説明

画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】小径の静電潜像保持体であっても、形成される画像のスジの発生を抑制し得る板状清掃部材を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】外径27mm以下の静電潜像保持体31と、帯電手段32と、静電潜像形成手段と、トナー像形成手段33と、転写手段42と、静電潜像保持体31の回転方向に後端が向くように静電潜像保持体31周面からの法線に対して角度をもってその先端が当該周面に押し当てられ、当該周面側に位置しその先端部が当該周面に接触する清浄層、及び、その背面に位置する背面層の二層構造を有するクリーニングプレード35によって、転写後に残存する未転写トナーを除去して清浄化する清浄化手段34と、からなり、クリーニングプレード35における前記清浄層のダイナミック硬度wと前記背面層のダイナミック硬度rとの比(w/r)が2.2以上である画像形成装置及びプロセスカートリッジである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置においては、静電潜像保持体から被転写体にトナー像を転写した後に、静電潜像保持体周面に残ったトナーを除去するため、一般にクリーニング装置が配される。当該クリーニング装置としては、弾性体からなるクリーニングブレードを静電潜像保持体周面に接触させて、残留トナーを擦り取る方式が多く採用されている。
【0003】
近年では、画像形成ユニットの長寿命化が求められ、クリーニングブレードにも高耐久性が求められている。耐久性を高めつつ、静電潜像保持体の摩耗や、クリーニングブレードのへたりなどするべく、静電潜像保持体に接するクリーニング層と背面層とで異なる特性をもつ二層構造のクリーニングブレードが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、トナー付着体に当接する清浄層と、清浄層の裏面に設けられた背面層との二層からなり、清浄層のヤング率が8〜20MPaで且つ25℃における反発弾性が20〜40%であり、清浄層と背面層のヤング率、清浄層と背面層の肉厚の関係を規定し、清浄層及び背面層の全体のヤング率が7〜14MPaであるクリーニングブレード部材が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、同様に清浄層と背面層との二層からなり、清浄層の材料を規定するとともに、清浄層と背面層のヤング率、清浄層と背面層の肉厚の関係を規定し、清浄層及び背面層の全体のヤング率が5〜14.0MPaであるクリーニングブレード部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−193306号公報
【特許文献2】特開2009−31773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、小径の静電潜像保持体であっても、形成される画像のスジの発生を抑制し得るクリーニングブレードを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の<1>〜<3>に示す本発明により達成される。
<1> 外径が27mm以下の円筒状または円柱状で軸を中心に回転し、その周面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、
該静電潜像保持体周面を帯電する帯電手段と、
帯電された前記静電潜像保持体周面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像保持体周面に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記静電潜像保持体の回転方向に後端が向くように当該静電潜像保持体周面からの法線に対して角度をもってその先端が当該周面に押し当てられ、当該周面側に位置しその先端部が当該周面に接触する清浄層、及び、その背面に位置する背面層の二層構造を有するクリーニングブレードによって、転写後に残存する静電潜像保持体周面の未転写トナーを除去して清浄化する清浄化手段と、からなり、
前記クリーニングブレードにおける前記清浄層のダイナミック硬度wと前記背面層のダイナミック硬度rとの比(w/r)が、2.2以上であることを特徴とする画像形成装置。
【0009】
<2> 前記清浄層における、前記静電潜像保持体の周面に面する面から測定したダイナミック硬度wと、前記静電潜像保持体の周面に接する先端部の当該静電潜像保持体の回転方向に対向する面から測定したダイナミック硬度cとの比(w/c)が、0.8以上であることを特徴とする<1>に記載の画像形成装置。
【0010】
<3> <1>または<2>に記載の画像形成装置に着脱可能であって、少なくとも前記静電潜像保持体と前記清浄化手段とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0011】
<1>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、小径の静電潜像保持体でありながら、形成される画像中のスジの発生を抑制することができる。
【0012】
<2>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、小径の静電潜像保持体でありながら、形成される画像中のスジの発生をより抑制することができる。
【0013】
<3>にかかる発明によれば、本構成を具備しない場合に比べて、小径の静電潜像保持体でありながら、形成される画像中のスジの発生を抑制し得るプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の例示的一態様を示す実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置における画像形成エンジンのみを抜き出して拡大した概略構成図である。
