説明

画像形成装置用の中間転写ユニット及び該中間転写ユニットを備えた画像形成装置

【課題】本発明は、転写残存トナーや紙粉等を充分に回収することである。
【解決手段】本発明の中間転写ユニットは、クリーニングユニットが、前記転写ベルト上に残ったトナーをクリーニング処理するクリーニングブラシローラと、当該クリーニングブラシローラに付着したトナーを回収するための回収ローラと、当該回収ローラ上に付着したトナーを掻き落とすためのブレードと、掻き落とされたトナーを送出するためのスクリュー部材を含む送出機構と、前記クリーニングブラシローラの上流に位置し、前記転写ベルト上に残ったトナーの回収を促進する、回転可能なプリブラシローラとを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置用の中間転写ユニット及び該中間転写ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中間転写方式を採用した画像形成装置では、中間転写ベルト(中間転写体)に各色トナー像を担持せしめ、そして当該中間転写ベルトに記録紙を接触させることによって、トナー像を転写している。一方、転写されずに中間転写ベルト上に残った転写残トナーや記録紙からの紙粉は、中間転写ベルトに付着したままの状態となる。このため、転写残トナーや紙粉を除去するため、ブラシが螺旋状に形成されたブラシローラなどのクリーニング部材を中間転写ベルトに当接せしめている。しかし、ステアリング方式によりベルトウォークの発生を抑制する場合、中間転写ベルトに加わる力が小さく、高い信頼性が得られものの、中間転写ベルトのクリーニング部材としてブラシローラを用いた場合には、リブやガイド等のような強制的に中間転写ベルトの幅方向の移動を抑える部材がない。ブラシローラのブラシは、中心軸に対して螺旋状に植設されており、ブラシローラの回転に伴って、中間転写ベルトに対して幅方向に移動させる力が働き、却って、ベルトウォークの発生を助長させてしまう。かかる問題を解決するために、特許文献1記載の発明では、無端ベルトを張架するローラの傾きを制御して無端ベルトの蛇行を修正しながら回転駆動させる画像形成装置が提案されている。特許文献1記載の発明は、複数のローラによって張架される無端ベルトに対して、ブラシが螺旋状に形成され、回転しながらこの無端ベルト上をクリーニングするブラシローラが配設され、このブラシローラは、複数のローラのうちの1のローラと無端ベルトとが接触する接触領域であって、この1のローラを挟んで無端ベルトが形成する挟み角の中心線に対して無端ベルトの張力が高い方の領域に当接して配置されている。
【0003】
さらに、特許文献1は、ブラシローラをすり抜けた転写残存トナーや紙粉等を掻き取り、掻き取られた転写残存トナーや紙粉等が飛散しないようにするために、クリーニングブレードを配設することを提案している。そして、特許文献2によれば、例えばベルトロン、SAー7等の導電性繊維又はこの導電性繊維とポリプロピレンとの混紡繊維を用いることにより、クリーニングブラシ33の導電性も最適とした方が望ましいとされており、このようにすることにより、摩擦帯電を抑制することができるので、浮遊トナーや異物がエンコーディングローラに付着する量が低減できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−361576号公報
【特許文献2】特開平6−127729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の画像形成装置の場合、クリーニングブレードを配設しても、ブラシローラをすり抜けた転写残存トナーや紙粉等を完全に回収しきれず、出力される画像に細線が入るなど画像の品質に悪影響を及ぼすという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成からなる。
【0007】
請求項1に係る発明は、転写ベルトと、当該転写ベルトを張設するためのテンション付与機構及び当該転写ベルトを支持するための二又は三以上の支持ローラと、前記転写ベルト上に残ったトナーを回収するためのクリーニングユニットとを備える画像形成装置用の中間転写ユニットにおいて、
前記クリーニングユニットが、前記転写ベルト上に残ったトナーをクリーニング処理するクリーニングブラシローラと、
前記クリーニングブラシローラが対向する前記支持ローラの上流において対向して位置し、前記転写ベルトの表面に接触して回転しながら前記転写ベルト上に残ったトナーの回収を促進する、プリブラシローラと
