説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】電源がOFFになってから長時間経過した後の電源投入時であっても、プロセスコントロールを実施することなく短時間でプリント動作を可能とすることができる画像形成装置および画像形成方法を提供すること。
【解決手段】商用交流電源2からの電力供給の有無を検知する電圧検知回路3と、画像形成動作終了後の経過時間を測定するRTC13と、充放電が可能な蓄電手段17と、形成する画像の画質を調整するプロセスコントロールの実行を制御するプロコン制御部15と、電圧検知回路3およびRTC13の状態を監視し、電力供給が無いと判断し、かつ、画像形成動作終了後の経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、蓄電手段17の蓄電力をプロコン制御部15へ出力させるプロコン要因監視部14と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電が可能な蓄電手段を備えた画像形成装置、および、画像形成装置による画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置としては、複写機、プリンタ、ファクシミリおよびそれらの機能を複合化した装置等が開発されている。このような画像形成装置は、通常、記録媒体上にトナー画像を形成する画像形成部、トナー画像が形成された記録媒体を加圧および加熱してトナー画像の定着を行う定着装置部を備えている。この定着装置部には、記録媒体を加熱するための定着部材、例えば定着ローラが設けられており、この定着ローラは、商用電源からの電力により発熱するヒータ(加熱ヒータ)によって所定の温度に加熱される。
【0003】
また、画像形成装置には、転写画質維持を図るために、プロセスコントロール(プロコン)と呼ばれる画質調整モードが設けられ、形成する画像の画質を最適化するべく作像条件を調整している。画像形成装置は、電源投入後、CPU初期化、周辺デバイスの初期設定を経て、定着温度をプリントが可能な温度に立ち上げる定着リロード、プロコンを経てプリント動作が可能となる。
【0004】
長時間における画像形成部の放置後プロコンを行わずにプリントを行うと、画像品質の低下を引き起こしてしまう問題があるため、従来の画像形成装置では、立上げの電源投入時にはプロコンを行っている。プロコン動作の所要時間は、通常10数秒〜数10秒程度が必要であり、プロコン動作の所要電力は、カラータンデム機等では通常数百W程度が必要である。そのため、画像形成装置の立上げ時(電源投入時)にプロコンを行うと、プロコンの所要時間分だけ、プリント動作が可能になるまでの時間が長くなるという問題がある。また、プロコンと定着リロードとを並行して実施した場合でも、プロコンの所要電力分だけ、定着装置での定着リロードに必要な電力供給量を減らす必要があるため、定着温度がプリント可能な温度に立ち上がるまでの時間が長くなり、プリント動作が可能になるまでの時間が長くなる。
【0005】
この問題に対して、特許文献1には、電源投入後にプリント動作が可能になるまでの時間短縮を図るために画像形成部の動作OFF時間に閾値を設け、閾値より画像形成部の動作OFF時間が長い場合のみ電源投入時にプロコンを実施する画像形成装置が開示されている。この画像形成装置では、画像形成部の動作終了からの時間をカウントしており、電源投入時に、予め決めている画像形成部の動作OFF時間の閾値を超えているか否かを検出して、プロコン実行可否を決定している。このため、環境条件によっては、電源投入時にプロコンを行う必要がなく、プリント動作が可能になるまでの時間を短縮することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、画像形成部の動作OFF時間の閾値設定は、数時間に設定されている。そのため、朝1番の電源投入時には、ほとんどの場合プロコンを実施することになり、プリント動作が可能になるまでの時間を短縮することができないという問題があった。
【0007】
一方、画像形成部の動作OFF時間の閾値設定を長くすれば、朝1番の電源投入時にプロコンを実施する割合が少なくなり、プリント動作が可能になるまでの時間を短縮することが可能である。しかし、その代わりに画像品質が低下するという問題が発生する可能性があり、一般的には画像形成部の動作OFF時間の閾値は数時間程度にしか設定できない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、朝1番などの電源がOFFになってから長時間経過した後の電源投入時であっても、プロセスコントロールを実施することなく短時間でプリント動作を可能とすることができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電源からの電力供給の有無を検知する検知手段と、画像形成動作終了後の経過時間を測定する測定手段と、充放電が可能な蓄電手段と、形成する画像の画質を調整するプロセスコントロールの実行を制御するプロセスコントロール制御手段と、前記検知手段および前記測定手段の状態を監視し、前記電力供給が無いと判断し、かつ、前記画像形成動作終了後の経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、前記蓄電手段の蓄電力を前記プロセスコントロール制御手段へ出力させるプロセスコントロール要因監視手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0010】
