説明

画像形成装置および画像読取装置

【課題】複数あるインターフェースのうちの一部が使用可能性の低いものであっても,ユーザに不便を強いることが少ない画像形成装置および画像読取装置を提供すること。
【解決手段】MFP100は,画像形成部1および画像読取部2への給電状態を制御するモードとして,給電を停止する節電モードと,給電を実行する非節電モードとを有している。また,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けることが可能なインターフェースを複数有している。MFP100は,節電モード中,稼働中インターフェースについて使用可能性の高低を判断する。そして,使用可能性が低いと判断された場合には,非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つに給電を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,消費電力を抑える節電モードを有する画像形成装置および画像読取装置に関する。さらに詳細には,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けるインターフェースを複数有する画像形成装置および画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,プリンタやスキャナのような画像を扱う電子装置では,省電力化を実現するため,装置が使用されていない間,一部の機能を停止させて消費電力を抑える節電モードに移行するものがある。このような電子装置は,節電モードでの動作中,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けるインターフェース以外のインターフェースに対し,給電を行わない。
【0003】
例えば,特許文献1には,移行命令を受け付けるインターフェースを複数用意し,利用するインターフェースを,自動選択,ユーザ指定,使用頻度等によって選択し,選択されたインターフェース以外のインターフェースには給電を行わない印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−204209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の画像形成装置には,次のような問題があった。すなわち,特許文献1の印刷装置では,節電モードで動作中,移行命令を受け付けるインターフェースが使用可能性の低いものであった場合,ユーザに大きな不便を強いる。
【0006】
本発明は,前記した従来の画像形成装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,複数あるインターフェースのうちの一部が使用可能性の低いものであっても,ユーザに不便を強いることが少ない画像形成装置および画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成装置は,画像形成を行う画像形成部と,前記画像形成部への給電を停止する節電モードと,前記画像形成部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像形成給電部と,前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースについて,使用可能性の高低を判断する判断部と,前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つに給電を開始する変更処理を行う変更部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成装置は,画像形成部への給電状態を制御するモードとして,節電モードと非節電モードとを有している。また,節電モードから非節電モードに移行する移行命令を受け付けることが可能なインターフェースを複数有している。そして,本発明の画像形成装置では,稼働中インターフェースについて使用可能性の高低を判断する。使用可能性の高低は,例えば,通信状態,使用頻度によって判断できる。そして,使用可能性が低いと判断された場合には,非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つに給電を開始する。
【0009】
すなわち,稼働中インターフェースが不能状態の場合や,稼働中インターフェースが長期間使用されていない場合など,稼働中インターフェースの使用可能性が低い状況では,移行命令の入力が困難になり得る。そこで,本発明の画像形成装置では,このような状況に陥ったと判断した場合に,非稼働中インターフェースの少なくとも1つに給電を開始し,他のインターフェースを稼働中インターフェースに変更する。これにより,稼働中インターフェースの使用可能性が高まり,その結果として利便性の向上が期待できる。
【0010】
また,本発明の画像形成装置の変更部は,前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,前記判断部での判断対象となった稼働中インターフェースへの給電を停止するとよい。使用可能性が低いインターフェースについては,給電を継続しても無駄になる可能性が高い。一方で,そのようなインターフェースについては,給電を停止してもユーザの不利益は少ない。そのため,給電を停止する方が好ましい。
