説明

画像形成装置

【課題】保護シートをプロセスカートリッジを装置本体から取り出す動作と同時に処理することで、ユーザーによる外し忘れを回避し、ユーザビリティ性を向上させる。
【解決手段】プロセスカートリッジCを装置本体100に装着した状態で輸送する際に、装置本体100に設けられたコネクタ12とプロセスカートリッジCとの接触部間に保護シート11を挟んで接触部を保護し、使用時にプロセスカートリッジCを取り出して保護シート11を取り外し、再度プロセスカートリッジCを装着してコネクタ12とプロセスカートリッジCを接触させる画像形成装置において、プロセスカートリッジCと保護シート11を着脱自在に連結する連結部40を設け、連結部40を介して保護シート11をプロセスカートリッジCと一緒に取り出し可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、カートリッジを装置本体に装着した状態で輸送する際、カートリッジと装置本体との接触部に保護シートを挟んで接触部(感光体と中間転写体)を保護することがなされている。そして使用時には、カートリッジを取り出して保護シートを取り外し、再度カートリッジを装着して感光体と中間転写体を接触させる構成が記載されている。
【特許文献1】特開平11−218983号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、複数のカートリッジを装着した状態で運搬可能な画像形成装置において、従来技術を更に発展させたものである。
【0004】
本発明は、保護シートを複数のカートリッジを装置本体から取り出す動作と同時に処理することで、ユーザーによる外し忘れを回避し、ユーザビリティ性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
複数のカートリッジを装着した状態で運搬可能な画像形成装置において、前記複数のカートリッジを取り外し可能に装着する装着手段と、前記複数のカートリッジを前記装着手段に装着した状態で前記画像形成装置を運搬する際に、前記複数のカートリッジと前記画像形成装置の装置本体との接触部との間に挿入された保護シートであって、前記複数のカートリッジのうち一つのカートリッジを取り出す際に、前記画像形成装置の装置本体から取り出すことが可能な他のカートリッジがない場合は、前記一つのカートリッジとともに取り出され、前記装置本体から取り出すことが可能な他のカートリッジがある場合は、前記他のカートリッジとともに前記装置本体に残る保護シートと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザーが複数のカートリッジを装置本体から取り出す際に、最後に取り出すカートリッジとともに保護シートが一緒に取り出される。したがって、画像形成を行うに際して、カートリッジの取り外しを容易にするとともに、保護シート外し忘れによる不具合を回避することができ、ユーザビリティ性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す主断面図である。図2は、図1に示す画像形成装置に備えられたプロセスカートリッジの概略斜視図である。図3は、図1に示す画像形成装置の本体コネクタ部を示す概略斜視図である。
【0009】
まず、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について、図1に示す主断面図を用いて説明する。本実施の形態に係る画像形成装置は電子写真方式によってカラー画像を形成するカラー画像形成装置であり、プロセスカートリッジを装着した状態で運搬する(以下、同梱運搬という。)際のプロセスカートリッジと装置本体との接触部を保護する保護シートを備えたものである。
【0010】
給送カセット1に収容された転写材は給送ローラ2により分離給送され、レジストローラ対3に到達する。そして、画像と転写材とのタイミングが図られ、レジストローラ対3から転写材は転写手段である転写搬送ベルト4に搬送される。その後、画像形成手段となる感光ドラム5a,5b,5c,5d(以下、包括的な説明は符号5を使用する)と転写手段である転写ローラ6a,6b,6c,6d(以下、包括的な説明は符号6を使用する)との間の4箇所の転写位置に搬送される。
【0011】
