説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】確実な課金が実現できるとともに、一時的な課金条件の変更を容易に実行することができる、画像形成装置および画像形成システムを提供する。
【解決手段】課金条件保持部403は、読取部401が読み取った識別情報に応じた通常課金条件を保持する。抽出部405は、読取部401が読み取った識別情報より特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を変更情報記憶部404から抽出する。抽出部405により抽出された課金条件変更情報の1つをユーザが選択した場合、課金条件変更部406は、当該選択された課金条件変更情報にしたがって課金条件保持部403に保持された課金条件を変更する。課金部407は、画像形成部140により印刷が実行されたときに、課金条件保持部403に保持された課金条件にしたがって課金する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証機能および課金機能を有する、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置は、例えば、オフィス等において、LAN(Local Area Network)等のネットワークを通じてパーソナルコンピュータ等の情報処理端末と接続された状況で使用されることが多い。このような画像形成装置は、情報処理端末から入力された画像データを用紙上に印刷する画像形成装置として機能したり、情報処理端末において使用される画像データを取得する画像読取装置として機能したり、画像データを検索可能に蓄積する文書管理装置として機能したりする。
【0003】
オフィス等で使用される画像形成装置にはセキュリティ向上等の観点でユーザ認証機能が具備されることも多い。ユーザ認証機能を有する画像形成装置では個々のユーザを識別できる。そのため、ユーザごとに所望のデフォルト設定を登録しておき、認証処理が完了して使用可能状態になったときに、画像形成装置の種々の設定を、自動的にそのユーザに対応するデフォルト設定値に設定することも可能である。また、近年は、個々のユーザが所持するICカードに記録された識別情報を、ICカードリーダにより読み取る構成により認証機能を実現するとともに、様々な付加機能を備えた画像形成装置も提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
例えば、特許文献1は、画像形成装置にジョブを送信する際に、ジョブ情報とICカードの読取回数とを対応づけて登録し、画像形成装置が備えるICカードリーダに、登録回数だけICカードを読み取らせると、対応するジョブが実行される画像形成装置を開示している。この先行技術では、ICカードによる認証を行うと同時に、実行するジョブが指定できるため、ジョブを簡単に選択することができる。
【0005】
また、特許文献2は、電子マネーを記憶したICカードの検出を条件に、印刷設定の入力操作をユーザから受け付ける画像形成装置を開示している。この構成により、コンビニエンスストア等の不特定のユーザが訪れるような環境下に設置される画像形成装置において、利用意思のないユーザによる印刷設定の入力操作がなされることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−156745号公報
【特許文献2】特開2009−43127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
オフィス等で使用される画像形成装置では、上述のデフォルト設定に課金条件情報が含まれることもある。このような構成は、例えば、複数部署の人間がオフィスにおいて1台の複合機を使用する環境で、部署ごとに異なる課金条件が適用される場合に有用である。この場合、画像形成装置は、認証処理に使用したユーザの識別情報からユーザの所属部署を認識し、当該所属部署に割り当てられている課金条件を自動的に設定する。その結果、画像形成装置の使用に対し、確実な課金を実現することができる。
【0008】
しかしながら、現実の使用環境では、上述のデフォルト設定の課金条件による課金が適切でない状況が生じ得る。例えば、他部署の代理で画像形成装置を使用する場合には、画像形成装置を使用するユーザの所属部署に対して課金するよりも、その他部署に対して課金する方が適切である。また、メンテナンス時期が近く、画質が劣化する可能性がある状況下において、やむを得ず画像形成装置を使用しなければならない場合には、正常な画質が保証される通常時の課金よりも低い課金にする方が適切かも知れない。
【0009】
上記デフォルト設定の課金条件と異なる課金条件を設定するためには、ユーザによる課金条件変更機能を、画像形成装置が備えればよい。しかしながら、このような、課金条件変更機能を備える画像形成装置では、課金条件を任意に変更できることになるため確実な課金を実現できなくなる可能性がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みてなされたものであり、確実な課金が実現できるとともに、一時的な課金条件の変更を容易に実行することができる、画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は以下の技術的手段を採用している。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、画像形成部、読取部、認証部、課金条件保持部、変更情報記憶部、抽出部、課金条件変更部および課金部を備える。画像形成部は、画像データを用紙上に印刷する。読取部は、ユーザを識別する識別情報を記憶した可搬記憶媒体が所定位置に配置されたときに、可搬記憶媒体から識別情報を読み取る。認証部は、読取部により読み取られた識別情報が予め登録された認証条件を満たすまで、画像形成部における印刷を禁止する。課金条件保持部は、画像形成部により実行された印刷に対する課金に適用される、読取部が読み取った識別情報に応じた通常課金条件を保持する。変更情報保持部は、通常課金条件を、異なる課金条件に変更するための情報である課金条件変更情報を記憶する。抽出部は、読取部が読み取った識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を、読取部が読み取った識別情報に基づいて変更情報記憶部から抽出する。抽出部により抽出された課金条件変更情報の1つをユーザが選択した場合、課金条件変更部は、当該選択された課金条件変更情報にしたがって課金条件保持部に保持された通常課金条件を変更する。そして、課金部は、画像形成部により印刷が実行されたときに、課金条件保持部に保持された課金条件にしたがって課金を実行する。