【図3】図2の画像形成エンジンにおける板状清浄部材周辺部を抜き出した拡大断面図である。
【図4】板状清浄部材におけるダイナミック硬度の測定面を説明するための模式説明図である。
【図5】本発明のプロセスカートリッジの好適な一例の基本構成を概略的に示す模式断面図である。
【図6】板状清浄部材の取付状態を説明するための板状清浄部材周辺の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジについて詳細に説明する。
【0016】
[画像形成装置]
図1は、本発明の画像形成装置の例示的一態様を示す概略構成図である。なお、図1においては、装置の付随的装置構成や給紙装置、定着装置等の図示が省略されている。
【0017】
本実施形態の画像形成装置は、所謂タンデム型であり、図示された画像形成部の他、画像形成部などを制御する制御部や、例えば画像読取装置やパーソナルコンピュータ(PC)に接続され、これらから受信した画像データに画像処理を施す画像処理部等を含んで構成されている。
【0018】
画像形成部は、一定の間隔を置いて並列的に配置される4つの画像形成エンジン30Y,30M,30C,30K(以下、個々の画像形成エンジンを単に「画像形成エンジン30」と称する場合がある。)を備えている。
【0019】
図2に、画像形成エンジン30のみを抜き出して拡大した概略構成図を示す。図2に示されるように、画像形成エンジン30は、静電潜像が形成される静電潜像保持体の一例であり矢印A方向に回転する感光体ドラム31、感光体ドラム31の表面を一様に帯電する帯電手段の一例である帯電ロール32、感光体ドラム31表面に形成された静電潜像を現像するトナー像形成手段の一例である現像装置33、感光体ドラム31表面の未転写トナー等を除去する清浄化手段の一例であるクリーニング装置34を備えている。また、画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kのそれぞれの感光体ドラム31をレーザ光26で走査露光して、感光体ドラム31表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例である不図示の露光装置が設けられている。
【0020】
各画像形成エンジン30は、現像装置33に収納されたトナー(現像剤)の色や種類が異なることを除いて、略同様に構成されている。そして、画像形成エンジン30Y,30M,30C,30Kの各々では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーが現像装置33に収納され、これら各色のトナー像がそれぞれ形成される。
【0021】
感光体ドラム31は、静電潜像保持体の一例であり、全体としてドラム状に形成されたもので、その外周面(ドラム表面)に感光層を有している。この感光体ドラム31は図2の矢印A方向に回転可能に設けられている。
【0022】
感光体ドラム31は、少なくとも潜像(静電荷像)が形成される機能を有するものであり、電子写真感光体が好適なものとして挙げられる。感光体ドラム31は、円筒状(本発明においては、円筒状であることは要求されず、内部が中空でない円柱状であっても構わない。)の導電性の基体外周面に有機感光層等を含む感光層が形成されてなる。この感光層は一般的に、基体表面に必要に応じて下引き層が形成され、さらに電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。
【0023】
これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質及び電荷輸送物質の両方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光層に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
【0024】
帯電ロール32は、感光体ドラム31の表面を一様に帯電する帯電手段の一例である。帯電手段としては、本例の如く、導電性または半導電性の接触型帯電器である帯電ロール32を用いてもよいが、コロトロンなどの非接触型帯電器を用いてもよい。帯電ロール32を用いた場合には、感光体ドラム31に対し、直流電流を印加するか、交流電流を重畳させて印加してもよい。このような帯電ロール32により、感光体ドラム31との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることにより感光体ドラム31表面を帯電させることができる。
【0025】
帯電手段によって感光体ドラム31の表面は、通常、−300V〜−1000Vに帯電される。また、前記の導電性または半導電性の帯電ロールは単層構造あるいは多重構造でもよい。さらに、帯電ロールの表面をクリーニングする機構を設けてもよい。
【0026】
露光装置は、帯電ロール32によって一様に帯電された感光体ドラム31に像様のレーザ光26を照射することにより、静電潜像を形成するものである。露光装置としては、特に制限はなく、例えば、静電潜像保持体周面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッター光等の光源を、所望の像様に露光する光学系機器等が挙げられる。
【0027】
