説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、ピックローラの振動を抑制することにより、動作音の低減を図る。
【解決手段】ハウジング本体部30と、軸部材を支持する軸受け部31と、軸受け部31及びハウジング本体部30の結合を強化する補強リブ32とによってピックローラハウジング23が構成される。補強リブ32は、軸受け部31から放射状に略45゜の角度を隔てて、8本形成される。このうち、補強リブ32aは、記録紙が給紙トレイ9からピックローラ21によるピック領域に進入される方向に、補強リブ32bは、ピックローラ21が分離パッド24によって押圧される方向に、補強リブ32cは、記録紙がピック領域からピックローラ21によって送出される方向に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙に画像を形成するプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置においては、給紙トレイに保持された記録紙を画像形成部に搬送する記録紙搬送機構が備えられている。従来の記録紙搬送機構の一例として、例えば、給紙トレイに保持された記録紙のうち、最上のものを送出するピックローラと、ピックローラを回転自在に支持するピックローラハウジングと、ピックローラによって送出された記録紙をピックローラに押圧して給紙トレイに保持されている他の記録紙から分離する分離パッド等によって構成されたものがある。
【0003】
また、特許文献1には、ピックローラによって送出された記録紙を画像形成部に搬送するフィードローラとリタードローラの振動を減衰するコイルばねを備えた画像形成装置が示されている。
【特許文献1】特開2000−168972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した記録紙搬送機構においては、分離パッドとピックローラの間に複数枚の記録紙が介在された場合に、ピックローラが過度に振動し、画像形成装置の動作音が大きくなるという問題がある。上記特許文献1に示されたコイルばねを用いてもピックローラの振動を抑制することができない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ピックローラの振動を抑制することにより、動作音の低減を図ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、表面に感光体が塗布された感光体ドラムと、感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電手段と、感光体の表面にレーザビームを走査させながら照射して潜像を形成する露光手段と、感光体の表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段と、感光体ドラムの回転方向の現像手段よりも下流側の所定の転写位置において、感光体ドラムの表面に対向するように設けられ、感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録紙の上に転写させる転写手段と、トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着手段と、装填された記録紙を保持する記録紙保持手段と、記録紙保持手段に保持された記録紙を転写位置に搬送する記録紙搬送機構とを備えた画像形成装置において、記録紙搬送機構は、記録紙保持手段に保持された記録紙のうち、最上のものを送出するピックローラと、このピックローラを支持しつつ一体的に回動する軸部材と、この軸部材を回転自在に支持するピックローラハウジングと、ピックローラによって送出された記録紙をピックローラに押圧して記録紙保持機構に保持されている他の記録紙から分離する分離パッドと、この分離パッドをピックローラの側に付勢する付勢手段とを有し、軸部材は、金属板をコの字状に折り曲げることにより、中空に形成され、ピックローラハウジングは、ハウジング本体部と、軸部材を回転自在に支持する軸受け部と、この軸受け部から放射状に形成され、該軸受け部とハウジング本体部との結合を強化する複数本の補強リブとを有し、補強リブは、少なくとも、記録紙が記録紙保持手段からピックローラによるピック領域に進入される方向と、ピックローラが記録紙を介して分離パッドによって押圧される方向と、記録紙がピック領域からピックローラによって送出される方向に配設されていることにより、分離パッドとピックローラの間に複数枚の記録紙が介在された場合におけるピックローラの振動を抑制し、動作音を低減するものである。
【0007】
