説明

画像形成装置の操作装置及び画像形成装置

【課題】各入力キーの関連性を操作者に想起させやすく、かつ入力キーの押し間違いを防止する。
【解決手段】画像形成装置の操作パネル11に独立して操作できる4つ弧状の上側入力キー111、左側入力キー112、下側入力キー113、右側入力キー114を円環状に配置し、4つの入力キー111,112,113,114に囲まれた中央の領域内に各入力キー111,112,113,114の機能を示す文字124及び記号121,122,123を表示する。文字124及び記号121は操作パネル11に貼付されたシート部材に記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置の操作装置に係り、特に誤操作が少なく各入力キーの関連性が把握しやすい画像形成装置の操作装置及びこの操作装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、複写機能、印刷機能、ファクシミリ通信機能を併せ持つ複合機がある。このような画像形成装置の操作装置は、多数の入力キーとLCD(液晶ディスプレイ)のような表示部とを備え、各種設定を集約的に行うようになっている。
【0003】
このような操作装置として、上下左右方向に操作キーを配置したいわゆる「十字キー」を採用するものがある。図7(a)〜(e)及び図8(a)〜(d)は従来の入力装置を示す模式図である。図7(a)に示す操作装置210は、円盤状の入力キー211を配置し、入力キー211の4方向を押下することにより様々な操作を行えるようにしたものである。入力キー211には、操作内容として右方向にLCDに表示されたメニュー項目を承認する「OK」の文字212、上方向にメニュー項目を上下方向に移動させる「▲」の記号213、下方向に同じく下方向に移動させる「▼」の記号214、左方向にメニュー項目を上層に移動させる「リターン」の記号215が表示される。この操作装置210では、入力キー211は環状に一体に形成されており、各方向のスイッチを同時に押下することができない。
【0004】
図7(b)に示す操作装置220は、4方向に独立した長円形の入力キー221〜224を備え、右の入力キー221の近傍には「OK」の文字225、上の入力キー222には「▲」の記号226、左の入力キー223の近傍にはリターンの記号227,下の入力キー224には「▼」の記号228が表示されている。
【0005】
図7(c)に示す操作装置230は、4方向に独立した円形の入力キー231〜234を備え、図7(a)に示した例と同様の文字235、記号236,237,238を表示したものである。
【0006】
図7(d)に示す操作装置240は、4方向に配置され、各方向を示す記号が記された円形の入力キー241〜244の他に、メニューボタン245、エスケープボタン246、オーケーボタン247を配置したものである。
【0007】
更に、図7(e)に示す操作装置250は、4方向に配置され、各方向を示す記号が臥された円形の入力キー251〜254にこれらの方向指定ボタン251〜254の関係を示す模様255を表示したものである。
【0008】
図8(a)に示す操作装置260は、一体に形成され、4個所に上下左右領域を区分けする溝部261a〜261dが形成された環状入力キー261を配置しこれらの4方向で上下左右の方向を指定できるものとし、環状入力キーの中央にオーケーボタン262を配置すると共に、環状入力キー261の周囲にメニューボタン263、用紙/設定ボタン264、戻るボタン265、トリミングボタン266を配置したものである。
【0009】
図8(b)に示す操作装置270は、4個所に突起部271a〜271dを形成した環状入力キー271を配置し、入力キーの上側をジョブ、左側をユーティリティー、右側をセットアップ、下側をリセットを指定するものとし、環状入力キー271の近傍に文字272〜275を記載し、環状入力キー271の中央にOKボタン276を配置したものである。
【0010】
また、図8(c)に示す操作装置280は、上下方向を指定すると共に電話帳検索及び短縮を指定できる略長方形条の上下方向指定ボタン281を配置し、上下方向指定ボタン281の左右両側に左右方向と音量の増加、減少を指定する2つの入力キー282,283を配置する他、メニューボタン284、クリア/バックボタン285、OKボタン286を配置したものである。
【0011】
更に図8(d)に示す操作装置290は、環状に配置した4つの扇型形状の上下左右指定ボタン291〜294を配置視すると共に、戻るボタン295及びOKボタン296を配置したものである。
【0012】
このような十字ボタンを採用する操作装置を備える画像形成装置として特許文献1に示すものがある。この画像形成装置は、図操作パネルに上下、及び左右の対向キーを一体に備えた十字キーを設け、これらの十字キーの左右の矢印キーで画像形成の際の処理モードを選択し、上下の矢印キーで設定された処理モードの設定値を変更するものである。