【0011】
また,本発明の画像形成装置の判断部は,稼働中インターフェースが使用不能状態である場合には,使用可能性が低いと判断するとよい。使用不能状態である場合には,その稼働中インターフェースを使用することができない。そのため,使用可能性が低いと判断することが好ましい。
【0012】
また,上記の画像形成装置は,前記変更処理を実行した後,前記判断部にて使用不能状態と判断されたインターフェースが使用可能状態になったか否かを診断する診断部と,前記検査部にてインターフェースが使用可能状態になったと診断された場合に,前記変更処理によって給電が開始されたインターフェースへの給電を停止する第2変更部とを備えるとよい。元々稼働中インターフェースであったインターフェースが使用可能状態に回復した場合には,当初の状態に戻す方が望ましい。
【0013】
また,本発明の画像形成装置は,前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,給電を開始する非稼働中インターフェースをユーザに選択させる選択部を備え,前記変更部は,前記選択部によって選択された非稼働中インターフェースに給電を開始するとよい。この構成のようにユーザに選択の機会を与えることで,よりユーザの利便性に合致する可能性が高まる。
【0014】
また,本発明の画像形成装置の変更部は,使用不能状態の非稼働中インターフェースを,給電を開始する対象としないとよい。使用不能状態のインターフェースに給電を行っても移行命令を受信できない。そのため,そのようなインターフェースは稼働中インターフェースとしない方が好ましい。
【0015】
また,本発明の画像形成装置の判断部は,稼働中インターフェースの不使用状態の継続時間が閾値時間以上である場合には,使用可能性が低いと判断するとよい。不使用状態が長い時間継続しているインターフェースについては,使用可能性が低いと判断してもユーザの不利益は少ない。
【0016】
また,本発明は,画像読取を行う画像読取部と,前記画像読取部への給電を停止する節電モードと,前記画像読取部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像読取給電部と,前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースについて,使用可能性の高低を判断する判断部と,前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つに給電を開始する変更処理を行う変更部とを備えることを特徴とする画像読取装置を含んでいる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば,複数あるインターフェースのうちの一部が使用可能性の低いものであっても,ユーザに不便を強いることが少ない画像形成装置および画像読取装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態にかかるMFPの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】給電制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の形態にかかる節電処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】稼働するインターフェースの選択画面を示す図である。
【図6】第2の形態にかかる節電処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】インターフェースごとに対応付けられた閾値時間および変更先を記憶するデータベースの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下,本発明にかかる装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,消費電力を抑える節電モードを有する複合機(MFP:Multi Function Peripheral )に本発明を適用したものである。
【0020】
[MFPの構成]
本形態のMFP100は,図1に示すように,用紙に画像を印刷する画像形成部1と,原稿の画像を読み取る画像読取部2とを備えている。画像形成部1の画像形成方式は,電子写真方式であっても,インクジェット方式であってもよい。また,カラー画像の形成が可能であっても,モノクロ画像の形成のみが可能であってもよい。
【0021】
また,MFP100は,その前面側に,各種のボタン(例えば,スタートキー,ストップキー,テンキーの各ボタン)によって構成されるボタン群41,液晶ディスプレイからなる表示部42を備えた操作パネル40を備えている。このボタン群41や表示部42により,動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
【0022】
また,MFP100は,外部からの信号を受信する各種のインターフェースがある。MFP100は,節電モードで動作中にインターフェースを介して移行命令を受け付けると,給電に関するモードが節電モードからレディモード(非節電モードの一例)に切り替えられる。なお,操作パネル40を操作することによっても節電モードを解除できる。すなわち,操作パネル40についても,節電モードからレディモードに移行する移行命令を受け付け可能なインターフェースの1つである。各種インターフェースおよび各種モードについては後述する。
