説明

画像形成装置の操作部保持機構、画像形成装置

【課題】画像形成装置の操作部のハーネスを効率良くはいまわすことができる操作部保持機構を提供する。
【解決手段】操作部2のチルト機構は、装置本体4側に設けられ、回動中心となる軸により中間ヒンジ7を回動可能に保持し、操作部2に設けたヒンジ10と中間ヒンジ7の中空軸部9a、9bの嵌合により中間ヒンジ7も回動可能に保持し、全体として画像形成装置1に対して操作部2は上下方向、左右方向に自由に回動可能とする。回動中心となる軸は中空で、操作部2の信号伝達用のハーネス20を通すことができる、構造が一定になることで、操作部2のハーネス20を前記のように通すとハーネス20の経路長を一定にすることが可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置に用いられる操作部はアプライアンス性向上のためチルト機構を備えたものがある。操作部には信号ハーネスが不可欠であり、チルト機構のヒンジ部では、操作部をチルトした場合でも信号ハーネスが引っ張られたり、たるんだハーネスがヒンジ部の回動を妨げない様、ハーネスのたるみを吸収するスペースを設けたものが既に知られている。
【0003】
しかし、従来の操作部の構成では、ハーネスのたるみを吸収するスペースを必要とする問題があった。特許文献1には、操作部の視認性を向上する目的で、操作部を回動可能に保持する構成が開示されている。しかし、操作部のハーネスのたるみを吸収するスペースが必要という問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、操作部のハーネスを効率良く這い回すことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置の操作部保持機構のうち請求項1に係るものは、画像形成部の操作部とを回動可能に保持した画像形成装置の操作部保持機構において、前記操作部の回動中心に回動の軸線に沿って中空部を設けてなることを特徴とする。
【0006】
同請求項2に係るものは、請求項1の画像形成装置の操作部保持機構において、前記操作部の信号伝達ハーネスを前記中空部を通し、該信号伝達ハーネスの経路長を一定とすることを特徴とする。
【0007】
同請求項3に係るものは、請求項1の画像形成装置の操作部保持機構において、
前記操作部の回動中心の前記中空部をなす一対の部材にそれぞれ切り欠きを設けたことを特徴とする。
【0008】
同請求項4に係るものは、請求項3の画像形成装置の操作部保持機構において、前記一対の部材の切り欠きの位置を、該一対の部材の通常の回動領域では一致することのないように配置したことを特徴とする。
【0009】
同請求項5に係るものは、画像形成部の操作部とを回動可能に保持した画像形成装置の操作部保持機構において、前記操作部に前記回動を可能にするためのヒンジを備え、前記前記操作部の信号伝達ハーネスを通す中間ヒンジには、前記操作部を回動可能にするために前記操作部の回動中心に回動の軸線に沿って中空穴を設け、前記中間ヒンジの前記中空穴に嵌合して前記操作部の回動の軸線を構成する画像形成装置本体側の部材に中空軸を設け、前記中間ヒンジの前記中空穴の縁部の一部を切り欠き、前記画像形成装置本体側の部材の前記中空軸を設ける中空穴の一部を切り欠き、前記一対の切り欠きの位置を、該一対の部材の通常の回動領域では一致することのないように配置したことを特徴とする。
【0010】
同請求項6に係るものは、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置の操作部保持機を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置の操作部のハーネスを効率良くはいまわすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、画像形成装置の操作部保持機構、具体的な例で言えば画像形成装置の操作部チルト機構における、ハーネスの這い回しに際して、操作部の回動中心上にハーネスをはいまわすようにして、操作部を回動させた際にもハーネス経路長を変化させることなくハーネスをはいまわすことができるようにするものである。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、画像形成装置1(どのようなものでも本発明を適用できるので、具体的な図示は省略する)に回動可能に設ける操作部2の二軸チルトのヒンジ機構について説明する斜視図である。
【0015】
図中3は画像形成装置本体4側に設けた板状の保持部材で、操作部2を設ける側に向く先端側に、操作部2を回動可能に保持するための切り欠き開口5を備えている。切り欠き開口5には図1(A)で示すように外ネジ付きの貫通軸6を設けてある。
【0016】
また操作部2と保持部材3の間に介在する中間ヒンジ7は、保持部材3に対して取り付けるためのベロ状の突片部7aを備え、該部分に切り欠き開口8を形成してある。
さらに中間ヒンジ7は、チャンネル状に曲折した部分7bを有し、両端のフランジ部7cには、操作部7に設けた一対のヒンジへ回転可能に取り付けるための中空軸部9a、9bが同一の向き(図示の例では左側に)向けて設けてある。中空軸部9aはフランジ部7cの外側に突出し、図中右側の中空軸部9bはフランジ部7cの内側に突出している。
【0017】
また操作部2には、中間ヒンジ7を受け入れるためのヒンジ10、10がそれぞれ中空穴10aを備えて一対形成してあり、中空穴10aに中間ヒンジ7の中空軸部9a、9bを受け入れて貫通させるようにしてある。
【0018】
なお図中12はボルト、13はワッシャで、中間ヒンジ7の中空軸部9aや、保持部材3の外ネジ付きの貫通軸6を固定するように設けてある。
【0019】