現像装置33は、静電潜像保持体周面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有するものである。現像装置33としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよいが、例えば、静電荷像現像用のトナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤が収容され、当該磁性キャリアによって形成された磁気ブラシにより、トナーを感光体ドラム31に付着させる現像器等が挙げられる。現像の際、感光体ドラム31には、通常直流電圧が使用されるが、さらに交流電圧を重畳させて使用してもよい。
【0028】
一次転写装置42は、感光体ドラム31との間で中間転写ベルト41を挟持しつつ、感光体ドラム31表面に形成されたトナー像を無端状の中間転写ベルト41の外周面に転写(一次転写)するものである。
【0029】
一次転写装置42としては、例えば、中間転写ベルト41の裏側からトナー像のトナーとは逆極性の電荷を与え、静電気力によりトナー像を中間転写ベルト41表面に転写するもの、あるいは中間転写ベルト41の裏面に直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロール及び転写ロール押圧装置を用いればよい。
【0030】
転写ロールには、感光体ドラム31に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロールは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、周速等に応じて、各種条件乃至諸元を適宜設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロールとして単層の発泡ロール等が好適に用いられる。
【0031】
クリーニング装置34は、転写後に感光体ドラム31表面に残ったトナー等を、クリーニングブレード35によってクリーニング(除去)するものである。クリーニングブレード35は、その後端が感光体ドラム31の回転方向(矢印A方向)に向くように当該感光体ドラム31の周面からの法線に対して角度をもってその先端が当該周面に押し当てられる。
【0032】
それぞれの画像形成エンジン30において、感光体ドラム31表面が、帯電ロール32によって一様に帯電され、露光装置で画像情報に基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分の潜像が形成され、これに応じてそれぞれの色のトナーが収容された現像装置33により未定着トナー像が各感光体ドラム31に形成される。それぞれの感光体ドラム31表面に形成された各色の未定着トナー像は、一次転写装置42によって順次中間転写ベルト41の表面に積層転写される構成となっている。
【0033】
中間転写ベルト41は、図示しない回転駆動源により回転駆動する駆動ロール43と、従動回転して中間転写ベルト41を支持する支持ロール44,45と、二次転写装置46における二次転写ロール40と、からなる複数のロールに張り渡されるとともに、支持ロール44と支持ロール45との間で、前記各画像形成エンジン30における感光体ドラムの一次転写位置を通過する状態で配設されている。中間転写ベルト41は駆動ロール43によって矢印C方向に周動回転する。
【0034】
中間転写ベルト41としては、特に制限はなく、従来公知のものが問題なく使用可能であるが、例えば、ベルト基材表面に表面層を積層形成した2層構造のものが使用される。
【0035】
中間転写ベルト41に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
【0036】
二次転写装置46は、中間転写ベルト41を挟むような状態で対向配設される二次転写ロール40とバックアップロール49とでその主要部が構成されている。このバックアップロール49と中間転写ベルト41との間に形成されるニップ部に用紙Pを挿通し、静電的作用を施すことで、中間転写ベルト41表面の未定着トナー像を用紙P表面に転写するように構成されている。二次転写装置46としては、特に制限はなく、従来公知の構成を問題なく採用することができる。具体的には、既述の一次転写装置42と同様の構成の物を適用することができる。
【0037】
また、不図示の定着装置は、記録媒体に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧等より定着するものである。広く採用されている2ロール方式の他、加熱側または加圧側がベルト状で他方がロール状のベルト−ロールニップ方式、加熱側及び加圧側の双方ともベルト状の2ベルト方式等が挙げられる。ベルトについては、複数のロールでベルトを張架する方式の他、ベルトを張架せずに用いるフリーベルト方式も挙げられる。本発明においては、いずれの方式の定着装置であっても構わない。
【0038】
トナー像が転写されて最終的な記録画像が形成される用紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録媒体の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用される。
【0039】
本実施形態の画像形成装置において、画像読取装置やパーソナルコンピュータから入力された画像データは、適宜画像処理が施され、不図示のレーザ露光装置に供給される。そして、帯電ロール32により感光体ドラム31の表面が予め定められた電位に一様に帯電された後、前記レーザ露光装置により、前記画像データで変調されたレーザ光26が感光体ドラム31に走査露光される。
【0040】
これにより、感光体ドラム31表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像装置33により現像され、例えばマゼンタ(M)の画像形成エンジン30Mでは、感光体ドラム31表面にはマゼンタのトナー像が形成される。同様にして、画像形成エンジン30Y,30C,30Kにおいて、イエロー、シアン、黒のトナー像が形成される。