続いて、この転写材に対して、それぞれ各感光ドラム5の表面に形成されたトナー画像が順次、転写ローラによって転写されてカラー画像が記録される。その後、転写材が駆動回転する加圧ローラ7aとこの加圧ローラ7aに圧接して従動回転する加熱ローラ7bとを有する定着ユニット7を通過する際に加熱処理及び加圧処理がされ、トナー画像が定着される。トナー画像が定着された転写材は、排出ローラ対8によって、画像形成装置の上部に設けられた排出トレイ9に排出される。
【0012】
感光ドラム5及び前記感光ドラム5に作用する帯電,露光,現像等の電子写真プロセスを実行するプロセス手段は一体的にカートリッジ化され、画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式がとられている。プロセスカートリッジC1,C2,C3,C4(以下、包括的な説明は符号Cを使用する)にはメモリ素子13a,13b,13c,13d(以下、包括的な説明は符号13を使用する)が搭載される。
【0013】
このカートリッジ接点であるメモリ素子13は画像形成装置本体100内にあるインターフェース部である本体電気接点であるコネクタ12a,12b,12c,12d(以下包括的な説明としては符号12を使用する)と電気的に接触して通信する。このメモリ素子13はプロセスカートリッジCの有無検知に使用される。さらに、カートリッジ固体識別が可能となるため色違いなどの誤装着防止や本体で使用された枚数を記憶させることでプロセス条件を細かく設定し画像品質を向上させることが可能となる。
【0014】
プロセスカートリッジCを装置本体100に同梱運搬する際に、プロセスカートリッジCのメモリ素子13と装置本体100のコネクタ12の接触部が、運搬時の振動,衝撃で削れてしまう。それを防ぐため、図3に示すような構成としている。すなわち、保護シート11を間に挟んで接触部を保護している。保護シート11は、すべてのプロセスカートリッジCのメモリ素子13、及び、コネクタ12を保護するために一体的に装置本体100に取り付けられている。
【0015】
装置本体100に同梱運搬されるプロセスカートリッジCには、図2に示すように、運搬時のトナー漏れを防止するためのトナーシール32が取り付けられている。
【0016】
保護シート11は、図3のように、各プロセスカートリッジのメモリ素子13を保護する素子保護部16a,16b,16c,16d(以下、包括的な説明は16を使用する)と各素子保護部16a,16b,16c,16dを繋げる繋ぎ部20で構成されている。ここで、素子保護部16は、本発明に係る保護部を構成している。また、繋ぎ部20は、複数のプロセスカートリッジに対して一つに繋がっているということもできる。
【0017】
素子保護部16と繋ぎ部20には、装置本体100との位置決め穴14a,14b,14c,14d,14e,14f(以下、包括的な説明は14を使用する)が設けられている。この位置決め穴14と装置本体100に設けられた本体ステイ10上の位置決めボス17a,17b,17c,17d(以下、包括的な説明は17を使用する),18,19とにより、装置本体100と位置決めされる。
【0018】
同梱運搬後に画像形成を開始する時にはプロセスカートリッジCを取り出して保護シート11を取り外し、再度プロセスカートリッジCを装着してコネクタ12とプロセスカートリッジCのメモリ素子13を接触させる。
【0019】
そして、プロセスカートリッジCと保護シート11には、互いに着脱自在に連結する連結手段としての連結部40が設けられ、連結部40を介して保護シート11をプロセスカートリッジCと一緒に取り出し可能となっている。
【0020】
次に、本発明の特徴部分である連結部40について詳細に説明する。
【0021】
図4(a)は図2のA部拡大図、同図(b)は図3の保護シートの連結部の拡大図である。
【0022】
本実施の形態では、図4に示すように、連結部40は、粘着材21a,21b,21c,21d(以下、包括的な説明は21を使用する)と、粘着材21が粘着する相手面に設けられる弾性力のある受け部(受け面)30とによって構成されている。
【0023】
プロセスカートリッジC側にはメモリ素子13近傍に受け部30が設けられ、素子保護部16側にはプロセスカートリッジC側と対峙する位置に両面テープ等の粘着材21が設けられている。受け部30に弾性を持たせることでプロセスカートリッジCを装置本体100に装着した状態で粘着材21に適正な圧が加えられる。
【0024】
図5(a)は連結部を他の構成とした図2のA部拡大図、同図(b)は図3の保護シートの連結部を他の構成とした拡大図である。
【0025】
また、他の構成として、図5に示すように、連結部40を、引っ掛け形状付のボスと押し込んだ時に引っかかる切り欠きで構成してもよい。
