説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】先端稜線部のめくれを抑制し、かつ先端稜線部の像坦持体に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することができるクリーニングブレードを有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】クリーニングブレード62は、感光体3の移動方向に直交する方向の長さに対応する幅をもつ短冊形状の弾性体ブレード622と、弾性体ブレード622における先端面62aの感光体3と当接する端部を含み先端面62aの面積を基準とする所定面積の領域に形成され、弾性体ブレード622よりも硬く、層厚が0.1〜2μmの表面層623と、を備え、表面層623が形成された先端面と感光体3表面の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、感光体3表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、感光体3に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングブレードを有する画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式の画像形成装置では、被清掃部材たる感光体などの像担持体について、転写紙や中間転写体へトナー像を転写した後の表面に付着した不必要な転写残トナーはクリーニング手段たるクリーニング装置によって除去している。
【0003】
このクリーニング装置のクリーニング部材として、一般的に構成を簡単にでき、クリーニング性能も優れていることから、短冊形状のクリーニングブレードを用いたものがよく知られている。このクリーニングブレードは、ポリウレタンゴムなどの短冊形状の弾性体で構成されている。そして、クリーニングブレードの基端を支持部材で支持して先端稜線部を像担持体の周面に押し当て、像担持体上に残留するトナーをせき止めて掻き落とし除去する。
【0004】
また、近年の高画質化の要求に応えるべく、重合法等により形成された小粒径で球形に近いトナー(以下、重合トナー)を用いた画像形成装置が知られている。この重合トナーは、従来の粉砕トナーに比べて転写効率が高いなどの特徴があり、上記要求に応えることが可能である。しかし、重合トナーは、クリーニングブレードを用いて像担持体表面から除去しようとしても十分に除去することが困難であり、クリーニング不良が発生してしまうという問題を有している。これは、小粒径で且つ球形度に優れた重合トナーが、ブレードと像担持体との間に形成される僅かな隙間をすり抜けるからである。
【0005】
かかるすり抜けを抑えるには、像担持体とクリーニングブレードとの当接圧力を高めてクリーニング能力を高める必要がある。しかし、クリーニングブレードの当接圧を高めると、図8(a)に示すように、像担持体3とクリーニングブレード92との摩擦力が高まり、クリーニングブレード92が像担持体3の移動方向に引っ張られて、クリーニングブレード92の先端稜線部92cがめくれてしまう。このめくれたクリーニングブレード92が、そのめくれに抗して原形状態に復元する際に異音が発生することがある。さらに、クリーニングブレード92の先端稜線部92cがめくれた状態でクリーニングをし続けると、図8(b)に示すように、クリーニングブレード92の先端面92bの先端稜線部92cから数[μm]離れた場所に局所的な摩耗が生じてしまう。このような状態で、さらにクリーニングを続けると、この局所的な摩耗が大きくなり、最終的には、図8(c)に示すように、先端稜線部92cが欠落してしまう。先端稜線部92cが欠落してしまうと、トナーを正常にクリーニングできなくなり、クリーニング不良を生じてしまう。
【0006】
特許文献1には、ポリウレタンエラストマーからなるクリーニングブレードの少なくとも当接部に、鉛筆硬度B〜6Hの皮膜硬度を有する樹脂からなる表面層を設けたものが記載されている。ゴム部材よりも硬い鉛筆硬度B〜6Hの皮膜硬度を有する表面層を設けることで、クリーニングブレード当接部の摩擦係数を下げることができ、クリーニングブレードの耐摩耗性を高めることができる。また、像担持体とクリーニングブレードとの摩擦力を低減させることができ、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれを良好に抑制することができる。さらに、鉛筆硬度B〜6Hの鉛筆硬度の表面層は、硬くて変形しにくいので、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれをより一層抑制することができる。
【0007】
また、特許文献2には、シリコン含有紫外線硬化材料を弾性ブレードに含浸させて膨潤させた後、紫外線照射処理して表面に硬化層を形成したクリーニングブレードが記載されている。このように、紫外線硬化材料からなる弾性ブレードよりも高硬度の硬化層を設けることでも、耐摩耗性を向上でき、クリーニングブレードの先端稜線部のめくれを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述のように表面層や硬化層を設けたクリーニングブレードでも、像担持体に形成される粉体量が非常に多い連続的なベタ画像形成時等の厳しい条件では、クリーニング不良を生じてしまうことがあった。
また、潤滑剤塗布機構を有する画像形成装置においては、特に帯電ローラによる帯電装置で感光体上に塗布された滑剤が帯電劣化することにより粘性が生じ、副作用としてクリーニングブレードの先端稜線部の像担持体表面への追随性を低下させてしまうことにより、同様にクリーニング不良を生じることがあった。
【0009】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、先端稜線部のめくれを抑制し、かつ先端稜線部の像坦持体に対する追随性を良好にでき当接圧を維持することができるクリーニングブレードを有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、前述した問題の現象を後述する実験により確認した。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、前記ゴム部材の先端面の長手方向にわたって表面層を設けていることから、表面層の影響によりゴム部材の弾性が阻害され、クリーニングブレードの先端稜線部の像担持体表面への追随性が低下してしまうところ、像担持体が偏心していたり、像担持体表面に微小なうねりがあったりした場合、当接圧が変動してしまう。また、連続的なベタ画像形成時など、クリーニングブレードによって、多くのトナーが堰き止められているとき、堰き止められているトナーによるクリーニングブレードへの押圧力が高い。そのため、クリーニングブレードの像担持体との当接圧が変動して当接圧が低下したとき、当接圧よりもトナーによる押圧力が勝り、クリーニングブレードをトナーがすり抜けてしまい、その結果、像担持体に形成される粉体量が非常に多い連続的なベタ画像形成時等の厳しい条件では、クリーニング不良が生じてしまったと考えられる。
発明者らは、これらの知見に基づき、このクリーニング不良の問題を解決すべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
【0011】
すなわち、前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 像担持体(感光体3)と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段(帯電装置4)と、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像手段(現像装置5)と、該像担持体表面のトナー像を転写体に転写する転写手段(転写装置7)と、該像担持体表面に当接して該像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニングブレード(クリーニングブレード62)を有するクリーニング手段(クリーニング装置6)と、を備えた画像形成装置において、前記クリーニングブレードは、前記像坦持体の移動方向に直交する方向の長さに対応する幅をもつ短冊形状の弾性体基材(弾性体ブレード622)と、前記弾性体基材における先端面(先端面62a)の前記像坦持体と当接する端部を含み該先端面の面積を基準とする所定面積の領域に形成され、前記弾性体基材よりも硬く、層厚が0.1〜2μmの表面層(表面層623)と、を備え、前記表面層が形成された先端面と前記像坦持体表面の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、該像坦持体表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、前記像坦持体に当接していることを特徴とする画像形成装置(図1,図3〜図6)。
