について説明したが、本発明は、複写機にのみ適用可能なものではなく、プリンタやファクシミリ機など、定着装置を必要とする様々な形態の画像形成装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 制御部
26 露光器
90 本体フレーム
20Y,20M,20C,20K 画像形成エンジン
21Y,21M,21C,21K 感光体
31 中間転写ベルト
41 2次転写器
50 定着装置
51 定着ユニット
52 本体ユニット
53 空気流路
61 ファン
71,72 固定ネジ
73 バネ
90 本体フレーム
91,92 扉
93 排気口
94 装着台
95 サブフレーム
100 複写機
102 プリンタ
511 定着フレーム
512 加熱ベルト
513 加圧ロール
514 受け部材
515 シュート
516 剥離部材
517 カバー部材
517a 上端部
517b 下端部
517c 外面
517d リブ
517e,525b 穴
518 ストッパ
518a,518b 嵌合溝
521 加熱コイル
523a,523b 嵌合ピン
524 突き当てリブ
525 取付部
525a ボス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体フレームと、
記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構により搬送されてきた記録媒体にトナー像を形成するトナー像形成部と、
トナー像の形成を受けて前記搬送機構によりさらに搬送されてきた記録媒体を挟んで加熱および加圧することにより、該トナー像を該記録媒体に定着する定着装置とを備え、
前記定着装置が、
定着フレームと、循環移動しながら誘導加熱を受ける無端の加熱ベルトと、前記搬送機構により搬送されてきた記録媒体を前記加熱ベルトとの間に挟んで該記録媒体を加圧する加圧ロールと、前記加圧ロールとの間に前記加熱ベルトを挟んだ該加熱ベルトの内側に配置されて該加圧ロールによる加圧を受け止める受け部材とを有し、前記本体フレームに着脱自在に装着される定着ユニット、および
前記本体フレームに前記定着ユニットが装着された状態における前記加熱ベルトを誘導加熱する加熱コイルを有し、該本体フレームに支持されて該定着ユニットが該本体フレームから取り外されても該本体フレームに支持された状態を維持する本体側ユニットを備え、
前記定着ユニットが、前記加熱ベルトの、前記本体側ユニットに対面する領域に沿って広がって該加熱ベルトを覆い、該定着ユニットが前記本体フレームに装着された状態で該加熱ベルトと前記本体側ユニットとの間に介在するカバー部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カバー部材が、前記加熱コイル側を向いた面に立設して縦方向に延びるリブを有し、該カバー部材と該本体側ユニットとの間に空気流路が形成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カバー部材が、該カバー部材の上部に前記定着フレームに回転自在に支持された支持部を有し、前記加熱ベルトを該カバー部材で覆った閉状態と該カバー部材が該加熱ベルトから離れた開状態との間で回転自在な部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記定着ユニットが、前記本体フレームに装着された状態で前記本体側ユニットに接し該本体側ユニットとの間の相対位置を規制する位置決め部を有することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
定着フレームと、循環移動しながら誘導加熱を受ける無端の加熱ベルトと、トナー像が形成されて搬送されてきた記録媒体を前記加熱ベルトとの間に挟んで該記録媒体を加圧する加圧ロールと、前記加圧ロールとの間に前記加熱ベルトを挟んだ該加熱ベルトの内側に配置されて該加圧ロールによる加圧を受け止める受け部材とを有し、本体フレームに着脱自在に装着される定着ユニット、および
前記本体フレームに前記定着ユニットが装着された状態における前記加熱ベルトを誘導加熱する加熱コイルを有し、該本体フレームに支持されて該定着ユニットが該本体フレームから取り外されても該本体フレームに支持された状態を維持する本体側ユニットを備え、
前記定着ユニットが、前記加熱ベルトの、前記本体側ユニットに対面する領域に沿って広がって該加熱ベルトを覆い、該定着ユニットが前記本体フレームに装着された状態で該加熱ベルトと前記本体側ユニットとの間に介在するカバー部材を備えたことを特徴とする定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−83867(P2013−83867A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224841(P2011−224841)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】