説明

画像形成装置

【課題】帯電ロールの表面にトナーや外添剤などの微小成分が付着し、帯電不良が発生することを防止する。
【解決手段】感光体ドラム12の回転方向に対して一次転写ロール16の下流側であって、クリーニング装置20の上流側に、感光体ドラム12と接触する凝集ロール60を設ける。凝集ロール60は、シャフト60Aの周囲に発泡樹脂からなるスポンジ層60Bを備えており、感光体ドラム12に押圧されてニップ部を形成している。感光体ドラム12上のトナー像が中間転写ベルト30に転写された後、感光体ドラム12表面のトナーや外添剤などの残転写物64は、凝集ロール60とのニップ部に搬送される。ニップ部では、残転写物64はスポンジ層60Bのセル内に取り込まれて往復運動を繰り返すことより凝集される。そして、ある程度の大きさになると、凝集物65が感光体ドラム12に戻され、クリーニングブレード22によって回収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、感光体などの像担持体と、この像担持体の表面を帯電させる接触帯電装置とを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した複写機やプリンタ等の画像形成装置の帯電装置として、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用したものが多用されてきたが、コロナ放電現象を利用した帯電装置の場合には、人体や地球環境に悪影響のあるオゾンや窒素酸化物の発生が問題となっている。これに対して、導電性の帯電ロールなどを感光体に直接接触させて感光体の帯電を行う接触帯電方式はオゾンや窒素酸化物の発生が大幅に少なく、電源効率も良いことから、最近では主流となっている。
【0003】
このような接触帯電方式では、帯電ロールの表面に接触しながらクリーニングするための帯電ロール専用のクリーニング装置が設けられている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0004】
しかし、帯電ロールに付着した異物は、トナーやその外添剤のようにμm、nmオーダーの微小なものであり、付着しやすくかつ清掃しにくいため、帯電ロールと接触する専用のクリーニング装置が大きくなり、また構成が複雑になっている。また、付着物はμm、nmオーダーの微小な成分であるので、クリーニングしにくくクリーニング不良が発生しやすい。このため、帯電不良により画質を劣化させるという問題がある。
【特許文献1】特開2005−128584号公報
【特許文献2】特開2005−134760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、接触帯電装置にトナーや外添剤などの微小成分が付着することによる帯電不良の発生を抑制できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明に係る画像形成装置は、回転駆動される像担持体と、前記像担持体を接触帯電させる接触帯電装置と、帯電後に前記像担持体に像光を照射して静電潜像を形成する像書き込み装置と、前記静電潜像をトナーで現像する現像装置と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する転写装置と、転写後に前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、を備えた画像形成装置であって、前記像担持体の回転方向に対して前記転写装置の下流側であって、前記クリーニング装置の上流側に、前記像担持体と接触し、前記像担持体の表面の残転写物を凝集する第1凝集部材を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、像担持体の回転方向に対して転写装置の下流側であって、クリーニング装置の上流側に像担持体と接触する第1凝集部材を備えているので、転写後に像担持体表面をクリーニング装置によってクリーニングする前に、像担持体表面に残留するトナーや外添剤などの微小な残転写物が第1凝集部材によって凝集される。残転写物を凝集することで、像担持体表面の凝集物がクリーニング装置によってクリーニングされやすくなる。これにより、微小な残転写物がクリーニングされずに接触帯電装置を通過することが抑制される。このため、接触帯電装置に微小な残転写物が付着することによる帯電不良の発生が抑制される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1凝集部材は、発泡性ロールであることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第1凝集部材が発泡性ロールであるので、像担持体表面の微小な残転写物が発泡性ロールのセル内に取り込まれ、像担持体との間で圧縮膨張運動を繰り返すことにより、微小な残転写物が凝集される。そして、凝集物がある程度の大きさになると、発泡性ロールのセル内から像担持体に戻される。