【0012】
この画像形成装置では、ユーザは、読取部が読み取った識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報にしたがった課金条件の変更しかできない。このため、ユーザに応じて課金条件の変更範囲が制限され、確実な課金を実現することができる。また、ユーザが課金条件を変更する際には、そのユーザによる課金条件変更が可能な内容が自動的にリストアップされるため、ユーザは、リストアップされた内容を選択するだけで、一時的な課金条件の変更を容易に行うことができる。
【0013】
この画像形成装置において、通常課金条件が可搬記憶媒体に記憶され、読取部を通じて課金条件保持部に入力される構成を採用することができる。また、課金条件変更情報が可搬記憶媒体に記憶され、読取部を通じて変更情報記憶部に入力される構成を採用することもできる。
【0014】
一方、他の観点では、本発明は、画像形成装置、読取装置、認証装置および課金装置を備える画像形成システムを提供することもできる。すなわち、画像形成装置は、画像データを用紙上に印刷する。読取装置は、ユーザを識別する識別情報を記憶した可搬記憶媒体が所定位置に配置されたときに、可搬記憶媒体から識別情報を読み取る。認証装置は、読取装置により読み取られた識別情報が予め登録された認証条件を満たすまで、画像形成装置における印刷を禁止する。また、課金装置は、課金条件保持部、変更情報記憶部、抽出部、課金条件変更部および課金部を備える。課金条件保持部は、画像形成装置により実行された印刷に対する課金に適用される、読取装置が読み取った識別情報に応じた通常課金条件を保持する。変更情報記憶部は、通常課金条件を、異なる課金条件に変更するための情報である課金条件変更情報を記憶する。抽出部は、読取装置が読み取った識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を、読取装置が読み取った識別情報に基づいて変更情報記憶部から抽出する。抽出部により抽出された課金条件変更情報の1つをユーザが選択した場合に、課金条件変更部は、当該選択された課金条件変更情報にしたがって課金条件保持部に保持された通常課金条件を変更する。そして、課金部は、画像形成装置により印刷が実行されたときに、課金条件保持部に保持された課金条件にしたがって課金を実施する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、課金条件の一時的な変更を欲するユーザに対し、そのユーザにより選択可能な課金条件変更情報が自動的にリストアップされて提示される。そのため、ユーザは、提示された課金条件変更情報の中から所望の課金条件変更情報を選択することで、課金条件の変更を実現することができる。また、ユーザに提示される課金条件変更情報は、ユーザを識別する識別情報に基づいて抽出されるため確実な課金を妨げることもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態における複合機の全体構成を示す概略構成図
【図2】本発明の一実施形態における複合機の操作パネルを示す模式図
【図3】本発明の一実施形態における複合機のハードウェア構成を示す図
【図4】本発明の一実施形態における複合機を示す機能ブロック図
【図5】本発明の一実施形態における課金条件変更情報の対応関係の一例を示す図
【図6】本発明の一実施形態における複合機が実施する課金手順の一例を示すフロー図
【図7】本発明の一実施形態における複合機が表示する課金条件変更操作画面の一例を示す図
【図8】本発明の一実施形態における複合機が表示する警告画面の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。以下では、デジタル複合機として本発明を具体化する。
【0018】
図1は本実施形態におけるデジタル複合機の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、複合機100は、画像読取部120および画像形成部140を含む本体101と、本体101の上方に取り付けられたプラテンカバー102とを備える。本体101の上面には原稿台103が設けられており、原稿台103はプラテンカバー102によって開閉されるようになっている。また、プラテンカバー102は、原稿搬送装置110と原稿トレイ111と排紙トレイ112を備えている。
【0019】
原稿台103の下方には、画像読取部120が設けられている。画像読取部120は、原稿の画像を読み取りその画像のデジタルデータ(画像データ)を生成する。画像データには、必要に応じて指定された画像処理が実施されている。原稿は、原稿台103に載置することができる。原稿台103の下方には走査光学系121が配置されている。走査光学系121は、第1キャリッジ122や第2キャリッジ123、集光レンズ124を備える。第1キャリッジ122には線状の光源131およびミラー132が設けられ、第2キャリッジ123にはミラー133および134が設けられている。光源131は原稿を照明する。ミラー132、133、134は、原稿からの反射光を集光レンズ124に導き、集光レンズ124はその光像をラインイメージセンサ125の受光面に結像する。この走査光学系121において、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123は、副走査方向135に往復動可能に設けられている。第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を副走査方向135に移動することによって、原稿台103に載置された原稿の画像をイメージセンサ125で読み取ることができる。
