説明

画像形成装置

【課題】小型化が可能で、かつトナーの飛び散りによる画像品位の低下を防ぐことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像が片面に定着されたシートPを反転させて再度、転写部54に搬送する際、第1湾曲部R1を通過したシートを第2湾曲部R2によって第1湾曲部R1と逆方向に湾曲させながら案内することにより、第1湾曲部R1を通過する際、シートPに生じたカールの矯正を行う。さらに、第3湾曲部R3の曲率半径を、第3湾曲部R3を案内される際、シートPに生じるカールの量を小さくしてシートを転写部54を経て定着部55に向かわせるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に片面に画像が形成されたシートを反転させ、シートの裏面に画像を形成するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式の画像形成装置において、シートに画像を形成する際は、まず画像形成部にて形成されたトナー像を転写部にてシートに転写するようにしている。そして、この後、定着部によってトナー像を加熱、加圧してシート上にトナー像を定着させることによりシート上に画像を形成するようにしている。
【0003】
ところで、このような画像形成装置としては、トナー像が片面に定着されたシートを反転させて転写部に再度搬送するための再搬送通路を備えたものがある。そして、シートの両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成されたシートを反転させて、転写部に再度搬送することにより、シートの裏面に画像を形成する、自動両面機能を有するものがある。
【0004】
図6は、このような自動両面機能を有する画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図である。
【0005】
図6において、100は有機感光体ドラム、200はレーザスキャナである。そして、帯電手段201により一様に帯電された有機感光体ドラム表面にレーザスキャナ200によって画像情報に応じたレーザ露光が行われることにより、有機感光体ドラム表面には静電潜像が形成される。さらに、この静電潜像は、現像器300により現像されてトナー像となる。
【0006】
一方、このようなトナー像形成タイミングに合せてシート給送部900により、シートPが有機感光体ドラム100と転写ローラ400とにより構成される転写部に搬送される。そして、転写ローラ400にトナーと逆極性のバイアスが印加されることにより、転写部を通過する際に、有機感光体ドラム上のトナー像がシートPの第1面上に転写される。
【0007】
次に、このように第1面にトナー像が転写されたシートPは、定着部501を構成する加熱ローラ500及び加圧ローラ550によって加熱及び加圧されることにより、トナー像の定着が行われる。ここで、この後、シートPの第2面に対して画像形成が行われる場合には、シートPは第1面に画像が形成されたシートを反転させて、画像形成部(転写部)に再度搬送するための反転ユニット600に案内される。そして、この反転ユニット600により印字面である第1面の反転が行われた後、シートPは転写部に再度搬送され、シートPの2面目(裏面)にトナー像が転写された後に排出される。
【0008】
ところで、このような構成のプリンタでは、反転ユニット600内でシートPを反転させることが可能であるため、画像形成途中のシートPは一部といえども機外に突出することはない。しかし、このような構成の場合、反転ユニット600内の再搬送通路Rは、少なくともシートカセット901の長さ以上になるため、両面印字を行った際のファースト・プリントアウト・タイム(FPOT)が長くなる。また、設置占有面積が大きくなるため、個人向けのプリンタには適さない。
【0009】
そこで、例えばシートの排出部付近に配置された排紙ローラを正逆転可能な構成とし、排紙口からシートの一部を露出させた後に、シートを排出方向とは逆方向に搬送させて、シートの両面に画像を形成する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
図7は、このような従来の画像形成装置の構成を示すものであり、図7において、51は有機感光体ドラム、52は不図示の半導体レーザ、ポリゴンミラー、f−θレンズ等からなるレーザスキャナである。そして、不図示の帯電手段により一様に帯電された有機感光体ドラム上にレーザスキャナ52によって画像情報に応じたレーザ露光が行われることにより、有機感光体ドラム上には静電潜像が形成される。さらに、この静電潜像は、現像器53により現像されてトナー像となる。
【0011】
一方、このようなトナー像形成タイミングに合せてシート給送部70及び給紙搬送ローラ54によりシートPが有機感光体ドラム51と転写ローラ55とにより構成される転写部に搬送される。そして、転写ローラ55にトナーと逆極性のバイアスが印加されることにより、転写部を通過する際、有機感光体ドラム上のトナー像がシートPの第1面上に転写される。
