説明

画像形成装置および画像処理方法

【課題】直感的で容易な操作でモード設定を行なうことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】MFPは、タッチパネルである操作パネル15と、操作パネル15に対する指示入力に従って画像処理を行なうためのCPU10とを備える。CPU10は、操作パネル15に原稿画像をプレビュー表示するための表示処理部101と、操作パネル15上での、プレビュー表示された原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けると、当該プレビュー表示された原稿画像上での操作の位置に応じて、当該原稿画像を分割する処理を含んだ処理モードを設定するための設定部105と、設定された処理モードで原稿画像に応じた画像データーの画像形成処理を実行するための画像処理部106とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置および画像処理方法に関し、特に、操作パネルを有する画像形成装置および該画像形成装置における画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開2006−247873号公報(特許文献1)は、読み込んだ原稿のプレビュー画像をタッチパネルに表示し、2ページの原稿のプレビュー画像を水平方向に繋ぐようにタッチパネル上のタッチを受け付けると該2ページを見開きページとして印刷し、2ページの原稿のプレビュー画像の間を垂直方向に分離するようにタッチパネル上のタッチを受け付ける該2ページを一枚の用紙の表裏に配置して印刷する技術を開示している。
【0003】
また、特開2010−041063号公報(特許文献2)は、プレビュー画面上から、パンチやステーブル等の後処理の設定変更や新規設定を容易に行なうことのできる画像形成装置を開示している。
【0004】
また、特開2007−280369号公報(特許文献3)は、プレビューされた読込画像上をユーザーが操作することによって該読込画像に対する加工条件を設定可能とし、該設定に連動して該加工条件が施された結果を表示部に表示することで、間の感覚に近い操作性を可能とする画像処理装置を開示している。
【0005】
ここで、「ブック分割(2in1分割)」を従来のキー操作で設定することは、操作ステップが多く煩雑であった。
【0006】
そこで、この設定に上述のような技術を採用すると、ステーブルやパンチと同じように、処置がされる(決定できる)場所(位置)を指定する(たとえば、端や中央を指定する)ことで「ブック分割(2in1)分割」設定を行なうことが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−247873号公報
【特許文献2】特開2010−041063号公報
【特許文献3】特開2007−280369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、2in1分割の場合は、画像の中央付近を操作することとなる。そのため、画像中央を指定してしまうと、センターステーブルのモード設定と同じとなってしまう。その結果、出力結果がユーザーのイメージどおりとならない課題があった。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、直感的で容易な操作でモード設定を行なうことができる画像形成装置および画像処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像形成装置は、タッチパネルと、タッチパネルに対する指示入力に従って画像処理を行なうための処理部とを備える。処理部は、タッチパネルに処理対象の原稿画像をプレビュー表示する表示処理と、タッチパネル上での、プレビュー表示された原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けると、プレビュー表示された原稿画像上での操作の位置に応じて、原稿画像を分割する処理を含んだ処理モードを設定するための設定処理と、設定された処理モードで原稿画像に応じた画像データーの画像形成処理とを実行する。
【0011】
好ましくは、プレビュー表示された原稿画像上の、画像がしきい値より少なく含まれている領域に対して上記操作がなされた場合、処理部は、設定処理において、1ページ分の原稿画像を分割して分割後の原稿画像のそれぞれを1ページとして画像形成する処理モードであるブック分割モードを設定する。
【0012】
好ましくは、プレビュー表示された原稿画像上の、画像がしきい値より少なく含まれている領域に対して上記操作がなされた場合、処理部は、設定処理において、原稿画像を分割して分割後の原稿画像を拡大してそれぞれを複数枚のページに分割して画像形成する処理モードである拡大連写モードを設定する。