【0013】
また、携帯電話の操作パネルとして、特許文献2に示すものがある。この操作装置は、三つの独立したダイヤル操作ボタンを菱形形状とし、このダイヤル操作ボタンの四隅裏面に各々独立したスイッチ要素を備え、上記ダイヤル操作ボタンの表面四隅に(1,2,3,4)と(5,6,7,8)と(9,0,#,*)との4つに区分けしたダイヤル番号と#*記号とを表示し、上記三つのダイヤル操作ボタンを操作面上に縦列させて配置したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した従来の操作装置にあっては、環状で一体のキーを備えるものにあっては複数のキーを1つのボタンで操作するため、押し間違いが起こりやすい他2つのスイッチを同時に押下することができずボタンの数以上の数の操作ができないという問題がある。また、ボタンを分離して配置したものにあっては操作者がキーの関連性を把握しにくいという問題がある
【0015】
そこで本発明は、各入力キーの関連性を操作者に想起させやすく、かつ入力キーの押し間違いを防止することができる画像形成装置の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明は、操作パネルに環状をもって配置され独立して操作できる複数の入力キーを備え、前記複数の入力キーに囲まれた領域内の各入力キーの近傍に各入力キーの機能を示す文字及び記号の少なくとも一方を含む表示がなされている弧を特徴とする画像装置の操作装置である。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1記載の画像形成装置の操作装置において、前記入力キーは、円環状に配置されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置の操作装置において、操作メニュー画面が表示される液晶表示装置の近傍に配置されてなることを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか記載画像形成装置の操作装置において、前記表示はシート状部材になされ、該シート状部材が前記操作パネルのうち少なくとも前記中央領域を含む領域に貼付されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明は、画像形成装置の操作装置において、前記複数の入力キーは、各入力キーが押下されたとき押下方向に抗する付勢力を付与する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のである。
【0021】
請求項6の発明は、請求項5記載の画像形成装置の操作装置において、前記付勢部材は、各入力キーに連結されたランナー部材であることを特徴とする。
【0022】
請求項7の発明は、請求項5記載の画像形成装置の操作装置において、前記付勢部材は、前記複数の入力キーに近接して配置された弾性部材であることを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明は、請求項1乃至7いずれか記載の操作装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る画像形成装置の操作装置によれば、各入力キーは環状に配置されているので各キーの関連性を操作者に想起させやすく、かつ独立して配置されているのでキーの押し間違いを防止することができる他、各入力キーの機能の説明は複数の入力キーに囲まれた中央領域内に表示されているので、この表示を変更するだけで操作装置を使用される国や地域に対応したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施対象となる機器、装置の一例である画像形成装置の斜視図である。
【図2】画像形成装置の概念的断面図である。
【図3】実施例に係る画像形成装置の操作パネルを示す平面図である。
【図4】実施例に係る操作装置の拡大平面図である。
【図5】操作装置の入力キーの構成を示す斜視図である。
【図6】操作装置の入力キーの他の構成を示す斜視図である。
【図7】従来の入力装置を示す模式図である。
【図8】従来の入力装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明では、画像形成装置の操作パネルに独立して操作できる4つ弧状の上側入力キー、左側入力キー、下側入力キー、右側入力キーを円環状に配置し、4つの入力キーに囲まれた中央の領域内に各入力キーの機能を示す文字及び記号を表示するものとしている。そして、前記文字及び記号は操作パネルに貼付されたシート部材に記載し、必要に応じて文字等を変更できるようにしている。
【実施例】
【0027】