このため、像担持体表面の微小な残転写物がクリーニング装置に搬送されることが抑制される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、回転駆動される像担持体と、前記像担持体を接触帯電させる接触帯電装置と、帯電後に前記像担持体に像光を照射して静電潜像を形成する像書き込み装置と、前記静電潜像をトナーで現像する現像装置と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する転写装置と、転写後に前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、を備えた画像形成装置であって、前記像担持体の回転方向に対して前記クリーニング装置の下流側であって、前記接触帯電装置の上流側に、前記像担持体と接触し、前記クリーニング装置を通過した前記像担持体の表面の微小物質を凝集する第2凝集部材を有することを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、像担持体の回転方向に対してクリーニング装置の下流側であって、接触帯電装置の上流側に像担持体と接触する第2凝集部材を備えているので、クリーニング装置を通過した像担持体表面の微小物質が第2凝集部材によって凝集される。クリーニング装置からもれた微小物質を凝集させることで、凝集物が接触帯電装置との接触部に搬送されても接触帯電装置に付着しにくい。これにより、微小物質が接触帯電装置に付着することによる帯電不良の発生が抑制される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、前記第2凝集部材は、発泡性ロールであることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第2凝集部材が発泡性ロールであるので、像担持体表面の微小物質が発泡性ロールのセル内に取り込まれ、像担持体との間で圧縮膨張運動を繰り返すことにより、微小物質が凝集される。そして、凝集物がある程度の大きさになると、発泡性ロールのセル内から像担持体に戻される。このため、像担持体表面の微小物質が接触帯電装置に搬送されることが抑制される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体の回転方向に対して前記クリーニング装置の下流側であって、前記接触帯電装置の上流側に、前記像担持体と接触し、前記クリーニング装置を通過した前記像担持体の表面の微小物質を凝集する第2凝集部材を設けたことを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、像担持体の回転方向に対してクリーニング装置の上流側に第1凝集部材が、下流側に第2凝集部材が設けられているので、像担持体表面の微小物質が接触帯電装置に搬送されることがより一層抑制される。このため、微小物質が接触帯電装置に付着することによる帯電不良の発生をより確実に抑制することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記接触帯電装置が前記像担持体表面と接触回転しながら帯電させる帯電ロールであり、前記帯電ロールをクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、帯電ロールをクリーニングするクリーニング部材が設けられているので、帯電ロール表面の付着物がクリーニング部材によって除去される。このため、帯電ロール表面の付着物による帯電不良の発生をより一層抑制することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記第1凝集部材又は前記第2凝集部材には、交番電圧が印加されることを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、第1凝集部材又は前記第2凝集部材には、交番電圧が印加されているので、凝集物を像担持体に戻すような交番電界を発生させることが可能である。これにより、凝集物を像担持体に戻してクリーニング装置、現像装置などで回収することが可能となり、微小成分が接触帯電装置に付着することをより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、接触帯電装置にトナーや外添剤などの微小成分が付着することによる帯電不良の発生を抑制でき、良好な画質の画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1には、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100が示されている。
【0022】
この画像形成装置100は、図示しないパーソナルコンピュータ等の画像データ入力装置から送られてくるカラー画像情報に基づいて画像処理を行い、電子写真方式によって記録用紙Pにカラー画像を形成するものである。
【0023】
画像形成装置100には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。なお、以降、YMCKを区別する必要がある場合は、符号の後にY、M、C、Kの何れかを付して説明し、YMCKを区別する必要が無い場合は、Y、M、C、Kを省略する。
【0024】
