説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】ギャップが広い状態で印刷中断を行うときにギャップを元に戻した後キャッピングを行うために一時的な印刷中断、印刷再開時の印刷速度の低下を招いている。
【解決手段】第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、キャリッジ3の移動路に対向する位置に用紙10が存在することを検出しているときには、第2のギャップにした状態でキャリッジ3を維持回復機構20側に移動させてキャップ31によるキャッピングを行わせ、キャリッジ3の移動路に対向する位置に用紙10が存在しないことを検出しているときには第1のギャップにした状態でキャリッジ3を維持回復機構20側に移動させてキャップ31によるキャッピングを行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプログラムに関し、特に液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置及びこの画像形成装置で使用されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置においては、ヘッドと被記録媒体(媒体搬送面)の間隔(ギャップ)が滴着弾位置精度に影響を与えることから、被記録媒体の厚みに応じてギャップを調整するギャップ調整機構(手段)を備えることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−255724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ギャップ調整手段を備えた場合、ヘッドをキャップでキャッピングするときには、ギャップを所定の距離にする必要がある。そのため、短時間の印刷中断でキャッピングを行うときにも、ギャップ調整及びキャッピング動作が必要である。また、印刷中断後の再開時にもアンキャッピング動作、ギャップ調整が必要となる。このように、短時間の印刷中断、印刷再開時にギャップ調整動作が必要になることから印刷速度が低下するという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、短時間の印刷中断、印刷再開時の印刷速度の低下を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出するヘッドと、
前記ヘッドが搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップを含む維持回復手段と、
前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップを、少なくとも、前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップが第1のギャップと、前記第1のギャップより広い第2のギャップとの間で調整するギャップ調整手段と、
前記キャリッジの移動路に対向する位置に前記被記録媒体が存在するか否かを検出する被記録媒体手段と、
前記第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジの移動路に対向する位置に前記被記録媒体が存在することを検出しているときには前記第2のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジの移動路に対向する位置に前記被記録媒体が存在しないことを検出しているときには前記第1のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせる
制御をする手段と、を備えている
構成とした。
【0009】
ここで、前記第2のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させたときには、所定時間経過後前記被記録媒体を排出する動作を行った後、前記第1のギャップに調整する構成とできる。
【0010】
この場合、前記所定時間経過後前記被記録媒体を排出する動作を行ったときには、その旨をユーザーに通知する構成とできる。
【0011】
本発明に係るプログラムは、
前記ヘッドが搭載されたキャリッジと、
被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップを含む維持回復手段と、
前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップを、少なくとも、前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップが第1のギャップと、前記第1のギャップより広い第2のギャップとの間で調整するギャップ調整手段と、を備える画像形成装置を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記キャリッジに対向する位置に前記被記録媒体が存在するか否かを検出する処理と、
前記第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジに対向する位置に前記被記録媒体が存在することを検出しているときには前記第2のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジに対向する位置に前記被記録媒体が存在しないことを検出しているときには前記第1のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせる
処理を行わせる
構成とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、被記録媒体検出手段がキャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在することを検出しているときには第2のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、被記録媒体検出手段がキャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在しないことを検出しているときには第1のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせる構成としたので、第2のギャップにあるときの短時間の印刷中断、印刷再開時の印刷速度の低下を抑えることができる。
【0013】
本発明に係るプログラムによれば、キャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在するか否かを検出する処理と、第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、被記録媒体検出手段がキャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在することを検出しているときには第2のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、被記録媒体検出手段がキャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在しないことを検出しているときには第1のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせる構成としたので、第2のギャップにあるときの短時間の印刷中断、印刷再開時の印刷速度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の要部平面説明図である。
【図2】同機構部の要部側面説明図である。
