説明

画像形成装置

【課題】 トレイに収容された被収容物を用途に応じて容易に分別回収することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 この複写機1(画像形成装置)は、磁性材料からなるクリップやステープルの針などの被収容物を収容するためのクリップトレイ60を複写機1の本体に対して着脱可能に備え、クリップトレイ60は、凹状の再利用品収容部62および廃棄品収容部63と、再利用品収容部62に磁力が作用するように配置されたマグネット板70とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップやステープルの針などの被収容物を収容可能なトレイを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置には、コピー原稿を綴じていた金属製のクリップやステープルの針など(以下、被収容物という)を一時的に収容するための凹状のクリップトレイが操作表示部の近傍などに一体的に形成されている。このような画像形成装置では、クリップトレイ上の被収容物が回収時などに機器内部に落下することにより機器の故障を招く場合があるという不都合があった。
【0003】
そこで、従来、上記した不都合を解消するために、クリップトレイの底部に磁石を設けて被収容物をクリップトレイ上に固定するとともに、クリップトレイを装置本体に対して着脱可能に構成することによりクリップトレイ上の被収容物を機器内部に落下させることなく回収できるようにした画像形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−169349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の画像形成装置では、再利用可能な被収容物(たとえば、クリップなど)と、廃棄処理する被収容物(たとえば、使用済みのステープルの針など)とを混在させた状態でクリップトレイに収容しているため、クリップトレイに収容された被収容物をリサイクルや廃棄処理などの用途に応じて分別回収し難いという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、トレイに収容された被収容物を用途に応じて容易に分別回収することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の請求項1に記載の画像形成装置は、少なくとも磁性材料からなる被収容物を収容するためのトレイを画像形成装置本体に対して着脱可能に備えた画像形成装置であって、トレイは、少なくとも凹状の第1収容部および第2収容部と、第1収容部に磁力が作用するように配置された磁石とを含んでいる。
【0007】
この請求項1に記載の画像形成装置では、上記のように、被収容物を収容するためのトレイに第1収容部および第2収容部を設けることによって、被収容物を用途に応じて第1収容部および第2収容部に分別しながら収容することができる。また、トレイの第1収容部に磁力が作用するように配置された磁石を設けることによって、トレイの第1収容部に収容した被収容物のみを磁石に吸着させることができるので、トレイの開口部が下方を向くようにトレイを引っ繰り返した際に、トレイの第1収容部に収容した被収容物を第1収容部内に残留させながら、第2収容部に収容した被収容物を落下させて回収することができる。
【0008】
上記請求項1に記載の画像形成装置において、トレイの装着時に、トレイの磁石に対向して画像形成装置本体に配置される磁性部材をさらに備えるのが好ましい(請求項2)。このように構成すれば、トレイの磁石と画像形成装置本体の磁性部材とを容易に吸着させたり離脱させたりすることができる。また、トレイの装着時には磁性部材からも磁力が発生するので、磁性部材をトレイの第2収容部の下部にまで延びるような大きさに構成した場合には、第2収容部に収容された被収容物を磁性部材に吸着させることができる。
【0009】
上記請求項1または2に記載の画像形成装置において、磁石は、第1収容部の下部に当接する作用位置と、第1収容部の下部から離間する退避位置とを移動可能とすることが好ましい(請求項3)。このように構成すれば、磁石を作用位置に移動させることにより第1収容部に容易に磁石の磁力を作用させることができるとともに、磁石を退避位置に移動させることにより第1収容部に作用させる磁石の磁力を軽減することができるので、磁石が作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第2収容部の被収容物を落下させて回収することができる一方、磁石が退避位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第1収容部の被収容物を落下させて回収することができる。
