説明

画像形成装置及び画像読取装置

【課題】本発明は、複数のQRコード等の特殊コードについて、特殊コードが占める紙面上の面積の省スペース化を図りつつ原稿をモノクロコピーすることができ、モノクロコピー後のその印刷物からは元の特殊コードが全て分離、再現できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】MFP1は、N個の2次元コード21a、22a・・・を読み取り、各2次元コードにおける配置位置(i,j)のセルが白か黒かに応じたデータをC(1,i,j)、C(2,i,j)・・・として保持、連結してNビットデータD(i,j)を生成する。白から黒までの明度を2のN乗個の階調に分けた場合の階調色それぞれと、Nビットデータが取り得るパターンそれぞれとを1対1に対応づけた所定の対応規則に従って、D(i,j)に対応する階調色を決定し、決定された階調色を配置位置(i,j)のセルの色とした2次元コード23aを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、QRコード等の特殊コードを複数個モノクロ印刷する技術に関し、特に特殊コードが印刷される領域の省スペース化に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像の近辺にQRコードなどの特殊コードを印刷することで、画像に情報を追加することが行われている。QRコードは、一例としてURL(Uniform Resource Locators)などを表しており、携帯電話機に付属するカメラ等によって読み取り、解釈される。利用者にとっては、URLを入力する場合に、QRコードをカメラ撮影する操作を行うのみでよく、キーパッド等を用いてURLを入力するという大変な手間をかける必要がないので便利である。しかし、利用者が画像を閲覧する場面では、その近辺に付されたQRコードは視覚的に邪魔なものである。そして原稿に印刷されているQRコードの数が増す毎に、利用者が不快に感じる度合も増していく。そこで、複数個(例えば2個)のQRコードを印刷する場合に、N個のQRコードをそれぞれ相異なる色(例えば、分離し易い2色であるシアンとマゼンダ)で表現し、重ね合わせてカラー印刷すれば、重ね合わせを行わない通常の印刷にくらべ、その印字スペースを1/2に減らすことができ、利用者にとっての不快感は少ない(特許文献1参照)。このカラー印刷された原稿をカラースキャナーで読み取り、重ね合わされたシアンのQRコードとマゼンダのQRコードとを分離すれば、2つのQRコードを復元することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−270379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように異なる色で表現された2つのQRコードが重ねてカラー印刷された原稿については、これをモノクロコピーし、モノクロコピー後のコピー結果をモノクロスキャナで読み取るような場合に、以下の問題が生じ得る。すなわち、モノクロコピー後のQRコードは、元のQRコードが有していた彩度を失っているので、モノクロコピー後の2つのQRコードが略同階調で表現され、又は元のQRコードに色情報が存在していたにもかかわらず白で表現されるおそれすらある。この場合、モノクロスキャナでは、モノクロコピー後の印刷物から元のQRコードを分離、再現できなくなってしまう。
【0005】
また、QRコードは各セルが白黒のパターンで表現されていることが多く、白黒のセルで表現された2つのQRコードを重ね合わせると、重ね合わせた結果は、一方が白のセルで他方が黒のセルの場合、一方が黒のセルで他方が白のセルの場合の両方において同じ色(黒色)となってしまい両場合を区別できない。このように重ね合わせたQRコードをモノクロコピーすればモノクロコピー後の印刷結果からQRコードを分離、再現できなくなってしまう。このような問題は、各セルが、白と黒以外の色(マゼンダ、シアン等)で表現されている場合にも同じように生じうる。
【0006】
また、印刷領域の縮小の観点から、2枚のA4用紙それぞれに異なる色でQRコードがカラー印刷されている場合に、これらの原稿をA4用紙に2イン1印刷することも考えられるが、2イン1印刷すると印刷結果におけるQRコードはそれぞれの占有面積が元の占有面積の1/2になってしまう。QRコードが縮小印刷されてしまうことによって、印刷後のQRコードのサイズが読取装置側の想定サイズ以下となり読み取りに支障を生じ得る。