【0041】
各画像形成エンジン30にて形成された各色トナー像は、図1の矢印C方向に回転する中間転写ベルト41表面に、一次転写装置42により順次静電的に一次転写され、中間転写ベルト41表面に重畳されたトナー像が形成される。
【0042】
一方、一次転写時に感光体ドラム31表面に残留した未転写トナー等は、一次転写装置42の下流側に配設されたクリーニング装置34により除去される。クリーニング装置34は、感光体ドラム31の周面にその先端が接触するように配されたクリーニングブレード35を備えている。
【0043】
中間転写ベルト41表面に形成された重畳トナー像は、中間転写ベルト41の矢印C方向への搬送移動に伴って二次転写ロール40とバックアップロール49とが配設された二次転写部に向けて搬送される。一方、用紙Pは、不図示の用紙供給手段及び搬送路を経由した後、二次転写ロール40及びバックアップロール49からなる二次転写部の位置まで供給・搬送される。
【0044】
重畳トナー像が当該二次転写部に搬送されると、そのタイミングに合わせて用紙Pが供給され、二次転写ロール40とバックアップロール49との間に形成された転写電界の作用により、重畳トナー像は用紙P表面に一括して静電的に二次転写される。
【0045】
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト41から剥離され、不図示の定着装置まで搬送される。定着装置に搬送された用紙表面の未定着トナー像は、熱および圧力による定着処理を受けることで用紙に定着される。そして定着画像が形成された用紙は、そのまま矢印B方向に搬送され、装置外部に排出される。
【0046】
一方、二次転写後に中間転写ベルト41表面に残留した未転写トナー等は、二次転写の終了後に中間転写ベルト41に接触配置されたベルトクリーナ46によって除去される。
【0047】
本実施形態におけるクリーニングブレード35の拡大断面図を図3に示す。図3に示されるように、クリーニングブレード35は、感光体ドラム31の周面にその先端が接触する側の清浄層351と、清浄層351の裏面に設けられた背面層352との二層構造を有するものである。本実施形態においては、清浄層351の肉厚を0.5mm、背面層の肉厚を1.4mmとしたが、勿論本発明においては、これらの厚みは適宜設計することができる。
【0048】
このとき、清浄層の肉厚としては、清浄層のダイナミック硬度が板状清浄部材全体のバネ定数にほとんど影響しない、あるいは影響が少ない範囲となるように設定することが望ましい。具体的には、清浄層の肉厚としては、0.2〜0.7mmの範囲から選択され、背面層の肉厚としては、1.3〜1.6mmの範囲から選択される。
【0049】
これら二層の材質に制限はなく、従来公知のはウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。中でも、耐摩耗性に優れていることから、特にポリウレタン弾性体を用いることが好ましい。特許文献1や特許文献2に規定するような適度な弾性や強度を有することが好ましく、その観点からもポリウレタンを好適な材料として例示することができる。
【0050】
より具体的には、例えば、清浄層351としては、ポリオール、ポリイソシアネート、及び融点が80℃以下のジアミノ化合物を含むポリウレタン組成物を硬化・成形してなる注型タイプのポリウレタン部材を好適なものとして例示することができる。かかる清浄層351は、温度依存性が小さく、比較的高硬度で、破断伸びや引張強度等の機械的強度が高く、耐磨耗性に優れたものとなる。
【0051】
一方、背面層352としては、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、短鎖ジオール、及び短鎖トリオールを含むポリウレタン組成物を硬化・成形してなる注型タイプのポリウレタン部材を好適なものとして例示することができる。
【0052】
以上の如き材料からなるクリーニングブレード35は、高硬度で耐磨耗性に優れたポリウレタン部材を清浄層351とし、清浄層351の耐ヘタリ性等の特性を補うべく清浄層351の裏面に背面層352を設けて二層構成とすることで、感光体ドラム31と接する清浄層351を高硬度化してもクリーニングブレード35のヘタリや、感光体ドラム31表面の想定以上の摩耗、感光層の剥がれやキズ等の発生が抑制される。そのため、当該構造のクリーニングブレード35によれば、長期にわたって安定的に感光体ドラム31を清浄化することが期待できる。
【0053】
一方、本実施形態において、感光体ドラム31は、円筒管の表面にいわゆる有機感光層(一般にOPC層と称される。)が形成されたものであり、その径は26mmφである。近年、装置の小型化の要請等により、静電潜像保持体の小径化が進んでおり、本実施形態の如く、その径が27mmφ以下(好ましくは26mmφ以下、より好ましくは25mmφ以下。)の小径の静電潜像保持体の要求が高まっている。静電潜像保持体の径を小さくすると、トナーの外添剤が板状清浄部材をすり抜け、帯電装置が汚染される等によって画像にスジが発生しやすくなる。これは、感光体ドラムの径が小さくなればなるほど、板状清浄部材との接触箇所におけるブレの影響が大きくなり、より高い設計精度が求められるためであると考えられる。そのため、清浄対象である静電潜像保持体が小径化しても、外添剤が板状清浄部材をすり抜けることを安定して抑制し、帯電装置の汚染を防ぐことが望まれる。
【0054】
本実施形態においては、クリーニング装置34に用いるクリーニングブレード35における、清浄層351のダイナミック硬度wと背面層352のダイナミック硬度rとの比(w/r)を高めに設定している。両層間に一定以上の硬度差を与えることで、背面層352が変形しやすく、清浄層351での変形が小さくなるため、小径の感光体ドラム31の如く、清浄対象面の曲率が大きい場合であっても、クリーニングブレード35の先端付近で安定したニップ状態を維持することができ、外添剤のすり抜けを安定的に抑制することができる。