また、本発明は、画像形成装置で実行される画像形成方法であって、電源からの電力供給の有無を検知する検知ステップと、画像形成動作終了後の経過時間を測定する測定ステップと、充電を行う蓄電ステップと、形成する画像の画質を調整するプロセスコントロールの実行を制御するプロセスコントロール制御ステップと、前記検知ステップで前記電力供給が無いと判断し、かつ、前記測定ステップで前記経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、前記蓄電ステップでの蓄電力を前記プロセスコントロール制御ステップで使用させる蓄電力使用ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プロセスコントロール要因監視手段が、電源からの電力供給が無いと判断し、かつ、画像形成動作終了後の経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、蓄電手段の蓄電力をプロセスコントロール制御手段へ出力させることができるので、電源のOFF中に蓄電手段の蓄電力を用いてプロセスコントロールを行うことができ、長期間電源入力がOFFであった状態から朝1番などに電源入力をONする場合でもプロセスコントロールを行う必要がないので、プリント動作が可能となるまでの時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置の画像形成方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、画像形成装置制御部による制御シーケンスを示した図である。
【図4】図4は、従来の画像形成装置と本実施の形態にかかる画像形成装置とにおけるACスイッチON後の動作フローの違いを示す図である。
【図5】図5は、変形例1にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。
【図6】図6は、変形例2にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。
【図7】図7は、変形例3にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。初めに、商用交流電力が供給された後、画像形成装置で必要な直流電圧に変換される部分と、その直流電圧が供給される部分とについて説明する。
【0015】
ACスイッチ1は、商用交流電源2と画像形成装置とを接続するスイッチである。ACスイッチ1がOFFの時、RTC13とプロコン要因監視部14以外の回路には、電力が供給されないため、その機能が停止している状態となる。
【0016】
電圧検知回路3は、商用交流電源2からの電力(電圧)の入力を検知するため、ACスイッチ1の後段に設けられる。電圧検知回路3は、ACスイッチ1がONしている場合は、商用交流電源2からの電圧を検知するが、ACスイッチ1がOFFしている場合は、商用交流電源2からの電圧を検知しない。なお、電圧検知回路3は、請求項における検知手段に相当する。
【0017】
整流平滑回路4は、商用交流電源2からの交流電圧を整流および平滑化するため、電圧検知回路3の後段に設けられる。コンバータ5は、整流平滑回路4からの整流電圧を所定の直流電圧に変換し安定化し、後段の負荷に供給するため、整流平滑回路4の後段に設けられる。ここで後段の負荷とは、図の場合、プロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、エンジン制御系負荷8、エンジン駆動系負荷9、画像形成装置制御部10、および、充電制御回路20である。
【0018】
プロコン制御系負荷6は、転写ベルト上のトナー濃度を検出するPセンサ等のプロコンを実行するために必要なセンサ類で、5V等の制御系電源が供給される負荷である。プロコン駆動系負荷7は、感光体を駆動するドラムモータ等のプロコンを実行するために必要な駆動系類で、24V等の駆動系電源が供給される負荷である。
【0019】
エンジン制御系負荷8は、定着、給紙、排紙等のプロコン以外のエンジン制御系負荷である。エンジン駆動系負荷9は、定着、給紙、排紙等のプロコン以外のエンジン駆動系負荷である。
【0020】
次に、主に画像形成装置を制御する部分について説明する。画像形成装置制御部10は、コントローラ部11、エンジン制御部12、RTC13、および、プロコン要因監視部14を備えて構成されている。
【0021】
コントローラ部11は、画像形成装置の全体を制御し、CPU、ROM、RAM、フレームメモリー制御、FIFO等のCPU周辺を制御するASICおよびそのインターフェイス回路等が搭載されている。
【0022】