【0007】
上記の問題に鑑み、本発明は、複数の特殊コードについて、特殊コードが占める紙面上の面積を低減し、その印刷結果をモノクロコピーした場合にも、モノクロコピー結果から元の特殊コードの情報を再現しうるように印刷する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、複数枚の原稿を読み取り1枚の記録用紙に割り付けて印刷する画像形成装置であって、バイナリ値をコード化したM(Mは2以上の自然数)個のセル画像を行列状に配置した第1コード画像がそれぞれ表示されているN枚の原稿を読み取ってN(Nは2以上の自然数)個の原稿画像を出力する読取手段と、N個の原稿画像の各々から第1コード画像を抽出する抽出手段と、抽出されたN個の第1コード画像から、同一位置に配置されたN個のセル画像を抽出し、それらのセル画像をデコードしてN個のバイナリ値から成る復号組を得るデコード手段と、N個のバイナリ値から構成され得る2のN乗種類の参照組の各々を、2のN乗階調のグレースケール上の階調値のいずれかへ重複なく対応づける対応規則に基づき、各復号組について、当該復号組と同一の参照組に対応する階調値により表されたセル画像を生成し、生成したセル画像を当該復号組に相応する位置に配置し、その結果、M個のセル画像を行列状に配置した第2コード画像を生成する生成手段と、生成された第2コード画像を、前記記録用紙に印刷する印刷手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置は、上述の構成を備えることにより、N個の第1コード画像を1つの第2コード画像に合成して印刷するのでコード画像が占める紙面上の面積を低減することができる。また、印刷された第2コード画像は、各セル画像が2のN乗階調のグレースケール上の階調値のいずれかにより表されているので、モノクロスキャナーにより読み取られた場合に、モノクロスキャナーにおいて階調を常に認識することができる。さらに、このコード画像がモノクロコピーされたとしても、モノクロコピー結果におけるコード画像がモノクロスキャナーにより読み取られた場合、モノクロスキャナーは、モノクロコピー前と同様に、読み取ったコード画像の階調値を常に認識することができる。
【0010】
また、前記抽出手段は、前記原稿画像の各々からコード画像を読み取る読取部と、前記読み取られたコード画像が2色で構成されているか否かを判定する判定部と、前記判定部により2色で構成されていると判定されなかった場合、前記読み取られたコード画像は複数のコード画像が重ね合わされて印刷されたものと判定して前記読み取られたコード画像を複数のコード画像に分離する分離部と、前記分離部により分離された後の全てのコード画像と、前記判定部により2色で構成されていると判定された全てのコード画像とを第1コード画像として出力する出力部とを含んでもよい。
【0011】
この構成によれば、原稿において複数のコード画像が重ね合わされて印刷されていた場合であっても、重ね合わされていたコード画像を一旦分離し、2のN乗階調のグレースケール上の色の各セル画像から成るコード画像に再合成するので、再合成後のコード画像は、モノクロスキャナーに読み取られた場合に、モノクロスキャナーにおいて色の認識が常にされる。さらに、このコード画像がモノクロコピーされたとしても、モノクロコピー結果におけるコード画像がモノクロスキャナーにより読み取られた場合、モノクロスキャナーは、モノクロコピー前と同様に読み取ったコード画像の色の認識を常に行うことができる。
【0012】
また、前記複数枚の原稿の各々には、第1コード画像が略同一の大きさで印刷されており、前記印刷手段は、前記生成手段により生成された第2コード画像を、前記第1コード画像と略同一の大きさで前記記録用紙に印刷することとしてもよい。
この構成によれば、印刷によってコード画像のサイズが読取装置側の想定サイズ以下に変わり読み取りに支障が生じてしまうのを防ぐことができる。
【0013】