【0013】
好ましくは、画像形成装置は、処理モードとして、1ページ分の原稿画像を分割して分割後の原稿画像のそれぞれを1ページとして画像形成する処理モードであるブック分割モードと、原稿画像を分割して分割後の原稿画像を拡大してそれぞれを複数枚のページに分割して画像形成する処理モードである拡大連写モードとを有する。設定処理において、処理部は、タッチパネル上での、プレビュー表示された原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けると、原稿画像を操作に従ってブック分割モードで処理した場合の画像形成処理結果と、拡大連写モードで処理した場合の画像形成処理結果とをタッチパネルにプレビュー表示し、その選択を受け付けることで、いずれかのモードを処理モードとして設定する。
【0014】
好ましくは、処理部は、上記操作によって特定されるラインが曲線であった場合、処理モードが設定されない旨を警告する処理をさらに実行する。
【0015】
好ましくは、処理部は、上記操作によって特定されるラインがプレビュー表示された原稿画像の主走査方向に対しても副走査方向に対しても垂直でない場合、処理モードが設定されない旨を警告する処理をさらに実行する。
【0016】
好ましくは、処理部は、設定処理において、上記操作によって分割された原稿画像の2つの領域の面積比が規定された値より小さい場合にブック分割モードを設定する。
【0017】
より好ましくは、処理部は、設定処理において、さらに、上記操作によって分割された原稿画像の2つの領域の面積比に応じて、分割後の原稿画像のそれぞれの倍率を決定する。
【0018】
より好ましくは、処理部は、設定処理において、分割後の原稿画像のそれぞれが、原稿画像のサイズから規定される画像形成後の画像サイズに応じたサイズとなるように、分割後の原稿画像のそれぞれの倍率を決定する。
【0019】
本発明の他の局面に従うと、画像処理方法はタッチパネルを有する画像形成装置における処理方法であって、タッチパネルに処理対象の原稿画像をプレビュー表示するステップと、タッチパネル上での、プレビュー表示された原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けるステップと、プレビュー表示された原稿画像上での操作の位置に応じて、原稿画像を分割する処理を含んだ処理モードを設定するステップと、設定された処理モードで原稿画像に応じた画像データーの画像形成処理を実行するステップとを備える。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、直感的で容易な操作で、正確にモード設定を行なうことができる。そのため、モード設定の間違いによるミスコピーを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態にかかる画像処理装置としてのMFP(Multi-Functional Peripheral)のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図2】MFPの操作パネルの構成の具体例を示す図である。
【図3】MFPの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】MFPで、「切る」操作で自動的にモードを設定するための動作の流れを表わすフローチャートである。
【図5】図4のステップS105で、「切る」操作であるか否か、操作種別を判定するための動作の第1の例を示すフローチャートである。
【図6】ドラッグの具体例を表わした図である。
【図7】図4のステップS105で、「切る」操作であるか否か、操作種別を判定するための動作の第2の例を示すフローチャートである。
【図8】ドラッグの具体例を表わした図である。
【図9】ドラッグの具体例を表わした図である。
【図10】ドラッグの具体例を表わした図である。
【図11】表示画面の具体例を示す図である。
【図12】ドラッグの具体例を表わした図である。
【図13】図4のステップS109での判別の具体例を示した図である。
【図14】原稿のプレビュー表示と該プレビュー表示に対する操作との具体例を表わした図である。
【図15】プレビュー表示に対する操作の他の具体例を表わした図である。
【図16】表示画面の具体例を示す図である。
【図17】原稿のプレビュー表示と該プレビュー表示に対する操作との具体例を表わした図である。
【図18】表示画面の具体例を示す図である。
【図19】表示画面の具体例を示す図である。
【図20】第2の変形例でのモード設定のための動作の流れを表わしたフローチャートである。
【図21】図20のステップS112での算出の具体例を表わした図である。
【図22】第3の変形例でのモード設定のための動作の流れを表わしたフローチャートである。
