説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】像担持体と接触帯電部とのニップ部に帯電促進粒子を介在させて像担持体表面に電荷を注入する電荷注入帯電方式において、むらのない均一な帯電を施すことができ、また、像担持体と接触帯電部材との摩擦を低減して像担持体表面の電荷注入層の膜削れを抑制し、長期に渡って、安定した高品質の画像の出力が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1と接触帯電部材2との接触部に導電性粒子を介在させて像担持体1表面を帯電させる手段を有し、前記導電性粒子がシリコーンオイルによって処理された無機微粒子であり、前記導電性粒子におけるシリコーンオイルの遊離率が50〜85%である画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導電性を有する感光体等の静電潜像担持体の光導電性部分に電圧印加部材を接触させて電荷を担持させる電子写真方式の画像形成装置ならびにプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置である複写機、プリンタ、ファクシミリ等では、像担持体である感光体の表面に静電潜像を形成するのに先立って、その像担持体を色々な方法で均一に帯電させている。その帯電方法で主流となっているのは、コロナ放電を利用したものである。しかしながら、このコロナ放電によるものは放電時に多量のオゾンが発生すると共に、4〜10kV程度の高圧電源を必要とするという欠点があった。
また、コロナ放電による帯電装置の場合には、窒素酸化物(以下、「NOx」と称する。)などの放電生成物が生成され、それが画像形成に悪影響を与えてしまうということもあった。すなわち、帯電動作を開始させることにより放電が発生し、それによりNOxが形成されると、そのNOxが空気中の水分と反応して硝酸が生成されると共に、金属と反応して金属硝酸塩が生成される。その硝酸または硝酸塩が薄い膜になって像担持体の表面に付着すると、高湿環境下では画像が流れたような異常画像になる。これは硝酸や硝酸塩が吸湿することで低抵抗となり、像担持体の表面の静電潜像が壊れてしまうためである。
【0003】
そこで、近年ではコロナ放電による帯電器に代わる帯電装置として、接触帯電部材を感光体等の像担持体の表面に接触させた状態で帯電を行う接触帯電方式の帯電装置が実用化されてきている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このように接触帯電部材を感光体等の像担持体の表面に接触させた状態で帯電を行う接触帯電方式の帯電装置でも、その接触帯電部材から感光体への放電現象を利用して感光体を帯電させるため、帯電に必要とされる電圧は感光体の表面電位以上の値が必要である。そのため、放電時に微量ではあるが、やはりオゾンが発生するということがあった。そうかといって、オゾンの発生を抑えるために接触帯電部材に印加する電圧を小さくすれば、感光体上に高精細の潜像を形成するために必要な帯電電位に感光体を帯電することができなくなってしまう。
【0004】
そこで、前述のような空気中での放電を行わずに、感光体表面への電荷の直接注入により感光体を帯電する方法として電荷注入帯電方式が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この電荷注入帯電方式は、感光体の表面に、例えば樹脂中に酸化錫などの金属酸化物を分散させることにより、電荷注入層を形成し、該電荷注入層に帯電ローラや帯電ブラシ等の接触帯電部材により、直接電圧を印加し、電荷を注入して感光体を帯電するものである。この帯電方式は、放電を伴わないため、オゾンが発生しないというメリットや、低電力にすることができるという長所がある。
しかしながら、感光体の表面に設ける電荷注入層は、良好な画像形成のためにはその層厚はあまり厚くすることができず、5μm以下にしており、このため、接触帯電部材や現像部等で表面を擦られると電荷注入層が削られてしまい、感光体の耐久性の面で問題を生じていた(例えば、特許文献3参照。)。また、電荷注入層の金属酸化物の不均一分散等によって、感光体表面に帯電むらが発生しやすいという問題点があった。
【0005】
感光体表面に均一な帯電を施す方法として、電圧を印加した可撓性の接触帯電部材と感光体とがニップ部を形成し、接触帯電部材は感光体に対して速度差を持って移動し、少なくとも接触帯電部材と感光体とのニップ部に帯電促進粒子を担持し、該ニップ部において帯電促進粒子が接触帯電部材に印加する帯電極性とは逆の極性に摩擦帯電することを特徴とする帯電方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この帯電方法によると、感光体と接触帯電部材とのニップ部である帯電部に帯電阻害因子である絶縁性の物質が介在していたり、接触帯電部材がそのような絶縁性の物質で汚染されている場合でも、帯電促進粒子を介して接触帯電部材の感光体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期にわたり安定して維持させることができ、均一な帯電性を与えることができるとされているが、未だ十分なものではない。また、本発明者らの検討では、上記の帯電方法で用いられる帯電手段では、感光体表面の電荷注入層の摩耗が顕著であり、耐久性に課題があることが判明している。
【0006】
接触帯電部材の表面層の摩擦係数を低下させる目的で、あらかじめ、シリコーンオイルを帯電ローラ表面層に添加することが提案されている(例えば、特許文献5。)。これにより、帯電ローラ表面へのトナー付着も防止できると記載されている。しかしながら、帯電ローラをシリコーンオイルで処理しても、経時で帯電ローラ表面のシリコーンオイル量は低下し、あらたなシリコーンオイルが供給されないため、長期にわたる安定した効果が期待できないのは明らかである。
【0007】