本発明の画像読取装置は、2のN(Nは2以上の自然数)乗階調のグレースケール上の階調値により表されたM(Mは2以上の自然数)個のセル画像が行列状に配置された第1コード画像が表示されている原稿を読み取り、原稿画像を出力する読取手段と、前記原稿画像から第1コード画像を抽出する抽出手段と、抽出された第1コード画像に配置されているM個の対象セル画像の各々の階調値を判別する判別手段と、2のN乗階調のグレースケール上の階調値の各々と、N個のバイナリ値から構成され得る2のN乗種類の参照組の各々とを重複なく対応づけた対応規則に基づき、M個の対象セル画像の各々に対応する参照組を特定する特定手段と、前記特定された参照組を構成しているN個のバイナリ値の各々をコード化してN個のセル画像を生成し、N個のセル画像の各々を、N個の第2コード画像の各々における、前記参照組に対応する前記対象セル画像の前記第1コード画像における位置と同一位置に配置し、結果としてN個の第2コード画像を生成する生成手段とを備える。
【0014】
この構成によれば、1つのコード画像に合成して印刷されたN個のコード画像を復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るMFPの外観斜視図である。
【図2】原稿と印刷物の関係を模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るMFPの内部構成を示すブロック図である。
【図4】QRコードの合成について説明するための図である。
【図5】複数のQRコードにおける同位置のデータの合成について説明するための図である。
【図6】QRコード合成処理を表すフローチャートである。
【図7】カラー表現されたQRコードの分離、合成について説明するための図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る読取装置の構成を示すブロック図である。
【図9】QRコードの復元処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、本発明に係る画像形成装置をMFP(Multi Function Peripheral)に適用した場合を例にして説明する。
1.構成
1.1.MFP1の構成
図1は、MFP1の外観斜視図である。
【0017】
同図に示すように、MFP1は、プリンタ部2の上に画像読取部4および原稿搬送部5を順に積設してなる。MFP1は、プリンタ部2と画像読取部4の間のスペースを排紙トレイ2aとして利用する、いわゆる胴内排紙型のMFPである。
原稿搬送部5は、原稿を搬送しながらその画像を読み取る、いわゆるシートスルー方式の画像読取りを実行する際に使用されるものであり、原稿給紙トレイ5aにセットされた原稿束の最上のものから1枚ずつ繰り出して画像読取部4の原稿読取位置まで搬送した後に、原稿排紙トレイ5b上に排出する。画像読取部4は、光源(不図示)と、折り返しミラーを保持するスキャナ部(不図示)を備え、折り返しミラーにより反射された原稿画像を、光学レンズを介してCCDセンサ(不図示)に受光させて画像データを生成する。
【0018】
プリンタ部2は、電子写真式のものであって、感光体ドラムの露光、現像、一次転写、二次転写及び定着などの一連の動作を実施して、画像読取部4から出力された画像データを用紙に印刷し、筐体上面に形成された胴内排紙トレイ2aに排紙するものである。操作パネル部3は、プリンタ部2上部の画像読取部4に近い位置に着脱可能に設けられている。操作パネル部3は、利用者がMFP1に対する指示を入力するのに用いる操作キー3aと、表示パネル3bとを含む。
【0019】
ここで、MFP1の内部構成についての詳細説明前に、MFP1が読み取る原稿と、出力する印刷物との関係について説明しておく。本実施の形態では、MFP1は、2枚のA4サイズの原稿を読み取り、各原稿に描かれた内容を面積的に1/2に縮小し、これらを並べて1枚のA4サイズの紙面上に印刷する、いわゆる2イン1印刷するものとする。
図2は、原稿と印刷物の関係を模式的に示す図である。
【0020】
原稿21と原稿22は、それぞれが同じ用紙サイズ(例えばA4サイズ)の紙印刷物を示しており、コピー結果23は、原稿21と原稿22とを2イン1印刷した結果の紙印刷物を示している。原稿21には、特殊コードの一例として、コード画像であるQRコード21aが左下隅に描かれ、原稿22にも、QRコード22aが左下隅に描かれている。QRコード21aと、QRコード22aは、QRコードを構成する最小の単位であるセルを表すセル画像が行列状に配置されて成る。各セル画像は、値0又は1のバイナリ値を表しており、値0を表す場合には白色に、値1を示す場合には黒色にコード化されている。QRコードに含まれるセル画像の個数は、QRコードの仕様として定められているバージョン毎に異なる。例えば、バージョン1の場合であれば、QRコードは21セル×21セルで構成される。バージョンが1上がるごとにQRコードの大きさは縦横4セルずつ大きくなる。本実施の形態では、一例としてバージョン2を採用し、QRコードは25セル×25セルで構成されているものとする。