エンジン制御部12は、画像形成動作を行うため、プロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、エンジン制御系負荷8、および、エンジン駆動系負荷9を制御する。エンジン制御部12は、CPU、入出力ポート、A/Dコンバータ、割り込み制御回路、ROM、RAM、タイマ等で構成されている。
【0023】
エンジン制御部12は、プロコン制御部15を備えて構成されている。プロコン制御部15は、プロコンを行うため、プロコン制御系負荷6およびプロコン駆動系負荷7を制御する。
【0024】
RTC(Real Time Clock)13は、計時専用のチップであり、画像形成動作終了後の経過時間を測定する。RTC13は、内蔵電池からの電源供給で動作するため、ACスイッチ1がOFFの時でも時間を測定することができる。
【0025】
プロコン要因監視部14は、電圧検知回路3、RTC13、および、充電電圧検出回路18の状態を監視する。そして、プロコンが必要であると判断すると、プロコン制御部15にプロコンを行うよう指示する。プロコン要因監視部14は、ACスイッチ1がONしている場合は、プロコン制御部15は動作しているので、プロコン制御部15へプロコンが必要な旨を通知するだけである。
【0026】
一方、ACスイッチ1がOFFしている場合は、プロコン制御部15は動作していないので、蓄電手段17がプロコンに必要な各部(プロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、および、画像形成装置制御部10)へ蓄電力を放電するように、蓄電出力放電部22に対して指示する。具体的には、プロコン要因監視部14は、蓄電出力放電部22に出力放電指示信号16を送信する。なお、プロコン要因監視部14には、ACスイッチ1がOFFしている場合でも、蓄電手段17から蓄電力から供給されるため、動作し続けることができる。
【0027】
次に、商用交流電力から変換された直流電圧を直流電力として蓄電する部分と、蓄電された直流電力が供給される部分とについて説明する。
【0028】
蓄電手段17は、電気(電力)を蓄えるとともに、蓄えた電気(電力)を放電する。蓄電手段17は、電気2重層コンデンサーを複数個直列に接続したキャパシタバンクを使用している。ここで、個々の電気2重層コンデンサーをセルと呼ぶ。なお、キャパシタバンクは、ACスイッチ1がOFFの時に、プロコン要因監視部14への電力供給と、プロコンを実施するためのプロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、および、画像形成装置制御部10への電力供給とを十分に対応可能とする容量のセル構成となっている。また、蓄電手段17は、電気2重層コンデンサー個々のセルが満充電になると充電をバイパスするバイパス回路、前記セルのいずれかが満充電になると単セル満充電信号を発生する回路、および、全ての電気2重層コンデンサーが満充電になると全セル満充電信号を発生する回路を有した均等化回路を備えている。
【0029】
充電電圧検出回路18は、蓄電手段17のキャパシタバンクに充電された電圧を検出する。充電電圧検出回路18は、抵抗で構成された分割回路で構成され、キャパシタバンクの端子間電圧を検出する。そして、充電電圧検出回路18の出力は、充電制御回路20に入力される。さらに、充電電圧検出回路18の出力は、プロコン要因監視部14に入力される。
【0030】
充電電流検出回路19は、キャパシタバンクに充電する時の電流を検出する。充電電流検出回路19は、キャパシタバンクと直列に接続された抵抗を流れる電流を端子間電圧として検出する。そして、充電電流検出回路19の出力は、充電制御回路20に入力される。
【0031】
充電制御回路20は、コンバータ5による変換後の直流電力を蓄電手段17に充電する。具体的には、充電制御回路20は、充電電圧検出回路18の出力と充電電流検出回路19の出力とを検出することにより、蓄電手段17に対して、定電流充電、定電力充電、および、定電圧充電を行う。充電制御回路20は、蓄電手段17に充電するための直流電圧を生成する回路と、この出力電圧を制御する出力電圧制御回路とを備えて構成されている。
【0032】
充電制御回路20による蓄電手段17への充電は、以下の様に行われる。初めに、充電制御回路20は、キャパシタバンクの端子間電圧を充電電圧検出回路18の出力により検出し、キャパシタバンクの端子間電圧が、あらかじめ設定された電圧値より低い場合には、充電電圧検出回路18の電圧の検出を逐次行い、検出した充電電圧に対応するあらかじめ設定された電流値で定電流充電を行う。
【0033】
次に、充電制御回路20は、キャパシタバンクの端子間電圧が、あらかじめ設定された電圧値以上になると、定電力充電を行うためにキャパシタバンクの充電電流の検出と、キャパシタバンクの端子間電圧の検出とを逐次行ない、検出した充電電流と充電電圧とに対応するあらかじめ設定された電力値で定電力充電を行う。
【0034】
次に、充電制御回路20は、均等化回路から出力される、いずれかの単セル満充電信号を検出すると、再びあらかじめ設定された電流値で定電流充電を行う。なお、この定電流充電は前記した定電流充電より低い電流で充電を行う。最後に、充電制御回路20は、全てのキャパシタセルの満充電信号を検出すると、一定期間、あらかじめ設定された電圧値で定電圧充電または間欠定電流充電を行い、その後充電動作を停止する。