一方、トナーの外添剤として、シリコーンオイル処理を施した無機微粉末を添加し、この無機微粉末を用いて電荷注入帯電を行う画像形成方法が、特許文献6及び特許文献7等に開示されている。これらの文献では、シリコーンオイルの25℃における粘度が無機微粉末の処理の安定性に影響し、粘度が一定の値を超える場合には、無機微粉末の均一な処理が困難になり、熱および機械的な応力により、処理したシリコーンオイルが脱離、転移或いは劣化して感光体に移行することによって画質が劣化する点、シリコーンオイル処理状態が無機微粉末の疎水性及び帯電性を均一化に影響する点、シリコーンオイルにより処理したものが高湿環境下でもトナー粒子の帯電量を高く維持し、トナー飛散を防止する点、シリコーンオイルの処理量が一定範囲よりも少ないと良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずる点等が記載されている。しかしながら、シリコーンオイルの重要な特異性である低表面エネルギーを利用して像担持体と接触帯電部材との摩擦を低減するような記載は見あたらない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−147576号公報
【特許文献2】
特開平6−3921号公報
【特許文献3】
特開2001−154452号公報
【特許文献4】
特開2000−81766号公報
【特許文献5】
特開2000−315003号公報
【特許文献6】
特開2001−235891号公報
【特許文献7】
特開2001−235896号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、像担持体と接触帯電部材とのニップ部に帯電促進粒子を介在させて像担持体表面に電荷を注入する電荷注入帯電方式において、むらのない均一な帯電を施すことができ、また、像担持体と接触帯電部材との摩擦を低減して像担持体表面の電荷注入層の膜削れを抑制し、長期に渡って、安定した高品質の画像の出力が可能な画像形成装置を提供することを課題とする。さらには、上記の電荷注入帯電方式を用いた画像形成装置に搭載するプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、少なくとも、像担持体と、前記像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性粒子を介在させて像担持体表面を帯電させる手段と、前記帯電手段によって帯電させられた前記像担持体に対して画像情報に応じた静電潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像形成手段によって形成された前記静電潜像をトナーにより可視化する現像手段とを有する画像形成装置において、前記導電性粒子がシリコーンオイルによって処理された無機微粒子であり、該導電性粒子におけるシリコーンオイルの遊離率が50〜85%である画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記現像手段が前記導電性粒子をトナー粒子とともに前記像担持体に供給する手段である請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記導電性粒子がトナー粒子に対して0.5〜10重量%含有される請求項2記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記トナー粒子は、重合法により作製されたトナー粒子である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、少なくとも、像担持体と、帯電手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に形成されたプロセスカートリッジにおいて、前記帯電手段は、前記像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性粒子を介在させて像担持体表面を帯電させる手段であり、前記導電性粒子がシリコーンオイルによって処理された無機微粒子であり、該導電性粒子におけるシリコーンオイルの遊離率が50〜85%であるプロセスカートリッジである。
請求項6に記載の発明は、前記プロセスカートリッジが現像手段を含んで形成され、該現像手段が、前記導電性粒子をトナー粒子とともに前記像担持体に供給する手段である請求項5記載のプロセスカートリッジである。
請求項7に記載の発明は、前記導電性粒子がトナー粒子に対して0.5〜10重量%含有される請求項6記載のプロセスカートリッジである。
請求項8に記載の発明は、前記トナー粒子が重合法により作製されたトナー粒子である請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の主要部の概略構成図である。また、図2は、感光体と帯電手段、及び現像手段とを一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在に形成したプロセスカートリッジの概略構成図である。
図1において、感光体1の周りに、感光体表面を帯電する接触帯電部材2、画像情報に基づいて露光し感光体1表面に静電潜像を書き込む露光手段3、感光体1表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像とする現像手段4、感光体1表面に形成されたトナー像を搬送されてくる記録紙に転写する転写ベルト5、転写後の記録紙を感光体1表面から分離する分離爪7が配置されている。
本発明に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジは、感光体1と接触帯電部材2との接触部に帯電を促進するための導電性粒子(以下、「帯電促進粒子」と称する。)を介在させて、感光体1への電荷の注入をする電荷注入帯電方式を採用するものである。接触帯電部材2については後に詳しく説明するが、可撓性を有する帯電部材であり、感光体1とニップ部を形成し、感光体1に対して速度差を持って移動する。接触帯電部材2と感光体1とのニップ部には帯電促進粒子が供給され、該ニップ部において帯電促進粒子が接触帯電部材2に印加される帯電極性とは逆の極性に摩擦帯電して、感光体1への電荷の注入を行う。
【0013】
感光体1は、導電性支持体上に感光層が設けられてなり、その感光層上に電荷注入層を有する表面保護層を積層した構成からなる。即ち、一般的な有機感光体ドラムに電荷注入層を塗布することにより、帯電性能を向上したものである。
