説明

画像形成装置

【課題】 使用者がストレス無く、所望の機能を実行でき、且つ、使用効率を高くできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 使用者は、複数の出力形態、コピー、FAX、プリンタ等の中から、いずれかの出力形態、たとえば、プリンタ機能を選択する(ステップS11)。次いで、その占有時間を設定する(S12)。次に、別の占有したい出力形態、時間帯等があれば、その設定を行なうために、S11ヘ戻る(S13でYES)。別の占有したい時間帯等が無ければ(S13でNO)、優先時間設定モードを終了する(S14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、複数の機能を実行可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機のような、複数の機能を実行可能な画像形成装置が企業等で使用されている。このような画像形成装置においては、出力用途として、FAX受信の出力、コピーによる出力、ホストコンピュータからのプリンタとしての出力等の印字出力形態がある。このように多くの出力形態はあるが、出力できる印字部は一つであるので、これらの出力要求が重なった場合は、同時には出力できないため、出力要求のあるJOBを予約したり、優先順位を決めて出力している。
【0003】
そのような画像形成装置がたとえば、特開平06−350772号公報(特許文献1)に記載されている。
【0004】
同公報によれば、2以上のアプリケーションから画像形成装置の使用要求が発生したときは、予め設定された優先順位に基づいて使用順序を決定するシステム制御手段を有している。
【0005】
また、特開平08−88752号公報(特許文献2)によれば、使用者ごとの優先度情報を登録し、優先度情報を比較して、使用者の画像出力順序を決定している。
【特許文献1】特開平06−350772号公報(段落番号0008等)
【特許文献2】特開平08−088752号公報(段落番号0006等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の、複数の機能を実行可能な画像形成装置において、出力要求が重なった場合の処理は、上記のように、機能毎の優先順位等が設定されていた。しかしながら、画像形成装置が、プリンタとして、基幹系のシステムに導入されている場合等においては、リアルタイムにホストから支持されたジョブを、他の割り込みをさせずに最優先で出力したい場合がある。
【0007】
この発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、使用者がストレス無く、所望の機能を実行でき、且つ、使用効率を高くできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る、複数の出力形態を有し、出力要求に応じて、出力を行なう画像形成装置は、出力として印字を行なう印字部と、複数の出力形態の中から優先される出力形態と、印字部を用いた占有出力時間帯を設定する設定手段と、設定手段の設定に応じて印字部を制御する制御手段とを含む。
【0009】
好ましくは、記憶手段をさらに有し、設定手段で設定された占有出力時間帯に、設定された優先出力形態以外の出力要求があったときは、その出力要求を記憶手段に格納する。
【0010】
さらに好ましくは、設定手段で設定された占有出力時間帯であって、設定された優先出力形態以外の出力が実行中であるときに、設定された優先出力形態の出力要求があったときは、実行中の出力は、記憶手段に格納される。
【0011】
さらに好ましくは、記憶手段に格納された出力要求は、設定された優先出力の終了後に出力される。
【0012】
なお、複数の出力形態は、コピー、FAX、プリンタのいずれかである。
【発明の効果】
【0013】
この発明においては、複数の出力形態の中から優先される出力形態と、印字部を用いた占有出力時間帯を使用者が設定し、設定に応じて印字部が制御されるため、設定された占有出力時間帯においては、設定された出力形態が優先して印字される。
【0014】
優先される、出力形態と時間帯とを設定できるようにしたため、使用者がストレス無く、所望の機能を実行でき、且つ、使用効率を高くできる画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はこの発明の一実施の形態を、複数の機能を有する、デジタル複合機のような、画像形成装置に適応した場合の、デジタル複合機10の構成を示すブロック図である。図1を参照して、デジタル複合機10は、制御手段として機能するとともに、デジタル複合機10全体を制御する制御部11と、DRAM12と、FAX通信部13と、ネットワーク40と接続するためのネットワークIF(インタフェース)部14と、印字部15と、データを保存するとともに、後に説明する、優先時間設定モードで設定される機能および占有時間を格納するHD(ハードディスク)16と、画像読み取り部17と、操作部18とを含む。なお、制御部11には、図示の無い、計時手段が設けられており、現在時刻の検出が可能である。
【0016】
画像読み取り部17は光電変換素子の一例のCCD(図示せず)を備えており、原稿の画像データを読み取ることができる。
【0017】
図2は操作部18の詳細を示す図である。図2を参照して、操作部18は、入力部19と表示部20とを含み、入力部19は、FAXの送信スタートやコピースタートを指示するコピーキー191と、実行中の処理を全面的に解除するための中止キー192と、割り込みの実行・解除を指示するための割り込みキー193と、FAX送り先の番号やコピー枚数などを指示するテンキー194と、設定手段として機能するとともに、各種情報を設定するための設定キー195などを含む。
【0018】
表示部20は液晶パネルにより構成されており、デジタル複合機10からユーザへの情報を表示できるようになっている。この液晶パネルはタッチパネルであり、「FAX」、「プリンタ」および「コピー」の各機能(出力形態)を選択する入力部19の一部としても機能する。
【0019】
制御部11は、画像読み取り部17から与えられるデータ、FAX通信部13またはネットワークIF部14から与えられるデータをDRAM12に圧縮符号化して書き込み、DRAM12に書き込んだデータを読み出し、伸張復号化して出力する。また、制御部11は、FAX通信部13による通信のための制御と、ネットワークIF部14による通信のための制御と、印字部15による印字のための制御と、画像読み取り部17の画像読み取りのための制御と、操作部18の入力部19からのデータを入力するための制御と、操作部18の表示部20にデータを表示するための制御などを行う。
【0020】
ネットワーク40には、デジタル複合機10にアクセス可能な複数のパソコン等の端末が接続されていてもよい。
【0021】
なお、図1において太線の矢印は画像データの流れを示しており、細線の矢印は制御信号または制御データの流れを示している。