【0021】
コピー結果23では、原稿21に描かれていた画像が、コピー結果23の左半分の領域に原稿21にて占めていた面積の半分の面積で印刷されている。また、原稿22に描かれていた画像は、コピー結果23の右半分の領域に原稿22にて占めていた面積の半分の面積で印刷されている。ここで、QRコード21aとQRコード22aとについてみれば、原稿21と原稿22とを普通に2イン1印刷すれば、原稿21に描かれているQRコード21aと、原稿22に描かれているQRコード22aとはそれぞれが元の半分の面積でコピー結果23に描かれることになる。しかし、本実施の形態では、QRコード21aとQRコード22aとを後述のように合成することでQRコード21a及びQRコード22aと同サイズのQRコード23aを生成し、コピー結果23上に描く。
【0022】
なお、本実施の形態では、QRコード21aとQRコード22aは同じサイズで印刷されており、原稿21におけるQRコード21aの位置と、原稿22におけるQRコード22aの位置は同じであることとしている。現実的には、紙面上のQRコード21aとQRコード22aのサイズは異なっていることが多く、また、QRコード21aの原稿21における位置とQRコード22aの原稿22における位置とは、ずれていることが多いと考えられる。このような場合には、公知の技術によりQRコード21aとQRコード22aのサイズ、原稿における位置が同じになるよう調整するものとする。
【0023】
次に、MFP1の内部構成について説明する。
図3は、MFP1の内部構成を示すブロック図である。
MFP1は、図3に示すように、操作パネル部3、画像読取部4、入力画像処理部11、記憶部12、出力画像処理部13、及びプリント部2を含んで構成される。操作パネル部3、画像読取部4、及びプリント部2については説明済みであるので、以下、入力画像処理部11、記憶部12、及び出力画像処理部13について説明する。
【0024】
入力画像処理部11は、画像読取部4が読み取った画像の電子化データである画像データを取得し、記憶部12に記憶させる。本実施形態では、取得された画像データは、連続して読み取られた原稿21と原稿22とを仮想的に並べたものであるA3サイズ大の原稿24(図2参照)が電子化されたものである。以下、この取得された画像データを画像データ24Dという。また、画像データ24Dにおける原稿21に当たる部分を画像データ21Dといい、画像データ24Dにおける原稿22に当たる部分を画像データ22Dという。記憶部12には、画像データ24Dが記憶されることになるが、これに限らず、画像データ21Dと画像データ22Dとを記憶しておいてもよい。
【0025】
入力画像処理部11は、画像データ21Dと画像データ22Dを参照し、原稿21と原稿22の双方にQRコードが存在するか否か判定する。双方にQRコードが存在する場合、各QRコードを抽出し、各QRコードを構成する最小の単位であるセルを検知する。本実施形態では、25×25個のセルを検知することになる。そして、各セルが1を表すのか、0を表すのかをセル画像の色により判定(デコード)する。具体的には、セル画像の色が白の場合には値0を表し、黒の場合には値1を表すものと判定する。なお、以下の説明において、QRコードの各セルが示すデータをC(n,i,j)と表現する。nは、QRコードを識別する識別情報である。本実施形態では、n=1の場合、QRコード21aを示し、n=2の場合、QRコード22aを示すものとする。i、jは、QRコードにおいて、左上隅のセル(基準セル)の位置(このときi=1、j=1とする。)を基準としたセルの位置(行、列)を示す。QRコード21aの右下隅のセルのデータはC(1,25,25)と表される。また、C(n,i,j)は2値を示す1ビットのデータである。セルが黒色の場合には値1とし、セルが白色の場合には値0とする。具体例をあげると、QRコード21aにおける5行8列番目の白色のセルの場合、C(1,5,8)=0と表される。QRコード22aにおける5行8列番目の黒色のセルの場合、C(2,5,8)=1と表される。
【0026】
