説明

画像形成装置

【課題】 原稿読み取り装置と記録装置を有する画像形成装置において、原稿読み取り装置と記録装置間のデータ系配線のノイズによるデータ化けや、接触による配線不良を防止する。
【解決手段】 原稿読みとり装置と記録装置を有する画像形成装置において、原稿読みとり装置と記録装置は1つ以上の回転支持部を軸として可動して、回転支持部と異なる位置に原稿読み取り装置と記録装置の電気信号のやり取りを行なう配線を収容する配線収容手段を備えた画像形成装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読み取り装置と記録装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
装置本体をコンパクトにするために、記録装置の上部に原稿読み取り装置を有し、記録装置と原稿読み取り装置の間に印刷された用紙を排出する排出部を設けた画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、排出部に積載された用紙を取出しやすくするために、記録装置に対して原稿読み取り装置を開閉する機構を設けた例がある。(例えば特許文献1)
一般に、記録装置から原稿読み取り装置への電力供給と画像データの送受が行なわれるが、このような場合、原稿読み取り装置の支持部に配線を設けることが考えられる。
【0003】
【特許文献1】特許第3433740号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原稿読み取り装置を開閉する際に、原稿読み取り装置と記録装置との間の配線を外側に飛び出す構成とすると、使用者は配線を触ることができ、不用意に接触することによる断線、短絡、データ化けなどが発生する場合がある。
【0005】
また、配線が原稿読み取り装置と記録装置との間に内包された場合であっても、原稿読み取り装置の支持部に集中して配線され、断線や折れ、ノイズによるデータ化けの可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
原稿を読み取って画像信号に変換する原稿読みとり装置と用紙に印刷を行なう記録装置を有し、原稿読み取り装置と記録装置は電気的配線によって接続されている画像形成装置において、原稿読みとり装置と記録装置は少なくとも1つの回転支持部によって接続されて記録装置に対して原稿読み取り装置が回動する構成であり、回転支持部とは異なる位置に電気的配線を収容する配線収容手段を設けた画像形成装置とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、記録装置と原稿読み取り装置との配線を保護でき、データ化けを防止する画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図を用いて説明する。
【0009】
本発明を適用する画像形成装置の模式図を図1に示す。本実施例の画像形成装置は、記録装置1と原稿読み取り装置4に大別でき、複写機能,プリンタ機能などを有する一般に複合装置と呼ばれるものである。記録装置1は、一般的な電子写真方式を用いており、現像器よりトナーが供給され、帯電器によって帯電された感光体表面に現像される。現像されたトナーは、所定の電界が与えられ中間転写体もしくは用紙に転写される。さらに用紙に付着したトナーは定着器によって定着され、排紙ローラによって排紙トレイに送り出され、印刷画像となる。用紙は用紙カセットより供給され、印刷タイミングに従って給紙ローラを回転し、レジストローラへ供給し、印刷画像に合わせて転写ローラで転写する。
【0010】
また原稿読み取り装置4は、透過台と原稿カバー5とに挟まれた原稿を、透過台に内包された原稿センサ(図示せず)によって読み取る構成である。原稿センサは光学式センサが用いられ、ライン状や面状の形状を用いる。もちろん点状センサを走査する方法を用いても良い。ライン状センサは走査することによって面状の画像(原稿)を読みとることができる。面状センサはCCDセンサなどを用いても良い。以上のセンサを用い、画像サイズを変更する方法として、光学レンズもしくは画像処理回路を有する場合がある。
【0011】
記録装置1と原稿読み取り装置4との接続は、支持台(ラック)を用いた配置もあるが、記録装置1に設けた支持部によって接続される。
本実施例の原稿読みとり装置4と記録装置1は、少なくとも1つ以上の回転支持部12を軸として可動して、原稿読み取り装置4が回動するとともに、回転支持部12と異なる位置に配線を収容する配線収容手段を有している。回転支持部12を有することによって、記録装置1の消耗品交換、定期交換ユニットの交換、ジャム紙の排除などメンテナンスを行うときに、原稿読み取り装置1を回動することができる。このことによって、記録装置の上部の扉を開けることによって、交換,メンテナンスが可能となり、画像形成装置の操作性を向上している。本実施例では、回転支持部12は図5に示すように記録装置1の側部付近に一対ずつ設けた構成であり、回転支持部12付近に記録装置1からの用紙排出部を設けている。
【0012】
原稿読み取り装置4は、記録装置1に対して支持手段たる支持レバー11によって支えられ、メンテナンス中の原稿読み取り装置4の落下を防止している。本実施例では、配線収容手段が、回転支持部12と支持レバー11との間に配置されている。
本実施例においては、原稿読み取り装置4への配線として電力系配線7とデータ系配線8を少なくとも2系統以上に分離している。これにより電力系配線7に発生するノイズによって、データ系配線8を送信される画像データのデータ化けを防止することができる。原稿読み取り装置4には、原稿読み取り装置の読み取り制御部6が設けられており、記録装置1のコントローラ回路3との間に設けられたデータ系配線8によって画像データの送受信が行われる。さらにコントローラ部3によって生成された画像データをエンジン制御部2に送付し、現像器,帯電器,感光体等を有するエンジンにて用紙に印刷を行う。