【0010】
上記請求項1または2に記載の画像形成装置において、磁石は、第1収容部の下部に当接する第1作用位置と、第1収容部の下部から離間して、第2収容部の下部に当接する第2作用位置とを移動可能とすることが好ましい(請求項4)。このように構成すれば、磁石を第1作用位置に移動させることにより第1収容部に容易に磁石の磁力を作用させることができるとともに、磁石を第2作用位置に移動させることにより第2収容部に容易に磁石の磁力を作用させることができるので、磁石が第1作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第2収容部の被収容物のみを落下させて回収することができる一方、磁石が第2作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第1収容部の被収容物のみを落下させて回収することができる。
【0011】
上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、好ましくは、トレイは、第1収容部および第2収容部の内底面に設けられ、第1収容部および第2収容部に収容される被収容物を模式的に表示した識別子を含む(請求項5)。このように構成すれば、使用者が識別子を視認することにより被収容物を第1収容部および第2収容部のいずれに収容するべきかを容易に判断することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記請求項1に記載の画像形成装置によれば、被収容物を用途に応じて第1収容部および第2収容部に分別しながら収容することができ、また、トレイの開口部が下方を向くようにトレイを引っ繰り返した際に、トレイの第1収容部に収容した被収容物を第1収容部内に残留させながら、第2収容部に収容した被収容物を落下させて回収することができるので、トレイに収容される被収容物を用途に応じて容易に分別回収することができる。
【0013】
上記請求項2に記載の画像形成装置によれば、トレイの磁石と画像形成装置本体の磁性部材とを容易に吸着させたり離脱させたりすることができるので、トレイを画像形成装置本体に確実に装着することができるとともに、容易に画像形成装置本体から取り外すことができる。また、磁性部材をトレイの第2収容部の下部にまで延びるような大きさに構成することにより、第2収容部に収容された被収容物を磁性部材に吸着させることができるので、トレイの装着時には第1収容部の被収容物のみならず、第2収容部の被収容物も確実にトレイに固定させることができる。
【0014】
上記請求項3に記載の画像形成装置によれば、磁石が作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第2収容部の被収容物を落下させて回収することができる一方、磁石が退避位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第1収容部の被収容物を落下させて回収することができるので、磁石が作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した後に磁石を退避位置に移動して再度トレイを引っ繰り返すことにより、容易に、第1収容部および第2収容部の被収容物を分別回収することができる。
【0015】
上記請求項4に記載の画像形成装置によれば、磁石が第1作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第2収容部の被収容物のみを落下させて回収することができる一方、磁石が第2作用位置にある状態でトレイを引っ繰り返した場合には第1収容部の被収容物のみを落下させて回収することができるので、容易に、第1収容部および第2収容部の被収容物を分別回収することができる。
【0016】
上記請求項5に記載の画像形成装置によれば、被収容物を第1収容部および第2収容部のいずれに収容するべきかを容易に判断することができるので、用途の異なる被収容物の混在を抑制し、被収容物を確実に分別しながら収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による複写機の全体構成を示した斜視図であり、図2および図3は、図1に示した複写機のクリップトレイ周辺の構成を示した拡大斜視図である。また、図4〜図6は、クリップトレイの構成を示した斜視図である。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による複写機1の全体構成について説明する。なお、本実施形態では、本発明の画像形成装置の一例として、複写機1を用いた場合について説明する。
【0019】