電荷注入層は、バインダー樹脂に、導電性粒子(導電フィラー)としての酸化スズによる超微粒子(平均粒径は0.03μm)や、四フッ化エチレン樹脂などの滑剤を混合分散し、塗工・膜形成したものである。電荷注入層の体積抵抗値としては1×10 〜1×1014Ω・cmの範囲が適している。
感光体1においては、電荷注入層以外の感光層及び導電性支持体の構成及び形成方法は従来と全く同じである。また、感光体1の層構成は、(1)導電性支持体上に下から順に、電荷発生層、電荷輸送層、電荷注入層を設けたもの(電荷発生層と導電性支持体の間に中間層を設けても構わない)。(2)導電性支持体上に下から順に、電荷輸送層、電荷発生層、電荷注入層を設けたもの(電荷発生層と電荷注入層の間に電荷ブロッキング層を設けても構わない)。(3)導電性支持体上に、下から順に、光導電層(単層)、電荷注入層を設けたもの(光導電層(単層)と導電性支持体の間に中間層を、また光導電層と電荷注入層の間に電荷ブロッキング層を設けても構わない)。以上の全てが使用可能である。
【0014】
次に、感光体の構成について説明する。導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状若しくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらをD.I.、I.I.、押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などを使用することができる。
【0015】
感光層は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは説明の都合上、先ず積層型について述べる。まず、電荷発生層について説明する。電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、必要に応じて後述の電荷輸送物質を添加してもよい。
【0016】
電荷発生層を形成する方法には、大きく分けて真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーテイング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、電荷発生層として、上述した無機系、有機系の電荷発生物質を含んだ層が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系若しくは有機系材料を必要ならばバインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いて、ボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行うことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0017】
次に、電荷輸送層について説明する。電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4’8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0018】
また、バインダー樹脂と電荷輸送物質のいずれの機能をも持つ高分子電荷輸送物質をバインダー樹脂として用いることもできる。この場合に用いられる高分子電荷輸送物質の例として、以下のものが挙げられる。
(a)主鎖及び/又は側鎖にカルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−183719号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)主鎖及び/又は側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開平3−50555号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平5−19497号公報、特開平5−70595号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)主鎖及び/又は側鎖に第3級アミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−13061号公報、特開平1−19049号公報、特開平1−1728号公報、特開平1−105260号公報、特開平2−167335号公報、特開平5−66598号公報、特開平5−40350号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報に記載の化合物等が例示される。
【0019】
電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。また、電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂に対して0〜1重量%程度が適当である。
【0020】
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くは電荷発生物質と電荷輸送物質よりなる機能分離型のものが挙げられる。即ち、電荷発生物質並びに電荷輸送物質には、前出の材料を用いることができる。単層感光層は、電荷発生物質及び電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤を添加することもできる。バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
単層感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質及びバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行うことができる。ピリリウム系染料、ビスフェノールA系ポリカーボネートから形成される共晶錯体に、電荷輸送物質を添加した感光体も、適当な溶媒から同様な塗工法で形成できる。単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0021】
