説明

画像形成装置及び後処理制御方法並びに後処理制御プログラム

【課題】複数の用紙からなる冊子をバインドする場合に、冊子の見開き側の端面が揃うように穴あけを行うことができる画像形成装置及び後処理制御方法並びに後処理制御プログラムの提供。
【解決手段】印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあけるパンチ実行部を備える画像形成装置において、複数の用紙からなる冊子を作成する際に、予め記憶されたバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定する制御部を備え、前記パンチ実行部は、各々の用紙に対して設定された穴位置に穴あけを行い、前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び後処理制御方法並びに後処理制御プログラムに関し、特に、穴あけ機能を備えた画像形成装置及び穴位置をページ毎に調整する後処理制御方法並びに後処理制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやデジタル複合機などの印刷装置(以下、画像形成装置と呼ぶ。)が普及している。この画像形成装置では、コンピュータ端末から送信される印刷ジョブに基づいて画像を形成し、帯電された感光体に画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ローラや転写ベルトなどの中間転写体を介して用紙に転写する処理を行う。
【0003】
上記画像形成装置には、穴あけや綴じ止め、製本など処理を行う後処理装置を備えたものもあり、印刷後の複数の用紙に対して上記後処理を行うことにより、冊子状の印刷物として出力することができる。
【0004】
上記後処理に関して、例えば、下記特許文献1には、予め出力する記録紙に綴じ代辺の中心を示す印をプロットすることにより、2つ穴の穴あけ機を用いた穴あけ作業時間の短縮を図り、ファイリング作業の効率化を図る画像形成装置が開示されている。また、下記特許文献2には、印刷された用紙の束をリング部材で綴じるときに、用紙の束の厚さに応じて適切なリング部材で綴じることができるリングバインド制御装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−102142号公報
【特許文献2】特開2008−94081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の方法では、リングバインドのための穴位置は全ての用紙で一定であり、用紙毎に穴位置を調整するものではないため、リングで綴じた後の冊子の見開き側の端面はリングの形状に応じて凸状になる。特に、複数の用紙で冊子を作成する際、束ねる用紙の枚数が多い場合やリングの径が小さい場合には端面が大きく湾曲してしまい、冊子の見栄えが著しく悪化するという問題があった。
【0007】
ここで、真円状(O型)のリングではなく、穴に通す部分がほぼ直線状になっているD型のリングを用いて綴じれば、冊子の見開き側の端面は平坦にすることができる。しかしながら、D型のリングで綴じると、直線部と湾曲部の接続部分で用紙の穴がリングに引っかかってしまい、ページがめくりにくくなるという問題が生じる。また、長年の使用により穴の部分で用紙が破れやすくなるという問題も生じる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、複数の用紙からなる冊子をバインドする場合に、冊子の見開き側の端面が揃うように穴あけを行うことができる画像形成装置及び後処理制御方法並びに後処理制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあけるパンチ実行部を備える画像形成装置において、複数の用紙からなる冊子を作成する際に、予め記憶されたバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定する制御部を備え、前記パンチ実行部は、各々の用紙に対して設定された穴位置に穴あけを行い、前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うようにするものである。
【0010】
また、本発明は、印刷ジョブを送信するコンピュータ端末と、前記印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあける機能を備える画像形成装置と、が通信ネットワークで接続されるシステムにおける後処理制御方法であって、前記画像形成装置は、複数の用紙からなる冊子の作成を指示する印刷ジョブを受信した場合、予め記憶したバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定し、前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うように穴あけを行うものである。
【0011】
