説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】画像形成装置のスタンバイ時及び動作中の消費電力を低減する。
【解決手段】画像形成装置は、主電源を制御し、所定の動作モードへの移行要因を検出すると移行要因を通知する電源制御手段と、通知された移行要因に基づいて起動を要するデバイスに対してのみ電源を供給する電源供給手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファクシミリ装置においては、公衆回線から呼出信号があった場合、常時受信可能な状態でなければならないため、スタンバイ時あるいは動作中において、常時電源を立ち上げた状態を保持している。また、スタンバイ時の消費電力を低減することを目的として、主制御部とは別に、電源を制御する電源制御部を設け、スタンバイ時には電源制御部以外の主電源への電源供給を停止し、電源制御部のみをスタンバイ状態として、動作時にのみ主電源を立ち上げる技術が既に知られている。
【0003】
特許文献1には、スタンバイ時の電力を抑えつつ、簡単な構成で主電源の起動要因を監視する目的で、主電源、主電源制御部、二次電池、太陽電池等を備え、主電源制御部のマイコン(マイクロコンピュータ)は、スタンバイ状態にてスリープモードにあり、1秒毎のタイマー割込みにより、二次電池の放電検出、キー検出、原稿検出、送受話器(ハンドセット)のオフフック検出、呼出信号の検出を行い、検出結果に応じて主電源を起動する構成、すなわち、電源制御部にて復帰要因を検出して主電源を起動する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、電源制御部にて復帰要因が検出されると、まず主電源を立ち上げ、主制御部は、一様の起動シーケンスを経た後に、電源制御部からの通知される復帰要因に応じて処理を実行していた。そうすると、主電源が起動される度毎にすべてのモジュールの初期化処理(イニシャライズ)を実行することになるため、復帰要因によっては、本来必要とされないモジュールに対する初期化処理も実行されていた。すなわち、すべてのモジュールの初期化処理を実行することにより、結果的に主電源がオン状態にある時間が長くなるため、消費電力量(TEC(Typical Electricity Consumption)値等)に影響してしまうという問題があった。
【0005】
また、特許文献1に記載された技術では、電源を投入されて起動する主制御部は、起動する度毎に、一様の起動シーケンスを経ており、その際にすべてのモジュールの初期化処理を実行しているため、結果的に主電源がオン状態にある時間が長くなり、消費電力量(TEC値等)が大きくなってしまうという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、起動時の復帰要因に応じて必要最低限の処理のみを実行することにより、電源がオン状態にある時間を短くすること、また必要最低限のデバイスにのみ電源を供給することにより、スタンバイ時及び動作中の消費電力を低減することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明における画像形成装置は、主電源を制御し、所定の動作モードへの移行要因を検出すると前記移行要因を通知する電源制御手段と、前記通知された前記移行要因に基づいて起動を要するデバイスに対してのみ電源を供給する電源供給手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明における画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、電源制御手段は、移行要因を検出した後に主電源をオンし、移行要因を通知することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明における画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、電源制御手段は、所定の動作モードが終了した後に、主電源をオフすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明における画像形成装置は、請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置において、所定の動作モードは、ファクシミリの送受信動作であることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明における画像形成装置は、請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置において、所定の動作モードは、ハンドセットのオフフック動作であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明における画像形成装置は、請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置において、所定の動作モードは、電話回線からの着信動作であることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明における画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、電源制御手段は、移行要因を検出する以前はスリープモード状態で動作し、移行要因を検出した後はスタンバイモード状態で動作し、所定の動作モードが終了した後は再びスリープモード状態で動作することを特徴とする。