〔2〕 前記表面層は、前記弾性体基材の前記像坦持体と当接する端部側の先端稜線部(先端稜線部62c)を構成する先端面(先端面62a)と前記像坦持体に対向する主面であるブレード下面(ブレード下面62b)のそれぞれの一部に形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の画像形成装置(図3(b),図4)。
〔3〕 前記表面層は、前記先端面における前記弾性体基材の厚さ方向の全長の略半分の領域に形成されていることを特徴とする前記〔2〕に記載の画像形成装置。
〔4〕 前記ブレード下面において形成される表面層の面積は、前記先端面に形成される表面層の面積と略同じであることを特徴とする前記〔2〕または〔3〕に記載の画像形成装置。
〔5〕 前記表面層は、前記弾性体基材の先端面全面のみに形成されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の画像形成装置(図5(b),図6)。
〔6〕 前記弾性体基材は、ウレタン基を含むゴムからなることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の画像形成装置。
〔7〕 像担持体(感光体3)と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段(帯電装置4)と、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像手段(現像装置5)と、該像担持体表面のトナー像を転写体に転写する転写手段(転写装置7)と、該像担持体表面に当接して該像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニングブレード(クリーニングブレード62)を有するクリーニング手段(クリーニング装置6)と、を備えた画像形成装置に着脱可能であって、前記像坦持体と前記クリーニング手段とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、前記クリーニングブレードは、前記像坦持体の移動方向に直交する方向の長さに対応する幅をもつ短冊形状の弾性体基材(弾性体ブレード622)と、前記弾性体基材における先端面(先端面62a)の前記像坦持体と当接する端部を含み該先端面の面積を基準とする所定面積の領域に形成され、前記弾性体基材よりも硬く、層厚が0.1〜2μmの表面層(表面層623)と、を備え、前記表面層が形成された先端面と前記像坦持体表面の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、該像坦持体表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、前記像坦持体に当接していることを特徴とするプロセスカートリッジ(プロセスカートリッジ1、図1)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置によれば、弾性体基材先端の先端面の面積を基準とする所定面積の領域に表面層を形成してクリーニングブレードに適度な剛性と可撓性を付与することができるので、該クリーニングブレードを像坦持体に所定条件で当接させた際に、その先端稜線部が像坦持体の移動方向へ移動してめくれるのを防止してえぐれ摩耗を抑制し、像坦持体へのフィルミングを生ぜず、異音発生を防止できるようになる。さらに、弾性体基材の当接部分(先端稜線部)は像坦持体の表面形状変化に対して追随するので、像坦持体の全幅において先端稜線部すなわち表面層が常に所定の圧力で当接するようになり、像坦持体表面を傷つけることなく長期間、良好なクリーニング性を維持することができる。
本発明のプロセスカートリッジによれば、前述したクリーニングブレードと像坦持体を所定条件で当接させた状態で保持してまま画像形成装置への着脱ができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【図2】トナーの円形度の測定方法の説明図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置に用いるクリーニングブレードの基本的構成例(1)を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態の構成を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置に用いるクリーニングブレードの基本的構成例(2)を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態の構成を示す拡大断面図である。
【図7】実施例における弾性体ブレードの摩耗幅の測定箇所を示す模式図である。
【図8】従来のクリーニングブレードの先端の稜線部における状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を画像形成装置である電子写真プリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であるプリンタの要部を示す概略構成図である。プリンタは、単一色の複写を行うものであり、図示しない画像読み取り部で読み取った画像データに基づいてモノクロ画像形成を行う。
【0015】
図1に示すように、プリンタは、像担持体としてのドラム状の感光体3を備えている。感光体3はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
【0016】
感光体3の周囲には帯電手段としての帯電装置4、潜像をトナー像化する現像手段である現像装置5、トナー像を記録媒体としての転写紙に転写する転写手段としての転写装置7、転写後の感光体3上に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニング装置6、感光体3上に滑剤を塗布する滑剤塗布手段としての潤滑剤塗布装置10、感光体3を除電する除電ランプ(不図示)等が配置されている。14は転写ベルトである。
【0017】
帯電装置4は、感光体3に所定の距離を持って非接触で配置され、感光体3を所定の極性、所定の電位に帯電するものである。帯電装置4によって一様帯電された感光体3は、図示しない潜像形成手段たる露光装置から画像データに基づいて光Lが照射され静電潜像が形成される。
【0018】
帯電装置4には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)を始めとする公知の手段が用いられる。
これらの帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式がより望ましく、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
【0019】
また、図示しない露光装置、除電ランプ等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。
【0020】
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0021】
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800[nm]の長波長光を有するため、良好に使用される。
【0022】
現像装置5は、現像剤担持体としての現像ローラ51を有している。この現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加されるようになっている。現像装置5のケーシング内には、ケーシング内に収容された現像剤を互いに逆方向に搬送しながら攪拌する供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53が設けられている。また、現像ローラ51に担持された現像剤を規制するためのドクタ54も設けられている。供給スクリュ52及び攪拌スクリュ53の2本スクリュによって撹拌・搬送された現像剤中のトナーは、所定の極性に帯電される。そして、現像剤は、現像ローラ51に汲み上げられ、汲み上げられた現像剤は、ドクタ54により規制され、感光体3と対向する現像領域でトナーが感光体3上の潜像に付着する。
【0023】
クリーニング装置6は、クリーニングブレード62を有している。クリーニングブレード62は、感光体3の表面移動方向に対してカウンタ方向で感光体3に当接している。なお、クリーニングブレード62の詳細については後述する。
【0024】
潤滑剤塗布装置10は、固形潤滑剤103、潤滑剤加圧スプリング(不図示)等を備え、固形潤滑剤103を感光体3上に塗布する塗布ブラシとしてファーブラシ101を用いている。固形潤滑剤103は、図示しないブラケットに保持され、潤滑剤加圧スプリング(不図示)によりファーブラシ101側に加圧されている。そして、感光体3の回転方向に対して連れまわり方向に回転するファーブラシ101により固形潤滑剤103が削られて感光体3上に潤滑剤が塗布される。感光体3への潤滑剤塗布により感光体3表面の摩擦係数が非画像形成時に0.2以下に維持される。
