説明

画像形成装置

【課題】機能部材に印加したバイアス電圧が隣接する機能部材に漏洩しないようにした画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体5の周りに複数の機能部材6,7,8,9が配置された画像形成装置1において、機能部材のうちバイアス電圧が印加される機能部材6,8と、バイアス電圧が印加される機能部材6,8に隣接する機能部材9との間に、導電層10aの両側に絶縁層10bを有するシールド部材10を設け、導電層10aを接地する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機など、電子写真方式の画像形成装置は、感光体の周りに感光体を帯電させる帯電器、帯電した感光体を選択的に露光して静電潜像を形成する露光器、静電潜像に現像剤(トナー)を供給する現像器等の複数の機能部材が配置されている。
【0003】
他の機能部材の例として、特許文献1には、感光体に残留する現像剤を現像器で回収するクリーナレスプロセスを実現するために、感光体の周りに、現像剤の電荷を調整する帯電ブラシのような荷電制御部材を設けることが記載されている。
【0004】
また、さらなる機能部材の例として、特許文献2には、感光体を均等に摩耗させるために、感光体の周りに、例えばスポンジ状の削り部材をさらに設けることが記載されている。
【0005】
帯電器や荷電制御部剤には、直流成分と正弦波または矩形波の交流成分とからなるバイアス電圧が印加されるが、画像形成装置を小型化するために機能部材間の距離を短くすると、帯電器や荷電制御部剤から隣接する他の機能部材に電荷の漏れが発生する場合がある。特に、バイアス電圧の交流成分は、隣接する機能部材に漏れ出して、予期しない漏れ電圧を生じさせる問題があった。
【0006】
例えば、荷電制御部材のバイアス電圧が削り部材に漏れ電圧を生じさせると、削り部材の表面で異常放電が発生し、トナーを感光体に付着させるフィルミングの原因となる。
【特許文献1】特開平9−33500号公報
【特許文献2】特開平11−72153号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記問題点に鑑みて、本発明は、機能部材に印加したバイアス電圧が隣接する機能部材に漏洩しないようにした画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明によれば、感光体の周りに複数の機能部材が配置された画像形成装置において、前記機能部材のうちバイアス電圧が印加される機能部材と、前記バイアス電圧が印加される機能部材に隣接する機能部材との間に、導電層を有するシールド部材を設け、前記導電層を接地したものとする。
【0009】
この構成によれば、機能部材に印加されたバイアス電圧の電荷が隣接する機能部材に漏洩して、隣接する機能部材の作用に悪影響を与えることがない。
【0010】
また、本発明による画像形成装置において、前記シールド部材は、前記導電層の両側に絶縁層を有してもよい。
【0011】
この構成によれば、機能部材とシールド部材との絶縁が確保されるので、機能部材がシールド部材の導電層を介して地絡されて機能不全を起こす心配がない。
【0012】
また、本発明による画像形成装置において、前記機能部材は、前記感光体上に残留する現像剤の電荷を調整するトナー荷電制御部材と、前記感光体を均等に摩耗させるように前記感光体に接触する削り部材とを含み、前記シールド部材は、前記削り部材と他の前記機能部材との間に設けられてもよい。
【0013】
この構成によれば、バイアス電圧を印加した機能部材から削り部材に電荷が漏出して、感光体に現像剤のフィルミングを発生させることがない。
【0014】
また、本発明による画像形成装置において、前記シールド部材を挟む前記機能部材間の隙間の最小値が10mm以下であってもよい。
【0015】
従来、バイアスを印加した機能部材と隣接する機能部材との隙間を10mm以下にすると、現像剤を完全に制御することができなくなるような漏れ電圧を生じていたが、本発明によりシールド部材を設けたことによって、機能部材間の隙間を10mm以下にしても不具合を発生させない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置1の概略図である。画像形成装置1は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色のトナー(現像剤)によってそれぞれ画像を形成する画像形成ユニット2K,2C,2M,2Yを有し、各画像形成ユニット2K,2C,2M,2Yが形成したトナーの画像をそれぞれ1次転写ローラ3によって中間転写ベルト4に1次転写するようになっている。
【0017】
画像形成ユニット2K,2C,2M,2Yは、それぞれ、回転するドラム状の感光体5を有し、感光体の周りに複数の機能部材、具体的には、感光体を帯電させる帯電ローラ6、感光体にトナーを供給する現像ローラ7、中間転写ベルト4に1次転写されずに感光体5上に残留するトナーの電荷を調整するトナー荷電制御ブラシ(トナー荷電制御部材)8、および、感光体5を均等に摩耗させるように感光体5に当接するスポンジ状の削り部材9が配置されている。
【0018】
さらに、トナー荷電制御ブラシ8と削り部材9との間、および、帯電ローラ6と削り部材9との間には、それぞれシールド部材10が設けられている。
【0019】
また、中間転写ベルト4は、駆動ローラ11および従動ローラ12に掛け渡されて回動し、従動ローラ12に対向する2次転写ローラ13との間に送り込まれる記録紙Pに、トナー画像を2次転写する。さらに、画像形成装置1は、2次転写されずに中間転写ベルト4上に残留するトナーを掻き取るクリーニング部材14を有している。
【0020】
図2に、画像形成ユニット2Kの構成を詳細に示す。なお、図示しないが、画像形成ユニット2C,2M,2Yも、同一の構成である。
【0021】
例えば、帯電ローラ6には、直流成分Vd6=−550(V)および正弦波交流成分Vp6=1200(V)(2kHz)のバイアス電圧が印加され、トナー荷電制御ブラシ8には、直流成分Vd8=−100(V)および矩形波交流成分Vp8=1000(V)(1kHz、デューティ50%)のバイアス電圧が印加され、削り部材9には、直流Vd9=−500Vのバイアス電圧が印加される。