【0020】
また、原稿は、原稿トレイ111に載置することもできる。原稿搬送装置110は、原稿トレイ111にセットされた原稿を1枚ずつ画像読取位置へ搬送する。原稿トレイ111にセットされた原稿の画像を読み取る場合、画像読取部120は、第1キャリッジ122および第2キャリッジ123を画像読取位置に合わせて一時的に固定する。原稿が画像読取位置を通過するとき、光源131は原稿を照明する。光源131からの光は、原稿台103を透過して原稿読取位置を通過する原稿において反射し、ミラー132、133、134、集光レンズ124によってイメージセンサ125に導かれる。画像読取位置を通過した原稿は、排紙トレイ112に排出される。
【0021】
イメージセンサ125は、受光光に基づいて、例えば、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色に対応する画像データを生成する。生成された画像データは、画像形成部140において用紙に印刷することができる。また、ネットワークアダプタ161等を介して、ネットワーク162を通じて他の機器へ送信することもできる。
【0022】
画像形成部140は、画像読取部120で得た画像データや、ネットワーク162に接続された他の機器からネットワークアダプタ161を介して受信した画像データを用紙に印刷する。画像形成部140は、感光体ドラム141を備える。感光体ドラム141は一定速度で一方向に回転する。感光体ドラム141の周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器142、露光器143、現像器144、中間転写ベルト145が配置されている。帯電器142は、感光体ドラム141表面を一様に帯電させる。露光器143は、一様に帯電した感光体ドラム141の表面に、画像データに応じて光を照射し、感光体ドラム141上に静電潜像を形成する。現像器144は、その静電潜像にトナーを付着させ、感光体ドラム141上にトナー像を形成する。中間転写ベルト145は、感光体ドラム141上のトナー像を用紙に転写する。画像データがカラー画像である場合、中間転写ベルト145は、各色のトナー像を同一の用紙に転写する。なお、RGB形式のカラー画像は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)形式の画像データに変換され、各色の画像データが露光器143に入力される。
【0023】
画像形成部140は、手差しトレイ151、給紙カセット152、153、154等から、中間転写ベルト145と転写ローラ146との間の転写部に用紙を給送する。手差しトレイ151や各給紙カセット152、153、154には、様々なサイズの用紙を載置または収容することができる。画像形成部140は、ユーザの指定した用紙や、自動検知した原稿のサイズに応じた用紙を選択し、選択した用紙を給送ローラ155により手差しトレイ151やカセット152、153、154から引き出す。引き出した用紙は搬送ローラ156やレジストローラ157で転写部に送り込む。トナー像を転写した用紙は、搬送ベルト147により定着器148に搬送される。定着器148は、ヒータを内蔵した定着ローラ158および加圧ローラ159を有しており、熱と押圧力によってトナー像を用紙に定着する。画像形成部140は、定着器148を通過した用紙を排紙トレイ149へ排紙する。
【0024】
図2は複合機が備える操作パネルの外観の一例を示す図である。ユーザは、操作パネル200を用いて、複合機100に複写開始やその他の指示を与えたり、複合機100の状態や設定を確認したりすることができる。操作パネル200には、タッチパネル付きディスプレイ201や操作ボタン203が配置されている。ユーザは、例えば、タッチペン202を使用して、ディスプレイ201を通じて入力を行うことができる。
【0025】
ディスプレイ201は、設定部204およびメッセージ表示部205を有する操作画面を表示する。設定部204には、複数のタブ206が用意されている。「基本」タブは、用紙のサイズや向き、複写倍率、濃度などの設定に使用される。「基本」タブは、その設定のためボタンなどの各種の要素を有している。例えば「濃度設定」ボタン207を押す操作をユーザが行うと、濃度の数値を指定するためのウィンドウがそのタブ上に重ねて表示される。図2の例では、「基本」タブのほか、「ユーザ機能」、「機能リスト」、「プログラム」タブも設けられている。ユーザは、タブボタン208を選択する(触れる)操作を行うことによって、これらのタブの表示を切り替えることができる。一つのタブが選択されている間、操作画面上で他のタブやその要素は隠れている。
【0026】
メッセージ表示部205は、複写が可能かどうかや用紙の補給が必要かどうかなどの複合機の状態や、複写部数などの設定をユーザに知らせるメッセージを表示する。この表示には、複合機100が備える各種のセンサの検知結果やユーザの操作結果が反映される。なお、図2では、後述の認証部における認証処理が実施される前の状態を示しており、メッセージ表示部205には当該状態を示す「認証してください」のメッセージが表示されている。
【0027】