を備えてなる
ことを特徴とする中間転写ユニットに関する。本発明において、送出機構とは、スクリュー部材及び該スクリュー部材を回転駆動する電動モーターなどの駆動手段、該スクリュー部材を回転自在に支持する軸受けを含むケーシングを含む概念である。
【0008】
請求項2に関する発明は、前記ハウジングには、前記クリーニングブラシローラに接触して回転しながらトナーを回収する回収ローラと、前記回収ローラによって回収されたトナーを送出ためのスクリュー部材が収納されており、前記プリブラシローラは前記クリーニングブラシローラの上方に配置され、前記スクリュー部材は前記クリーニングブラシローラ及び前記回収ローラの下方に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の中間転写ユニットに関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記ハウジングの前記プリブラシローラ収納部には、前記プリブラシローラと前記転写ベルトの接触位置の上流位置付近から前記クリーニングブラシローラの対向位置付近の間において前記プリブラシローラの外周面に沿って接触する内壁面が前記プリブラシローラの幅方向に渡って形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の中間転写ユニットに関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記ハウジングは、前記プリブラシローラ収納部の前記内壁面の端部から前記転写ベルトの表面に沿って上流側に延び、所定に隙間を有して前記転写ベルトに対向するフランジ部を有する
ことを特徴とする請求項4記載の中間転写ユニットに関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記回転可能なプリブラシローラのブラシが絶縁性材料からなり、前記クリーニングブラシローラのブラシが導電性材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中間転写ユニットに関する。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記クリーニングブラシローラおよび前記プリブラシローラが対向する前記支持ローラはテンションローラ且つ/又は蛇行補正ローラであり、前記クリーニングユニットは前記支持ローラの移動に追随して移動するように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ユニットに関する。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至5記載の中間転写ユニットを備えてなることを特徴とする画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、クリーニングブラシローラの上流に支持ローラに対向して位置し、前記転写ベルト上に残ったトナーの回収を促進する、回転可能なプリブラシローラを備えているので、クリーニングブラシローラをすり抜けた転写残存トナーや紙粉等を、回収することができる。
【0015】
請求項2にかかる発明によれば、クリーニングブラシローラには回収ローラが設けられており、プリブラシローラはクリーニングブラシローラの上方に配置され、回収されたトナーを送出するスクリュー部材がクリーニングブラシおよび回収ローラの下方に配置されているため、プリブラシローラおよびクリーニングブラシローラにより残存トナーが効率よく回収されて、スクリュー部材により送出される。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、プリブラシローラはハウジングのプリブラシローラ収納部に設けられているため、プリブラシローラの回転により残存トナーが飛散することがない。たま、プリブラシローラ収納部は、プリブラシローラと転写ベルトの接触位置の上流位置付近から前記クリーニングブラシローラの対向位置付近の間において前記プリブラシローラの外周面に沿って接触する内壁面が前記プリブラシローラの幅方向に渡って形成されているため、トナーがハウジングの内面に付着することがない。