【0014】
また、本発明における画像形成装置は、請求項7記載の画像形成装置において、電源制御手段は、スタンバイモード状態で動作するためのバックアップ電源と、バックアップ電源を充電するための充電手段と、バックアップ電源の電圧を検出する検出手段と、をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
そして、本発明における画像形成装置は、請求項8に記載の画像形成装置において、電源制御手段)は、バックアップ電源の電圧が所定の電圧以下になったとき、充電手段によりバックアップ電源)を充電し、バックアップ電源の充電が完了したときは、充電手段による充電を終了することを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するため、請求項10に記載の本発明における画像形成方法は、電源制御手段が、主電源を制御し、所定の動作モードへの移行要因を検出すると前記移行要因を通知する工程と、電源供給手段が、前記通知する工程により通知された前記移行要因に基づいて起動を要するデバイスに対してのみ電源を供給する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、スタンバイモードから起動する際の各動作モードへの移行要因を確認し、この移行要因に応じて、必要最低限の処理を実行することにより、電源がオン状態にある時間を極力短くでき、各動作モードにおいて必要とされるデバイスに対してのみ電源を供給することにより、スタンバイモード時及び各動作モード中における消費電力を低減できる画像形成装置及び画像形成方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における画像形成装置の電源制御部の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態における画像形成装置の網制御ユニット(NCU:Network Control Unit)部の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の実施形態における画像形成装置のAC(Alternating Current)電源投入時からスタンバイ状態にあるときの処理手順を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の実施形態における画像形成装置の呼出信号検出時から必要最低限の処理を実行するための処理手順を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の実施形態における画像形成装置のハンドセットのオフフック検出時から必要最低限の処理を実行するための処理手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の実施形態における画像形成装置のファクシミリの指定送信時刻検出時から必要最低限の処理を実行するための処理手順を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の実施形態における画像形成装置の二次電池を充電する処理手順を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の実施形態における画像形成装置のスリープモードとスタンバイモードの処理手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。本発明は、電源がオン状態にある時間を短くする、また、電源がオン状態にある間も各動作モードにおいて必要なデバイスのみに電源を供給することにより、スタンバイモード時及び各動作モード中の消費電力を低減することが特徴となっている。
【0020】
本発明の実施の形態を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態における画像形成装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、画像形成装置100は、ファクシミリの送信/受信を制御するFCU(Fax Control Unit)部1を備え、FCU部1は、画像形成装置100を制御するCTL(Controller)部12と接続される。
【0021】
また、CTL部12は、操作部13及び読み取り部14と接続されている。さらに、CTL部12は、図示しないエンジン制御部とも接続される。エンジン制御部とは、画像形成部であり、電子写真やインクジェットの技術を用いて紙等に画像を印刷するものである。また、CTL部12においては、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等を介して受信したプリントデータをも同様に印刷出力することができる。
【0022】
次にFCU部1の構成について説明する。FCU部1は、マイクロプロセッサ等から構成される主制御部(CPU:Central Processing Unit)2が、ROM(Read Only Memory)6に記憶されているプログラムにしたがって、モデム部3、網制御ユニット(NCU:Network Control Unit)部4、RAM(Random Access Memory)7、記録部8、電池充電回路9、及び不揮発性RAM10を制御する。
【0023】
