説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】ユーザがセキュリティプリントデータを送信した画像形成装置以外の画像形成装置でセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置が搭載されたMFP3Aは、ユーザの認証情報及びプリントデータを含むセキュリティプリントデータを受信するネットワークI/F18と、ユーザから認証情報の入力を受け付ける操作部14と、ユーザから入力された認証情報とセキュリティプリントデータに含まれる認証情報とが一致した場合、プリントデータを印刷するプリンタ10と、セキュリティプリントデータが受信された際、認証情報の入力に応じてプリントデータを印刷することが可能な1以上の装置へ、セキュリティプリントデータを転送させる転送制御部24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータ等のクライアント装置からプリントデータを受信し、プリントデータの印刷を行う画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置には、自機が備える操作パネルによってユーザから認証情報が受け付けられた後に、プリントデータの印刷を実行するものがある。ここでは、このようにして行われる印刷をセキュリティプリントという。このセキュリティプリントによれば、ユーザが画像形成装置に印刷物を取りに行くまでの間に、印刷物が他人に見られることや、印刷物の紛失等を防止できる。
【0003】
このセキュリティプリントに関して、下記特許文献1には、プリントデータが送信された画像形成装置とは別の画像形成装置においてセキュリティプリントを行うための技術が記載されている。具体的には、ユーザがクライアント装置を介して第2の印刷装置へプリントデータを送信した後、第1の印刷装置にコマンド(認証情報)を入力した場合、第1の印刷装置が、第2の印刷装置からセキュリティプリントデータを取得して、印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−317195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術は、ユーザが、通常利用している画像形成装置(第2の印刷装置)へプリントデータを送信した後に画像形成装置へ行ったところ、例えば、大量の文書を印刷中のためにセキュリティプリントを行えない場合等に有効である。このような場合に、上記特許文献1に記載の技術では、ユーザが、別の画像形成装置(第1の印刷装置)を利用してセキュリティプリントを行うことができる。しかしながら、ユーザが別の画像形成装置に認証情報を入力してから、プリントデータがその別の画像形成装置へ転送されるので、認証情報が入力されてから印刷が完了されるまでにかかる時間が長くなる。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、ユーザがセキュリティプリントデータを送信した画像形成装置以外の画像形成装置でセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能な画像形成装置、及び、画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、クライアント装置及び1以上の他の画像形成装置と接続される画像形成装置であって、ユーザの認証情報及びプリントデータを含むセキュリティプリントデータをクライアント装置から受信する受信手段と、ユーザから認証情報の入力を受け付ける受付手段と、受付手段によって受け付けられた認証情報が、受信手段によって受信された認証情報と一致した場合、プリントデータを印刷する印刷手段と、受信手段によってセキュリティプリントデータが受信された際、1以上の他の画像形成装置であって、ユーザから認証情報の入力を受け付けた場合に該当するプリントデータを印刷することが可能な1以上の他の画像形成装置へ、セキュリティプリントデータを転送する転送手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像形成装置では、セキュリティプリントデータが受信された後、入力された認証情報が、受信されたセキュリティプリントデータに含まれる認証情報と一致した場合に、セキュリティプリントデータに含まれるプリントデータが印刷される。一方、セキュリティプリントデータが受信された際、ユーザから認証情報の入力を受け付けた場合に該当するプリントデータを印刷することが可能な1以上の他の画像形成装置へ、セキュリティプリントデータが転送される。このため、転送先の画像形成装置においても、認証情報が入力された場合にプリントデータの印刷が可能となる。また、転送先の画像形成装置において認証情報が入力される前に、プリントデータを転送することが可能となる。従って、転送先の画像形成装置でセキュリティプリントが行われる際に、プリントデータの転送にかかる時間を省くことができる。すなわち、ユーザがセキュリティプリントデータを送信した画像形成装置以外の画像形成装置でセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0009】
本発明に係る画像形成装置では、他の画像形成装置毎に、該他の画像形成装置の情報を登録する登録手段を備え、転送手段は、登録手段によって登録された情報に基づいて転送を行うと判断された他の画像形成装置へ転送を行うことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、登録された情報に基づいて判断された他の画像形成装置に対して、セキュリティプリントデータの転送を行うことができる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置では、登録手段が、他の画像形成装置がサポートしている印刷機能を登録し、受信手段が、プリントデータの印刷設定を含むセキュリティプリントデータを受信し、転送手段が、受信手段によって受信された印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録された他の画像形成装置へ、セキュリティプリントデータを転送することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、セキュリティプリントデータの印刷設定に従って印刷を実行可能な他の画像形成装置へ、セキュリティプリントデータが転送される。このため、転送先の画像形成装置において、ユーザが設定した通りの印刷を確実に実行することが可能となる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置では、登録手段が、他の画像形成装置がサポートしているページ記述言語を登録し、転送手段は、受信手段によって受信されたプリントデータを記述しているページ記述言語が登録されている装置へ、セキュリティプリントデータを転送することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、プリントデータを記述しているページ記述言語をサポートする他の画像形成装置へ、セキュリティプリントデータが転送される。このため、転送先の画像形成装置でプリントデータが解析できないために発生するエラーを防止することができる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置では、登録手段に登録された他の画像形成装置の情報に基づいて、転送先となる他の画像形成装置に合わせてセキュリティプリントデータに含まれる情報を書き換える書換手段を備え、転送手段は、書換手段によって書き換えられた情報を含むセキュリティプリントデータを転送することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、受信されたセキュリティプリントデータに含まれる情報を転送先となる他の画像形成装置に合わせて書き換えた上で、転送することができる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置では、登録手段が、他の画像形成装置がサポートしている印刷機能を登録し、受信手段は、プリントデータの印刷設定を含むセキュリティプリントデータを受信し、書換手段は、他の画像形成装置について、受信された印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録されていない場合、該他の画像形成装置について登録された印刷機能によって実行可能な印刷設定に書き換えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、受信された印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能をサポートしていない他の画像形成装置については、サポートする印刷機能によって実行可能な印刷設定に、受信された印刷設定が書き換えられる。その後、印刷設定が書き換えられたセキュリティプリントデータが転送される。このため、転送先の画像形成装置で印刷設定に従って印刷を実行できないために発生するエラーを防止することができる。
【0019】