また、感光体1には、導電性支持体と感光層(積層タイプの場合には電荷発生層)との間に中間層を設けることができる。中間層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの中間層は、前述の感光層のごとく適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
更に中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。この他に、アルミナを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0022】
また、耐環境性の改善のため、とりわけ、感光体1の感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤は、有機物を含む層ならばいずれに添加してもよいが、電荷輸送物質を含む層に添加すると良好な結果が得られる。酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
(1)モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど。
(2)ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
(3)高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
(4)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(5)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(6)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(7)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。酸化防止剤の添加量は、電荷輸送物質100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは2〜30重童部である。
【0023】
接触帯電部材2は、可撓性を有するローラ状の帯電部材であり、感光体1とニップ部を形成し電圧を印加する。接触帯電部材2は感光体1に対して速度差を持って移動し、少なくとも接触帯電部材2と感光体1とのニップ部に帯電を促進させるための導電性微粒子、すなわち帯電促進粒子を担持し、該ニップ部において帯電促進粒子が接触帯電部材2に印加する帯電極性とは逆の極性に摩擦帯電する。これにより、接触帯電部材2から感光体1に直接電荷を注入し、感光体1表面を帯電させる帯電方式である。このような帯電方式は、すなわち接触帯電部材2と感光体1とが接触して、放電現象を介さずに電荷注入層に直接電荷注入を行うものである。
【0024】
帯電促進粒子としては、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粉末や、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粉末や、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物や、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カリウム、硫化モリブデン、硫化カドミウムなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などを、粒度分布を調整することで使用することができるが、これらの中でも、白色或いは淡色であることから、書き込み露光の妨げにならない点で、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンが特に好ましい。
帯電促進粒子の重量平均径は、1.0μmからトナー平均粒径程度である事が好ましい。帯電促進粒子が小さすぎる場合には帯電部における接触性向上の効果が発揮できず、したがって像担持体の帯電性を向上させる効果が得られず画像不良を生ずる。また、本例で用いる帯電促進粒子は、粒径10〜500nmの一次粒子が凝集した、平均粒径3μmの帯電促進粒子である。
【0025】
上記の帯電促進粒子は、シリコーンオイルによって処理を施されたものである。用いるシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル、メタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が使用できる。シリコーンオイルの粘度は、シリコーンオイル処理の均一性を考慮すると、25℃における粘度が50〜1000cSt(センチストーク)であることが望ましい。粘度が1000cSt以上では、シリコーンオイルが感光体1表面や接触帯電部材2表面に均一分散しない。また、粘度が50cSt以下では、液架橋による凝集が、許容範囲を越えるため、好ましくない。本発明におけるシリコーンオイルの粘度は、ビスコテスターVT500(ハーケ社製)を用いて測定される。
シリコーンオイルの処理量については、特開昭61−277964号公報等により知られており、シリコーンオイルの処理量は、帯電促進粒子100重量部当たりA/10±A/20重量部(A:帯電促進粒子の比表面積)が、その粒径から求められる適正な範囲である。
【0026】
帯電促進粒子のシリコーンオイルによる処理方法は以下の通りである。
あらかじめ数百℃のオーブンで充分脱水乾燥した帯電促進粒子とシリコーンオイルを均一に接触させ、帯電促進粒子表面に付着させる。付着させるには帯電促進粒子粉体とシリコーンオイルを回転羽根等の混合機により粉体のまま混合させたり、シリコーンオイルが希釈できる比較的低沸点の溶媒にシリコーンオイルを溶解させ、帯電促進粒子粉体を液中に含浸させ溶剤を除去乾燥させる方法により作製できる。シリコーンオイルの粘度が高い場合には液中で処理するのが好ましい。
