画像形成装置
【課題】 定着ローラの表面温度を非接触にて検出する温度センサーが汚れた場合においても定着ローラの温度を正確に検知し、常に最適な定着温度を保つことができる。
【解決手段】 転写材上に転写されたトナー像を加熱または加熱加圧することにより定着する定着手段を備え、定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、定着手段に具備された加熱部材を駆動し、定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、表面温度検出手段は、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、表面温度検出手段の測定表面の汚れの程度を、定着手段のローラへの印加電圧の差分から検出し、検出された汚れの程度に応じて表面温度検出手段の出力特性の補正を行なう。
【解決手段】 転写材上に転写されたトナー像を加熱または加熱加圧することにより定着する定着手段を備え、定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、定着手段に具備された加熱部材を駆動し、定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、表面温度検出手段は、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、表面温度検出手段の測定表面の汚れの程度を、定着手段のローラへの印加電圧の差分から検出し、検出された汚れの程度に応じて表面温度検出手段の出力特性の補正を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機あるいはプリンタなどとされる電子写真方式あるいは静電記録方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複写機やプリンタでは、感光体ドラムに形成したトナー画像を転写材に転写し、その後、定着手段としてのヒートローラ(定着ローラ)により加熱処理を施すことで画像形成を行っている。その際、ヒートローラに接触型の温度センサとしてのサーミスタを接触させてヒートローラの温度を測定していた。この場合、サーミスタが接触型であるため、例えば、転写材の巻き付き、接触圧の低下や接触不良などによる測定温度の誤差に対応するため、定期的にサーミスタユニットの交換を実施したり、補償用に複数セットのサーミスタを取り付けるといった構成をとっていた。
【0003】
また、サーミスタを接触型の温度センサとして利用した場合には、サーミスタおよびヒートローラが接触していることによる不具合として、両者の接触による各部分の劣化が更なる問題となっていた。
【0004】
そこで、その解決手段として、ヒートローラから発生する赤外線の量を検出して、ヒートローラの温度を非接触で測定するセンサを用いた温度測定システムが提案されている。
【0005】
又、別の従来例としては、例えば特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2000-194226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この非接触式の温度測定システムは光学的に赤外線の量を測定しているため、センサ表面の汚れがそのまま測定温度の誤差となって現れ、特に電子写真方式の複写機などでは、その内部でのトナー、紙粉などの飛散により、汚れかたもセンサの取り付けられた位置によってかなりのばらつきを生じていた。その結果、センサ表面を頻繁に清掃するなどの処置を施す必要があるといった欠点があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、定着手段の温度を非接触にて検出する検出手段が汚れた場合においても定着手段の温度を正確に検知できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。
【0009】
要約すれば、本発明は、転写材上に転写されたトナー像を加熱または加熱加圧することにより定着する定着手段を備え、定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、定着手段に具備された加熱部材を駆動し、定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、表面温度検出手段は、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、表面温度検出手段の測定表面の汚れの程度を、定着手段のローラへの印加電圧の差分から検出し、検出された汚れの程度に応じて表面温度検出手段の出力特性の補正を行なう。
【0010】
また、サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力より、前記定着手段のローラへの印加電圧を算出して、あらかじめ記憶された値と比較し、その差分を計算すること、またサーミスタおよび赤外線検出部材の出力特性の経時変化を測定することにより、表面温度検出手段の汚れの程度の検出する。
【0011】
さらに、表面温度検出手段の汚れの程度が、規定値レベルを超えた場合、前記画像形成装置の画像形成プロセスを停止させる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像形成装置によれば、定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、前記表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、前記定着手段に具備された加熱部材を駆動し、前記定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、前記表面温度検出手段が、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と前記赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力より前記定着手段のローラへの印加電圧を算出して、あらかじめ記憶された値との差分の値を、前記表面温度検出手段の汚れの程度として検出すること、または、前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力特性の経時変化を測定して、前記表面温度検出手段の汚れの程度として検出する。そこで検出された汚れの程度に応じて前記表面温度検出手段の出力特性の補正を行なうことにより、前記定着手段の温度を非接触にて検出する検出手段が汚れた場合においても前記定着手段の温度を正確に検知でき、従って、高品質画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
図1に本発明に係る画像形成装置の一実施例として、デジタル画像形成装置の概略構成を示す。まず、同図を参照してその構成および動作を説明する。
【0015】
リーダ部1は、原稿が載置される原稿台11、載置された原稿を上方から押圧する原稿圧板12、原稿の画像面を照射する光源13、画像面からの反射光を導く複数のミラー14とレンズ15、および、反射光を図示しないCCDにより光電変換を行い、得られた電気信号に対して種々の画像処理を行う画像処理部16を主要部材として構成されている。更に画像処理部16は、A/D変換、S/H、シェーディング補正、マスキング補正、変倍、LOG変換などの画像処理機能を有している。
【0016】
上述構成のリーダ部1の動作はつぎのとおりである。
【0017】
原稿台11上に原稿を、その画像面が下方に向くようにして載置し、その上から原稿圧板12で押さえる。光源13は、光を照射しながら矢印K1方向に移動し、原稿の画像面を走査する。画像面からの反射光像は、複数のミラー14およびレンズ15を介して、CCD上に結像され、ここで電気信号に光電変換される。電気信号とされた画像信号は、画像処理部16において、種々の画像処理が施された後、つぎのプリンタ部2に送出される。
【0018】
プリンタ部2は、リーダ部1より送出されてきた電気信号を、レーザを駆動するための信号に変換する画像制御部17、レーザ素子18、感光ドラム30表面をレーザ光によって走査するポリゴンスキャナ19、および感光ドラム30を含む画像形成部、および、最下流側に配設された定着ユニット39を主要部材として構成されている。
【0019】
また、上述の画像形成部は、矢印方向に回転自在に支持された感光ドラム30、その周辺にその回転方向に沿って配設された、感光ドラム30表面を一様に帯電する一次帯電器31、感光ドラム30上の静電潜像を現像する現像器20、感光ドラム30上のトナー像を転写材Pに転写する転写帯電器35、感光ドラム30の転写残トナーを除去するクリーナ34、除電を行う補助帯電器33、および、残留電荷を除去する前露光ランプ32を備えている。
【0020】
更に、現像器20には現像ローラ20aが配設され、現像ローラ20aが感光ドラム30と反対方向に回転することにより、感光ドラム30上にトナー像を現像する構成をとっている。
【0021】
感光ドラム30上のトナー像が転写帯電器35の作用により転写された転写材Pは、定着前ベルト37によって定着ユニット39に搬送され、ここで定着手段としての定着ローラ39a、39bが回転して転写材Pを搬送することにより加圧され、加熱加圧を受けて表面のトナー像が定着される。最終的に、定着後の転写材Pは装置本体外部の排紙トレイ42に排出されることになる。
【0022】
転写材Pの給搬送を行う給搬送部は、転写材Pの搬送路を有し、その転写材Pの搬送方向についての最上流側に、給紙カセット36、給紙ローラ36a、搬送ローラ36bなどの用紙送り装置を備えている。
【0023】
この用紙送り装置のほかに、マルチ用紙送り装置38が設けられている。このマルチ用紙送り装置38からは、その紙送りパスがストレートであることから、画像形成部に対して、材質、大きさなどの性状の異なる種々の転写材Pを供給することができる。
【0024】
つぎに、図2に、上述の画像形成装置におけるブロック図を示す。
【0025】
このブロック図には転写材Pへの画像形成および最適な搬送を行うため制御手段が概略的に示されている。この制御手段は、画像形成装置の各種制御を行うシステムコントローラ71を有し、内部のCPU71aによって統括的に制御を行う。また、リーダ部1の一部を構成する画像入力部72、画像処理部16、画像データに基づき半導体レーザを変調駆動するレーザ駆動回路17、および、レーザ駆動回路17によって駆動される半導体レーザ(レーザ素子)18を備えている。システムコントローラ71には、画像形成装置の置かれている周囲温度を測定するための温度センサを備えた環境センサ41が接続されている。