本発明に係る画像形成装置では、登録手段が、他の画像形成装置がGDI形式をサポートしている場合に、GDI形式をサポートしている旨を登録し、書換手段は、他の画像形成装置について、GDI形式をサポートしている旨が登録されている場合、受信手段によって受信されたPDL形式のプリントデータをGDI形式に変換することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、GDI形式をサポートしている旨が登録された装置については、プリントデータがPDL形式からGDI形式に変換されて、転送される。このため、転送先の画像処理装置でプリントデータが印刷される際に、PDL形式のプリントデータをラスタライズ処理する必要がない。従って、転送先の画像形成装置において、ラスタライズ処理にかかる時間を省くことができる。
【0021】
本発明に係る画像形成装置では、登録手段が、他の画像形成装置がサポートしているページ記述言語を登録し、加えて、該他の画像形成装置がGDI形式をサポートしている場合にGDI形式をサポートしている旨を登録し、転送手段は、受信手段によって受信されたプリントデータを記述しているページ記述言語、及び、GDI形式をサポートしている旨が登録されていない他の画像形成装置に対して、セキュリティプリントデータを転送しないことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、プリントデータが記述されたページ記述言語とGDI形式をサポートする旨との双方が登録されていない他の画像形成装置に対しては、セキュリティプリントデータは転送されない。従って、転送先の画像形成装置で印刷処理が実行できないために発生するエラーを防止することができる。
【0023】
本発明に係る画像形成装置では、自機の印刷手段によってプリントデータが印刷された場合、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置に対して、該セキュリティプリントデータの消去指示を行う管理手段を備えることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、プリントデータが自機によって印刷された場合、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置へ、該セキュリティプリントデータの消去指示が送信される。従って、プリントデータが自機で印刷された場合に、転送先の画像形成装置において、セキュリティプリントデータが消去されるので、プリントデータが重複して印刷されることを防止できる。また、転送先の画像形成装置において、不要なプリントデータが蓄積されることも防止できる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置では、自機の印刷手段によってプリントデータが印刷された場合、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置に対して、プリントデータの印刷が完了したことを通知する管理手段を備えることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、プリントデータが自機によって印刷された場合、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置へ、印刷完了通知が送信される。このため、転送先の画像形成装置において、例えば、セキュリティプリントデータの削除処理等を行うことができる。
【0027】
本発明に係る画像形成装置では、プリントデータが重複して印刷されないように管理する管理手段を備え、受信手段は、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置からプリントデータの印刷を行うことの許否について問合せを受信し、管理手段は、受信手段によって問合せが受信された際には、該問合せが最初の問合せであり、かつ、自機の印刷手段による印刷が実行されていない場合に、許可応答を返信し、該問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機の印刷手段による印刷が実行されている場合に、不可応答を返信することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、転送先の画像形成装置から、プリントデータの印刷を行うことについての問合せが受信された際、問合せが最初の問合せであり、かつ、自機によって印刷が実行されていない場合に、許可応答が返信される。すなわち、自機及び1以上の転送先の装置のいずれにおいても、印刷が実行されていない場合に、許可応答が返信される。一方、問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機によって印刷が実行されている場合に、不可応答が返信される。すなわち、自機及び1以上の転送先の装置のいずれかにおいて、印刷が実行されている場合に、不可応答が返信される。これにより、プリントデータが重複して印刷されることを防止できる。
【0029】
本発明に係る画像形成装置では、自機、及び、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置の一覧情報を生成する生成手段と、生成手段によって生成された一覧情報を、セキュリティプリントデータを自機に送信したクライアント装置へ送信する送信手段とを備えることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、自機、及び、セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置の一覧情報が生成され、自機にセキュリティプリントデータを送信したクライアント装置へ送信される。従って、セキュリティプリントを行うことが可能な画像形成装置の一覧情報を、セキュリティプリントデータを送信したユーザに提供することができる。
【0031】
本発明に係る画像形成装置は、ユーザの認証情報及びプリントデータを含むセキュリティプリントデータを受信し、該認証情報の入力に応じて該プリントデータを印刷する機能を有する他の画像形成装置から、セキュリティプリントデータを受信する受信手段と、ユーザから認証情報の入力を受け付ける受付手段と、受付手段によって受け付けられた認証情報が、既に受信手段によって受信された認証情報と一致した場合に、プリントデータを印刷する印刷手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る画像形成装置では、セキュリティプリントが可能な他の画像形成装置から転送されたセキュリティプリントデータが受信される。そして、ユーザから受け付けられた認証情報が、既に受信された認証情報と一致した場合に、セキュリティプリントデータに含まれるプリントデータが印刷される。このため、ユーザが自機とは別の画像形成装置にセキュリティプリントデータを送信した場合であっても、自機でセキュリティプリントを行うことができる。また、プリントデータは、ユーザから認証情報が入力される前に、自機において受信されているので、ユーザから認証情報が入力された後における、プリントデータの転送にかかる時間を省くことができる。従って、ユーザがセキュリティプリントデータを送信した画像形成装置以外の画像形成装置でセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0033】
本発明に係る画像形成装置では、セキュリティプリントデータの消去指示が受信された場合、受信手段によって受信されたセキュリティプリントデータを消去する管理手段を備えることが好ましい。
【0034】
この構成によれば、セキュリティプリントデータの消去指示が受信された場合、該セキュリティプリントデータが消去される。例えば、プリントデータが転送元の画像形成装置によって印刷された場合に、転送元の装置から消去を指示する消去指示が送信されることにより、自機において、セキュリティプリントデータが消去される。従って、重複してプリントデータの印刷が行われることを防止できる。また、不要なプリントデータが蓄積されることを防止できる。
【0035】
本発明に係る画像形成装置では、プリントデータの印刷が完了したことを通知する印刷完了通知が受信された場合、受信手段によって受信されたセキュリティプリントデータを消去する管理手段を備えることが好ましい。
【0036】
この構成によれば、セキュリティプリントデータの印刷が完了した旨の完了通知が受信された場合、セキュリティプリントデータが消去される。従って、重複してプリントデータの印刷が行われることを防止することができる。
【0037】
本発明に係る画像形成装置では、受付手段によって受け付けられた認証情報が、既に受信手段によって受信された認証情報と一致した場合、他の画像形成装置に対して、プリントデータの印刷を行うことの許否について問合せ行う管理手段を備え、管理手段は、問合せに対して、他の画像形成装置から許可応答が得られた場合、印刷手段にプリントデータを印刷させ、不可応答が得られた場合、印刷手段にプリントデータを印刷させないことが好ましい。
【0038】
この構成によれば、自機に認証情報が入力された場合、プリントデータの印刷を行うことの許否についての問合せが、転送元の画像形成装置に送信される。そして、問合せに対して許可応答が受信された場合に、プリントデータが印刷される。一方、不可応答が受信された場合、プリントデータは印刷されない。従って、転送元の画像形成装置による管理の下で、セキュリティプリントを実行することができる。
【0039】
本発明に係る画像形成システムは、セキュリティプリントデータをクライアント装置から受信する上記の画像形成装置(転送元の画像形成装置)と、該画像形成装置からセキュリティプリントデータの転送を受ける上記の画像形成装置(転送先の画像形成装置)とを備える。
【0040】