【0023】
[MFPの電気的構成]
続いて,MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は,図2に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を有している。
【0024】
制御部30は,画像形成部1と,画像読取部2と,操作パネル40と,各構成要素への給電状態を制御する給電制御系50と,ネットワークインターフェース61,FAXインターフェース62,無線通信インターフェース63,USBインターフェース64,プリンタインターフェース65等の,各種のインターフェースとに電気的に接続している。制御部30は,例えば,画像読取部2から画像データの信号を取得する。また,画像形成部1へ所望の画像を作成するための信号を出力する。また,ボタン群41に入力される各種ボタンの信号を受け付ける。また,表示部42に表示する内容の信号を出力する。
【0025】
ROM32は,MFP100を制御するための各種制御プログラムや画像処理プログラム,各種設定,初期値等を記憶している。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは画像読取部2で読み取った原稿の画像データや各種のインターフェースを介して送られてくる画像データを一時的に記憶する記憶領域として,利用される。NVRAM34は,不揮発性を有する記憶手段であって,各種設定や画像データ等を保存する記憶領域として利用される。
【0026】
CPU31は,MFP100における画像読取機能,画像形成機能等の各種機能を実現するための演算を実行し,制御の中枢となるものである。CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,MFP100の各構成要素を制御する。
【0027】
ネットワークインターフェース61は,ネットワークに接続され,このネットワークインターフェース61を介して他の情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。また,FAXインターフェース62は,公衆回線に接続され,このFAXインターフェース62を介して外部のFAX装置等とのデータ通信を可能にしている。また,無線通信インターフェース63は,他の情報処理装置との無線通信を確立し,その情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。また,USBインターフェース64は,USBメモリや他の情報機器(カードリーダ等)と直接接続され,このUSBインターフェース64を介して情報機器等とのデータ通信を可能にしている。また,プリンタインターフェース65は,プリンタケーブルに接続され,このプリンタインターフェース65を介して他の情報処理装置とのデータ通信を可能にしている。
【0028】
[給電制御]
続いて,MFP100の給電制御について説明する。MFP100は,給電制御系50(画像形成給電部,画像読取給電部,インターフェース給電部,判断部,変更部,診断部,第2変更部の一例)として,図3に示すように,電源部51と,電源部51から供給される電力をMFP100の各種構成要素に分配するスイッチ回路52と,スイッチ回路52の各種スイッチの開閉を制御する給電制御部53とを有している。給電制御部53は,制御部30から独立して動作し,独自にCPUおよびメモリを備える。
【0029】
電源部51は,例えば商用電源あるいはバッテリと接続し,適切な電力に変換する回路で構成され,変換後の電力をMFP100の各種構成要素に供給する。スイッチ回路52は,給電制御部53から出力される命令に基づいて,MFP100の各種構成要素に給電するか否かを切り換える。具体的にMFP100には,画像形成部1や画像読取部2への電源系統,制御部30への電源系統,操作パネル40への電源系統,各種インターフェースへの電源系統の,各種の電源系統がある。スイッチ回路52は,各電源系統への給電のオンオフを切り換える。
【0030】
ここで,給電制御系50が有するモードについて説明する。給電制御系50は,画像の読み取りや印刷が可能なレディモードと,画像の読み取りや印刷が不可能となる節電モードとを有している。
【0031】
具体的に,レディモードでは,画像形成部1,画像読取部2,制御部30,操作パネル40,各インターフェース61〜65の全てに給電が行われ,印刷動作やスキャン動作が可能になる。一方,節電モードでは,画像形成部1および画像読取部2への給電が停止する。すなわち,印刷および読み取りが不可能になる。
【0032】
給電制御系50は,起動直後はレディモードで動作する。そして,印刷も読み取りもユーザ操作もなく,MFP100の不使用状態が継続している連続時間(以下,「不使用時間」とする)が所定時間以上となった場合,あるいは節電モードに強制移行する強制移行命令が入力された場合,レディモードから節電モードに移行する。
【0033】
また,給電制御系50は,節電モードに移行しても給電を継続するインターフェース(操作パネルを含む)の設定を,給電制御部53のメモリ530に記憶している。インターフェースの設定は,レディモード中にユーザ操作によって指定される。また,指定されるインターフェースは,1つであっても複数であってもよい。なお,移行命令の受け付け不能状態を回避するため,少なくとも1つのインターフェースが指定される。