【0035】
なお、上述した充電は、画像形成動作を実施していない時等、電力的に余裕がある時に、画像形成装置制御部10から送信される充電指示信号21を充電制御回路20が受信することにより開始されるが、実際には、画像形成装置が画像形成動作を実行しておらず、電力的に余裕がある時に行われる。
【0036】
蓄電出力放電部22は、プロコン要因監視部14からの指示を受けて蓄電手段17の蓄電力を放電する。蓄電出力放電部22は、トランジスタで構成されており、蓄電手段17の出力は、トランジスタのエミッタに接続されている。そして、プロコン要因監視部14からの出力放電指示信号16がトランジスタのベースに入力されると、トランジスタがONし、蓄電手段17の放電電力がトランジスタのコレクタから出力される。
【0037】
定電圧生成回路23は、蓄電手段17からの放電電力を所定の直流電圧に変圧し、ダイオード24、25、26を介して、プロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、および、画像形成装置制御部10へそれぞれ供給する。これにより、画像形成装置は、プロコンを行うことができる。
【0038】
(画像形成方法)
次に、本実施の形態にかかる画像形成装置の動作について説明する。図2は、本実施の形態にかかる画像形成装置の画像形成方法を示すフローチャートである。
【0039】
初めに、プロコン要因監視部14は、プロコン制御部15から画像形成動作が終了した旨の通知を受領する(ステップS1)。次に、RTC13は、時間カウントを開始する(ステップS2)。
【0040】
次に、プロコン要因監視部14は、プロコン制御部15から画像形成動作が開始した旨の通知を受けたか否かを判断する(ステップS3)。プロコン要因監視部14は、プロコン制御部15から画像形成動作が開始した旨の通知を受けたと判断した場合(ステップS3:Yes)、ステップS1へ戻る。
【0041】
一方、プロコン要因監視部14は、プロコン制御部15から画像形成動作が開始した旨の通知を受けていないと判断した場合(ステップS3:No)、RTC13による時間カウントが所定の時間を経過したか否かを判断する(ステップS4)。ここで、所定の時間とは、あらかじめ設定した時間であるが、例えば、数時間程度の時間が設定される。プロコン要因監視部14は、RTC13による時間カウントが所定の時間を経過していないと判断した場合(ステップS4:No)、ステップS3へ戻る。
【0042】
一方、プロコン要因監視部14は、RTC13による時間カウントが所定の時間を経過したと判断した場合(ステップS4:Yes)、ACスイッチ1がOFFしているか、すなわち、商用交流電源2が画像形成装置に接続されているか否かを判断する(ステップS5)。
【0043】
プロコン要因監視部14は、ACスイッチ1がOFFしていないと判断した場合(ステップS5:No)、プロコン制御部15は、商用交流電源からの電力供給によりプロコンを実行する(ステップS6)。具体的には、プロコン要因監視部14は、電圧検知回路3が電圧を検知している場合、プロコン制御部15へ所定の時間を経過した旨の通知を送り、それを受領したプロコン制御部15は、プロコンを行う。その後、ステップS2へ戻り以下のステップを繰り返す。
【0044】
一方、プロコン要因監視部14は、ACスイッチ1がOFFしていると判断した場合、すなわち、電圧検知回路3が電圧を検知しない場合(ステップS5:Yes)、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられているか否かを判断する(ステップS7)。前述したように、プロコンを実行可能な電力量とは、プロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、および、画像形成装置制御部10がプロコン動作可能な電力量のことである。そして、プロコン要因監視部14は、充電電圧検出回路18から入力された蓄電手段17の充電電圧から、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられているか否かを判断する。
【0045】
プロコン要因監視部14は、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられていると判断した場合(ステップS7:Yes)、プロコン制御部15は、蓄電手段17からの蓄電力供給によりプロコンを実行する(ステップS8)。具体的には、プロコン要因監視部14が、蓄電出力放電部22に出力放電指示信号16を送信し、蓄電出力放電部22が蓄電手段17からの放電電力を定電圧生成回路23へ出力し、定電圧生成回路23が変圧した所定の直流電圧を、プロコン制御系負荷6、プロコン駆動系負荷7、および、画像形成装置制御部10へそれぞれ供給する。この結果、プロコンが行われる。その後、ステップS2へ戻り以下のステップを繰り返す。
【0046】
このように、プロコン要因監視部14は、RTC13による時間カウントが所定の時間を経過し、かつ、ACスイッチ1がOFFし、かつ、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられていると判断した場合に、蓄電出力放電部22に出力放電指示信号16を送信する。