【0055】
図4は、クリーニングブレード35におけるダイナミック硬度の測定面を説明するための模式説明図である。清浄層351のダイナミック硬度wは図中矢印wに示す方向から測定し、背面層352のダイナミック硬度rは図中矢印rに示す方向から測定する。このとき、何れも各面の中央近辺を測定する。
【0056】
本発明において、この清浄層のダイナミック硬度wと背面層のダイナミック硬度rとの比(w/r)(以下、単に「ダイナミック硬度比(w/r)」と表記する場合がある。)は、2.2以上であることが求められ、好ましくは2.4以上である。
【0057】
一方、ダイナミック硬度比(w/r)の上限としては、3.6以下にすることが好ましい。背面層のダイナミック硬度rに比べて清浄層のダイナミック硬度wが大きくなりすぎると、清浄層のダイナミック硬度wのダイナミック硬度向上による磨耗や摺擦による静電潜像保持体周面のダメージ抑制効果は期待できるものの、転写残りトナーや外添剤のクリーニング性が低下し、帯電部材を汚染し、濃度むらや線、スジとなって形成される画像に現れることになる。これは、板状清浄部材の先端部が、静電潜像保持体周面と密着性が低下したり、欠けやすくなることによるものと考えられる。そのため、上記の如く、ダイナミック硬度比(w/r)の上限としては3.6以下にすることが好ましい。
【0058】
なお、ダイナミック硬度とは、「ダイナミック微小硬度」とも称され、圧子の押し込み過程における深さ(弾性変形分+塑性変形分)に基づく硬度指標であり、微小領域での硬度測定において一般的に常用されている。具体的には、専用の測定器による測定結果から、下記式(1)によって求めることができる。
【0059】
ダイナミック硬度=3.8584×P/D2 ・・・式(1)
(上記式(1)中、Pは試験荷重(mN)を、Dは押し込み深さ(μm)をそれぞれ表す。)
【0060】
本実施形態においては、島津製作所製ダイナミック微小硬度計DUH−W201を用い、試験荷重P=1mN、三角錐圧子(稜間角=115°、ダイヤモンド/先端R=0.1μm以下)、24〜25℃/50〜60%RHの測定環境下の条件で測定した。測定は、それぞれ5箇所行い、その平均値を採用した。
【0061】
背面層のダイナミック硬度rは、その機能として求められるバネ定数から自ずとその範囲が決まってくるが、具体的には0.05〜0.07程度の範囲から選択される。清浄層のダイナミック硬度wは、既述の通り、背面層のダイナミック硬度rとの関係で適宜選択される。
【0062】
背面層と清浄層の各ダイナミック硬度の調整は、用いる材質に応じて、その材質の製造に即した従来公知の知見によって制御すればよい。例えば、ポリウレタンによってこれら各層を形成する場合には、材料となるポリオール、ポリイソシアネートのベース材料や配合比、架橋剤材料や配合、反応時間や温度、成型後の熟成時間や温度などを制御することでダイナミック硬度を制御すればよい。たとえば、硬化反応時の時間を長くすれば硬化が進行して硬度は高くなり、短くすれば硬度は低くなる。また、反応温度を高くすればより反応が進行しやすくなる。実際に制御する項目は前述の項目だけでなく、従来公知の知見によって項目を選択、組み合わせればよく、これにより所望のダイナミック硬度になるよう制御すればよい。
【0063】
また、清浄層のダイナミック硬度wと背面層のダイナミック硬度rは、それぞれの表出している面から測定を行った(最大深さ10μmまで)。
【0064】
清浄層351単体においても、感光体ドラム31の周面に面する面(図4中の矢印w。以下、「先端面」と称する場合がある。)から測定したダイナミック硬度wと、感光体ドラム31の周面に接する先端部の感光体ドラム31の回転方向に対向する面(図4中の矢印c。以下、「平板面」と称する場合がある。)から測定したダイナミック硬度cとの比(w/c)が0.8以上であることが好ましい。
【0065】
本発明者らの研究の結果、清浄層351において、平板面(矢示c)は先端面(矢示w)から測定した場合に比して、硬度が低くなり易くなる傾向にあることがわかったが、先端面に対する平板面の硬度を一定以上高めること、具体的には清浄層351における平板面(矢示c)のダイナミック硬度と先端面(矢示w)のダイナミック硬度の比(w/c)(以下、単に「ダイナミック硬度比(w/c)」という場合がある。)を0.8以上にすることで、外添剤のすり抜けをより一層安定的に抑制することができ、これに起因した、形成される画像中のスジの発生をより抑制することができる。このとき、何れも各面の中央近辺(先端面については、清浄層351先端部の端面の厚み方向の中央近辺)を測定する。
【0066】
なお、既述の「清浄層のダイナミック硬度wと背面層のダイナミック硬度rとの比(w/r)」における「清浄層のダイナミック硬度w」と、上記「静電潜像保持体の周面に面する面から測定したダイナミック硬度wと、静電潜像保持体の周面に接する先端部の静電潜像保持体の回転方向に対向する面から測定したダイナミック硬度cとの比(w/c)」における「静電潜像保持体の周面に面する面から測定したダイナミック硬度w」とは、表現は異なるが実質的に同一の箇所を測定したものである。
【0067】