【0026】
図示例では、プロセスカートリッジC側の連結部40を引掛け付ボス31とし、素子保護部16側は切り込み22a,22b,22c,22d(以下22)となっている。プロセスカートリッジCを装置本体100に装着した状態で引掛け付ボス31が切り込み22に挿入され、引っ掛け部で引っかかることにより連結される。切り込み22は引掛け付ボス31が押し込まれた時に引っかかる形状であれば良く、丸穴でも良い(不図示)。ただし、プロセスカートリッジCを装置本体100に装着した状態で、コネクタ保持部15a,15b,15c,15d(以下、包括的な説明は15を使用する)が引掛け付ボス31と干渉する部分は逃げる必要がある。
【0027】
次に、同梱運搬されたプロセスカートリッジCを取り外す時の動作について、図6を用いて説明する。
【0028】
図6(a),(b)は図1の画像形成装置の保護シートの外れ方を説明する図である。
【0029】
ユーザーが同梱運搬されたプロセスカートリッジCのトナーシール32を外すためにプロセスカートリッジCを装置本体100から取り出す際、以下の2つの場合が考えられる

【0030】
第1の場合は、素子保護部16が装置本体100上のコネクタ12とプロセスカートリッジC上のメモリ素子13とで挟み込まれた状態が、取り出そうとしている該当のプロセスカートリッジC以外にある場合である(図6(a)参照)。このような場合には、素子保護部16が挟み込まれた抵抗力により、連結部40は外れて(解除されて)プロセスカートリッジCのみを装置本体100から取り出すことが可能となる。
【0031】
第2の場合は、素子保護部16が装置本体100上のコネクタ12とプロセスカートリッジC上のメモリ素子13とで挟み込まれた状態が、取り出そうとしている該当のプロセスカートリッジC以外にない場合である(図6(b)参照)。このような場合には、素子保護部16に抵抗力が加わらないため、連結部40は外れず(解除されず)に保護シート11はプロセスカートリッジCと一緒に取り出される。前記連結部40の連結力は上記を満足する程度の力が必要である。
【0032】
また、トナーシール32未処理のプロセスカートリッジCが装置本体100に残っている状態で、トナーシール32を処理したプロセスカートリッジCを装置本体100に装着する場合を考える。このような場合には、素子保護部16がコネクタ12とメモリ素子13の間に再び挟み込まれてしまう。そのため、最後のトナーシール32未処理のプロセスカートリッジCを抜く際にそれが抵抗として残り、保護シート11が取り出せないことが考えられる。
【0033】
そのためには、プロセスカートリッジCを取り外した場合に、素子保護部16を接触部から逃がすことが好ましい。
【0034】
図7(a)は図3の本体コネクタ部を示し、同図(b)は(a)の状態から保護シートが逃げた状態を示す図である。
【0035】
プロセスカートリッジCを取り外した際に、素子保護部16が接触部から逃げるための構成として、本実施の形態では、保護シート11において素子保護部16と繋ぎ部20の間に剛性を他の部分より弱くした結合部23a,23b,23c,23d(以下23)を構成している。これにより、素子保護部16が装置本体100の位置決め部から外れ、連結部40がプロセスカートリッジCから外れると、素子保護部16は剛性が弱められた部分から下に折れ曲がることとなる。このようにして、プロセスカートリッジCを取り外した際に素子保護部16を接触部から逃がすことができる。
【0036】
これにより、トナーシール32未処理のプロセスカートリッジCが装置本体100に残っている状態で、トナーシール32を処理したプロセスカートリッジCを装置本体100に装着した場合であっても、次のような効果が得られる。すなわち、最後のトナーシール32未処理のプロセスカートリッジを抜く際に、保護シート11を一緒に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は本発明の実施例に係る画像形成装置の全体構成を示す主断面図。
【図2】図2は図1の装置のプロセスカートリッジの斜視図。
【図3】図3は図1の装置の本体コネクタ部を示す斜視図。
【図4】図4(a)は図2のA部拡大図、同図(b)は図3の保護シートの連結部の拡大図。
【図5】図5(a)は連結部を他の構成とした図2のA部拡大図、同図(b)は図3の保護シートの連結部を他の構成とした拡大図。
【図6】図6(a),(b)は図1の装置の保護シートの外れ方を説明する図。