【0047】
一方、プロコン要因監視部14は、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられていないと判断した場合(ステップS7:No)、処理を終了する。
【0048】
図3は、画像形成装置制御部10による制御シーケンスを示した図である。商用交流電源2が入力されている状態では、画像形成動作の終了後に0から時間がカウントされ、所定時間が未経過の段階で再度画像形成動作が行われると再度0から時間がカウントされる。そして、図示されていないが、所定時間が経過した段階で、商用交流電源2からの電力供給によりプロコンが実行される。
【0049】
また、商用交流電源2が入力されていない状態、すなわち、画像形成装置がシャットダウンしている状態でもカウントは継続する。そして、所定時間が経過した段階で蓄電手段17からの電力供給によりプロコンが実行される。プロコンの終了後に再度カウント0から時間がカウントされるが、本例では、既に蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられていないので次に所定時間が経過してもプロコンは実行されない。
【0050】
図4は、従来の画像形成装置と本実施の形態にかかる画像形成装置とにおけるACスイッチ1ON後の動作フローの違いを示す図である。図の方式AおよびBは、従来の画像形成装置の動作フローを示している。方式Aは、定着起動とプロコンを並行して行う方式である。プロコンを実行している間は、定着起動に必要な電力をプロコンに必要な電力分減らしているため、定着装置部の昇温効率が悪くなり、定着リロード終了までの時間が長くなっている。方式Bは、定着リロード後にプロコン行う方式である。定着リロード終了後に、プロコンを実行するため、プロコン実行終了後に、プリント動作が可能となるが、プリント動作が可能となるまでの時間は方式Aと変わらない。
【0051】
一方、図の方式Cは、本実施の形態にかかる画像形成装置の動作フローを示している。方式Cは、画像形成装置がシャットダウンしている状態でも継続的にプロコンが行われているので、ACスイッチ1をONしてもプロコンを実行する必要がない。このため、方式AおよびBに比べて、ACスイッチ1のONからプリント動作が可能となるまでの時間は、プロコン実行時間分だけ短縮することができる。
【0052】
このように、プロコンを実行可能な蓄電量がある場合は、主電源入力がOFFの間でも何度も蓄電手段17の蓄電力によりプロコンを行うことができるので、長期間電源入力がOFFであった状態から朝1番などに電源入力をONする場合でも、プロコンを行う必要がないので、プリント動作が可能となるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0053】
なお、本実施の形態では、電圧検知回路3は、ACスイッチ1の後段に設けられているが、ACスイッチ1がOFFの時には電圧が入力されない仕様であれば、ACスイッチ1の前段に設けられてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、プロコン要因監視部14は、RTC13による時間カウントが所定の時間を経過したと判断し、かつ、ACスイッチ1がOFFしていると判断し、かつ、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられていると判断した場合に、蓄電手段17からの放電電力を定電圧生成回路23へ出力するように蓄電出力放電部22を制御している。これに対し、プロコン要因監視部14は、RTC13による時間カウントが所定の時間を経過したと判断し、かつ、ACスイッチ1がOFFしていると判断した場合、蓄電手段17の電力量を確認せずに、蓄電手段17からの放電電力を定電圧生成回路23へ出力するように蓄電出力放電部22を制御するようにしてもよい。
【0055】
(変形例1)
本実施の形態では、主電源入力OFF時にプロコンを行う場合には、蓄電手段の蓄電力を画像形成装置制御部全体へ供給しているが、変形例1では、主電源入力OFF時にプロコンを行う場合には、蓄電手段の蓄電力を画像形成装置制御部のプロコン制御部のみに供給する。
【0056】
図5は、変形例1にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。変形例1では、コンバータ5から画像形成装置制御部10への電力供給が、プロコン制御部15と、それ以外との2系統に分かれている。さらに、定電圧生成回路23からの電力供給が、画像形成装置制御部10全体ではなく、プロコン制御部15だけとなっている。なお、その他の構成については、本実施の形態にかかる画像形成装置と同じである。
【0057】
従って、プロコン制御部15には、商用交流電源2からの電力と、蓄電手段17からの電力とが供給されるが、プロコン制御部15以外の画像形成装置制御部10には、商用交流電源2からの電力だけが供給される。
【0058】