配線収容手段は少なくとも2つ以上の部品で構成され、原稿読み取り装置4の回動とともに折れ曲がるように構成している。即ち、配線収容部は、原稿読み取り装置4が開いたときに開放部方向からの接触を防止する第一の保護部材9と、回転支持部12への巻き込みを防止する第二の保護部材10を有している。すくなくともこの2つ以上の部品を用いることにより、データ系配線8を折り曲げながら接続することができる。
【0013】
以下、図2を用いて説明する。
第一の保護部材9は、原稿読み取り装置4との接続部21と、記録装置1との接続部27間のデータ系配線8を保護するために、長尺とする。特に開放側に壁31を設けることで、原稿読み取り装置4を開いたときに、第一の保護部材9により開放側からデータ系配線8への接触を防ぐことができる。またデータ系配線8が開放側に飛び出るのを防ぐことができる。またガイド部22を用いたことにより壁31に沿って配線することができる。
【0014】
また第二の保護部材10は、第一の保護部材9に連結されている。その連結部23は第一の保護部材9の端部32ではなく、端部32より内側に入った点で連結すると良い。例えば図2に示す「人」の字のように構成されることで、データ系配線8が開放側に飛び出るのを防ぐことができる。図4に示すように端部32が第二の保護部材10の回転支持部27に近づくことによってデータ系配線8を保護できる。
【0015】
さらに第二の保護部材10の壁25を回転支持部12側に置くことで、データ系配線8が回転支持部12に挟まれることを防止する。また、壁25と壁26によって、データ系配線8を第二の保護部在10内に収めておくことができる。さらに第一の保護部材9と第二の保護部材10の連結部分は、図4に示すように伸びたときに箱形状の空間を提供出来る。また屈曲したときに図3に示すように箱形状が開かれることでデータ系配線8の屈曲部に大きな半径を提供でき、配線の損傷を防止できる。
第一の保護部材9は、原稿読み取り装置4側に接続される。一般に配線部への接触は上方からのアクセスになることと、上方からの埃などの汚れを防止する効果を有する。
【0016】
原稿読み取り装置4への配線のうち、駆動手段の電力系配線7と、画像データを送受するデータ系配線8を別経路とする。また配線収容手段を用いた配線は、画像データを通信するデータ系配線8である。なぜなら回転支持部12周辺には電力系配線7を置き、太い配線が大きく伸縮、屈曲することが無いようにするためである。
【0017】
データ系配線8は、平面状配線を用いる場合がある。データの送受には少電流でできるため、配線を細くできる。そのため伸縮、屈曲に対して強く、原稿読み取り装置4と記録装置1の内包に配置される配線には、最適である。一方、電力系配線7に平面状配線を用いても良いが、原稿読み取り装置4の駆動装置であるモータ(図示せず)にステッピングモータを用いる場合が多く、電流も多いため、平面状配線を用いない場合が多い。
【0018】
本発明の実施例は、記録装置1として電子写真装置を例に説明したが、インクジェット方式、熱転写方式などを含むプリンタいずれの場合でも可能である。従って、これと原稿読み取り装置を組み合わせた複合装置において適用することができる。
【0019】
また配線収容部材は2部品を用いた場合について説明しているが、3部品以上を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例である画像形成装置の模式図である。
【図2】本発明の実施例である配線収容手段の模式図である。
【図3】配線収容手段を折り曲げた模式図である。
【図4】配線収容手段を伸ばした状態の模式図である。
【図5】配線収容手段付近の斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1…記録装置、2…エンジン制御部、3…コントローラ部、4…原稿読み取り装置、5…原稿カバー、6…読み取り制御部、7…電力系配線、8…データ系配線、9…第一の保護部材、10…第二の保護部材、11…支持レバー、12…回転支持部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像信号に変換する原稿読みとり装置と用紙に印刷を行なう記録装置を有し、前記原稿読み取り装置と前記記録装置は電気的配線によって接続されている画像形成装置において、
前記原稿読みとり装置と前記記録装置は少なくとも1つの回転支持部によって接続されて前記記録装置に対して前記原稿読み取り装置が回動する構成であり、
前記回転支持部とは異なる位置に前記電気的配線を収容する配線収容手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記配線収容部は前記記録装置の側部に設けられ、少なくとも2つ以上の部品を有し回動とともに折れ曲がる構成であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記配線収容部は、前記原稿読み取り装置が開くように回動したときに、開放された側からの接触を防止する第一の保護部材と、前記回転支持部への巻き込みを防止する第二の保護部材を有することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第一の保護部材は、前記第二の保護部材よりも長尺であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一の保護部材は、前記原稿読み取り装置側に接続されることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
原稿読み取り装置と記録装置の電気的配線のうち、前記原稿読み取り装置が有する駆動手段へ前記記録装置から電力を送信する電力系配線と、前記原稿読み取り装置から前記記録装置へ画像データを送信するデータ系配線が別経路であり、前記配線収容手段に収容される電気的配線はデータ系配線であることを特徴とする請求項1乃至5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−67811(P2007−67811A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251077(P2005−251077)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】