【0034】
また,給電制御系50は,節電モード中,レディモードに移行するための移行命令を受け付ける。なお,給電制御系50は,節電モードへの移行の際,指定されたインターフェースへの給電を継続するものの,それ以外のインターフェースへの給電を停止する。このことから,指定されたインターフェースのみ移行命令を受け付け可能な状態になる。給電制御系50は,給電が継続しているインターフェースを介して移行命令を受け付けると,節電モードからレディモードに復帰する。移行命令としては,例えば操作パネル40へのユーザ操作,他の情報処理装置からの移行命令に相当する信号の受信,情報機器の装着が該当する。また,他の情報処理装置からのジョブの受信であってもよい。
【0035】
なお,本形態の説明では,移行命令を受け付けることが可能なインターフェース(本形態では,操作パネル40および各インターフェース61〜65)を,「復帰用IF」とする。また,節電モード中,給電が継続している復帰用IFを「稼働中IF」とし,給電が停止している復帰用IFを「非稼働中IF」とする。
【0036】
給電制御部53は,モードが変更される度に,スイッチ回路52に対して各種電源系統への給電をオンオフする信号を入力する。なお,給電制御部53は,電源部51から直接給電され,節電モード中も常に動作する。そのため,節電モード中であってもスイッチ回路52を制御することができる。
【0037】
また,給電制御部53は,節電モード中,稼働中IFについて使用可能性が低いと判断すると,非稼働中IFのうちの少なくとも1つへの給電を開始し,使用可能性が低いと判断された稼働中IFへの給電を停止する。すなわち,使用可能性が低いと判断された稼働中IFを非稼働中IFに変更し,非稼働中IFのうちの何れかを稼働中IFに変更する。なお,給電を開始する非稼働中IFは,1つであっても複数であってもよい。
【0038】
[節電処理]
[第1の形態]
続いて,節電モードにおける給電先の変更動作を実現する節電処理(判断部,変更部,診断部,第2変更部の一例)の手順について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。節電処理は,節電モードへの移行条件を満たしたことを契機に,給電制御部53によって実行される。なお,節電モードへの移行条件としては,例えば不使用時間が所定時間以上となった場合が該当する。
【0039】
第1の形態の節電処理では,先ず,画像形成部1および画像読取部2への給電を停止する(S101)。具体的には,画像形成部1の電源系統に接続するスイッチおよび画像読取部2の電源系統に接続するスイッチをオフする。また,S101では,制御部30への給電も停止してよい。節電処理を実行する給電制御部53は,制御部30から独立して動作するため,制御部30への給電を停止しても節電処理は実行を継続する。また,節電モード中に稼働するインターフェースとして指定されていない復帰用IFへの給電も停止する(S102)。S101とS102とは逆順であってもよい。
【0040】
次に,稼働中IFが使用不能状態であるか否かを判断する(S103)(判断部の一例)。ここでいう使用不能には,断線等による不通状態や故障の他,無線通信における電波受信が不安定な状態など,通信が不完全な状態も含まれる。また,稼働中IFが複数ある場合には,全ての稼働中IFが不能状態であるか否かを判断してもよいし,そのうち1つでも不能状態であるか否かを判断してもよい。
【0041】
稼働中IFが使用不能状態と判断された場合には(S103:YES),図5に示すように操作パネル40の表示部42に非稼働中IFを列挙し,給電を再開する非稼働中IFをユーザに問い合わせる(S104)(選択部の一例)。図5は,ネットワークインターフェース61が稼働中IFであり,ネットワークインターフェース61が使用不能状態と判断された場合に表示される選択画面を示している。ネットワークインターフェース61は変更元であるため,選択画面に選択肢として表示されない。問い合わせ手段としては,操作パネル40への選択画面の表示の他,外部装置に選択画面を表示させてもよく,あらかじめ表示先を指定しておいてもよい。また,操作パネル40が不能であった場合に,選択画面の表示を代替する表示先を指定しておいてもよい。また,S104の段階で操作パネル40が稼働中IFになっていない場合には,一時的に操作パネル40への給電を再開し,ユーザによる非稼働中IFの選択後は給電を停止する。
【0042】
S104にて選択結果が入力された後,選択された復帰用IFが使用可能か否かを判断する(S105)。選択された復帰用IFが使用不可の場合(S105:NO),S104に戻り,非稼働中IFの選択をやり直す。すなわち,使用不能状態のインターフェースに給電を行っても移行命令を受信できないため,そのようなインターフェースを稼働中IFとしないように,非稼働中IFの選択をやり直す。
【0043】
なお,復帰用IFが使用不能状態のケースとしては,S104の前の段階から使用不能状態と分かっていたケースと,S104の段階では分かっていなかったケースとがある。このうち,S104の前の段階から使用不能状態と分かっていた場合には,その復帰用IFをS104で選択できないようにしてもよい。