RAM7には、読み取り部14によって読み取られた2値化画像データ或いは記録部8に記録されている2値化画像データが格納され、この2値化画像データは、モデム部3によって変調され、当該変調された信号がNCU部4を介して電話回線5に出力される。また、RAM7は、電話回線5から入力されたアナログ波形信号をNCU部4及びモデム部3を介して復調し、その復調された2値化データを格納する。
【0024】
不揮発性RAM10は、FCU部1の電源が遮断された状態であっても、保存しておくべきデータ(例えば、短縮ダイヤル番号等)を確実に格納する。また、読み取り部14はDMA(Direct Memory Access)コントローラ、画像処理IC(Integrated Circuit)、イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ロジックIC等から構成され、コンタクトセンサ(CS:Contact Sensor)を利用して読み取ったデータを2値化し、その2値化データを順次RAM7に送る。
【0025】
記録部8は、DMAコントローラ、インクジェット記録装置、CMOSロジックIC等から構成され、主制御部(CPU)2の制御によってRAM7に格納されている記録データを取り出し、ハードコピーとして出力する。モデム部3はG3、G2モデムとこれらのモデムに接続されたクロック発生回路等から構成され、主制御部(CPU)2の制御に基づいてRAM7に格納されている送信データを変調し、NCU部4を介して電話回線5に出力する。
【0026】
また、モデム部3は、電話回線5から入力されるアナログ信号をNCU4部を介して受信し、その信号を復調して2値化データをRAM7に格納する。NCU部4は、主制御部(CPU)の制御によりモデム3あるいは電話機15のいずれかに切り替えて電話回線5を接続する。さらに、NCU部4は呼出信号を検出する手段を有し、呼出信号が検出されたときは着信信号を電源制御部11に送出する。
【0027】
電話機15はFCU部1に外付けで接続される。電話機15は、具体的には送受話器(ハンドセット)、スピーチネットワーク、ダイヤラ、リンガー、テンキー、ワンタッチキー等から構成される。操作部13は画像送信、受信等をスタートさせるキー、送受信時におけるファイン、標準、自動受信等の操作モードを指定するモード選択キー、ダイヤリング用のテンキー乃至ワンタッチキー等から構成される。
【0028】
電源制御部11は、FCU部1の各部への通電を制御するもので、ワンチップマイクロコンピュータ、コンデンサタイプの二次電池等から構成され、この二次電池から供給される電力だけでもFCU部1の駆動が可能である。二次電池は電池充電回路9にて充電される。電源制御部11はNCU部4からの着信信号、電話機15のオフフック信号、及び二次電池の電池電圧の低下等の所定の動作モードへの移行要因を検知すると、起動信号を電源部16に送出する。
【0029】
電源部16はスイッチング電源であり、外部からスイッチング電源のオン、オフ制御が可能であり、電源制御部11からの起動信号、停止信号によってそれぞれ電力を供給したり、電力を停止したりする。
【0030】
次に、電源制御部11の構成について説明する。図2は、本発明の実施形態における画像形成装置の電源制御部の構成を示す回路図である。電源制御部11には、ワンチップマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)17が設けられており、このマイコン17は、低消費電力で動作可能な状態である動作モード(スタンバイモード)と、プログラムの実行を停止しておき、割り込み入力だけを受け付ける状態であるスリープモードとを有し、消費電力が極めて少ない状態で待機することができる。
【0031】
マイコン17に対する電源は、DC(Direct Current)/DCコンバータ18を介して2系統に接続される。なお、DC/DCコンバータ18は、入力電圧が出力電圧よりも高いときはシリーズレギュレータとして動作し、入力電圧が出力電圧より低いときは昇圧型スイッチングレギュレータ及びシリーズレギュレータとして動作する。そして、2系統の電源の1つは主電源+5Vであり、他の1つは二次電池21による供給である。
【0032】
マイコン17には、通常の動作モードにおいてはAC(Alternating Current)電源から生成される主電源+5Vにより電源供給が行われる一方、スタンバイモードにおいては、AC電源から生成される主電源+5Vはオフされるため、二次電池21より電源供給が行われる。
【0033】
二次電池21の放電時の電圧は、電圧検出回路20によって検出され、その電圧が1.2Vを超える場合には、電圧検出回路20の出力OUT端子がHレベルとなり、1.2V以下の場合にはLレベルとなる。電圧検出回路20の出力OUT端子はマイコン17のBAT DET_N端子に接続されている。
【0034】
二次電池21の充電はレギュレータ19によって行われる。二次電池21を充電するときは、レギュレータ19のEN端子をHレベルにすることにより、レギュレータ19のOUT端子から出力させる。充電時にのみEN端子をHレベルとすることで、不要な電力の消費を低減することができる。
【0035】