【0022】
この実施の形態においては、デジタル複合機10は、上記した、FAX機能、コピー機能およびプリンタ機能の中から、優先機能を定め、その機能が優先される占有時間を設定する、優先時間設定モードの設定が可能である。この設定は、操作部18の表示部20を用いて設定され、その内容が、表示部20に表示されてもよい。
【0023】
次に、この優先時間設定モードについて説明する。図3は、デジタル複合機10において制御部11が行なう上記した制御内容を示すフローチャートである。図3を参照して、使用者は、まず、デジタル複合機10の複数の機能の中から、コピー、FAX、プリンタ等のいずれかの機能を選択する(ステップS11、以下、ステップを省略する)。次いで、その機能が優先される占有時間を設定する(S12)。
【0024】
具体的には、表示部20に「優先時間モードを設定しますか」という問い合せと、それに対する回答ボタンを表示する。これに対して、使用者が、「はい」を選択すると、次に、優先する機能の問い合せ画面が表示される。この問い合せにおいては、選択肢である、「コピー」、「FAX」、「プリンタ」を表示してもよい。
【0025】
その結果、たとえば、優先機能がプリンタ機能で、2004年7月22日の午前10:00から15:00のように設定される。このように設定することによって、会社の給料支払日(たとえば、毎月25日)の数日前に、予め必要な帳票類を印刷できる。その結果、デジタル複合機10でありながら、プリンタ出力の基幹システムで、大量に印刷ができ、使用者が有効にデジタル複合機10を使用できる。
【0026】
なお、この占有ジョブの設定は、FAX等であっても同様である。
【0027】
次に、別の占有したい、出力機能、または時間帯があれば、その設定を行なうために、S11ヘ戻る(S13でYES)。別の占有したい時間帯等が無ければ(S13でNO)、優先時間設定モードを終了する(S14)。
【0028】
次に、印刷ジョブの出力動作について説明する。予め、図3で説明した優先時間が設定されているものとする。この状態で、デジタル複合機10は、図示のない、計時部から現在時刻を判別する。そして、その時間帯における印刷ジョブを検出する。検出された印刷ジョブは、デジタル複合機10の表示部20に表示されてもよい。
【0029】
なお、この印刷ジョブの設定は上記したように、デジタル複合機10本体で設定するだけでなく、ネットワークを介して接続された外部のパソコンから設定してもよい。
【0030】
図4は、印刷ジョブを検出したときの制御部11が行なう処理内容を示すフローチャートである。図4を参照して、印刷ジョブを検出すると、まず、現在時刻が、予め設定された占有時間帯であるか否かが判断される(S21)。占有時間帯であると判断されると(S21でYES)、そのジョブが占有ジョブであるか否かを判断する(S22)。ここで占有ジョブとは、印刷ジョブが、占有時間の対象となっているジョブをいい、非占有ジョブとは、そうでないジョブをいう。
【0031】
そのジョブが、占有ジョブであれば(S22でYES)、現在、非占有ジョブの出力中であるか否かを判断する(S23)。非占有ジョブの出力中であれば(S23でYES)、現在出力中の非占有ジョブをDRAM12またはハードディスク16に退避する(S25)。非占有ジョブの出力中でなければ(S23でNO)、検出したジョブの出力を開始する(S26)。
【0032】
S21で、占有時間帯でなければ(S21でNO)、印刷ジョブの出力を開始する(S26)。S22で占有ジョブでなければ(S22NO)、ジョブをDRAM12またはハードディスク16に蓄積する(S24)。
【0033】
S24やS25で、やDRAM12に蓄積または退避されたジョブは、占有時間帯が終了した時点でジョブの出力を再開する。
【0034】
印字部が非占有ジョブの出力中であれば、その出力中のジョブがDRAM12等に退避されるため、占有ジョブが確実に優先されるとともに、占有時間帯終了後に退避されたジョブが再開されるため、非占有ジョブもその受付けは行なわれて、所定時間終了後、速やかに処理される。
【0035】
以上のように、この実施の形態によれば、割り込みを優先する、機能と時間帯とを設定できるようにしたため、使用者がストレス無く、所望の機能を実行でき、且つ、使用効率を高くできる、デジタル複合機を提供できる。
【0036】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】デジタル複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】操作部を示す図である。
【図3】優先時間設定モードの動作を示すフローチャートである。
【図4】優先時間設定モードにおいて、印刷ジョブを検出した時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
10 デジタル複合機、11 制御部、12 DRAM、13 FAX通信部、14 ネットワークI/F部、15 印字部、16 ハードディスク、17 画像読取り部、18 操作部、20 表示部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の出力形態を有し、出力要求に応じて、出力を行なう画像形成装置であって、
前記出力として印字を行なう印字部と、
前記複数の出力形態の中から優先される出力形態と、前記印字部を用いた占有出力時間帯を設定する設定手段と、
前記設定手段の設定に応じて前記印字部を制御する制御手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
記憶手段をさらに有し、
前記設定手段で設定された占有出力時間帯に、前記設定された優先出力形態以外の出力要求があったときは、その出力要求を前記記憶手段に格納する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記設定手段で設定された占有出力時間帯であって、前記設定された優先出力形態以外の出力が実行中であるときに、前記設定された出力形態の出力要求があったときは、前記実行中の出力は、前記記憶手段に格納される、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶手段に格納された出力要求は、前記設定された優先出力の終了後、出力される、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記複数の出力形態は、コピー、FAX、プリンタのいずれかを含む、請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−68928(P2006−68928A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251963(P2004−251963)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】