次に、入力画像処理部11は、QRコード21a、QRコード22aの同一位置のセルのデータを順に合成していく。具体的には、入力画像処理部11は、セルのデータの合成の一例として、図5に示すように各i、各jについて、C(1,i,j)を下位桁、C(2,i,j)を上位桁となるよう連結して2ビットのデータD(i,j)を生成する。D(i,j)は、合成されたQRコード23aのi行j列番目のセルのデータを示す。D(i,j)は2ビットデータであり00、01、10、11の4値を持ち得ることになる。なお、上述のようにビット連結までする必要はなく、C(1,i,j)、C(2,i,j)の組(復号組)が分かりうる態様であればよい。ここで、4値の各値にはグレースケールの4つの階調それぞれが予め対応規則に従って割り当てられている。例えば、D(i,j)の値(2つのバイナリ値からなる復号組)が00の場合に、グレースケールにおける白(図4の階調A)が割り当てられ、D(i,j)の値が11の場合、グレースケールにおける黒(図4の階調D)が割り当てられている。そして、黒と白の中間階調である薄グレー(図4の階調B)が値01に割り当てられ、濃グレー(図4の階調C)が値10に割り当てられている。なお、各階調は、白から黒までのグレースケールを均等に分けたものであってもよいし、より判別しやすいように割り当てたものであってもよい。具体的には、階調Aを階調値255、階調Dを階調値0とした場合に、階調Bを階調値85、階調Cを階調値170というように均等間隔で割り当ててもよいし、階調Bを階調値60、階調Cを階調値120というように不均等に割り当ててもよい。
【0027】
以上のようにして、2つのQRコード21aとQRコード22aを合成すると、図4に示すように4階調のグレースケールで表現されるQRコード23aを得る。そして、入力画像処理部11は、QRコード21aとQRコード22aを削除し、QRコード23aを所定の位置(例えば、左下隅)に配置した画像23を電子化した画像データ23Dを生成して記憶部12に記憶させる。ここで、QRコード21aとQRコード22aとが削除された領域には、無地白色の画像をあてはめてもよいし、当該領域に接する画像部分から補間した画像をあてはめることとしてもよい。そして、入力画像処理部11は、出力画像処理部13に対し、画像データ23Dが示す画像23を印刷用紙に2イン1印刷するよう指示する。
【0028】
出力画像処理部13は、入力画像処理部11から2イン1印刷指示を受け付ける。出力画像処理部13は、画像データ23Dが示す画像が、A4サイズの原稿に収まるよう縮小するなどの画像処理を行う。そして、画像処理された画像をプリント部2に出力する。
プリント部2は、画像データ23Dを受け取ると、画像データ23Dに係る画像をA4サイズの無地印刷用紙にプリントアウトし、その印刷結果であるコピー結果23を排紙トレイ2aに排出する。
【0029】
なお、本実施形態ではn=2の場合について説明してきたが、これに限らずn=N(>2 nは自然数)の場合であってもn=2の場合と同様に処理できる。C(1,i,j)、C(2,i,j)、・・・、C(N,i,j)を合成する場合、n=2の場合と同じように、C(N,i,j)を最上位であるN桁目のビットとし、C(N−1,i,j)をN−1桁目のビットとし、N−2、N−3・・・についても同様にし、C(2,i,j)を2桁目のビットとし、C(1,i,j)を最下位ビットとするよう連結して、NビットのD(i,j)を生成する。生成されたD(i,j)が取り得る2のN乗値の各値は、グレースケールの2のN乗階調それぞれに割り当てる。NビットのD(i,j)で示されるQRコード23aを印刷すると、印刷結果は2のN乗階調グレースケールで表されるQRコードとなる。
【0030】
以上、セルが白黒2色で表されたN個のQRコードを2のN乗階調のグレースケールで表す1つのQRコードに合成する例について説明してきたが、本発明はQRコードがカラー表現されたものである場合にも適用できる。例えば、図7中段に示すように、一方のQRコード21bが白とシアンで表現され、他方のQRコード22bが白とマゼンダで表現されているものとする。この場合、QRコード21bにおけるシアン部分をまず黒に変換し、QRコード22bにおけるマゼンダ部分を黒に変換する。このような変換を行った後は、白黒のセルで表現されたQRコード21a、QRコード22aを合成する上述した処理を適用することができる。
【0031】