【0026】
また、上述のように、半導体レーザ18の出力光により静電潜像が形成される感光ドラム30、感光ドラム30上の潜像に応じた現像を行う現像器20、および、感光ドラム30上のトナー像を転写材に転写する転写帯電器35を備えている。更に、転写材P上のトナー像を加熱加圧して定着させる定着ユニット39を備えている。
【0027】
続いて、図2のブロック図を参照して前述構成の画像形成装置において、定着ローラ39a、39bおよび感光ドラム30への転写材Pの巻き付きを防止し、転写材Pの搬送不良を的確に認識するための動作について説明する。
【0028】
定着ユニット39は、定着ローラ39a、39b、定着ローラ39a、39bの表面温度を検出する表面温度検出手段としての定着ローラ表面温度検出器39c、39d、および微小変位センサ39eから構成されている。
【0029】
転写材Pにトナー像が転写され、定着ローラ39a、39bにより加熱加圧される際、転写材Pのトナー像側のトナーが定着ローラ39a、39bにより加熱加圧されることにより融解し、その粘性により、特に上側の定着ローラ39aに巻き付く場合がしばしば発生する。また、感光ドラム30の場合も同様に、転写材Pと感光ドラム30の静電気力により転写材Pが定着ユニット39に到達することができずに感光ドラム30に巻き付く場合がしばしば発生する。従来は、定着ローラ39a、39bおよび感光ドラム30に、転写材の分離用に分離爪を設けるなどして巻き付きを防止していた。
【0030】
本装置では微小変位センサ39eにより各ローラ39a、39bと微小変位センサ39e間の距離を検出し、転写材Pの巻き付きによる距離の変位を検出することで、各ローラ39a、39bへの転写材Pの巻き付きを検出している。同様に、微小変位センサ40により感光ドラム30への転写材Pの巻き付きを検出している。
【0031】
つぎに、微小変位センサ39e、40による定着ローラ39a、39bおよび感光ドラム30に対する転写材Pの巻き付きを検出する機構について説明する。
【0032】
本構成では定着ローラへの転写材Pの巻き付きを、上定着ローラ39aのみについて検出する構成になっている。これは、転写材Pに転写されたトナーが転写材Pの上面にあるため、下定着ローラ39bに比べ、上定着ローラ39aへの巻き付き確率が非常に大きいためで、下定着ローラ39bへの巻き付きをも同時に検出することは可能である。
【0033】
定着ローラ巻き付き検出用微小変位センサ39eは、媒体に光を照射するための赤外発光LED101と、変位量検出センサ103によって構成されている。なお、変位量検出センサ103はPSD素子で構成されている。また、LED101はその発光光量を一定に保つと同時に、明滅を行う制御を行うためにセンサLED制御部105により制御線S111を介して制御される。変位量検出センサ103からの出力信号S113は、信号電圧が微小であり、かつアナログ信号であるため、その信号を増幅するアンプおよびデジタル量に変換するA/D変換器107に入力される。センサLED制御部105およびA/D変換器107を制御する制御信号S110はシステムコントローラ71からCPU71aにより統括的にコントロールされている。
【0034】
また、A/D変換器107からの変位データ信号S115は、同様にシステムコントローラ71に入力されCPU71aにより変位量が演算処理される。
変位量の算出は以下のように行われる。LED101から測定対象媒体(この場合は上定着ローラ39a)に光Liを照射し、その反射光LrがPSD素子103に照射され、PSD素子103のどこに反射光Lrが照射されたかによってPSD素子103からの出力信号が変化する。すなわち、微小変位センサ39eと定着ローラ39aとの位置の差が出力信号となって出力され、その信号変化分を変位量として認識することができる。
【0035】
ここで、図4を用いてPSD素子による変位量測定およびその信号処理について補足する。図4(a)はPSD素子103の構造を示したものである。同図の入力端子に電源電圧(本装置では+5V)を印加すると、PSD素子103の受光面に入射する入射光の位置に対して、2つの出力I1、I2の電流量の比が変化する。その関係は、同図に示すように、I1端子側から入射光の位置までをX、受光面長をLとすると、
I1:I2=(L−X):X
の関係が得られる。
【0036】
この関係を利用して電流電圧変換を微小変位センサ内部で行い、電圧信号(PSD1、PSD2)となった出力信号S113を介してA/D変換器109によって変位電圧をデジタル化し、システムコントローラ71に変位量を算出する。出力信号S113には上述したように2つの変位量信号が含まれる。
【0037】
また、図4(b)は変位量を算出するためのLEDの明滅制御、およびデータサンプルのタイミングを示したものである。同図に示されるように、LEDが発光している間のI1、I2の出力信号PSD1、PSD2のデータ(V1on、V2on)をサンプリングし、その後、LEDの消灯している間のデータ(V1off、V2off)をサンプリングし、計4つのデータから変位量を算出する。変位量算出周期は1msごとに実施され、同様にLEDの発光はその1msのうちの0.1ms、信号出力サンプリングは、LED発光後500μs後および0.5ms後に行われる。
【0038】
V1on、V2on、V1off、V2offのA/D変換されたデジタル値をそれぞれD1on、D2on、D1off、D2offとし、
D1on−D1off=D1
D2on−D2off=D2
とすると、変位量Dは、
D=D2/(D1+D2)
で得られる。この変位量Dを基に、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きを検出する。
【0039】
つぎに、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付き認識方法について、図5および図6の巻き付き検出アルゴリズムを用いて説明する。
【0040】
図5(a)は微小変位センサ39eにより、定着ローラ39aの変位量を測定した結果である。一般に、ローラにはその偏心成分および真円でないためのゆがみが少なからず存在する。そのため、微小変位センサ39eにより上定着ローラ39aの表面までの距離を測定すると、同図(a)の実線のように、ローラの1回転に対応した周期性のある変化を示すことになる。
【0041】
ここで、上定着ローラ39aに転写材Pが巻き付いた場合、上記の周期性のある変化データに対して、同図(a)の点線で示された変化曲線のように、転写材Pが巻き付いてない時の実線の変化曲線に対して、巻き付いた時点から転写材の厚さ分だけオフセット分の厚さが加算された、同図点線のような変化曲線を示すようになる。このような周期性のあるデータの変化をモニタすることで、図5(b)に示すように、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きを確認することができる。
【0042】
実際の巻き付き認識アルゴリズムを、図6を用いて説明する。巻き付き認識は、CPU71aによって演算処理され、装置の制御を統括的にコントロールしている。また、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付き検出は、通常の画像形成シーケンス中に実施される。
【0043】
まず、画像形成シーケンスが開始される(S1)。画像形成シーケンス開始にともなってシステムコントローラ71により図示しないおのおののユニットに対して画像形成開始指令が発せられる(S2)。続いて定着ローラ39a、39bの回転を開始させ(S3)、基準となる上定着ローラ39aの偏心成分などを含むリファレンスデータの収集を開始する(S4)。この時のデータが図5(1)の実線に相当する。このデータはシステムコントローラ71内のメモリに、上定着ローラ39aの1回転分のデータとして格納されることになる。こうして、上定着ローラ39aの1回転分のデータの格納が終了するまで実施される(S5)。
【0044】
本装置では、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きを精度良く認識する目的で、1回転分のデータとして2048個のデータを収集している。また、データはローラの1回転中にすべて収集することで、データ収集による画像形成サイクルの延長を極力低減させている。このようにして、データ収集が完了した後、システムコントローラ71の指令により、実際の画像形成が開始される(S6)。
【0045】
続いて、画像形成シーケンスが開始されると、転写材Pが給紙カセット36から供給されて、感光ドラム30からトナー像が転写され、定着ユニット39に搬送されてくるわけであるが、定着ユニット39に転写材Pが搬送されてくる少し前のタイミングからローラの変位データの収集および確認を開始する(S7)。上定着ローラ39aには、図示しない回転角度検出装置が設けられており、前述した保存データと、ここで収集された変位データとの比較を、回転角度に応じて実施する(S8)。つまり、回転角度検出装置は前述の2048個の保存データに対応すべく、2048ステップの回転角度が検出可能である。このように、保存データと新たに収集したデータとの比較を実施する。
【0046】
ここで、比較値に規定値以上の変化があったかを判定し(S9)、比較値が規定値を上回り、かつ規定ステップ以上続いた場合、すなわち、図5(a)の点線データが確認された場合、上定着ローラ39aへの転写材の巻き付きと判断して、図示しない操作部上の表示部にその旨つまりジャムを表示する(S10)。また、比較値が規定値を上回ることがなく画像形成シーケンスが終了した場合には、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きは発生しなかったと判断し、画像形成を終了し(S11)、すべてのシーケンスを終了させる(S12)。
【0047】
