説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】通常の印字ヘッドのみを使って大量に印刷した記録媒体束側面の厚さに見合った適正な文字や画像を容易に可視化して、ユーザに対する視認性を高めるようにする。
【解決手段】操作パネル14を使って印字を行う用紙の1枚あたりの厚みデータと、用紙サイズデータと、印刷枚数データとを入力する。用紙束の側面に可視化させる側面画像データは、コントローラ120がROM125から読み出す。コントローラ120は、側面画像データを印刷枚数でライン分割し、その分割された分割側面画像データ毎にインデックス値を付与して、システムメモリ124に保存する。コントローラ120は、用紙束の側面に印字する画像形成イメージを生成し、イメージ通りでなければ拡大/縮小処理を行い、イメージ通りであれば、印刷元画像を入力し、側面画像データの印刷位置を決定して、通常画像データと側面画像データとを統合させ、通常の印字ヘッドを使って印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の印刷面への印字と記録媒体束の側面への印字を通常の印字ヘッドを用いて行う画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷済の記録媒体の側面に任意の文字をスタンプ印字することが行われている。例えば、辞書等の用紙束の側面にインデックスを印字することにより、辞書等の章区切りを明確にする技術があった(特許文献1参照)。これまでは、記録媒体の側面にインデックスを作成する際に、インデックスパターンの割り付け位置の計算、そのパターンの組み込みといった複雑な作業が必要であった。しかし、特許文献1では、それらの複雑な作業が不要となり、インデックスとその付随文字を容易に作成できるようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】特開平3−102515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、辞書等に用いられるインデックスおよびその付随文字の印刷に関する開示がなされているのみで、任意の文字データや画像データを使って束ねた記録媒体の側面に印字することにより、ユーザの視認性を高めたいとするユーザのニーズに答えることができないという課題があった。
【0005】
また、記録媒体の側面に任意の文字や画像をスタンプ印字するのであれば、記録媒体のサイズ、厚さ、記録媒体束の枚数が変わっても、側面に印字される文字や画像は変形しないが、側面印字用の印字ヘッドが別に必要となるため、構造が複雑となり、コストがかかるという課題があった。
【0006】
さらに、通常の印刷面に対して印字を行なう印字ヘッドを使い、記録媒体束の側面に文字や画像を印字する場合は、余分なコストがかからない代わりに、記録媒体のサイズ、厚さ、記録媒体束の枚数が変わると側面印字面積や形状が変化する。このため、同じ文字データや画像データを使って印字しても、印字面に対して文字や画像が適正な大きさや形状で印字するように調整するのは非常に難しいという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通常の印刷面に対して印字を行なう印字ヘッドのみを使い、大量に印刷した記録媒体束の側面全体にその側面全体の厚さに見合った適正な文字や画像を容易に可視化して、ユーザに対する視認性を高めることが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、記録媒体を所定位置まで搬送し、当該記録媒体に対して任意の画像を形成する画像形成手段と、前記記録媒体の1枚あたりの厚みデータを入力する厚み入力手段と、画像を形成する一連の記録媒体の枚数データを入力する枚数入力手段と、一連の記録媒体の側面に印字する側面画像データを記憶する画像記憶手段と、前記側面画像データを前記枚数入力手段からの入力枚数によって均等に分割する側面画像データ分割手段と、前記側面画像データ分割手段により分割された個々の分割側面画像データに固有のインデックス値を付けて記憶させ、読み出し管理を行う分割側面画像データ管理手段とを備え、前記インデックス値に基づいて所定の順序で前記分割側面画像データを読み出し、当該分割側面画像データを使って前記画像形成手段により1枚ずつ搬送されてくる前記記録媒体の端部に印字することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記記録媒体のサイズを入力する記録媒体サイズ入力手段を備え、前記画像形成手段は、前記記録媒体サイズ入力手段により