よって、付着したトナーが剥がれて固まりで落下して、クリーニングブラシをすり抜けることを防止できる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、プリブラシローラ収納部の上流側の端部から転写ベルトの表面に沿ってフランジ部が所定に隙間を有して延設されているため、プリブラシローラの回転によりフランジ部と転写ベルトの隙間に外部から流れ込むため、該隙間からトナーが外部に飛散することが防止できる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、前記回転可能なプリブラシローラのブラシが絶縁性材料からなり、前記クリーニングブラシローラのブラシが導電性材料からなるので、プリブラシローラのブラシと中間転写ベルトとの摩擦により摩擦帯電を生じ、クリーニングブラシローラをすり抜けた転写残存トナーや紙粉等を、プリブラシローラにより回収することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、クリーニングブラシローラおよびプリブラシローラが対向する支持ローラがテンションローラや蛇行補正ローラとして兼用されることにより、ローラの数を低減することが可能である。また、クリーニングブラシローラのプリブラシローラと支持ローラの関係が常に適切な位置関係に維持される。
【0020】
請求項7に係る発明は、画像形成装置が、請求項1記載の中間転写ユニットと、請求項2乃至5記載の廃棄トナー回収ユニットを備えているので、ブラシローラをすり抜けた転写残存トナーや紙粉等を充分に回収することができ、出力される画像に細線が入るなどの障害がない高品質の画像が得られる。また、回収パイプと廃棄トナー排出管系とに、回収トナーの付着を防止することができ、メンテナンスの必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置用の中間転写ユニットの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の中間転写ユニットが組み込まれた状態を示す画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図3】図1の中間転写ユニットの要部クリーニング装置の拡大図である。
【図4】図1の中間転写ユニットの要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置用の中間転写ユニットの一例を示す斜視図、図2は図1の中間転写ユニットが組み込まれた状態を示す画像形成装置の要部を示す説明図、図3は図1の中間転写ユニットのクリーニング装置拡大図、図4は中間転写ユニットの要部拡大図である。
【0023】
図2を参照すると、画像形成部には、その中心に像担持体である4台の感光体ドラム(12)が中間転写ベルト(B)(以下、単に「転写ベルト」という。)に接触するように備えられている。そして、各感光体ドラム(12)の近傍には、現像装置(14)、ドラム用のクリーニング装置(13)及び帯電装置(15)が配置されている。
【0024】
帯電装置(15)は、そのハウジングの内部に、感光体ドラム(12)に接触する帯電ローラを備えている。帯電ローラは、所定の圧力で感光体ドラム(12)に圧接し、感光体ドラム(12)の回転に従って回転する。この帯電ローラは、感光体ドラム(12)の表面を所定の極性及び電位で一様に帯電させる。このときの帯電電位は、通常はプラス350Vである。なお、ハウジング内には、感光体ドラム(12)に対して帯電ローラを隔てた位置にクリーニングブラシが備えられ、このクリーニングブラシにより帯電ローラ表面がクリーニングされる。
【0025】
現像装置(14)は、そのハウジングの内部に、現像ローラと、供給スクリューとを備えている。現像ローラは、現像方式が接触、あるいは非接触であって、感光体ドラム(12)の近傍に設けられている。現像ローラには、感光体ドラム(12)の帯電極性と同極性のバイアスが印加される。次いで現像ローラは、現像剤であるトナーを帯電させるとともに感光体ドラム(12)の表面の静電潜像に移動させ、静電潜像を現像する。
【0026】
現像装置(14)は、現像剤として、極性キャリアと非極性トナーとを混合してなる2成分系トナーを使用するが、磁性あるいは非磁性の1成分系トナーを使用するタイプのものであっても構わない。また、感光体ドラム(12)表面を研磨するようにしてクリーニングするために、微量の酸化チタン、シリカなどの粉末を外添剤としてトナーに混入している。トナーは、現像剤供給容器(図示せず)に収容され、現像装置(14)の箇所まで図示しない搬送手段により搬送されて、供給スクリューによりハウジングの内部に補給される。