感光ドラム30への巻き付き検出も上定着ローラ39aの巻き付き検出と同様である。図3に示すように、感光ドラム巻き付き検出用微小変位センサ40は、媒体に光を照射するための赤外発光LED102と、変位量検出センサ104によって構成されている。同様に、変位量検出センサ104はPSD素子で構成されている。また、赤外発光LED102はその発光光量を一定に保つと同時に、明滅を行う制御を行うためにセンサLED制御部106により制御線S112を介して制御される。変位量検出センサ104からの出力信号S114は、信号電圧が微小であり、かつアナログ信号であるため、その信号を増幅するアンプおよびデジタル量に変換するA/D変換器108に入力される。センサLED制御部106およびA/D変換器108を制御する制御信号S110はシステムコントローラ71からCPU71aにより統括的にコントロールされる。また、A/D変換器108からの変位データ信号S116は、同様にシステムコントローラ71に入力されCPU71aにより変位量が演算処理される。
【0048】
変位量の算出も同様で、LED102から測定対象媒体(この場合は感光ドラム30)に光Liを照射し、その反射光LrがPSD素子104に照射され、PSD素子104のどこに反射光Lrが照射されたかによってPSD素子104からの出力信号が変化する。すなわち、微小変位センサ40と感光ドラム30との位置の差が出力信号となって出力され、その信号変化分を変位量として認識することができる。
【0049】
巻き付き検出アルゴリズムについては、上定着ローラ39aの検出アルゴリズムと全く同一である。感光ドラム30に転写材Pが到達する前に、感光ドラム30の1回転分のデータを保存し、つぎに画像形成シーケンス時に保存データと新たに収集したデータとの比較により、感光ドラム30への転写材Pの巻き付きを検出している。
【0050】
上述したように、定着ローラ39a、39bへの転写材Pの巻き付き、感光ドラム30への転写材Pの巻き付き検出は、画像形成シーケンス中に同時に行うことも可能であり、また、おのおの別々に検出することも可能である。
つぎに、図7を用いて定着ユニット39での、定着ローラ39a、39bの温度制御について説明する。
【0051】
本装置では、定着ローラ39a、39bの温度を測定するために、定着ローラ39a、39bから発せられる赤外線を計測し、赤外線の量を温度に変換して測定する表面温度検出手段としての非接触温度センサ39c、39dを、定着ローラ39a、39bの中央部、すなわち転写材Pの搬送方向に対して中央に取り付け、使用している。前述のように、通常、こうした定着ローラの温度測定にはサーミスタなどのセンサを、定着ローラに接触させるか、または定着ローラの極近傍に配置して温度を測定する手段が講じられていた。しかし、この場合、センサをローラに接触させるかまたはそれに近い状態にするため、ローラの摩耗などの不具合が発生していた。そこで、本装置では非接触の温度センサを採用している。
【0052】
定着ローラ39a、39bの加熱には、加熱部材としてハロゲンヒータ208、209を用いている。ハロゲンヒータ208、209はシステムコントローラ71からの制御指令により、ヒータ制御部210を介してそのON/OFFが制御される。ヒータ制御部210は、ハロゲンヒータ208、209がAC駆動のため、その内部にはSSRを内蔵し、システムコントローラ71からの制御指令に基づいて、ヒータ供給用AC電源のON/OFFを行っている。
【0053】
また、各定着ローラ39a、39bには、その温度を検出するために上述した非接触温度センサ39c、39dを備えている。この温度センサ39c、39dの詳細な構造を、図8を用いて説明する。
【0054】
定着ローラ39a、39bからの放射熱に対応する赤外線だけをセンサ内部に照射させ、その赤外線量を検出し温度に変換するために、各温度センサ39c、39dは赤外線検出部材203、204を有している。この赤外線検出部材203、204はサーモパイルであって入射される赤外線の量に応じた電圧を出力することができる。サーモパイル203、204の前には定着ローラ39a、39bの決められた領域のみをモニタする目的と、決められた波長領域(赤外線)のみをモニタする目的から、赤外線通過フィルタおよび集光レンズLE1、LE2が装着されている。更に、サーモパイル203、204は熱電対によって構成されており、赤外線が照射されて発熱する側をホットジャンクション、発熱させない側をコールドジャンクションとして、その温度差を電圧として出力するものである。よって、コールドジャンクション側の温度、すなわちセンサ自体の温度をモニタする必要があり、そのためのサーミスタ205、206が装備されている。ここで、サーモパイル出力電圧に対する、測定媒体およびセンサ自身の温度との関係は、
E=A(Tx4−Ta4)
E:出力電圧
Tx:測定媒体温度(K)
Ta:センサ温度(K)
A:定数
として定義される。
【0055】
本装置における(Tx4−Ta4)に対するEの関係、すなわちTa、EからTxを求めるときの基本となる静特性を図9に示す。この静特性を基に、上式より逆算して出力電圧Eおよびセンサ温度Taを測定することにより、測定媒体、すなわち定着ローラの温度を算出することができる。更に温度センサ39c、39dは、センサ素子(図8(a))に加えてアンプ回路、その他(図8(b))が一体となって形成されている。これは、サーモパイル203、204からの出力電圧が極めて低い(8mV/200℃)ことから、A/D変換レベルまで増幅する必要があるためである。本装置では、サーモパイル出力SPiに対して約1000倍のゲインをかけてSPoとして出力している。
【0056】
また、センサ自体の温度を測定するサーミスタ205、206出力に対しては、サーミスタは温度によってその抵抗値を変化させるのみであるため、抵抗値変化を電圧値変化に変換すべく、サーミスタ出力SMiに対して、+5Vから抵抗を介して接続しSMoとして出力する構成をとっている。サーモパイル203、204およびサーミスタ205、206からの出力電圧は、A/D変換を行うために、A/D変換器201、202を介して、システムコントローラ71に入力して上記演算を行い、定着ローラ39a、39bの温度を算出している。
【0057】
以上のようにして得られた各定着ローラ39a、39bの温度データを基に、各定着ローラが規定温度になるように、システムコントローラ71により統括的に定着ヒータ208、209のON/OFFを行い温度制御を実施している。
【0058】
ここで、温度センサ39c、39dの表面が機内に飛散するトナーや紙粉などによりその表面が汚れた場合、すなわち、赤外線透過フィルタLE1、LE2の表面が汚れ、センサ内部に透過される赤外線の量が減少すると、その静特性は図9の点線にて示すごとくに変化する。このことは、本センサの出力であるEおよびTaを測定し、上式を逆算して求める測定媒体の温度、すなわち定着ローラ39a、39bの検出温度を低く見積もってしまうことになる。つまり、正規に温度調整を実施すると、温度調整の設定温度より、汚れの具合に対応した分だけ高い温度で温度調整することになる。この汚れの具合が少ない場合は転写材およびトナーの過剰加熱による画像劣化を招き、汚れの具合が多い場合には、定着ローラにダメージを与えることにもつながりかねない事態に陥る可能性がある。そこで、本装置ではセンサ表面の汚れ具合を検出し、汚れの程度によってはそれを補正する機能を有している。
【0059】
以下で、センサ表面汚れの程度の検出方法について説明する。
【0060】
図10は、本装置に電源が投入され、定着ヒータ208、209が通電され定着ローラ39a、39bが低温状態から次第に加熱されていく段階での、サーモパイル203、204の出力電圧とサーミスタ205、206の出力を温度に変換したときの特性を表している。図中Aがサーモパイル出力電圧E、Bがサーミスタ検出温度Tsを示している。
【0061】
定着ヒータ208、209に通電されていないときのサーミスタ205、206の検出温度は機内温度約25℃を示し、サーモパイル出力Eは、機内温度に対応する定着ローラの表面温度に対する出力電圧、約0.5V程度を示している。この際、機内温度は、環境センサ41により検出され、システムコントローラ71によって温度として算出、認識される。
【0062】
定着ヒータ208、209に通電が開始されるとサーミスタ205、206およびサーモパイル203、204の出力は順次上昇し、定着温調温度(本装置では目標値180℃)で温度調整のため定着ヒータ208、209のON/OFF動作に入るため、それ以上の上昇を示さなくなる。そのポイントがサーミスタ温度約60℃、サーモパイル出力約4Vで、定着ヒータ通電後約110秒後の点である。
【0063】
サーミスタ検出温度Tsは、定着ユニット39の温度調整が開始されると、ほぼ同じくして、一定温度を示すようになる。
【0064】
このことは、サーミスタを含む温度センサが比較的小さな容量の定着ユニット内部に取り付けられていること、また、図示しない廃熱ファンなどの作用により温度飽和状態に達するためであり、これは、装置の置かれている環境温度に相関性のある特性を示す。この関係を表した図が図11である。図11は、装置の置かれている環境温度TFに対するサーミスタ検出温度Tsの関係をおおまかに示している。環境温度TFが高くなると、サーミスタの示す飽和温度も高くなる。この関係は装置の種類には依存するものの、同一種類の装置個々においてはほぼ同じ関係を有することは既に確認されている。
【0065】
また、温度調整開始温度(180℃)におけるサーミスタ検出温度Tsに対するサーモパイル出力電圧Eの値を測定し、その測定した値を、システムコントローラ71内にある記憶メモリ(図示なし)に記憶させデータとして蓄積する。
さらに、システムコントローラ71は、この蓄積させたデータを温度センサの汚れの有無、またはその程度をも検出する方法に使用する。
【0066】
例えば、蓄積されたデータが、サーミスタ温度約60℃、サーモパイル出力約4Vで、定着ヒータ208、209は180℃となっていたとする。
【0067】
ここで、もし、環境センサ41により検出されたサーモパイル出力が2Vだった場合は、蓄積されているデータ(ここでは4V=180℃)との比較をし、その差分を出す。差分がない場合は、そのまま次の画像形成プロセスに進む。
差分が発生していた場合は、サーモパイルに汚れか、故障かなど何らかの異常があると判断し、補正方法を行う。
【0068】
図12は、温度センサ表面が汚れた場合の図10と同様の、サーモパイル203、204の出力電圧とサーミスタ205、206の出力を温度に変換したときの特性を表している。
【0069】
図12において、サーミスタ温度が温度調整時飽和温度60℃時のサーモパイル出力Eは約3Vを示しており、3Vと検知したシステムコントローラ71は、「4Vに達していない=180℃ではない」と判断している。このことから温度センサ表面に汚れが付着していることを確認することができる。
【0070】