【0012】
次に、このように第1面上にトナー像が転写されたシートPは、転写搬送ガイド56により加熱ローラ57及び加圧ローラ58を備えた定着部71に案内される。そして、加熱ローラ57及び加圧ローラ58に挟持搬送されて加圧及び加熱されることにより、トナー像が定着される。
【0013】
ここで、自動両面画像形成(印字)の場合に、シートPは、シート後端が排紙ローラ59に挟持されている状態で一時停止されると共に、フラッパ60の回動動作及び排紙ローラ59の逆転により反転パス61に案内される。そして、反転パス61を経由した後、シートPは、再び給紙搬送ローラ54を通過して転写部に案内され、さらに転写ローラ55により2面目の画像が転写された後に定着部71により定着され、この後、排紙ローラ59により排紙トレイ69上に排出される。
【0014】
ところで、このような画像形成装置の場合に、自動両面画像形成(印字)を行う際には、1面目の画像定着後にシートPの一部が排紙トレイ69に突出した後に、装置内に取り込まれる動作が行われる。つまり、反転動作が排紙トレイ上で行われる。そして、このように反転動作を排紙トレイ上で行うことにより、反転経路の一部が省略されると共に、カセット長とは関係しない方向にシートが案内される。
【0015】
これを図6に示す構成のプリンタと比較すると、大幅に短い経路でシートPを、転写部に再度案内することが可能になる。これにより、装置の小型化、低コスト化が可能になると共に、シートの搬送スピードが同等であれば、図6に示した構成と比較して大幅に短い時間で両面に画像が形成されたシートの出力が可能になる。
【0016】
また、図7に示された構成の画像形成装置は、給紙から転写、定着までのシート搬送路をシートの設置面、もしくはカセット設置面に対し略直交する方向としたことで、搬送距離を短く設計することができると共に、小型化が可能になる。これに対し、図6に示した構成の画像形成装置(プリンタ)は、給紙から転写、定着までの搬送路を短く設計しても、設置面積や装置の小型化には、ほとんど寄与しない。
【0017】
【特許文献1】特開2001−206590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、図7に示す従来の画像形成装置の場合、反転搬送ローラ62等を備えた反転パス61は、湾曲部R10,R20を有している。これにより、定着後、比較的高温な状態のシートPが反転パス61を一方向に通過すると、反転パス61の湾曲部R10,R20に沿ったカール(クセ)が付き易い。
【0019】
ここで、このように反転パス61の湾曲部R10,R20と同方向のクセがシートの先端領域についた場合の問題点について、図8を用いて説明する。
【0020】
図8は、図7における転写〜定着領域の拡大図である。図8において、矢印d1は有機感光体ドラム51と転写ローラ55とにより形成される転写部(転写ニップ)を通過するシートPの進行方向、矢印d2は加熱ローラ57及び加圧ローラ58により形成される定着ニップを通過するシートPの進行方向を表している。また、転写搬送ガイド56は、シートPの2つの進行方向d1,d2を結ぶ曲面を有しており、転写後のシートPは転写搬送ガイド56に沿って定着部71に案内される。
【0021】
ここで、1面目の定着後に反転パス61を通過する際、シートPはトナー転写面が凸になる方向にカールすると共に定着ニップへの突入直前までは、トナー転写面が凸になる形状を維持して搬送される。つまり、定着ニップ突入直前におけるシートPは、P1で示した破線の姿勢をとる。
【0022】
そして、この後、定着ニップに突入すると、定着部71による搬送の影響を強く受けるため、シートPの先端部は、定着ニップに突入した瞬間に、その剛性(コシ)により、P2で示した実線の姿勢に変化する。つまり、シート先端付近は、矢印αで示した方向に瞬間的に姿勢を変える。そして、このように瞬間的に姿勢を変える際、そのときの衝撃によりシート上の未定着トナーが飛び散る場合があり、これにより画像品位が低下するという問題があった。
【0023】
なお、このような定着前でのトナー飛び散りを低減させる方法として、例えば、図7に示す排紙ローラ59の近傍に不図示のカール矯正部を配置させ、定着直後、シートPに対して反転パス61の湾曲方向と逆向きのカール付けを行うようにしている。しかし、このようにカール矯正部を設けても、シートPは、既述したように定着直後の比較的温度の高い状態で連続して一定方向の湾曲面を通過するため、湾曲面に倣う方向のカール付けがなされてしまう。
【0024】
なお、図6に示すように転写と定着との間の距離を長くとり、かつ転写位置でのシート搬送方向と定着位置でのシート搬送方向が成す角度を小さくすることで、定着ニップにシート先端が突入した際のショックを和らげることができる。しかし、このような構成では、既述したように転写と定着との間の距離を短縮化することができない。