【0027】
本実施の形態に係る中間転写ユニット(1)(図1参照)は、図2及び図3を参照すると、一直線上に所定の間隔で配置された前述の4台の感光体ドラム(12)と接触する平面を形成するように、駆動ローラ(R1)と従動ローラ(R2)及びその他の支持ローラによって支持された転写ベルト(B)と、当該転写ベルト(B)を各感光体ドラム(12)に圧接するように付勢して設けられている転写ローラ(16)と、当該転写ベルト(B)上に残ったトナーを回収するためのクリーニングユニット(C)とを備えている。テンション付与機構は、前述の駆動ローラ(R2)、従動ローラ(R2)の他と、転写ベルト(B)を支持する公知の支持ローラや、転写ベルト(B)のベルトウォークを防止する公知の補正ローラ(テンションローラ)から構成される。
【0028】
クリーニングユニット(C)は、樹脂材料で成形されたハウジング20に各種の機能部材が設けられてユニットとして構成されている。ハウジング20の内部には、前記転写ベルト(B)上に残ったトナーをクリーニング処理するクリーニングブラシローラ(11)と、クリーニングブラシローラ(11)に付着したトナーを回収するための回収ローラ(TR)と、回収ローラ(TR)上に付着したトナーを掻き落とすためのブレード(BL)と、掻き落とされたトナーを送出するためのスクリュー部材(CR)を含む送出機構と、前記回収ローラ(11)の上流側において転写ベルト(B)と接触するように回転可能に配設されたプリブラシローラ(10)が設けられている。プリブラシローラ(10)は、金属軸の基部(10b)と基部(10b)に接着されたブラシ(10i)から構成されている。クリーニングブラシローラ(11)は、ドラム状金属軸の基部(11b)と基部(11b)に植説接着されたブラシ(11i)から構成されている。クリーニングブラシローラ(11)の表面に接触して回転するように設けられた回収ローラ(TR)は金属性のローラであり、図示しない高圧電源からトナーの帯電極性と逆極性のバイアス電圧が供給されている。ブレード(BL)はウレタンゴムなどで形成された板状の部材であり、エッジ部が回収ローラ(TR)の表面に当接するようにハウジング(20)に固定されている。スクリュー部材(CR)は、回収されたトナー等を図示しない廃棄トナー回収ユニットへと導くために、駆動手段によって回転駆動される軸の周りに等ピッチで配設された複数の羽を備えている。クリーニングブラシローラ(11)のブラシ(11i)の材質としては、例えば、ベルトロン、SAー7等の導電性繊維又は当該導電性繊維とポリプロピレンとの混紡繊維が採用される。これにより、クリーニングブラシローラ(11)と転写ベルト(B)との摩擦帯電を抑制することができる。プリブラシローラ(10)のブラシ(10i)の材質としては、絶縁性材料が好適に採用される。本実施例のプリブラシローラ(10)は、φ6の金属軸の周囲にポリエステル繊維のブラシを接着しており、直径が約14mmである。
【0029】
プリブラシローラ(10)とクリーニングブラシローラ(11)は、従動ローラ(R2)の周面に対向して中間転写ベルト(B)を挟んで配置されている。従動ローラ(R2)は、後述するように中間転写ベルト(B)のテンション機構および蛇行補正機構を備えたローラである。
プリブラシローラ(10)は中間転写ベルト(B)の走行方向においてクリーニングブラシローラ(11)の上流側であり、上方の空間に配置されており、中間転写ベルト(B)の周面にブラシ部が接触して反時計方向に回転駆動される。クリーニングブラシローラ(11)は、ブラシ部が中間転写ベルト(B)の周面に接触して反時計方向に回転駆動される。回収ローラ(TR)はクリーニングブラシローラ(11)の左斜め下方で周面に接触して時計方向に回転駆動されている。また、回収ローラ(TR)の下方付近の周面には軸方向に渡ってブレード(BL)のエッジ部が当接されている。また、回収ローラ(TR)の下方にはスクリュー部材(CR)が設けられており所定の方向に回転駆動されている。
【0030】