画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kは、バックアップロール34と複数の張架ロール32によって張架された無端状の中間転写ベルト30の進行方向に対して、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの順番で直列に配列されている。また、中間転写ベルト30は、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの像担持体としての感光体ドラム12Y,12M,12C,12Kと、それぞれ対向して配設される一次転写ロール16Y、16M,16C,16Kとの間を挿通している。
【0025】
つぎに、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの構成と画像形成の動作とを、イエロートナー画像を形成する画像形成ユニット10Yを代表して説明する。
【0026】
感光体ドラム12Yの表面は、帯電ロール13Yにより一様に帯電される。つぎに、露光装置14Yによりイエロー画像に対応する像露光がなされ、感光体ドラム12Yの表面にイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
【0027】
イエロー画像に対応する静電潜像は、現像装置15Yの現像バイアスが印加された現像ロール18Yに担持されたトナーによって現像され、イエロートナー画像となる。イエロートナー画像は、一次転写ロール16Yの圧接力と、一次転写ロール16Yに印加された転写バイアスによる静電吸引力と、によって、中間転写ベルト30上に一次転写される。
【0028】
この一次転写では、イエロートナー画像は全て中間転写ベルト30に転写されず、一部が転写残留イエロートナーとして、感光体ドラム12Yに残留する。また、感光体ドラム12Yの表面には、トナーの外添剤なども付着している。一次転写後の感光体ドラム12Yは、後述する凝集ロール60Yとの対向位置を通過した後、クリーニング装置20Yとの対向位置を通過し、感光体ドラム12Yの表面の転写残留トナーなどが除去される。この転写残留トナーの除去については後述する。その後、感光体ドラム12Yの表面は、つぎの画像形成サイクルの為、帯電ロール13Yで再び帯電される。
【0029】
図1に示すように、画像形成装置100では、各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、上記と同様の画像形成工程が各画像形成ユニット10Y,10M,10C,10Kにおいて行われ、中間転写ベルト30上に、順次、Y,M,C,Kの各色トナー像が重ねられ、多重トナー像が形成される。
【0030】
そして、所定のタイミングで二次転写位置Aへと搬送されてきた記録用紙Pに、転写バイアスが印加された二次転写ロール36の静電吸引力によって、中間転写ベルト30から多重トナー像が一括して、記録用紙Pに転写される。
【0031】
多重トナー像が転写された記録用紙Pは、中間転写ベルト30から分離された後、定着装置31へと搬送され、熱と圧力とにより記録用紙Pに定着されてフルカラー画像が形成される。
【0032】
記録用紙Pに転写されなかった中間転写ベルト30上の転写残留トナーは、中間転写ベルト用クリーナー33で回収される。
図2に示すように、感光体ドラム12は、矢印2の方向に回転しており、感光体ドラム12の回転方向に対して一次転写ロール16の下流側であってクリーニング装置20の上流側に、感光体ドラム12の表面と接触し、感光体ドラム12表面のトナーや外添剤などの残転写物を凝集する凝集ロール60が設けられている。図2及び図3に示すように、凝集ロール60は、シャフト60Aの周囲に発泡樹脂からなるスポンジ層60Bが形成されたものである。凝集ロール60は感光体ドラム12に所定の圧力で押圧され、スポンジ層60Bが感光体ドラム12の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。
また、クリーニング装置20は、感光体ドラム12に圧接されるクリーニングブレード22を備えている。クリーニングブレード22は、先端部が感光体ドラム12の回転方向上流側に向けて配置されており、感光体ドラム12の付着物を除去する。
感光体ドラム12の回転方向に対してクリーニング装置20の下流側には、感光体ドラム12と接触する帯電ロール13が配設されている。この帯電ロール13は、導電性のシャフト13Aの周囲に帯電層13Bが形成されたものであり、感光体ドラム12の上方部に配置されている。
【0033】
感光体ドラム12の支軸には図示しないモータが連結されており、感光体ドラム12が図2中の反時計回り(矢印2の方向)に回転駆動される。また、感光体ドラム12の回転に従動して凝集ロール60が矢印3の方向に回転する。また、感光体ドラム12の回転に従動して帯電ロール13が矢印4の方向に回転する。なお、凝集ロール60、帯電ロール13は、モータを連結して独自に回転駆動するように構成してもよい。
【0034】
ここで、凝集ロール60の詳細について説明する。
【0035】
凝集ロール60のシャフト60Aの材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用されており、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われてもよく、もちろんそのまま使用してもよい。また、凝集ロール60は、スポンジ層60Bを介して感光体ドラム12と適度なニップ圧力で接触するため、ニップ時に撓みのない強度を持った材質またはシャフト長に対して十分剛性をもったシャフト径が選択される。
