説明

画像形成装置

【課題】 安価なランニングコストで清潔な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置において、ユーザーの手が触れる部分である把持部2に対して、紫外線を照射する紫外線照射ユニット1を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーの手が頻繁に触れるような電子機器、例えばコピー機、プリンター、FAX等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の電子機器の操作、例えばTVやオーディオ機器の操作は、リモートコントローラー(リモコン)を介して行われるようになっている。したがって、ユーザーの手で、直接、TV等の操作ボタンを押すようなことは減りつつある。
【0003】
しかしながら、操作ボタンや外装等が、ユーザーの手によって、直接、頻繁に触れられるようになっている電子機器も多々存在する。例えば、コピー機、プリンター、FAX等の画像形成装置が挙げられる。
【0004】
このような画像形成装置における、例えばコピー機の場合、原稿を印刷させるために(コピーさせるために)、ユーザーが直接原稿をコピー機のスキャナーに読み込ませる必要がある。そのため、ユーザーは、コピー機の前まで歩いていき、原稿カバーを持ち上げて、コンタクトガラス上に原稿を載置した後、その原稿カバーを元に戻して、印刷スタートボタンを押すという動作を行うようになっている場合が多い。つまり、電子機器によっては、ユーザーが行わざるを得ない動作があり、その動作を行うたびに、ユーザーの手が電子機器に触れるようになっている。
【0005】
このように、頻繁にユーザーの手が触れる箇所には、必然的に汚れが生じてしまう。そこで、特許文献1の画像形成装置では、汚れの生じやすい箇所に、張り替え可能なシートを貼り付けるようにしている。そのため、汚れたシートが張り替えられることで、ユーザーは、清潔な状態の原稿カバー等を手で触れるようになっている。
【特許文献1】特開平11−75003号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような張り替え可能なシートには、抗菌作用を高めるための抗菌剤が練り込まれている。そのため、シート自体が高価なものとなっている。したがって、頻繁なシートの取り替えは、画像形成装置のランニングコストの上昇につながる。
【0007】
つまり、長期に渡って画像形成装置を使用すればするほど、何度もシートを取り替える機会が増えることになる。その結果、高価なシートを必然的に何度も取り替えなくてはならず、画像形成装置のランニングコストのさらなる上昇につながってしまう。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、安価なランニングコストで清潔な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ユーザーの手が触れる部分である把持部に対して、紫外線を照射する紫外線照射ユニットを設けたことを特徴とする画像形成装置である。これによると、紫外線照射により、手が触れることによって、汚れたり雑菌が繁殖したりする部分を清潔にさせることができる。
【0010】
なお、把持部の形状は限定されるものではないが、把持部が棒状であり、その棒状の把持部の各両端は、接続部を介して、上記画像形成装置に取り付けられているとともに、上記接続部が、上記把持部を回転可能に軸支していることが好ましい。これによると、紫外線を把持部全域に照射されるようになるためである。
【0011】
また、本発明の画像形成装置では、上記紫外線照射ユニットの動作を制御する制御部と、上記画像形成装置の主電源の投入タイミング、および上記画像形成装置による印刷完了タイミングを認識するタイミング認識部と、経過時間を計測する経過時間計測部と、予め定めた閾経過時間を記憶する記憶部とを有しており、上記制御部は、上記タイミング認識部により認識した上記の主電源の投入直後、あるいは、上記タイミング認識部により認識した上記の印刷完了後から、上記経過時間計測部によって経過時間を計測し、その計測した経過時間が上記記憶部に記憶した閾経過時間を超えた後に、紫外線照射ユニットで紫外線を照射させるようになっていることが好ましい。
【0012】
これによると、画像形成装置に使用する電力を低減させることができるためである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、安価で寿命の長い紫外線照射ユニットを用いることで、安価なランニングコストで清潔な画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施の形態1]
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。図2は、本発明の画像形成装置29の斜視図であり、図1は、図2の部分αの概略拡大図である。