ハウジング(20)は、中間転写ベルト(B)と対面する側面が開口を有する長手部材であり、下部には略V字形状の空間が形成されてスクリュー部材(CR)が収納され、上部にはプリブラシローラ(10)、クリーニングブラシローラ(11)、回収ローラ(TR)を収納する空間が形成されている。そして、長手方向の両端の側壁部で各ローラ(10、11、TR)とスクリュー部材(CR)の両端部を回転可能に支持している。プリブラシローラ(10)の収納空間の内壁は、図3においてプリブラシローラ(10)の回転方向にみて、プリブラシローラ(10)と中間転写ベルト(B)の接触部の上流側付近から、プリブラシローラ(10)とクリーニングブラシローラ(11)の対向部の上流付近までプリブラシローラ(10)とほぼ同径の円弧面(20a)になっており、ブラシ周面と内壁に隙間が形成されないように収納している。また、円弧面(20a)のプリブラシローラ(10)と中間転写ベルト(B)の接触部の上流側の端部から、フランジ部(20b)が中間転写ベルト(B)の表面から所定の隙間を形成するように、中間転写ベルト(B)の走行方向の上流側に向かって10mm程度延設されている。
【0031】
次に、クリーニングユニット(C)における、中間転写ベルト(B)表面からの残存トナーの回収について説明する。まず、プリブラシローラ(10)が中間転写ベルト(B)表面に接触して回転することにより、中間転写ベルト(B)表面の残存トナーが摺擦されて、塊状になっているものは細かく解されるとともに、中間転写ベルト(B)への付着力が低減される。また、プリブラシローラ(10)との摩擦により残存トナーの帯電が正極性に揃えられる。よって、残存トナーは中間転写ベルト(B)から除去しやすい状態になる。そして、その下流側においてクリーニングブラシローラ(11)が中間転写ベルト(B)の表面に接触回転することにより、残存トナーが機械的に掻き取られて回収される。また、クリーニングブラシローラ(11)には、トナーの帯電極性と逆極性のバイアスが印加された回収ローラ(TR)が接触しており、中間転写ベルト(B)を介して対向する従動ローラ(R2)はアースされている。そのため、中間転写ベルト(B)上の残存トナーの一部は、回収ローラ(TR)のバイアスによりクリーニングブラシローラ(11)に静電気的に吸着されて回収される。クリーニングブラシローラ(11)により機械的または静電気的に回収された残存トナーは、バイアスが印加されて接触回転する回収ローラ(TR)の表面に吸着される。そして、回収ローラ(TR)の表面に吸着された残存トナーは、ブレード(BL)により掻き取られて、スクリュー部材(CR)が収納された空間に落下して回収される。そして、スクリュー部材(CR)により図示しない廃棄トナー回収ユニットに送出される。
【0032】
このとき、ハウジング(20)にはフランジ(20b)が形成されているため、フランジ(20b)と中間転写ベルト(B)との隙間には、プリブラシローラ(10)の回転に伴い外部からハウジング(20)内部への空気流が生じるため、隙間から外部にトナーが飛散するのが抑制される。また、ハウジング(20)のプリブラシローラ(10)収納部には、プリブラシローラ(10)の周面との隙間がないように内壁(20a)が形成されているため、プリブラシローラ(10)の周辺の内壁部にトナーが付着して滞留することがない。したがって、滞留したトナーが塊状で剥がれて落下してクリーニングブラシローラ(11)で回収できない問題もない。また、プリブラシローラ(10)に付着して飛散したトナーは、下方に配置されたクリーニングブラシローラ(11)により受け止められて速やかに回収される。そして、クリーニングブラシローラ(11)および回収ローラ(TR)に付着したトナーは、ハウジング(20)の下方の略V字形状に形成された空間に落下して速やかに回収される。
【0033】
ここで、プリブラシローラ(10)とクリーニングブラシローラ(11)が対向する従動ローラ(R2)のテンション機構および蛇行補正機構について説明しておく。図4は、図1の中間転写ユニットの要部の拡大図である。中間転写ユニット1は枠体(30)を備え、駆動ローラ(R1)、従動ローラ(R2)、一次転写ローラ(16)などが回転可能に取り付けられる。そして、それらのローラに中間転写ベルト(B)が懸架されている。枠体(30)の中間転写ベルト(B)の走行方向に平行は両側部にはボス(31)が形成されている(図4では一方の側部のみを示している)。ボス(31)には支持部材(32)が所定の方向にスライド可能に支持されている。支持部材(32)には、従動ローラ(R2)の軸部(33)が回転可能に位置決め支持されている。また、クリーニングユニット(C)が、ハウジング(20)と支持部材(32)が複数のビス(35)で締結されて位置決めされている。そして、軸部(33)の支持部とボス(31)の間には、コイルバネ(34)が設けられており、支持部材(32)とともに、従動ローラ(R2)の軸部(33)を付勢力している。これにより、従動ローラ(R2)が中間転写ベルト(B)に張力を付与するテンションローラとなっている。