本発明の一実施形態による複写機1は、図1に示すように、原稿給送部(ADF:原稿自動送り装置)10aにより搬送された原稿の画像を読み取って画像データを生成するための原稿読取部10と、その画像データに基づいて用紙(記録紙)に印刷を行うための画像形成部20と、画像形成部20に対して用紙の給紙を行うための上下一対の給紙部30と、印刷後の用紙が排出される胴内排出部40と、複写機1の上部前面側に設けられ、複写機1を操作するための操作表示部50とを備えている。
【0020】
また、複写機1は、図1および図2に示すように、操作表示部50の左側方に配置されるクリップトレイ60を備えている。すなわち、複写機1の本体には、図3に示すように、クリップトレイ60を収納するための収納用凹部1aが形成されており、この複写機1の収納用凹部1aに対してクリップトレイ60が着脱可能なように構成されている。なお、クリップトレイ60は、本発明の「トレイ」の一例である。このクリップトレイ60は、原稿を綴じていた金属製のクリップやステープルの針などの被収容物を一時的に収容するために設けられている。また、クリップトレイ60は、図4に示すように、後方に向かうにしたがって深くなるような形状を有しており、複写機1の本体への装着時(図1参照)には、底面部分が後方下側に向かって傾斜するように構成されている。なお、クリップトレイ60の前後左右方向は、便宜上、複写機1に装着された状態における複写機1の前後左右方向に等しいものとする。
【0021】
ここで、本実施形態では、クリップトレイ60は、図4に示すように、隔壁61により区分けされた前方側の凹状の再利用品収容部62と後方側の凹状の廃棄品収容部63とを含んでいる。なお、再利用品収容部62および廃棄品収容部63は、それぞれ、本発明の「第1収容部」および「第2収容部」の一例である。再利用品収容部62は、再利用(リサイクル)可能な被収容物(たとえば、クリップなど)を収容するために設けられており、内底面に上記再利用可能な被収容物を模式的に表示した識別子64を有している。また、廃棄品収容部63は、廃棄処理する被収容物(たとえば、使用済みのステープルの針など)を収容するために設けられており、内底面に上記廃棄処理する被収容物を模式的に表示した識別子65を有している。これらの識別子64および65は、成型加工処理などにより再利用品収容部62および廃棄品収容部63の内底面に一体的に形成されていてもよいし、被収容物の図形を印刷したシート状のシール部材などを貼り付けることにより形成されていてもよい。
【0022】
また、本実施形態では、クリップトレイ60は、図4〜図6に示すように、クリップトレイ60の下部に配置されたマグネット板70を含んでいる。このマグネット板70は、図5および図6に示すように、廃棄品収容部63の外底面前方側に形成された左右一対の支持部66により回転可能に支持される保持部材71に保持されており、再利用品収容部62の外底面に当接する作用位置(図5参照)と、再利用品収容部62の外底面から離間する退避位置(図6参照)とを移動可能なように構成されている。なお、マグネット板70は、本発明の「磁石」の一例であり、上記作用位置とは、「第1収容部」としての再利用品収容部62に、当該マグネット板70の磁力が十分に作用する位置のことを言う。また、再利用品収容部62の外底面前方側には、作用位置に位置する保持部材71に撓み変形して係合可能な係合部67が設けられている。この係合部67は、先端をU字状に折り返したフック形状を有しており、保持部材71の端部に係合して保持部材71を作用位置において確実に固定するために設けられている。
【0023】
また、複写機1の収納用凹部1aの底面には、図3に示すように、鉄などの磁性材料からなる磁性部材80が取り付けられている。この磁性部材80は、クリップトレイ60の作用位置に位置するマグネット板70に対向するように配置されており、クリップトレイ60を複写機1の本体に確実に装着し、かつ、複写機1の本体から容易に取り外すことが可能なように構成されている。なお、本実施形態において、磁性部材80をクリップトレイ60の廃棄品収容部63の下部にまで延びるような大きさに構成した場合には、クリップトレイ60の装着時に磁性部材80からも磁力を発生させることができるので、廃棄品収容部63に収容された被収容物を磁性部材80に吸着させて廃棄品収容部63の内底面に固定させることが可能である。以下、本実施形態では、クリップトレイ60の廃棄品収容部63の下部にまで延びるような大きさの磁性部材80を収納用凹部1aに設けたものとして説明する。
【0024】