この装置における操作部2のチルト機構としては、装置本体4側に設けられ、回動中心となる軸により中間ヒンジ7が回動可能に保持され、操作部2に設けられたヒンジ10、10と中間ヒンジ7の中空軸部9a、9bの嵌合により中間ヒンジ7も回動可能に保持され、全体として画像形成装置1に対して操作部2は上下方向、左右方向に自由に回動できるようになっており、さらに回動中心となる軸が中空になっていて、操作部2の信号伝達用のハーネス20を通すことができるようになっている。そして、構造が一定になることで、操作部2のハーネス20を前記のように通すとハーネス20の経路長を一定にすることが可能になっている。
【0020】
図1(B)は、ヒンジ部の切りかき形状について説明する図である。図1(B)は図1(A)の画像形成装置本体4側と保持部材3の中間ヒンジ部の嵌合部を拡大して示している。
【0021】
保持部材3の切り欠き開口5の切り欠き5aと、中間ヒンジ7の突片部7aに設けた切り欠き開口8とは、切り欠き5a、8a同士の位置が通常の中間ヒンジ7の回動領域では一致することのないように配置してある。
【0022】
図示の例では、組み合わせる際は、切り欠き5a、8aがそれぞれの切り欠き開口5、8の径方向で反対側に位置するように形成してある。切り欠き開口5の切り欠き5aには、中間ヒンジ7を回動可能に保持するために切り欠き開口8の縁を引っ掛けける突起5b、5bが一対設けててあり、いったん取り付けた中間ヒンジ7の突片部7aが容易に外れないようにしてある。なお図1(B)は、外ネジ付きの貫通軸6の図示は省略してある。またなお、装置本体4側の切りかきと、中間ヒンジの切り欠きは通常回動領域では一致することのない様に配置するとハーネス20がはさまったりし難く、装置本体4側での引っ掛けと、中間ヒンジ7側の切り欠き5は操作部2を装置本体4に組付けた状態においての通常の回動領域外に設けると円滑に回動しやすい。
【0023】
このような状態で、図1(A)に示すように、操作部2から導出された信号伝達用のハーネス20を、
・操作部2のヒンジ10の中空穴10aに取り付ける操作部2のボルト12の穴、ワッシャ13の穴、ヒンジ10の中空穴10aを通し、
・ついで中間ヒンジ7の中空軸部9aの穴、ボルト12の穴、ワッシャ13の穴、中間ヒンジ7の突片部7aの切り欠き開口8を通し、
・最後に、保持部材3の切り欠き開口5を通してコネクタ21に接続する。
【0024】
なお、各部のネジによる嵌合などはハーネス20を通した後のほうがやりやすいことはもちろんであるが、本発明の実施に当たってはこれに限定されず、途中まで組み立てた状態で通したり、完全に組み立てた後に通したりすることもできなくはない。
【符号の説明】
【0025】
1:画像形成装置
2:操作部
3:保持部材
4:装置本体
5:切り欠き開口
5a:切り欠き
5b:突起
6:貫通軸
7:中間ヒンジ
7a:突片部
7b:曲折した部分
7c:フランジ部
8:切り欠き開口
8a:切り欠き
9a、9b:中空軸部
10:ヒンジ
10a,10b:中空穴
12:ボルト
13:ワッシャ
20:ハーネス
21:コネクタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2007−127846号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部の操作部とを回動可能に保持した画像形成装置の操作部保持機構において、
前記操作部の回動中心に回動の軸線に沿って中空部を設けてなることを特徴とする画像形成装置の操作部保持機構。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置の操作部保持機構において、
前記操作部の信号伝達ハーネスを前記中空部を通し、該信号伝達ハーネスの経路長を一定とすることを特徴とする画像形成装置の操作部保持機構。
【請求項3】
請求項1の画像形成装置の操作部保持機構において、
前記操作部の回動中心の前記中空部をなす一対の部材にそれぞれ切り欠きを設けたことを特徴とする画像形成装置の操作部保持機構。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置の操作部保持機構において、
前記一対の部材の切り欠きの位置を、該一対の部材の通常の回動領域では一致することのないように配置したことを特徴とする画像形成装置の操作部保持機構。
【請求項5】
画像形成部の操作部とを回動可能に保持した画像形成装置の操作部保持機構において、
前記操作部に前記回動を可能にするためのヒンジを備え、
前記前記操作部の信号伝達ハーネスを通す中間ヒンジには、前記操作部を回動可能にするために前記操作部の回動中心に回動の軸線に沿って中空穴を設け、
前記中間ヒンジの前記中空穴に嵌合して前記操作部の回動の軸線を構成する画像形成装置本体側の部材に中空軸を設け、
前記中間ヒンジの前記中空穴の縁部の一部を切り欠き、
前記画像形成装置本体側の部材の前記中空軸を設ける中空穴の一部を切り欠き、
前記一対の切り欠きの位置を、該一対の部材の通常の回動領域では一致することのないように配置したことを特徴とする画像形成装置の操作部保持機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置の操作部保持機を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【公開番号】特開2011−186080(P2011−186080A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49747(P2010−49747)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】