以下実施例に係る画像形成装置について説明する。本例に係る画像形成装置は、コンピュータ等の上位装置からの指示に基づいて印刷を行うプリンタ装置、原稿を読み取るスキャナ装置、ファクシミリ装置、及びコピー装置として機能する複合機である。図1は本発明の実施対象となる機器、装置の一例である画像形成装置の斜視図、図2は同概念的断面図である。本例の画像形成装置は、電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成部1、原稿像を読み取る原稿読取部2、原稿を自動給紙する自動原稿給紙部(ADF)3、複数の給紙トレイ4a〜4dを備えて各種サイズの転写紙を給紙する転写紙給紙装置4、転写紙の両面に画像形成するときに片面画像形成済みの転写紙を一時的に収納して再給紙する両面用トレイ5、コピーやプリント済みの転写紙の排紙トレイ6等から構成してある。
【0028】
また画像形成部1等を内蔵する画像形成装置本体10の上部には本発明の実施例に係る操作装置を備える操作パネル11が設けてある。図中12は手差しトレイである。また画像形成部1は、現像装置13、感光体ドラム14、転写搬送手段15、定着装置16等を備え、転写紙給紙装置4あるいは手差しトレイ12から給紙した転写紙Pを搬送する転写紙搬送経路(図中矢印で示す)が形成してある。
【0029】
次に操作装置実施例に係る画像形成装置の操作装置に付いて説明する。図3は実施例に係る画像形成装置の操作パネルを示す平面図、図4は実施例に係る操作装置の拡大平面図である。操作パネル11は、図3に示すように、表面パネル20にファクシミリ送信用の宛先を直接入力する宛先指定キー21、ファクシミリ送信用の設定キー22、読取設定キー23、操作メニューや動作状態等を表示する液晶表示装置24、画像形成装置をスキャナ、ファクシミリ又はコピー装置として使用するときその機能を指定する機能指定キー25、数字や文字の入力用のテンキー26、スタートキー27、クリアストップキー28が配置されている他、本発明に係る操作装置100が配置されている。なお、表面パネル20の形状はこの例の形状に限ることなく設置される画像形成装置の操作部の形状に合わせて任意に変更することができる。
【0030】
操作装置100は、液晶表示装置24に表示されたメニュー項目を選択するものである。操作装置100は図4に示すように、図中上下左右の4方向に円鐶状に配置された4つの略弧状の入力キー111,112,113,114が円環状に配置されている。これらの各入力キー111,112,113,114の間にそれぞれ隙間115,116,117,118を隔てて配置されている。各入力キー111,112,113,114の裏側には公知のスイッチ素子が配置され、各入力キー111,112,113,114が押下されることにより各スイッチ素子が操作され画像形成装置は所定の動作をなす。また、各入力キー111,112,113,114は独立して操作できる他、複数の入力キーを同時に押下することにより予め定めた所定の動作をさせることができる。
【0031】
また、各入力キー111,112,113,114に囲まれた領域内には各入力キー111,112,113,114に近接して各入力キー111,112,113,114の押下により画像形成装置がなす機能を示す文字、記号が表示されている。本例では、上側入力キー111の下側には液晶表示装置24が表示するメニュー項目を上側に移動させることを示す「△」の記号121が、左側入力キー112の右側には同メニュー項目を元に戻すことを示す記号122が、下側入力キー113の上側には同メニュー項目を下側に移動させることを示す「▽」の記号123が、右側入力キー114の左側には選択されたメニュー項目を実行させることを示す「OK」の文字124が表示されている。なお、図中125は、この操作装置100がメニュー項目を選択することを示す「Menu」の文字である。これらの文字及び記号の表示は表面パネル20の表面に貼付されるシート部材に表示するものとしており、表示する文字、記号を出荷対象となる国、地域で使用される言語等で表示したものを貼付すれば、各国、地域向けの操作パネルとすることができる。
【0032】
本例では、各入力キー111,112,113,114を押下動作に対して付勢力を与えるようにしている。図5は操作装置の入力キーの構成を示す斜視図である。各入力キー111,112,113,114は、各入力キー111,112,113,114よりやや大きい基部131,132,133,134と一体に形成され、各基部131,132,133,134は、内側に伸びるランナー(枝部材)135,136,137,138で操作パネル11の基部に配置固定された中央部139において連結されている。この例では、入力キー111,112,113,114、基部131,132,133,134、ランナー135,136,137,138、及び中央部139は弾性を備えた合成樹脂で一体に形成され、ランナー135,136,137,138はこの一体成型時に合成樹脂の通り道となる。この構成により、入力キー111,112,113,114が押下されたとき、ランナー135,136,137,138の弾性力で反押下方向に付勢され、押下が終了したとき押下前の位置に復帰する。