【図3】ギャップ調整手段の説明に供する斜視説明図である。
【図4】同装置の制御部を説明する概略ブロック説明図である。
【図5】本発明の第1実施形態における印刷中断処理の説明に供するフロー図である。
【図6】同じく用紙有無の検出処理の説明に供する説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態におけるキャッピング後の処理の説明に供するフロー図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置を含むネットワークシステムの説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明を適用する画像形成装置としてのインクジェット記録装置の概要について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同インクジェット記録装置の概略構成を示す平面説明図、図2は同じく要部側面説明図である。
このインクジェット記録装置は、左右の側板100L,100R間に横架した主ガイドロッド1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を摺動自在に保持し、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に渡したタイミングベルト8を介して主走査方向に移動走査する。
【0016】
このキャリッジ3には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド4y、4m、4c、4k(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0017】
記録ヘッド4を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0018】
一方、用紙10を搬送するために、用紙10を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ15によって帯電(電荷付与)される。なお、図2に示すように、搬送ローラ13に対向して用紙10を押さえ加圧コロ19が配設されている。また、キャリッジ3の用紙搬送方向上流側には用紙10を検知する用紙センサ71が配設されている。
【0019】
また、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0020】
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構(手段)21が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。
【0021】
なお、維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする4個のキャップ部材31、ノズル面を払拭するワイパ部材32、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける空吐出受け33などで構成されている。
【0022】
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板100L、100R間に、所定のパターン(位置識別部、目盛り、スリットなどともいう。以下「スリット」という。)を形成したエンコーダスケール23を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール23のスリットを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24を設け、これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)を構成している。
【0023】
また、搬送ローラ13の軸にはエンコーダスケール(コードホイール)25を取り付け、このエンコーダスケール25に形成したパターン(スリット)を検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26を設けて、これらのエンコーダスケール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)を構成している。
【0024】
このように構成したこの画像形成装置においては、図示しない給紙トレイから用紙が帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙を図示しない排紙トレイに排紙する。
【0025】
次に、記録ヘッド3と用紙搬送面を形成する搬送ベルト12との間のギャップを調整するギャップ調整手段について図3も参照して説明する。なお、図3は同ギャップ調整手段の説明に供する斜視説明図である。
ギャップ調整手段は、キャリッジ3の主走査方向への移動をガイドロッド1の昇降動作、すなわち、キャリッジ3の昇降動作に変換する手段としての変換機構50を有している。
【0026】
変換機構50は、上昇機構であり、キャリッジ3の主走査方向の一方側(図1参照)に配置した第1レバーであるギャップ上昇レバー52を有し、ギャップ上昇レバー52の端部にはギヤ53が取付けられ、ギヤ53に噛み合うギヤ54を有し、ギヤ54には回転部材55が取付けられている。一方、ガイドロッド1は、側板100L、100Rに対して昇降可能に配設され、端部に回転部材55に圧接される昇降部材(支持受け部材)56が設けられている。
【0027】
また、図示しないが、キャリッジ3の主走査方向の他方側(図1参照)に配置した第2レバーであるギャップ下降レバー51を有し、同様な下降機構としての変換機構50が設けられている。
【0028】
そして、ギャップを大きくする(広くする)ときには、キャリッジ3を、ギャップ上昇レバー52を押し込む方向(これを「主走査方向の第1の方向」とする)側に移動させて、ギャップ上昇レバー52を押し込むことによって、ギヤ54が回転されて回転部材55が図3で矢示方向に回転し、昇降部材56が同じく矢示方向に上昇することで、ガイドロッド1が上昇するので、キャリッジ3が搬送ベルト12の搬送面に対して上昇して、ギャップが大きくなる。
【0029】
また、ギャップを小さくする(狭くする)ときには、キャリッジ3を、ギャップ下降レバー51を押し込む方向(これを「主走査方向の第2の方向」とする)側に移動させて、ギャップ下降レバー51を押し込むことによって、同様にしてガイドロッド1が下降するので、キャリッジ3が搬送ベルト12の搬送面に対して下降して、ギャップが小さくなる。
【0030】
なお、昇降機構としての変換機構50は、下降機構でキャリッジ3を下降させてギャップを小さくするときには、上述したと逆方向に移動されてギャップ上昇レバー52は元の位置に戻り、同様に、下降機構としての変換機構50は、上昇機構でキャリッジ3を上昇させてギャップを大きくするときには、上述したと逆方向に移動されてギャップ下降レバー51は元の位置に戻る。
【0031】
また、キャリッジ3を下降させたときのギャップを第1のギャップとし、キャリッジ3を上昇させたときのギャップを第2のギャップとする。第2のギャップは、上述したように、第1のギャップよりも広い。
【0032】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部200は、この装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行する、本発明におけるキャリッジの移動制御(主走査モータ5の駆動制御)やギャップ調整制御、用紙の有無判別(検出)処理などを行う本発明に係るプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ204と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205を備えている。