【0044】
選択された復帰用IFが使用可能状態の場合には(S105:YES),現在稼働中IFとなっている復帰用IFの情報を給電制御部53自身のメモリ530に記憶する(S106)。そして,稼働中IFを変更する(S107)(変更部の一例)。すなわち,不能状態と判断された稼働中IFへの給電を停止して非稼働中IFとし,S104で選択された非稼働中IFへの給電を再開して稼働中IFとする。なお,稼働中IFへの給電停止と,復帰用IFへの給電再開とは,どちらを先に行ってもよいし,同時に行ってもよい。また,両インターフェースへの給電期間が重なってもよいし,重なっていなくてもよい。S107の後,S108に移行して移行命令の有無を判断する。
【0045】
S103の際,稼働中IFが使用可能状態と判断された場合には(S103:NO),給電制御部53自身のメモリ530に復帰用IFの情報,すなわち元々稼働中IFであった復帰用IFの情報が記憶されているか否かを判断する(S121)。復帰用IFの情報が記憶されていない場合には(S121:NO),S106での稼働中IFの変更は行われていないと判断できる。そのため,S108に移行し,移行命令の有無を判断する。
【0046】
復帰用IFの情報が記憶されている場合には(S121:YES),その記憶されている復帰用IF(以下,「元稼働中IF」とする)への給電を一時的に再開し,その元稼働中IFが使用可能状態か否かを判断する(S122)(診断部の一例)。元稼働中IFが使用不能状態の場合には(S122:NO),元稼働中IFへの給電を停止し,S108に移行して移行命令の有無を判断する。
【0047】
なお,元稼働中IFが使用不能状態のケースとしては,S122の前の段階から使用不能状態と分かっていたケースと,S122の段階では分かっていなかったケースとがある。このうち,S122の前の段階から使用不能状態と分かっていた場合には,S122を行わず,S108に移行してもよい。
【0048】
元稼働中IFが使用可能状態になっている場合には(S122:YES),元稼働中IFの使用状態が回復したと判断できる。そのため,稼働中IFの変更を行う(S123)(第2変更部の一例)。すなわち,S107にて稼働中IFに変更された復帰用IFへの給電を停止して非稼働中IFに戻し,S107にて非稼働中IFに変更された復帰用IF(元稼働中IF)への給電を再開して稼働中IFに戻す。S123の後,記憶されている復帰用IFの情報をメモリ530から消去する(S124)。S124の後,S108に移行して移行命令の有無を判断する。
【0049】
S108では,稼働中IFを介して移行命令を受け付けたか否かを判断する(S108)。移行命令を受け付けていない場合には(S108:NO),S103に移行し,稼働中IFの状態を再度判断する。一方,移行命令を受け付けていた場合には(S108:YES),画像形成部1,画像読取部2,制御部30および全復帰用IFへの給電を再開する(S109)。これにより,レディモードに移行する。S109の後,節電処理を終了する。
【0050】
第1の形態の節電処理では,節電モード中,稼働中IFが使用不能状態に陥っている場合,使用可能な他の非稼働中IFのうち少なくとも1つが稼働中IFに変更される。これにより,複数あるインターフェースのうちの一部が使用不能状態であっても,移行命令を受け付け可能なインターフェースを少なくとも1つ確保できる。
【0051】
なお,第1の形態では,稼働中IFを変更する際,使用不能状態と判断された稼働中IFへの給電を停止しているが,給電を継続してもよい。給電を継続する場合には,S122にて元稼働中IFの通信状態を確認する際に元稼働中IFへの給電をオンオフする制御が不要になる。一方,第1の形態のように給電を停止することで,無駄な電力消費を回避できる。
【0052】
[第2の形態]
[節電処理]
続いて,第2の形態の節電処理(判断部,変更部の一例)の手順について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。第2の形態では,不使用時間の長さに基づいて,稼働中IFの使用可能性の高低を判断する。この点,使用不能状態に基づいて稼働中IFの使用可能性の高低を判断する第1の形態と異なる。なお,以下の説明では,第1の形態と同じ処理については同じ符号を付し,説明を省略する。
【0053】
第2の形態の節電処理では,S101およびS102によって,画像形成部1,画像読取部2,および節電モード中に稼働するインターフェースとして指定されていないインターフェースへの給電を停止した後,不使用時間が閾値時間を経過したか否かを判断する(S203)(判断部の一例)。閾値時間の長さは,インターフェースの種類によって異なる。
【0054】
具体的に,給電制御部53は,図7に示すような復帰用IFごとに対応付けられた閾値時間および変更先を記憶するデータベース531を有している。そして,稼働中IFの種類に応じた閾値時間をデータベース531から読み出す。なお,変更先としては,変更元の復帰用IFよりも使用頻度が高いと想定される復帰用IFがあらかじめ登録される。データベース531に登録されている閾値時間および変更先は,固定値であっても可変値であってもよい。可変値の場合は,ユーザ入力によって変更されるものであってもよいし,各復帰用IFの使用頻度等に基づいて定期的に自動更新されるものであってもよい。
【0055】