次に、上記した複写機1において、原稿を綴じていたクリップやステープルの針などを用途別に分別回収する手順について説明する。まず、使用者は、コピー原稿などを綴じていたクリップやステープルの針などの被収容物を用途に応じて再利用品収容部62および廃棄品収容部63に分別しながら収容する。すなわち、本実施形態では、再利用(リサイクル)可能なクリップを再利用品収容部62に収容する一方、廃棄処理する使用済みのステープルの針を廃棄品収容部63に収容する。このとき、使用者は、再利用品収容部62および廃棄品収容部63の内底面に各々形成された識別子64および65(図4参照)を視認することにより、クリップおよびステープルの針を再利用品収容部62および廃棄品収容部63のいずれに収容するべきかを容易に、かつ、速やかに判断することが可能である。また、このとき、再利用品収容部62に収容された被収容物(クリップ)は、再利用品収容部62の外底面に当接したマグネット板70からの磁力により再利用品収容部62の内底面に固定されており、廃棄品収容部63に収容された被収容物(使用済みステープル針)は、マグネット板70の磁力に由来する磁性部材80からの磁力により廃棄品収容部63の内底面に固定されている。
【0025】
次に、クリップトレイ60に収容されている被収容物を回収する際には、まず、クリップトレイ60を複写機1の収納用凹部1aから取り外す。なお、クリップトレイ60は、マグネット板70と磁性部材80との吸着力により収納用凹部1aに装着されているため、容易にクリップトレイ60を収納用凹部1aから取り外すことが可能である。これにより、クリップトレイ60の廃棄品収容部63内の被収容物(使用済みステープル針)は、磁性部材80の磁力から開放されて廃棄品収容部63に対する固定状態が解除される。一方、クリップトレイ60の再利用品収容部62内の被収容物(クリップ)には、再利用品収容部62の外底面に当接したマグネット板70の磁力が作用しているので、クリップトレイ60を収納用凹部1aから取り外した際にも、再利用品収容部62内の被収容物は、再利用品収容部62の内底面に固定されたままである。
【0026】
そして、上記状態からクリップトレイ60の開口部が下方を向くようにクリップトレイ60を引っ繰り返すことにより、図5に示すように、クリップトレイ60の再利用品収容部62に収容された被収容物(クリップ)を再利用品収容部62内に残留させながら、廃棄品収容部63に収容された被収容物(使用済みステープル針)を落下させて回収(廃棄)する。
【0027】
そして、クリップトレイ60の開口部が上方を向くようにクリップトレイ60を引っ繰り返した後、係合部67の先端部分を前方側に撓み変形させて係合部67と保持部材71との係合状態を解除することにより作用位置に位置するマグネット板70を退避位置に向かって回動移動させる(図5参照)。これにより、クリップトレイ60の再利用品収容部62内の被収容物(クリップ)は、マグネット板70の磁力から開放されて再利用品収容部62に対する固定状態が解除される。
【0028】
そして、クリップトレイ60の開口部が下方を向くようにクリップトレイ60を再度引っ繰り返すことにより、図6に示すように、クリップトレイ60の再利用品収容部62に収容された被収容物(クリップ)を落下させて回収する。これにより、原稿を綴じていたクリップやステープルの針などの用途に応じた分別回収作業が終了する。
【0029】
本実施形態では、上記のように、クリップやステープルの針などの被収容物を収容するためのクリップトレイ60に再利用品収容部62および廃棄品収容部63を設けることによって、被収容物をリサイクルや廃棄処理などの用途に応じて再利用品収容部62および廃棄品収容部63に分別しながら収容することができる。また、クリップトレイ60の再利用品収容部62に磁力が作用するように配置されたマグネット板70を設けることによって、クリップトレイ60の再利用品収容部62に収容した被収容物(クリップ)のみを磁石に吸着させることができるので、クリップトレイ60の開口部が下方を向くようにクリップトレイ60を引っ繰り返した際に、クリップトレイ60の再利用品収容部62に収容した被収容物(クリップ)を再利用品収容部62内に残留させながら、廃棄品収容部63に収容した被収容物(使用済みステープル針)を落下させて回収することができる。これらのことから、クリップトレイ60に収容される被収容物をリサイクルや廃棄処理などの用途に応じて容易に分別回収することができる。
【0030】
また、本実施形態では、上記のように、クリップトレイ60の複写機1への装着時にクリップトレイ60のマグネット板70に対向するように配置される磁性部材80を複写機1の収納用凹部1aの底面に設けることによって、クリップトレイ60のマグネット板70と複写機1の磁性部材80とを容易に吸着させたり離脱させたりすることができるので、クリップトレイ60を複写機1の本体に確実に装着することができるとともに、容易に複写機1の本体から取り外すことができる。また、クリップトレイ60の装着時には磁性部材80からも磁力が発生するので、磁性部材80をクリップトレイ60の廃棄品収容部63の下部にまで延びるような大きさに構成することによって、廃棄品収容部63に収容された被収容物を磁性部材80に吸着させることができる。これにより、クリップトレイ60の装着時には再利用品収容部62の被収容物のみならず、廃棄品収容部63の被収容物も確実にクリップトレイ60に固定させることができる。