【図23】第3の変形例でのモード設定の具体例を表わした図である。
【図24】第3の変形例でのモード設定の具体例を表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0023】
<装置構成>
図1は、本実施の形態にかかる画像処理装置としてのMFP(Multi-Functional Peripheral)100のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0024】
画像処理装置は、MFPに限定されず、画像処理機能を有し、さらに、後述するタッチパネルを含んだ操作パネルを有する装置であれば、プリンターやファクシミリ送受信機やコピー機などのその他の装置であってもよい。MFP100は、これら機能を複合的に備えた画像処理装置である。
【0025】
図1を参照して、MFP100は、全体を制御するための演算装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM(Read Only Memory)11と、CPU10でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM(Random Access Memory)12と、図示しない原稿台に載置された原稿を光学的に読み取って画像データーを得るためのスキャナー13と、画像データーを印刷用紙上に固定するためのプリンター14と、情報を表示したり当該MFP100に対する操作入力を受け付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル15と、画像データーを保存するためのメモリー16とを含む。
【0026】
図2は、操作パネル15の構成の具体例を示す図である。
図2を参照して、操作パネル15は、タッチパネル51と操作キー群52とを含む。タッチパネル51は、液晶表示装置などの表示装置と光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成され、操作画面を表示して、その操作画面上の指示位置を特定する。CPU10は予め記憶されている画面表示をさせるためのデーターに基づいてタッチパネル51に操作画面を表示させる。
【0027】
操作キー群52には、テンキー521、ジョブのスタートを指示するためのスタートキー522、起動させるモードを選択するためのモード選択キー523が含まれる。
【0028】
特定されたタッチパネル51上での指示位置(タッチされた位置)や、押下されたキーを示す操作信号はCPU10に入力される。CPU10は押下されたキー、または表示している操作画面と指示位置とから操作内容を特定し、それに基づいて処理を実行する。
【0029】
<動作概要>
MFP100においては、「切る」操作によってモード設定を行なう。
【0030】
ここで、「切る」操作とは、タッチパネル上での切るような操作を指し、具体的には、上から下、下から上、右から左、左から右など、タッチパネル上のタッチ位置を、タッチ状態を維持したまま直線または略直線に移動させ、該直線または該略直線をなぞるような操作を指す。すなわち、直線または略直線にドラッグする操作を指す。
【0031】
MFP100は、操作パネル15にプレビュー表示された原稿画像上での「切る」操作を検出することで、当該原稿画像を分割するモードを自動的に設定する。
【0032】
なお、MFPには原稿画像の分割を伴う処理モードとして複数のモードがある場合が考えられる。一例として、MFP100は、「ブック分割」機能(または2in1分割機能とも称される)と「拡大連写」機能とを有するものとする。「ブック分割」機能とは、1ページ分の画像データーを分割し、分割された画像データーそれぞれを1ページずつに画像形成する機能を指し、もとの原稿画像が2in1で生成された画像であるときにそれぞれの画像を分割して1枚ずつに印刷するときに用いられる。「拡大連写」機能とは、原稿画像を一定の大きさに分割し拡大して、複数枚のページに分割して画像形成する機能を指す。
【0033】
いずれのモードも、原稿画像を分割するものであり、原稿画像のプレビュー表示に対して分割する位置を「切る」操作によって指定することで、MFP100は、対応する機能を実行するためのモードを自動的に設定することができる。
【0034】
しかしながら、プレビュー表示された原稿画像に対して単に「切る」操作をなされたのみであると、その操作が「ブック分割」機能における分割位置を指定するものか「拡大連写」機能における分割位置を指定するものかをMFP100では特定し切れず、どちらの機能を実行するモードを設定するべきか特定されない。
【0035】
ただ、上述のようこれら機能の差異によって、原稿画像を区切る位置が異なる。そこで、MFP100では、「切る」操作で指定される、区切る位置に応じて設定するモードを決定、該モードを自動的に設定する。