【0025】
次に、プリンタにおける画像形成動作を説明する。
図示しない操作部などからプリント実行の信号を受信したら、帯電装置4、現像ローラ51にそれぞれ所定の電圧または電流が順次所定のタイミングで印加される。同様に、露光装置及び除電ランプなどにもそれぞれ所定の電圧又は電流が順次所定のタイミングで印加される。また、これと同期して、駆動手段としての感光体駆動モータ(不図示)により感光体3が図中矢印方向に回転駆動される。
【0026】
感光体3が図中矢印方向に回転すると、まず感光体表面が、帯電装置4によって所定の電位に帯電される。そして、図示しない露光装置から画像信号に対応した光Lが感光体3上に照射され、光Lが照射された部分の感光体3上が除電され静電潜像が形成される。
【0027】
静電潜像の形成された感光体3は、現像装置5との対向部で現像ローラ51上に形成された現像剤の磁気ブラシで感光体3表面を摺擦される。このとき、現像ローラ51上の負帯電トナーは、現像ローラ51に印加された所定の現像バイアスによって、静電潜像側に移動し、トナー像化(現像)される。このように、本実施形態では、感光体3上に形成された静電潜像は、現像装置5によって、負極性に帯電されたトナーにより反転現像される。なお、本実施形態では、N/P(ネガポジ:電位が低い所にトナーが付着する)の非接触帯電ローラ方式を用いた例について説明したが、これに限るものではない。
【0028】
感光体3上に形成されたトナー像は、図示しない給紙部から上レジストローラと下レジストローラとの対向部を経て、感光体3と転写装置7との間に形成される転写領域に給紙される転写紙に転写される。このとき、転写紙は上レジストローラと下レジストローラとの対向部で画像先端と同期を取り供給される。また、転写紙への転写時には、所定の転写バイアスが印加される。トナー像が転写された転写紙は感光体3から分離され、図示しない定着手段としての定着装置へ搬送される。そして、定着装置を通過する事により、熱と圧力の作用でトナー像が転写紙上に定着されて、転写紙は機外に排出される。
【0029】
一方、転写後の感光体3の表面は、クリーニング装置6で転写後の残留トナーが除去され、潤滑剤塗布装置10によって潤滑剤が塗布された後、除電ランプで除電される。
【0030】
また、本プリンタにおいては、感光体3と、プロセス手段として帯電装置4、現像装置5、クリーニング装置6、潤滑剤塗布装置10などが枠体2に収められており、プロセスカートリッジ1として装置本体から一体的に着脱可能となっている。なお、本実施形態では、プロセスカートリッジ1としての感光体3とプロセス手段とを一体的に交換するようになっているが、少なくとも感光体3と、クリーニング装置6とを一体に支持し、後述するクリーニングブレードを所定の当接条件で感光体3に当接したものをプロセスカートリッジ1とする構成でもよい。
【0031】
次に、本プリンタに好適なトナーについて説明する。
本プリンタに用いるトナーとしては、画質向上のために、高円形化、小粒径化がし易い懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法により製造された重合トナーを用いるのが好ましい。特に、円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]以下の重合トナーを用いるのが好ましい。平均円形度が0.97以上、体積平均粒径5.5[μm]のものを用いることにより、より高解像度の画像を形成することができる。
【0032】
ここでいう「円形度」は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子株式会社製、商品名)により計測した平均円形度である。具体的には、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に、分散剤として界面活性剤好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料(トナー)を0.1〜0.5[g]程度加える。その後、このトナーが分散した懸濁液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、分散液濃度が3000〜1[万個/μl]となるようにしたものを上述の分析装置にセットして、トナーの形状及び分布を測定する。そして、この測定結果に基づき、図2(a)に示す実際のトナー投影形状の外周長をC1、その投影面積をSとし、この投影面積Sと同じ図2(b)に示す真円の外周長をC2としたときのC2/C1を求め、その平均値を円形度とした。
【0033】
体積平均粒径については、コールターカウンター法によって求めることが可能である。具体的には、コールターマルチサイザー2e型(コールター社製)によって測定したトナーの個数分布や体積分布のデータを、インターフェイス(日科機社製)を介してパーソナルコンピューターに送って解析する。より詳しくは、1級塩化ナトリウムを用いた1%NaCl水溶液を電解液として用意する。そして、この電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5[ml]加える。更に、これに被検試料としてのトナーを2〜20[mg]加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。そして、別のビーカーに電解水溶液100〜200[ml]を入れ、その中に分散処理後の溶液を所定濃度になるように加えて、上記コールターマルチサイザー2e型にかける。
【0034】
アパーチャーとしては、100[μm]のものを用い、50000個のトナー粒子の粒径を測定する。チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上32.0[μm]以下のトナー粒子を対象とする。そして、「体積平均粒径=ΣXfV/ΣfV」という関係式に基づいて、体積平均粒径を算出する。但し、Xは各チャンネルにおける代表径、Vは各チャンネルの代表径における相当体積、fは各チャンネルにおける粒子個数である。
【0035】
このような重合トナーにおいては、上述したように、粉砕トナーを感光体3表面から除去するときと同じようにして従来のクリーニングブレード92で除去しようとしても、その重合トナーを感光体3表面から十分に除去しきれず、クリーニング不良が発生する。そこで、クリーニングブレード92の感光体3への当接圧を高めて、クリーニング性をアップしようとすると、クリーニングブレード92が早期に摩耗してしまうという問題があった。また、クリーニングブレード92と感光体3との摩擦力が高まって、クリーニングブレード92の感光体3と当接している先端の稜線部(先端稜線部)が感光体3の移動方向に引っ張られて、先端稜線部がめくれてしまった。クリーニングブレード92の先端稜線部がめくれると、異音や振動、先端稜線部の欠落などの様々な問題が生じてしまう。
【0036】
そこで、発明者らは、この問題を解決すべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像手段と、該像担持体表面のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体表面に当接して該像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、を備えた画像形成装置において、前記クリーニングブレードは、前記像坦持体の移動方向に直交する方向の長さに対応する幅をもつ短冊形状の弾性体基材と、前記弾性体基材における先端面の前記像坦持体と当接する端部を含み該先端面の面積を基準とする所定面積の領域に形成され、前記弾性体基材よりも硬く、層厚が0.1〜2μmの表面層と、を備え、前記表面層が形成された先端面と前記像坦持体表面の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、該像坦持体表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、前記像坦持体に当接していることを特徴とするものである。
【0037】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図3,図4を用いて、本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態の構成について説明する。
図3は、本発明に係る画像形成装置に用いるクリーニングブレードの基本的構成例(1)を示す斜視図である。図3(a)はクリーニングブレード62の全体図、図3(b)は弾性体ブレード622の拡大図である。また、図4は、本発明に係る画像形成装置の第1の実施形態の構成を示す拡大断面図である。
【0038】