【0015】
図2に示すように、本発明の画像形成装置29は、原稿を載置させるコンタクトガラス10に対して、密着または離間可能に取り付けられた原稿搬送装置26(具体的には原稿カバー11)と、読み取った原稿等のデータから画像を書き込む画像書込装置27とを含むように構成されている。
【0016】
本発明の画像形成装置29では、図1に示すように、原稿カバー11に設けられた把持部2に対して、殺菌用の紫外線照射可能な紫外線照射ユニット1が設けられるようになっている。
【0017】
なお、紫外線照射ユニット1の光源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ等が適用できる。なお、水銀ランプは、紫外(UV)から可視光(VIS)波長域で水銀特有の輝線スペクトルを持つランプとなっており、水銀輝線と呼ばれる輝線(254nm、365nm、405nmなど)を持ち合わせるようになっている。
【0018】
キセノンランプは、紫外(UV)から赤外(IR)波長域にかけての連続スペクトルを有しており、太陽光に近い白色光を照射するようになっている。また、水銀キセノンランプは、水銀ランプのUVからVIS波長域にかけての輝線とUVからIR波長域にかけての連続スペクトルの両方を合わせ持つランプであり、UV域での安定した出力を発揮できるようになっている。
【0019】
また、把持部2の形状は、特に限定されるものではない。例えば、図1に示すように、コンタクトガラス10に密着する側の原稿カバー11の一部を窪ませることで、把持部2を構成させるようにしてもよい。また、図3に示すように、棒状の握り部(把持部)2aの両端を接続部2b・2bを介して原稿挟カバー11に取り付けることで、把持部2を構成させるようにしてもよい。なお、接続部2b・2bは、握り部2aを回転可能に軸支しているため、握り部2aは自在に回転可能になっている。
【0020】
また、紫外線照射ユニット1の配設位置も、特に限定されるものではない。例えば、図1に示すように、画像書込装置27(図2参照)に設けて、紫外線を把持部2に向けて照射するようにしておいてもよいし、図3に示すように、原稿カバー11に設けて、把持部2に向けて紫外線を照射するようにしておいてもよい。
【0021】
要は、ユーザーの手が頻繁に触れるであろう部分(例えば上記のような把持部2等)に、紫外線を照射できるように、紫外線照射ユニット1が設けられていればよい。
【0022】
このように紫外線照射可能な本発明の画像形成装置29では、手が触れることによって、汚れたり雑菌が繁殖したりする部分を清潔にさせることができる。つまり、紫外線による照射で雑菌を滅することができるようになっている。
【0023】
また、紫外線照射ユニット1に使用される各種光源(上記の水銀ランプ等)は、1個あたり、千から数千円程度の値段であり、寿命も極めて長い。したがって、長期に渡って使用される画像形成装置29においては、ランニングコストを抑制させるのに、極めて有効である。
【0024】
しかも、紫外線照射ユニット1は、常時紫外線を照射させているわけではない。例えば、画像形成装置29のメイン電源の投入時に、その電源投入までに汚れた部分を殺菌するために、紫外線照射ユニット1が紫外線を照射させるようになっていればよい。
【0025】
また、メイン電源投入後、原稿に基づいて画像形成装置29がシートに印刷した場合、その印刷後から一定時間経過したら(例えば、画像形成装置29が待機モードや省エネルギーモードに入るときに)、紫外線照射ユニット1が紫外線を照射させるようになっていてもよい。
【0026】
上記のように、紫外線照射ユニット1の紫外線照射時期を決定する仕組みを、図4を用いて説明する。本発明の画像形成装置29は、紫外線照射ユニット1の動作を制御する制御部13と、画像形成装置29の主電源の投入タイミングや画像形成装置による印刷完了タイミングを認識するタイミング認識部14と、経過時間を計測する経過時間計測部15と、予め定めた閾経過時間を記憶する記憶部16とを有するようになっている。
【0027】
そして、制御部13は、画像形成装置29の主電源の投入直後を示す旨の信号を、タイミング認識部14から受信したときに、紫外線照射ユニット1を駆動させるようにしている。
【0028】
また、制御部13は、画像形成装置29の印刷完了後を示す旨の信号を受信する。すると、制御部13は、印刷完了後からの経過時間を計測するように経過時間計測部15に指令をだす。そして、制御部13は、経過時間計測部15の計測した経過時間と、記憶部16に記憶している閾経過時間とを比較するようになっている。その結果、制御部13は、計測した経過時間が閾時間を超えた後に、紫外線照射ユニット1に紫外線を照射させるようになっている。
【0029】