【0036】
<機能構成>
図3は、上記動作を実現するための、MFP100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図3に示される各機能は、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行することで、主にCPU10上に形成される機能である。しかしながら、少なくとも一部の機能が図1に示されたハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0037】
図3を参照して、上記動作を実現するための機能としてMFP100は、操作パネル15に画像処理対象となる原稿画像をプレビュー表示する処理を行なうための表示処理部101と、タッチパネルである操作パネル15上の操作入力を受け付けるための入力部102と、操作パネル15上での操作位置やドラッグの軌跡と、操作パネル15上の上記原稿画像の表示領域との関係から「切る」操作がなされたか否かを判定するための第1判定部103と、「切る」操作がなされた場合に、その操作位置と原稿画像のプレビュー表示との関係から「ブック分割」モードであるか「拡大連写」モードであるかを判定するための第2判定部104と、その判定結果に従ってモード設定を行なうための設定部105と、設定されたモードで上記指示入力に従って原稿画像に対応した画像データーに対して画像処理を実行し、処理後の画像データーをプリンター14に渡してプリント動作を行なわせるための画像処理部106とを含む。
【0038】
<動作フロー>
図4は、MFP100で、「切る」操作で自動的にモードを設定するための動作の流れを表わすフローチャートである。図4のフローチャートに示される動作は、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行することによって実現される。
【0039】
図4を参照して、ステップS101でCPU101は、画像処理対象として指定された原稿画像を操作パネル15の上記タッチパネル51に表示する。
【0040】
CPU101は、操作パネル15のタッチパネル51上での操作入力を監視し、モード設定が可能な領域に対するタッチを受け付けると(ステップS103でYES)、ステップS105で当該タッチ操作に基づいて操作の種別を判定する処理を行なう。ステップS105での判定については、さらにフローチャートを用いて詳しく説明する。
【0041】
図5は、上記ステップS105で、「切る」操作であるか否か、操作種別を判定するための動作の第1の例を示すフローチャートである。
【0042】
図5を参照して、CPU101は操作パネル15のタッチパネル51上での操作入力を監視し、ドラッグ操作が検出されると、その軌跡とプレビュー表示された原稿画像とを比較する。その結果、ドラッグの軌跡がプレビュー表示された原稿画像のエッジ(端)を領域外から領域内に向かう方向で通過したことが検出されると(ステップS201でYES)、ステップS203でCPU101は、ドラッグが通過した原稿画像のエッジ(端)を特定する情報(座標)を記憶する。
【0043】
その後もCPU101はタッチパネル51上での操作入力を監視し続け、当該ドラッグが継続している限り(ステップS205でNO)、ステップS207でそのタッチ位置を特定する情報(座標)を取得してドラッグの軌跡とプレビュー表示された原稿画像の領域との比較する処理(S221)を繰り返す。
【0044】
その結果、ドラッグの軌跡がプレビュー表示された原稿画像のエッジ(端)を再度通過したことが検出されると(ステップS221でYES)、ステップS223でCPU101は、このドラッグ操作を「切る」操作であると判定する。
【0045】
一方、ドラッグの軌跡がプレビュー表示された原稿画像のエッジ(端)を再度通過するよりも以前にドラッグが終了したこと、つまり、タッチパネル51上でのタッチが解消されたことが検出されると(ステップS205でYES)、ステップS225でCPU101は、このドラッグ操作を「切る」操作ではないと判定する。
【0046】
図6は、判定方法の第1の例において「切る」操作ではないと判定される、ドラッグの具体例を表わした図である。すなわち、図6に示されたように、上記ステップS201でプレビュー表示された原稿画像のエッジ(端)を領域外から領域内に向かう方向でドラッグされたことが検出され、上記ステップS203でそのときのエッジの座標(x0,y0)が記憶された後、原稿画像の途中で指が離されると、ドラッグが、再度、エッジを通過するよりも以前に解消されることになる。この場合、上記ステップS225でCPU101は、検出したドラッグ操作を「切る」操作ではないと判定する。
【0047】