また,閾値時間および変更先に「−」が記憶されている場合は,閾値時間が設定されていないことを意味する。つまり,本形態では,閾値時間が「−」となっている復帰用IFについては,不使用時間が閾値時間を経過することがなく,変更の対象とならない。
【0056】
不使用時間が閾値時間を経過していない場合には(S203:NO),S108に移行して移行命令の受け付けを判断する。なお,第2の形態では,不使用時間の長短を判断しており,通信状態は不問である。そのため,元稼働中IFの通信状態の判断は不要であり,第1の形態におけるS121〜S124は行わない。
【0057】
不使用時間が閾値時間を経過している場合には(S203:YES),閾値時間を経過した稼働中IFに対応する変更先の復帰用IFをデータベース531から取得する(S204)。そして,取得した復帰用IFが使用可能か否かを判断する(S105)。
【0058】
取得した復帰用IFが使用不可の場合には(S105:NO),S204に戻り,その復帰用IFに対応する変更先の復帰用IFを取得する(S204)。すなわち,変更先となる復帰用IFの決定をやり直す。
【0059】
一方,取得した復帰用IFが使用可能の場合には(S105:YES),その復帰用IFを稼働中IFとし,閾値時間が経過した稼働中IFを非稼働中IFに変更する(S107)(変更部の一例)。なお,第2の形態では,元稼働中IFを稼働中IFに戻すことは行わないため,稼働中IFの情報の記憶は不要であり,第1の形態におけるS106は行わない。その後は,S108に移行する。S108以降は,第1の形態と同じである。
【0060】
第2の形態の節電処理では,節電モード中,不使用状態が長期間継続している稼働中IFがある場合,使用可能性の高い他の非稼働中IFに稼働中IFが変更される。不使用状態が長いインターフェースについては,ユーザが使用する機会が少なく,そのインターフェースを日頃利用しないユーザの多くが不便を感じることが考えられる。そこで,より使用頻度が高い非稼働中IFを稼働中IFに変更することで,多くのユーザにとって使い勝手が良くなることが期待できる。
【0061】
なお,第2の形態では,稼働中IFの変更先をデータベース531から自動的に取得しているが,第1の形態のようにユーザに問い合わせてもよい。また,第1の形態では,稼働中IFの変更先をユーザに問い合わせているが,第2の形態のようにデータベース531から自動的に取得してもよい。
【0062】
また,第2の形態では,稼働中IFを変更した後の,変更先の稼働中IFの不使用時間の閾値となる閾値時間を,データベース531から取得しているが,共通のタイムアウト時間を1つ設定し,稼働中IFの種類に関係なくそのタイムアウト時間を閾値時間として利用してもよい。
【0063】
また,閾値時間に,節電モードへの移行条件となる所定時間よりも短い時間が登録されている場合には,節電モードへの移行後,直ぐにS204の条件が満たされる。移行命令が入力される可能性が極めて低い復帰用IFについては,例えば閾値時間に,節電モードへの移行条件となる所定時間よりも短い時間(例えば,「0」)を設定し,節電モードへの移行後,直ぐに変更するようにしてもよい。
【0064】
また,第2の形態では,不使用時間を,MFP100の不使用状態が継続している連続時間(すなわち,印刷やパネル操作等,MFP100が最後に使用されてからの経過時間)とし,その長さによって給電先の復帰用IFを変更しているが,これに限るものではない。例えば,レディモードから節電モードに切り替えられたことを条件として計時を開始し,その計時時間の長さによって,給電先の復帰用IFを変更してもよい。
【0065】
以上詳細に説明したように実施の形態のMFP100は,移行命令の受け付けが可能なインターフェースを複数有している。そして,MFP100は,節電モード中,稼働中IFについて使用可能性の高低を判断する。そして,使用可能性が低いと判断された場合には,非稼働中IFのうち少なくとも1つに給電を開始する。これにより,MFP100全体として稼働中IFの使用可能性が高まることが期待でき,その結果としてユーザの不便の軽減が期待できる。
【0066】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,MFPに限らず,プリンタ,コピー機,スキャナ,FAX装置等,画像形成機能あるいは画像読取機能を備えるものであれば適用可能である。
【0067】
また,実施の形態では,給電制御部53が全ての復帰用IFの給電管理を行っているが,これに限るものではない。例えば,復帰用IFごとに給電管理を行う専用基板を設けてもよい。この場合,稼働中IFであれば,その稼働中IFに対応する専用基板にも給電が行われ,移行命令の入力を監視する。一方,非稼働中IFであれば,その非稼働中IFに対応する専用基板への給電も停止する。そして,節電モード時は,稼働中IFおよびその専用基板以外の機器への給電は停止する。このとき,制御部30への給電も停止する。稼働中IFは,移行命令を受け付けると,制御部30を含む全機器への給電を再開する。
【0068】
また,実施の形態では,変更先の復帰用IFが稼働した後,それまで稼働中IFであった復帰用IFを非稼働中IFに変更しているが,必ずしも変更する必要はない。すなわち,稼働中のままとしても,新たな稼働中IFが追加されることで,MFP100全体として稼働中IFの使用可能性が高まるという効果は生じる。また,実施の形態では,給電先を変更した後,元稼働中IFへの通信が回復した場合に,変更前の給電状態に戻しているが,必ずしも戻す必要はない。