入力されるサイズデータに基づいて印字する記録媒体の端部位置を決めることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記分割側面画像データを印字する記録媒体の辺を選択する印字辺選択手段を備え、前記印字辺選択手段により選択された記録媒体の辺の端部に前記分割側面画像データを印字することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置において、読取画像を走査して画像データを読み取る画像読取手段を備え、前記画像読取手段で読み取った画像データを前記側面画像データとして前記画像記憶手段に記憶させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5にかかる発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記厚み入力手段による記録媒体の1枚あたりの厚みデータと、前記枚数入力手段による一連の記録媒体の枚数データと、前記記録媒体サイズ入力手段による記録媒体のサイズデータと、前記分割側面画像データ管理手段により管理される分割側面画像データとに基づいて、記録媒体束の側面に印字される側面画像のイメージ画像を作成するイメージ画像作成手段と、前記イメージ画像作成手段によって作成されたイメージ画像を画面表示する表示手段と、前記表示手段に表示されたイメージ画像に基づいて側面画像データを拡大あるいは縮小させる値を入力する拡大/縮小値入力手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記拡大/縮小値入力手段は、操作パネルおよび外部機器と接続されるインターフェースのいずれか一方であって、操作パネルあるいは外部機器から拡大/縮小値が入力されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7にかかる発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記厚み入力手段による記録媒体の1枚あたりの厚みデータと、前記枚数入力手段による一連の記録媒体の枚数データと、前記記録媒体サイズ入力手段による記録媒体のサイズデータとに基づいて、記録媒体束の側面面積を算出し、当該記録媒体束の側面に前記側面画像データが適合するように拡大あるいは縮小処理する拡大/縮小処理手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記枚数入力手段は、操作パネルおよび外部機器と接続されるインターフェースのいずれか一方であって、操作パネルあるいは外部機器から一連の記録媒体の枚数データが入力されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9にかかる発明は、画像を形成する記録媒体の1枚あたりの厚みデータを入力する厚み入力ステップと、画像を形成する一連の記録媒体の枚数データを入力する枚数入力ステップと、一連の記録媒体の側面に印字する側面画像データを記憶する画像記憶ステップと、前記側面画像データを前記枚数入力ステップによる入力枚数によって均等に分割する側面画像データ分割ステップと、前記側面画像データ分割ステップで分割された個々の分割側面画像データに固有のインデックス値を付けて記憶させ、読み出し管理を行う分割側面画像データ管理ステップとを含み、前記一連の記録媒体を1枚ずつ搬送しながら任意の画像を印字する際に、前記インデックス値に基づいて所定の順序で前記分割側面画像データを読み出して前記記録媒体の端部に印字することを特徴とする画像形成方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる画像形成装置は、画像形成手段により記録媒体を所定位置まで搬送し、その記録媒体に対して任意の画像が形成される。厚み入力手段により記録媒体の1枚あたりの厚みデータが入力されると共に、枚数入力手段によって画像を形成する一連の記録媒体の枚数データが入力され、画像記憶手段によって一連の記録媒体の側面に印字する側面画像データが記憶される。側面画像データ分割手段により側面画像データを枚数入力手段からの入力枚数によって均等に分割し、その分割された分割側面画像データに対して分割側面画像データ管理手段が固有のインデックス値を付けて読み出し管理を行えるようにする。分割側面画像データ管理手段は、インデックス値に基づいて所定の順序で分割側面画像データを読み出し、画像形成手段によって1枚ずつ搬送されてくる記録媒体の端部に印字する。このように、記録媒体の1枚あたりの厚みと一連の記録媒体の枚数を把握することによって、記録媒体束を重ねた時の側面の印字面の高さを算出することができるため、側面に印字する側面画像データを記録媒体の枚数で分割することにより、記録媒体束の高さ方向に最大となる分割側面画像データが容易に得られるという効果を奏する。その上、記録媒体の端部に個々の分割側面画像データを印字し、その分割画像を重ね合わせて側面画像を形成することにより、通常の印字ヘッドのみで通常画像と側面画像の両方を印字することが可能となり、装置コストが低く抑えられるという効果を奏する。