図5に示された判定方法は、ドラッグが終了した時点で、その軌跡がプレビュー表示された原稿画像を通過するものであるか否かに応じて、「切る」操作であるか否かを判定するものである。しかしながら、「切る」操作であるか否かの判定は、図5に示された方法に限定されるものではない。他の例として、図7に、第2の例を示す。すなわち、図7は、上記ステップS105で、「切る」操作であるか否か、操作種別を判定するための動作の第2の例を示すフローチャートである。
【0048】
図7を参照して、上記ステップS203で、ドラッグの軌跡がプレビュー表示された原稿画像のエッジ(端)を領域外から領域内に向かう方向で通過したことが検出された後、その軌跡を監視し続ける(ステップS205,S207)。
【0049】
第2の例において、CPU101は、ドラッグの軌跡を表わすタッチ位置とドラッグが通過した原稿画像のエッジ(端)の位置とを比較し、その縦方向(y座標)および横方向(x座標)の差が、予め規定されているしきい値以内であるか否かを判定する。すなわち、ドラッグの軌跡のx座標の振れ幅またはy座標の振れ幅の少なくとも一方でもしきい値を超えたら(ステップS209でYES)、ステップS225でCPU101は「切る」操作ではないと判定する。
【0050】
図8は、判定方法の第2の例において「切る」操作ではないと判定される、ドラッグの具体例を表わした図である。すなわち、図8に示されたように、上記ステップS203で記憶された、領域外から領域内に向かう方向で通過したプレビュー表示された原稿画像のエッジの座標(x0,y0)からのタッチ位置の差が、縦方向(y座標)でも横方向(x座標)でも予め規定されているしきい値以上である場合、上記ステップS225でCPU101は、検出したドラッグ操作を「切る」操作ではないと判定する。
【0051】
これは、ドラッグの軌跡が、図9に表わされたような曲線を描くものであったり、図10に表わされたようなプレビュー表示された画像の辺に対して傾いていたりする場合が該当する。
【0052】
なお、このようなドラッグが検出されると、好ましくは、CPU101は、図11に示されたように、「切る」操作でないと判定されたことを操作パネル15に表示する。図11の例では、「切る」操作によって設定されるモード(ここでは「拡大連写」モード)が設定できない、というメッセージを表示することで、「切る」操作でないと判定されたことを提示している。
【0053】
ドラッグの軌跡のx座標の振れ幅もy座標の振れ幅もしきい値を超えておらず(ステップS209でNO)、かつ、ドラッグの軌跡がプレビュー表示された原稿画像のエッジ(端)を再度通過したことが検出されると(ステップS221でYES)、CPU101は、さらに、通過したエッジの位置を表わす座標と上記ステップS203で記憶した座標とを比較することで、その再度通過したエッジが、上記ステップS201で通過したことが検出されたエッジとは逆側のエッジであるか否かを確認する。その結果、上記ステップS201で通過したことが検出されたエッジとは逆側のエッジを通過したと確認されると(ステップS222でYES)、ステップS223でCPU101は、このドラッグ操作を「切る」操作であると判定する。再度通過したエッジが上記ステップS201で通過したことが検出されたエッジと逆側のエッジではなかった場合には、ステップS225でCPU101は「切る」操作ではないと判定する。
【0054】
図12は、判定方法の第2の例において「切る」操作ではないと判定される、ドラッグの具体例を表わした図である。すなわち、図12に示されたように、上記ステップS222で、再度通過したエッジが上記ステップS201で最初に通過したエッジと逆側のエッジとは異なるエッジであった場合、上記ステップS225でCPU101は、検出したドラッグ操作を「切る」操作ではないと判定する。
【0055】
再び図4を参照して、上記図5や図7に示されたような判定を行なった結果、受け付けた操作が「切る」操作であった場合(ステップS107でYES)、ステップS109でCPU101は、プレビュー表示の内容とドラッグの軌跡とを比較することで、当該「切る」操作によって指定された原稿画像を分割するためのライン(切り取り線と称する)周辺の画像の有無を判別する。
【0056】
図13は、上記ステップS109での判別の具体例を示した図である。図13を参照して、「切る」操作がなされたと判定されると、最初にエッジを通過した位置(座標)を通過する直線を切り取り線と特定し、切り取り線を挟んで予め規定されたnドットの領域内の、白以外のドットの割合を確認する。図13の例では、原稿画像に対して横向きに切り取り線が設定されているため、その上下nドットの領域について、白以外のドット数を確認する。そして、その割合が予め設定されたしきい値(たとえば5%)未満である場合にCPU101は画像がないと判別し、該しきい値以上である場合には画像があると判別する。
【0057】