請求項2の発明は、記録紙に画像を形成する画像形成手段と、装填された記録紙を保持する記録紙保持手段と、記録紙保持手段に保持された記録紙を画像形成手段に搬送する記録紙搬送機構とを備えた画像形成装置において、記録紙搬送機構は、記録紙保持手段に保持された記録紙のうち、最上のものを送出するピックローラと、このピックローラを支持しつつ一体的に回動する軸部材と、この軸部材を回転自在に支持するピックローラハウジングと、ピックローラによって送出された記録紙をピックローラに押圧して記録紙保持手段に保持されている他の記録紙から分離する分離パッドとを有し、軸部材は、金属板をコの字状に折り曲げることにより、中空に形成され、ピックローラハウジングは、ハウジング本体部と、軸部材を回転自在に支持する軸受け部と、この軸受け部から放射状に形成され、該軸受け部とハウジング本体部との結合を強化する補強リブとを有し、分離パッドとピックローラの間に複数枚の記録紙が介在された場合におけるピックローラの振動を抑制するものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、補強リブは、記録紙が記録紙保持手段からピックローラによるピック領域に進入される方向と、ピックローラが記録紙を介して分離パッドによって押圧される方向と、記録紙がピック領域からピックローラによって送出される方向に配設されているものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、ピックローラハウジングの軸受け部の周辺に、軸受け部とハウジング本体部との結合を強化する複数本の補強リブが放射状に形成されているので、ピックローラにかけられる力が補強リブを介してハウジング本体部に分散される。特に、補強リブが、少なくとも、記録紙が記録紙保持手段からピックローラによるピック領域に進入される方向と、ピックローラが記録紙を介して分離パッドによって押圧される方向と、記録紙がピック領域からピックローラによって送出される方向に配設されているので、ピックローラによって給紙する際、負荷のかかる方向に軸受け部とハウジング本体部との結合を強化することができる。これにより、分離パッドとピックローラの間に複数枚の記録紙が介在されたときのピックローラの振動を抑制することができ、画像形成装置の動作音を低減できる。従って、金属板をコの字状に折り曲げることにより形成された中空の軸部材を用いながらも、画像形成装置の動作音を実用上問題ないレベルにまで抑制することができ、容易に画像形成装置のコストダウンを図ることができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、ピックローラハウジングの軸受け部の周辺に、軸受け部とハウジング本体部との結合を強化する補強リブが放射状に形成されているので、ピックローラにかけられる力が補強リブを介してハウジング本体部に分散される。これにより、金属板をコの字状に折り曲げることにより形成された中空の軸部材を用いながらも、画像形成装置の動作音を抑制することができ、容易に画像形成装置のコストダウンを図ることができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、補強リブが、少なくとも、記録紙が記録紙保持手段からピックローラによるピック領域に進入される方向と、ピックローラが記録紙を介して分離パッドによって押圧される方向と、記録紙がピック領域からピックローラによって送出される方向に配設されているので、ピックローラによって給紙する際、負荷のかかる方向に軸受け部とハウジング本体部との結合を強化することができ、ピックローラの振動をより一層抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の実施形態によるレーザビームプリンタについて図面を参照して説明する。図1は、レーザビームプリンタ1の一構成例を示している。レーザビームプリンタ1は、表面に感光体が塗布されている感光体ドラム2、クリーナ3、帯電器(帯電手段)4、レーザスキャンユニット(露光手段)5、現像ブラシ(現像手段)6、転写ローラ(転写手段)7、転写ローラ7に対して記録紙Pの搬送方向の下流側に配置されている定着ローラ(定着手段)8、記録紙Pが装填される給紙トレイ9、プリント済みの記録紙Pが堆積される排紙部10、給紙トレイ9に装填された記録紙Pを感光体ドラム2の位置まで搬送する記録紙搬送機構11、上記各部を収容する筐体14等によって構成されている。
【0013】
クリーナ3は、感光体ドラム2の表面に付着している1行程(1回転)前のトナー及び紙粉を除去し、ドラム表面を清掃する。帯電器4は、クリーナ3によって清掃された感光体ドラム2の表面を均一に帯電させる。レーザスキャンユニット5は、帯電器4によって帯電された感光体ドラム2の表面にレーザビームLを走査させながら照射して潜像を形成する。現像ブラシ6は、トナーが充填されたトナーカートリッジ15に装着されており、感光体ドラム2の表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する。転写ローラ7は、感光体ドラム2の表面に対向するように設けられ、記録紙Pを感光体ドラム2の表面に押圧しながら記録紙Pの表面を帯電させて、感光体ドラム2の表面に形成されたトナー像を記録紙Pの上に転写させる。転写ローラ7によって表面に画像が形成された記録紙Pは、定着ローラ8に搬送される。定着ローラ8は、対向して配置された押圧ローラ16と共に記録紙Pを挟みつつ熱と圧力を加えてトナーを定着させる。トナー定着のための熱は、定着ローラ8に内蔵されているヒータ(例えば、ハロゲンランプ等)から供給される。このように、感光体ドラム2、帯電器4、レーザスキャンユニット5、現像ブラシ6、転写ローラ7、定着ローラ8等により画像形成手段が構成される。