本発明に係る画像形成システムでは、上述したように、セキュリティプリントデータをクライアント装置から受信した転送元の画像形成装置が、該セキュリティプリントデータを受信した際に、該セキュリティプリントデータを転送先の画像形成装置へ転送する。従って、ユーザがセキュリティプリントデータを送信した画像形成装置以外の画像形成装置でセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、ユーザがセキュリティプリントデータを送信した画像形成装置以外の画像形成装置でセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概要を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置が搭載されたMFPの構成を示すブロック図である。
【図3】転送元のMFPが有する制御部と転送先のMFPが有する制御部とを説明するためのブロック図である。
【図4】登録処理についての概要を説明するための図である。
【図5】登録時に表示される登録画面の一例を示す図である。
【図6】プリントジョブ一覧の一覧画面の一例を示す図である。
【図7】プリント機器一覧の一覧画面の一例を示す図である。
【図8】クライアント装置から送信される要求に応じて行われる登録処理を示すフロー図である。
【図9】操作部を介して入力された要求に応じて行われる登録処理を示すフロー図である。
【図10】転送元のMFPによる転送処理(前半)を示すフロー図である。
【図11】転送元のMFPによる転送処理(後半)を示すフロー図である。
【図12】転送元のMFPによる一覧情報の提供処理を示すフロー図である。
【図13】転送先のMFPによるセキュリティプリント処理を示すフロー図である。
【図14】転送元のMFPによるセキュリティプリント処理を示すフロー図である。
【図15】転送元のMFPによる管理処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。最初に、図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成システムの概要を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの概要を説明するための図である。
【0044】
本実施形態に係る画像形成システム1は、ネットワークを介して接続された複数(本実施形態では3台)のMFP(Multifunction Printer)3を備えている。各MFP3には、本実施形態に係る画像形成装置が搭載され、セキュリティプリントを実行する機能を有している。セキュリティプリントとは、認証情報がプリンタの操作パネルを介して入力された場合に実行される印刷である。
【0045】
画像形成システム1では、ユーザが、セキュリティプリントを行うために、セキュリティプリントデータをクライアント装置5からいずれかのMFP3へ送信した後、送信先のMFP3以外のMFP3を利用してセキュリティプリントを行うことができる。このため、例えば、ユーザが通常利用するMFP3へセキュリティプリントデータを送信した後に、そのMFP3へ行ったところ、大量の文書を印刷中等の理由で、すぐにセキュリティプリントを実行できる状況ではない場合に有効である。このような場合に、画像形成システム1では、ユーザが、他のMFP3に行って、セキュリティプリントを行うことができる。
【0046】
この画像形成システム1で行われる処理の概要は、次のようなものである。なお、説明のために、ユーザがセキュリティプリントデータを送信するMFP3を便宜上MFP3Aとし、その他のMFP3をMFP3Bとして説明する。
【0047】
図1に示すように、まず、ユーザの操作によって、セキュリティプリントデータが、クライアント装置5からMFP3Aへ送信される(図1のステップS1)。続いて、MFP3Aが、受信したセキュリティプリントデータを他の2台のMFP3Bへ転送する(ステップS2)。そして、転送先の一方のMFP3Bにおいて、ユーザから認証情報及び印刷指示が入力された場合(ステップS3)、該MFP3Bによって印刷処理、すなわち、セキュリティプリントが実行される(ステップS4)。続いて、印刷完了通知が、印刷を実行したMFP3BからMFP3Aへ送信される(ステップS5)。そして、MFP3Aにおいて、セキュリティプリントデータが消去されると共に、該データの消去指示が、MFP3Aから他方のMFP3Bへ送信される(ステップS6)。
【0048】
引き続いて、MFP3について詳細に説明する。まず、図2を参照して、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、FAX(ファクシミリ)機能、及び、IFAX(インターネットFAX)機能を備えたネットワーク複合機としての構成を主に説明する。図2は、MFP3の構成を示すブロック図である。MFP3は、複合機としての機能を発揮するため、プリンタ10、スキャナ11、FAX制御部12、及びIFAX制御部13を備えている。
【0049】
プリンタ10は、特許請求の範囲に記載の印刷手段として機能する。FAX制御部12は、MFP3が備えるNCU(Network Control Unit)16及びモデム17によって行われるPSTN(Public Switched Telephone Network)91を介したFAXの送受信を制御する。IFAX制御部13は、MFP3が備えるネットワークI/F18を介して行われるIFAXの送受信を制御する。
【0050】
また、ネットワークI/F18は、パーソナルコンピュータ等のクライアント装置5からセキュリティプリントデータを受信する。このため、ネットワークI/F18は、特許請求の範囲に記載の受信手段として機能する。セキュリティプリントデータは、ユーザの認証情報と、プリントデータとを含んでいる。更に、ユーザの認証情報は、ユーザを識別するユーザIDと、ユーザのパスワードとを含んでいる。
【0051】
また、セキュリティプリントデータは、プリントデータが記述されたページ記述言語(PDL)を示す言語情報を含んでいる。この言語情報は、例えば、PJL(Printer Job Language)によって記述することができる。なお、PDLには、例えば、PCL(Printer Control Language、登録商標)、PS(PostScript、登録商標)、XPS(XML Paper Specification)等がある。
【0052】
更に、セキュリティプリントデータには、プリントデータの印刷設定が含まれている。この印刷設定は、ユーザがセキュリティプリントデータを送信する際に、クライアント装置5上で設定することができ、例えば、PJLによって記述することができる。印刷設定には、例えば、印字に関する設定、印字後のフィニッシャの設定等がある。印字に関する設定には、両面印刷の設定、用紙1枚当たりに印刷するページ数の設定等がある。フィニッシャの設定には、印刷された文書に対して行われるパンチ処理、ステープル処理等がある。
【0053】
また、MFP3は、操作部14及び表示部15を備えている。操作部14は、操作パネル等で構成され、ユーザから認証情報の入力を受け付ける。すなわち、操作部14は、特許請求の範囲に記載の受付手段として機能する。表示部15は、ディスプレイ等で構成されている。
【0054】
MFP3が備える制御部20は、物理的には、演算を行うCPU、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。
【0055】
次に、図3を参照して、制御部20が備える機能的な構成要素について説明する。MFP3が、セキュリティプリントデータの転送元、すなわち、上記のMFP3Aとして機能する場合の制御部20を便宜上20Aとする。そして、MFP3が、転送先、すなわち、上記のMFP3Bとして機能する場合の制御部20を便宜上20Bとして説明する。なお、実際のMFP3は、転送元として機能するための制御部20Aと、転送先として機能するための制御部20Bとの双方の機能を有している。図3は、MFP3Aの制御部20AとMFP3Bの制御部20Bとを説明するためのブロック図である。なお、図3では、MFP3の構成について、一部が省略されている。
【0056】
先に、転送元となるMFP3Aが備える制御部20Aについて説明する。制御部20Aは、登録部21、情報取得部22、生成部23、転送制御部24、管理部25、及び記憶部28を備える。
【0057】
登録部21は、セキュリティプリントデータの転送先の候補となる1以上のプリンタを登録する。すなわち、登録部21は、特許請求の範囲に記載の登録手段として機能する。転送先の候補となるプリンタは、MFP3Aと情報の送受信が可能に接続され、セキュリティプリント機能を有する装置である。このプリンタは、スキャナ、FAX等の画像処理機能を有するMFP等であってもよい。本実施形態では、2台のMFP3Bが、転送先の候補となるプリンタであり、登録部21によって登録される。
【0058】
この登録部21は、各プリンタ(MFP)について、サポートされている印刷機能及びPDLを登録する。印刷機能として、例えば、両面印刷機能、フィニッシャ機能等が登録される。PDLとして、例えば、PCL、PS等が登録される。また、登録部21は、GDI(Graphic Device Interface)形式をサポートしている場合にその旨を登録する。すなわち、GDI形式で記述されたプリントデータ(GDIデータ)をデコードして印刷処理を実行可能なプリンタについては、GDI形式をサポートしている旨が登録される。その他、登録部21は、プリンタの名称、IPアドレス、設置場所等を登録する。
【0059】