上記ステップS109での判別の結果、切り取り線周辺に画像があると判別された場合(ステップS111でYES)、CPU101は設定するモードを「拡大連写」モードであると判定し、ステップS113で当該モードを設定する。
【0058】
切り取り線周辺に画像がないと判別された場合(ステップS111でNO)、CPU101は設定するモードを「ブック分割」モード(2in1分割モード)であると判定し、ステップS115で当該モードを設定する。
【0059】
すなわち、図14に示されるように、プレビュー表示上の画像のない部分に対して「切る」操作がなされた場合、CPU101は設定するモードを「ブック分割」モード(2in1分割モード)であると判定し、ステップS115で当該モードを設定する。
【0060】
なお、図14の例では、上下に2つの画像が並んだ原稿画像のプレビュー表示において、当該2つの画像の間の横向きに「切る」操作がなされた例が示されている。他の操作例として、たとえば図15(A)に示されたように、左右に2つの画像が並んだ原稿画像のプレビュー表示において、当該2つの画像の間の縦向きに「切る」操作がなされても、同様に「ブック分割」モード(2in1分割モード)であると判定される。
【0061】
なお、プレビュー表示において、必ずしも2つの画像が並んで表示されていなくてもよく、図15(B)に示されたように、1つの画像中の白以外のドット(たとえば字や絵などの黒画素)のない部分に対して「切る」操作がなされても、同様に「ブック分割」モード(2in1分割モード)であると判定される。また、必ずしも白以外のドットがまったくない部分でなくてもよく、図15(C)に示されたように、たとえば区切り線などの、しきい値未満の以外の白以外のドットがある部分に対して「切る」操作がなされても、同様に「ブック分割」モード(2in1分割モード)であると判定される。
【0062】
図14のように操作されることで、上記ステップS115で「ブック分割」モード(2in1分割モード)が設定される。このとき、図16に示されるように、当該モードでの処理結果が操作パネル15に表示されてもよい。すなわち、図14の例では、A4サイズの原稿を縦向きに置いたプレビュー表示に対して、横方向に「切る」操作がなされているため、「ブック分割」モードで画像処理を行なうと、A5サイズの用紙に原稿の上半分と下半分とそれぞれの画像が展開されることになる。そのため、図16の画面では、A5サイズの用紙に原稿の上半分である画像と、原稿の下半分である画像と、がそれぞれ展開された状態が表わされている。たとえばこの画面において図示しない実行ボタンなどが押下されることで、当該MFP100において「ブック分割」モードで印刷が行なわれてもよい。
【0063】
また、図17に示されるように、プレビュー表示上の画像のある部分に対して「切る」操作がなされた場合、CPU101は設定するモードを「拡大連写」モードであると判定し、ステップS113で当該モードを設定する。
【0064】
このとき、図18に示されるように、当該モードでの処理結果が操作パネル15に表示されてもよい。すなわち、図17の例でたとえば「A4」サイズの原稿を縦向きに置いたプレビュー表示に対して、横方向に「切る」操作がなされている場合、図18に示されるように、「拡大連写」モードで画像処理を行なうと、当該画像が横向きに、縦方向に置いて横向きに2枚並べたA3の用紙に展開されることになる。そのため、図18の画面では、縦向きのA3サイズの用紙に原稿の上半分である画像と、原稿画像の下半分である画像と、がそれぞれ、横向きにして展開された状態が表わされている。たとえばこの画面において図示しない実行ボタンなどが押下されることで、当該MFP100において「拡大連写」モードで印刷が行なわれてもよい。
【0065】
<変形例1>
なお、以上の例では上記ステップS109〜S111の判定処理で「ブック分割」モードか「拡大連写」モードかが判定されるものとしている。しかしながら、図4において上記ステップS109〜S111の判定処理を行なうことなく、ユーザーからのモードの選択を受け付けるようにしてもよい。この場合、たとえば、図19に示されるように、CPU101は両モードでの処理結果を操作パネル15に表示し、その中からの選択を受け付けるようにしてもよい。また、このとき、ユーザーが用紙サイズを設定するようにしてもよい。
【0066】
このようにすることで、ユーザーは出来上がりを確認しながら選択することができるため、誤ったモードを選択することがない。
【0067】
<変形例2>
以上の例では上記ステップS109〜S111の判定処理で原稿画像中の画像がない位置に「切る」操作がなされたと判定された場合に「ブック分割」モードを設定するものとしているが、画像がない位置であって、かつ、プレビュー表示された原稿画像のほぼ中央付近に対して「切る」操作がなされた場合に「ブック分割」モードを設定するようにしてもよい。
【0068】