【0025】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、小型化が可能で、かつトナーの飛び散りによる画像品位の低下を防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、画像形成部と、前記画像形成部にて形成されたトナー像をシートに転写する転写部と、前記転写部により転写されたトナー像をシートに定着させる定着部と、シートの両面に画像を形成する際、前記トナー像が片面に定着されたシートを反転させて再度、前記転写部に搬送するための再搬送通路を備えた画像形成装置において、前記再搬送通路は、前記片面にトナー像が定着されたシートを湾曲させながら案内する第1湾曲部と、前記第1湾曲部のシート搬送方向下流に設けられ、前記シートを前記第1湾曲部と逆方向に湾曲させながら案内する第2湾曲部と、前記第2湾曲部のシート搬送方向下流に設けられ、前記シートを前記第1湾曲部と同方向に湾曲させながら案内して、前記転写部に向かわせる曲率半径が前記第1湾曲部の曲率半径よりも大きい第3湾曲部と、をすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明のように、再搬送通路を搬送する際に、シートに生じたカールの矯正を行うことができる。そして、カール量を小さくしてシートを転写部を経て定着部に向かわせるようにしたため、装置の小型化が可能であり、トナーの飛び散りによる画像品位の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。
【0030】
図1において、50はレーザビームプリンタ、51はレーザビームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このレーザビームプリンタ50は、画像形成部52と、画像形成部52にシートPを給送するシート給送装置53と、シートPにトナー像を転写する転写部54とを備えている。また、転写部54にて転写されたトナー像をシートPに定着させる定着部55を備えている。
【0031】
ここで、画像形成部52は、像担持体である有機感光体ドラム1、現像器3、感光体ドラム1の表面を露光して感光体ドラム上に静電潜像を形成するレーザスキャナ2と、不図示の帯電ローラ等を備えている。また、シート給送装置53はシートPを積載する給紙トレイ53aと、給紙トレイ上のシートPを1枚ずつ給送する給送ローラ53bを備えている。
【0032】
転写部54は、有機感光体ドラム1と、有機感光体ドラム1に圧接して転写ニップを形成すると共に、この転写ニップをシートPが通過する際、感光体ドラム1上のトナー画像をシートPに転写する転写ローラ5により構成されている。
【0033】
なお、矢印d1は転写ニップを通過するシートPの進行方向、矢印d2は定着ニップを通過するシートPの進行方向を表している。また、6は転写搬送ガイドであり、この転写搬送ガイド6は、シートPの2つの進行方向d1,d2を結ぶ湾曲部R4を有している。そして、転写後のシートP、又は第1面に画像が形成された後に反転されて2面目にトナー像が転写されたシートPは、この転写部54と定着部55の間のシート搬送経路を構成する湾曲した転写搬送ガイド6に沿って定着部55に案内されるようになっている。
【0034】
次に、このように構成されたレーザビームプリンタ50における画像形成動作について説明する。
【0035】
画像形成動作が開始されると、まず有機感光体ドラム1は矢印方向に回転し、不図示の帯電ローラによって所定の極性、所定の電位に一様に帯電される。そして、表面が帯電された後の有機感光体ドラム1に対し、レーザスキャナ2のレーザ発光部から画像情報に基づいてレーザ光Lが照射され、有機感光体ドラム1上には静電潜像が形成される。次に、この静電潜像は、現像器3により現像されてトナー像として可視化される。
【0036】
一方、このようなトナー像形成動作に並行して給紙トレイ53aに積載収納されているシートPが、給送ローラ53bにより送り出された後、レジストローラ4に搬送される。そして、このようにレジストローラ4に搬送されたシートPは、レジストローラ4により斜行が補正された後に有機感光体ドラム1上に形成される潜像とのタイミングをとって転写部54に搬送される。この後、この転写部54にて感光体ドラム上に形成されたトナー像が転写ローラ5によりシートP上の所定位置に転写される。
【0037】
次に、このようにトナー画像が転写されたシートPは、加熱ローラ7及び加圧ローラ8を備えた定着部55に搬送され、この定着部55において、未定着トナー像が加熱・加圧されてシート表面に定着される。
【0038】
なお、本レーザビームプリンタ50は、シートPへの両面印字を行う両面プリントモードと、片面(1面)にのみ印字を行う片面プリントモードを備えている。そして、片面プリントモードの場合には、片面に転写されたトナー像に対する定着処理の後に、シートPは正逆転可能な排出ローラ9によりプリンタ本体上面に設けられた排出トレイ19上に排出される。
【0039】