また、図4に示した、枠体(30)の側部には、蛇行補正機構(36)が設けられている。蛇行補正機構(36)は、正逆回転可能なモータによって回転制御されるカム部材が設けられており、カムの変位によって支持部材(32)がボス(31)を支点として僅かに揺動される構成になっている。コイルバネ(34)および蛇行補正機構(36)により従動ローラ(R2)は若干変位する場合があるが、支持部材(32)により従動ローラ(R2)とクリーニングユニット(C)は軸方向の両端部が互いに位置決めされているため、常に相対的な位置が維持される。よって、常に適切に中間転写ベルト(B)の残存トナーを回収することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 中間転写ユニット
10 プリブラシローラ
11 クリーニングブラシローラ
12 感光体ドラム
13 ドラム用のクリーニング装置
14 現像装置
15 帯電装置
B 転写ベルト
C クリーニングユニット
BL ブレード
FL 鍔
TR 回収ローラ
R1 駆動ローラ
R2 従動ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写ベルトと、当該転写ベルトを張設するためのテンション付与機構及び当該転写ベルトを支持するための二又は三以上の支持ローラと、前記転写ベルト上に残ったトナーを回収するためのクリーニングユニットとを備える画像形成装置用の中間転写ユニットにおいて、
前記クリーニングユニットが、前記支持ローラの1つに対向する位置において前記転写ベルトの表面に接触して回転しながら前記転写ベルト上に残ったトナーをクリーニング処理回収するクリーニングブラシローラと、
前記クリーニングブラシローラが対向する前記支持ローラの上流において対向して位置し、前記転写ベルトの表面に接触して回転しながら前記転写ベルト上に残ったトナーの回収を促進する、プリブラシローラと、
前記クリーニンブラシローラおよび前記プリブラシローラを収納して支持するハウジングと、
を備えてなることを特徴とする中間転写ユニット。
【請求項2】
前記ハウジングには、
前記クリーニングブラシローラに接触して回転しながらトナーを回収する回収ローラと、
前記回収ローラによって回収されたトナーを送出ためのスクリュー部材が収納されており、
前記プリブラシローラは前記クリーニングブラシローラの上方に配置され、
前記スクリュー部材は前記クリーニングブラシローラおよび前記回収ローラの下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ユニット。
【請求項3】
前記ハウジングの前記プリブラシローラ収納部には、前記プリブラシローラと前記転写ベルトの接触位置の上流位置付近から前記クリーニングブラシローラの対向位置付近の間において前記プリブラシローラの外周面に沿って接触する内壁面が前記プリブラシローラの幅方向に渡って形成されていることを特徴とする請求項2に記載の中間転写ユニット。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記プリブラシローラ収納部の前記内壁面の端部から前記転写ベルトの表面に沿って上流側に延び、所定に隙間を有して前記転写ベルトに対向するフランジ部を有することを特徴とする請求項3に記載の中間転写ユニット。
【請求項5】
前記回転可能なプリブラシローラのブラシが絶縁性材料からなり、前記クリーニングブラシローラのブラシが導電性材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の中間転写ユニット。
【請求項6】
前記クリーニングブラシローラおよび前記プリブラシローラが対向する前記支持ローラはテンションローラ且つ/又は蛇行補正ローラであり、前記クリーニングユニットは前記支持ローラの移動に追随して移動するように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の中間転写ユニット。
【請求項7】
請求項1乃至5記載の中間転写ユニットを備えてなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−215701(P2012−215701A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81009(P2011−81009)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】