なお、同図中、温度調整温度と考えられるサーミスタが示す温度に達しても定着ヒータをONし続けている原因は、サーモパイル出力が汚れにより低下し、本出力電圧Eとサーミスタが示す温度により逆算した結果、その演算温度が定着ローラの温度が規定温度(180℃)に達していないためであり、すなわち、実際は高めの温度で温度調整を実施していることになる。
【0071】
つぎに、図13を用いて温度センサの汚れ検出およびその補正方法について説明する。なお、本シーケンスは、システムコントローラ71内のCPU71aによって統括的に制御、または演算されることにより実施される。
【0072】
本実施例の汚れ検出シーケンスは、装置内部の定着ユニット39に電源が給電され、定着ローラ39a、39bが加熱される前の状態、すなわち、定着ローラ39a、39bがほぼ環境温度に近い状態から、加熱されて温度調整温度に移行する間に実施される。
【0073】
汚れ検出シーケンスが開始されると(S20)、環境センサ41により本装置の置かれている環境温度TFを測定する(S21)。続いて各定着ヒータ208、209に電源を供給させ定着ローラ39a、39bの加熱を開始する(S22)。その後、各赤外線温度センサ39c、39d内部のサーミスタ205、206により表される温度を検出する(S23)。この際、上定着ローラ39aの温度センサ39c内部のサーミスタ205により検出された温度をTsu、同様に下定着ローラ39bの温度センサ39d内部のサーミスタ204により検出された温度をTsLとする。
【0074】
更に各温度センサ39c、39d内部のサーモパイル203、204によりおのおのの出力電圧を検出する(S24)。
【0075】
この際、上定着ローラ39aの温度センサ39cのサーモパイル出力電圧をEu、同様に下定着ローラ39bにおける温度センサ39dのサーモパイル出力電圧をELとする。
【0076】
ここで、各サーミスタ検出温度であるTsuまたはTsLと規定温度Toとを比較する。規定温度Toは、システムコントローラ71内にある記憶メモリ(図示なし)に記憶させてデータとして蓄積させた各サーミスタ検出温度である。
【0077】
図11で示した環境温度TFに対するサーミスタ検出温度であり、S21で測定した環境温度TFにより、図11から求められる温度となる。
例えば、環境温度が30℃の場合、サーミスタにより検出される飽和温度は65℃で、すなわち、To=65℃となる。ここで、サーミスタ検出温度TsuまたはTsLが規定温度To以下であった場合は、更に各温度センサ39c、39dの周辺温度が上がるまで、各サーミスタ205、206および各サーモパイル203、204の出力の観察を続ける。
【0078】
また、各定着ヒータ208、209をONしているにも拘わらず、各サーミスタ検出温度Tsu、TsLが上がらない場合、すなわち、各サーミスタの故障などが発生した場合には、S24で測定される各サーモパイル出力値を基に、すべての動作を緊急停止させることも実施している。
【0079】
つぎに、サーミスタ検出温度TsuまたはTsLが規定温度Toより大きくなった場合、すなわち、環境温度TFに対する各サーミスタ検出温度の特性を超えた場合、各定着ローラ39a、39bの表面温度Tu、TLを検出する(S26)。
【0080】
各定着ローラ39a、39bの表面温度Tu、TLは、各サーミスタ出力温度およびサーモパイル出力電圧より、前述の4乗特性(図9)から導かれる。
【0081】
各定着ローラ39a、39bの表面温度TuまたはTLと温度調整温度180℃にマージンを加味した160℃からTu、TLを差分し(S27)、その差分結果が0場合には、センサ表面に汚れが付着していなかったものと判断し、温度調整制御を開始し(S31)、汚れ検出シーケンスを終了させる(S32)。
【0082】
また、差分結果が0以外であった場合、センサ表面に汚れが付着しているものと判断し、その汚れ具合から補正値(補正係数)αoを算出する(S28)。
【0083】
ここで、補正値αoの算出に当たっては、図9に示される4乗特性の静特性の補正を実施する。センサに汚れのない状態では、図中実線に示される直線となることは先に説明したとおりである。また、センサに汚れが付着し、サーモパイル出力電圧が低下すると図中点線に示すごとき変化となるため、上記汚れた状態でのサーモパイル出力電圧Eu、EL、およびサーミスタ温度検出値Tsu、TsLから、点線が実線となるべき補正値αoを算出することになる。
【0084】
ところで、補正はあくまで補正であって、その補正値αoがあまり大きいと、補正により正確な温度を検出できなくなる可能性をもっている。
【0085】
そこで、補正値αoが規定値Xより大きいか否かを判定し(S29)、大きい場合には、各定着ヒータ208、209をOFFさせ(S33)、その後図示しない操作部にセンサの汚れ警告を表示することで、センサ表面の清掃またはセンサの交換を指示する(S34)。
【0086】
規定値Xについては、通常理論値の10%以内とすることが目安で、それ以上大きく補正すると、温度検出値に大きな誤差を生じる可能性がある。
つぎに、補正値αoが規定値Xより小さかった場合には、理論値を補正し(S30)、温度調整制御を実施し(S31)、汚れ検出シーケンスを終了させる(S32)。
【0087】
つぎに、図14を用いて、図13中の温度調整シーケンスについて説明する。
【0088】
温度調整シーケンスが実施されると(S40)、まず、各定着ローラ39a、39bの表面温度Tu、TLを測定する(S41)。続いて測定された温度データの突発的なノイズ成分を除去する目的で、データの逐次積分を実施し、逐次積分データTu’、TL’を得る(S42)。ここでの逐次積分は、各データの移動平均を求めることで実施され、その移動平均データ数はデータのサンプリング間隔によって決定され、本実施例ではサンプリング周期が10msであるため、その数を10と設定した。
【0089】
つぎに、ここで測定された表面温度データTu’またはTL’が各定着ヒータ208、209をONするための温度Ton以下であるか否かを判定し(S43)、
Ton以下であった場合には、各定着ヒータ208、209をONする(S44)、更に、Tu’またはTL’がTonを超えていた場合、Tu’またはTL’が定着ヒータ208、209をオフするための温度Toff以上であるか否かを判定し(S45)、Toffより小さかった場合にはS41に戻り各定着ローラ39a、39bの表面温度を測定する。
【0090】
表面温度データTu’またはTL’がToff以上であった場合には各定着ヒータ208、209をOFFさせ(S46)、以上の一連の動作を繰り返すことによって、設定温度がTonからToffの間で必要以上のON/OFFを繰り返すことのないようにヒステリシスを有するように温度調整を行っている。なお、ここでの温度調整目標温度が180℃であるため、Ton、Toffはそれぞれ179℃、181℃に設定している。
【0091】
上記のように、本実施例では、定着ローラの表面を温度を検出する手段として、赤外線を利用した非接触温度センサは、定着ローラの放射赤外線を温度に変換するサーモパイルと、その温度補償を行なうためにセンサ自身の温度を測定するサーミスタとを備えており、センサ表面の汚れを検出するために、サーモパイルの出力特性の変化を測定し、定着ローラの温度を算出し、あらかじめ記憶されたデータとの差分を算出する。また、汚れの程度に応じて、検出温度特性の補正を行なうことにより、非接触温度センサを用いた場合において、その汚れに関りなく定着ローラの温度を正確に検出することができる。
【実施例2】
【0092】
第1実施例では、赤外線温度センサ表面の汚れ検出を、定着ローラの温度がほぼ環境温度のときから、定着ユニットに電力を供給し徐々に昇温する過程で実施していた。
【0093】
第2実施例としては、定着ユニットへの電力供給時から規定時間までの経過時間と、検出された定着ローラ表面温度の関係から、初期状態の傾きとそのときの環境温度を求め、環境温度に対する傾きを補正した後、その後の検出結果の傾き具合から、赤外線温度センサ表面の汚れ具合を検出する構成とした。
【0094】
また、第1実施例ではデジタル複写機における定着ローラの温度調整に用いている赤外線温度センサの表面汚れ検出を行っているが、このことは通常の定着ローラを用いたアナログ式複写機を含む電子写真方式のすべてのプリンタや複写機などにも適用可能である。
【0095】
更に、ヒートローラ以外を使用して、転写紙上のトナー画像を熱定着させる電子写真方式のすべてのプリンタや複写機などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】画像形成装置の一実施例を示す概略構成図。
【図2】画像形成装置におけるブロック図。
【図3】画像形成装置におけるブロック図。
【図4】PSD素子による変位量測定およびその信号処理についての説明図。
【図5】定着ローラ39aの変位量を測定した結果を示す図。
【図6】巻き付き検出アルゴリズムを用いて説明するための図。
【図7】定着ローラの温度制御についての説明図。
【図8】温度センサの詳細な構造を説明するための図。
【図9】本装置における(Tx4−Ta4)に対するEの関係を求めるときの基本となる静特性を示す図。
【図10】サーモパイルの出力電圧とサーミスタの出力を温度に変換したときの特性を表す図。
【図11】装置の置かれている環境温度に相関性のある特性を示す図。
【図12】サーモパイルの出力電圧とサーミスタの出力を温度に変換したときの特性を表す図。
【図13】温度センサの汚れ検出およびその補正方法について説明する図。
【図14】図13中の温度調整シーケンスについて説明する図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機あるいはプリンタなどとされる電子写真方式あるいは静電記録方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複写機やプリンタでは、感光体ドラムに形成したトナー画像を転写材に転写し、その後、定着手段としてのヒートローラ(定着ローラ)により加熱処理を施すことで画像形成を行っている。その際、ヒートローラに接触型の温度センサとしてのサーミスタを接触させてヒートローラの温度を測定していた。この場合、サーミスタが接触型であるため、例えば、転写材の巻き付き、接触圧の低下や接触不良などによる測定温度の誤差に対応するため、定期的にサーミスタユニットの交換を実施したり、補償用に複数セットのサーミスタを取り付けるといった構成をとっていた。
【0003】
また、サーミスタを接触型の温度センサとして利用した場合には、サーミスタおよびヒートローラが接触していることによる不具合として、両者の接触による各部分の劣化が更なる問題となっていた。