また、本発明は、印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあける機能を備える画像形成装置で動作する後処理制御プログラムであって、コンピュータを、複数の用紙からなる冊子を作成する際に、予め記憶されたバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定する制御部、として機能させ、前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うように制御するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成装置及び後処理制御方法並びに後処理制御プログラムによれば、複数の用紙からなる冊子をバインドする場合に、冊子の見開き側の端面が揃うように穴あけを行うことができる。
【0013】
その理由は、各用紙のリングバインド用のパンチ穴の位置を、リングの形状に合わせて用紙毎に調整し、冊子の中央に近づくに従ってパンチ穴の位置が深くなるようにしているからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
従来から、リング系バインド製本において、見開き側の端面が不揃いになるという問題があるが、一般に印刷と製本とが別作業であるため、連動した細かい制御は困難であり、また、製本後の端面の処理が容易でないため、端面が不揃いになる問題を解決することができなかった。そのため、表紙を内部のページよりも大きくする等の方法で端面の不揃いを目立たなくさせていたが、この方法では問題の本質的な解決にはならなかった。
【0015】
そこで、本発明では、フルオンラインであるメリットを活かし、印刷ジョブの冊子のページ数、用紙の厚み、使用するリングの形状(内径、外径)等の情報を元に、各ページの穴位置(端面からの深さ等)を算出し、算出した位置にパンチ穴を開ける事によって、リングバインド後の冊子の端面を揃える。
【0016】
また、本発明では、フルオンラインであるメリットを活かし、穴位置がページ毎に若干異なる事によって発生する、本文の画像欠け等を防止するために、必要に応じて、本文画像部(余白以外の部分)をスライドさせたり、縮小する等の処理を行う。
【0017】
これらにより、表紙から本文、裏表紙まで同じサイズの用紙で構成できるため、オフィス等でよく使われる一般的な(本文、表紙同サイズの指定しかない)書類等でも、リング系バインド方式にて、揃った端面の冊子を達成できる。
【実施例】
【0018】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る画像形成装置及び後処理制御方法並びに後処理制御プログラムについて、図1乃至図11を参照して説明する。図1は、本実施例の印刷システムの構成を示す図であり、図2は、コンピュータ端末の構成、図3及び図4は、画像形成装置の構成を示す図である。また、図5及び図6は、コンピュータ端末と画像形成装置の動作を示すフローチャート図であり、図7は、バインドに関する情報を記述したテーブルの例を示す図である。また、図8及び図10は、コンピュータ端末と画像形成装置の表示部に表示される画面の一例を示す図であり、図9は、印刷ジョブの例を示す図であ、図11は、ページ毎の穴位置の違いを模式的に示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例の印刷システムは、印刷ジョブを送受信する1又は複数のコンピュータ端末10と、印刷ジョブを受信して印刷し、後処理を行って出力する1又は複数の画像形成装置20とで構成され、これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク30によって接続されている。
【0020】
また、図2に示すように、コンピュータ端末10は、制御部11と、表示部12と、操作部13などで構成される。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ11b、HDD(Hard Disk Drive)11c、通信I/F部11dなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU11aは、各部の制御を行う。メモリ11bは、HDD11c、通信I/F部11dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分であり、記憶されたデータはCPU11aによって処理され、必要に応じてHDD11cや通信I/F部11dに転送される。HDD11cは、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、印刷ジョブなどを格納し、CPU11aにより必要に応じて読み出され、メモリ11b上で実行処理される。通信I/F部11dは、通信ネットワーク30を介して繋がっている機器との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0022】
上記制御部11は、文書を作成するためのアプリケーションや文書の印刷を指示するプリンタドライバとして機能し、アプリケーションで作成した文書データは、プリンタドライバにより、画像形成装置20で読み取り可能な言語(PCL(Printer Control Language)やPS(Post Script)などのPDL(Page Description Language))の印刷ジョブに変換され、通信I/F部11dを介して画像形成装置20に送信される。
【0023】