登録部21は、ユーザの要求に応じて上記の登録を行う。また、登録内容は、情報取得部22が各プリンタから取得する。ここで、図4を参照して、ユーザの要求がなされてから、登録が行われるまでの概要を説明する。図4は、登録処理についての概要を説明するための図である。なお、図4は、ユーザがクライアント装置5を介して要求を行う場合の例を示している。
【0060】
最初に、ユーザの操作によって、登録可能なプリンタの一覧を要求するHTTP要求が、MFP3Aへ送信される(図4のステップS11)。続いて、MFP3Aは、ネットワークを介して接続されたプリンタの情報を取得するために、SRVLOC Attribute Requestをマルチキャストで送信する(ステップS12)。このSRVLOC Attribute Requestによって、上記登録部21に登録される各種の情報を要求することができる。
【0061】
ネットワークに接続された2台のMFP3Bは、SRVLOC Attribute Requestを受信し、SRVLOC Attribute ReplyをMFP3Aへ返信する(ステップS13)。このSRVLOC Attribute Replyには、MFP3Bがサポートしている印刷機能及びPDL、加えて、GDI形式をサポートしている場合にその旨、その他、IPアドレス、設置場所等が含まれている。
【0062】
MFP3Aは、SRVLOC Attribute Replyを受信した後、この応答に含まれている情報を用いて、登録可能なプリンタの一覧情報を生成する。この一覧情報の生成は、生成部23によって行われる。そして、MFP3Aは、生成されたプリンタの一覧情報を、上記のプリンタ一覧のHTTP要求に対するHTTP応答として、クライアント装置5へ返信する(ステップS14)。これにより、ユーザは、転送先のプリンタとして登録可能なプリンタの一覧を見て、登録指示を行うことができる。
【0063】
図5は、登録時に表示される登録画面の一例を示す図である。この登録画面81には、登録可能なプリンタの一覧情報と共に、登録を指示するための設定ボタン82が表示されている。プリンタの一覧情報として、プリンタ名、設置場所、プリンタの詳細情報が表示されている。プリンタの詳細情報として、サポートしている印刷機能及びPDL、GDI形式をサポートしている場合にその旨が表示されている。
【0064】
ユーザが、クライアント装置5のディスプレイに表示された登録画面81を見て、設定ボタン82をクリックすることにより、表示されたプリンタの登録を要求するHTTP要求が、クライアント装置5からMFP3Aへ送信される。MFP3Aが、登録を要求するHTTP要求を受信した場合、MFP3Aの登録部21が、プリンタ毎に上述した登録内容を登録する。
【0065】
転送制御部24は、クライアント装置5から送信されたセキュリティプリントデータが受信された際、登録部21に登録された1以上のプリンタへ、セキュリティプリントデータを転送するための制御を行う。転送制御部24の制御により、MFP3Aにおいて受信されたセキュリティプリントデータは、ネットワークI/F18によって転送される。すなわち、セキュリティプリントデータの転送は、他のプリンタからの要求に応じて行われるのではなく、MFP3Aが、自ら転送を行う。なお、転送制御部24及びネットワークI/F18によって、特許請求の範囲に記載の転送手段の機能が発揮される。
【0066】
転送制御部24は、セキュリティプリントデータを受信した際、このセキュリティプリントデータを識別するためのジョブIDを発行し、発行したジョブIDを付加してセキュリティプリントデータを転送させる。この転送制御部24は、登録された各プリンタについて、転送を行うか否かについて判断を行う判断部26と、転送先のプリンタに合わせてセキュリティプリントデータの情報を書き換える書換部27とを備える。
【0067】
判断部26は、登録されたプリンタについて、セキュリティプリントデータに含まれる印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録されているか否かに基づいて、判断を行う。また、判断部26は、登録されたプリンタについて、セキュリティプリントデータに含まれるプリントデータを記述しているPDLが登録されているか否かに基づいて、判断を行う。また、判断部26は、登録されたプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されているか否かに基づいて、判断を行う。
【0068】
具体的には、判断部26は、GDI形式をサポートする旨が登録されているプリンタについては、転送を行うと判断する。また、判断部26は、受信したプリントデータがPDL形式である場合、GDI形式をサポートする旨が登録されていないプリンタについては、プリントデータのPDLが登録されているプリンタについて、転送を行うと判断する。判断部26によって転送を行うと判断されたプリンタは、転送制御部24によって転送先として設定され、ネットワークI/F18によってセキュリティプリントデータが転送される。
【0069】
また、判断部26は、プリントデータが記述されたPDLと、GDIデータをサポートしている旨との双方が登録されていないプリンタについて、転送を行わないと判断する。これにより、転送先のプリンタにおいて、プリントデータを解析できないというエラーの発生を防止することができる。
【0070】
セキュリティプリントの印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録されていないプリンタについては、書換部27が、そのプリンタについて登録された印刷機能によって実行可能な印刷設定に、受信された印刷設定を書き換える。すなわち、書換部27は、特許請求の範囲に記載の書換手段として機能する。
【0071】
書換部27は、例えば、PJLによって記述された印刷設定において「CRISSCROSS」がONに設定されており、対象となるプリンタについて「CRISSCROSS」の機能が登録されていない場合、「CRISSCROSS」をONからOFFに書き換える。なお、「CRISSCROSS」は、印刷の向きを設定するコマンドである。また、書換部27は、印刷設定において、両面印刷が指定されており、対象となるプリンタについて両面印刷機能が登録されていない場合、両面印刷の設定をOFFに変換して、片面印刷の設定に書き換える。書換部27によって印刷設定が書き換えられた場合、書き換えられた印刷設定を含むセキュリティプリントデータが転送される。
【0072】
また、書換部27は、対象となるプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されている場合、受信されたプリントデータがPDL形式であれば、該プリントデータをラスタライズしてGDI形式に変換する。書換部27によってプリントデータがPDL形式からGDI形式に書き換えられた場合、書き換えられたプリントデータを含むセキュリティプリントデータが転送される。
【0073】
セキュリティプリントデータが転送された後、ユーザのために、自機、及び、セキュリティプリントデータが転送されたプリンタの一覧情報が、生成部23によって生成される。このため、生成部23は、特許請求の範囲に記載の生成手段として機能する。生成部23によって生成された一覧情報は、ネットワークI/F18によってクライアント装置5へ送信される。このため、ネットワークI/F18は、特許請求の範囲に記載の送信手段としても機能する。また、生成部23は、セキュリティプリントについて、印刷待ちのプリントジョブの一覧情報を生成する。この一覧情報についても、ネットワークI/F18によってクライアント装置5へ送信される。
【0074】
図6は、プリントジョブ一覧の一覧画面83の一例を示す図である。この一覧画面83は、クライアント装置5によって表示される画面の一例である。一覧画面83には、プリントジョブの一覧情報が含まれている。図6の例では、プリントデータのファイル名が「Test Print」のプリントジョブが表示されている。このプリントジョブを、ユーザがダブルクリック等で指定することにより、図7に示す画面がクライアント装置5に表示される。
【0075】
図7は、プリント機器一覧の一覧画面84の一例を示す図である。プリント機器一覧の一覧画面84には、MFP3A、及び、セキュリティプリントデータが転送されたプリンタ(MFP3B)の一覧情報が含まれている。この一覧情報は、ファイル名が「Test Print」のプリントデータについて、セキュリティプリントを行うことが可能なプリンタを示している。図7の例では、プリンタ名「V−1111」,「V−1112」,「V−1113」の3台のプリンタが、転送元のMFP3A及び転送先の2台のMFP3Bに相当する。ユーザは、この一覧画面84を見て、セキュリティプリントを実行するプリンタ(MFP)を選択することができる。
【0076】
管理部25は、プリントデータが重複して印刷されないように管理する。管理部25は、プリンタ10によってプリントデータが受信された場合、セキュリティプリントデータが転送されたMFP3Bへ、セキュリティプリントデータの消去を指示する消去指示をネットワークI/F18によって送信させる。また、管理部25は、消去指示と共に、プリントデータの印刷が完了した旨の印刷完了通知をネットワークI/F18によって送信させる。このため、管理部25は、特許請求の範囲に記載の管理手段として機能する。
【0077】
また、管理部25は、転送先のMFP3Bからプリントデータの印刷を行うことの許否について問合せが受信された際には、状況に応じて許可応答又は不可応答を返信する。具体的には、管理部25は、問合せが最初の問合せであり、かつ、自機で印刷が実行されていない場合に、許可応答を返信する。一方、管理部25は、問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機で印刷が実行されている場合に、不可応答を返信する。