【0004】
そこで、その解決手段として、ヒートローラから発生する赤外線の量を検出して、ヒートローラの温度を非接触で測定するセンサを用いた温度測定システムが提案されている。
【0005】
又、別の従来例としては、例えば特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2000-194226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この非接触式の温度測定システムは光学的に赤外線の量を測定しているため、センサ表面の汚れがそのまま測定温度の誤差となって現れ、特に電子写真方式の複写機などでは、その内部でのトナー、紙粉などの飛散により、汚れかたもセンサの取り付けられた位置によってかなりのばらつきを生じていた。その結果、センサ表面を頻繁に清掃するなどの処置を施す必要があるといった欠点があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、定着手段の温度を非接触にて検出する検出手段が汚れた場合においても定着手段の温度を正確に検知できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。
【0009】
要約すれば、本発明は、転写材上に転写されたトナー像を加熱または加熱加圧することにより定着する定着手段を備え、定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、定着手段に具備された加熱部材を駆動し、定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、表面温度検出手段は、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、表面温度検出手段の測定表面の汚れの程度を、定着手段のローラへの印加電圧の差分から検出し、検出された汚れの程度に応じて表面温度検出手段の出力特性の補正を行なう。
【0010】
また、サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力より、前記定着手段のローラへの印加電圧を算出して、あらかじめ記憶された値と比較し、その差分を計算すること、またサーミスタおよび赤外線検出部材の出力特性の経時変化を測定することにより、表面温度検出手段の汚れの程度の検出する。
【0011】
さらに、表面温度検出手段の汚れの程度が、規定値レベルを超えた場合、前記画像形成装置の画像形成プロセスを停止させる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明の画像形成装置によれば、定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、前記表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、前記定着手段に具備された加熱部材を駆動し、前記定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、前記表面温度検出手段が、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と前記赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力より前記定着手段のローラへの印加電圧を算出して、あらかじめ記憶された値との差分の値を、前記表面温度検出手段の汚れの程度として検出すること、または、前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力特性の経時変化を測定して、前記表面温度検出手段の汚れの程度として検出する。そこで検出された汚れの程度に応じて前記表面温度検出手段の出力特性の補正を行なうことにより、前記定着手段の温度を非接触にて検出する検出手段が汚れた場合においても前記定着手段の温度を正確に検知でき、従って、高品質画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
図1に本発明に係る画像形成装置の一実施例として、デジタル画像形成装置の概略構成を示す。まず、同図を参照してその構成および動作を説明する。
【0015】
リーダ部1は、原稿が載置される原稿台11、載置された原稿を上方から押圧する原稿圧板12、原稿の画像面を照射する光源13、画像面からの反射光を導く複数のミラー14とレンズ15、および、反射光を図示しないCCDにより光電変換を行い、得られた電気信号に対して種々の画像処理を行う画像処理部16を主要部材として構成されている。更に画像処理部16は、A/D変換、S/H、シェーディング補正、マスキング補正、変倍、LOG変換などの画像処理機能を有している。
【0016】
上述構成のリーダ部1の動作はつぎのとおりである。
【0017】
原稿台11上に原稿を、その画像面が下方に向くようにして載置し、その上から原稿圧板12で押さえる。光源13は、光を照射しながら矢印K1方向に移動し、原稿の画像面を走査する。画像面からの反射光像は、複数のミラー14およびレンズ15を介して、CCD上に結像され、ここで電気信号に光電変換される。電気信号とされた画像信号は、画像処理部16において、種々の画像処理が施された後、つぎのプリンタ部2に送出される。
【0018】
プリンタ部2は、リーダ部1より送出されてきた電気信号を、レーザを駆動するための信号に変換する画像制御部17、レーザ素子18、感光ドラム30表面をレーザ光によって走査するポリゴンスキャナ19、および感光ドラム30を含む画像形成部、および、最下流側に配設された定着ユニット39を主要部材として構成されている。
【0019】
また、上述の画像形成部は、矢印方向に回転自在に支持された感光ドラム30、その周辺にその回転方向に沿って配設された、感光ドラム30表面を一様に帯電する一次帯電器31、感光ドラム30上の静電潜像を現像する現像器20、感光ドラム30上のトナー像を転写材Pに転写する転写帯電器35、感光ドラム30の転写残トナーを除去するクリーナ34、除電を行う補助帯電器33、および、残留電荷を除去する前露光ランプ32を備えている。
【0020】
更に、現像器20には現像ローラ20aが配設され、現像ローラ20aが感光ドラム30と反対方向に回転することにより、感光ドラム30上にトナー像を現像する構成をとっている。
【0021】
感光ドラム30上のトナー像が転写帯電器35の作用により転写された転写材Pは、定着前ベルト37によって定着ユニット39に搬送され、ここで定着手段としての定着ローラ39a、39bが回転して転写材Pを搬送することにより加圧され、加熱加圧を受けて表面のトナー像が定着される。最終的に、定着後の転写材Pは装置本体外部の排紙トレイ42に排出されることになる。
【0022】
転写材Pの給搬送を行う給搬送部は、転写材Pの搬送路を有し、その転写材Pの搬送方向についての最上流側に、給紙カセット36、給紙ローラ36a、搬送ローラ36bなどの用紙送り装置を備えている。
【0023】
この用紙送り装置のほかに、マルチ用紙送り装置38が設けられている。このマルチ用紙送り装置38からは、その紙送りパスがストレートであることから、画像形成部に対して、材質、大きさなどの性状の異なる種々の転写材Pを供給することができる。
【0024】
つぎに、図2に、上述の画像形成装置におけるブロック図を示す。
【0025】
このブロック図には転写材Pへの画像形成および最適な搬送を行うため制御手段が概略的に示されている。この制御手段は、画像形成装置の各種制御を行うシステムコントローラ71を有し、内部のCPU71aによって統括的に制御を行う。また、リーダ部1の一部を構成する画像入力部72、画像処理部16、画像データに基づき半導体レーザを変調駆動するレーザ駆動回路17、および、レーザ駆動回路17によって駆動される半導体レーザ(レーザ素子)18を備えている。システムコントローラ71には、画像形成装置の置かれている周囲温度を測定するための温度センサを備えた環境センサ41が接続されている。
【0026】
また、上述のように、半導体レーザ18の出力光により静電潜像が形成される感光ドラム30、感光ドラム30上の潜像に応じた現像を行う現像器20、および、感光ドラム30上のトナー像を転写材に転写する転写帯電器35を備えている。更に、転写材P上のトナー像を加熱加圧して定着させる定着ユニット39を備えている。
【0027】
続いて、図2のブロック図を参照して前述構成の画像形成装置において、定着ローラ39a、39bおよび感光ドラム30への転写材Pの巻き付きを防止し、転写材Pの搬送不良を的確に認識するための動作について説明する。
【0028】
定着ユニット39は、定着ローラ39a、39b、定着ローラ39a、39bの表面温度を検出する表面温度検出手段としての定着ローラ表面温度検出器39c、39d、および微小変位センサ39eから構成されている。
【0029】
転写材Pにトナー像が転写され、定着ローラ39a、39bにより加熱加圧される際、転写材Pのトナー像側のトナーが定着ローラ39a、39bにより加熱加圧されることにより融解し、その粘性により、特に上側の定着ローラ39aに巻き付く場合がしばしば発生する。また、感光ドラム30の場合も同様に、転写材Pと感光ドラム30の静電気力により転写材Pが定着ユニット39に到達することができずに感光ドラム30に巻き付く場合がしばしば発生する。従来は、定着ローラ39a、39bおよび感光ドラム30に、転写材の分離用に分離爪を設けるなどして巻き付きを防止していた。
【0030】
本装置では微小変位センサ39eにより各ローラ39a、39bと微小変位センサ39e間の距離を検出し、転写材Pの巻き付きによる距離の変位を検出することで、各ローラ39a、39bへの転写材Pの巻き付きを検出している。同様に、微小変位センサ40により感光ドラム30への転写材Pの巻き付きを検出している。
【0031】
つぎに、微小変位センサ39e、40による定着ローラ39a、39bおよび感光ドラム30に対する転写材Pの巻き付きを検出する機構について説明する。
【0032】
本構成では定着ローラへの転写材Pの巻き付きを、上定着ローラ39aのみについて検出する構成になっている。これは、転写材Pに転写されたトナーが転写材Pの上面にあるため、下定着ローラ39bに比べ、上定着ローラ39aへの巻き付き確率が非常に大きいためで、下定着ローラ39bへの巻き付きをも同時に検出することは可能である。
【0033】