表示部12は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、画像形成装置20へ送信する印刷ジョブを設定するためのプリンタドライバ画面やプロパティ画面や後処理条件を設定する画面等を表示する。
【0024】
操作部13は、表示部12上に表示された情報を操作したり、情報を入力したりする部分であり、ポインティングデバイス、キーボード、トラックボール、トラックパッド、タブレット、及びスタイラスペンなどで構成される。
【0025】
また、図3に示すように、画像形成装置20は、制御部21と、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)22と、画像読取部23と、表示部24と、操作部25と、給紙部26と、画像形成部27と、後処理部28などで構成される。
【0026】
制御部21は、各構成部を制御する部分で、CPU21a、ROMやRAMなどのメモリ21b、HDD21c、通信I/F部21dなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU21aは各部の制御などを行う。メモリ21bは、HDD21c、画像読取部23、通信I/F部21dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分で、記憶されたデータはCPU21aによって画像処理され、必要に応じてHDD21cや画像形成部27に転送される。HDD21cは、CPU21aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、バインドに関する情報を記述したテーブルなどを格納し、CPU21aにより必要に応じて読み出され、メモリ21b上で実行処理される。通信I/F部21dは、通信ネットワーク30を介して繋がっている機器との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0027】
上記制御部21は、印刷ジョブの各ページをラスタライズしてページ毎の画像データを生成し、必要に応じて画像処理(色調整、濃度調整、スライドや縮小などの処理)やスクリーニングを行った後、画像形成部27で印刷可能な印刷画像データに変換する画像処理部としても機能する。
【0028】
また、制御部21は、バインドに関する情報(リングの形状等)及び印刷ジョブで設定された情報(冊子のページ数、用紙の厚み等)に基づいて、リングで綴じ止めした後の冊子の見開き側の端面が揃うように各用紙の穴位置を設定する後処理制御部としても機能する。この後処理制御部はハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを後処理制御部として機能させる後処理制御プログラムとして構成し、この後処理制御プログラムを制御部21上で実行する構成としてもよい。
【0029】
ADF22は、単数もしくは複数枚の原稿用紙を自動で画像読取部23へ搬送する部分である。
【0030】
画像読取部23は、原稿台上の原稿用紙から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)等のイメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0031】
表示部24は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、画像形成装置20を操作するための画面、リングバインド後の冊子の状態を示す画面等を表示する。また、操作部25は、ボタンやスイッチ等からなり、各種設定や指示を行う。なお、表示部24と操作部25は別々の装置としても良いし、表示部24上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)25を設けた一体の装置としてもよく、タッチパネルの場合は、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部21に出力する。
【0032】
給紙部26は、各種サイズの用紙を格納する用紙トレイで構成される。また、格納された用紙を画像形成部27へ送り出す部分を含む。
【0033】
画像形成部27は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素で構成され、画像読取部23から読み込んだ画像データ、あるいは通信I/F部21dを介して受け取った印刷ジョブに基づいて、指定された用紙に画像を形成し、後処理部28に送り出す。
【0034】
後処理部28は、パンチ実行部28a、バインド実行部28b、用紙厚み測定部28cなどで構成され、画像形成部27から搬送される用紙を、制御部21からの指示により、パンチ・ステープル・製本などのユーザの希望するフィニッシング処理を加えて出力する。
【0035】
パンチ実行部28aは、後処理部28のフィニッシング機能のうちのひとつである「パンチ」(実施例では「多穴パンチ」)を実行する。この多穴パンチにおける穴の数は任意である。
【0036】
バインド実行部28bは、後処理部28のフィニッシング機能のうちのひとつである「バインド」を実行する。バインドに使用されるリングは複数種類セットされており、制御部21からの指示により、選択されたリングによってバインドを行う。
【0037】