その後シリコーンオイルが付着した帯電促進粒子粉体を数十℃から数百℃のオーブン中で熱処理を施すことにより、帯電促進粒子粉体表面の水酸基を用いて金属とシリコーンオイルとのシロキサン結合を形成させたり、シリコーンオイル自身をさらに高分子化、架橋することができる。あらかじめシリコーンオイル中に酸やアルカリ、金属塩、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の触媒を含ませて反応を促進させても良い。また帯電促進粒子はシリコーンオイル処理の前にあらかじめシランカップリング剤等の疎水化剤による処理を行っておいても良い。あらかじめ疎水化されている帯電促進粒子粉体の方がシリコーンオイルの吸着量は多くなる。
【0027】
上記の熱処理により、帯電促進粒子の遊離シリコーンオイル量はほぼ決定される。ここで、遊離していないシリコーンオイルとは、必ずしも帯電促進粒子表面と化学結合している必要はなく、粒子表面の細孔等に物理吸着しているものも含まれる。したがって、遊離シリコーンオイルとは、接触して簡単に帯電促進粒子から脱離する成分のことであり、以下に述べる測定法により定義される。
(帯電促進粒子におけるシリコーンオイル遊離率の測定法)
1.遊離シリコーンオイルの抽出
試料をクロロホルムに浸漬、攪拌、放置する。遠心分離により上澄み液を除去した後の固形分に、新たにクロロホルムを加え、攪拌、放置する。この操作を繰り返し、遊離シリコーンオイルを取り除く。
2.炭素量の定量
炭素量の定量は、CHN元素分析装置(CHNコーダー MT−5型;ヤナコ社製)により測定した。
3.シリコーンオイル遊離率の測定
シリコーンオイル遊離率は、下記の式により求めた。
シリコーンオイル遊離率=(C0−C1)/C0×100(%)
但し、C0:抽出操作前の試料中炭素量、C1:抽出操作後の試料中炭素量である。
【0028】
帯電促進粒子におけるシリコーンオイル遊離率は、50〜85%の範囲にする。シリコーンオイルの遊離率が50%以上であると、感光体1及び接触帯電部材2に極微量の遊離シリコーンオイルが常時、過不足無く供給され続け、極めて短時間で感光体1表面に広がり、接触帯電部材2と感光体1との摩擦係数を下げることにより、感光体1表面の電荷注入層の削れが大幅に低減される。一方、シリコーンオイル遊離率が50%未満では、シリコーンオイルの効果は得られず、電荷注入層の削れを抑制することができない。また、シリコーンオイル遊離率が85%を越えると、それを境に、シリコーンオイルによる液架橋の作用が、急激に強まり、帯電促進粒子間あるいは、帯電促進粒子と感光体1の間の凝集力が増大し、感光体1上の帯電促進粒子が、凝集あるいは偏在し、均一な電荷注入作用に支障を来たしたり、あるいは、感光体1と接触帯電部材2の均一なニップ形成が阻害されるため、感光体1の表面電位が部分的に所望の電位以下となり、帯電むらを生ずる。
したがって、帯電促進粒子におけるシリコーンオイル遊離率を50〜85%にすることにより、帯電促進粒子の付着、偏在、凝集が防止され、帯電むらの改善された、均一な帯電が実現され、加えて、感光体1の電荷注入層の削れが大幅に低減され、長期に渡って安定した高品質の画像の出力が可能となる。
【0029】
また、シリコーンオイルで処理された帯電促進粒子は、現像手段4によってトナー粒子とともに感光体1に供給される。感光体1と接触帯電部材2との摩擦係数の低減のためには、これらの部材をシリコーンオイルで直接処理することも考えられるが、それに比べて、現像手段4によってシリコーンオイルで処理された帯電促進粒子をトナー粒子とともに供給する方が、シリコーンオイルが長期間にわたり安定して供給されるため、さらに安定した高品質な画像の出力が可能である。
【0030】
上記の帯電促進粒子の供給方法にしたがってトナー粒子中に帯電促進粒子を含有させるとき、帯電促進粒子の含有率は、感光体1上に存在する帯電促進粒子の密度を一定に保つため、トナー粒子に対して0.5〜10重量%とするのが好ましく、さらには1.0〜5重量%が望ましい。0.5重量%未満では、感光体1上に十分な帯電促進粒子が存在しないため、電荷注入作用に効果が無く、また、10重量%を越えると、トナーの流動性が悪化する。
【0031】
さらに、現像手段4で使用されるトナー粒子は、重合法により作製されたトナー粒子が好適である。トナーの微粉成分は、帯電促進粒子と同様に遊離シリコーンオイルにより凝集しやすく、感光体1上にトナー微粉の凝集物が存在すると、帯電むらを生ずる。重合法によるトナーは、粒径分布が均一であり、微粉が少ないため、このような凝集を生じにくい。特に4μm以下の個数含有率が5%以下であることが好ましい。
【0032】
また、表面処理を施さない公知の無機微粒子及び/又は、シリコーンオイル以外の疎水化処理剤により表面処理された公知の無機微粒子を1種類以上合わせて使用しても良い。疎水化処理剤としては例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
併用する無機微粒子は、シリコーンオイルによって処理された無機微粒子(帯電促進粒子)よりも平均粒子径が小さいものが用いられる。この小さな無機微粒子によってトナー表面の被覆率があがり、適切な流動性を現像剤に与えることができ、現像時における潜像に対する忠実再現性や現像量を確保することができる。また現像剤保存時のトナーの凝集、固化を防止することができる。添加量は、トナーに対し0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%を用いることができる。
【0033】
さらに、上記の無機微粒子とともに、樹脂微粒子を用いても良い。たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子と併用することによって現像剤の帯電性が強化でき、逆帯電のトナー粒子を減少させ、地肌汚れを低減することができる。添加量はトナーに対し0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%を用いることができる。
【0034】
次に、好ましく使用されるトナー粒子の構成について説明する。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0035】