定着ローラ巻き付き検出用微小変位センサ39eは、媒体に光を照射するための赤外発光LED101と、変位量検出センサ103によって構成されている。なお、変位量検出センサ103はPSD素子で構成されている。また、LED101はその発光光量を一定に保つと同時に、明滅を行う制御を行うためにセンサLED制御部105により制御線S111を介して制御される。変位量検出センサ103からの出力信号S113は、信号電圧が微小であり、かつアナログ信号であるため、その信号を増幅するアンプおよびデジタル量に変換するA/D変換器107に入力される。センサLED制御部105およびA/D変換器107を制御する制御信号S110はシステムコントローラ71からCPU71aにより統括的にコントロールされている。
【0034】
また、A/D変換器107からの変位データ信号S115は、同様にシステムコントローラ71に入力されCPU71aにより変位量が演算処理される。
変位量の算出は以下のように行われる。LED101から測定対象媒体(この場合は上定着ローラ39a)に光Liを照射し、その反射光LrがPSD素子103に照射され、PSD素子103のどこに反射光Lrが照射されたかによってPSD素子103からの出力信号が変化する。すなわち、微小変位センサ39eと定着ローラ39aとの位置の差が出力信号となって出力され、その信号変化分を変位量として認識することができる。
【0035】
ここで、図4を用いてPSD素子による変位量測定およびその信号処理について補足する。図4(a)はPSD素子103の構造を示したものである。同図の入力端子に電源電圧(本装置では+5V)を印加すると、PSD素子103の受光面に入射する入射光の位置に対して、2つの出力I1、I2の電流量の比が変化する。その関係は、同図に示すように、I1端子側から入射光の位置までをX、受光面長をLとすると、
I1:I2=(L−X):X
の関係が得られる。
【0036】
この関係を利用して電流電圧変換を微小変位センサ内部で行い、電圧信号(PSD1、PSD2)となった出力信号S113を介してA/D変換器109によって変位電圧をデジタル化し、システムコントローラ71に変位量を算出する。出力信号S113には上述したように2つの変位量信号が含まれる。
【0037】
また、図4(b)は変位量を算出するためのLEDの明滅制御、およびデータサンプルのタイミングを示したものである。同図に示されるように、LEDが発光している間のI1、I2の出力信号PSD1、PSD2のデータ(V1on、V2on)をサンプリングし、その後、LEDの消灯している間のデータ(V1off、V2off)をサンプリングし、計4つのデータから変位量を算出する。変位量算出周期は1msごとに実施され、同様にLEDの発光はその1msのうちの0.1ms、信号出力サンプリングは、LED発光後500μs後および0.5ms後に行われる。
【0038】
V1on、V2on、V1off、V2offのA/D変換されたデジタル値をそれぞれD1on、D2on、D1off、D2offとし、
D1on−D1off=D1
D2on−D2off=D2
とすると、変位量Dは、
D=D2/(D1+D2)
で得られる。この変位量Dを基に、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きを検出する。
【0039】
つぎに、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付き認識方法について、図5および図6の巻き付き検出アルゴリズムを用いて説明する。
【0040】
図5(a)は微小変位センサ39eにより、定着ローラ39aの変位量を測定した結果である。一般に、ローラにはその偏心成分および真円でないためのゆがみが少なからず存在する。そのため、微小変位センサ39eにより上定着ローラ39aの表面までの距離を測定すると、同図(a)の実線のように、ローラの1回転に対応した周期性のある変化を示すことになる。
【0041】
ここで、上定着ローラ39aに転写材Pが巻き付いた場合、上記の周期性のある変化データに対して、同図(a)の点線で示された変化曲線のように、転写材Pが巻き付いてない時の実線の変化曲線に対して、巻き付いた時点から転写材の厚さ分だけオフセット分の厚さが加算された、同図点線のような変化曲線を示すようになる。このような周期性のあるデータの変化をモニタすることで、図5(b)に示すように、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きを確認することができる。
【0042】
実際の巻き付き認識アルゴリズムを、図6を用いて説明する。巻き付き認識は、CPU71aによって演算処理され、装置の制御を統括的にコントロールしている。また、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付き検出は、通常の画像形成シーケンス中に実施される。
【0043】
まず、画像形成シーケンスが開始される(S1)。画像形成シーケンス開始にともなってシステムコントローラ71により図示しないおのおののユニットに対して画像形成開始指令が発せられる(S2)。続いて定着ローラ39a、39bの回転を開始させ(S3)、基準となる上定着ローラ39aの偏心成分などを含むリファレンスデータの収集を開始する(S4)。この時のデータが図5(1)の実線に相当する。このデータはシステムコントローラ71内のメモリに、上定着ローラ39aの1回転分のデータとして格納されることになる。こうして、上定着ローラ39aの1回転分のデータの格納が終了するまで実施される(S5)。
【0044】
本装置では、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きを精度良く認識する目的で、1回転分のデータとして2048個のデータを収集している。また、データはローラの1回転中にすべて収集することで、データ収集による画像形成サイクルの延長を極力低減させている。このようにして、データ収集が完了した後、システムコントローラ71の指令により、実際の画像形成が開始される(S6)。
【0045】
続いて、画像形成シーケンスが開始されると、転写材Pが給紙カセット36から供給されて、感光ドラム30からトナー像が転写され、定着ユニット39に搬送されてくるわけであるが、定着ユニット39に転写材Pが搬送されてくる少し前のタイミングからローラの変位データの収集および確認を開始する(S7)。上定着ローラ39aには、図示しない回転角度検出装置が設けられており、前述した保存データと、ここで収集された変位データとの比較を、回転角度に応じて実施する(S8)。つまり、回転角度検出装置は前述の2048個の保存データに対応すべく、2048ステップの回転角度が検出可能である。このように、保存データと新たに収集したデータとの比較を実施する。
【0046】
ここで、比較値に規定値以上の変化があったかを判定し(S9)、比較値が規定値を上回り、かつ規定ステップ以上続いた場合、すなわち、図5(a)の点線データが確認された場合、上定着ローラ39aへの転写材の巻き付きと判断して、図示しない操作部上の表示部にその旨つまりジャムを表示する(S10)。また、比較値が規定値を上回ることがなく画像形成シーケンスが終了した場合には、上定着ローラ39aへの転写材Pの巻き付きは発生しなかったと判断し、画像形成を終了し(S11)、すべてのシーケンスを終了させる(S12)。
【0047】
感光ドラム30への巻き付き検出も上定着ローラ39aの巻き付き検出と同様である。図3に示すように、感光ドラム巻き付き検出用微小変位センサ40は、媒体に光を照射するための赤外発光LED102と、変位量検出センサ104によって構成されている。同様に、変位量検出センサ104はPSD素子で構成されている。また、赤外発光LED102はその発光光量を一定に保つと同時に、明滅を行う制御を行うためにセンサLED制御部106により制御線S112を介して制御される。変位量検出センサ104からの出力信号S114は、信号電圧が微小であり、かつアナログ信号であるため、その信号を増幅するアンプおよびデジタル量に変換するA/D変換器108に入力される。センサLED制御部106およびA/D変換器108を制御する制御信号S110はシステムコントローラ71からCPU71aにより統括的にコントロールされる。また、A/D変換器108からの変位データ信号S116は、同様にシステムコントローラ71に入力されCPU71aにより変位量が演算処理される。
【0048】
変位量の算出も同様で、LED102から測定対象媒体(この場合は感光ドラム30)に光Liを照射し、その反射光LrがPSD素子104に照射され、PSD素子104のどこに反射光Lrが照射されたかによってPSD素子104からの出力信号が変化する。すなわち、微小変位センサ40と感光ドラム30との位置の差が出力信号となって出力され、その信号変化分を変位量として認識することができる。
【0049】
巻き付き検出アルゴリズムについては、上定着ローラ39aの検出アルゴリズムと全く同一である。感光ドラム30に転写材Pが到達する前に、感光ドラム30の1回転分のデータを保存し、つぎに画像形成シーケンス時に保存データと新たに収集したデータとの比較により、感光ドラム30への転写材Pの巻き付きを検出している。
【0050】
上述したように、定着ローラ39a、39bへの転写材Pの巻き付き、感光ドラム30への転写材Pの巻き付き検出は、画像形成シーケンス中に同時に行うことも可能であり、また、おのおの別々に検出することも可能である。
つぎに、図7を用いて定着ユニット39での、定着ローラ39a、39bの温度制御について説明する。
【0051】
本装置では、定着ローラ39a、39bの温度を測定するために、定着ローラ39a、39bから発せられる赤外線を計測し、赤外線の量を温度に変換して測定する表面温度検出手段としての非接触温度センサ39c、39dを、定着ローラ39a、39bの中央部、すなわち転写材Pの搬送方向に対して中央に取り付け、使用している。前述のように、通常、こうした定着ローラの温度測定にはサーミスタなどのセンサを、定着ローラに接触させるか、または定着ローラの極近傍に配置して温度を測定する手段が講じられていた。しかし、この場合、センサをローラに接触させるかまたはそれに近い状態にするため、ローラの摩耗などの不具合が発生していた。そこで、本装置では非接触の温度センサを採用している。
【0052】
定着ローラ39a、39bの加熱には、加熱部材としてハロゲンヒータ208、209を用いている。ハロゲンヒータ208、209はシステムコントローラ71からの制御指令により、ヒータ制御部210を介してそのON/OFFが制御される。ヒータ制御部210は、ハロゲンヒータ208、209がAC駆動のため、その内部にはSSRを内蔵し、システムコントローラ71からの制御指令に基づいて、ヒータ供給用AC電源のON/OFFを行っている。