【0031】
また、本実施形態では、上記のように、マグネット板70が、再利用品収容部62の下部に当接する作用位置と、再利用品収容部62の下部から離間する退避位置とを移動可能なように構成することによって、マグネット板70を作用位置に移動させることにより再利用品収容部62に容易にマグネット板70の磁力を作用させることができるとともに、マグネット板70を退避位置に移動させることにより再利用品収容部62に作用させるマグネット板70の磁力を軽減することができるので、マグネット板70が作用位置にある状態でクリップトレイ60を引っ繰り返した場合には廃棄品収容部63の被収容物(使用済みステープル針)を落下させて回収(廃棄)することができる一方、マグネット板70が退避位置にある状態でクリップトレイ60を引っ繰り返した場合には再利用品収容部62の被収容物(クリップ)を落下させて回収することができる。したがって、マグネット板70が作用位置にある状態でクリップトレイ60を引っ繰り返した後にマグネット板70を退避位置に移動して再度クリップトレイ60を引っ繰り返すことにより、容易に、再利用品収容部62および廃棄品収容部63の被収容物を分別回収することができる。
【0032】
また、本実施形態では、上記のように、クリップトレイ60の再利用品収容部62および廃棄品収容部63の内底面に、再利用品収容部62および廃棄品収容部63に収容される被収容物を模式的に表示した識別子64および65を各々形成することによって、使用者が識別子64および65を視認することによりクリップやステープルの針などの被収容物を再利用品収容部62および廃棄品収容部63のいずれに収容するべきかを容易に判断することができるので、用途の異なる被収容物(クリップおよびステープルの針)の混在を抑制し、被収容物を確実に分別しながら収容することができる。
【0033】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0034】
たとえば、上記実施形態では、本発明を画像形成装置の一例としての複写機に適用する例について説明したが、本発明はこれに限らず、複写機以外のたとえばファクシミリやスキャナなどの画像形成装置にも本発明を適用可能である。
【0035】
また、上記実施形態では、クリップトレイに再利用品収容部および廃棄品収容部の2つの収容部を設ける例について示したが、本発明はこれに限らず、クリップトレイに3つ以上の収容部を設けるようにしてもよい。この場合、リサイクルや廃棄処理などの用途に加えて、被収容物の大きさなどに応じて収容部を設けるのが好ましく、1つの収容部を除く他の収容部の下部に各々個別の磁石を配置するのが好ましい。
【0036】
また、上記実施形態では、複写機の収納用凹部の底面に磁性部材を設けることにより複写機本体に対してクリップトレイを着脱可能に構成する例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、クリップトレイと複写機の収納用凹部とに互いに係合しあう係合部を設けることにより複写機本体に対してクリップトレイを着脱可能に構成してもよい。なお、複写機の収納用凹部の底面に磁性部材を設けた場合には、クリップトレイのマグネット板との吸着力を利用した簡単な構造で、複写機本体に対してクリップトレイを容易に着脱させることができるのでより好ましい。
【0037】
また、上記実施形態では、マグネット板70を、クリップトレイ60の再利用品収容部62の外底面に対して回動させることにより再利用品収容部62の外底面に当接する作用位置と再利用品収容部62の外底面から離間する退避位置との間を移動可能なように構成する例について示したが、本発明はこれに限らず、マグネット板70を、再利用品収容部62の外底面に沿ってスライドさせることにより作用位置と退避位置との間を移動可能なように構成してもよい。すなわち、図7および図8に示すように、本発明の変形例によるクリップトレイ160の下部には、再利用品収容部62の下部に位置して再利用品収容部62の外底面に当接する作用位置(第1作用位置:図7参照)と、廃棄品収容部63の下部に位置して再利用品収容部62の外底面から離間する退避位置(第2作用位置:図8参照)とをスライド移動可能なマグネット板70が保持部材171に保持された状態で配置されている。このマグネット板70は、図7に示すように、再利用品収容部62の外底面前方側に形成された当接部164と、再利用品収容部62の後方の外側面に形成され、再利用品収容部62の下部に対して突出入可能なように撓み変形する係合部165とにより再利用品収容部62の下部に固定されるように構成されている。また、再利用品収容部62の外底面の左右方向には、それぞれ、保持部材171をクリップトレイ60の外底面に沿ってスライド移動可能なように支持するための前後一対の外れ防止部166が形成されている。そして、マグネット板70を作用位置から退避位置にスライド移動させる際には、係合部165を再利用品収容部62の下部から突出させないように撓み変形させる。これにより、マグネット板70を保持する保持部材171が係合部165を乗り越え、図8に示すように、マグネット板70が再利用品収容部62の下部の作用位置から廃棄品収容部63の下部の退避位置に向かってスライド移動する。