クリーニングブレード62は、図3(a),図4に示すように、金属や硬質プラスチックなどの剛性材料からなる短冊形状のホルダー621と、長手方向が被清掃部材である感光体3の移動方向(回転方向)に直交する方向の長さ(幅)方向となり該感光体3の幅に対応する長さをもつ短冊形状の弾性体基材である弾性体ブレード622と、弾性体ブレード622の感光体3と当接する端部側の先端稜線部(先端コーナー部ともいう)62cを構成する先端面62aと感光体3に対向する主面であるブレード下面62bのそれぞれの一部に所定の膜厚で形成され、弾性体ブレード622よりも硬い表面層623と、で構成されている。また、弾性体ブレード622は、ホルダー621の一端側に接着剤などにより固定されており、ホルダー621の他端側は、クリーニング装置6のケースに片持ち支持されている。
【0039】
ここで、弾性体ブレード622は、感光体3の偏心や感光体3表面の微小なうねりなどに変形して追随できるように、高い反発弾性体率を有するものが好ましく、ウレタン基を含むゴムであるウレタンゴムなどが好適である。
【0040】
また、弾性体ブレード622の硬度としては、25℃における硬度が69〜75度(JIS A)のウレタンゴムが好ましい。ウレタンゴムの硬度が75度を超えると、柔軟性に乏しくなり、例えば、ホルダー621が微小に傾いてクリーニング装置6に取り付けられるなどしたときに、クリーニングブレード62の軸方向(幅方向)一端側と他端側とで当接圧が異なる所謂偏当りしやすくなり、軸方向で均一な当接圧が得にくくなる。その結果、クリーニング性が低下するおそれがある。
一方、硬度が69度未満の場合は、重合トナーでもクリーニングできるよう当接圧を高く設定したときに、クリーニングブレード62が反ってしまい、クリーニングブレード62の先端稜線部62cが浮きあがって、クリーニングブレード62のブレード下面62bが感光体3と当接する所謂腹当たり現象が生じてしまう。腹当たり現象が生じると、クリーニングブレード62と感光体3表面との当接面積が急激に増大するため、クリーニングブレード62を大きな力で押しつけても逆に当接圧は小さくなり、クリーニング性が低下してしまうため不適である。特に本発明のように、弾性体ブレード622の先端面62aに表面層623を有する構成では、これらの現象が顕著に起こるため、弾性体ブレード622の硬度は前記範囲であることが必要である。
【0041】
表面層623は、スプレー塗工、ディップ塗工、あるいはスクリーン印刷等によってクリーニングブレード62の先端稜線部62cを被覆するように形成される弾性体ブレード622よりも硬度の高い材料の皮膜である。これにより、表面層623は、弾性体ブレード622よりも硬度が高い部材とすることで、剛直なため、変形し難く、クリーニングブレード62の先端稜線部62cのめくれを抑制することができる。
【0042】
また、表面層623の材質としては、樹脂が好ましく、紫外線硬化樹脂がより好ましい。紫外線硬化樹脂を用いることで、クリーニングブレード62の先端稜線部62cに付着した樹脂に紫外線を照射させるだけで、弾性体ブレード622よりも硬い所望の硬度を有する表面層623を得ることができ、クリーニングブレード62を安価に製造することができる。
【0043】
表面層623の形成に用いる紫外線硬化樹脂としては、一官能基あたり分子量300〜1500のモノマーを用いることが好ましい。一官能基あたり分子量が1500を越えると、表面層623は脆弱になり過ぎ、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれて図8(b)のような先端面摩耗を生じてしまい、長期に渡るクリーニング性を保持できなくなる。逆に分子量300を下回ると、表面層623が剛直となり過ぎてしまう。表面層623が剛直となりすぎると、表面層623の耐摩耗性能の低下や、ビビリ音(異音)が発生しやすくなってしまう。
【0044】
また、表面層623の層厚(膜厚)は、0.1〜2[μm]が好ましい。なお、この層厚は、弾性体ブレード622の先端稜線部62cを除く先端面62aあるいはブレード下面62bの平面上における厚さであり、それは均一性の点から、その層厚に対して少なくとも50倍程度先端稜線部62cより離れた箇所での値とするものである。この層厚が0.1[μm]未満では、表面層623の剛性が弱くなり、クリーニングブレード62の先端稜線部62cがめくれやすくなってしまう。また、この層厚が2[μm]を超えると、クリーニングブレード62の先端稜線部62cの剛性が大きくなってしまい感光体3の表面形状変化への追随性の低下からトナーのすり抜けが増大してクリーニング不良が発生しやすくなる。さらに、層厚が2[μm]を超えると、クリーニングブレード62の先端稜線部62cのコーナー角が鈍角化してしまう。これはすなわち、スプレー塗工やディップ塗工のように、液体の材料を付着させて表面層623を形成するとき、先端稜線部62cは表面張力の関係で塗膜が形成されにくく、先端稜線部62cから離れるにつれて表面層623の膜厚は増加する傾向があるためである。その結果、クリーニングブレード62の先端稜線部62cのコーナー角度が鈍角となり、先端稜線部62cのコーナー角度が直角である場合に比べて、表面層623が形成された先端面62aと感光体3とがなす当接部の上流側の空隙X(図4参照)が狭くなってしまう。そうなると、長期に渡ってクリーニング動作を行うと空隙Xにトナーが堆積し、せき止められた空隙X内のトナーに逃げ場がなくなって、空隙X内のトナーが徐々に感光体3の下流側に押し出され、クリーニング不良が発生してしまうことになる。
【0045】
また本実施形態では、表面層623は、図3(b)に示すように、先端稜線部62cを跨いで先端面62aの一部とブレード下面62bの一部に形成され、先端稜線部62cを適度に補強している。すなわち、先端面62aには表面層623が形成されていない領域(非被覆領域)が存在し、その代わりにブレード下面62bの一部に表面層623が形成されている。
【0046】
ここで、表面層623の被覆する領域の面積は、先端面62aの面積(弾性体ブレード622の幅×厚さt)の1.00倍以上、2.50倍以下が好ましく、1.00倍以上、1.50倍以下がより好ましい。このとき、表面層623は先端面62a、ブレード下面62bそれぞれの全幅を被覆していることから、図3(b)に示すように、先端面62aにおいて表面層623で被覆されている領域の弾性体ブレード622の厚さ方向の長さ(先端稜線部62cからの距離)L1とブレード下面62bにおいて表面層623で被覆されている領域の弾性体ブレード622の幅方向に直交する方向の長さ(先端稜線部62cからの距離)L2の合計が、弾性体ブレード622の厚さtの1.00倍以上、2.50倍以下が好ましく、1.00倍以上、1.50倍以下がより好ましいといえる。
【0047】
また、表面層623は、先端面62aにおける弾性体ブレード622の厚さ方向の全長(厚さt)の略半分の領域に形成されているとよい。また、ブレード下面62bにおいて形成される表面層623の面積は、先端面62aに形成される表面層623の面積と略同じであることが好適である。
【0048】
また、先端稜線部62cの感光体3への当接のさせ方としては、表面層623を形成しない弾性体ブレード622の場合と、本発明のように表面層623を形成した弾性体ブレード622の場合とでは、当接条件が異なる。すなわち、表面層623を形成しない弾性体ブレード622の場合には、先端面62aと感光体3表面の成す角度であるクリーニング角を75〜80度、感光体3に対する線圧を20〜25g/cmとして、弾性体ブレード622が比較的強く感光体3に押し当てることにより該弾性体ブレード622を撓ませて感光体3表面に当接させることを行う。これに対して、本発明では、表面層623が形成された先端面62aと感光体3の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、感光体3表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、弾性体ブレード622が比較的軽い条件で感光体3に押し当てて当接させる(図4)。
【0049】
以上の構成のクリーニングブレード62を用いれば、先端稜線部62cを跨いで先端面62aの一部とブレード下面62bの一部に表面層623を形成することにより、弾性体ブレード622に適度な剛性と可撓性を付与することができるので、クリーニングブレード62を感光体3に当接させた際に、その当接部分(先端稜線部62c)が感光体3の移動方向へ移動してめくれるのを防止してえぐれ摩耗を抑制し、感光体3へのフィルミングを生ぜず、異音発生を防止できるようになる。さらに、弾性体ブレード622の当接部分(先端稜線部62c)は感光体3の表面形状変化に対して追随するので、感光体3の全幅において先端稜線部62cすなわち表面層623が常に所定の圧力で当接するようになり、感光体3表面を傷つけることなく長期間、良好なクリーニング性を維持することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
図5,図6を用いて、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態の構成について説明する。