操作キー203は、主電源キー209、テンキー210やスタートキー211、クリアキー212、LogOutキー213等を含む。例えば、主電源キー209は、複合機100の主電源のON、OFFの切り替えに使用される。テンキー210は、複写部数の指定や複写倍率の設定に用いることができる。ユーザがそれらの設定をすると、複合機100は、メッセージ表示部205に、例えば、「コピーできます(設定あり)」のようなメッセージを表示し、ユーザによる設定が行われたことを通知する。スタートキー211は、複写や画像印刷の開始指示に使用される。ユーザは、自身でした設定を解除する場合、クリアキー212を操作する。ユーザによる設定を機械が受け付けているかどうかは上述のメッセージで判断することができるので、その設定が不要になれば、クリアキー212を操作すればよい。特に限定されないが、本実施形態では、後述の認証部が予め登録された認証条件を満たすまで、操作パネル200に対する入力が禁止される構成になっている。認証部に認証されたユーザが複合機使用後にLogOutキー213を押下する、あるいは、操作パネル200に対する操作および画像読取部120や画像形成部140の動作がない時間が認証後に所定時間継続すると、複合機100は認証処理が実施される前の状態に戻るように構成されている。
【0028】
図3は、複合機における制御系のハードウェア構成図である。本実施形態の複合機100は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(Read Only Memory)303、HDD(Hard Disk Drive)304および原稿搬送装置110、画像読取部120、画像形成部140における各駆動部に対応するドライバ305が内部バス306を介して接続されている。ROM303やHDD304等はプログラムを格納しており、CPU301はその制御プログラムの指令にしたがって複合機100を制御する。例えば、CPU301はRAM302を作業領域として利用し、ドライバ305とデータや命令を授受することにより上記各駆動部の動作を制御する。また、HDD304は、画像読取部120により得られた画像データや、他の機器からネットワークアダプタ161を通じて受信した画像データの蓄積にも用いられる。
【0029】
内部バス306には、操作パネル200のほか、各種のセンサ307やICカードリーダ308も接続されている。操作パネル200は、ユーザの操作を受け付け、その操作に基づく信号をCPU301に供給する。また、ディスプレイ201は、CPU301からの制御信号にしたがって上述の操作画面を表示する。また、センサ307は、プラテンカバー102の開閉検知センサや原稿台103上の原稿検知センサ、定着器148の温度センサ、搬送される用紙または原稿の検知センサなど各種のセンサを含む。CPU301は、例えばROM303に格納されたプログラムを実行することで、以下の各手段(機能ブロック)を実現するとともに、これらセンサからの信号に応じて各手段の動作を制御する。ICカードリーダ308は、ユーザが所持するICカードから、ICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、認証部が後述の認証処理を実行する。
【0030】
図4は、本実施形態の複合機の機能ブロック図である。読取部401は、ユーザを識別する識別情報を記憶した可搬記憶媒体が所定位置に配置されたときに、可搬記憶媒体から識別情報を読み取る。ここでは、ICカードリーダ308が読取部401として機能する。すなわち、ICカードリーダ308の読取位置に可搬記憶媒体であるICカードが配置されたときに、ICカードリーダ308がICカードに記憶されているユーザの識別情報を読み取る。識別情報は、ユーザを特定することができる情報であればよい。例えば、各ユーザに一義的に割り当てられたユーザIDを当該識別情報として用いることができる。また、識別情報は、部署ID等のユーザが所属する部署を示す情報や、職位ID等のユーザに付与されている権限を示す情報をさらに含んでいてもよい。本実施形態では、識別情報はユーザID、部署IDおよび職位IDを含んでいる。なお、可搬記憶媒体がICカードであることは必須ではなく、磁気カードやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の任意の可搬記憶媒体を採用することができる。この場合、読取部401が可搬記憶媒体に対応する構成(磁気ガードリーダ、USBインターフェイス等)になることはいうまでもない。
【0031】
認証部402は、読取部401により読み取られた識別情報が予め登録された認証条件を満たすか否かを判定する。そして、認証部402は、認証条件を満たす場合に、画像形成部140における画像データの印刷を許可し、認証条件を満たさない場合に、画像形成部140における画像データの印刷を禁止する。したがって、認証条件は、画像形成部140における印刷を許可するユーザを判別可能な条件であればよい。特に限定されないが、本実施形態では、認証部402に、画像形成部140における印刷を許可するユーザのユーザIDを記録した許可者リストが予め登録されており、「読取部401が取得したユーザIDが許可者リストに含まれること」を認証条件にしている。すなわち、ユーザがICカードリーダ308に読み取らせた識別情報に含まれるユーザIDが、許可者リストに含まれている場合、そのユーザは画像形成部140において印刷を実行することができる。なお、本実施形態では、認証条件を満足するまで、操作パネル200を通じた印刷操作を受け付けない状態にすることで、画像形成部140における印刷を禁止している。
【0032】