【0078】
また、管理部25は、転送先のMFP3Bからセキュリティプリントの印刷完了通知が受信された場合、制御部20Aが備える記憶部28に記憶されたセキュリティプリントデータを消去する。これにより、不要なデータを削除することができ、また、MFP3Aにおいて同じセキュリティプリントが再び実行されることを防止できる。
【0079】
次に、転送先となるMFP3Bが備える制御部20Bについて説明する。制御部20Bは、記憶部31及び管理部32を備える。
【0080】
記憶部31は、MFP3Aから転送されたセキュリティプリントデータをジョブIDと関連付けて記憶する。管理部32は、MFP3Aから消去指示及び印刷完了通知が受信された場合、記憶部31に記憶されたセキュリティプリントデータを消去する。すなわち、管理部32は、特許請求の範囲に記載の管理手段として機能する。
【0081】
また、管理部32は、ユーザから認証情報が自機の操作部14によって受け付けられた場合、プリントデータの印刷を行うことの許否について、問合せを転送元のMFP3AへネットワークI/F18を介して送信させる。そして、管理部32は、問合せに対して、許可応答が返信された場合、該当するプリントデータをプリンタ10によって印刷させる。一方、管理部32は、不可応答が返信された場合、プリンタ10に印刷を実行させない。
【0082】
引き続いて、画像形成システム1における転送元となるMFP3A及び転送先となるMFP3Bの動作について説明する。まず、転送元となるMFP3Aによる登録処理について説明する。登録処理の要求は、ユーザがクライアント装置5を介して行う場合と、MFP3Aが備える操作部14を操作して行う場合がある。最初に、図8を参照して、クライアント装置5から送信される要求に応じて行われる登録処理について説明する。図8は、クライアント装置5から送信される要求に応じて行われる登録処理を示すフロー図である。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0083】
まず、ステップS111では、登録可能なプリンタの一覧情報を要求するHTTP要求が、受信されたか否かが判断される。このHTTP要求が受信されていない場合は、HTTP要求がMFP3Aによって受信されるまで、ステップS111が繰り返し実行される。登録可能なプリンタの一覧情報を要求するHTTP要求が受信された場合、ステップS111からステップS112へ処理が移行する。ステップS112では、SRVLOC Attribute Requestが、マルチキャストで複数のプリンタへ送信される。
【0084】
そして、ステップS113では、SRVLOC Attribute Replyが、受信されたか否かが判断される。SRVLOC Attribute Replyが受信された場合、ステップS114へ処理が移行する。ステップS114では、SRVLOC Attribute Replyの送信元が、プリンタ一覧に追加登録される。例えば、MFP3BからSRVLOC Attribute Replyが受信された場合は、MFP3Bが登録される。その後、処理がステップS113へ戻って、新たなSRVLOC Attribute Replyが、受信されたか否かが判断される。
【0085】
ステップS113では、SRVLOC Attribute Replyが受信されていない場合、ステップS115へ処理が移行する。ステップS115では、受信タイムがアップしたか否かが判断される。すなわち、ステップS112でSRVLOC Attribute Requestが送信されてから所定の時間が経過したか否かが判断される。所定の時間が経過していない場合は、ステップS113へ戻って、新たなSRVLOC Attribute Replyが、受信されたか否かが判断される。所定の時間が経過した場合は、ステップS115からステップS116へ処理が進む。
【0086】
ステップS116では、ステップS112でSRVLOC Attribute Requestが送信されてから、1以上のSRVLOC Attribute Replyが受信されたか否かが判断される。SRVLOC Attribute Replyが受信されていない場合、ステップS117へ処理が移行する。ステップS117では、エラー応答データが生成され、ステップS118では、エラーを示すHTTP応答が、クライアント装置5へ送信される。その後、処理が終了する。この場合は、登録可能なプリンタの情報が得られなかったので、登録は行われない。
【0087】
一方、ステップS116では、SRVLOC Attribute Replyが受信されている場合、ステップS119へ処理が移行する。ステップS119では、プリンタの一覧情報が、生成部23によって生成される。続くステップS120では、プリンタの一覧情報が、HTTP応答としてクライアント装置5へ返信される。これにより、ユーザは、クライアント装置5のディスプレイで、登録可能なプリンタの一覧が表示された登録画面81を見ることができる。
【0088】
続いて、ステップS121では、プリンタの登録についてHTTP要求を受信したか否かが判断される。このHTTP要求が受信されていない場合、ユーザが登録画面81の設定ボタン82をクリックして、登録を要求するHTTP要求がクライアント装置5から送信され、MFP3Aにおいて受信されるまで、ステップS121の処理が繰り返し実行される。
【0089】
ステップS121では、プリンタの登録についてHTTP要求が受信された場合、ステップS122へ処理が進む。ステップS122では、SRVLOC Attribute Replyを返信した各プリンタについて、IPアドレス、設置場所、サポートしているPDL及び印刷機能、加えて、GDI形式をサポートしている場合はその旨が、登録部21によって登録される。以上の処理により、クライアント装置5から送信される要求に応じて、本実施形態では2台のMFP3Bについて登録が行われる。
【0090】
次に、図9を参照して、MFP3Aの操作部14によって受け付けられた要求に応じて行われる登録処理について説明する。図9は、操作部14によって受け付けられた要求に応じて行われる登録処理を示すフロー図である。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0091】
まず、ステップS131では、登録可能なプリンタの一覧表示の要求が操作部14によって受け付けられたか否かが判断される。要求が受け付けられていない場合は、ユーザから受け付けられるまでステップS131が繰り返し実行される。プリンタの一覧表示について、要求が受け付けられた場合、ステップS131からステップS132へ処理が移行する。ここで、ステップS132からステップS135までの処理は、上述した図8に示すステップS112からステップS125までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0092】
続くステップS136では、上記のステップS116と同様に、ステップS132でSRVLOC Attribute Requestが送信されてから、1以上のSRVLOC Attribute Replyが受信されたか否かが判断される。SRVLOC Attribute Replyが受信されていない場合、ステップS137へ処理が移行する。ステップS137では、エラー表示データが生成され、ステップS138では、エラーが表示部15に表示される。その後、処理が終了する。この場合は、登録可能なプリンタの情報が得られなかったので、登録は行われない。
【0093】
一方、ステップS136では、SRVLOC Attribute Replyが受信されている場合、ステップS139へ処理が移行する。ステップS139では、プリンタの一覧情報が、生成部23によって生成される。続くステップS140では、プリンタの一覧情報が、表示部15に表示される。これにより、ユーザは、登録可能なプリンタの一覧が表示された登録画面81を見ることができる。
【0094】
続いて、ステップS141では、プリンタの登録要求が受け付けられたか否かが判断される。この登録要求が受け付けられていない場合、操作部14によってユーザからの登録指示が入力されるまで、ステップS141の処理が繰り返し実行される。ステップS141では、プリンタの登録要求が受け付けられた場合、ステップS142へ処理が進む。ステップS142では、図8のステップS122と同様に、SRVLOC Attribute Replyを返信した各プリンタについて、IPアドレス、設置場所、サポートしているPDL及び印刷機能、加えて、GDI形式をサポートしている場合はその旨が、登録部21によって登録される。
【0095】
続いて、図10及び図11を参照して、MFP3Aによるセキュリティプリントデータの転送処理について説明する。図10及び図11は、転送元となるMFP3Aによる転送処理を示すフロー図であり、図10は前半のフローを示し、図11は後半のフローを示している。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0096】
まず、ステップS151では、セキュリティプリントデータが受信されたか否かが判断される。セキュリティプリントデータが受信されていない場合は、クライアント装置5からセキュリティプリントデータが送信され、MFP3Aにおいて受信されるまで、ステップS151が繰り返し実行される。セキュリティプリントデータが受信された場合、ステップS152へ処理が移行する。
【0097】