【0069】
また,実施の形態では,稼働中IFを変更する際,非稼働中IFのうちの1つを稼働中IFに切り替えているが,稼働中IFに変更する非稼働中IFの数は1つに限るものではない。すなわち,複数の非稼働中IFを稼働中IFに変更してもよい。稼働中IFの数を増やすことで,より利便性が向上する。
【0070】
また,実施の形態では,通信状態や不使用時間によって,稼働中IFの使用可能性の高低を判断しているが,判断材料はこれらに限るものではない。例えば,稼働中IFを介して接続する情報処理装置の台数であってもよい。この場合,例えば,情報処理装置の台数が少なくなるほど,使用可能性が低いと判断できる。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成部
2 画像読取部
30 制御部
40 操作パネル
51 電源部
52 スイッチ回路
53 給電制御部
61 ネットワークインターフェース
62 FAXインターフェース
63 無線通信インターフェース
64 USBインターフェース
65 プリンタインターフェース
100 MFP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成を行う画像形成部と,
前記画像形成部への給電を停止する節電モードと,前記画像形成部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像形成給電部と,
前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,
前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,
前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースについて,使用可能性の高低を判断する判断部と,
前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つに給電を開始する変更処理を行う変更部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において,
前記変更部は,前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,前記判断部での判断対象となった稼働中インターフェースへの給電を停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載する画像形成装置において,
前記判断部は,稼働中インターフェースが使用不能状態である場合には,使用可能性が低いと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成装置において,
前記変更処理を実行した後,前記判断部にて使用不能状態と判断されたインターフェースが使用可能状態になったか否かを診断する診断部と,
前記検査部にてインターフェースが使用可能状態になったと診断された場合に,前記変更処理によって給電が開始されたインターフェースへの給電を停止する第2変更部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,給電を開始する非稼働中インターフェースをユーザに選択させる選択部を備え,
前記変更部は,前記選択部によって選択された非稼働中インターフェースに給電を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記変更部は,使用不能状態の非稼働中インターフェースを,給電を開始する対象としないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成装置において,
前記判断部は,稼働中インターフェースの不使用状態の継続時間が閾値時間以上である場合には,使用可能性が低いと判断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像読取を行う画像読取部と,
前記画像読取部への給電を停止する節電モードと,前記画像読取部への給電を行う非節電モードとを有し,前記節電モードと前記非節電モードとを切り換える画像読取給電部と,
前記節電モードから前記非節電モードに移行する移行命令を受け付ける複数のインターフェースと,
前記インターフェースの少なくとも1つに給電を行うインターフェース給電部と,
前記インターフェース給電部から給電を受けているインターフェースである稼働中インターフェースについて,使用可能性の高低を判断する判断部と,
前記判断部にて使用可能性が低いと判断された場合に,前記稼働中インターフェース以外のインターフェースである非稼働中インターフェースのうち少なくとも1つに給電を開始する変更処理を行う変更部と,
を備えることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−232427(P2012−232427A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100805(P2011−100805)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】