課金条件保持部403は、画像形成部140により実行された印刷に対する課金に適用される通常課金条件を保持する。本実施形態では、通常課金条件は、読取部401が読み取った識別情報に応じて選択される。例えば、通常課金条件記憶部410に、通常課金条件を識別情報と対応づけて予め登録しておき、読取部401から入力された識別情報に基づいて、課金条件保持部403が、入力された識別情報に対応する通常課金条件を読み出す構成を採用することができる。なお、通常課金条件とは、複合機100において印刷を実行した場合に、その印刷処理の内容に応じた課金を実現するための各種情報を含む。例えば、通常課金条件は、用紙サイズ、カラーモード(モノクロ、モノカラー、フルカラー)、印刷面(片面印刷、両面印刷)、用紙タイプ(普通紙、光沢紙等)の組み合わせごとの単価や、上限金額を含む。あるいは、トナー消費に対する単価や、上限金額を含む。また、複合機が備える印刷枚数カウンタの計数値を用いて課金する構成では、通常課金条件は、上記組み合わせごとのカウンタインクリメントや、上限カウンタ値を含む。この場合、カウンタは1つであってもよく、複数(例えば、モノクロ/モノカラー印刷用カウンタとフルカラー印刷用カウンタ)であってもよい。課金単位は、ユーザ単位でもよく、複数のユーザが所属する部署単位でもよい。ここでは、上記識別情報に含まれる部署ID単位で課金される。
【0033】
変更情報記憶部404は、課金条件変更情報を記憶する。課金条件変更情報とは、通常課金条件を異なる課金条件に変更するための情報である。ここでは、変更情報記憶部404は、複数の課金条件変更情報を記憶しており、各課金条件変更情報は識別情報と関連づけられている。図5は、変更情報記憶部404が記憶する課金条件変更情報の一例を示す図である。図5の例では、変更情報記憶部404に、5つの課金条件変更情報(A情報、B情報、C情報、D情報、E情報)が記憶されており、各課金条件変更情報とユーザグループ(Xグループ、Yグループ、Zグループ)とが対応づけられている。なお、ユーザグループは、複合機100を利用するユーザを分類するグループである。本実施形態では、ユーザグループは、上述の識別情報と対応づけられている。図5では、上記各課金条件変更情報と上記各ユーザグループとの間の関係について、対応づけられているものに丸印を付している。すなわち、A情報とE情報は、それぞれYグループおよびZグループに対応づけられている。B情報は、Xグループ、YグループおよびZグループに対応づけられている。C情報とD情報は、それぞれZグループのみに対応づけられている。
【0034】
例えば、A情報は、そのユーザに対応づけられた通常課金条件に、さらに「課金対象の部署を、ユーザの所属部署以外の部署に指定する」という項目を追加するための課金条件変更情報である。B情報は、そのユーザに対応づけられた通常課金条件に、さらに「印刷物がメンテナンスレポート類であるので課金対象外にする」という項目を追加するための課金条件変更情報である。C情報は、そのユーザに対応づけられた通常課金条件に、さらに「特定枚数以上は課金額を1/2にする」という項目を追加するための課金条件変更情報である。D情報は、そのユーザに対応づけられた通常課金条件に、さらに「上限金額を超える印刷を許可する」という項目を追加するための課金条件変更情報である。E情報は、そのユーザに対応づけられた通常課金条件に、さらに「メンテナン時期が近いため課金額を1/2にする」という項目を追加するための課金条件変更情報である。また、この例では、Xグループは一般職、Yグループは課長職、Zグループは部長職であり、上記識別情報に含まれる職位IDにより区別されるようになっている。なお、各課金条件変更情報の内容、ユーザグループの分類は例示であり、当該内容に限定されるものではない。
【0035】
したがって、この例では、部長職の職位IDが付与されたユーザが、A情報からE情報の各課金条件変更情報にしたがう課金条件の変更を実行することができる。課長職の職位IDが付与されたユーザが、A情報、B情報、E情報の各課金条件変更情報にしたがう課金条件の変更を実行することができる。また、一般職の職位IDが付与されたユーザは、B情報の課金条件変更情報にしたがう課金条件の変更のみを実行することができる。
【0036】
抽出部405は、読取部401が読み取った識別情報に含まれるユーザIDにより特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を変更情報記憶部から抽出する。上述の例の場合、識別情報に含まれている職位IDが一般職であれば、抽出部405はB情報のみを抽出する。識別情報に含まれている職位IDが課長職であれば、抽出部405はA情報、B情報およびE情報を抽出する。識別情報に含まれている職位IDが部長職であれば、抽出部405はA情報、B情報、C情報、D情報およびE情報を抽出する。
【0037】
課金条件変更部406は、抽出部405により抽出された課金条件変更情報の1つをユーザが選択した場合に、当該選択された課金条件変更情報にしたがって課金条件保持部403に保持された通常課金条件を変更する。課金条件変更情報をユーザに選択させる方法は任意であるが、例えば、抽出部405が、抽出した課金条件変更情報を選択部408に選択可能に表示し、ユーザが必要に応じて所望の課金条件変更情報を選択する構成を採用することができる。本実施形態では、ディスプレイ201が選択部408として機能する。すなわち、認証部402において認証されたユーザが、ディスプレイ201に表示される操作画面の「機能リスト」タブ(図2参照)を選択すると、「課金条件変更」ボタンを含む「機能リスト」タブが表示される。そして、「課金条件変更」ボタンを選択すると、抽出部405が抽出した課金条件変更情報を選択可能に表示する課金条件変更操作画面がディスプレイ201に表示されるようになっている。例えば、課長職の職位IDが付与されているユーザ(Yグループ)が、課金条件変更操作画面において「課金対象の部署を、ユーザの所属部署以外の部署に指定する」(A情報)を選択した場合、抽出部405は選択された課金条件変更情報を課金条件変更部406に入力する。そして、当該入力を受けた課金条件変更部406は、入力された課金条件変更情報(A情報)にしたがって課金条件保持部403が保持している通常課金条件を変更する。
【0038】