清浄層における先端面及び平板面の各ダイナミック硬度の調整は、用いる材質に応じて、その材質の製造に即した従来公知の知見によって制御すればよい。例えば、ポリウレタンによってこれら各層を形成する場合には、材料となるポリオール、ポリイソシアネートのベース材料や配合比、架橋剤材料や配合、反応時間や温度、成型後の熟成時間や温度などを制御することでダイナミック硬度を制御すればよい。たとえば、硬化反応時の時間を長くすれば硬化が進行して硬度は高くなり、短くすれば硬度は低くなる。また、反応温度を高くすればより反応が進行しやすくなる。実際に制御する項目は前述の項目だけでなく、従来公知の知見によって項目を選択、組み合わせればよく、これにより所望のダイナミック硬度になるよう制御すればよい。即ち、先端面と平板面とで、適宜所望のダイナミック硬度になるようにそれぞれの条件を調整すればよい。
【0068】
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明の画像形成装置を詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では色数分の静電潜像保持体、帯電手段、トナー像形成手段、清浄化手段等を有する各色画像形成ユニットを中間転写体に対向させて並列に配置して、それぞれのユニットで形成された各色のトナー像を中間転写媒体に一次転写して順次積層し、一括して記録媒体に二次転写する、一般的にタンデム方式と呼ばれる画像形成装置を例示しているが、色数分の現像器を有するロータリー現像装置によって、1つの静電潜像保持体に各色の潜像を形成して、その都度中間転写体に転写する構成の装置に適用してもよい。また、タンデム方式の場合にも、各色画像形成ユニットを並列に配置する際に、物理的に直線状でなくても構わない。
【0069】
本発明の画像形成装置は、上記実施形態で説明した各構成要素に加えて、その他従来公知の、あるいは公知ではない各種構成を付加することができ、その付加によってもなお本発明の画像形成装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。例えば、清浄化手段の後工程として、除電手段を設けることもできる。なお、除電手段については、プロセスカートリッジの項において概説する。
【0070】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の画像形成装置を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の画像形成装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0071】
[プロセスカートリッジ]
本発明において、「プロセスカートリッジ」とは、画像形成装置における構成要素の内の2つ以上を一体的に備え、メンテナンスや補修、消耗品の定期交換等の目的で、画像形成装置本体から脱着可能に構成されている構成要素の集合体を意味する。本発明においては、画像形成装置における構成要素の内、少なくとも静電潜像保持体及び清浄化手段を含み、他の構成要素は任意である。
【0072】
図5は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一例の基本構成を概略的に示す模式断面図である。図5に示すプロセスカートリッジ100においては、矢印E方向に回転する静電潜像保持体131と共に、帯電器(帯電手段)132、現像装置(トナー像形成手段)133及びクリーニング装置(清浄化手段)134を含み、外装には露光のための開口部118及び除電露光のための開口部117が設けられ、さらに取付レール116が取り付けられて、これらが一体化してなるものである。なお、静電潜像保持体131及びクリーニング装置134は、先に述べた本発明の特徴を具備するものである。
【0073】
このプロセスカートリッジ100は、一次転写装置142と、中間転写ベルト141と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在になっており、画像形成装置本体と共に画像形成装置を構成する。
【0074】
静電潜像保持体131、帯電器(帯電手段)132、クリーニング装置(清浄化手段)134及び中間転写ベルト141としては、既に画像形成装置の実施形態の項で説明しているため、詳細は割愛するが、プロセスカートリッジ100においても同様の物を用いることができる。
【0075】
静電潜像保持体131表面に現像されたトナー像を中間転写ベルト141に転写する一次転写装置142についても、画像形成装置の実施形態の項で、一次転写手段及び二次転写手段の双方をまとめて「転写手段」として説明した内容が、プロセスカートリッジ100においてもそのまま当てはまるため、詳細な説明は割愛する。
【0076】
不図示の除電装置(光除電装置)としては、例えば、タングステンランプ、LED等が挙げられ、光除電プロセスに用いる光質としては、例えば、タングステンランプ等の白色光、LED光等の赤色光等が挙げられる。該光除電プロセスにおける照射光強度としては、通常、静電潜像保持体の半減露光感度を示す光量の数倍乃至30倍程度になるよう出力設定される。
【0077】
本例のプロセスカートリッジ100においては、開口部117からこのような除電装置からの光が取り込まれ、静電潜像保持体131表面が除電される。
【0078】
一方、不図示の露光装置(露光手段)からの像様の露光光は、本例のプロセスカートリッジ100において、開口部118から取り込まれ、静電潜像保持体131表面に照射されて静電潜像が形成される。
【0079】
図5で示すプロセスカートリッジ100では、静電潜像保持体131及び現像装置133と共に、帯電器132、クリーニング装置134、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、本発明においては、これら装置等は選択的に組み合わせることが可能である。本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像保持体及びクリーニング装置134等の清浄化手段を必須構成とし、他の構成は任意的要素である。