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0036】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、キャリアや、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0037】
また、トナーに離型性を持たせる為に、トナーの中にワックスを含有させることが好ましい。ワックスとしては、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。ワックスの融点が過大のときには低温での定着性が不足する場合があり、一方融点が過小のときには耐オフセツト性、耐久性が低下する場合がある。なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。
本例のトナーに用いることができるワックスとしては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックスなどを挙げることができる。また低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなども用いることができる。特に、環球法による軟化点が70〜150℃のポリオレフィンが好ましく、さらには当該軟化点が120〜150℃のポリオレフィンが好ましい。
【0038】
感光体1に残存する転写後のトナーを除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0039】
トナーの製造方法としては、従来よりある、溶融混練する工程と混練物を粉砕・分級する工程とを有するトナーの製造方法のみならず、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合法、溶解懸濁法等による製造方法があげられ、特に限定されるものではないが、トナーの粒径が6μm以下である場合は、懸濁重合法、乳化凝集法、分散重合、溶解懸濁法等の、粉砕法以外の方法が適している。
また、現像剤を調製する際には、現像剤の流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナーにさらに先に挙げた疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、Q型ミキサーなどが挙げられる。
【0040】
トナーの粒径分布の測定にはコールターマルチサイザーを用いることができる。即ち、測定装置としてはコールターマルチサイザーIIe型(コールター社製)を用い、個数分布、重量分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピューターを接続して用いた。また、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製した。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分の分散処理を行った。さらに、別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIe型により100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定した。
【0041】
上記のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー等が使用できるが、現像剤寿命の観点からシリコーン樹脂が優れている。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本実施例は、本発明の一態様にすぎず、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、以下実施例に示す各成分量(部)はいずれも重量基準である。
【0043】
(帯電促進粒子のシリコーンオイル処理)
25℃における粘度が300cStのポリジメチルシロキサン(信越化学工業社製)を所定量トルエン100重量部に溶解し、酸化亜鉛粒子(粒径10〜500nmの一次粒子が凝集した、平均粒径3μmの酸化亜鉛粒子)30重量部を、その中に攪拌しながら超音波照射することによって分散した。凝集物がないことを目視で確認した後に、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを溜去した。得られた固形物を減圧乾燥機にて設定温度55℃で恒量になるまで乾燥した。その後、電気炉にて窒素気流下、70℃で1時間の加熱処理を行った。得られた粉体はジェットミルにより解砕し、バグフィルターで捕集した。得られた帯電促進粒子のシリコーンオイル遊離率を測定したところ、70%であった。この粒子を酸化亜鉛粒子aとよぶ。
【0044】
加熱処理温度、時間を変更する以外は、酸化亜鉛粒子aと同様に処理を行い、得られた酸化亜鉛粒子のシリコーンオイル遊離率を測定した結果を表−1にまとめる。
【0045】
【表1】



【0046】
(トナー製造例1)
下記原材料をヘンシェルミキサーで充分混合した後、小型二本ロールミルで、150℃、2時間混練した。



得られた混練物を2mmのスクリーンを装着したパルベライザーで粗粉砕した後、ラボジェットで粉砕し、100MZRで分級して着色粒子を得た。
この着色粒子の重量平均粒径は5.93μm、4μm以下の個数%は、9.6%であった。
【0047】
(トナー製造例2)
コンデンサー、窒素導入管、45度に傾斜した羽を4枚持つステンレスタービン翼(翼の直径は反応容器の径の2/3)2枚、撹拌用モーター、滴下ロート、温度計、及びシリンジ注入口を装備したガラス製の反応容器に以下のものを投入した。
メタノール                60部
エタノール                20部
蒸留水                  10部
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量4万) 2部