【0053】
また、各定着ローラ39a、39bには、その温度を検出するために上述した非接触温度センサ39c、39dを備えている。この温度センサ39c、39dの詳細な構造を、図8を用いて説明する。
【0054】
定着ローラ39a、39bからの放射熱に対応する赤外線だけをセンサ内部に照射させ、その赤外線量を検出し温度に変換するために、各温度センサ39c、39dは赤外線検出部材203、204を有している。この赤外線検出部材203、204はサーモパイルであって入射される赤外線の量に応じた電圧を出力することができる。サーモパイル203、204の前には定着ローラ39a、39bの決められた領域のみをモニタする目的と、決められた波長領域(赤外線)のみをモニタする目的から、赤外線通過フィルタおよび集光レンズLE1、LE2が装着されている。更に、サーモパイル203、204は熱電対によって構成されており、赤外線が照射されて発熱する側をホットジャンクション、発熱させない側をコールドジャンクションとして、その温度差を電圧として出力するものである。よって、コールドジャンクション側の温度、すなわちセンサ自体の温度をモニタする必要があり、そのためのサーミスタ205、206が装備されている。ここで、サーモパイル出力電圧に対する、測定媒体およびセンサ自身の温度との関係は、
E=A(Tx4−Ta4)
E:出力電圧
Tx:測定媒体温度(K)
Ta:センサ温度(K)
A:定数
として定義される。
【0055】
本装置における(Tx4−Ta4)に対するEの関係、すなわちTa、EからTxを求めるときの基本となる静特性を図9に示す。この静特性を基に、上式より逆算して出力電圧Eおよびセンサ温度Taを測定することにより、測定媒体、すなわち定着ローラの温度を算出することができる。更に温度センサ39c、39dは、センサ素子(図8(a))に加えてアンプ回路、その他(図8(b))が一体となって形成されている。これは、サーモパイル203、204からの出力電圧が極めて低い(8mV/200℃)ことから、A/D変換レベルまで増幅する必要があるためである。本装置では、サーモパイル出力SPiに対して約1000倍のゲインをかけてSPoとして出力している。
【0056】
また、センサ自体の温度を測定するサーミスタ205、206出力に対しては、サーミスタは温度によってその抵抗値を変化させるのみであるため、抵抗値変化を電圧値変化に変換すべく、サーミスタ出力SMiに対して、+5Vから抵抗を介して接続しSMoとして出力する構成をとっている。サーモパイル203、204およびサーミスタ205、206からの出力電圧は、A/D変換を行うために、A/D変換器201、202を介して、システムコントローラ71に入力して上記演算を行い、定着ローラ39a、39bの温度を算出している。
【0057】
以上のようにして得られた各定着ローラ39a、39bの温度データを基に、各定着ローラが規定温度になるように、システムコントローラ71により統括的に定着ヒータ208、209のON/OFFを行い温度制御を実施している。
【0058】
ここで、温度センサ39c、39dの表面が機内に飛散するトナーや紙粉などによりその表面が汚れた場合、すなわち、赤外線透過フィルタLE1、LE2の表面が汚れ、センサ内部に透過される赤外線の量が減少すると、その静特性は図9の点線にて示すごとくに変化する。このことは、本センサの出力であるEおよびTaを測定し、上式を逆算して求める測定媒体の温度、すなわち定着ローラ39a、39bの検出温度を低く見積もってしまうことになる。つまり、正規に温度調整を実施すると、温度調整の設定温度より、汚れの具合に対応した分だけ高い温度で温度調整することになる。この汚れの具合が少ない場合は転写材およびトナーの過剰加熱による画像劣化を招き、汚れの具合が多い場合には、定着ローラにダメージを与えることにもつながりかねない事態に陥る可能性がある。そこで、本装置ではセンサ表面の汚れ具合を検出し、汚れの程度によってはそれを補正する機能を有している。
【0059】
以下で、センサ表面汚れの程度の検出方法について説明する。
【0060】
図10は、本装置に電源が投入され、定着ヒータ208、209が通電され定着ローラ39a、39bが低温状態から次第に加熱されていく段階での、サーモパイル203、204の出力電圧とサーミスタ205、206の出力を温度に変換したときの特性を表している。図中Aがサーモパイル出力電圧E、Bがサーミスタ検出温度Tsを示している。
【0061】
定着ヒータ208、209に通電されていないときのサーミスタ205、206の検出温度は機内温度約25℃を示し、サーモパイル出力Eは、機内温度に対応する定着ローラの表面温度に対する出力電圧、約0.5V程度を示している。この際、機内温度は、環境センサ41により検出され、システムコントローラ71によって温度として算出、認識される。
【0062】
定着ヒータ208、209に通電が開始されるとサーミスタ205、206およびサーモパイル203、204の出力は順次上昇し、定着温調温度(本装置では目標値180℃)で温度調整のため定着ヒータ208、209のON/OFF動作に入るため、それ以上の上昇を示さなくなる。そのポイントがサーミスタ温度約60℃、サーモパイル出力約4Vで、定着ヒータ通電後約110秒後の点である。
【0063】
サーミスタ検出温度Tsは、定着ユニット39の温度調整が開始されると、ほぼ同じくして、一定温度を示すようになる。
【0064】
このことは、サーミスタを含む温度センサが比較的小さな容量の定着ユニット内部に取り付けられていること、また、図示しない廃熱ファンなどの作用により温度飽和状態に達するためであり、これは、装置の置かれている環境温度に相関性のある特性を示す。この関係を表した図が図11である。図11は、装置の置かれている環境温度TFに対するサーミスタ検出温度Tsの関係をおおまかに示している。環境温度TFが高くなると、サーミスタの示す飽和温度も高くなる。この関係は装置の種類には依存するものの、同一種類の装置個々においてはほぼ同じ関係を有することは既に確認されている。
【0065】
また、温度調整開始温度(180℃)におけるサーミスタ検出温度Tsに対するサーモパイル出力電圧Eの値を測定し、その測定した値を、システムコントローラ71内にある記憶メモリ(図示なし)に記憶させデータとして蓄積する。
さらに、システムコントローラ71は、この蓄積させたデータを温度センサの汚れの有無、またはその程度をも検出する方法に使用する。
【0066】
例えば、蓄積されたデータが、サーミスタ温度約60℃、サーモパイル出力約4Vで、定着ヒータ208、209は180℃となっていたとする。
【0067】
ここで、もし、環境センサ41により検出されたサーモパイル出力が2Vだった場合は、蓄積されているデータ(ここでは4V=180℃)との比較をし、その差分を出す。差分がない場合は、そのまま次の画像形成プロセスに進む。
差分が発生していた場合は、サーモパイルに汚れか、故障かなど何らかの異常があると判断し、補正方法を行う。
【0068】
図12は、温度センサ表面が汚れた場合の図10と同様の、サーモパイル203、204の出力電圧とサーミスタ205、206の出力を温度に変換したときの特性を表している。
【0069】
図12において、サーミスタ温度が温度調整時飽和温度60℃時のサーモパイル出力Eは約3Vを示しており、3Vと検知したシステムコントローラ71は、「4Vに達していない=180℃ではない」と判断している。このことから温度センサ表面に汚れが付着していることを確認することができる。
【0070】
なお、同図中、温度調整温度と考えられるサーミスタが示す温度に達しても定着ヒータをONし続けている原因は、サーモパイル出力が汚れにより低下し、本出力電圧Eとサーミスタが示す温度により逆算した結果、その演算温度が定着ローラの温度が規定温度(180℃)に達していないためであり、すなわち、実際は高めの温度で温度調整を実施していることになる。
【0071】
つぎに、図13を用いて温度センサの汚れ検出およびその補正方法について説明する。なお、本シーケンスは、システムコントローラ71内のCPU71aによって統括的に制御、または演算されることにより実施される。
【0072】
本実施例の汚れ検出シーケンスは、装置内部の定着ユニット39に電源が給電され、定着ローラ39a、39bが加熱される前の状態、すなわち、定着ローラ39a、39bがほぼ環境温度に近い状態から、加熱されて温度調整温度に移行する間に実施される。
【0073】
汚れ検出シーケンスが開始されると(S20)、環境センサ41により本装置の置かれている環境温度TFを測定する(S21)。続いて各定着ヒータ208、209に電源を供給させ定着ローラ39a、39bの加熱を開始する(S22)。その後、各赤外線温度センサ39c、39d内部のサーミスタ205、206により表される温度を検出する(S23)。この際、上定着ローラ39aの温度センサ39c内部のサーミスタ205により検出された温度をTsu、同様に下定着ローラ39bの温度センサ39d内部のサーミスタ204により検出された温度をTsLとする。
【0074】
更に各温度センサ39c、39d内部のサーモパイル203、204によりおのおのの出力電圧を検出する(S24)。
【0075】
この際、上定着ローラ39aの温度センサ39cのサーモパイル出力電圧をEu、同様に下定着ローラ39bにおける温度センサ39dのサーモパイル出力電圧をELとする。
【0076】
ここで、各サーミスタ検出温度であるTsuまたはTsLと規定温度Toとを比較する。規定温度Toは、システムコントローラ71内にある記憶メモリ(図示なし)に記憶させてデータとして蓄積させた各サーミスタ検出温度である。
【0077】
図11で示した環境温度TFに対するサーミスタ検出温度であり、S21で測定した環境温度TFにより、図11から求められる温度となる。
例えば、環境温度が30℃の場合、サーミスタにより検出される飽和温度は65℃で、すなわち、To=65℃となる。ここで、サーミスタ検出温度TsuまたはTsLが規定温度To以下であった場合は、更に各温度センサ39c、39dの周辺温度が上がるまで、各サーミスタ205、206および各サーモパイル203、204の出力の観察を続ける。
【0078】
また、各定着ヒータ208、209をONしているにも拘わらず、各サーミスタ検出温度Tsu、TsLが上がらない場合、すなわち、各サーミスタの故障などが発生した場合には、S24で測定される各サーモパイル出力値を基に、すべての動作を緊急停止させることも実施している。