【0018】
本発明にかかる画像形成方法は、厚み入力ステップにより画像を形成する記録媒体の1枚あたりの厚みデータが入力され、枚数入力ステップにより画像を形成する一連の記録媒体の枚数データが入力される。画像記憶ステップにより一連の記録媒体の側面に印字する側面画像データが記憶され、側面画像データ分割ステップにより側面画像データを枚数入力ステップによる入力枚数によって均等に分割される。分割された個々の分割側面画像データは、分割側面画像データ管理ステップにより固有のインデックス値を付けて記憶され、読み出し管理を可能にする。一連の記録媒体は、1枚ずつ搬送されて任意の画像を印字する際に、インデックス値に基づいて所定の順序で分割側面画像データが読み出され、記録媒体の端部に印字される。このように、記録媒体の1枚あたりの厚みと一連の記録媒体の枚数を把握することによって、記録媒体束を重ねた時の側面の印字面の高さを算出することができるため、側面に印字する側面画像データを記録媒体の枚数で分割することにより、記録媒体束の高さ方向に最大となる分割側面画像データが容易に得られるという効果を奏する。その上、記録媒体の端部に個々の分割側面画像データを印字し、その分割画像を重ね合わせて側面画像を形成することにより、通常の印字ヘッドのみで通常画像と側面画像の両方を印字することが可能となり、装置コストが低く抑えられるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明にかかる画像形成装置の外観を説明する斜視図であり、図2は、図1の画像形成装置の概略構成を説明するブロック図であり、図3は、図2のシステムメモリ内に設けられたフォルダの一例を示す図であり、図4は、図3の分割側面画像フォルダ内に格納されているインデックス値に対応した分割側面画像データ例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の画像形成装置10は、電子写真技術を用いたカラーデジタル複写機であり、カラー原稿画像を走査して画像情報を読み取る画像読取手段としてのスキャナ11、読み取った画像情報に基づいて画像形成処理を行う画像形成手段としてのプリンタ12、画像形成装置10の設定や操作を行う際に操作情報等を画面表示する表示手段としての表示部13、画像形成装置10の設定や操作を行う操作ボタン等が配置された操作パネル14、コピー用紙などの記録媒体を格納してプリンタ12に一枚ずつ供給する給紙部15、原稿を一枚ずつ繰り出してスキャナ11の読み取り位置へ搬送する原稿自動搬送装置(ADF)16、および、コピー用紙などを外部から手差しで供給する手差しトレイ17などで構成されている。
【0022】
図2において、図1と同じ符号が付してある構成ブロックは、同一部または相当部であり、重複する構成説明は省略する。図2に示すように、スキャナ11には、原稿画像の読み取り動作を制御するスキャナ制御部110が設けられている。
【0023】
プリンタ12は、各種メモリデータの管理あるいは画像形成装置全体の制御を行うコントローラ120、画像情報の自動二値化や原稿サイズ検知等の画像処理を行う画像プロセッシングユニット(Image Processing Unit:IPU)121、画像形成動作を実行するプリンタエンジン122などによって構成されている。
【0024】
また、上記コントローラ120は、プログラムデータを格納するプログラムメモリ123、本発明に特徴的な用紙厚み、印刷枚数、分割側面画像、用紙サイズ、側面画像、側面画像の印字位置などの各種データをそれぞれ格納して管理する画像記憶手段としてのシステムメモリ124、用紙の型番に対応した紙厚データなどを記憶するテーブル、あるいは各種パラメータを格納するROM125などを備えている。
【0025】