【0033】
また、この制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F206と、記録ヘッド4を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部207と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ4及び副走査モータ16を駆動するためのモータ駆動部210と、帯電ローラ15にACバイアスを供給するACバイアス供給部212と、エンコーダセンサ24、26からの各検出信号、温度センサ、前述した用紙センサ71などの各種センサ(群)215からの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、この制御部200には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル214が接続されている。
【0034】
ここで、制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置(イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などでもよい。:ホスト)600側からの画像データ等をケーブル或いはネットを介してI/F206で受信する。
【0035】
そして、制御部200のCPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データをヘッド駆動制御部207からヘッドドライバ208に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0036】
印刷制御部207は、上述した画像データをシリアルデータでヘッドドライバ208に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッドドライバ208に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ208に対して出力する。
【0037】
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド4の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド47を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0038】
また、CPU201は、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ24からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ5に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ4を駆動する。同様に、ロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ26からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ16対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介しモータドライバを介して副走査モータ16を駆動する。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態に係る印刷中断時の処理について図5のフロー図及び図6の説明図を参照して説明する。
まず、第2のギャップにある状態(キャリッジ3が上昇している状態)で印刷が中断された場合に、用紙10の先端が用紙センサ71に到達しているか判別する(ステップS501、以下「S501」のように表記する。)。
【0040】
ここで、図6(a)に示すように、用紙10の先端が用紙センサ71に到達していない場ときには、キャリッジ3が維持回復機構20側に移動するときに進路の下方に用紙10がある可能性がなく、キャリッジ3を維持回復機構20側に移動してキャッピングを行うときにキャリッジ3が用紙10を擦る(干渉する)おそれがない。そこで、キャリッジ3を下降させて第1のギャップの状態にした後、キャリッジ3を維持回復機構20側に移動させてキャップ31によって記録ヘッド4のノズル面のキャッピングを行わせる(S507)。
【0041】
これに対し、図6(b)に示すように、用紙10の先端が用紙センサ71に到達しているときには、キャリッジ3が維持回復機構20側に移動するときに進路の下方に用紙10がある可能性がある。そこで、用紙10の後端が用紙センサ71を抜けているか否かを判別する(S502)。
【0042】
ここで、用紙10の後端が用紙センサ71を抜けているときには、用紙センサON(先端検知)から用紙センサOFF(後端検知)までの搬送距離を用紙長とし、また、用紙10の後端が用紙センサ71を抜けていないときには、プリンタドライバ601等から予め設定されている用紙長を用紙長とする(S503)。
【0043】
そして、図6(c)に示すように、用紙センサ71とキャリッジ3との間の距離Aと、用紙センサOFF(後端検知)後の移動量Bに用紙長Cを加えた距離とを比較し、A≧(B+C)か否かを判別する(S504)。
【0044】
このとき、A≧(B+C)であるときには、用紙10がキャリッジ3の下方にあると想定されるため、キャリッジ3を第1のギャップになる位置(通常位置)に戻してしまうと、キャリッジ3を維持回復機構20側に移動するときに記録ヘッド4が用紙10に擦る可能性があるため、キャリッジ3を第2のギャップの位置(これを「封筒位置」という。)のままにして、キャリッジ3を維持回復機構20側に移動させてキャップ31によって記録ヘッド4のノズル面のキャッピングを行わせる(S507)。
【0045】
これに対し、A≧(B+C)でないときには、用紙10がキャリッジ3の下方にあると想定されるため、キャリッジ3を第1のギャップになる位置(通常位置)に戻し(S506)、キャリッジ3を維持回復機構20側に移動させてキャップ31によって記録ヘッド4のノズル面のキャッピングを行わせる(S507)。
【0046】
このように、第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、被記録媒体検出手段がキャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在することを検出しているときには第2のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、被記録媒体検出手段がキャリッジに対向する位置に被記録媒体が存在しないことを検出しているときには第1のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせる構成とすることで、第2のギャップから第1のギャップにする動作を行なわないので、第2のギャップにあるときの短時間の印刷中断、印刷再開時の印刷速度の低下を抑えることができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態に係るキャッピング後の処理について図7のフロー図を参照して説明する。
前述した第1実施形態において、封筒位置(第2のギャップにある状態)でキャッピングを行った場合、記録ヘッド4とキャップ31との当接状態が完全ではないため、長時間放置されると、記録ヘッド4のノズルが乾燥することになり、次の印刷時の画質低下を招くことになる。