【0079】
つぎに、サーミスタ検出温度TsuまたはTsLが規定温度Toより大きくなった場合、すなわち、環境温度TFに対する各サーミスタ検出温度の特性を超えた場合、各定着ローラ39a、39bの表面温度Tu、TLを検出する(S26)。
【0080】
各定着ローラ39a、39bの表面温度Tu、TLは、各サーミスタ出力温度およびサーモパイル出力電圧より、前述の4乗特性(図9)から導かれる。
【0081】
各定着ローラ39a、39bの表面温度TuまたはTLと温度調整温度180℃にマージンを加味した160℃からTu、TLを差分し(S27)、その差分結果が0場合には、センサ表面に汚れが付着していなかったものと判断し、温度調整制御を開始し(S31)、汚れ検出シーケンスを終了させる(S32)。
【0082】
また、差分結果が0以外であった場合、センサ表面に汚れが付着しているものと判断し、その汚れ具合から補正値(補正係数)αoを算出する(S28)。
【0083】
ここで、補正値αoの算出に当たっては、図9に示される4乗特性の静特性の補正を実施する。センサに汚れのない状態では、図中実線に示される直線となることは先に説明したとおりである。また、センサに汚れが付着し、サーモパイル出力電圧が低下すると図中点線に示すごとき変化となるため、上記汚れた状態でのサーモパイル出力電圧Eu、EL、およびサーミスタ温度検出値Tsu、TsLから、点線が実線となるべき補正値αoを算出することになる。
【0084】
ところで、補正はあくまで補正であって、その補正値αoがあまり大きいと、補正により正確な温度を検出できなくなる可能性をもっている。
【0085】
そこで、補正値αoが規定値Xより大きいか否かを判定し(S29)、大きい場合には、各定着ヒータ208、209をOFFさせ(S33)、その後図示しない操作部にセンサの汚れ警告を表示することで、センサ表面の清掃またはセンサの交換を指示する(S34)。
【0086】
規定値Xについては、通常理論値の10%以内とすることが目安で、それ以上大きく補正すると、温度検出値に大きな誤差を生じる可能性がある。
つぎに、補正値αoが規定値Xより小さかった場合には、理論値を補正し(S30)、温度調整制御を実施し(S31)、汚れ検出シーケンスを終了させる(S32)。
【0087】
つぎに、図14を用いて、図13中の温度調整シーケンスについて説明する。
【0088】
温度調整シーケンスが実施されると(S40)、まず、各定着ローラ39a、39bの表面温度Tu、TLを測定する(S41)。続いて測定された温度データの突発的なノイズ成分を除去する目的で、データの逐次積分を実施し、逐次積分データTu’、TL’を得る(S42)。ここでの逐次積分は、各データの移動平均を求めることで実施され、その移動平均データ数はデータのサンプリング間隔によって決定され、本実施例ではサンプリング周期が10msであるため、その数を10と設定した。
【0089】
つぎに、ここで測定された表面温度データTu’またはTL’が各定着ヒータ208、209をONするための温度Ton以下であるか否かを判定し(S43)、
Ton以下であった場合には、各定着ヒータ208、209をONする(S44)、更に、Tu’またはTL’がTonを超えていた場合、Tu’またはTL’が定着ヒータ208、209をオフするための温度Toff以上であるか否かを判定し(S45)、Toffより小さかった場合にはS41に戻り各定着ローラ39a、39bの表面温度を測定する。
【0090】
表面温度データTu’またはTL’がToff以上であった場合には各定着ヒータ208、209をOFFさせ(S46)、以上の一連の動作を繰り返すことによって、設定温度がTonからToffの間で必要以上のON/OFFを繰り返すことのないようにヒステリシスを有するように温度調整を行っている。なお、ここでの温度調整目標温度が180℃であるため、Ton、Toffはそれぞれ179℃、181℃に設定している。
【0091】
上記のように、本実施例では、定着ローラの表面を温度を検出する手段として、赤外線を利用した非接触温度センサは、定着ローラの放射赤外線を温度に変換するサーモパイルと、その温度補償を行なうためにセンサ自身の温度を測定するサーミスタとを備えており、センサ表面の汚れを検出するために、サーモパイルの出力特性の変化を測定し、定着ローラの温度を算出し、あらかじめ記憶されたデータとの差分を算出する。また、汚れの程度に応じて、検出温度特性の補正を行なうことにより、非接触温度センサを用いた場合において、その汚れに関りなく定着ローラの温度を正確に検出することができる。
【実施例2】
【0092】
第1実施例では、赤外線温度センサ表面の汚れ検出を、定着ローラの温度がほぼ環境温度のときから、定着ユニットに電力を供給し徐々に昇温する過程で実施していた。
【0093】
第2実施例としては、定着ユニットへの電力供給時から規定時間までの経過時間と、検出された定着ローラ表面温度の関係から、初期状態の傾きとそのときの環境温度を求め、環境温度に対する傾きを補正した後、その後の検出結果の傾き具合から、赤外線温度センサ表面の汚れ具合を検出する構成とした。
【0094】
また、第1実施例ではデジタル複写機における定着ローラの温度調整に用いている赤外線温度センサの表面汚れ検出を行っているが、このことは通常の定着ローラを用いたアナログ式複写機を含む電子写真方式のすべてのプリンタや複写機などにも適用可能である。
【0095】
更に、ヒートローラ以外を使用して、転写紙上のトナー画像を熱定着させる電子写真方式のすべてのプリンタや複写機などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】画像形成装置の一実施例を示す概略構成図。
【図2】画像形成装置におけるブロック図。
【図3】画像形成装置におけるブロック図。
【図4】PSD素子による変位量測定およびその信号処理についての説明図。
【図5】定着ローラ39aの変位量を測定した結果を示す図。
【図6】巻き付き検出アルゴリズムを用いて説明するための図。
【図7】定着ローラの温度制御についての説明図。
【図8】温度センサの詳細な構造を説明するための図。
【図9】本装置における(Tx4−Ta4)に対するEの関係を求めるときの基本となる静特性を示す図。
【図10】サーモパイルの出力電圧とサーミスタの出力を温度に変換したときの特性を表す図。
【図11】装置の置かれている環境温度に相関性のある特性を示す図。
【図12】サーモパイルの出力電圧とサーミスタの出力を温度に変換したときの特性を表す図。
【図13】温度センサの汚れ検出およびその補正方法について説明する図。
【図14】図13中の温度調整シーケンスについて説明する図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材上に転写されたトナー像を加熱または加熱加圧することにより定着する定着手段を備えた画像形成装置において、
前記定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、
前記表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、前記定着手段に具備された加熱部材を駆動し、前記定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、前記表面温度検出手段は、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と前記赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、前記表面温度検出手段の測定表面の汚れの程度を、前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力より検出される前記定着手段のローラへの印加電圧と、あらかじめ記憶された前記定着手段のローラへの印加電圧との差分から検出し、検出された汚れの程度に応じて前記表面温度検出手段の出力特性の補正を行なうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力特性の経時変化を測定して、前記表面温度検出手段の汚れの程度として検出することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記表面温度検出手段の汚れの程度が、規定値レベルを超えた場合、前記画像形成装置の画像形成プロセスを停止させることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項1】
転写材上に転写されたトナー像を加熱または加熱加圧することにより定着する定着手段を備えた画像形成装置において、
前記定着手段の表面温度を非接触で検出する表面温度検出手段と、
前記表面温度検出手段によって検出された表面温度信号に基づいて、前記定着手段に具備された加熱部材を駆動し、前記定着手段の温度が規定温度になるように温度調整する温度調整手段とを有し、前記表面温度検出手段は、赤外線の量を検出する赤外線検出部材と前記赤外線検出部材の温度補償を行なうためのサーミスタとを有し、前記表面温度検出手段の測定表面の汚れの程度を、前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力より検出される前記定着手段のローラへの印加電圧と、あらかじめ記憶された前記定着手段のローラへの印加電圧との差分から検出し、検出された汚れの程度に応じて前記表面温度検出手段の出力特性の補正を行なうことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記サーミスタおよび前記赤外線検出部材の出力特性の経時変化を測定して、前記表面温度検出手段の汚れの程度として検出することを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
前記表面温度検出手段の汚れの程度が、規定値レベルを超えた場合、前記画像形成装置の画像形成プロセスを停止させることを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−201257(P2006−201257A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10363(P2005−10363)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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