さらに、コントローラ120は、上記システムメモリ124に格納された印刷枚数から側面画像を均等に分割して分割側面画像データを形成する側面画像データ分割手段、均等に分割された個々の分割側面画像データに固有のインデックス値を対応づけてシステムメモリ124内の分割側面画像フォルダ33(図3参照)に記憶させる分割側面画像データ管理手段、記録媒体1枚あたりの厚みデータ、一連の記録媒体の枚数データ、記録媒体のサイズデータ、および分割側面画像データに基づいて側面画像のイメージ画像を作成するイメージ画像作成手段、あるいは、記録媒体1枚あたりの厚みデータ、一連記録媒体の枚数データ、記録媒体のサイズデータに基づいて記録媒体束の側面面積を算出し、その記録媒体束の側面に側面画像データが適合するように拡大/縮小処理を行う拡大/縮小処理手段などを構成している。
【0026】
操作パネル14は、記録媒体1枚あたりの厚みデータを入力する厚み入力手段、画像データを形成する一連の記録媒体の枚数データを入力する枚数入力手段、記録媒体のサイズを入力する記録媒体サイズ入力手段、記録媒体のどの辺の端部に側面画像を印字するかを選択する印字辺選択手段、あるいは、表示されたイメージ画像に基づいて側面画像データを拡大あるいは縮小させる拡大/縮小値入力手段などを兼用している。
【0027】
図3に示すように、システムメモリ124には、用紙1枚あたりの厚みデータを格納する用紙厚みフォルダ31、画像データを形成する一連の用紙の枚数データを格納する印刷枚数フォルダ32、用紙束の側面に印字する側面画像データを印刷枚数で分割した分割側面画像データを格納する分割側面画像フォルダ33、印字する用紙のサイズデータを格納する用紙サイズフォルダ34、用紙束の側面に印字する側面画像データを格納する側面画像フォルダ35、および、用紙のどの側面(矩形用紙の4辺のどの辺)に側面画像を印字するかという印字位置のデータを格納する側面画像の印字位置フォルダ36などが形成されている。
【0028】
さらに、図4は、図3の分割側面画像フォルダ33内におけるデータ格納状態例を示したもので、用紙束の側面に印字する側面画像データを印刷枚数で分割した各分割側面画像データに対して、固有のインデックス値(インデックスNo.)を対応づけて格納している。これにより、インデックスNo.を指定するだけで、所望の分割側面画像データを個別に読み出したり、読み出し順序を自由に変えて読み出したりすることが可能となる。従って、一連の用紙の印刷順序が逆に行われたり、特定の用紙のみを差し替えて印刷したりする場合でも、容易に対応が可能となる。図4の分割側面画像データには、用紙(記録媒体)40と、その用紙端部に印字する分割側面画像41のパターンを示している。
【0029】
次に、図5−1は、画像データが形成された一連の用紙束の側面に側面画像を形成する原理説明図であり、図5−2は、図5−1の用紙束を平面方向から見た図であり、図5−3は、図5−1の用紙端部に分割側面画像を印字して重ね合わせることで側面画像を完成させた状態図である。また、図6−1は、用紙の印字面に印字された通常画像と側面画像とを組み合わせることを示す図であり、図6−2は、図6−1の2つの画像を統合した統合画像を示す図である。
【0030】
第1の実施の形態では、用紙1枚あたりの厚みと一連の用紙枚数を把握して、用紙束を重ねた時の側面の印字面の高さを算出し、側面画像データを用紙枚数で分割することから、用紙束の高さ方向に最大となる分割側面画像データを容易に得ることができる。例えば、図5−1に示すように、用紙40に通常画像が形成された一連の用紙43の端部42aに用紙枚数で分割した分割側面画像41を印字することにより、一連の用紙43を重ね合わせた状態で用紙束の高さを十分に活かした、視認性の良好な側面画像を形成することができる。
【0031】
また、図5−1を平面方向から見た図5−2は、用紙40の印字面に通常画像(ここでは「R」とした)44が印字され、その用紙40の一辺の端部42aに分割側面画像41が印字されている。このように、第1の実施の形態では、側面画像を用紙束の側面方向から特殊な印字ヘッドを用いて印字するのではなく、通常画像と同じ印字面の端部に印字し、これを重ね合わせることで側面画像を形成するものである。このため、新たな側面画像専用の印字ヘッドを設ける必要がなくなり、通常の印刷面に対して印字を行なう印字ヘッドを用いるだけで、通常画像44と分割側面画像41の両方を印字することが可能となり、装置コストを低く抑えることができる。
【0032】
なお、通常画像44と分割側面画像41は、図6−1に示すように、一方の画像を形成した後、他方の画像を追加して印字することも可能であるが、図6−2に示すように、通常画像44と分割側面画像41とを統合して、用紙40に同時に印字するようにしても良い。
【0033】
また、側面画像を印字する側面は、図5−2に示すように、用紙40の4つの辺のいずれかの端部42a,42b,42c,42dを使うことができる。この印字側面の選択は、図1の操作パネル14の操作ボタンを使って設定することより、所望の端部が選択できるようになっている。このため、ユーザは、用紙40の4つの辺のいずれかの端部を選択して(勿論、複数の辺に異なる画像を形成するように選択することも可能である)、側面画像を印字することができる。