【0033】
図6は操作装置の入力キーの他の構成を示す斜視図である。本例では各入力キー111,112,113,114は、弾性部素材例えば合成ゴムで構成された円盤部材140に接触するように配置されている。本例でも、入力キー111,112,113,114が押下されたとき、円盤部材140の弾性力で反押下方向に付勢され、押下が終了したとき押下前の位置に復帰する。
【0034】
以上説明したように、本例に係る画像形成装置の操作装置によれば、各入力キーは環状に配置されているので各キーの関連性を操作者に想起させやすく、かつ各入力キーは独立しているので入力キーの押し間違いを防止することができる他、各入力キーの機能の説明は複数の入力キーに囲まれた中央領域内に表示されているので、この表示を変更するだけで操作装置を使用される国や地域に対応したものとすることができる。
【0035】
なお、前記各例では、入力キーは4つとし、円環状に配置した場合を示したが、入力キーは3乃至5以上としてもよいし、また入力キーの配置状態は円環状に限らず多角形をなす環状としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 画像形成部
2 原稿読取部
3 自動原稿給紙部(ADF)
4 転写紙給紙装置
4a〜4d 給紙トレイ
5 両面用トレイ
6 排紙トレイ
10 画像形成装置本体
11 操作パネル
12 手差しトレイ
13 現像装置
14 感光体ドラム
15 転写搬送手段
16 定着装置
20 表面パネル
21 宛先指定キー
22 設定キー
23 読取設定キー
24 液晶表示装置
27 スタートキー
28 クリアストップキー
100 操作装置
111 上側入力キー
112 左側入力キー
113 下側入力キー
114 右側入力キー
115,116,117,118 隙間
121 記号
122 記号
123 記号
124 文字
131,132,133,134 基部
135,136,137,138 ランナー
139 中央部
140 円盤部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2003−107963公報
【特許文献2】国際公開番号 WO00/65806公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルに環状をもって配置され独立して操作可能な複数の入力キーを備え、前記複数の入力キーに囲まれた領域内の各入力キーの近傍に各入力キーの機能を示す文字及び記号の少なくとも一方を含む表示がなされていることを特徴とする画像装置の操作装置。
【請求項2】
前記入力キーは、円環状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の操作装置。
【請求項3】
操作メニュー画面が表示される液晶表示装置の近傍に配置されてなることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置の操作装置。
【請求項4】
前記表示はシート状部材になされ、該シート状部材が前記操作パネルのうち少なくとも前記中央領域を含む領域に貼付されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の画像形成装置の操作装置。
【請求項5】
前記複数の入力キーは、各入力キーが押下されたとき押下方向に抗する付勢力を付与する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の画像形成装置の操作装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、各入力キーに連結されたランナー部材であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置の操作装置。
【請求項7】
前記付勢部材は、前記複数の入力キーに近接して配置された弾性部材であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置の操作装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか記載の操作装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−166105(P2010−166105A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4192(P2009−4192)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】