また、両面プリントモードの場合には、片面に転写されたトナー像に対する定着処理の後、シートPは、まずシート後端が排紙ローラ9に挟持されている状態で一部が排出トレイ19上に送り出された後に一時停止される。続いて、シートPは、フラッパ10の回動動作と排紙ローラ9の逆転により再搬送通路である反転パス21に案内され、反転パス21を経由して再びレジストローラ4に達する。
【0040】
次に、シートPは、レジストローラ4により斜行が補正された後に転写部54に案内されて転写ローラ5により2面目のトナー像が転写され、この後、定着部55によりトナー像が定着される。そして、このようにトナー像が定着された後、シートPは、排紙ローラ9により排紙トレイ19上に排出される。
【0041】
ところで、このように2面目の画像が形成される際に、1面目に画像が形成されたシートPを案内する反転パス21は、図2に示すように1面目の印字面が凹になる向きに湾曲した第1湾曲部R1を有している。
【0042】
また、反転パス21は、第1湾曲部R1のシート搬送方向下流に設けられ、印字面が凸になる向きに湾曲した、即ち第1湾曲部R1と逆方向に湾曲した第2湾曲部R2を有している。さらに、反転パス21は、第2湾曲部R2の下流に設けられ、転写部54に向ってシートPの向き変える向きに湾曲した、即ち第1湾曲部R1と同方向に湾曲した第3湾曲部R3を有している。
【0043】
また、第2湾曲部R2と第3湾曲部R3との間には転写部54から離れる方向に傾斜したシート搬送経路21aが設けられており、このシート搬送経路21aには中継搬送ローラ対22が設けられている。そして、第2湾曲部R2を通過したシートPは、この中継搬送ローラ対22により矢印Aに示すように鉛直方向に対し角度θをもってプリンタ本体51の外側に向って搬送される。
【0044】
ここで、このようにシートPをシートの搬送方向に進むに連れてプリンタ本体51の外側に向って斜めに搬送することにより、第3湾曲部R3の曲率半径は、プリンタ本体51の外形寸法範囲内で略最大の半径を取ることが可能になる。
【0045】
そして、このように反転パス21を構成することにより、反転パス21に搬送されたシートPは、先ず1面目の印字面が凹になる向きの第1湾曲部R1、及び印字面が凸になる向きの第2湾曲部R2を経由した後、中継搬送ローラ対22により搬送される。
【0046】
ここで、このように第1湾曲部R1を通過した後、シートPが湾曲方向が逆向きとなる第2湾曲部R2を通過することで、カールの緩和が行われる。つまり、シートPが反転パス21を通過する際、第1湾曲部R1を通過したシートPを第2湾曲部R2によって第1湾曲部R1と逆方向に湾曲させながら通過させることにより、第1湾曲部R1を通過する際、シートPに生じたカールの矯正を行うことができる。
【0047】
次に、第2湾曲部R2を通過したシートは、中継搬送ローラ対22により矢印Aに示す様に鉛直方向に対し角度θをもってシートの搬送方向に進むに連れてプリンタ本体51の外側に向って搬送され、この後、第3湾曲部R3を通過する。
【0048】
ここで、既述したように第3湾曲部R3の曲率半径は、プリンタ本体51の外形寸法範囲内で略最大の半径となっている。これにより、1面目の印字面が凹になる方向のカール付け、即ち2面目のシート搬送時に、転写搬送ガイド6の湾曲部R4の湾曲方向と逆方向となる向きのカール付けを少なくすることができる。
【0049】
そして、このように転写搬送ガイド6の湾曲方向と逆方向となる向きのカール付けを少なくすることにより、シートPの定着部55の定着ニップ突入直前における姿勢は、既述した図8に示すP1で示した破線の姿勢よりもカールの量が少ない姿勢となる。
【0050】
この結果、この後、シートPが定着ニップに突入しても、定着部55による搬送の影響を強く受けることがなくなり、定着ニップに突入した瞬間の剛性(コシ)による姿勢の変化も少なくなる。この結果、2面目にトナー像が転写されたシートPの先端が定着ニップに突入した瞬間におけるトナー飛び散りを大幅に低減することができる。
【0051】
このように、第1湾曲部R1を通過したシートPを、第2湾曲部R2を通過する際、第1湾曲部R1と逆方向に湾曲させながら通過させることにより、第1湾曲部R1を通過する際、高温状態のシートPに生じたカールの矯正を行うことができる。なお、このようにカールの矯正を行うことにより、シートを安定して搬送することができる。
【0052】
また、第3湾曲部R3の曲率半径を第1湾曲部R1の曲率半径よりも大きくすることにより、第3湾曲部R3を通過する際、シートPに生じるカールの量を、第1湾曲部R1を通過する際のシートPに生じるカールの量よりも小さくすることができる。なお、第3湾曲部R3を通過するまでには、シートPの温度は下がっているので、高温時に比べてシートPにはカールは生じにくい。この結果、シートPを、カール量が小さい状態で転写部54を経て定着部55に向かわせることができる。
【0053】
そして、このように反転パス21を通過する際、シートPに生じたカールの矯正を行うと共に、カール量を小さくして転写部54を経て定着部55に向かわせることにより、小型化が可能で、かつトナー飛び散りによる画像品位の低下を防ぐことができる。