【0034】
図7は、第1の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。図7に示すように、印字を行う用紙の1枚あたりの厚みデータを入力する(ステップS100)。ここでは、ユーザが操作パネル14を使って直接入力(例えば、0.2ミリなど)するようにした。また、これ以外にも用紙の型番が操作パネル14から入力されると、図2のコントローラ120が用紙の型番に対応した紙厚データを記憶するテーブル(ROM125)を参照して、厚みデータを入力しても良い。さらに、図示していないが、給紙部15の給紙トレイから搬送ルート上に設けられた紙厚センサを用いて紙厚を自動的に検知するようにしてもよい。
【0035】
次いで、用紙サイズデータを入力する(ステップS101)。用紙サイズデータは、サイズ別に給紙トレイに格納されているため、給紙トレイが指定された段階で入力するようにしてもよい。また、ユーザが操作パネル14を使って用紙サイズデータを入力するようにしてもよい。
【0036】
次いで、側面印刷を行う一連の用紙の印刷枚数を入力する(ステップS102)。一連の用紙とは、通常の印字面に印刷を行うことで一定の厚さの束が構成される程度の用紙枚数をいう。このような用紙束を綴じたり、製本したりすると、その側面に印字された文字や画像を視認性良く可視化することができる。用紙の印刷枚数の入力は、ユーザが操作パネル14を使って設定する。また、複写機のように一連の原稿を原稿自動搬送装置(ADF)16を使って自動搬送しながら、スキャナ11で画像データを読み取り、それをプリンタ12で印字する場合は、原稿枚数と用紙の印刷枚数が一致するので、ADF16のカウント値を印刷枚数の入力値としてもよい。
【0037】
さらに、本発明の画像形成装置10は、図示していないがネットワークなどを介してパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器と接続することも可能である。その際、PCから送られてくる画像データを使って画像形成装置で印字する場合は、PCのプリンタドライバで印刷枚数を認識し、その設定値を画像形成装置10に送信することで印刷枚数を入力してもよい。
【0038】
次いで、側面に表示する画像データを入力する(ステップS103)。用紙束の側面に可視化させる側面画像データは、予めROM125に用意していてもよい。また、スキャナ11を使って側面画像にしたい原稿画像を別途読み取らせ、システムメモリ124内の側面画像フォルダ35に一時格納して使用してもよい。これにより、任意の画像を持ってきて走査するだけで、用紙束の側面に印字したい側面画像データを簡単に取り込むことができる。さらに、上記のようにネットワークを介してPCと接続されている場合は、PCから印刷データを送信する際に、側面画像データも同時または連続して送信し、システムメモリ124の側面画像フォルダ35に格納して使用してもよい。
【0039】
次いで、コントローラ120は、入力された側面画像データを印刷枚数でライン分割する(ステップS104)。例えば、印刷枚数が100枚であれば、側面画像データを100分割する。分割された分割側面画像データは、システムメモリ124の分割側面画像フォルダ33に格納される。その際、図4に示すように、コントローラ120は、例えば100分割した分割側面画像データに順番に固有のインデックス値を付与し、整理した上でメモリに保存させる(ステップS105)。
【0040】
次いで、コントローラ120は、上記入力された用紙の厚みデータと、用紙のサイズデータと、用紙の枚数データと、前記記録媒体サイズ入力手段による記録媒体のサイズデータと、分割側面画像データとに基づいて、用紙束の側面に印字される画像形成イメージを生成し、表示部13(操作パネル14上の表示部、あるいは別途設けられた表示部でもよい)にイメージを表示する(ステップS106)。
【0041】