マイコン17はシリアルインタフェースSI/O(Input/Output)を通じて主制御部(CPU)2とデータのやり取りを行うことができ、画像形成装置100の所定の動作モードへの移行要因は、マイコン17からCPU2に対して、このシリアルインタフェースSI/Oを介して通知される。そして、主制御部(CPU)2は、通知された移行要因に基づいて起動が必要とされるデバイスに対してのみ電源を供給する電源供給手段としての役割を有する。また、マイコン17は、画像形成装置100の所定の動作モードへの移行要因を検出する入力端子(RING DET_N、OFFHOOK_N、TIMER_N)を有する。
【0036】
RING DET_N端子は、呼出信号を受信したときにLレベルとなり、OFFHOOK_N端子は、電話機15をオフフックしたときにLレベルとなり、TIMER_N端子は、画像形成装置(ファクシミリ)100を時刻指定送信設定とした場合、当該指定時刻となったときにLレベルとなる。なお、時刻は、電池駆動によるRTC(Real Time Clock)(図示せず)により取得する。
【0037】
次に、網制御ユニット(NCU)部4の構成について説明する。図3は、本発明の実施形態における画像形成装置の網制御ユニット(NCU)部の構成を示す回路図である。図3において、呼出信号を検出するためのフォトカプラ22は、電話回線5を通じて呼出信号を受信すると、着信信号(Lレベル)がマイコン17のRING DET_N端子に入力される。
【0038】
マイコン17が割り込み入力だけを受け付ける状態であるスリープモード状態で動作している時に呼出信号を受信すると、着信信号(Lレベル)がマイコン17のRING DET_N端子に入力され、マイコン17はスタンバイモード状態へ移行すると共に、マイコン17がLレベル入力を認識し、主電源+5Vをオンする。着信動作モードへの移行する旨の情報はシリアルインタフェースSI/Oを介して主制御部(CPU)2に送信され、主制御部(CPU)2は、起動時にまずその情報を取得し、その情報に応じて制御を変更する。
【0039】
電話機15のオフフックを検出するためのフォトカプラ23は、電話機15がオフフックされると、Lレベルがマイコン17のOFFHOOK_N端子に入力される。マイコン17が割り込み入力だけを受け付ける状態であるスリープモード状態で動作している時にオフフックされると、オフフック検出信号(Lレベル)がマイコン17のOFFHOOK_N端子に入力され、マイコン17はスタンバイモード状態へ移行すると共に、マイコン17がLレベル入力を認識し、主電源+5Vをオンする。オフフック動作モードへの移行する旨の情報はシリアルインタフェースSI/Oを介して主制御部(CPU)2に送信され、主制御部(CPU)2は、起動時にまずその情報を取得し、その情報に応じて制御を変更する。
【0040】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置100に対してAC電源が投入された後の動作について説明する。図4は、本発明の実施形態における画像形成装置のAC(Alternating Current)電源投入時からスタンバイ状態にあるときの処理手順を示すフローチャート図である。
【0041】
まず、ステップ(以下、「S」という。)40においてAC電源が投入されると、電源制御部11に電源が入力される。そうすると、電源制御部11のマイコン17はイニシャライズを行い(S41)、所定の動作モードへの移行要因を通知するための割り込み信号の検出を開始する(S42)。動作モードの移行要因を通知するための割り込み信号を検出すると(S43:Yes)、CPU2の主電源+5Vをオンする(S44)。一方、割り込み信号を検出しない場合には(S43:No)、検出するまでS43の処理を繰り返す。主制御部(CPU)2はイニシャルライズを行い(S45)、マイコン17からシリアルインタフェースSI/Oを介して動作モードの移行要因を通知してもらう(S46)。
【0042】
主制御部(CPU)2は、通知された動作モードへ移行するための必要な起動プログラムをブートして、最低限必要な処理を実行する(S47)。このとき、画像形成装置100を構成する各ブロックのうち、電源が供給されるデバイスは、当該動作モードを実行するために最低限必要とされるデバイスに限定される。全ての処理が完了する(S48)と、直ちにマイコン17は主電源+5Vをオフする(S49)。
【0043】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置100が、図4におけるS43の復帰要因を検出する具体例として、呼出信号を検出したときの動作について説明する。図5は、本発明の実施形態における画像形成装置の呼出信号検出時から必要最低限の処理を実行するための処理手順を示すフローチャート図である。
【0044】
図5において、画像形成装置100がスタンバイ状態にあるとき、NCU部4において、呼出信号(RING DET_N)(図3)を受信すると、この信号はLレベルとしてマイコン17のRING DET_N端子に入力される。マイコン17は、LレベルがRING DET_N端子に入力されたことを検出すると(S50:Yes)、CPU2の主電源+5Vをオンする(S51)。Lレベルを検出しない場合には(S50:No)、検出するまでS50の処理を繰り返す。
【0045】
CPU2はイニシャライズを行い(S52)、イニシャライズ完了後に、マイコン17から着信動作モードへ移行する旨の情報を通知してもらう(S53)。CPU2は、移行する所定の動作モードが呼出信号(着信動作)であることを認識すると、ファクシミリ受信に必要なデバイス(RAM7、モデム3、NCU部4)に対して通電及び初期化処理を行い、ファクシミリ受信を実行する(S54)。通電する各デバイスの切り替えは、FET(Field Effect Transistor)等のスイッチにより行うことができる。ファクシミリの受信が完了する(S55)と、マイコン17は主電源+5Vをオフし、マイコン17は、二次電池21より電源供給が行われるスタンバイモードに移行する(S56)。