その後、ユーザから画像形成部140に印刷指示が与えられると、画像形成部140が画像データ記憶部409に保持されている画像データを印刷する。このとき、課金部407は、画像形成部140が実行した印刷処理の内容を取得し、課金条件保持部403に保持された課金条件にしたがって当該印刷処理に対して課金する。本実施形態では、部署IDごとに集計された課金情報は課金部407に保持されるようになっている。なお、ユーザが選択部408を通じた課金条件変更情報の選択を実行しなかった場合、課金部407は課金条件保持部403に保持された通常課金条件にしたがって課金を実施する。
【0039】
図6は、複合機が実行する課金処理の手順の一例を示す図である。当該手順は、読取部401(ICカードリーダ308)に、ユーザがICカードを読み取らせたことをトリガとして進行する(ステップS601Yes)。上述のように、ユーザがICカードを読み取らせることにより、読取部401はICカードに記録されている識別情報を読み取り、当該識別情報を保持する。また、読取部401は、識別情報に含まれるユーザIDを認証部402に通知する。認証部402は、予め登録されている許可者リストに当該ユーザIDが記録されているか否かを確認する。許可者リストに記録されていると、認証部402は、画像形成部140に対する操作パネル200を通じたユーザの操作を許可することにより、ユーザによる画像形成部140での印刷が可能な状態にする。なお、上述のように、ユーザIDが認証条件を満足しない場合は、認証部402は、画像形成部140における印刷を禁止した状態を維持する(ステップS601No)。
【0040】
認証部402により認証された場合、認証部402は読取部401にその旨を通知する。当該通知を受けた読取部401は、課金条件保持部403および抽出部405に識別情報を入力する。
【0041】
課金条件保持部403は、入力された識別情報に応じた通常課金条件を通常課金条件記憶部410から読み出して保持する(ステップS602)。上述のように、本実施形態では、識別情報が、ユーザID、部署ID、職位IDを含む。この場合、通常課金条件は、ユーザID、部署IDまたは職位IDと対応づけて予め登録される。すなわち、通常課金条件がユーザごとに設定される場合はユーザIDと対応づけて記憶される。通常課金条件が所属部署ごとに設定される場合は部署IDと対応づけて記憶される。通常課金条件が職位ごとに設定される場合は職位IDと対応づけて記憶される。また、抽出部405は、入力された識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を、職位IDに基づいて変更情報記憶部404から読み出して保持する。
【0042】
当該状態において、ユーザが通常課金条件からの課金条件の変更を望む場合、ユーザは上述のようにしてディスプレイ201に課金条件変更操作画面を表示する(ステップS603No、S608)。
【0043】
図7は、課金条件変更操作画面の例を示す図である。図7に示すように、課金条件変更操作画面701は、課金条件変更情報選択欄702、「変更確定」ボタン703、「キャンセル」ボタン704を備える。課金条件変更情報選択欄702には、抽出部405により抽出された課金条件変更情報(認証されたユーザが選択できる課金条件変更情報)が対応するチェックボックスとともに表示され、ユーザによる選択(チェックボックスにチェックが入力された状態)が可能になっている。図7は、認証されたユーザが、図5に示すZグループに属する場合の表示例を示している。すなわち、A情報〜E情報の全てが選択可能になっている。なお、本実施形態では、A情報〜E情報が相互に排他的な関係を有していないため、ユーザは、課金条件変更情報選択欄702において、1または2以上の項目を選択することができる。また、図7に示すように、A情報(他部署への課金)を選択する場合には、課金先部署を指定する構成になっている。「変更確定」ボタン703は、選択した課金条件変更情報を現状の通常課金条件に反映して、課金条件変更操作画面701を閉じるために使用する。「キャンセル」ボタン704は、課金条件変更情報の選択をキャンセル(操作前の状態に戻す)して課金条件変更操作画面701を閉じるために使用する。
【0044】
課金条件変更情報選択欄702において、ユーザがいずれかの課金条件変更情報を選択し、「変更確定」ボタン703を選択した場合、当該指示が抽出部405に入力される(ステップS608Yes)。このとき、抽出部405は、課金条件変更部406へ指定された課金条件変更情報を通知する。当該通知を受けた課金条件変更部406は、課金条件保持部403に保持されている課金条件を通知された課金条件変更情報にしたがって変更する(ステップS609)。例えば、図7に示すように、「他部署課金」が選択され、課金先として「営業2課」が指定されている場合、課金条件変更部406は、課金条件保持部403に保持されている通常課金条件の課金先(当該ユーザの所属部署)を指定された課金先(「営業2課」)に変更する。また、ユーザがいずれの課金条件変更情報を選択することなく「変更確定」ボタン703を選択した場合、または「キャンセル」ボタン704を選択した場合は、抽出部405は課金条件変更部406への通知を行わない(ステップS608No)。なお、本実施形態では、抽出部405は認証後にユーザが選択した課金条件変更情報を記憶する構成になっている。そして、ユーザが「変更確定」ボタン703または「キャンセル」ボタン704を選択して課金条件変更操作画面701を閉じ、その後、再度、課金条件変更操作画面701を表示した場合、先の選択状態が課金条件変更情報選択欄702に表示された状態で課金条件変更操作画面701が表示される。この場合、抽出部405は、課金条件変更情報の指定状態が先の指定と異なる場合にのみ課金条件変更部406への通知を行う(ステップS608Yes)。
【0045】