ユーザは、この表示部13に表示された用紙束の側面に印字される画像形成イメージを見て、画像の大きさや縦/横比などをチェックし、この画像形成イメージで良いか否かを判断する(ステップS107)。ユーザがこの画像形成イメージで良い場合は、ステップS109に移行するが、イメージ画像が気に入らない場合は、ステップS108で分割前の側面画像データを用紙束の厚みに適するように拡大または縮小する処理が行われる。例えば、100枚分の厚さが5センチで、側面画像データの高さが1センチならば5倍にする。また、側面の用紙幅が30センチで側面画像の幅が10センチならば3倍に拡大する。高さをあわせるか、幅をあわせるかは、ステップS104〜ステップS108の処理を繰り返すことによってユーザの意図にあった側面画像になるように設定する。このように、用紙サイズや用紙束の厚みによる側面の面積と、そこに印字される画像形成イメージとを画面上で確認することにより、画像の大きさや縦と横の比率を拡大/縮小する操作を行うだけで、所望の印字画像を容易に作成することができる。なお、画像の大きさや縦と横の比率を拡大/縮小する操作は、操作パネル14を使って行えるのはもちろん、画像形成装置に接続されたPCなどの外部機器を使って拡大/縮小操作を行うようにしても良い。
【0042】
ステップS107でユーザの意図する側面画像になると、ステップS109に移行して印刷元画像を入力する。印刷元画像とは、側面画像データではなく用紙表面に印刷する通常画像44(図5−2参照)の画像データのことである。この印刷元画像の入力は、原稿をADF16で自動搬送させてスキャナ11で読み取ったり、ネットワークを介して接続されたPCなどから送信されたりして、画像データが入力される。
【0043】
次いで、側面画像データを用紙のどこに(4端のどの辺の端部に)印刷するかを決定する(ステップS110)。側面画像データを用紙のどの辺に印刷するかの選択は、図5−2に示すように、用紙の上(端部42c)なのか、下(端部42a)なのか、右(端部42b)なのか、左(端部42d)なのかを指定する。その指定方法は、操作パネル14から指定してもよいし、外部機器であるPCからデータ転送するときに指定するようにしてもよい。また、デフォルトにより、例えば通常は用紙右側に印刷するよう初期設定を施してもよい。
【0044】
次いで、ステップS111では、通常の表面に印刷する通常画像データと側面画像データとを図6−2に示すように統合させる。そして、その統合画像を通常の印字ヘッドを使って順次印刷する(ステップS112)。その際、上記ステップS101で用紙サイズデータが入力されているため、側面画像データを印字する用紙の端部位置を正確かつ確実に決めることができる。
【0045】
これにより、図5−1に示すような分割側面画像41が印刷された一連の用紙43が出来上がり、この用紙を重ね合わせた用紙束45の側面46には、ユーザの意図通りの側面画像47を形成することができる。
【0046】
このように、第1の実施の形態によれば、出来上がった側面画像47は、ユーザが印刷前にイメージ画像で確認しながら拡大/縮小調整を行うことができるので、ユーザの意図していた通りのものを印刷することができる。また、用紙束の側面全体の大きさに見合うように適正な画像に調整することが容易となり、それを可視化することによって、ユーザに対する視認性を高めることができる。さらに、通常画像44と分割側面画像41とは、同じ用紙の表面に印刷するため、特殊な印字ヘッドを別に設ける必要がなくなり、装置コストの上昇を抑えることができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態においては、用紙束の側面に印字される画像イメージを生成し、表示部13に表示することでユーザがこれを確認し、ユーザの判断に基づいて拡大/縮小処理(ステップS108)を行なっている。しかし、本第2の実施の形態の特徴は、この拡大/縮小処理を自動処理化することによって、必ずしもユーザが介在しなくても良くなった点にある。
【0048】
図8は、第2の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。図8に示すステップS200〜ステップS202までの処理は、上記第1の実施の形態におけるステップS100〜ステップS102と同じであるので、動作説明を省略する。
【0049】
コントローラ120は、ステップS200〜ステップS202において入力された用紙の厚みデータ、用紙のサイズデータ、および用紙の枚数データに基づいて完成印刷冊子束の側面の面積を算出する(ステップS203)。
【0050】
次いで、側面画像データが入力されると(ステップS204)、コントローラ120は、算出した完成印刷冊子束の側面の面積に応じて側面画像データを適宜拡大/縮小処理することにより(ステップS205)、完成印刷冊子束の側面に適合した側面画像データを自動形成することができる。
【0051】
次いで、ステップS206では、コントローラ120がステップS205において自動形成した側面画像データを入力された印刷枚数(ステップS202)でライン分割し、分割側面画像データを生成する。このようにして生成された分割側面画像データは、システムメモリ124の分割側面画像フォルダ33に格納される。その際、図4に示すように、コントローラ120は、例えば100分割した分割側面画像データに順番に固有のインデックス値を付与し、整理した上でメモリに保存させる(ステップS207)。