また、図7上段に示すように、QRコード21bとQRコード22bとが重ね合わされているQRコード30が原稿に印刷されている場合には、この原稿をそのままモノクロコピーすればコピー結果では彩度が失われることになる。すなわち、モノクロコピー後の2つのQRコードが同色若しくは略同色で表現され、又は元のQRコードには色情報が存在していたにもかかわらず白色で表現され得る。このような場合には、モノクロコピー後の印刷物からQRコードを分離、再現できなくなってしまう。このような場合、QRコード30を、シアンで表されるQRコード21bと、マゼンダで表されるQRコード22bとに一旦分解する。そして、QRコード21bのシアン部分を黒に変換し、QRコード22bのマゼンダ部分を黒に変換する。このような変換を行った後は、白黒のセルで表現されたQRコード21a、QRコード22aを合成する上述した処理を適用することができる。
1.2.読取装置
上述のコピー結果23を読み取る側の読取装置30の構成について説明する。
【0032】
読取装置30は、モノクロスキャナーを備える読取装置である。具体的には、ネットワーク接続機能を備えたモノクロコピー機等である。
図8は、読取装置30の構成を示すブロック図である。
読取装置30は、図8に示すように、操作部31、モノクロ画像読取部32、入力画像処理部33、QRコード復元部34、QRコード解釈部35及びコマンド実行部36を含んで構成される。
【0033】
操作部31は、利用者が操作するキーパッドその他の入力装置であり、利用者はキーパッドにより読取装置30への動作指示を入力する。
モノクロ画像読取部32は、モノクロ原稿を読み取るモノクロスキャナーであり、読み取ったモノクロ画像を画像データ(以下、モノクロ画像データという。)に変換する。本実施形態では、コピー結果23を読み取ることになる。モノクロ画像読取部32は、読み取った画像について、少なくとも、前述の階調A、B、C、Dの4階調を識別できる階調解像度を有するものとする。
【0034】
QRコード復元部34は、モノクロ画像データに含まれるQRコードを抽出し、抽出したQRコードを単色のQRコードに分離する。本実施形態では、コピー結果23に含まれるQRコード23aを抽出し、QRコード23aをQRコード21a及び22aに分離することになる。
QRコード解釈部35は、分離後のQRコード21a、22aそれぞれの内容を解釈する。例えば、QRコード21aにURLが含まれている場合、そのURLを解釈し、URLで示されるホームページへアクセスするようコマンド実行部36に指示する。
【0035】
コマンド実行部36は、QRコード解釈部35によりコマンドを受け付けて、当該コマンドを実行する。コマンドがURLを示す場合、URLで示されるホームページにアクセスする。
2.動作
2.1.MFP1の動作
次に、MFP1における特殊パターンの合成処理について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0036】
まず、MFP1における、画像読取部4は、原稿21、原稿22を読み取る。そして、入力画像処理部11は、画像読取部4により読み取られた原稿21、原稿22から特殊パターン(QRコード)の検出を行う(S1)。両原稿にQRコードが記載されていなかった場合(S2:No)、処理を終了する。QRコードが記載されていた場合(S2:Yes)、検出したQRコードが単色で描かれているか否か判定する(S3)。なお、本実施の形態において、単色とは、例えば、各セルにおいて、白背景が値0、黒色のセルが値1を示すというように白とその他の色とで1つのセルを表している場合をいう。厳密には、白、黒の2色だが、便宜上このように表現するものとする。これに対応し、複数色とは、例えば、白とシアンとで表されたQRコードと、白とマゼンダで表されたQRコードが重ね合わされており、各セルが、白、シアン、マゼンダ、シアンとマゼンダの中間色とで表されるなど、白を除いて複数の色で表されている場合をいう。原稿に複数色で表現されたQRコードがあった場合(S3:No)、そのQRコードを単色のQRコードにに分離する(S5)。そして、分離後のQRコードと、白黒のQRコードとを合わせた数を、QRコードの数を示す値Nに設定し(S6)、N個のQRコードの各セルについて前述の合成処理を行い、合成QRコードを得る(S7)。全てのQRコードが白黒の場合(S3:Yes)、そのQRコードの数を、値Nに設定し(S4)、S7に移行する。
2.2.読取装置30の動作
次に、MFP1により生成されたコピー結果23を読み取る側である読取装置30の動作、特に、中心となる処理であるQRコード復元処理について図9を用いて説明する。
【0037】