【0080】
このような本発明のプロセスカートリッジは、先に述べた本発明の画像形成装置に装着される。先に述べた図1に示される実施形態の画像形成装置に装着される場合には、当該プロセスカートリッジが、各画像形成エンジン30またはその一部を構成する。本発明のプロセスカートリッジによれば、本発明に基づく優れた作用・効果を奏する。
【0081】
[検証試験]
図1及び図2に示す画像形成装置について、感光体ドラム31の径やクリーニングブレード35の硬度を振って、本発明の作用乃至効果についての検証試験を行った。なお、特に断りのない限り、単に「部」「%」とあるのは全て質量基準である。
【0082】
本検証試験で使用したトナーは、乳化重合法により調製した黒(K)色のトナーであり、コールターカウンター(コールター社製)で測定した体積平均粒径が5.8μmのトナーであった。トナー粒径は必ずしもこの限りではなく、3〜7μmであればよい。また、本検証試験で用いたトナーの形状は、光学顕微鏡(ミクロフォトFXA;ニコン社製)で得た拡大写真をイメージアナライザーLuzex3(NIRECO社製)により画像解析を行って下式(2)により算出した形状係数SF1が130〜140のものを用いた。
【0083】
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・式(2)
上記式(2)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
【0084】
トナーの形状係数SF1は、トナーの投影面積と、それに外接する円の面積の比で表しされる円形度(真球度)の指標であり、真球の場合100となり、形状が崩れるにつれ増加する。この形状係数SF1は、トナーの粒子複数個に対して計算され、その平均値を代表値とする。
【0085】
トナーには、平均粒径40nmのシリカ、140nmのシリカ及び40nm酸化チタンの無機微粒子を外添剤として、トナーに対してそれぞれ2.15質量%、1.73質量%及び0.88質量%外添した。また、クリーニングブレード35と感光体ドラム31表面との潤滑性を向上させるために平均粒径300nmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をトナーに対して0.2質量%外添した。これに、体積平均粒径35μmのフェライトビーズからなるキャリアを混合して、これを現像剤として、画像形成装置中黒(K)色の画像形成エンジン30Kにおける現像装置33に仕込んだ。なお、以降の説明において、各部材を示す符号については、色を示すアルファベットKの部分(例えば、「画像形成エンジン30K」における「K」の部分。)を省略する場合がある。
【0086】
また、感光体ドラム31として、22mmφ、24mmφ、26mmφ、28mmφ、30mmφ、40mmφの6種類の外径サイズの有機感光体を用意した。
【0087】
一方、清浄層351に用いるポリウレタン樹脂Aと、背面層352に用いるポリウレタン樹脂Bを所望の物性が得られるよう用意するとともに、それぞれの層の所望の物性を得るための成型条件によって各層を形成した。
【0088】
厚さ0.5mmのポリウレタン樹脂A及び厚さ1.4mmのポリウレタン樹脂Bを遠心成型により一体的に成型して、330mm×12.5mmの大きさのクリーニングブレードを製造した。なお、成型の際、背面層352が金型側になるようにしており、清浄層351の表面は空気側となる。
【0089】
得られたクリーニングブレード(後記表1中の「クリーニングブレード 」に相当。)における清浄層351のJIS−A硬度は78°、反撥弾性(JIS K6255に記載の方法による。)は43%であり、背面層352のJIS−A硬度は63°、反撥弾性(同上)は33%、永久伸び((引っ張り永久歪)JIS K6262に記載の方法による。)は0.5%であった。
【0090】
また、清浄層351のポリウレタン樹脂Bの組成及び成型条件を適宜変更することで清浄層の先端面cと平板面w(図4参照)のダイナミック硬度を変化させて、全体として10種類の、下記表1に示すダイナミック硬度比(w/r)及びダイナミック硬度比(w/c)となるクリーニングブレード1〜10を製造した。
【0091】
【表1】

【0092】
(試験A)
製造したクリーニングブレード1〜4を、画像形成エンジン30Kにおけるクリーニングブレード35(図1及び図2参照。)として取り付けた。この際の取り付け状態を説明するためのクリーニングブレード35周辺の拡大断面図を図6に示す。図6に示されるように、クリーニングブレード35は、感光体ドラム31の回転方向(矢印A方向)にその後端が向くように感光体ドラム31周面からの法線Lに対して角度をもってその先端が当該周面に押し当てられるように取り付けた。
【0093】
このとき、クリーニングブレード35は、図6に実線で示されるように、感光体ドラム31周面に押し当てられる負荷により撓った状態になっている。仮に感光体ドラム31周面が存在しないとした場合に、クリーニングブレード35が撓っていない状態が、図6中に点線で描かれているが、その場合のクリーニングブレード35の先端位置と、感光体ドラム31周面により退避した同先端位置との距離(Nip)を食い込み量、感光体ドラム31周面におけるクリーニングブレード35先端の接触点の接線と撓っていない状態のクリーニングブレード35の面とが成す角(BSA)をセットアングルと称する。
【0094】
図1及び図2に示す画像形成装置における帯電ロール32、クリーニングブレード35、及び感光体ドラム31を装着可能な、感光体ドラムの外径に対応した感光体ユニットを使用した。この感光体ユニットと、現像装置33、転写装置が装着可能で、バイアス印加可能なオフライン装置を使用した。露光装置にはLEDバーを使用しており、光量と点灯時間によって感光体の表面電位とトナー像作成幅を調整した。