用紙厚み測定部28cは、制御部21からの指示により、複数枚の用紙の束の厚みを測定する。なお、用紙種類に対する厚みが予め登録されている場合は、その厚みに用紙枚数を掛け合わせることによって束の厚みを算出できるため、用紙厚み測定部28cを省略することもできる。
【0038】
なお、本実施例では、画像形成装置20で穴位置を設定する構成とするが、コンピュータ端末10の制御部11で上記後処理制御プログラムを動作させて穴位置を設定し、設定した穴位置を印刷ジョブに記述して画像形成装置20に送信する構成としてもよい。
【0039】
また、図1では、印刷システムをコンピュータ端末10と画像形成装置20とで構成したが、画像データを印刷画像データに変換するRIP(Raster Image Processor)コントローラ等の制御装置を通信ネットワーク30に接続してもよい。更に、この制御装置上で上記後処理制御プログラムを動作させて穴位置を設定し、設定した穴位置を画像形成装置20に通知する構成としてもよい。
【0040】
以下、上記構成の印刷システムの動作について説明する。
【0041】
まず、コンピュータ端末10の動作について、図5のフローチャート図を参照して説明する。
【0042】
コンピュータ端末10の制御部11は、操作画面からの印刷指示を監視し、印刷指示があった場合(S501:Yes)、コンピュータ端末10の通信I/F部11d及び画像形成装置20の通信I/F部21dを経由して、画像形成装置20のHDD21cにデータベースとして保持されている多穴パンチ用バインダや用紙に関する情報を取得し(S502)、取得した情報をメモリ11bに保持する。
【0043】
なお、多穴パンチ用バインダや用紙に関する情報の取得方法は、MIB(Management Information Base)テーブルに保持されている情報をSNMP(Simple Network Management Protocol)により取得する方法やXML(Extensible Markup Language)データ、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)もしくはHTTPs(Hypertext Transfer Protocol Security)により取得する方法があるが、通信ネットワーク30を経由して情報を取得できる方法であれば特に限定されない。
【0044】
上記バインドに関する情報を記述したテーブルの例を図7に示す。図7のテーブルは画像形成装置20のHDD21cに初期状態として保持されており、バインダの種類及び提供する用紙の型番(PAPER1,PAPER2など)毎に、バインドの適正枚数と上限枚数が定められている。また、図7のテーブルは上書き、追加が可能となっており、新しい用紙種類が追加された場合にはその用紙のバインド適正枚数や上限枚数の情報と共に追加したり、ユーザが使用する上で適正枚数の変更が必要になった場合には、上書きすることによりバインドの適正枚数や上限枚数を更新したりできる。
【0045】
また、図7のテーブルは画像形成装置20が自動で更新することも可能で、用紙束の厚みを図る機構を有した画像形成装置であれば、用紙厚み測定部28cにより、用紙束の厚みを測定し、実際の用紙の型番に関連付けて用紙束の厚みを追加で登録することも可能である。
【0046】
画像形成装置20から情報を取得したら、制御部11はコンピュータ端末10の操作画面上に用紙とバインダのプレビュー画像を表示する(S503)。用紙とバインダのプレビュー画像は、バインドに関する情報のテーブルで保持されている情報と、プリンタドライバに初期状態もしくは前回設定した状態で保存されているバインダ種類、用紙種類、カバー用紙、インサート用紙などの設定情報と、印刷ジョブで指定された用紙枚数とに基づいて、指定された種類及び枚数の用紙を指定したバインダで綴じ止めした場合の様子を表示する。具体的には、図5の右側に示すように、選択されたリングの横向きの画像を表示(S503a)し、その画像に印刷ジョブで指示された枚数分の用紙を重ね合わせて表示(S503b)する。その際、制御部11は、プレビュー画像と共に用紙枚数やバインダ直径、用紙種類等を設定する欄を表示し、用紙種類及び用紙枚数を設定すると、その条件に適合するバインダのリストを表示したり、その条件に最適なバインダをデフォルトとして表示するなどの制御を行ってもよく、このような制御を行うことにより冊子に適したバインダを簡単かつ確実に選択することができる。
【0047】
次に、制御部11は、上記情報からバインダのバインドできる上限値を越えているか、もしくはバインドできたとしてもレイアウトが崩れるような状態が発生するかを判断する。具体的には、テーブルに記述されたバインドの上限枚数と印刷ジョブで指定された用紙枚数とを比較するか、若しくは、リングの径と用紙枚数及び用紙種類から計算される用紙の厚みとを比較して判断を行う。そして、バインドエラーが発生する場合(S504:Yes)、エラーの情報を操作画面上に表示する(S505)。
【0048】
用紙とバインダのプレビュー画像、及びエラー表示の表示例を図8に示し、表示例を具体的に説明する。
【0049】
図8(a)では、バインダ(リング)直径はBIND8(内径8mm)が選択されており、図7のテーブルより、用紙枚数はバインドの適正枚数の範囲内であるため、エラーは表示されていない。ここで端面揃えを選択すると、「端面揃え連動画像加工」のグレーアウトが消え、「なし」、「スライド」、「縮小」が選べるようになる。そして、図8(b)のように、端面の揃ったプレビュー画像が表示される。