図5は、本発明に係る画像形成装置に用いるクリーニングブレードの基本的構成例(2)を示す斜視図である。図5(a)はクリーニングブレード62の全体図、図5(b)は弾性体ブレード622の拡大図である。また、図6は、本発明に係る画像形成装置の第2の実施形態の構成を示す拡大断面図である。なお、本実施形態におけるクリーニングブレード62を構成する材料は、第1の実施形態と同じであり、表面層623の被覆状態が第1の実施形態のものと異なり、そのほかは第1の実施形態で示したものと同じである。
【0051】
すなわち、表面層623は、図5(b)に示すように、弾性体ブレード622の先端面62a全面のみに形成されている。すなわち、本実施形態では、ブレード下面62bに表面層623は形成されていない。
【0052】
また、先端稜線部62cの感光体3への当接条件は、第1の実施形態と同様に、表面層623が形成された先端面62aと感光体3の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、感光体3表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、弾性体ブレード622が比較的軽い条件で感光体3に押し当てて当接させる(図6)。
【0053】
以上の構成のクリーニングブレード62を用いれば、先端面62a全面のみに表面層623を形成することにより、弾性体ブレード622に適度な剛性と可撓性を付与することができるので、クリーニングブレード62を感光体3に当接させた際に、その当接部分(先端稜線部62c)が感光体3の移動方向へ移動してめくれるのを防止してえぐれ摩耗を抑制し、感光体3へのフィルミングを生ぜず、異音発生を防止できるようになる。さらに、弾性体ブレード622の当接部分(先端稜線部62c)は感光体3の表面形状変化に対して追随するので、感光体3の全幅において先端稜線部62cすなわち表面層623が常に所定の圧力で当接するようになり、感光体3表面を傷つけることなく長期間、良好なクリーニング性を維持することができる。
【実施例】
【0054】
以下、発明者らが行った本発明の検証実験について説明する。
〔実施例A〕
本発明の第1の実施形態において、弾性体ブレード622、表面層622の条件をそれぞれ変化させて、クリーニングブレード62(図3,図4)を作製し、耐久試験を行った。
[供試材]
弾性体ブレード622、表面層623の条件は次のとおりである。
(1)弾性体ブレード622
弾性体ブレード622としては、25[℃]における物性が以下の物性となっている5つのウレタンゴム(ウレタンゴムNo.A1〜A5)を用いた。
ウレタンゴムA1:硬度74度、反発弾性率49[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムA2:硬度69度、反発弾性率50[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムA3:硬度72度、反発弾性率31[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムA4:硬度71度、反発弾性率18[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムA5:硬度72度、反発弾性率23[%](シンジーテック製)
【0055】
なお、ウレタンゴムの硬度は、島津製作所製デュロメーターを用い、JIS K6253に準じて測定した。試料は厚さ6[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
また、ウレタンゴムの反発弾性は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
【0056】
(2)表面層623
表面層623としては、以下の5つの紫外線硬化樹脂膜(表面層No.1〜5)の材料を用いた。
(表面層1)
ウレタンアクリレートオリゴマー1:根上工業 UN−904 0.5部
ウレタンアクリレートオリゴマー2:根上工業 UN−2700 19.5部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 79部
塗膜硬度:鉛筆硬度2H
摩擦係数:0.6
(表面層2)
ウレタンアクリレートオリゴマー1:根上工業 UN−904 5部
ウレタンアクリレートオリゴマー2:根上工業 UN−2700 15部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 79部
塗膜硬度:鉛筆硬度3H
摩擦係数:0.5
(表面層3)
ウレタンアクリレートオリゴマー1:根上工業 UN−904 8部
ウレタンアクリレートオリゴマー2:根上工業 UN−2700 12部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 79部
塗膜硬度:鉛筆硬度6H
摩擦係数:0.45
(表面層4)
ウレタンアクリレートオリゴマー1:根上工業 UN−3320HA 5部
ウレタンアクリレートオリゴマー2:根上工業 UN−2700 15部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 79部
塗膜硬度:鉛筆硬度2H
摩擦係数:0.5
(表面層5)
ウレタンアクリレートオリゴマー1:根上工業 UN−904 20部
重合開始剤:チバスペシャリティーケミカルズ社 イルガキュア184 1部
溶媒:2−ブタノン 79部
塗膜硬度:鉛筆硬度9H
摩擦係数:0.4
【0057】
なお、表面層623の鉛筆硬度は、コーテック株式会社製鉛筆引っかき試験機KTVF−2380を用い、JIS K5600−5−4に準じて測定した。試料は、50[mm]×50[mm]のガラス板上に表面層623の材料を約5[μm]スプレー塗工したものとした。
また、表面層623の摩擦係数は、新東科学製トライボギアミューズ94iを用い、布材(トライボギアミューズ94i用標準品、アトラスエレクトリックデバイス社製クロックメーター用試験布)に対する最大静止摩擦係数を測定した。試料は、50[mm]×50[mm]のガラス板上にコーティング材料を約5[μm]スプレー塗工したものとした。
【0058】
[実験手順]
次に、検証実験の手順について説明する。
まず、前記ウレタンゴムA1〜A5のいずれかを用いて、厚さ(t)1.8mmの短冊形状の弾性体ブレード622を作成し、図3(b)に示すように、先端稜線部62c側となる先端面62a、ブレード下面62bのそれぞれの一部に、スプレー塗工により前記表面層1〜5のいずれかを形成した。具体的には、まず弾性体ブレード622の先端面62aに対し、10[mm/s]のスプレーガン移動速度にて所定の膜厚になるように重ね塗りを行い、3分間指触乾燥し、ついでブレード下面62bに同様に表面層が形成されるように塗工した。その後さらに3分間指触乾燥を行い、紫外線露光(140[W/cm]×5[m/min]×5パス)を行った。なお、このときスプレー塗工により表面層を形成する領域はマスキングテープにより制限して塗工を行った。
つぎに、得られた弾性体ブレード622をリコー製カラー複合機 imagio MP C4500に搭載できる板金ホルダー(ホルダー621)に接着剤により固定し、試作のクリーニングブレード62とした。
【0059】
これを同じくリコー製カラー複合機 imagio MP C4500(図1と同様の構成)に取り付け、実施例A1〜A5、比較例A1〜A3の画像形成装置を作製した。なお、クリーニングブレード62は、あらかじめ調べた先端食い込み量と取り付け角度により、所定の線圧、クリーニング角となるように取り付けた。
【0060】
検証実験には、重合法により作製したトナーを用いた。なお、トナーの物性は、以下のとおりである。
トナー母体:円形度0.98、平均粒径4.9[μm]
外添剤 :小粒径シリカ1.5部(クラリアント製H2000)
小粒径酸化チタン0.5部(テイカ製MT−150AI)
大粒径シリカ1.0部(電気化学工業製UFP−30H)
【0061】
[評価項目]
検証実験は、実験室環境:21[℃]・65[%RH]、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50000枚(コピー用紙A4横)を通紙して行った。
評価項目は以下のとおりである。
【0062】
(1)ブレードエッジ摩耗幅:図7に示すようにブレード下面62b側における摩耗幅を測定した。
(2)クリーニング不良発生:50000枚連続通紙後に以下の評価画像を形成して、クリーニング不良の有無を目視観察した。
評価時画像:縦帯パターン(紙進行方向に対して)43[mm]幅、3本チャート
出力20枚(コピー用紙A4横)
(3)異音発生:有無
(4)ブレード先端面62aのえぐれ摩耗の発生:有無(目視観察)
【0063】
以下に、実施例A1〜A5、比較例A1〜A3のクリーニングブレードの検証実験の条件及び結果を示す。
なお、表面層623の膜厚は、キーエンス製マイクロスコープVHX−100を用い、別途同様に塗工した弾性体ブレード622の断面により測定した。試料は日進EM製電子顕微鏡(SEM)試料作製用トリミングカミソリを用い、断面を切断したものを用いた。