【0054】
つまり、本実施の形態のように構成することにより、反転パス21が短い場合でも、シートPが定着ニップに突入した際のショックを軽減させることができ、トナー像の飛び散りによる画像品位の低下を防ぐことができる。これにより、占有設置面積が極力小さく、FPOTが速く、かつ低コストな自動両面機能を有するレーザビームプリンタ(画像形成装置)の設計が可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態において、中継搬送ローラ対22を芯金に薄肉のシリコーンゴムを被覆させた高硬度ローラ22aと、芯金にスポンジゴムや厚肉の低硬度シリコーンを被覆させた低硬度ローラ22bとにより構成している。そして、このように中継搬送ローラ対22を構成することにより、中継搬送ローラ対22においても、第2湾曲部R2と同様の効果を得ることができる。
【0056】
つまり、第2湾曲部R2だけでなく中継搬送ローラ対22によってもシートPのカール矯正を行うことができる。この結果、2面目にトナー像が転写された後のシートPを転写搬送ガイド6の湾曲部R4に倣わせることができ、よりスムーズにシートPを定着ニップに案内することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0058】
図3は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図、図4はその要部拡大図である。なお、図3及び図4において、既述した図1及び図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0059】
図3及び図4において、27は反転パス21の第3湾曲部R3と転写部54との間に設けられたカール矯正部であり、このカール矯正部27は、ソフトローラ26と、ハードローラ25とにより構成されている。なお、本実施の形態において、ソフトローラ26はSUS等の芯金にスポンジゴムを被覆させたローラであり、ハードローラ25は、ムクの金属ローラ、もしくは金属芯金に薄肉のシリコーンゴムを被覆させたローラである。
【0060】
そして、このような構成のカール矯正部27を第3湾曲部R3と転写部54との間に設けることにより、シートPのカール方向を、第3湾曲部R3と逆方向、即ちシートPが転写搬送ガイド6の湾曲方向に倣う方向に矯正することができる。
【0061】
ここで、例えばシートPが、温度や吸湿度の影響でカール量が大きくなりやすいシートPの場合、或は再生紙等カール量が大きくなりやすいシートPの場合、第3湾曲部R3を通過する際に、第3湾曲部R3により大きなカールが生じる場合がある。しかし、本実施の形態のように、第3湾曲部R3の下流にカール矯正部27を設けることにより、第3湾曲部R3によりカールが生じた場合でも、そのカールを矯正することができる。
【0062】
そして、このようにカール矯正部27により第3湾曲部R3を通過する際に生じたカールを矯正することにより、2面目に画像を形成する際におけるシート搬送が安定し、転写不良やトナーの飛び散り発生を防止することができる。
【0063】
さらに、第3湾曲部R3の下流で、即ち反転パス21の湾曲領域を通り過ぎた後にカールの矯正を行うことにより、反転パス21の曲面に左右されることなくカールを矯正することができ、より確実にカールの矯正を行うことができる。これにより、短い反転パス21においても、シートPが定着ニップに突入した際のショックを軽減させることができ、トナー像の飛び散り、乱れの少ないレーザビームプリンタの提供が可能になる。
【0064】
なお、本実施の形態においては、中継搬送ローラ対22及びハードローラ25の動作をクラッチにより連動させ、シート先端をソフトローラ26とハードローラ25とにより挟持させた状態で一時停止可能な構成としている。
【0065】
そして、このように構成することにより、高温/高湿環境、再生紙、非パルプ紙等カール量が大きくなり易い条件下で2面目に対する画像形成を行った場合においても、シート先端部のカール量を減らすことができる。この結果、シートPの搬送を安定化させることができると共に、シートPが定着ニップに突入した際のショックを軽減させることができる。
【0066】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0067】
図5は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの要部拡大図である。なお、図5において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0068】
図5において、38は反転パス21の第3湾曲部R3と転写部54との間に設けられたカール矯正部であり、このカール矯正部38は、ソフトローラ36と、ハードローラ35と、ハードローラ35を加熱する加熱手段である加温部材37により構成されている。
【0069】