このような構成をとることにより、画像形成装置に商用交流電源2から電力が供給されている間は、画像形成装置制御部10全体に電力が供給されるが、画像形成装置に商用交流電源2から電力が供給されていない状態でプロコンを行う場合(図2のステップS8の場合)には、蓄電手段17からの電力はプロコン制御部15にしか供給されない。
【0059】
このように、主電源入力OFF時におけるプロコン時において、プロコン動作に最小限必要な電力のみを画像形成装置制御部10へ供給することができるので、蓄電手段17からの電力供給量を削減し、蓄電手段17の電力を有効活用することが可能となる。
【0060】
(変形例2)
変形例2では、プロコン要因監視部14の機能を無効にするスイッチがさらに備えられ、状況に応じてプロコンの実施を制限することができる。図6は、変形例2にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。変形例2では、プロコン要因監視部14と充電電圧検出回路18の間に、切替えスイッチ27が備えられている。なお、その他の構成については、本実施の形態にかかる画像形成装置と同じである。
【0061】
切替えスイッチ27がONとなっている場合、プロコン要因監視部14の機能は有効であるので、変形例2にかかる画像形成装置は本実施の形態にかかる画像形成装置と全く同じに動作する。しかし、切替えスイッチ27がOFFとなっている場合、プロコン要因監視部14は充電電圧検出回路18から蓄電手段17の充電電圧を知ることができず、常に、蓄電手段17にプロコンを実行可能な電力量が蓄えられていないと判断する(図2のステップS7で、常にNoと判断する)。従って、プロコン要因監視部14の機能は無効となり、プロコン制御部15によるプロコンは実行されない。
【0062】
これにより、蓄電手段17の蓄電力で行うプロコン動作を、必要に応じて制限することができる。例えば、画像形成装置の搬送時には切替えスイッチ27をOFFにした状態で搬送を行うことにより、搬送中にプロコンが実行されることを防止することができるので、安全性を確保することが可能となる。
【0063】
なお、切替えスイッチ27を、プロコン要因監視部14と充電電圧検出回路18の間ではなく、プロコン要因監視部14と電圧検知回路3の間、又は、プロコン要因監視部14とRTC13の間に備えても、同様に、プロコン制御部15によるプロコンの実施を制限することができる。
【0064】
また、切替えスイッチ27を、プロコン要因監視部14と蓄電出力放電部22の間に備えた場合は、プロコン要因監視部14の機能は有効の状態であるが、蓄電出力放電部22が出力放電指示信号16を受信することができないので、同様に、プロコン制御部15によるプロコンの実施を制限することができる。
【0065】
また、画像形成装置の操作部(図示せず)からプロコン要因監視部14の機能の有効又は無効を設定できるようにし、その情報を画像形成装置のコントローラ部11に記憶させて、プロコン要因監視部14の機能を切り替えるようにしてもよい。
【0066】
(変形例3)
変形例3では、プロコン要因監視部14に蓄電手段17からの蓄電力供給を制限するトランジスタがさらに備えられ、プロコン要因監視部14への蓄電力供給を制限し、プロコン要因監視部14への電力供給を切り替えることができる。
【0067】
図7は、変形例3にかかる画像形成装置の電力供給を示す機能図である。変形例3では、蓄電手段17とプロコン要因監視部14の間に、トランジスタ28が備えられている。そして、蓄電手段17の出力がトランジスタ28のエミッタ、電圧検知回路3の出力がトランジスタ28のベースにそれぞれ入力され、トランジスタ28のコレクタがプロコン要因監視部14へ入力されている。なお、その他の構成については、本実施の形態にかかる画像形成装置と同じである。
【0068】
従って、ACスイッチ1がONしており、電圧検知回路3が電圧を検知している間は、トランジスタ28はOFFしており、プロコン要因監視部14へ蓄電手段17の蓄電力は供給されない。しかし、ACスイッチ1がOFFし、電圧検知回路3が電圧を検知しなくなると、トランジスタ28がONし、蓄電手段17の蓄電力がトランジスタ28のコレクタからプロコン要因監視部14へ供給される。
【0069】
このように、プロコン要因監視部14への電力供給を、商用交流電源2が入力されている場合は商用交流電源2からの供給、商用交流電源2が入力されていない場合は蓄電手段17からの供給と切り替えることができるので、蓄電手段17の蓄電力の無駄な消費を削減し、蓄電力を有効活用することが可能となる。
【0070】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置によれば、プロコン要因監視部が、商用交流電源からの電力供給が無いと判断し、かつ、画像形成動作終了後の経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、蓄電手段の蓄電力をプロコン制御手段へ出力させることができるので、商用電源のOFF中に蓄電手段の蓄電力を用いてプロコンを行うことができ、長期間電源入力がOFFであった状態から朝1番などに電源入力をONする場合でもプロコンを行う必要がないので、プリント動作が可能となるまでの時間を短縮することがが可能となる。