【0095】
装置のプロセススピードは225mm/secとし、感光体ドラム31表面の帯電電位を−710V、露光手段による露光部電位を−300Vとした。現像装置33の現像ロールに−560Vの直流成分に振幅(ピーク・トゥ・ピーク電圧)を1.0kV、周波数6kHz、Duty60%の矩形波が重畳された現像バイアス電圧を印加してトナー像を形成した。このトナー像は中間転写ベルト41に転写され、さらに用紙Pに転写され、不図示の定着装置によって定着した。
【0096】
本検証試験では、実際の使用範囲における中心狙い(平常使用想定)の食い込み量Nip=1.2mm、セットアングルBSA=26°と、実際の使用範囲における下限狙い(トナーの外添剤がすり抜け易い条件想定)の食い込み量Nip=1.0mm、セットアングルBSA=24°の2条件で検証試験を行った。また、用意した全ての外径の感光体ドラムについて検証試験を行った。これら条件を振って、既述の4種のクリーニングブレードについて総当たりで試験を行った。
【0097】
検証試験は、1回にA4サイズの用紙(長手方向)3枚プリント相当の連続駆動と1回にA4サイズの用紙(長手方向)50枚相当の連続印刷を交互に行うものとし、気温28℃、湿度85%の環境と、気温10℃、湿度15%の2環境で、それぞれA4サイズ7000枚相当の駆動時間になるよう劣化テストを実施した。
【0098】
試験画像は、黒(K)色単色で、画像面積率にして1%に相当するサイズで、ラインとパッチ画像によって形成した。劣化テストの後、帯電ロール32を画像形成装置に装着可能な感光体ユニットに取り付け、画像密度30%及び50%のハーフトーン画像をプリントして、トナーの外添剤がクリーニングブレードをすり抜けたことに起因すると推測されるスジの発生状態の確認を行うとともに、帯電ロール表面を目視で観察することにより評価を実施した。結果を下記表2にまとめて示す。なお、評価基準は以下の通りである。
【0099】
○:スジが発生しない。
△:軽微なスジが発生した。
×:目視ではっきりとわかるスジが発生した。
【0100】
【表2】

【0101】
(試験B)
製造したクリーニングブレード5〜10を、(試験A)の場合と同様にして、画像形成エンジン30Kにおけるクリーニングブレード35(図1及び図2参照。)として取り付けた。なお、取付条件は、実際の使用範囲における下限狙い(トナーの外添剤がすり抜け易い条件想定)の食い込み量Nip=1.0mm、セットアングルBSA=24°の1つの条件のみとした。
【0102】
また、感光体ドラムは、外径22mmφの物のみを用いた。その他の条件は全て(試験A)の場合と同様にして検証試験を行い、同様の手法乃至評価基準で評価した。結果を下記表3にまとめて示す。
【0103】
【表3】

【符号の説明】
【0104】
26:レーザ光、 30Y,30M,30C,30K:画像形成エンジン、 30:画像形成エンジン、 31:感光体ドラム、 32:帯電ロール、 33:現像装置、 34:クリーニング装置、 35:クリーニングブレード、 40:二次転写ロール、 41:中間転写ベルト、 42:一次転写装置、 43:駆動ロール、 44,45:支持ロール、 46:ベルトクリーナ、 46:二次転写装置、 49:バックアップロール、 100:プロセスカートリッジ、 116:取付レール、 117,118:開口部、 131:静電潜像保持体、 132:帯電器、 133:現像装置、 134:クリーニング装置、 141:中間転写ベルト、 142:一次転写装置、 351:清浄層、 352:背面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径が27mm以下の円筒状または円柱状で軸を中心に回転し、その周面に形成された静電潜像を保持し得る静電潜像保持体と、
該静電潜像保持体周面を帯電する帯電手段と、
帯電された前記静電潜像保持体周面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像保持体周面に形成された静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像を被転写体に転写する転写手段と、
前記静電潜像保持体の回転方向に後端が向くように当該静電潜像保持体周面からの法線に対して角度をもってその先端が当該周面に押し当てられ、当該周面側に位置しその先端部が当該周面に接触する清浄層、及び、その背面に位置する背面層の二層構造を有するクリーニングブレードによって、転写後に残存する静電潜像保持体周面の未転写トナーを除去して清浄化する清浄化手段と、からなり、
前記クリーニングブレードにおける前記清浄層のダイナミック硬度wと前記背面層のダイナミック硬度rとの比(w/r)が、2.2以上であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清浄層における、前記静電潜像保持体の周面に面する面から測定したダイナミック硬度wと、前記静電潜像保持体の周面に接する先端部の当該静電潜像保持体の回転方向に対向する面から測定したダイナミック硬度cとの比(w/c)が、0.8以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置に着脱可能であって、少なくとも前記静電潜像保持体と前記清浄化手段とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−215729(P2012−215729A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81475(P2011−81475)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】