上述のようにして課金条件変更情報の指定を行った後、ユーザがスタートキー211を押下すると、画像形成部140において、指定された画像データの印刷が開始される(ステップS603Yes)。画像データの指定方法は、特に限定されない。例えば、ユーザは、画像読取部120で読み取られて、あるいは、ネットワーク162を介して他の機器から入力されて、HDD304に格納されている画像データを、印刷対象の画像データに予め指定することができる。また、原稿トレイ111にセットした原稿の画像を、スタートキー211を押下に応じて画像読取部120で読み取り、当該読み取った画像データを印刷対象の画像データにすることもできる。指定された画像データは、画像データ記憶部409に保持され、画像形成部140において印刷される。
【0046】
また、ユーザがスタートキー211を押下したとき、課金部407は、課金条件保持部403に保持されている課金条件に基づいて、印刷制限があるか否かを確認する(ステップS604)。印刷制限とは、例えば、ユーザの所属部署に割り当てられた上限金額に到達している等の理由により、印刷ができない状態を指す。課金部407は、画像形成部140による印刷の開始時点における、課金情報(課金対象部署の課金額やカウンタ計数値)を取得し、課金条件保持部403に保持されている課金条件に含まれる上限値(上限金額や上限カウンタ値)と比較する。そして、上限値未満である場合に、画像形成部140に対し印刷実行を許可する(ステップS604No)。上限値に達している場合は、ディスプレイ201に警告を表示する等により、印刷できない旨をユーザに通知し、処理を終了する(ステップS604Yes)。
【0047】
図8は、このとき表示される警告画面の一例を示す図である。この例では、警告画面801は「確認」ボタン802を備えるとともに、課金上限に到達したため画像データを印刷できない旨を表示する。当該警告画面801において、ユーザが「確認」ボタン802を選択すると手順が終了する。
【0048】
印刷実行が許可されると、画像形成部140は、画像データ記憶部409から1ページ目の画像データを取得し、用紙上に当該画像を印刷する(ステップS604No、S605)。このとき、課金部407は、画像形成部140が実行した印刷処理の内容を取得し、課金条件保持部403に保持された課金条件にしたがって当該印刷処理に対して課金する。すなわち、課金対象の部署IDの課金情報に、当該印刷に対する課金が加算される(ステップS606)。
【0049】
画像データ記憶部409に保持されている画像データが複数ページの画像データである場合、画像形成部140は、続いて、次ページの画像データを取得し、用紙上に当該画像を印刷する(ステップS607Yes、S604No、S605)。このときも、課金部407は、画像形成部140が実行した印刷処理の内容を取得し、当該印刷処理に対して課金をする(ステップS606)。なお、このような複数ページの画像データを印刷する場合であっても、各ページの印刷開始前に、課金部407は印刷制限の有無を確認する(ステップS604)。
【0050】
以上のようにして、画像形成部140が画像データ記憶部409に保持されている印刷対象の画像データの印刷を完了すると、処理が終了する(ステップS607No)。なお、ユーザがLogOutキー213(図2参照)押下等により、複合機100からログアウトすると、画像データ記憶部409に保持されている画像データ、および課金条件保持部403に保持されている課金条件が削除される。したがって、認証部402においてユーザが認証された時点では、課金条件保持部403には、常に、認証されたユーザに対応づけられた通常課金条件が保持されることになる。
【0051】
以上説明したように、この複合機100では、ユーザは、読取部401により読み取られた識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報にしたがった課金条件の変更しかできない。この構成により、課金条件の変更範囲がユーザに応じて制限されるため、利便性を不当に制限することなく確実な課金を実現することができる。また、ユーザが課金条件を変更する際には、そのユーザによる課金条件変更が可能な内容が自動的にリストアップされるため、ユーザは、リストアップされた内容を選択するだけで、一時的な課金条件の変更を容易に行うことができる。
【0052】
なお、上記では、通常課金条件が識別情報と対応づけて通常課金条件記憶部410に予め登録され、課金条件変更情報が識別情報と関連づけて変更情報記憶部404に予め登録されている構成を説明した。しかしながら、通常課金条件および課金条件変更情報が複合機100に予め登録されることは、本発明に必須の要素ではない。すなわち、通常課金条件および課金条件変更情報が可搬記憶媒体に記憶され、複合機100を使用する際に、読取部401を通じて、課金条件保持部403、変更情報記憶部404に入力する構成であっても同様の効果を得ることができる。
【0053】
例えば、通常課金条件はユーザが認証に使用するICカードに記録されていてもよい。この場合、複合機100が、適用される全ての通常課金条件を記憶する必要がなくなり、通常課金条件記憶部410が不要になる。また、通常課金条件および課金条件変更情報の管理を容易にする観点では、ユーザの認証に使用するICカードとは異なる他のICカードに、通常課金条件および課金条件変更情報が記憶されてもよい。この構成では、他のICカードの記憶内容を変更することで、全ユーザに対する通常課金条件または課金条件変更情報を変更することができる。また、この場合、当該他のICカードにより、通常課金条件記憶部410および変更情報記憶部404の記憶内容を適宜更新してもよく、当該他のICカードを通常課金条件記憶部410および変更情報記憶部404として機能させてもよい。
【0054】