【0052】
分割側面画像データをシステムメモリ124の分割側面画像フォルダ33に格納後、印刷元画像が入力される(ステップS208)。印刷元画像の入力は、上記第1の実施の形態と同様に、原稿をADF16で自動搬送させてスキャナ11で読み取ったり、ネットワークを介して接続されたPCなどから送信されたりして、画像データが入力される。
【0053】
次いで、ステップS209では、側面画像データを用紙のどこに(4端のどの辺の端部に)印刷するかを決定する。その指定方法は、上記第1の実施の形態と同様に、操作パネル14から指定してもよいし、外部機器であるPCからデータ転送するときに指定するようにしてもよい。また、デフォルトにより、例えば通常は用紙右側に印刷するよう初期設定を施してもよい。
【0054】
次いで、ステップS210では、通常の表面に印刷する通常画像データと側面画像データとを図6−2に示すように統合させ、その統合画像を通常の印字ヘッドを使って順次印刷する(ステップS211)。
【0055】
これにより、図5−1に示すような分割側面画像41が印刷された一連の用紙43が出来上がり、この用紙を重ね合わせた用紙束45の側面46には、完成印刷冊子束の側面面積に応じて自動的に拡大/縮小された側面画像47を形成することができる。
【0056】
このように、第2の実施の形態によれば、出来上がった側面画像47は、ユーザを介さずに自動的に側面画像データの拡大/縮小処理が施されて、適正な画像に調整されるので、ユーザの手を煩わせることなく、迅速な処理が可能となる。また、自動調整された適正な画像を用紙束の側面に可視化することにより、ユーザに対する視認性を高めることができる。さらに、通常画像44と分割側面画像41とを同じ用紙の表面に印刷するため、特殊な印字ヘッドを別に設ける必要がなくなり、装置コストの上昇を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置および画像形成方法は、複数枚の用紙に任意の画像を形成して束ねた際に、用紙束の側面に所望の画像を視認性良く形成することができる複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはそれらの複合機などに適している。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の外観を説明する斜視図である。
【図2】図1の画像形成装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図3】図2のシステムメモリ内に設けられたフォルダの一例を示す図である。
【図4】図3の分割側面画像フォルダ内に格納されているインデックス値に対応した分割側面画像データ例を示す図である。
【図5−1】画像データが形成された一連の用紙束の側面に側面画像を形成する原理説明図である。
【図5−2】図5−1の用紙束を平面方向から見た図である。
【図5−3】図5−1の用紙端部に分割側面画像を印字して重ね合わせることで側面画像を完成させた状態図である。
【図6−1】用紙の印字面に印字された通常画像と側面画像とを組み合わせることを示す図である。
【図6−2】図6−1の2つの画像を統合した統合画像を示す図である。
【図7】第1の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態にかかる動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10 画像形成装置
11 スキャナ
110 スキャナ制御部
12 プリンタ
120 コントローラ
121 IPU
122 プリンタエンジン
123 プログラムメモリ
124 システムメモリ
125 ROM
13 表示部
14 操作パネル
15 給紙部
16 原稿自動搬送装置(ADF)
17 手差しトレイ
31 用紙厚みフォルダ
32 印刷枚数フォルダ
33 分割側面画像フォルダ
34 用紙サイズフォルダ
35 側面画像フォルダ
36 側面画像の印字位置フォルダ
40 用紙(記録媒体)
41 分割側面画像
42a,42b,42c,42d 端部
43 一連の用紙
44 通常画像
45 用紙束
46 側面
47 側面画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を所定位置まで搬送し、当該記録媒体に対して任意の画像を形成する画像形成手段と、
前記記録媒体の1枚あたりの厚みデータを入力する厚み入力手段と、