【0050】
図8(c)では、バインダ(リング)直径はBIND8(内径8mm)が選択され、バインド枚数が732枚に設定された場合を示しており、図7のテーブルより、用紙枚数はバインド上限枚数を超えているため、エラー情報(ここでは「Warning バインドの上限を超えています。」)が表示される。
【0051】
次に、ユーザが印刷ボタンか、キャンセルボタンもしくは、操作画面上のプリンタドライバダイアログの閉じるボタンを押すまで以下の処理を繰り返す(S506)。
【0052】
まず、制御部11は、ユーザが操作画面上にあるバインドに関係する設定(バインダの種類、用紙種類、端面揃えなど)を変更したかを判断し、変更した場合(S507:Yes)、変更された設定に応じて出力される様子を再計算して用紙とバインダのプレビュー画像を更新して表示する(S508)。
【0053】
次に、制御部11は、変更された設定に応じて再計算し、上記情報からバインドできる上限値を超えているかを判断し、超えている場合(S509:Yes)、エラーの情報を操作画面上に更新して表示する(S510)。
【0054】
そして、制御部11は、印刷ボタン、キャンセルボタンもしくは閉じるボタンが押下されたら繰り返しを終了する(S511)。
【0055】
次に、制御部11は、印刷ボタンが押下されたかを判断し、押下された場合(S512:Yes)、上記設定された情報と共に印刷ジョブの全ページのデータを画像形成装置20に送信して(S513)、終了する。印刷ボタンが押下されていない場合は、ダイアログを閉じて終了する。
【0056】
次に、画像形成装置20の動作について、図6のフローチャート図を参照して説明する。
【0057】
コピーにおいては画像形成装置20のADF22もしくは、画像読取部23の原稿台に原稿用紙が置かれ、ユーザがコピースタートボタンを押下、またネットワークプリントにおいては画像形成装置20の通信I/F部21dを介して通信ネットワーク30からプリントジョブを受信すると、画像形成装置20は形成した画像を印刷出力すべく、指定された給紙部26から給紙を行う。なお、コピーにおいては画像読取部23から読み取られた画像データ、またネットワークプリントにおいては通信I/F部21dから受信したプリントジョブを総じて「印刷ジョブ」と呼ぶことにする。
【0058】
この印刷ジョブは、ジョブ情報と、例えばCYMKの4色からなる画像データとで構成される。印刷ジョブは、メモリ21bに一時的に保持され、画像形成部27で印刷用紙に画像形成可能な印刷画像データへメモリ21b上で変換処理される。印刷ジョブを印字可能な印刷画像データへと変換するための各種プログラムはHDD21cに格納されており、CPU21aによって必要なプログラムが読み出される。
【0059】
まず、制御部21は、上記印刷ジョブを監視し、印刷ジョブを受信した場合(S601:Yes)、メモリ21b上で、印刷ジョブに含まれるジョブ情報、ページ情報(図9)を解析する(S602)。
【0060】
次に、制御部21(後処理制御プログラム)は、ページ毎のパンチ穴位置の設定を行う(S603)。その際、印刷ジョブで画像の縮小・スライドが指示されている場合は、ページ毎に画像の縮小・スライドの処理を行った上でパンチ穴位置の設定を行い、印刷ジョブで画像の縮小・スライドが指示されていない場合は、各ページの画像に穴が重ならないようにパンチ穴位置を設定、若しくは各ページの画像に穴が重ならないように画像の縮小・スライドの処理を行った上でパンチ穴位置を設定する。
【0061】
パンチ穴位置の設定手法を具体的に説明すると、図9のページ情報における、ページ(用紙)毎の、パンチ種類、パンチ穴間隔、パンチ穴直径は、ユーザがプリンタドライバ等で設定した値であるが、パンチ穴の端面からの位置は、図7のテーブルにおける「揃えバインド時の最浅−最深」の長さとページ位置から算出された値、或いは以下のような計算式にて自動的に算出された値である。
【0062】
例えば、全て同じ厚みの紙を使う場合、
リング外径r、それぞれの紙の厚さt、総ページ数N、当該印刷ジョブの最初のページ(表紙)におけるパンチ穴と用紙の辺(見開き側に対向する辺)との距離をla、該当のページPnとすると、それぞれP1,P2,P3…Pnの長さlpは、
lp=la-√{[(r/2)^2]+ABS(Pn-N/2)*t}+r/2 … (1)
等の式にて算出することができる。
【0063】
上記算出式は一例であり、より高度な計算式を用いても良いし、前述のテーブルを使って、lpを算出しても良い。
【0064】
次に、制御部21は、画像形成部27を制御して該当ページのプリントを行った後(S604)、多穴パンチ指定がONの場合、パンチ穴の位置情報から得たパンチ位置、パンチ穴間隔、パンチ穴直径、パンチ穴種類の情報に基づいてパンチ実行部28aを制御して、パンチ穴を開ける(S605)。なお、本実施例では、複数のリングが並設されたバインダを用いる場合を想定しているが、螺旋状のリングで綴じることもでき、この場合は、各ページのパンチ穴の位置を穴の配列方向に沿って徐々にずらせばよい。
【0065】
次に、制御部21は、パンチ穴を開けたページが最終ページであるかを判断し、最終ページでなければ(S606:No)、ステップS603に戻って同様の処理を繰り返す。