ステップS152では、セキュリティプリントデータに含まれるプリントデータ及び認証情報が、記憶部28に記憶される。続いて、ステップS153では、ジョブIDが生成される。そして、ステップS154では、登録部21によって登録されたプリンタがあるか否かが判断される。登録されたプリンタがない場合、処理が終了する。この場合、セキュリティプリントデータの転送は行われない。
【0098】
ステップS154で、登録されたプリンタがある場合、処理が図11のステップS155へ移行する。ステップS155では、受信したプリントデータがPDLデータであるか否かが判断される。受信したプリントデータがPDLデータでなく、GDIデータである場合、ステップS156へ処理が移行する。ステップS156では、転送先の候補のプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されているか否かが判断される。転送先の候補のプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されていない場合、該転送先の候補のプリンタには、セキュリティプリントデータを転送しないと判断され、ステップS163へ処理が移行する。
【0099】
一方、ステップS156では、転送先の候補のプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されている場合、該転送先の候補のプリンタには、セキュリティプリントデータを転送すると判断され、ステップS160へ処理が進む。一方、ステップS155で、受信したプリントデータがPDLデータである場合、ステップS157へ処理が移行する。ステップS157では、転送先の候補のプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されているか否かが判断される。転送先の候補のプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されている場合、該転送先の候補のプリンタにセキュリティプリントデータを転送すると判断され、ステップS158へ処理が移行する。ステップS158では、PDLデータが、転送制御部24によってラスタライズ処理され、GDIデータが作成される。その後、ステップS160へ処理が移行する。
【0100】
一方、ステップS157で、転送先の候補のプリンタについて、GDI形式をサポートしている旨が登録されていない場合、ステップS159へ処理が移行する。ステップS159では、転送先の候補のプリンタが、受信したプリントデータのPDLをサポートしているか否かが判断される。すなわち、転送先の候補のプリンタについて、受信したプリントデータのPDLが登録されているか否かが判断される。転送先の候補のプリンタが、受信したプリントデータのPDLをサポートしていない場合、該転送先の候補のプリンタには、セキュリティプリントデータを転送しないと判断され、ステップS163へ処理が移行する。一方、ステップS159では、転送先の候補のプリンタが、受信したプリントデータのPDLをサポートしている場合、ステップS160へ処理が移行する。
【0101】
ステップS160では、転送先の候補のプリンタが、受信したプリントデータの印刷設定をサポートしているか否かが判断される。すなわち、転送先の候補のプリンタについて、セキュリティプリントデータに含まれる印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が、登録されているか否かが判断される。転送先の候補のプリンタが、セキュリティプリントデータの印刷設定をサポートしている場合は、ステップS160からステップS162へ処理が移行する。転送先の候補のプリンタが、セキュリティプリントデータの印刷設定をサポートしていない場合、ステップS160からステップS161へ処理が移行する。ステップS161では、セキュリティプリントデータにおいて、印刷設定が、転送先の候補のプリンタに合わせて書き換えられる。すなわち、転送先の候補のプリンタについて登録された印刷機能によって印刷可能な印刷設定を指定するように、印刷設定が書き換えられる。その後、ステップS162へ処理が移行する。
【0102】
続いて、ステップS162では、セキュリティプリントデータが、ジョブIDと共に、該当するプリンタへ転送される。例えば、MFP3Bにセキュリティプリントデータが転送される。その後、ステップS163へ処理が移行する。ステップS163では、全転送先の候補のプリンタについて、処理が完了したか否かが判断される。未だ、処理が行われていない転送先の候補のプリンタがある場合は、ステップS155へ処理が移行する。全転送先の候補のプリンタについて、処理が完了した場合は、一連の処理が終了する。以上の処理により、登録された各プリンタについて、セキュリティプリントデータに含まれる情報と登録内容とに基づいて転送するか否かが判断され、転送すると判断されたプリンタへ、セキュリティプリントデータが転送される。また、必要な場合には、転送先のプリンタに合わせて印刷設定が書き換えられた上で、セキュリティプリントデータが転送される。
【0103】
次に、図12を参照して、MFP3Aが、セキュリティプリントの一覧情報を提供する際の提供処理について説明する。図12は、転送元のMFPによる一覧情報の提供処理を示すフロー図である。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0104】
まず、ステップS171では、セキュリティプリントの一覧情報について、HTTP要求が受信されたか否かが判断される。このHTTP要求が受信されていない場合、ユーザから要求されるまで、ステップS171の処理が繰り返し実行される。プリントジョブの一覧情報について、HTTP要求が受信された場合、ステップS171からステップS172へ処理が移行する。
【0105】
ステップS172では、セキュリティプリントについて、印刷待ちのプリントジョブの一覧情報が生成される。また、プリントジョブ毎に、自機(MFP3A)及びセキュリティプリントデータが転送されたプリンタの一覧情報が生成される。すなわち、プリントジョブの一覧情報と、プリンタの一覧情報とを含むセキュリティプリントの一覧情報が生成される。続くステップS173では、セキュリティプリントの一覧情報が、HTTP応答として要求元のクライアント装置5へ返信される。以上の処理により、クライアント装置5に、セキュリティプリントの一覧情報が提供され、クライアント装置5において、プリントジョブ一覧の一覧画面83及びプリント機器一覧の一覧画面84が表示可能となる。
【0106】
次に、図13を参照して、転送先のMFP3Bがセキュリティプリントを実行する際の処理について説明する。図13は、転送先のMFP3Bによるセキュリティプリント処理を示すフロー図である。本処理は、MFP3Bの制御部20Bによって、所定の周期で繰り返し実行される。
【0107】
まず、ステップS181では、ジョブIDと認証情報が、ユーザから受け付けられたか否かが判断される。受け付けられていない場合は、受け付けられるまで、ステップS181の処理が繰り返し実行される。ジョブIDと認証情報が受け付けられた場合、ステップS181からステップS182へ処理が移行する。ステップS182では、セキュリティプリントを行うことの許否について、問合せが、転送元のMFP3Aへ送信される。続くステップS183では、ステップS182で送信された問合せに対する許可応答が受信されたか否かが、判断される。許可応答が受信されなかった場合、すなわち、不可応答が受信された場合は、ステップS183からステップS184へ処理が進む。ステップS184では、他のプリンタによりセキュリティプリントが既に実行されている旨と共に、エラーが表示部15に表示される。
【0108】
一方、ステップS183で許可応答が受信された場合、処理がステップS185へ移行する。ステップS185では、印刷対象であるプリントデータがPDLデータか否かが判断される。プリントデータがPDLデータである場合、ステップS186へ処理が移行する。ステップS186では、PDLデータの解析が行われ、続いて、ラスタライズ処理が実行される。続くステップS187では、ラスタライズされたプリントデータが印刷される。そして、ステップS188では、プリントデータについて、全てのページが印刷されたか否かの確認が行われる。未だ印刷されていないページがある場合は、ステップS188からステップS186へ処理が戻る。全てのページが印刷されている場合、ステップS188からステップS192へ処理が移行する。
【0109】
一方、ステップS185では、プリントデータがPDLデータでなく、GDIデータである場合、ステップS185からステップS189へ処理が移行する。ステップS189では、GDIデータのデコード処理が行われる。続くステップS190では、デコードされたプリントデータが印刷される。そして、ステップS191では、プリントデータについて、全てのページが印刷されたか否かの確認が行われる。未だ印刷されていないページがある場合は、ステップS191からステップS189へ処理が戻る。全てのページが印刷されている場合、ステップS191からステップS192へ処理が移行する。
【0110】
ステップS192では、記憶部31に記憶されたセキュリティプリントデータがジョブIDと共に消去される。そして、ステップS193では、印刷完了通知が、転送元のMFP3Aへ送信される。以上の処理手順により、転送先のMFP3Bにおいてセキュリティプリントが行われる。
【0111】