図20は、第2の変形例でのモード設定のための動作の流れを表わしたフローチャートである。
【0069】
図20を参照して、第2の変形例では、上記ステップS109での判別の結果、切り取り線周辺に画像がないと判別された場合(ステップS111でNO)、CPU101はさらに、図21に表わされたように、切り取り線の両側の画像の面積の比率を算出する。そして、その比率が予め規定されたしきい値以下である場合に(ステップS112でYES)「ブック分割」モードを設定し、そうでない場合には、いずれのモードも設定しない。
【0070】
ここでのしきい値としては、たとえば、大きい領域の面積の小さい領域の面積に対する比率を120%、などとすることができる。
【0071】
通常、「ブック分割」を行なう場合には対象の画像を2等分するものであるため、「切る」操作で切り取り線を指定する場合には原稿画像のほぼ中央付近に対して「切る」操作がなされると考えられる。そのため、このように判定することで、ほぼ中央付近に対して「切る」操作をされたときに「ブック分割」モードが設定されることになり、誤ったモードが選択されることがない。
【0072】
<変形例3>
なお、上記第2の変形例では、原稿画像をほぼ等分に分割する切り取り線が指定された場合に「ブック分割」モードが設定されるものとしたが、「ブック分割」モードにおいて、切り取り線で分割された画像の比率に応じて分割後のそれぞれの画像の倍率を設定するようにしてもよい。
【0073】
図22は、第3の変形例でのモード設定のための動作の流れを表わしたフローチャートである。
【0074】
図22を参照して、第3の変形例では、上記ステップS115で「ブック分割」モードを設定した後、CPU101はさらに、切り取り線の両側の画像の面積の比率を算出する。そして、その比率が予め規定されたしきい値以下である場合には(ステップS117でYES)、ステップS121で予め原稿サイズから規定される用紙サイズに応じて定まる定型倍率を、原稿画像に対する倍率として設定する。
【0075】
一方、上記比率が予め規定されたしきい値よりも大きい場合には(ステップS117でNO)、ステップS123で分割後の原稿画像がそれぞれの用紙のサイズに収まるように、分割された画像の面積と予め原稿サイズから規定される用紙サイズとに応じて原稿画像に対する倍率を設定する。
【0076】
図23の例の場合、対象の画像がほぼ等分に分割されている。そのため、分割後の画像の面積比がたとえば120%等であるしきい値未満となっている。原稿サイズをA4とすると、用紙サイズはA5となるため、このような分割の場合、原稿画像に対する倍率として、これらサイズから規定される定型倍率である1.414倍が設定される。
【0077】
一方、図24の例の場合、対象の画像の偏った位置で分割されている。そのため、分割後の大きい領域の面積の小さい領域の面積に対する比率は、たとえば120%等であるしきい値以上となる。このような分割の場合、分割後のそれぞれの画像に対して、原稿サイズから規定される用紙サイズに収まる倍率を設定し、拡大または縮小処理を行なう。
【0078】
このようにすることで、直感的で容易な操作で美しい仕上がりの「ブック分割」を行なうことができる。
【0079】
<実施の形態の効果>
MFP100において以上の動作が行なわれることで、プレビュー画面において、「切る」という直感的で容易な操作によって、「ブック分割」や「拡大速写」などの、分割を伴う操作モードを設定することができる。また、分割を伴う操作モードが「ブック分割」や「拡大速写」など複数ある場合でも、当該操作部分に画像がある/なしで自動的にモードが設定される。そのため、モード設定の間違いよるミスコピーを防止することができる。
【0080】
さらに、上述の動作をMFP100に実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0081】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0082】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0083】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 スキャナー、14 プリンター、15 操作パネル、16 メモリー、51 タッチパネル、52 操作キー群、100 MFP、101 表示処理部、102 入力部、103 第1判定部、104 第2判定部、105 設定部、106 画像処理部、521 テンキー、522 スタートキー、523 モード選択キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルに対する指示入力に従って画像処理を行なうための処理部とを備え、
前記処理部は、
前記タッチパネルに処理対象の原稿画像をプレビュー表示する表示処理と、