【0036】
スポンジ層60Bは、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部(以下、セルという。)が存在し、弾性を有している。このスポンジ層60Bは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR、EPDM、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル、等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたものより選択される。これにより、多数のセルを有するスポンジ層60Bを安価に製造できる。スポンジ層60Bは、感光体ドラム12との従動摺擦により外添剤などの異物を効率的にクリーニングすると同時に、感光体ドラム12の表面にスポンジ層60Bの擦れによるキズをつけないために、また、長期にわたり千切れや破損が生じないようにするために、引き裂き、引っ張り強さなどに強いポリウレタンが特に好ましく用いられる。
【0037】
ポリウレタンとして特に限定するものではなく、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリエステルやアクリルポリールなどのポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネートや4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネートの反応を伴っていれば良く、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパンなど鎖延長剤が混合されていることが好ましい。また、水やアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ化合物などの発泡剤を用いて発泡させるのが一般的である。さらに必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒などの助剤を加えればよい。
【0038】
凝集ロール60のスポンジ層60Bのセル数は40〜80個/25mmであることが好ましく、45〜75個/25mmであることがより好ましい。このようなセル数に設定することで、セルの中にトナーや外添剤などの異物を取り込みやすく、かつ取り込んだ外添剤などの異物を感光体ドラム12へ転移しやすくなる。セル数が80個/25mmより多いとセル径が小さい為に外添剤の取り込み性が低下し、逆にセル数が40個/25mmより少ないとセル径が大きくなりすぎ、取り込んだ外添剤を感光体ドラム12へ転移させる適度な大きさまで固めることが困難となる。
【0039】
また、凝集ロール60の径はφ7mmからφ14mm、より好ましくはφ8mmからφ13mmで、スポンジ層60Bの肉厚が2mmから4mmであることが好ましい。直径が14mm以上であると凝集ロール60の周面1箇所あたりの残転写物に接触する回数が減るので、凝集性能に対する長期安定性には優れるものの小型化の観点から不利である。直径が7mm以下であると画像形成装置を小型化できるので優位であるが、周面1箇所あたりの残転写物に接触する回数が増えるので、長期安定性に対し不利となる。
【0040】
次に、帯電ロール13の詳細について説明する。
【0041】
この帯電ロール13は、導電性のシャフト13A上に帯電層13Bとして導電性弾性層、表面層が順次形成されたものである。
【0042】
帯電ロール13の径はφ7mmからφ15mm、より好ましくはφ8mmからφ14mmで、帯電層13Bの肉厚が2mmから4mmであることが好ましい。直径が15mm以上であると、放電回数が減り、汚れや帯電性能に対する長期安定性には優れるものの小型化の観点から不利である。直径が7mm以下であると画像形成装置100を小型化できるので優位であるが、放電回数が増えるので、長期安定性に対し不利となる。
【0043】
この帯電ロール13であるが、所定の帯電性能を有するものであれば以下の構成に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0044】
シャフト13Aの材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用され、摺動性などの用途に応じ材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理など一般的な処理により加工され導電化処理が行われていてもよい。
【0045】
帯電ロール13の帯電層13Bを構成する上記導電性弾性層は、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、導電性弾性層の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電材等の導電材、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性のシャフト13Aの周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