【0014】
図2は、記録紙搬送機構11を示している。記録紙搬送機構11は、給紙トレイ9に保持された記録紙のうち、最上のものを感光体ドラム2の近傍に送出するピックローラ21と、ピックローラ21を支持しつつ一体的に回動する軸部材22と、軸部材22を回転自在に支持するピックローラハウジング23と、ピックローラ21によって送出された記録紙をピックローラ21に押圧して給紙トレイ9に保持されている他の記録紙から分離する分離パッド24と、この分離パッド24をピックローラ21の側に付勢するコイルばね(付勢手段:図4参照)25等によって構成されている。
【0015】
軸部材22は、金属板をコの字状に折り曲げることにより、開断面の中空構造に形成されている。そのため、通常使用されている中実の軸部材と比較すると、ピックローラ21の回転及び給紙に伴う振動が大きくなり、それに伴いレーザビームプリンタ1の動作音が大きくなる。そこで、このような軸部材22をレーザビームプリンタの記録紙搬送機構11に適用する場合には、ピックローラ21の振動を抑制するための対策をピックローラハウジング23に施すことが必要である。
【0016】
図3は、ピックローラハウジング23を示している。ピックローラハウジング23は、例えば、合成樹脂により成形され、ハウジング本体部30と、軸部材22を回転自在に支持する軸受け部31と、軸受け部31とハウジング本体部30との結合を強化する補強リブ32とを有している。
【0017】
図4は、補強リブ32の配置を示している。補強リブ32は、軸受け部31から放射状に略45゜の角度を隔てて、8本形成されている。このうち、軸受け部31の合成の強化に特に効果的なのは、補強リブ32a、32b、32cである。補強リブ32aは、記録紙が給紙トレイ9からピックローラ21によるピック領域Xに進入される方向Aであって、軸受け部31に対して記録紙の進入方向の下流側に配設されている。また、補強リブ32bは、ピックローラ21が記録紙を介して分離パッド24によって押圧される方向Bであって、軸受け部31に対して分離パッド24とは反対側の方向に配設されている。また、補強リブ32cは、記録紙がピック領域Xからピックローラ21によって送出される方向Cであって、軸受け部31に対して記録紙の送出方向の下流側に配設されている。
【0018】
以上のように構成されたレーザビームプリンタ1によれば、ピックローラハウジング23の軸受け部31の周辺に、軸受け部31とハウジング本体部30との結合を強化する8本の補強リブ32が放射状に形成されているので、ピックローラ21にかけられる力が補強リブ32を介してハウジング本体部30に分散される。これにより、分離パッド24とピックローラ21の間に複数枚の記録紙が介在されたとき等におけるピックローラ21の振動を抑制することができ、レーザビームプリンタ1の動作音を低減できる。また、補強リブ32aが、記録紙が給紙トレイ9からピックローラ21によるピック領域Xに進入される方向Aに、補強リブ32bが、ピックローラ21が分離パッド24によって押圧される方向Bに、補強リブ32cが、記録紙がピック領域Xからピックローラ21によって送出される方向Cにそれぞれ配設されているので、ピックローラ21によって給紙する際、負荷のかかる方向に軸受け部31とハウジング本体部30との結合を強化することができ、
ピックローラ21の振動をより一層抑制できる。これにより、金属板をコの字状に折り曲げることにより形成された軸部材22を用いながらも、レーザビームプリンタ1の動作音を実用上問題ないレベルにまで抑制することができ、容易にレーザビームプリンタのコストダウンを図ることができる。
【0019】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくともピックローラハウジング23の軸受け部31の周辺に、軸受け部31とハウジング本体部30との結合を強化する3本の補強リブ32a、32b、32cが放射状に形成されていればよい。また、軸受け部31を挟んで、補強リブ32a、32b、32cとは反対側の位置に、補強リブ32を追加してもよい。また、本発明は種々の変形が可能であり、例えば、記録紙搬送機構11をインクジェットプリンタ等の画像形成装置に広く適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態によるレーザビームプリンタの構成を示す図。
【図2】同プリンタの記録紙搬送機構を示す斜視図。
【図3】同機構のピックローラハウジングを示す斜視図。
【図4】同ピックローラハウジングの補強リブの配置を示す側面図。
【符号の説明】
【0021】
1 レーザビームプリンタ
2 感光体ドラム
4 帯電器(帯電手段)
5 レーザスキャンユニット(露光手段)