【0064】
(実施例A1)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA2
・表面層623:表面層3
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.0[mm]
・・先端面62aにおける層厚:1.0[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:1.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:1.0[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):1.11
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:12[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:4.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0065】
(実施例A2)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA5
・表面層623:表面層1
・・先端面62aにおける形成長さL1:0.9[mm]
・・先端面62aにおける層厚:0.5[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:1.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:0.5[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):1.06
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:85[度]
・・線圧:13[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:5.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0066】
(実施例A3)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA1
・表面層623:表面層5
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.1[mm]
・・先端面62aにおける層厚:1.5[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:1.5[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:0.7[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):1.44
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:82[度]
・・線圧:15[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:6.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0067】
(実施例A4)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA4
・表面層623:表面層2
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.0[mm]
・・先端面62aにおける層厚:0.8[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:1.2[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:0.6[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):1.22
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:12[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:4.5[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0068】
(実施例A5)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA3
・表面層623:表面層4
・・先端面62aにおける形成長さL1:0.9[mm]
・・先端面62aにおける層厚:0.5[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:1.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:0.5[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):1.06
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:82[度]
・・線圧:10[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:3.5[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0069】
(比較例A1)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA4
・表面層623:表面層2
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.8[mm](全面)
・・先端面62aにおける層厚:2.0[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:10.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:2.5[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):6.56
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:15[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:12.5[μm]
・クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良2ヶ所
・異音発生:ビビリ発生
【0070】
(比較例A2)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA1
・表面層623:表面層1
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.8[mm](全面)
・・先端面62aにおける層厚:5.0[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:3.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:5.0[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):2.67
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:79[度]
・・線圧:20[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:15.0[μm]
・クリーニング不良発生:スジ状クリーニング不良4ヶ所
・異音発生:ビビリ発生
・先端面えぐれ摩耗発生
【0071】
(比較例A3)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムA2
・表面層623:表面層3
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.7[mm]
・・先端面62aにおける層厚:8.0[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:5.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:10.0[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):3.72
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:77[度]
・・線圧:22[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:9.0[μm]
・クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良3ヶ所
・異音発生:ビビリ発生
・先端面えぐれ摩耗発生
【0072】
【表1】

【0073】
表1は、実施例A1〜A5、比較例A1〜A3の検証実験の結果をまとめたものである。
実施例A1〜A5においては、いずれも経時にわたりブレードエッジ摩耗を抑え良好なクリーニング性を維持することができ、クリーニングブレード62の先端面62aのえぐれ摩耗、及び異音の発生も抑えることができた。
一方、比較例A1〜A3では、同様の当接条件を採用した場合でも、経時で像担持体表面へのフィルミングや、異音の発生、さらには摩耗の増大を生じる結果となった。例えば、表面層623の面積比が所定範囲を超えると、経時での感光体3表面へのフィルミングや異音の発生を生じることがあると考えられる。また先端面62aとブレード下面62bにおける表面層623の層厚が所定範囲にない場合にはブレード摩耗の増大や異音の発生を生じることがあり、良好なクリーニング性を保つことができないと考えられる。
以上のことから、ブレード先端において表面層623が所定の条件で局所的に形成され、あわせて当接条件を特定の条件に限定することで、ブレード先端の運動性低下生じず、良好なクリーニング性を維持でき、感光体3へのフィルミングやブレード自体の異音発生を抑制できると考えられる。
【0074】
〔実施例B〕
本発明の第2の実施形態において、弾性体ブレード622、表面層623の条件をそれぞれ変化させて、クリーニングブレード62(図5,図6)を作製し、耐久試験を行った。
【0075】
[供試材]
弾性体ブレード622、表面層623の条件は次のとおりである。
(1)弾性体ブレード622
弾性体ブレード622としては、25[℃]における物性が以下の物性となっている5つのウレタンゴム(ウレタンゴムNo.B1〜B4)を用いた。
ウレタンゴムB1:硬度69度、反発弾性率50[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムB2:硬度72度、反発弾性率31[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムB3:硬度75度、反発弾性率45[%](東洋ゴム工業製)
ウレタンゴムB4:硬度76度、反発弾性率32[%](シンジーテック製)
【0076】
なお、ウレタンゴムの硬度は、島津製作所製デュロメーターを用い、JIS K6253に準じて測定した。試料は厚さ6[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
また、ウレタンゴムの反発弾性は、東洋精機製作所製No.221レジリエンステスタを用い、JIS K6255に準じて測定した。試料は厚さ4[mm]以上となるように約2[mm]のシートを重ね合わせたものとした。
【0077】
(2)表面層623
表面層623としては、実施例Aと同じ5つの紫外線硬化樹脂膜(表面層No.1〜5)の材料を用いた。
【0078】
[実験手順]
次に、検証実験の手順について説明する。
まず、前記ウレタンゴムB1〜B4のいずれかを用いて、厚さ(t)1.8mmの短冊形状の弾性体ブレード622を作成し、図5(b)に示すように、先端面62aの全面のみに、スプレー塗工により前記表面層1〜5のいずれかを形成した。具体的には、まず弾性体ブレード622の先端面62aに対し、10[mm/s]のスプレーガン移動速度にて所定の膜厚になるように重ね塗りを行い、3分間指触乾燥した。なお、一部の比較試料についてはブレード下面62bに同様に表面層が形成されるように塗工しその後さらに3分間指触乾燥を行った。ついで紫外線露光(140[W/cm]×5[m/min]×5パス)を行った。なお、このときスプレー塗工により表面層を形成する領域はマスキングテープにより制限して塗工を行った。
つぎに、得られた弾性体ブレード622をリコー製カラー複合機 imagio MP C4500に搭載できる板金ホルダー(ホルダー621)に接着剤により固定し、試作のクリーニングブレード62とした。
【0079】
これを同じくリコー製カラー複合機 imagio MP C4500(図1と同様の構成)に取り付け、実施例B1〜B5、比較例B1〜B5の画像形成装置を作製した。なお、クリーニングブレード62は、あらかじめ調べた先端食い込み量と取り付け角度により、所定の線圧、クリーニング角となるように取り付けた。
【0080】
検証実験には、重合法により作製したトナーを用いた。なお、トナーの物性は、以下のとおりである。
トナー母体:円形度0.98、平均粒径4.9[μm]
外添剤 :小粒径シリカ1.5部(クラリアント製H2000)
小粒径酸化チタン0.5部(テイカ製MT−150AI)
大粒径シリカ1.0部(電気化学工業製UFP−30H)
【0081】
[評価項目]
検証実験は、実験室環境:21[℃]・65[%RH]、通紙条件:画像面積率5%チャートを3プリント/ジョブで、50000枚(コピー用紙A4横)を通紙して行った。
評価項目は以下のとおりである。
【0082】
(1)ブレードエッジ摩耗幅:図7に示すようにブレード下面62b側における摩耗幅を測定した。
(2)クリーニング不良発生:50000枚連続通紙後に以下の評価画像を形成して、クリーニング不良の有無を目視観察した。
評価時画像:縦帯パターン(紙進行方向に対して)43[mm]幅、3本チャート
出力20枚(コピー用紙A4横)
(3)異音発生:有無
(4)ブレード先端面62aのえぐれ摩耗の発生:有無(目視観察)
【0083】
以下に、実施例B1〜B5、比較例B1〜B5のクリーニングブレードの検証実験の条件及び結果を示す。
なお、表面層623の膜厚は、キーエンス製マイクロスコープVHX−100を用い、別途同様に塗工した弾性体ブレード622の断面により測定した。試料は日進EM製電子顕微鏡(SEM)試料作製用トリミングカミソリを用い、断面を切断したものを用いた。
【0084】
(実施例B1)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB1
・表面層623:表面層5(層厚0.1[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:82[度]
・・線圧:15[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:3.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0085】
(実施例B2)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB3
・表面層623:表面層3(層厚0.5[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:10[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:5.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0086】
(実施例B3)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB2
・表面層623:表面層1(層厚2.0[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:85[度]
・・線圧:13[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:7.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0087】
(実施例B4)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB1
・表面層623:表面層2(層厚1.0[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:82[度]
・・線圧:15[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:10.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0088】
(実施例B5)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB2
・表面層623:表面層4(層厚1.0[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:12[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:6.0[μm]
・クリーニング不良発生:なし
・異音発生:なし
【0089】
(比較例B1)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB1
・表面層623:表面層5
・・先端面62aにおける形成長さL1:1.8[mm](全面)