【0038】
上記変形例では、マグネット板70が、再利用品収容部62の下部に当接する作用位置(第1作用位置)と、再利用品収容部62の下部から離間して、廃棄品収容部63の下部に当接する退避位置(第2作用位置)とを移動可能なように構成することによって、マグネット板70を作用位置に移動させることにより再利用品収容部62に容易にマグネット板70の磁力を作用させることができるとともに、マグネット板70を退避位置に移動させることにより廃棄品収容部63に容易にマグネット板70の磁力を作用させることができるので、マグネット板70が作用位置にある状態でクリップトレイ60を引っ繰り返した場合には廃棄品収容部63の被収容物(使用済みステープル針)のみを落下させて回収(廃棄)することができる一方、マグネット板70が退避位置にある状態でクリップトレイ60を引っ繰り返した場合には再利用品収容部62の被収容物(クリップ)のみを落下させて回収することができる。これにより、容易に、再利用品収容部62および廃棄品収容部63の被収容物を分別回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態による複写機の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による複写機のクリップトレイ周辺を示した拡大斜視図である。
【図3】図2に示した一実施形態による複写機からクリップトレイを取り外した状態を示した拡大斜視図である。
【図4】図1に示した一実施形態による複写機のクリップトレイを示した斜視図である。
【図5】図4に示したクリップトレイにおいてマグネット板が作用位置にある状態を示した斜視図である。
【図6】図5に示したクリップトレイにおいてマグネット板が退避位置にある状態を示した斜視図である。
【図7】本発明の変形例によるクリップトレイにおいてマグネット板が作用位置にある状態を示した斜視図である。
【図8】図7に示したクリップトレイにおいてマグネット板が退避位置にある状態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 複写機(画像形成装置)
60、160 クリップトレイ(トレイ)
62 再利用品収容部(第1収容部)
63 廃棄品収容部(第2収容部)
64、65 識別子
70 マグネット板(磁石)
80 磁性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも磁性材料からなる被収容物を収容するためのトレイを画像形成装置本体に対して着脱可能に備えた画像形成装置であって、
前記トレイは、
少なくとも凹状の第1収容部および第2収容部と、
前記第1収容部に磁力が作用するように配置された磁石とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記トレイの装着時に、前記トレイの磁石に対向して前記画像形成装置本体に配置される磁性部材をさらに備えた、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記磁石は、前記第1収容部の下部に当接する作用位置と、前記第1収容部の下部から離間する退避位置とを移動可能である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記磁石は、前記第1収容部の下部に当接する第1作用位置と、前記第1収容部の下部から離間して、前記第2収容部の下部に当接する第2作用位置とを移動可能である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トレイは、前記第1収容部および前記第2収容部の内底面に設けられ、前記第1収容部および前記第2収容部に収容される前記被収容物を模式的に表示した識別子を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−343392(P2006−343392A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166819(P2005−166819)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】