【0046】
上記導電性弾性層を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0047】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。
【0048】
帯電層13Bを構成する上記表面層は、トナー等の異物による汚染の防止のためなどに形成しているものであり、表面層の材料としては、樹脂、ゴム等の何れを用いてもよく特に限定するものではない。ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。このうち外添剤汚れの観点から、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好ましく用いられる。
【0049】
また上記表面層には導電性材料を含有させ、抵抗値を調整することができる。該導電性材料としては、粒径が3μm以下であるものが望ましい。また、抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックや導電性金属酸化物粒子、あるいはイオン導電剤のような、電子及び/又はイオンを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いることができる。
【0050】
また、上記表面層には、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂が用いられている。特に、フッ素変性アクリレートポリマーで構成されることが好ましい。また、表面層の中に微粒子を添加してもよい。これにより、表面層が疎水性となって帯電ロール13への異物の付着が防止されるように作用する。また、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を添加して、帯電ロール13の表面に凹凸を付与し、感光体ドラム12との摺擦時の負担を小さくして帯電ロール13と感光体ドラム12相互の耐磨耗性を向上させることも可能である。
【0051】
次に、画像形成装置100の作用について説明する。
【0052】
図2に示すように、感光体ドラム12上のトナー像が一次転写ロール16の作用によって中間転写ベルト30に転写された後、感光体ドラム12上に残留しているトナーや外添剤(Si,Tiなど)などの残転写物64は、凝集ロール60とのニップ部に搬送される。残転写物64は、凝集ロール60とのニップ部でスポンジ層60Bのセル内に取り込まれる。ニップ部では、スポンジ層60Bのセル内や表面で圧縮膨張運動が起こり、トナーや外添剤を掻き取りながら凝集させる現象が起こる。そして、トナーや外添剤が凝集してある大きさ以上になると、その凝集物65が凝集ロール60のスポンジ層60Bのセル内から感光体ドラム12側に戻される。なお、図2では、画像形成装置100の作用をわかりやすくするため、残転写物64、凝集物65を模式的に示している。
【0053】
その後、感光体ドラム12表面の凝集物65は、感光体ドラム12の回転によりクリーニングブレード22によってクリーニング装置20内に回収される。残転写物64を粒径の大きい状態に凝集させることで、凝集物65がクリーニングブレード22によってクリーニングされやすくなる。これにより、帯電ロール13を汚す微小な残転写物64がクリーニングブレード22をすり抜けて帯電ロール13に搬送されることを抑制できる。このため、帯電ロール13に微小な残転写物64が付着することを低減でき、帯電不良による画質劣化の発生を防止できる。
【0054】
また、画像形成装置100では、凝集ロール60を感光体ドラム12と接触する位置に設けているので、帯電ロール13と接触する位置にクリーニング装置を設けるよりも省スペース化が可能である。
【0055】
なお、上記画像形成装置100では、感光体ドラム12にクリーニングブレード22を押圧させたが、クリーニングブレード22に代えてクリーニングブラシを設けても良い。
【0056】
次に、本発明の第2実施形態の画像形成装置について説明する。
【0057】
なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図4に示すように、この画像形成装置の画像形成ユニット110には、感光体ドラム12の回転方向に対してクリーニング装置20の下流側であって帯電ロール13の上流側に、感光体ドラム12と接触し、感光体ドラム12表面のクリーニング後の微小物質124を凝集させる凝集ロール120が配設されている。この凝集ロール120は、シャフト120Aの周囲に発泡樹脂からなるスポンジ層120Bが形成されたものである。凝集ロール120は感光体ドラム12に所定の圧力で押圧され、スポンジ層120Bが感光体ドラム12の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。
【0058】
凝集ロール120は、感光体ドラム12の回転に従動して矢印5の方向に回転する。なお、凝集ロール120は、モータを連結して独自に回転駆動するように構成してもよい。
【0059】
凝集ロール120のシャフト120A、スポンジ層120Bの材質及び仕様などは、凝集ロール60のシャフト60A、スポンジ層60Bと同じに設定されている。