【0066】
次に、厚みの測定がONの場合は、制御部21は、用紙厚み測定部28cを制御して用紙束の厚みを測定する(S607)。用紙束の厚みを測る機構は、特開2008−94081号公報などに記載されている。
【0067】
次に、制御部21は、測定された用紙の厚みを図9のジョブ情報、ページ情報の用紙型番に関連付けて、画像形成装置20のHDD21cにデータベースとして保持されている多穴パンチ用バインダや用紙に関する情報テーブルに追加する(S608)。
【0068】
追加されたテーブルの情報は、画像形成装置20の操作部25を操作することで参照可能であり、ユーザやサービスマンによって、サービスモードや管理者画面などから、閲覧、編集することができる。この情報は、当該ジョブの穴位置の精度には直接役立たないが、次ジョブ以降の精度にフィードバックできる。
【0069】
次に、制御部21は、パンチを実行した用紙をバインド実行部28bに送り、バインド実行部28bを制御して、予め設定された条件でバインドを実行する(S609)。画像形成装置でのバインドは、例えば、特開2005−239429号公報のような技術を用いることで実現することができる。
【0070】
そして、バインドされた用紙は制御部21の制御により出力トレイに排出されて一連の処理が終了する(S610)。
【0071】
図10は、各ページのバインド状態を誇張して表した図であり、図10(a)の先頭に近いページや図10(c)の最後に近いページに比べて、図10(b)の中央に近いページはバインドの深さが大きくなっていることが分かる。なお、この表示は必須ではないが、バインド状態を表示することによって、穴位置がページ毎に異なる事からくる本文画像の欠落等のチェックが可能になる。
【0072】
図11は、例えば100ページの冊子をプリント・パンチ(非製本)したときの各ページの穴の位置の変化を誇張して表示した図である。図11より、上記と同様に、先頭に近いページや最後に近いページに比べて、中央に近いページはバインドの深さが大きくなっていることが分かる。
【0073】
このように、画像形成装置20の制御部21(後処理制御プログラム)は、バインダのリング径、ページ数、用紙の厚みなどの情報に基づいて、各用紙の辺からパンチ穴までの距離を算出し、パンチ実行部28bは、算出した距離で決定される穴位置にパンチ穴をあけるため、冊子の見開き側の端面を揃えることができ、冊子の見栄えを格段に向上させることができる。
【0074】
なお、上記フローでは、パンチ実行部28aでパンチした用紙をバインド実行部28bでバインドして出力する場合を示したが、端面が平坦になるようにパンチの位置をページ毎に変えることが目的であるから、パンチ実行部28aでパンチした用紙をそのまま出力してバインドをユーザに実施させてもよい。
【0075】
また、上記実施例では、真円状(O型)のリングを用いる場合を示したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、パンチ穴に通す部分が湾曲している任意のリングに対して同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、パンチ穴をあける機能を備える画像形成装置及び該画像形成装置における後処理制御方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施例に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末の動作を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の一実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【図7】バインドに関する情報を記述したテーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末の表示部に表示される画面(プレビュー画像)の一例を示す図である。
【図9】印刷ジョブの一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係る画像形成装置の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【図11】ページ毎の穴位置の違いを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10 コンピュータ端末
11 制御部
11a CPU
11b メモリ
11c HDD
11d 通信I/F部
12 表示部
13 操作部
20 画像形成装置
21 制御部
21a CPU
21b メモリ
21c HDD
21d 通信I/F部
22 ADF
23 画像読取部
24 表示部
25 操作部
26 給紙部
27 画像形成部
28 後処理部
28a パンチ実行部
28b バインド実行部
28c 用紙厚み測定部
30 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあけるパンチ実行部を備える画像形成装置において、
複数の用紙からなる冊子を作成する際に、予め記憶されたバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定する制御部を備え、