6 現像ブラシ(現像手段)
7 転写ローラ(転写手段)
8 定着ローラ(定着手段)
9 給紙トレイ(記録紙保持手段)
11 記録紙搬送機構
21 ピックローラ
22 軸部材
23 ピックローラハウジング
24 分離パッド
25 コイルばね(付勢手段)
30 ハウジング本体部
31 軸受け部
32 補強リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光体が塗布された感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を均一に帯電させる帯電手段と、
前記感光体の表面にレーザビームを走査させながら照射して潜像を形成する露光手段と、
前記感光体の表面のうち潜像が形成された部分にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段と、
前記感光体ドラムの回転方向の前記現像手段よりも下流側の所定の転写位置において、前記感光体ドラムの表面に対向するように設けられ、前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像を記録紙の上に転写させる転写手段と、
トナー像が転写された記録紙に所定の熱及び圧力を与えてトナー像を記録紙上に定着させる定着手段と、
装填された記録紙を保持する記録紙保持手段と、
前記記録紙保持手段に保持された記録紙を前記転写位置に搬送する記録紙搬送機構とを備えた画像形成装置において、
前記記録紙搬送機構は、前記記録紙保持手段に保持された記録紙のうち、最上のものを送出するピックローラと、このピックローラを支持しつつ一体的に回動する軸部材と、この軸部材を回転自在に支持するピックローラハウジングと、前記ピックローラによって送出された記録紙を前記ピックローラに押圧して前記記録紙保持機構に保持されている他の記録紙から分離する分離パッドと、この分離パッドを前記ピックローラの側に付勢する付勢手段とを有し、
前記軸部材は、金属板をコの字状に折り曲げることにより、中空に形成され、
前記ピックローラハウジングは、ハウジング本体部と、前記軸部材を回転自在に支持する軸受け部と、この軸受け部から放射状に形成され、該軸受け部とハウジング本体部との結合を強化する複数本の補強リブとを有し、
前記補強リブは、少なくとも、記録紙が前記記録紙保持手段から前記ピックローラによるピック領域に進入される方向と、ピックローラが記録紙を介して前記分離パッドによって押圧される方向と、記録紙が前記ピック領域から前記ピックローラによって送出される方向に配設されていることにより、前記分離パッドと前記ピックローラの間に複数枚の記録紙が介在された場合における前記ピックローラの振動を抑制し、動作音を低減することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
記録紙に画像を形成する画像形成手段と、
装填された記録紙を保持する記録紙保持手段と、
前記記録紙保持手段に保持された記録紙を前記画像形成手段に搬送する記録紙搬送機構とを備えた画像形成装置において、
前記記録紙搬送機構は、前記記録紙保持手段に保持された記録紙のうち、最上のものを送出するピックローラと、このピックローラを支持しつつ一体的に回動する軸部材と、この軸部材を回転自在に支持するピックローラハウジングと、前記ピックローラによって送出された記録紙を前記ピックローラに押圧して前記記録紙保持手段に保持されている他の記録紙から分離する分離パッドとを有し、
前記軸部材は、金属板をコの字状に折り曲げることにより、中空に形成され、
前記ピックローラハウジングは、ハウジング本体部と、前記軸部材を回転自在に支持する軸受け部と、この軸受け部から放射状に形成され、該軸受け部とハウジング本体部との結合を強化する補強リブとを有し、
前記分離パッドと前記ピックローラの間に複数枚の記録紙が介在された場合における前記ピックローラの振動を抑制することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記補強リブは、記録紙が前記記録紙保持手段から前記ピックローラによるピック領域に進入される方向と、ピックローラが記録紙を介して前記分離パッドによって押圧される方向と、記録紙が前記ピック領域から前記ピックローラによって送出される方向に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−284192(P2007−284192A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112702(P2006−112702)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(591194034)レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド (142)
【氏名又は名称原語表記】LEXMARK INTERNATIONAL,INC
【Fターム(参考)】