画像を形成する一連の記録媒体の枚数データを入力する枚数入力手段と、
一連の記録媒体の側面に印字する側面画像データを記憶する画像記憶手段と、
前記側面画像データを前記枚数入力手段からの入力枚数によって均等に分割する側面画像データ分割手段と、
前記側面画像データ分割手段により分割された個々の分割側面画像データに固有のインデックス値を付けて記憶させ、読み出し管理を行う分割側面画像データ管理手段と
を備え、前記インデックス値に基づいて所定の順序で前記分割側面画像データを読み出し、当該分割側面画像データを使って前記画像形成手段により1枚ずつ搬送されてくる前記記録媒体の端部に印字することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体のサイズを入力する記録媒体サイズ入力手段を備え、
前記画像形成手段は、前記記録媒体サイズ入力手段により入力されるサイズデータに基づいて印字する記録媒体の端部位置を決めることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分割側面画像データを印字する記録媒体の辺を選択する印字辺選択手段を備え、
前記印字辺選択手段により選択された記録媒体の辺の端部に前記分割側面画像データを印字することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
読取画像を走査して画像データを読み取る画像読取手段を備え、
前記画像読取手段で読み取った画像データを前記側面画像データとして前記画像記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記厚み入力手段による記録媒体の1枚あたりの厚みデータと、前記枚数入力手段による一連の記録媒体の枚数データと、前記記録媒体サイズ入力手段による記録媒体のサイズデータと、前記分割側面画像データ管理手段により管理される分割側面画像データとに基づいて、記録媒体束の側面に印字される側面画像のイメージ画像を作成するイメージ画像作成手段と、
前記イメージ画像作成手段によって作成されたイメージ画像を画面表示する表示手段と、
前記表示手段に表示されたイメージ画像に基づいて側面画像データを拡大あるいは縮小させる値を入力する拡大/縮小値入力手段と
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記拡大/縮小値入力手段は、操作パネルおよび外部機器と接続されるインターフェースのいずれか一方であって、操作パネルあるいは外部機器から拡大/縮小値が入力されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記厚み入力手段による記録媒体の1枚あたりの厚みデータと、前記枚数入力手段による一連の記録媒体の枚数データと、前記記録媒体サイズ入力手段による記録媒体のサイズデータとに基づいて、記録媒体束の側面面積を算出し、当該記録媒体束の側面に前記側面画像データが適合するように拡大あるいは縮小処理する拡大/縮小処理手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記枚数入力手段は、操作パネルおよび外部機器と接続されるインターフェースのいずれか一方であって、操作パネルあるいは外部機器から一連の記録媒体の枚数データが入力されることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像を形成する記録媒体の1枚あたりの厚みデータを入力する厚み入力ステップと、
画像を形成する一連の記録媒体の枚数データを入力する枚数入力ステップと、
一連の記録媒体の側面に印字する側面画像データを記憶する画像記憶ステップと、
前記側面画像データを前記枚数入力ステップによる入力枚数によって均等に分割する側面画像データ分割ステップと、
前記側面画像データ分割ステップで分割された個々の分割側面画像データに固有のインデックス値を付けて記憶させ、読み出し管理を行う分割側面画像データ管理ステップと
を含み、前記一連の記録媒体を1枚ずつ搬送しながら任意の画像を印字する際に、前記インデックス値に基づいて所定の順序で前記分割側面画像データを読み出して前記記録媒体の端部に印字することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−181992(P2007−181992A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1846(P2006−1846)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】