また、上記では、画像形成装置が、識別データを読み取る読取部、当該識別情報に基づいて認証を行う認証部、印刷に対して課金を行う課金部を全て備える構成を説明したが、各部が、適宜、別体で構成され、ネットワーク等を通じて接続されていてもよい。例えば、上述の課金条件保持部、変更情報記憶部、抽出部、課金条件変更部および課金部の機能を有する課金装置が画像形成装置とは別体で構成され、当該課金装置がネットワーク等を通じて画像形成装置と通信可能に接続されている場合であっても、上記実施形態の複合機と同様の効果を得ることができる。また、認証部の機能を有する認証装置が画像形成装置とは別体で構成され、当該認証装置がネットワーク等を通じて画像形成装置と通信可能に接続されている場合であっても、上記実施形態の同様の効果を得ることができる。このような構成により、複数台の画像形成装置に対して、課金部や認証部を共通化することができる。
【0055】
以上のように、本発明によれば、課金条件の一時的な変更を欲するユーザに対して、そのユーザにより選択可能な課金条件変更情報が自動的にリストアップされて提示される。そのため、ユーザは、提示された課金条件変更情報の中から、所望の課金条件変更情報を選択するだけで課金条件の変更を実現することができる。また、ユーザに提示される課金条件変更情報は、ユーザを識別する識別情報に基づいて抽出されるため、確実な課金を妨げることもない。
【0056】
なお、上述した実施形態は本発明の技術的範囲を制限するものではなく、既に記載したもの以外でも、本発明の範囲内で種々の変形や応用が可能である。例えば、上述の実施形態では、画像形成部が1ページ印刷するごとに課金を行う構成を説明したが、複数ページを印刷した後に課金を行うことも可能である。この場合、その複数ページを印刷するジョブ中に、課金上限値に到達しても印刷は停止されない。
【0057】
また、上述の実施形態では、デジタル複合機として本発明を具体化したが、デジタル複合機に限らず、プリンタ、複写機などの任意の画像形成装置に本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、確実な課金が実現できるとともに、一時的な課金条件の変更を容易に実現することができ、画像形成装置および画像形成システムとして有用である。
【符号の説明】
【0059】
100 複合機
140 画像形成部
308 ICカードリーダ(読取部)
200 操作パネル
401 読取部
402 認証部
403 課金条件保持部
404 変更情報記憶部
405 抽出部
406 課金条件変更部
407 課金部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを用紙上に印刷する画像形成部と、
ユーザを識別する識別情報を記憶した可搬記憶媒体が所定位置に配置されたときに、前記可搬記憶媒体から識別情報を読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた識別情報が予め登録された認証条件を満たすまで、前記画像形成部における印刷を禁止する認証部と、
前記画像形成部により実行された印刷に対する課金に適用される、前記読取部が読み取った識別情報に応じた通常課金条件を保持する課金条件保持部と、
前記通常課金条件を、異なる課金条件に変更するための情報である課金条件変更情報を記憶する変更情報記憶部と、
前記読取部が読み取った識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を、当該識別情報に基づいて前記変更情報記憶部から抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された課金条件変更情報の1つをユーザが選択した場合、前記課金条件保持部に保持された通常課金条件を、当該選択された課金条件変更情報にしたがって変更する課金条件変更部と、
前記画像形成部により印刷が実行されたときに、前記課金条件保持部に保持された課金条件にしたがって課金する課金部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記通常課金条件が可搬記憶媒体に記憶され、前記読取部を通じて前記課金条件保持部に入力される、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記課金条件変更情報が可搬記憶媒体に記憶され、前記読取部を通じて前記変更情報記憶部に入力される、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像データを用紙上に印刷する画像形成装置と、
ユーザを識別する識別情報を記憶した可搬記憶媒体が所定位置に配置されたときに、前記可搬記憶媒体から識別情報を読み取る読取装置と、
前記読取装置により読み取られた識別情報が予め登録された認証条件を満たすまで、前記画像形成装置における印刷を禁止する認証装置と、
前記画像形成装置により実行された印刷に対する課金に適用される、前記読取装置が読み取った識別情報に応じた通常課金条件を保持する課金条件保持部と、
前記通常課金条件を、異なる課金条件に変更するための情報である課金条件変更情報を記憶する変更情報記憶部と、
前記読取装置が読み取った識別情報により特定されるユーザが選択できる課金条件変更情報を、当該識別情報に基づいて前記変更情報記憶部から抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された課金条件変更情報の1つをユーザが選択した場合、前記課金条件保持部に保持された通常課金条件を、当該選択された課金条件変更情報にしたがって変更する課金条件変更部と、
前記画像形成装置により印刷が実行されたときに、前記課金条件保持部に保持された課金条件にしたがって課金する課金部と、
を備える課金装置と、
を備える画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−112939(P2011−112939A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270334(P2009−270334)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】