前記パンチ実行部は、各々の用紙に対して設定された穴位置に穴あけを行い、前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うようにすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記バインドに関する情報は前記リングの径を含み、前記印刷設定情報は用紙枚数及び用紙の厚みを含み、
前記制御部は、前記表紙又は裏表紙における前記距離を基準にして、前記リングの径と前記表紙又は裏表紙から所定ページまでの用紙の厚みとに基づいて算出される値を前記距離に加算して、前記所定ページの用紙の穴位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、各々の用紙に形成する画像の位置と前記穴位置とを比較し、前記穴が前記画像に重なる場合は、前記画像を前記冊子の見開き側にスライド又は前記画像を縮小する画像処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
印刷ジョブを送信するコンピュータ端末と、前記印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあける機能を備える画像形成装置と、が通信ネットワークで接続されるシステムにおける後処理制御方法であって、
前記画像形成装置は、複数の用紙からなる冊子の作成を指示する印刷ジョブを受信した場合、予め記憶したバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定し、前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うように穴あけを行うことを特徴とする後処理制御方法。
【請求項5】
前記バインドに関する情報は前記リングの径を含み、前記印刷設定情報は用紙枚数及び用紙の厚みを含み、
前記画像形成装置は、前記表紙又は裏表紙における前記距離を基準にして、前記リングの径と前記表紙又は裏表紙から所定ページまでの用紙の厚みとに基づいて算出される値を前記距離に加算して、前記所定ページの用紙の穴位置を設定することを特徴とする請求項4に記載の後処理制御方法。
【請求項6】
前記画像形成装置は、各々の用紙に形成する画像の位置と前記穴位置とを比較し、前記穴が前記画像に重なる場合は、前記画像を前記冊子の見開き側にスライド又は前記画像を縮小する画像処理を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載の後処理制御方法。
【請求項7】
前記コンピュータ端末は、前記画像形成装置から前記バインドに関する情報を取得し、当該バインドに関する情報で特定される前記リングの画像と、前記印刷設定情報で特定される所定枚数の用紙の画像とを合成したプレビュー画像を表示部に表示することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一に記載の後処理制御方法。
【請求項8】
前記コンピュータ端末は、前記バインドに関する情報に含まれるバインドの上限枚数と前記所定枚数とを比較して、若しくは、前記リングの径と前記所定枚数の用紙の厚みとに基づいて、前記所定枚数の用紙が前記リングで綴じ止めできるかを判断し、綴じ止めできないと判断した場合は、前記表示部にエラーメッセージを表示することを特徴とする請求項7に記載の後処理制御方法。
【請求項9】
印刷ジョブに基づいて画像形成を行った用紙の辺に沿って、バインダのリングを通す複数の穴をあける機能を備える画像形成装置で動作する後処理制御プログラムであって、
コンピュータを、
複数の用紙からなる冊子を作成する際に、予め記憶されたバインドに関する情報と前記印刷ジョブで指定された印刷設定情報とに基づいて、前記冊子の各々の用紙における前記辺から前記穴までの距離が表紙又は裏表紙側の用紙よりも中央側の用紙の方が大きくなるように、穴位置を設定する制御部、として機能させ、
前記冊子をバインドした後の見開き側の端面が揃うように制御することを特徴とする後処理制御プログラム。
【請求項10】
前記バインドに関する情報は前記リングの径を含み、前記印刷設定情報は用紙枚数及び用紙の厚みを含み、
前記制御部は、前記表紙又は裏表紙における前記距離を基準にして、前記リングの径と前記表紙又は裏表紙から所定ページまでの用紙の厚みとに基づいて算出される値を前記距離に加算して、前記所定ページの用紙の穴位置を設定することを特徴とする請求項9に記載の後処理制御プログラム。
【請求項11】
前記制御部は、各々の用紙に形成する画像の位置と前記穴位置とを比較し、前記穴が前記画像に重なる場合は、前記画像を前記冊子の見開き側にスライド又は前記画像を縮小する画像処理を実行することを特徴とする請求項9又は10に記載の後処理制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−143646(P2010−143646A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319186(P2008−319186)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】