【0046】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置100が、図4におけるS43の復帰要因を検出する具体例として、オフフックを検出したときの動作について説明する。図6は、本発明の実施形態における画像形成装置のハンドセットのオフフック検出時から必要最低限の処理を実行するための処理手順を示すフローチャート図である。図6において、画像形成装置100がスタンバイ状態にあるとき、ハンドセットがオフフックされることにより、NCU部4においてオフフック信号(OFFHOOK_N)(図3)を受信すると、この信号はLレベルとしてマイコン17のOFFHOOK_N端子に入力される。マイコン17は、LレベルがOFFHOOK_N端子に入力されたことを検出すると(S60:Yes)、CPU2の主電源+5Vをオンする(S61)。Lレベルを検出しない場合には(S60:No)、検出するまでS60の処理を繰り返す。
【0047】
CPU2は、イニシャライズを行い(S62)、イニシャライズ完了後に、マイコン17からオフフック動作モードへ移行する旨の情報を通知してもらう(S63)。CPU2は、移行する所定の動作モードが電話機15のオフフック動作であることを認識すると、通話に必要なデバイス(CTL部12、操作部13等)に対して通電を行い復帰させる(S64)。オフフック通話の場合、操作部13画面上に電話のプッシュキー等の専用画面が表示される(S65)。操作部13はCTL部12からの復帰信号により復帰する。そして電話をかけ(S66)、通話が終了すると回線が切断され(S67)、マイコン17は主電源+5Vをオフし、マイコン17は、二次電池21より電源供給が行われるスタンバイモードに移行する(S68)。
【0048】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置100が、図4におけるS43の復帰要因を検出する具体例として、タイマーからの復帰要求を検出したときの動作について説明する。図7は、本発明の実施形態における画像形成装置のファクシミリの指定送信時刻検出時から必要最低限の処理を実行するための処理手順を示すフローチャート図である。図7において、予め時刻指定送信設定がなされた画像形成装置100がスタンバイ状態にあるとき、予め設定された指定時刻になると、RTCは指定時刻の到来を通知する復帰要求(TIMER_N)信号を出力し、この信号はLレベルとしてマイコン17のTIMER_N端子に入力される。マイコン17は、LレベルがTIMER_N端子に入力されたことを検出すると(S70:Yes)、CPU2の主電源+5Vをオンする(S71)。Lレベルを検出しない場合には(S70:No)、検出するまでS70の処理を繰り返す。
【0049】
CPU2は、イニシャライズを行い(S72)、イニシャライズ完了後に、マイコン17からファクシミリの時刻指定送信設定動作モードへ移行する旨の情報を通知してもらう(S73)。CPU2は、移行する所定の動作モードが時刻指定送信であることを認識すると、ファクシミリを送信するために必要なデバイス(RAM7、モデム3、NCU部4)に対して通電及び初期化処理を行い(S74)、ファクシミリ送信処理を行う(S75)。通電する各デバイスの切り替えは、FET等のスイッチにより行うことができる。ファクシミリ送信が終了すると回線が切断され(S76)、マイコン17は主電源+5Vをオフし、マイコン17は、二次電池21より電源供給が行われるスタンバイモードに移行する(S77)。
【0050】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置100が、図4におけるS43の復帰要因を検出する具体例として、二次電池の電圧が所定電圧以下になったことを検出したときの動作について説明する。図8は、本発明の実施形態における画像形成装置の二次電池を充電する処理手順を示すフローチャート図である。
【0051】
二次電池21の電池電圧が低下し、電圧検出回路20によって所定の電圧値以下であることが検出されると(S80:Yes)、主電源+5Vをオンすることなく充電用電源(レギュレータ19)(図2)をオンし(S81)、二次電池21の充電を開始する(S82)。電圧検出回路20によって二次電池21の電池電圧が所定の電圧値を超えていると検出された場合には(S80:No)、所定の電圧値以下になるまでS80の処理を繰り返す。
【0052】
充電開始後、電圧検出回路20が二次電池21の電池電圧を検出することによって充電が完了したか否かが判断され(S83)、充電が完了したと判断されると(S83:Yes)、電源制御部11のマイコン17は充電用電源(レギュレータ19)(図2)をオフし(S84)、充電が完了していないと判断されると(S83:No)、充電が完了するまでS83の処理を繰り返す。
【0053】
次に、本発明の実施形態における画像形成装置100が、図4におけるS43の復帰要因を検出する具体例として、スリープモードからスタンバイモードへの移行を検出したときの動作について説明する。図9は、本発明の実施形態における画像形成装置のスリープモードとスタンバイモードの処理手順を示すフローチャート図である。図9において、電源制御部11のマイコン17は、所定の動作モードへの移行要因が検出されない間(S90:No)は、プログラムの実行を停止したスリープモード状態にあり、所定の動作モードへの移行要因を検出すると(S90:Yes)、スリープモード状態からスタンバイモード状態へ移行する(S91)。