【0022】
シールド部材10は、薄い金属板からなる導電層10aと、導電層10aの両側をそれぞれ覆う絶縁体からなる絶縁層10bとで形成されている。導電層10aは、それぞれ電気的に接地されている。
【0023】
本実施形態において、帯電ローラ6と削り部材9との隙間の最小値(最接近距離)は、例えば1mm程度であり、この僅かな隙間にシールド部材10を介在させている。
【0024】
続いて、本実施形態の画像形成装置1の作用について説明する。
本実施形態では、感光体5は、帯電ローラ6によってマイナスに均一に帯電させられ、不図示の露光機で部分的に放電させられてマイナス電位を低下させられ、この、マイナス電位の低い部分に、静電気力によって現像ローラ7から供給されるマイナス電荷を有するトナーを担持する。1次転写ローラは、静電気力により、感光体5上のトナーを吸着することで中間転写ベルト4に1次転写する。
【0025】
前記1次転写において、僅かながらプラス帯電するトナーがあり、プラス帯電したトナーは感光体5上に残留する。トナー荷電制御ブラシ8は、感光体5上に残留するトナーにマイナスの電荷を与えることで、トナーの電荷を所定のマイナスの値に調整する。また、トナー荷電制御ブラシ8はトナーを掃き散らして、感光体5上に偏りなく存在するように分散させる働きをも有する。
【0026】
削り部材10は、感光体5に当接しているが、マイナスの電位を与えられているため、トナー荷電制御ブラシ8によってマイナスに帯電させられているトナーを感光体5から引き剥がすことができない。換言すると、マイナスの電荷を有するトナーは、削り部材10に反発することで、感光体5上に付着したまま感光体5の回転に従って削り部材10をすり抜けて下流側に移動する。マイナスの電荷を有するトナーは、やはり、マイナスに帯電した帯電ローラもすり抜ける。現像ローラ7に至ったマイナスの電荷を有するトナーは、静電気力によって現像ローラ7に付着して回収される。
【0027】
本実施形態においては、帯電ローラ6から、特にバイアス電圧高周波成分Vd6によって削り部材9に向かって漏洩する電荷は、シールド部材10の導電層10aに捉えられ、接地ラインを介してグランドに逃がされる。また、トナー荷電制御ブラシ8から、削り部材9に向かって漏洩する電荷も、シールド部材10の導電層10aに捉えられて接地される。
【0028】
このため、削り部材9は、帯電ローラ6やトナー荷電制御ブラシ8から漏出した電荷によって漏れ電圧が励起されることがなく、バイアス電圧Vd9によってマイナスに帯電して、マイナスに帯電したトナーを感光体5に付着したまま擦過させる。
【0029】
本実施形態と同じ条件で、シールド部材10を取り除くと、削り部材9には、約200(V)の交流の漏れ電圧が励起され、トナーに対して異常放電する。このため、トナーが現像ローラ7に移動できる電荷を失い、感光体5に継続的に残留し続け、やがてフィルミングを発生する。しかしながら、本実施形態では、シールド部材10を設けたことで、削り部材9には漏れ電圧が全く励起されず、フィルミングの発生も皆無である。
【0030】
また、本実施形態では、帯電ローラ6と削り部材9との僅かな隙間にシールド部材10を介在させているが、導電層10aを絶縁層10bで覆っているので、シールド部材10が変形したり隙間に異物が付着したとしても、帯電ローラ6が導電層10aと電気的に接続されることがないので、帯電ローラ6が地絡されて感光体5を帯電させられなくなる機能不全を起こさない。
【0031】
さらに、条件を変えて実験を行った結果、削り部材9に100(V)以上の漏れ電圧が励起されると感光体5にフィルミングが発生すること、および、シールド部材10を設けない場合には帯電ローラ6と削り部材9との隙間の最小値が10mm以下になると削り部材9に100(V)以上の漏れ電圧が励起されることが確認された。つまり、帯電ローラ6と削り部材9との隙間の最小値を10mm以下にする場合には、その隙間にシールド部材10を設ける必要があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の概略図。
【図2】図1の画像形成装置の画像形成ユニットの概略図。
【符号の説明】
【0033】
1 画像形成装置
5 感光体
6 帯電ローラ(機能部材)
7 現像ローラ(機能部材)
8 トナー荷電制御ローラ(機能部材)
9 削り部材(機能部材)
10 シールド部材
10a 導電層
10b 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体の周りに複数の機能部材が配置された画像形成装置において、
前記機能部材のうちバイアス電圧が印加される機能部材と、前記バイアス電圧が印加される機能部材に隣接する機能部材との間に、導電層を有するシールド部材を設け、
前記導電層を接地したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シールド部材は、前記導電層の両側に絶縁層を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記機能部材は、前記感光体上に残留する現像剤の電荷を調整するトナー荷電制御部材と、前記感光体を均等に摩耗させるように前記感光体に接触する削り部材とを含み、
前記シールド部材は、前記削り部材と他の前記機能部材との間に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シールド部材を挟む前記機能部材間の隙間の最小値が10mm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−310185(P2007−310185A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139740(P2006−139740)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】