なお、本実施の形態において、ソフトローラ36はSUS等の芯金にスポンジゴムを被覆させたローラであり、ハードローラ35は、ムクの金属ローラ、もしくは金属芯金に薄肉のシリコーンゴムを被覆させたローラである。また、加温部材37は、PTCヒーター、ペルチェ素子等からなるものであり、不図示の通電回路及び制御回路の動作によってローラ35の芯金部を加温させることが可能になっている。
【0070】
そして、本実施の形態では、高温/高湿環境、再生紙、非パルプ紙、等カール量が大きくなり易い条件下において、加温部材37への通電を行うようにしており、これによりカール矯正部38のカール矯正能力を高めるようにしている。この結果、シート先端部のカールを略ゼロ、あるいは転写搬送ガイド6の曲面方向にならう方向に矯正する事が可能になる。
【0071】
なお、本実施の形態においても、既述した第2の実施の形態と同様に、中継搬送ローラ22及びカール矯正ローラ35の駆動をクラッチ制御可能としている。これにより、シート先端部をソフトローラ36とハードローラ35とにより挟持させた状態で一定時間停止させれば、シート先端部のカール矯正を行い、シートの搬送を安定化させることが可能になる。
【0072】
さらに、このように構成することにより、再生紙や、非パルプ紙、モンスーン地域や寒冷地域においても、文字の飛び散りや乱れの無い自動両面出力が、外形寸法がコンパクトかつ低コストな画像形成装置で実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記レーザビームプリンタの要部拡大図。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの概略構成を示す図。
【図4】上記レーザビームプリンタの要部拡大図。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの要部拡大図。
【図6】従来の画像形成装置の一例であるプリンタの概略構成を示す図。
【図7】従来の他の画像形成装置の概略構成を示す図。
【図8】従来の画像形成装置の問題点を説明する図。
【符号の説明】
【0074】
6 転写搬送ガイド
21 反転パス
21a シート搬送経路
27 カール矯正部
37 加温部材
38 カール矯正部
50 レーザビームプリンタ
51 レーザビームプリンタ本体
52 画像形成部
54 転写部
55 定着部
P シート
R1 第1湾曲部
R2 第2湾曲部
R3 第3湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部と、前記画像形成部にて形成されたトナー像をシートに転写する転写部と、前記転写部により転写されたトナー像をシートに定着させる定着部と、シートの両面に画像を形成する際、前記トナー像が片面に定着されたシートを反転させて再度、前記転写部に搬送するための再搬送通路を備えた画像形成装置において、
前記再搬送通路は、
前記片面にトナー像が定着されたシートを湾曲させながら案内する第1湾曲部と、
前記第1湾曲部のシート搬送方向下流に設けられ、前記シートを前記第1湾曲部と逆方向に湾曲させながら案内する第2湾曲部と、
前記第2湾曲部のシート搬送方向下流に設けられ、前記シートを前記第1湾曲部と同方向に湾曲させながら案内して前記転写部に向かわせる、曲率半径が前記第1湾曲部の曲率半径よりも大きい第3湾曲部と、をすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2湾曲部を前記転写部の方向に湾曲させ、前記第3湾曲部の曲率半径を前記第1湾曲部の曲率半径よりも大きくするよう前記第2湾曲部と前記第3湾曲部との間に設けられるシート搬送経路をシートの搬送方向に進むに連れて前記転写部から離れる方向に傾斜させたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第3湾曲部と前記転写部との間に、前記第3湾曲部を通過する際にシートに生じるカールの方向と逆方向にシートを湾曲させるようにカールを矯正するカール矯正部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記転写部と前記定着部を、前記転写部のシート搬送方向と前記定着部のシート搬送方向とが交わるように配置して前記転写部と前記定着部との間のシート搬送経路を湾曲させ、前記カール矯正部によりシートを湾曲する方向を、前記転写部と前記定着部との間の前記シート搬送経路の湾曲方向と同方向とすることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カール矯正部は、シートのカールを矯正する際にシートを加熱する加熱手段を備えていることを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−1497(P2008−1497A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174638(P2006−174638)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】