【0060】
このような画像形成装置では、クリーニング装置20をすり抜けた感光体ドラム12表面のトナーや外添剤(Si,Tiなど)などの微小物質124は、凝集ロール120とのニップ部に搬送される。この微小物質124は、感光体ドラム12と凝集ロール120とのニップ部でスポンジ層120Bのセル内に取り込まれる。ニップ部では、スポンジ層120Bのセル内や表面で圧縮膨張運動が起こり、微小物質124を掻き取りながら凝集させる現象が起こる。そして、微小物質124が凝集してある大きさ以上になると、その凝集物125が凝集ロール120のスポンジ層120Bのセル内から感光体ドラム12側に戻される。凝集物125は、微小物質124に比べて粒径が大きいため、帯電ロール13との接触部を通過しても、帯電ロール13に付着しにくい。これは、帯電している感光体ドラム12の表面が平滑で静電的にも付着力が強い側に残るため、凝集物125が帯電ロール13を通過していくためと考えられる。すなわち、外添剤はマイナス側に帯電しているので、マイナスの電圧が印加される帯電ロール13よりも感光体ドラム12側に付着しやすい。
【0061】
その後、凝集物125は、感光体ドラム12の回転により、クリーニング装置20や現像装置15の現像ロール18などに回収される。また、感光体ドラム12から中間転写ベルト30に転移した凝集物は中間転写ベルト30の中間転写ベルト用クリーナー33によって回収される。なお、図4では、画像形成装置の作用をわかりやすくするため、微小物質124、凝集物125を模式的に示している。
【0062】
このような画像形成装置では、クリーニング装置20のクリーニングブレード22をすり抜けた微小物質124を凝集ロール120によって凝集させることにより、凝集物125が帯電ロール13に付着しにくくなる。これにより、微小物質124が帯電ロール13に付着して帯電不良を発生させることを抑制でき、画質劣化の発生を抑制できる。
【0063】
次に、本発明の第3実施形態の画像形成装置について説明する。
【0064】
なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0065】
図5に示すように、この画像形成装置の画像形成ユニット130には、感光体ドラム12の回転方向に対して一次転写ロール16の下流側であって、クリーニング装置20の上流側に感光体ドラム12と接触する凝集ロール60が配設され、クリーニング装置20の下流側であって帯電ロール13の上流側に感光体ドラム12と接触する凝集ロール120が配設されている。
【0066】
このような画像形成装置では、感光体ドラム12表面の残転写物や微小物質124が凝集ロール60と凝集ロール120とによって凝集され、ある程度の大きさになると凝集物125として感光体ドラム12に戻される。これにより、微小物質124が帯電ロール13に搬送されることがより一層低減される。このため、微小物質124が帯電ロール13に付着することをより確実に防止でき、帯電不良の発生を抑制できる。
【0067】
次に、本発明の第4実施形態の画像形成装置について説明する。
【0068】
なお、第1実施形態〜第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0069】
図6に示すように、この画像形成装置の画像形成ユニット150には、感光体ドラム12の回転方向に対して一次転写ロール16の下流側であってクリーニング装置20の上流側に、凝集ロール60が配設されている。この凝集ロール60は、ロールには炭素材を含み導電性を有してかつ金属製のシャフト60Aを備えており、シャフト60Aに交番電圧(例えば正弦波AC1kV)を印加する電源152が接続されている。電源152から所定の交番電圧を印加することで、凝集ロール60と感光体ドラム12との間に凝集物65を感光体ドラム12に戻すような交番電界を形成する。これにより、凝集物65が感光体ドラム12に戻され、クリーニング装置20や現像ロール18などによって回収され、微小物質が帯電ロール13に付着するのをより一層抑制することができる。
また、帯電ロール13の斜め上方部には、帯電ロール13の表面に接触するクリーニングロール154が設けられている。このクリーニングロール154は、シャフト154Aの周囲にスポンジ層154Bが形成されたものである。クリーニングロール154は、帯電ロール13に所定の圧力で押圧され、スポンジ層154Bが帯電ロール13の周面に沿って弾性変形してニップ部を形成している。クリーニングロール154のスポンジ層154Bには、凝集ロール60のスポンジ層60Bと同じものが用いられている。これにより、帯電ロール13表面に異物が付着しても、その付着物がクリーニングロール154のスポンジ層154Bに取り込まれて凝集される。そして、凝集物がある程度の大きさになると、凝集物が帯電ロール13に戻され、さらに感光体ドラム12に戻されてクリーニング装置20や現像ロール18などによって回収される。このため、帯電ロール13に付着した微小物質による帯電不良の発生をより一層抑制することができる。
なお、図6に示す画像形成装置では、クリーニングロール154に代えて、帯電ロール13の表面の付着物を除去するクリーニングパッドやクリーニングブラシなど、他のクリーニング部材を配設しても良い。
【0070】