まず、読取装置30におけるモノクロ画像読取部32は、コピー結果23を読み取って、コピー結果23を示すモノクロ画像データをQRコード復元部34に通知する。QRコード復元部34は、モノクロ画像データを検索し、モノクロ画像データが示すコピー結果23にQRコードが含まれているか否かを検出する(S21)。QRコードが含まれていなかった場合(S22:No)は、処理を終了し、QRコードが含まれている場合(S22:Yes)、含まれていたQRコードがグレースケールか否か判定する(S23)。QRコードがグレースケールでなかった場合(S23:No)、QRコードは、白黒2値で表されたものでありQRコード復元処理は不要であるので処理を終了する。QRコードがグレースケールであった場合(S23:Yes)、QRコードのNを判別する(S24)。具体的には、QRコードに含まれる全セルを検知し、各セルの階調を判定していき、QRコードにいくつの種類の階調のセルが含まれているかを判断する。そして、含まれている階調数に基づいてNを決定する。例えば、QRコードに、白、黒、濃グレー、薄グレーの4つ種類の階調のセルが含まれている場合、Nは、2のN乗が4となる値、すなわち、2となる。Nは、合成されているQRコードの数である。コピー結果23に含まれるQRコード23aは、2つのQRコード21a、QRコード22aが合成されたものであり、この場合のNは2となる。
【0038】
ここで、QRコード23のNが実際には2であるものの、QRコード23aに4種類の階調色全てが含まれない場合、例えば、白、黒、濃グレーの3種類しか含まれないような場合もありうる。これを回避するために、読取装置30において、Nを予め定めて保持しておいてもよい。また、コピー結果23のQRコード23aにNを情報として埋め込むこととしておいてもよい。Nを判別した後、QRコード復元部34は、QRコード23aの全てのセルについて、各セルの階調に基づいてD(i,j)を生成する(S25)。このD(i,j)は、例えば、図5に示したものと同じものになる。例えば、セルの色が薄グレーであった場合、そのセルについてはD(i,j)=01となる。
【0039】
そして、QRコード復元部34は、D(i,j)を、N個のデータC(1,i,j)〜C(N,i,j)に分離する(S26)。具体的には、D(i,j)のnビット目のデータをC(n,i,j)とする。この分離を(i,j)=(1,1)から(i,j)=(25,25)までについて行うことで、D(i,j)をC(n,i,j)(n=1〜N)に分離する。以上のようにして、1個のQRコード23aからN(本実施形態ではN=2)個のQRコード1〜N(本実施形態では、QRコード21a、22a)が復元される。復元されたQRコード21a、22aは、それぞれ、QRコード解釈部35により解釈される。以上で、動作の説明を終える。
3.変形例その他
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
(1)上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAM又は前記ハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0040】
なお、各装置は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどの全てを含むコンピュータシステムに限らず、これらの一部から構成されているコンピュータシステムであってもよい。
(2)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0041】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
(3)上述の実施の形態では、1ビットのC(1,i,j)と1ビットのC(2,i,j)とを連結して2ビットのD(i,j)を生成することとしたが、データの表現の仕方はこれに限らない。例えばD(i,j)は、上位4ビットがC(1,i,j)の内容を示し、下位4ビットがC(2,i,j)の内容を示すなど4ビットのデータC(1,i,j)と、4ビットのデータC(2,i,j)の組み合わせとしての8ビットデータであってもよい。
(4)上述の実施の形態では、読取装置30がモノクロスキャナーを備える例で説明したが、これには限らず、カラースキャナーを備えていてもよい。また、モノクロ画像読取部32についても、モノクロスキャナーである場合に限らず、カラースキャナーであってもよい。
(5)上述の実施形態において、特殊コードの例としてQRコードを用いた例で説明してきたが、これには限らず、本発明は、PDF417、データマトリックス、ベリコード及びマキシコードなどの2次元コードにも適用できる。