次に、図14を参照して、転送元のMFP3Aがセキュリティプリントを実行する際の処理について説明する。図14は、転送元のMFP3Aによるセキュリティプリント処理を示すフロー図である。本処理は、MFP3Aの制御部20Aによって、所定の周期で繰り返し実行される。
【0112】
まず、ステップS211では、ジョブIDと認証情報が、ユーザから受け付けられたか否かが判断される。受け付けられていない場合は、受け付けられるまで、ステップS211の処理が繰り返し実行される。ジョブIDと認証情報が受け付けられた場合、ステップS211からステップS212へ処理が移行する。
【0113】
ステップS212では、転送先のMFP3Bのいずれかでセキュリティプリントが開始されているか否かが判断される。例えば、既に、転送先のMFP3Bから送信された問合せが受信されている場合は、転送先のMFP3Bでセキュリティプリントが開始されていると判断する。また、問合せが受信されていない場合は、転送先のMFP3Bでセキュリティプリントが開始されていないと判断する。ステップS212では、転送先のMFP3Bのいずれかでセキュリティプリントが開始されていると判断された場合、ステップS213へ処理が進む。ステップS213では、他のプリンタによりセキュリティプリントが既に実行されている旨と共に、エラーがMFP3Aの表示部15に表示される。
【0114】
一方、ステップS212では、転送先のMFP3Bでセキュリティプリントが開始されていないと判断された場合、ステップS214へ処理が進む。ステップS214からステップS221は、上記図13のステップS185からステップS192の処理と同様であるので、説明を省略する。そして、ステップS222では、印刷完了通知及び消去指示が、全ての転送先のMFP3Bへ送信される。以上の処理手順により、転送元のMFP3Aにおいてセキュリティプリントが行われる。
【0115】
次に、図15を参照して、転送元のMFP3Aによって行われる管理処理について説明する。図15は、転送元のMFP3Aによる管理処理を示すフロー図である。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0116】
まず、ステップS201では、転送先のMFP3Bから、セキュリティプリントを行うことの許否について問合せが受信されたか否かが判断される。問合せが受信されている場合、ステップS201からステップS202へ処理が移行する。ステップS202では、画像形成システム1において印刷が開始済みか否かが判断される。自機で印刷が行われた場合、及び、既に別の問合せに対して許可応答が返信されている場合は、印刷が開始済みであると判断される。この場合、ステップS202からステップS204へ処理が進み、ステップS204では、不可応答がMFP3Bへ返信される。すなわち、問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機で印刷が実行されている場合に、不可応答が返信される。
【0117】
一方、ステップS202では、自機で印刷が行われておらず、既に別の問合せに対して許可応答が返信されていない場合は、印刷が開始済みでないと判断される。この場合、ステップS202からステップS203へ処理が進み、ステップS203では、許可応答が返信される。これにより、問合せが最初の問合せであり、かつ、自機で印刷が実行されていない場合に、許可応答が返信される。この場合、その後、処理が終了する。
【0118】
一方、ステップS201では、問合せを受信していない場合、ステップS205へ処理が進む。ステップS205では、転送先のMFP3Bから、消去指示を受信したか否かが判断される。消去指示を受信していない場合、処理が終了する。一方、消去指示を受信した場合は、ステップS205からステップS206へ処理が進む。ステップS206では、印刷完了通知及び消去指示が、通知元のMFP3B以外のMFP3Bへ送信される。また、自機内の記憶部28から該当するセキュリティプリントデータが消去される。
【0119】
その後、ステップS207では、印刷完了通知及び消去指示が、該当する全てのMFP3Bへ送信されたか否か判断される。未送信のMFP3Bがある場合は、ステップS207からステップS206へ処理が戻って、印刷完了通知及び消去指示の送信処理が行われる。一方、該当する全てのMFP3Bへ送信された場合、一連の処理が終了する。以上の処理により、画像形成システム1内でセキュリティプリントが重複して行われることを防止できる。
【0120】
以上説明したMFP3A及びMFP3Bによれば、MFP3Aにおいて、セキュリティプリントデータがクライアント装置5から受信された際、複数のプリンタ(MFP3B)へ、セキュリティプリントデータが転送される。このため、転送先のMFP3Bに認証情報が入力される前に、プリントデータをMFP3Bに転送することができる。従って、転送先のMFP3Bでセキュリティプリントが行われる際に、プリントデータの転送にかかる時間を省くことができる。すなわち、ユーザがセキュリティプリントデータを送信したMFP3A以外のMFP3Bでセキュリティプリントを行う場合に、認証情報を入力してから印刷が完了するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0121】
MFP3Aによれば、プリントデータを記述しているPDLが登録されているプリンタへ、セキュリティプリントデータが転送される。このため、転送先のプリンタにおいて、プリントデータを解析できないために発生するエラーを防止することができる。
【0122】
MFP3Aによれば、セキュリティプリントデータの印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録されていないプリンタについては、そのプリンタについて登録された印刷機能によって実行可能な印刷設定を指定するように、印刷設定が書き換えられる。このため、転送先のプリンタにおいて、印刷設定を実行できないために発生するエラーを防止することができる。
【0123】
MFP3Aによれば、GDI形式をサポートしている旨が登録されたプリンタについては、プリントデータがPDL形式からGDI形式に変換されて、転送される。このため、転送先のプリンタでセキュリティプリントが行われる際に、PDL形式のプリントデータをラスタライズ処理する必要がない。従って、転送先のプリンタにおいて、ラスタライズ処理にかかる時間を省くことができる。
【0124】
MFP3Aによれば、受信したプリントデータのPDLと、GDI形式をサポートしている旨との双方が登録されていないプリンタに対して、セキュリティプリントデータは転送されない。これにより、転送先のプリンタにおいて、印刷処理を実行できないために発生するエラーを防止することができる。
【0125】
MFP3Aによれば、自機及びセキュリティプリントデータが転送されたプリンタの一覧情報が生成され、クライアント装置5へ送信される。これにより、セキュリティプリント行うことが可能な装置の一覧情報を、セキュリティプリントデータを送信したユーザに提供することができる。
【0126】
MFP3Aによれば、プリントデータが自機によって印刷された場合、セキュリティプリントデータが転送されたMFP3Bへ、該セキュリティプリントデータの消去指示と印刷完了通知が送信される。そして、MFP3Bでは、転送されたセキュリティプリントデータが消去される。従って、プリントデータが重複して印刷されることを防止できる。また、転送先のプリンタにおいて、不要なプリントデータが蓄積されることも防止できる。
【0127】
MFP3Bによれば、認証情報が入力された場合、プリントデータの印刷を行うことの許否について、問合せが転送元のMFP3Aに送信される。そして、MFP3Aでは、問合せが転送先のプリンタから受信された際、その問合せが最初の問合せであり、かつ、自機によって印刷が実行されていない場合に、許可応答が返信される。一方、問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機によって印刷が実行されている場合に、不可応答が返信される。これにより、画像形成システム1において、プリントデータが重複して印刷されることを防止できる。
【0128】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、MFP3Aは、受信したセキュリティプリントデータの印刷設定をサポートする転送先のプリンタが登録されている場合、印刷設定の書き換えを行わなくてもよい。この場合、MFP3Aは、受信したセキュリティプリントデータの印刷設定をサポートする転送先のプリンタにのみ、セキュリティプリントデータを転送する。
【0129】
また、MFP3Aは、印刷設定の書き換えを行った場合、書き換えを行った旨の情報を付加して、セキュリティプリントデータを転送してもよい。例えば、印刷設定を両面印刷から片面印刷に書き換えた場合、その旨をPJLにより記述し、セキュリティプリンデータに付加して転送する。そして、転送先のMFP3Bにおいてセキュリティプリントが実行される際に、両面印刷から片面印刷に変更された旨をMFP3Bの表示部15に表示させる。これにより、印刷設定が書き換えられた旨の情報をユーザに提供することができる。
【0130】
また、上記実施形態では、転送先のMFP3Bが、セキュリティプリントを実行する際に、問合せを転送元のMFP3Aへ送信することとしたが、送信しなくてもよい。また、上記実施形態では、転送元のMFP3Aが備える管理部25と、転送先のMFP3Bが備える管理部32とは、画像形成システム1においてセキュリティプリントが重複して行われないように管理を行っていたが、この目的に限らない。例えば、不要なデータを削除する目的で上述した処理を行ってもよい。また、MFP3A及びMFP3Bは、管理部25,32を備えていなくてもよい。