【0048】
そこで、封筒位置(第2のギャップにある状態)でキャッピングを行った場合には、まずキャッピングから予め定めた所定時間が経過したか否かを判別し(S701)、所定時間が経過したときには、用紙を排出する動作を行った後、キャリッジ3を下降させて第1のギャップの位置(通常位置)に変更する(S702)。
【0049】
そして、用紙を排出したことをユーザーに通知する(S703)。つまり、ユーザーにとっては意図的に排出したものではない用紙が排出されることになるので、その旨の通知を行う。
【0050】
このユーザーに対する通知は、装置の操作パネル214の表示部に表示し、あるいは、プリンタドライバ601に伝えてホスト600側で表示し、あるいは、電子メールを使用して所要の装置に表示するなど、一般的な表示方法を用いることができる。
【0051】
ここで、本発明に係る画像形成装置を含むネットワーク・システムについて図8の説明図を参照して説明する。
この画像形成装置を含むオフィス・フロアでのネットワーク・システム1010は、本発明に係る画像形成装置(以下「MFP」ともいう。)1012と、情報処理装置1014と、サーバ1026などがイーサネット(登録商標)などローカルエリア・ネットワーク(LAN)1028により相互接続されている。LAN1028は、ハブ1016により画像形成装置1012、サーバ1026、情報処理装置1014などを物理接続していて、媒体アクセス制御(MAC)アドレスおよびIPアドレスを使用した相互通信を行っている。
【0052】
ハブ1016は、さらにルータ1018に接続され、ルータ1018は、MFP1012および情報処理装置1014、サーバ1026をインターネット、ワイドエリア・ネットワーク(WAN)などの広域ネットワーク1020に接続している。
【0053】
広域ネットワーク1020には、POPサーバ1022が接続されていて、画像形成装置1012、情報処理装置1014、およびサーバ1026との間でSMTPプロトコルを使用した電子メールの伝送を可能としている。なお、広域ネットワーク1020には、図1に示す以外にも、ウェブ・サーバなどが接続されていても良い。また、POPサーバ1022は、ISPなどが提供するメール・サーバであっても良く、また、社内に設置された専用メール・サーバとして実装することもできる。
【0054】
画像形成装置1012は、ファクシミリ、コピー、プリンタ、ARDF(Auto Reverse Document Feeder)などの複合的な機能を提供しており、ユーザからの直接指令または情報処理装置14などのジョブ要求、公衆電話網1024から受信したファクシミリ・データを処理し、画像形成を行う。
【0055】
以上の印刷中断時の用紙の有無判別、ギャップ調整、キャリッジ移動、キャッピングなどの制御に係る処理は、ROM202に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができ、あるいは、記憶媒体に記憶して提供することができる。
【0056】
なお、第2のギャップにある状態で印刷中断を行うとき、キャリッジの移動路に対向する位置に被記録媒体が存在するか否かを検出し、被記録媒体検出手段がキャリッジの移動路に対向する位置に被記録媒体が存在することを検出しているときには、被記録媒体を引き戻す動作をした後、第1のギャップにした状態でキャリッジを維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせるようにすれば、キャリッジ(記録ヘッド)と用紙の干渉を防止することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ガイドロッド
2 キャリッジ
4、4k、4c、4m、4y 記録ヘッド
20 維持回復機構
50 上昇機構
51 ギャップ下降レバー
52 ギャップ上昇レバー
200 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するヘッドと、
前記ヘッドが搭載され、主走査方向に移動されるキャリッジと、
被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップを含む維持回復手段と、
前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップを、少なくとも、前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップが第1のギャップと、前記第1のギャップより広い第2のギャップとの間で調整するギャップ調整手段と、
前記キャリッジの移動路に対向する位置に前記被記録媒体が存在するか否かを検出する被記録媒体手段と、
前記第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジの移動路に対向する位置に前記被記録媒体が存在することを検出しているときには前記第2のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジの移動路に対向する位置に前記被記録媒体が存在しないことを検出しているときには前記第1のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させるキャッピングを行わせる
制御をする手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせたときには、所定時間経過後前記被記録媒体を排出する動作を行った後、前記第1のギャップに調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定時間経過後前記被記録媒体を排出する動作を行ったときには、その旨をユーザーに通知することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
液滴を吐出するヘッドと、
前記ヘッドが搭載されたキャリッジと、
被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップを含む維持回復手段と、
前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップを、少なくとも、前記ヘッドと前記被記録媒体との間のギャップが第1のギャップと、前記第1のギャップより広い第2のギャップとの間で調整するギャップ調整手段と、を備える画像形成装置を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
前記キャリッジに対向する位置に前記被記録媒体が存在するか否かを検出する処理と、
前記第2のギャップにある状態で印刷を中断するとき、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジに対向する位置に前記被記録媒体が存在することを検出しているときには前記第2のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせ、
前記被記録媒体検出手段が前記キャリッジに対向する位置に前記被記録媒体が存在しないことを検出しているときには前記第1のギャップにした状態で前記キャリッジを前記維持回復手段側に移動させてキャッピングを行わせる
処理を行わせる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−171268(P2012−171268A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36825(P2011−36825)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】