室温下で撹拌により完全にポリビニルピロリドンを溶解させた。この反応容器を設定温度±0.1℃に管理できる恒温水槽に浸し、5℃まで冷却しながら、窒素導入管より系内に窒素を導入した。気相中の酸素濃度をガルバニ電池式酸素分析計で検知することにより系内の酸素濃度を0.1体積%以下に置換した。系内が5℃に達したところで以下のものを滴下ロートから投入した。
スチレン                   20部
アクリル酸メチル               10部
アクリル酸エチル               10部
n−ドデシルメルカプタン         0.15部
ジビニルベンゼン(有効成分100%に換算) 0.5部
系内の酸素濃度は0.5%まで上昇したが、さらに窒素ガスを供給し、0.1%体積以下まで置換した。ここで恒温水槽の温度を65℃まで上昇させた。反応器内の温度が60℃に達した時点で撹拌速度を100rpmに設定し、以下の開始剤溶液をシリンジを用いて注入した。
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 0.0016部
メタノール                        0.02部
約15分経過すると透明であった溶液の白濁化が始まり、その後30分放置して、系内の白濁がさらに強まった時点で、下記に示す溶液を滴下ロートより15分かけて滴下した。
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)   0.8部
メタノール                         10部
その後5時間半ほど重合を継続させた後、下記に示す混合液を、シリンジを用いて注入した。
α−チオグリセロール                 0.4部
1,3−ブタンジオールジメタクリレート        0.6部
メタノール                        5部
さらに10時間反応を継続させたところで、液の蒸発がないようにシリンジにて一部サンプリングし、少量のハイドロキノンにより重合を禁止させ、室温下で5時間、50℃で恒温まで、減圧乾燥する操作により固形分を定量し、加えた分散安定剤及び重合開始剤の量を考慮して、転化率を求めたところ、79.2%に達していた。
恒温水槽の設定温度を下げ、一旦、20℃まで反応器内を冷却した後に以下の突起形成用単量体組成物からなる溶液を滴下ロートより20時間かけて滴下した。
メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド  1部
メタクリル酸メチル                    19部
メタノール                        40部
蒸留水                           5部
滴下を終了したところで、撹拌速度を70rpmに設定し、反応器内の温度を50℃まで昇温し、1時間経過したところで下記に示す溶液を30分かけて滴下ロートより滴下した。
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル       0.4部
メタノール                      7部
そのまま50℃で3時間反応させ、その後1時間かけて反応器内の温度を65℃まで昇温し、20時間反応させることにより白濁した分散液を得た。
次に、オイルブラック860(オリエント化学社製)3部にメタノール20部を加え、加熱溶解後、冷却し、1μmのミクロフィルターで濾別した溶液10部を調整した。このように調整した溶液10部中に先の操作で得られた樹脂粒子分散液を40部加え、50℃で2時間撹拌し、その後分散液を室温まで冷却し、遠心沈降し、上澄みを除き、メタノール50部、水50部の混合溶媒に再分散する操作を3回行って、オイルブラック860で着色された樹脂粒子の分散液を小型スプレードライヤー(ヤマトミニスプレー;ヤマト科学社製)にて乾燥し、重量平均粒径が5.89μm、4μm以下の個数%が4.2%である着色樹脂粒子を得た。
【0048】
(実施例1)
トナー製造例1で得られた着色樹脂粒子90重量部に対して、5重量部の酸化亜鉛粒子a、さらに流動性付与剤として、2重量部のクラリアントジャパン製H2000加え、ヘンシェルミキサーで2分間混合し、篩にかけ、トナーを得た。得られたトナーを、図2に示すプロセスカートリッジにセットした。このとき、初期の感光体の帯電電位は502Vであった。
このプロセスカートリッジを画像形成装置本体に装着し、画像面積10%の画像を連続出画したところ、初期から鮮明な画像が得られ、2万枚出力した後も、その画質は維持された。ハーフトーン画像を出力して、粒状性を確認したところ、帯電むらに起因する粒状度の低下は認められず、初期とほぼ同等であった。また、2万枚画像出力後の感光体の帯電電位は485Vであった。
【0049】
(実施例2)
トナー製造例2で得られた着色樹脂粒子90重量部に対して、5重量部の酸化亜鉛粒子a、さらに流動性付与剤として、2重量部のクラリアントジャパン製H2000加え、ヘンシェルミキサーで2分間混合し、篩にかけ、トナーを得た。得られたトナーを、実施例1同様画像形成装置にセットした。このとき、初期の感光体の帯電電位は510Vであった。
実施例1と同様に、画像面積10%の画像を連続出画したところ、初期から鮮明な画像が得られ、3万枚出力した後も、その画質は維持された。ハーフトーン画像を出力して、粒状性を確認したところ、帯電むらに起因する粒状度の低下は認められず、初期とほぼ同等であった。また、3万枚画像出力後の感光体の帯電電位は502Vであった。
【0050】
(実施例3)
酸化亜鉛粒子aの代わりに酸化亜鉛粒子bを用いる以外は実施例2と同様にトナーを調製した。得られたトナーを、実施例2と同様にプロセスカートリッジにセットした。このとき、初期の感光体の帯電電位は505Vであった。
実施例1と同様に画像面積10%の画像を連続出画したところ、初期から鮮明な画像が得られ、3万枚出力した後も、その画質は維持された。ハーフトーン画像を出力して、粒状性を確認したところ、帯電むらに起因する粒状度の低下は認められず、初期とほぼ同等であった。また、3万枚画像出力後の感光体の帯電電位は498Vであった。
【0051】
(実施例4)
酸化亜鉛粒子aの代わりに酸化亜鉛粒子cを用いる以外は実施例2と同様にトナーを調製した。得られたトナーを、実施例2と同様プロセスカートリッジにセットした。このとき、初期の感光体の帯電電位は503Vであった。