・・先端面62aにおける層厚:1.0[μm]
・・ブレード下面62bにおける形成長さL2:10.0[mm]
・・ブレード下面62bにおける層厚:1.0[μm]
・・先端面62a面積に対する面積比((L1+L2)/t):11.8
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:15[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:12.0[μm]
・クリーニング不良発生:スジ状クリーニング不良3ヶ所
・異音発生:ビビリ発生
【0090】
(比較例B2)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB4
・表面層623:表面層3(層厚5.0[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:80[度]
・・線圧:13[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:20.0[μm]
・クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良3ヶ所
・異音発生:ビビリ発生
【0091】
(比較例B3)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB2
・表面層623:なし
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:78[度]
・・線圧:18[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:9.0[μm]
・クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良2ヶ所
・異音発生:なし
・先端面えぐれ摩耗発生
【0092】
(比較例B4)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB2
・表面層623:表面層1(層厚2.0[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:86[度]
・・線圧:16[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:12.0[μm]
・クリーニング不良発生:帯状クリーニング不良2ヶ所
・異音発生:なし
【0093】
(比較例B5)
・弾性体ブレード622:ウレタンゴムB1
・表面層623:表面層2(層厚1.0[μm])
・クリーニングブレード当接条件
・・クリーニング角:79[度]
・・線圧:9[g/cm]
・ブレードエッジ摩耗幅:15.0[μm]
・クリーニング不良発生:スジ状クリーニング不良2ヶ所
・異音発生:なし
【0094】
【表2】

【0095】
表2は、実施例B1〜B5、比較例B1〜B5の検証実験の結果をまとめたものである。
実施例B1〜B5においては、いずれも経時にわたりブレードエッジ摩耗を抑え良好なクリーニング性を維持することができ、クリーニングブレード62の先端面62aのえぐれ摩耗、及び異音の発生も抑えることができた。
一方、比較例において、同様の当接条件を採用した場合でも先端面62a以外に表面層を設けたり(比較例B1)、特定の弾性ブレードを用いると(比較例B2)、経時で感光体3表面へのフィルミングや、異音の発生、さらには摩耗の増大を生じる結果となった。また、表面層623と弾性体ブレード622の組み合わせでは、当接条件として、線圧15[g/cm]超、クリーニング角80[度]未満では、経時での感光体3表面へのフィルミングや摩耗の増大が認められた。
また、表面層623の層厚が0.1[μm]〜2[μm]の範囲にない場合にはブレード摩耗の増大や異音の発生を生じることがあり、良好なクリーニング性を保つことができなかった。
以上のことから、先端面62a全面のみに表面層623を形成する場合、弾性ブレード622を特定のものとするとともに表面層623を適切な層厚とし、あわせて当接条件を特定の条件に限定することで、ブレード先端の運動性低下を生じず、良好なクリーニング性を維持でき、感光体3へのフィルミングやブレード自体の異音発生を抑制できると考えられる。
【0096】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 プロセスカートリッジ
2 枠体
3 感光体
4 帯電装置
5 現像装置
6 クリーニング装置
7 転写装置
10 潤滑剤塗布装置
14 転写ベルト
51 現像ローラ
52 供給スクリュ
53 攪拌スクリュ
54 ドクタ
62,92 クリーニングブレード
62a,92a 先端面
62b,92c ブレード下面
62c,92c 先端稜線部
101 ファーブラシ
103 固形潤滑剤
621 ホルダー
622 弾性体ブレード
623 表面層
L 光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特許第3602898号公報
【特許文献2】特開2004−233818号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像手段と、該像担持体表面のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体表面に当接して該像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、を備えた画像形成装置において、
前記クリーニングブレードは、
前記像坦持体の移動方向に直交する方向の長さに対応する幅をもつ短冊形状の弾性体基材と、
前記弾性体基材における先端面の前記像坦持体と当接する端部を含み該先端面の面積を基準とする所定面積の領域に形成され、前記弾性体基材よりも硬く、層厚が0.1〜2μmの表面層と、を備え、
前記表面層が形成された先端面と前記像坦持体表面の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、該像坦持体表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、前記像坦持体に当接していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記表面層は、前記弾性体基材の前記像坦持体と当接する端部側の先端稜線部を構成する先端面と前記像坦持体に対向する主面であるブレード下面のそれぞれの一部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記表面層は、前記先端面における前記弾性体基材の厚さ方向の全長の略半分の領域に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ブレード下面において形成される表面層の面積は、前記先端面に形成される表面層の面積と略同じであることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表面層は、前記弾性体基材の先端面全面のみに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記弾性体基材は、ウレタン基を含むゴムからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
像担持体と、該像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体表面に形成された静電潜像を現像してトナー像化する現像手段と、該像担持体表面のトナー像を転写体に転写する転写手段と、該像担持体表面に当接して該像担持体表面に付着した残トナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニング手段と、を備えた画像形成装置に着脱可能であって、前記像坦持体と前記クリーニング手段とを一体に支持したプロセスカートリッジにおいて、
前記クリーニングブレードは、
前記像坦持体の移動方向に直交する方向の長さに対応する幅をもつ短冊形状の弾性体基材と、
前記弾性体基材における先端面の前記像坦持体と当接する端部を含み該先端面の面積を基準とする所定面積の領域に形成され、前記弾性体基材よりも硬く、層厚が0.1〜2μmの表面層と、を備え、
前記表面層が形成された先端面と前記像坦持体表面の成す角度であるクリーニング角を80〜85度、該像坦持体表面に対する線圧を10〜15g/cmとして、前記像坦持体に当接していることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−150203(P2012−150203A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7649(P2011−7649)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】