【0131】
また、上記では、本発明の画像形成装置の実施形態として、画像形成装置が搭載されたMFP3について説明したが、本発明の画像形成装置の実施形態としては、プリンタ機能を備えていればよく、その他のスキャナ、FAX等の機能を備えていなくてもよい。また、上記実施形態では、認証情報の入力は、操作部14を構成する操作パネルを介して行われることとしたが、認証情報の入力は、ICカード等で行うことができるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1 画像形成システム
3(3A) (転送元の)MFP
10 プリンタ
14 操作部
18 ネットワークI/F
20A 制御部
21 登録部
22 情報取得部
23 生成部
24 転送制御部
25 管理部
26 判断部
27 書換部
3(3B) (転送先の)MFP
10 プリンタ
14 操作部
18 ネットワークI/F
32 管理部
5 クライアント装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置及び1以上の他の画像形成装置と接続される画像形成装置であって、
ユーザの認証情報及びプリントデータを含むセキュリティプリントデータを前記クライアント装置から受信する受信手段と、
ユーザから認証情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた認証情報が、前記受信手段によって受信された認証情報と一致した場合、前記プリントデータを印刷する印刷手段と、
前記受信手段によって前記セキュリティプリントデータが受信された際、1以上の前記他の画像形成装置であって、ユーザから認証情報の入力を受け付けた場合に該当するプリントデータを印刷することが可能な1以上の前記他の画像形成装置へ、前記セキュリティプリントデータを転送する転送手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記他の画像形成装置毎に、該他の画像形成装置の情報を登録する登録手段を備え、
前記転送手段は、前記登録手段によって登録された情報に基づいて転送を行うと判断された前記他の画像形成装置へ、転送を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記他の画像形成装置がサポートしている印刷機能を登録し、
前記受信手段は、前記プリントデータの印刷設定を含む前記セキュリティプリントデータを受信し、
前記転送手段は、前記受信手段によって受信された印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録された前記他の画像形成装置へ、前記セキュリティプリントデータを転送することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記登録手段は、前記他の画像形成装置がサポートしているページ記述言語を登録し、
前記転送手段は、前記受信手段によって受信された前記プリントデータを記述しているページ記述言語が登録されている他の画像形成装置へ、前記セキュリティプリントデータを転送することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記登録手段に登録された他の画像形成装置の情報に基づいて、転送先となる前記他の画像形成装置に合わせて前記セキュリティプリントデータに含まれる情報を書き換える書換手段を備え、
前記転送手段は、前記書換手段によって書き換えられた情報を含むセキュリティプリントデータを転送することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記登録手段は、前記他の画像形成装置がサポートしている印刷機能を登録し、
前記受信手段は、前記プリントデータの印刷設定を含む前記セキュリティプリントデータを受信し、
前記書換手段は、前記他の画像形成装置について、受信された前記印刷設定に従って印刷を実行するための印刷機能が登録されていない場合、該他の画像形成装置について登録された印刷機能によって実行可能な印刷設定に書き換えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記登録手段は、前記他の画像形成装置がGDI形式をサポートしている場合に、GDI形式をサポートしている旨を登録し、
前記書換手段は、前記他の画像形成装置について、GDI形式をサポートしている旨が登録されている場合、前記受信手段によって受信されたPDL形式のプリントデータをGDI形式に変換することを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記登録手段は、前記他の画像形成装置がサポートしているページ記述言語を登録し、加えて、該他の画像形成装置がGDI形式をサポートしている場合にGDI形式をサポートしている旨を登録し、
前記転送手段は、前記受信手段によって受信されたプリントデータを記述しているページ記述言語、及び、GDI形式をサポートしている旨が登録されていない他の画像形成装置に対して、前記セキュリティプリントデータを転送しないこと特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
自機の前記印刷手段によって前記プリントデータが印刷された場合、前記セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置に対して、該セキュリティプリントデータの消去指示を行う管理手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
自機の前記印刷手段によって前記プリントデータが印刷された場合、前記セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置に対して、前記プリントデータの印刷が完了したことを通知する管理手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記プリントデータが重複して印刷されないように管理する管理手段を備え、
前記受信手段は、前記セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置から前記プリントデータの印刷を行うことの許否について問合せを受信し、
前記管理手段は、前記受信手段によって前記問合せが受信された際には、該問合せが最初の問合せであり、かつ、自機の前記印刷手段による印刷が実行されていない場合に、許可応答を返信し、該問合せが最初の問合せでない場合、又は、自機の前記印刷手段による印刷が実行されている場合に、不可応答を返信することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
自機、及び、前記セキュリティプリントデータが転送された他の画像形成装置の一覧情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された一覧情報を、前記セキュリティプリントデータを自機に送信したクライアント装置へ送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
ユーザの認証情報及びプリントデータを含むセキュリティプリントデータを受信し、該認証情報の入力に応じて該プリントデータを印刷する機能を有する他の画像形成装置から、前記セキュリティプリントデータを受信する受信手段と、
ユーザから認証情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた認証情報が、既に前記受信手段によって受信された認証情報と一致した場合に、前記プリントデータを印刷する印刷手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記セキュリティプリントデータの消去指示が受信された場合、前記受信手段によって受信されたセキュリティプリントデータを消去する管理手段を備えることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記プリントデータの印刷が完了したことを通知する印刷完了通知が受信された場合、前記受信手段によって受信されたセキュリティプリントデータを消去する管理手段を備えることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記受付手段によって受け付けられた認証情報が、既に前記受信手段によって受信された認証情報と一致した場合、前記他の画像形成装置に対して、前記プリントデータの印刷を行うことの許否について問合せ行う管理手段を備え、
前記管理手段は、前記問合せに対して、前記他の画像形成装置から許可応答が得られた場合、前記印刷手段に前記プリントデータを印刷させ、不可応答が得られた場合、前記印刷手段に前記プリントデータを印刷させないことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか1項に記載された画像形成装置と、請求項13〜16のいずれか1項に記載された画像形成装置とを備える画像形成システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−86464(P2012−86464A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235380(P2010−235380)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】