前記タッチパネル上での、前記プレビュー表示された前記原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けると、前記プレビュー表示された前記原稿画像上での前記操作の位置に応じて、前記原稿画像を分割する処理を含んだ処理モードを設定するための設定処理と、
前記設定された処理モードで前記原稿画像に応じた画像データーの画像形成処理とを実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記プレビュー表示された前記原稿画像上の、画像がしきい値より少なく含まれている領域に対して前記操作がなされた場合、前記処理部は、前記設定処理において、1ページ分の原稿画像を分割して分割後の原稿画像のそれぞれを1ページとして画像形成する処理モードであるブック分割モードを設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プレビュー表示された前記原稿画像上の、画像がしきい値より少なく含まれている領域に対して前記操作がなされた場合、前記処理部は、前記設定処理において、原稿画像を分割して分割後の原稿画像を拡大してそれぞれを複数枚のページに分割して画像形成する処理モードである拡大連写モードを設定する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記処理モードとして、1ページ分の原稿画像を分割して分割後の原稿画像のそれぞれを1ページとして画像形成する処理モードであるブック分割モードと、原稿画像を分割して分割後の原稿画像を拡大してそれぞれを複数枚のページに分割して画像形成する処理モードである拡大連写モードとを有し、
前記設定処理において、前記処理部は、前記タッチパネル上での、前記プレビュー表示された前記原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けると、前記原稿画像を前記操作に従ってブック分割モードで処理した場合の画像形成処理結果と、拡大連写モードで処理した場合の画像形成処理結果とを前記タッチパネルにプレビュー表示し、その選択を受け付けることで、いずれかのモードを前記処理モードとして設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記操作によって特定されるラインが曲線であった場合、前記処理モードが設定されない旨を警告する処理をさらに実行する、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記操作によって特定されるラインが前記プレビュー表示された原稿画像の主走査方向に対しても副走査方向に対しても垂直でない場合、前記処理モードが設定されない旨を警告する処理をさらに実行する、請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記設定処理において、前記操作によって分割された前記原稿画像の2つの領域の面積比が規定された値より小さい場合にブック分割モードを設定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記設定処理において、さらに、前記操作によって分割された前記原稿画像の2つの領域の面積比に応じて、前記分割後の原稿画像のそれぞれの倍率を決定する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記設定処理において、前記分割後の原稿画像のそれぞれが、前記原稿画像のサイズから規定される画像形成後の画像サイズに応じたサイズとなるように、前記分割後の原稿画像のそれぞれの倍率を決定する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
タッチパネルを有する画像形成装置における処理方法であって、
前記タッチパネルに処理対象の原稿画像をプレビュー表示するステップと、
前記タッチパネル上での、前記プレビュー表示された前記原稿画像を分割するラインを特定する操作を受け付けるステップと、
前記プレビュー表示された前記原稿画像上での前記操作の位置に応じて、前記原稿画像を分割する処理を含んだ処理モードを設定するステップと、
前記設定された処理モードで前記原稿画像に応じた画像データーの画像形成処理を実行するステップとを備える、画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−21645(P2013−21645A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155815(P2011−155815)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】