【図7】図7(a)は図3の本体コネクタ部を示す図、同図(b)は(a)の状態から保護シートが逃げた状態を示す図。
【符号の説明】
【0038】
1 給送カセット
2 給送ローラ
3 レジストローラ対
4 転写搬送ベルト
5,5a〜5d 感光ドラム
6,6a〜6d 転写ローラ
7 定着ユニット
7a 加圧ローラ
7b 加熱ローラ
8 排出ローラ対
9 排出トレイ
10 本体ステイ
11 保護シート
12,12a〜12d コネクタ
13,13a〜13d メモリ素子
14 14a〜14f 位置決め穴
15,15a〜15d コネクタ保持部
16,16a〜16d 素子保護部
17,17a〜17d 位置決めボス
18 位置決めボス上
19 位置決めボス下
20 繋ぎ部
21,21a〜21d 粘着材(連結手段)
22,22a〜22d 切り込み形状(連結手段)
23,23a〜23d 結合部
30 受け部(連結手段)
31 引掛け付ボス(連結手段)
32 トナーシール
40 連結部
100 装置本体
C,C1〜C5 プロセスカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカートリッジを装着した状態で運搬可能な画像形成装置において、
前記複数のカートリッジを取り外し可能に装着する装着手段と、
前記複数のカートリッジを前記装着手段に装着した状態で前記画像形成装置を運搬する際に、前記複数のカートリッジと前記画像形成装置の装置本体との接触部との間に挿入された保護シートであって、前記複数のカートリッジのうち一つのカートリッジを取り出す際に、前記画像形成装置の装置本体から取り出すことが可能な他のカートリッジがない場合は、前記一つのカートリッジとともに取り出され、前記装置本体から取り出すことが可能な他のカートリッジがある場合は、前記他のカートリッジとともに前記装置本体に残る保護シートと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のカートリッジを装着した状態で運搬する際に、前記複数のカートリッジと前記保護シートとは、連結手段によって結合されており、
前記一つのカートリッジを取り出す際に、前記保護シートは、前記他のカートリッジがない場合は、前記連結手段が解除されることによって前記一つのカートリッジとともに取り出され、前記他のカートリッジがある場合は、前記連結手段が解除されることなく前記他のカートリッジとともに前記装置本体に残ることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記保護シートは、前記複数のプロセスカートリッジに対して一つに繋がった繋ぎ部と、前記カートリッジ接点と前記本体電気接点とを保護する保護部と、前記繋ぎ部と前記保護部とを結合させる結合部であって、前記繋ぎ部と前記保護部よりも剛性が弱く構成された結合部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記連結手段は、前記複数のカートリッジまたは前記保護シートの少なくともいずれか一方に設けられた粘着材であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記連結手段は、前記複数のカートリッジまたは前記保護シートのいずれか一方に設けられた粘着材と、前記複数のカートリッジまたは前記保護シートのいずれか他方に設けられた弾性力のある受け面であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記連結手段は、前記複数のカートリッジに設けられたボスと、前記保護シートに設けられた、前記ボスが係合可能な切り欠き部であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
更に、前記画像形成装置は、
複数の本体電気接点と、
前記複数のカートリッジに設けられたカートリッジ接点であって、画像形成をおこなう際に、前記複数の本体電気接点とそれぞれ接触するカートリッジ接点と、
を有し、
前記保護シートは、前記複数の本体電気接点と前記カートリッジ接点との間に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−248851(P2007−248851A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72777(P2006−72777)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】