以上のようにして本発明の画像形成装置29は、紫外線照射ユニット1の紫外線照射時期を決定しているが、これらに限定されるものではない。要は、一定量の汚れ(雑菌等)が付着していると判断されるときに、紫外線照射ユニット1は、紫外線を照射するようになっていればよい。このようにしておけば、画像形成装置29に使用する電力を低減させることができるためである。
【0030】
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。例えば、図3における棒状の把持部2(具体的には握り部2a)は、紫外線の照射されている間、不図示の駆動源の駆動力を利用して回転するようになっていてもよい。このように回転すれば、把持部2の全域に渡って殺菌することができるためである。
【0031】
また、紫外線照射ユニット1の紫外線がユーザーに視認されないようにするために、図5に示すように、紫外線の照射方向先に遮蔽部21を設けるようにしてもよい。
【0032】
また、上述の説明においては、原稿カバー11を持ち上げるための把持部2に対して、紫外線を照射させるようになっているが、他の汚れが目立つような箇所に、紫外線を照射させるようにしてもよい。例えば、シートを収容するシートカセットの持ち手や、排紙トレイ等に紫外線を照射できる位置に、紫外線照射ユニット1を設けるようにしておいてもよい。
【0033】
また、紫外線照射ユニット1が紫外線を照射するタイミングも、上述のように、画像形成装置29の主電源の投入直後に限定されることはない。例えば、図1に示すパネル9上に、紫外線照射ユニット駆動ボタン(不図示)を設け、ユーザーの意思によって、いつでも紫外線を照射させるようにしてもよい。
【0034】
また、紫外線照射ユニット1に光学式検知センサーを取り付け、把持部2をユーザーが手で握ったことを検知したとき、紫外線を照射するようにしてもよい。このようにすれば、ユーザーの手自体に付着した雑菌等を殺菌(すなわち消毒)させることもできるためである。
【0035】
また、紫外線照射ユニット1の照射強度もユーザーによって設定できるようにしてもよい。例えば、汚れがひどいときは、紫外線の照射強度を高めるようにできるためである。また、上述のように、ユーザーの手を消毒する場合、ユーザーに害を与えないように、紫外線の照射強度を弱めるようにできるためである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、不特定多数のユーザーの手が触れる画像形成装置、特に画像形成装置の原稿カバー等の汚れを除去(除菌)するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】後述の図2の部分αの拡大図であり、紫外線照射ユニットと原稿カバーとを特に明確にした拡大図である。
【図2】本発明の画像形成装置の斜視図である。
【図3】図1の一例を示す拡大図である。
【図4】制御部等の関係を示すブロック図である。
【図5】紫外線の漏れを防止するための遮蔽部を備えた把持部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 紫外線照射ユニット
2 把持部
2a 握り部(把持部)
2b 接続部(把持部)
10 コンタクトガラス
11 原稿カバー
13 制御部
14 タイミング認識部
15 経過時間計測部
16 記憶部
21 遮蔽部
29 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの手が触れる部分である把持部に対して、紫外線を照射する紫外線照射ユニットを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記把持部が棒状であり、
その棒状の把持部の各両端は、接続部を介して、上記画像形成装置に取り付けられているとともに、
上記接続部が、上記把持部を回転可能に軸支していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記紫外線照射ユニットの動作を制御する制御部と、
上記画像形成装置の主電源の投入タイミング、および上記画像形成装置による印刷完了タイミングを認識するタイミング認識部と、
経過時間を計測する経過時間計測部と、
予め定めた閾経過時間を記憶する記憶部とを有しており、
上記制御部は、
上記タイミング認識部により認識した上記の主電源の投入直後、
あるいは、上記タイミング認識部により認識した上記の印刷完了後から、上記経過時間計測部によって経過時間を計測し、その計測した経過時間が上記記憶部に記憶した閾経過時間を超えた後に、
紫外線照射ユニットで紫外線を照射させるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−153960(P2006−153960A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340610(P2004−340610)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】