(6)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の画像形成装置は、QRコード等の特殊コードが含まれる原稿を2イン1印刷して使用する場合など印刷領域の省スペース化を図りつつ特殊コードを利用するシステムに用いるのに好適であり、MFP、コピー機、スキャナ等を扱う業者により製造、販売等が成される。
【符号の説明】
【0043】
1 MFP
2 プリンタ部
2a 排紙トレイ
3 操作パネル部
3a 操作キー
3b 表示パネル
4 画像読取部
5 原稿搬送部
5a 原稿給紙トレイ
5b 原稿排紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の原稿を読み取り1枚の記録用紙に割り付けて印刷する画像形成装置であって、
バイナリ値をコード化したM(Mは2以上の自然数)個のセル画像を行列状に配置した第1コード画像がそれぞれ表示されているN枚の原稿を読み取ってN(Nは2以上の自然数)個の原稿画像を出力する読取手段と、
N個の原稿画像の各々から第1コード画像を抽出する抽出手段と、
抽出されたN個の第1コード画像から、同一位置に配置されたN個のセル画像を抽出し、それらのセル画像をデコードしてN個のバイナリ値から成る復号組を得るデコード手段と、
N個のバイナリ値から構成され得る2のN乗種類の参照組の各々を、2のN乗階調のグレースケール上の階調値のいずれかへ重複なく対応づける対応規則に基づき、各復号組について、当該復号組と同一の参照組に対応する階調値により表されたセル画像を生成し、生成したセル画像を当該復号組に相応する位置に配置し、その結果、M個のセル画像を行列状に配置した第2コード画像を生成する生成手段と、
生成された第2コード画像を、前記記録用紙に印刷する印刷手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、
前記原稿画像の各々からコード画像を読み取る読取部と、
前記読み取られたコード画像が2色で構成されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により2色で構成されていると判定されなかった場合、前記読み取られたコード画像は複数のコード画像が重ね合わされて印刷されたものと判定して前記読み取られたコード画像を複数のコード画像に分離する分離部と、
前記分離部により分離された後の全てのコード画像と、前記判定部により2色で構成されていると判定された全てのコード画像とを第1コード画像として出力する出力部と
を含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数枚の原稿の各々には、第1コード画像が略同一の大きさで印刷されており、
前記印刷手段は、前記生成手段により生成された第2コード画像を、前記第1コード画像と略同一の大きさで前記記録用紙に印刷する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
2のN(Nは2以上の自然数)乗階調のグレースケール上の階調値により表されたM(Mは2以上の自然数)個のセル画像が行列状に配置された第1コード画像が表示されている原稿を読み取り、原稿画像を出力する読取手段と、
前記原稿画像から第1コード画像を抽出する抽出手段と、
抽出された第1コード画像に配置されているM個の対象セル画像の各々の階調値を判別する判別手段と、
2のN乗階調のグレースケール上の階調値の各々と、N個のバイナリ値から構成され得る2のN乗種類の参照組の各々とを重複なく対応づけた対応規則に基づき、M個の対象セル画像の各々に対応する参照組を特定する特定手段と、
前記特定された参照組を構成しているN個のバイナリ値の各々をコード化してN個のセル画像を生成し、N個のセル画像の各々を、N個の第2コード画像の各々における、前記参照組に対応する前記対象セル画像の前記第1コード画像における位置と同一位置に配置し、結果としてN個の第2コード画像を生成する生成手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−119820(P2011−119820A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273203(P2009−273203)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】