【0071】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 ACスイッチ
2 商用交流電源
3 電圧検知回路
4 整流平滑回路
5 コンバータ
6 プロコン制御系負荷
7 プロコン駆動系負荷
8 エンジン制御系負荷
9 エンジン駆動系負荷
10 画像形成装置制御部
11 コントローラ部
12 エンジン制御部
13 RTC(Real Time Clock)
14 プロコン要因監視部
15 プロコン制御部
16 出力放電指示信号
17 蓄電手段
18 充電電圧検出回路
19 充電電流検出回路
20 充電制御回路
21 充電指示信号
22 蓄電出力放電部
23 定電圧生成回路
24、25、26 ダイオード
27 切替えスイッチ
28 トランジスタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特許第4091243号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力供給の有無を検知する検知手段と、
画像形成動作終了後の経過時間を測定する測定手段と、
充放電が可能な蓄電手段と、
形成する画像の画質を調整するプロセスコントロールの実行を制御するプロセスコントロール制御手段と、
前記検知手段および前記測定手段の状態を監視し、前記電力供給が無いと判断し、かつ、前記画像形成動作終了後の経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、前記蓄電手段の蓄電力を前記プロセスコントロール制御手段へ出力させるプロセスコントロール要因監視手段と、を備えたこと、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記蓄電手段の蓄電量を検出する蓄電量検出手段をさらに備え、
前記プロセスコントロール要因監視手段は、前記蓄電量検出手段の状態をさらに監視し、前記電力供給が無いと判断し、かつ、前記画像形成動作終了後の経過時間が所定の時間を越えたと判断し、かつ、前記蓄電量が前記プロセスコントロールを実行可能な量であると判断した場合、前記蓄電手段の前記蓄電力を前記プロセスコントロール制御手段へ出力させること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記プロセスコントロール終了後の経過時間をさらに測定し、
前記プロセスコントロール要因監視手段は、前記電力供給が無いと判断し、かつ、前記プロセスコントロール終了後の経過時間が前記所定の時間を越えたと判断し、かつ、前記蓄電量が前記プロセスコントロールを実行可能な量であると判断した場合、前記蓄電手段の前記蓄電力を前記プロセスコントロール制御手段へ出力させること、
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄電手段は、前記プロセスコントロール要因監視手段へ前記蓄電力を出力すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記蓄電手段は、前記電源からの電力供給がない場合、前記プロセスコントロール要因監視手段へ前記蓄電力を出力すること、を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセスコントロール要因監視手段への前記蓄電力の供給を制御する供給制御手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記蓄電手段は、キャパシタを備えたこと、を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
プロセスコントロールを実行する実行手段をさらに備え
プロセスコントロール要因監視手段は、前記蓄電手段の蓄電力をさらに前記実行手段へ出力させること、
を特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセスコントロール制御手段の機能の無効と有効とを切り替える切替え手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
電源からの電力供給の有無を検知する検知ステップと、
画像形成動作終了後の経過時間を測定する測定ステップと、
充電を行う蓄電ステップと、
形成する画像の画質を調整するプロセスコントロールの実行を制御するプロセスコントロール制御ステップと、
前記検知ステップで前記電力供給が無いと判断し、かつ、前記測定ステップで前記経過時間が所定の時間を越えたと判断した場合、前記蓄電ステップでの蓄電力を前記プロセスコントロール制御ステップで使用させる蓄電力使用ステップと、を含むこと、
を特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−210667(P2010−210667A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53486(P2009−53486)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】