なお、上記実施形態の画像形成装置100は、中間転写ベルト30の移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを並設する構成であったが、この構成に限定するものではない。例えば、回転式現像装置を用いて感光体ドラムへのトナー像の形成を4サイクル繰り返して行う画像形成装置であっても、感光体ドラム、帯電ロール及びクリーニング装置を備えた構成に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の画像形成ユニットであって、感光体ドラムと凝集ロール付近の構成を示す構成図である。
【図3】図1に示す画像形成装置において、感光体ドラムと凝集ロール付近の構成を示す側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットを示す概略構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットを示す概略構成図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の画像形成ユニットを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0072】
10Y,10M,10C,10K 画像形成ユニット
12Y,12M,12C,12K 感光体ドラム
13 帯電ロール
13A シャフト
13B 帯電層
15 現像装置
16 一次転写ロール
18 現像ロール
20 クリーニング装置
22 クリーニングブレード
30 中間転写ベルト
60 凝集ロール(第1凝集部材)
60A シャフト
60B スポンジ層
64 残転写物
65 凝集物
100 画像形成装置
110 画像形成ユニット
120 凝集ロール(第2凝集部材)
120A シャフト
120B スポンジ層
124 微小物質
125 凝集物
130 画像形成ユニット
150 画像形成ユニット
152 電源
154 クリーニングロール(クリーニング部材)
154A シャフト
154B スポンジ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される像担持体と、前記像担持体を接触帯電させる接触帯電装置と、帯電後に前記像担持体に像光を照射して静電潜像を形成する像書き込み装置と、前記静電潜像をトナーで現像する現像装置と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する転写装置と、転写後に前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、を備えた画像形成装置であって、
前記像担持体の回転方向に対して前記転写装置の下流側であって、前記クリーニング装置の上流側に、前記像担持体と接触し、前記像担持体の表面の残転写物を凝集する第1凝集部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1凝集部材は、発泡性ロールであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
回転駆動される像担持体と、前記像担持体を接触帯電させる接触帯電装置と、帯電後に前記像担持体に像光を照射して静電潜像を形成する像書き込み装置と、前記静電潜像をトナーで現像する現像装置と、前記像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写する転写装置と、転写後に前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置と、を備えた画像形成装置であって、
前記像担持体の回転方向に対して前記クリーニング装置の下流側であって、前記接触帯電装置の上流側に、前記像担持体と接触し、前記クリーニング装置を通過した前記像担持体の表面の微小物質を凝集する第2凝集部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第2凝集部材は、発泡性ロールであることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体の回転方向に対して前記クリーニング装置の下流側であって、前記接触帯電装置の上流側に、前記像担持体と接触し、前記クリーニング装置を通過した前記像担持体の表面の微小物質を凝集する第2凝集部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記接触帯電装置が前記像担持体表面と接触回転しながら帯電させる帯電ロールであり、
前記帯電ロールをクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1凝集部材又は前記第2凝集部材には、交番電圧が印加されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−286328(P2007−286328A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113234(P2006−113234)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】