【0054】
その後、主電源+5Vがオン(S92)されると、CPU2はイニシャルライズを行い(S93)、マイコン17からシリアルインタフェースSI/Oを介して所定の動作モードへの移行要因を通知してもらう(S94)。その後、全ての処理が完了すると(S95)、主電源+5Vがオフされ(S96)、マイコン17はスタンバイモード状態からスリープモード状態へ移行する(S97)。このように、所定の動作モードへの移行要因が検出されない間はスリープモード状態を維持することにより、より一層消費電力を低減することができる。
【0055】
以上説明してきたように、本発明によれば、スタンバイモードから起動する各動作モードへ移行する要因を確認し、移行する各動作モードに応じて必要最低限の処理のみを実行することにより、電源がオン状態にある時間を短くすること、及び、各動作モードにおいて必要とされるデバイスに対してのみ電源を供給することにより、スタンバイモード時及び各動作モード中における消費電力を低減することができる画像形成装置及び画像形成方法が得られるのである。
【0056】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 FCU(Fax Control Unit)部
10 不揮発性RAM(Random Access Memory)
11 電源制御部(マイコン)
12 CTL(Controller)部
13 操作部
14 読み取り部
15 電話機
16 電源部
17 マイコン
18 DC/DCコンバータ
19 レギュレータ
100 画像形成装置(ファクシミリ)
2 主制御部(CPU:Central Processing Unit)
20 電圧検出回路
21 二次電池
22、23 フォトカプラ
3 モデム部
4 網制御ユニット部(NCU:Network Control Unit)
5 電話回線
6 ROM(Read Only Memory)
7 RAM
8 記録部
9 電池充電回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特許第3595806号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源を制御し、所定の動作モードへの移行要因を検出すると前記移行要因を通知する電源制御手段と、
前記通知された前記移行要因に基づいて起動を要するデバイスに対してのみ電源を供給する電源供給手段と、
を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記移行要因を検出した後に前記主電源をオンし、前記移行要因を通知することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、前記所定の動作モードが終了した後に、前記主電源をオフすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の動作モードは、ファクシミリの送受信動作であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定の動作モードは、ハンドセットのオフフック動作であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定の動作モードは、電話回線からの着信動作であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電源制御手段は、前記移行要因を検出する以前はスリープモード状態で動作し、前記移行要因を検出した後はスタンバイモード状態で動作し、前記所定の動作モードが終了した後は再びスリープモード状態で動作することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電源制御手段は、前記スタンバイモード状態で動作するためのバックアップ電源と、前記バックアップ電源を充電するための充電手段と、前記バックアップ電源の電圧を検出する検出手段と、をさらに含むことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電源制御手段は、前記バックアップ電源の電圧が所定の電圧以下になったとき、前記充電手段により前記バックアップ電源を充電し、前記バックアップ電源の充電が完了したときは、前記充電手段による充電を終了することを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
電源制御手段が、主電源を制御し、所定の動作モードへの移行要因を検出すると前記移行要因を通知する工程と、
電源供給手段が、前記通知する工程により通知された前記移行要因に基づいて起動を要するデバイスに対してのみ電源を供給する工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−5333(P2013−5333A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136387(P2011−136387)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】