実施例1と同様に画像面積10%の画像を連続出画したところ、初期から鮮明な画像が得られ、3万枚出力した後も、その画質は維持された。ハーフトーン画像を出力して、粒状性を確認したところ、帯電むらに起因する粒状度の低下は認められず、初期とほぼ同等であった。また、3万枚画像出力後の感光体の帯電電位は491Vであった。
【0052】
(比較例1)
酸化亜鉛粒子aのかわりに酸化亜鉛粒子dを用いる以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、初期においては、実施例1と同様の鮮明な画像が得られたが、5万枚付近で地肌部の地汚れが目立ち始めた。5千枚出力後、実施例1と同様に感光体の帯電電位を測定した結果、350Vまで低下しており、感光体が劣化していることが判明した。
【0053】
(比較例2)
酸化亜鉛粒子aのかわりに酸化亜鉛粒子eを用いる以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、初期においては、実施例1と同様の鮮明な画像が得られたが、5千枚時点の画像評価で、ハーフトーン画像を出力したところ、帯電むらに起因する粒状度の悪化が認められた。5千枚出力後、実施例1と同様に感光体の帯電電位を測定した結果485Vであった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明により、感光体と接触帯電部材との接触部にシリコーンオイルで処理した帯電促進粒子を介在させて感光体表面に電荷を注入し帯電させる電荷注入帯電方式の画像形成装置において、帯電促進粒子のシリコーンオイル遊離率を50〜85%に規定したことにより、帯電促進粒子の付着、偏在、凝集が防止され、帯電むらの改善された、均一な帯電が実現され、加えて、感光体の電荷注入層の削れが大幅に低減され、長期に渡って安定した高品質の画像の出力が可能である画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することができる。また、帯電促進粒子を現像手段によってトナー粒子と共に供給する構成とすることで、感光体や接触帯電部材をシリコーンオイルで直接処理した場合に比べて、シリコーンオイルの供給が長期間にわたり安定して行われるため、さらに安定した高品質な画像の出力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の主要部の概略構成図である。
【図2】感光体と帯電手段、及び現像手段とを一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在に形成したプロセスカートリッジの概略構成図である。
【符号の説明】
1、11 感光体(像担持体)
2、12 接触帯電部材
3、13 露光手段
4、14 現像手段
5 転写ベルト
15 転写ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、像担持体と、
前記像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性粒子を介在させて像担持体表面を帯電させる手段と、
前記帯電手段によって帯電させられた前記像担持体に対して画像情報に応じた静電潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像形成手段によって形成された前記静電潜像をトナーにより可視化する現像手段とを有する画像形成装置において、
前記導電性粒子がシリコーンオイルによって処理された無機微粒子であり、該導電性粒子におけるシリコーンオイルの遊離率が50〜85%である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像手段は、前記導電性粒子をトナー粒子とともに前記像担持体に供給する手段である
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記導電性粒子は、トナー粒子に対して0.5〜10重量%含有される
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー粒子は、重合法により作製されたトナー粒子である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも、像担持体と、帯電手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に形成されたプロセスカートリッジにおいて、
前記帯電手段は、前記像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性粒子を介在させて像担持体表面を帯電させる手段であり、
前記導電性粒子がシリコーンオイルによって処理された無機微粒子であり、該導電性粒子におけるシリコーンオイルの遊離率が50〜85%である
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記プロセスカートリッジは現像手段を含んで形成され、
該現像手段は、前記導電性粒子をトナー粒子とともに前記像担持体に供給する手段である
ことを特徴とする請求項5記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記導電性粒子は、トナー粒子に対して0.5〜10重量%含有される
ことを特徴とする請求項6記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記トナー粒子は、重合法により作製されたトナー粒子である
ことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2004−101733(P2004−101733A)
【公開日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−261726(P2002−261726)
【出願日】平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】