説明

画像形成装置

【課題】カラートナーとクリアトナーを用いて画像形成を行う際、定着時に受ける熱エネルギー不足により画像不良が発生した。
【解決手段】カラートナーとクリアトナーを用いた記録材へのトナー像の形成と定着処理を複数回に分割して行うことで、定着時に受ける熱エネルギー不足による画像不良の発生を防止する。その際、記録材へのトナー像の形成と定着処理の分割を色単位で行うことで、画像濃度不良や色味変動が生じるのを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有色トナーと透明トナーを用いて記録材にトナー像を形成する画像形成装置に関するものである。
【0002】
この画像形成装置としては、例えば、電子写真方式を採用した、複写機、プリンタ、FAX、もしくはこれらの機能を複数備えた複合機等を挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、透明トナーであるクリアトナーを用いた電子写真装置が提案されている。クリアトナーを用いることで、様々な表現ができるようになり、出力物の付加価値が向上する。
【0004】
クリアトナーの使用方法としては、まず、画像部の光沢付与や均一光沢が上げられる。成果物表面の光沢は全面均一光沢が好ましい。また、写真画像などは、より高光沢なものが好まれる。
【0005】
しかしながら、電子写真方式においては、出力画像の光沢が均一にならない場合が多い。例えば、白地部はトナーが乗らないため、記録材である紙の表面光沢がそのまま出力されるために常に一定の光沢となる。一方、ハイライト部では、トナーが細かい網点状に形成され、凹凸ができるため、光沢が下がってしまう。さらに、ソリッド部では、トナーが紙表面を十分に覆い、表面が滑らかになるため、光沢が上がってしまう。したがって、画像全体が不均一な光沢になってしまい画像品位を落としてしまう。
【0006】
そこで、全面をクリアトナーで覆って定着することで、白地部からベタ部まで均一光沢となる。さらに高光沢な画像を得る場合には、定着で紙に与える熱量を増やしてトナーを十分に溶したり、クリアトナーの溶融粘度を下げたりすることで、高光沢が得られる。
【0007】
もう一つのクリアトナーの使用方法としては、ウォーターマーク、アイキャッチ、セキュリィティマークなどと言われるような、クリアトナーによるマークによって、表現する使用方法が上げられる。このようなクリアトナーによるマークは、光沢が高いものから低いものまでユーザーの意図よって、目立つようにしたり、目立たないようにしたり自由に選べることが好ましい。
【0008】
このようなクリアトナーを用いた画像形成方法として、特許文献1では、次のような方法を採用している。つまり、有色トナーである4色のカラートナーを用いて記録材上にカラートナー画像を形成し、そのカラートナー画像を一旦定着する。その後、記録材を画像形成部へ再度循環搬送することで、その上にクリアトナー画像を画像形成し、そのクリアトナー画像を定着する、といった画像形成方法である。
【0009】
この方法を採用した場合、カラートナーとクリアトナーからなる5種類のトナーを用いて画像を形成する構成であるにも関わらず、定着器の定着能力をアップせずとも、トナーの定着工程を適切に行えるといったメリットがある。
【特許文献1】特開2002−318482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に提案されている画像形成方法を採用した場合、次のような問題が発生した。
【0011】
具体的には、特許文献1では、記録材上においてクリアトナー像の下層に位置することになるカラートナー像を構成するトナーの載り量が少ないにも関わらずトナー像の形成(転写)/定着工程を2回に分けて実行している。
【0012】
言い換えると、特許文献1では、クリアトナー像の下層に位置することになるカラートナー像を構成するトナーの載り量の多少に関わらず、常にトナー像の形成(転写)/定着工程を2回に分けて実行している。
【0013】
その結果、定着器の定着能力を考慮するとカラートナーとクリアトナーを同時に定着できる状況であるにも関わらず、トナー像の転写/定着工程を2回に分けて実行するため、画像形成を開始してから記録材を機外へ排出するまでの時間が長くなってしまう。
【0014】
従って、本発明は、上記の如き問題点を解決した画像形成装置を提供すること目的とする。
【0015】
つまり、有色トナーと透明トナーを用いた画像形成に要する時間が不要に長くなってしまうのを防止することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、互いに異色の有色トナー像を記録材に重ねて形成可能な第1の画像形成手段と、記録材に形成された有色トナー像の上に透明トナー像を重ねて形成可能な第2の画像形成手段と、記録材に形成されたトナー像を熱定着させる定着手段と、を有する画像形成装置において、透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量に対応する情報に応じて記録材へのトナー像の形成と定着処理を複数回に分けて実行するか否かを切替える切替え手段を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、有色トナーと透明トナーを用いた画像形成に要する時間が不要に長くなってしまうのを防止することができる。つまり、有色トナーと透明トナーを用いた画像形成を、定着不良が発生するのを防止しつつ、短時間で完了させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[実施例1]
(1)画像形成部
図1は本実施例における画像形成装置(記録装置)の概略構成を示す模式図である。図2は制御系統の概略のブロック図である。本実施例の画像形成装置は、5連ドラム方式(インライン方式、タンデム方式)のフルカラー電子写真装置であり、複写機、プリンタ、ファクシミリとして機能する複合機である。
【0019】
まず、画像形成部について説明する。100は画像形成装置(以下、装置本体と記す)、200は装置本体100に対して連設した大容量給紙ユニットである。この大容量給紙ユニット200は、装置本体100に対して組み合わせて使用されるオプションナルな装置として構成されている。
【0020】
Kは画像形成装置を統括制御するコントローラ(制御回路部、制御手段)である。1000はパーソナルコンピュータ・ファクシミリ装置等の外部入力装置(外部ホスト装置)であり、コントローラKとインターフェース部を介して電気的に接続されている。
【0021】
装置本体100には、図1において上右から左に水平方向に並べて、第1〜第5の電子写真画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peを内蔵させてある。AとBは装置本体100の上面側に配設した原稿読取り部(イメージスキャナ)と操作ディスプレイ部である。原稿読取り部Aは、原稿台ガラス21に載置された原稿Oを光学的に走査して原稿画像を色分解光電読取りする。操作ディスプレイ部Bは、操作者からのコマンド入力や、操作者への装置の状態報知等を行う。
【0022】
Cは複数の光走査手段を有するレーザ走査機構(レーザスキャナ)であり、上記の第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peの上側に配設されており、画像形成手段としての機能を果たす。Dは第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peの下側に配設した転写ベルト機構である。E1とE2は転写ベルト機構Dよりも下側に上下2段に配設した第1と第2の2つの給紙カセット(カセット給紙部)である。E3は手差し給紙トレイ(手差し給紙部)であり、装置本体100に対して実線示のように畳み込んで格納自在である。使用時は点線示のように開き状態にする。Fは転写ベルト機構Dよりも記録材搬送方向下流側に配設した定着装置である。
【0023】
原稿読取り部Aにおいて、21は原稿台ガラス、22はそのガラス21に対して開閉可能な原稿押え板である。コピー(原稿複写)モードの場合は、ガラス21上にコピーするカラー原稿(又はモノカラー原稿)Oを画像面下向きで所定の載置基準に従って載置し、その上に押え板22を被せることで原稿Oをセットする。押え板22を原稿自動送り装置(ADF、RDF)にしてガラス21上にシート状原稿を自動的に給送する構成にすることもできる。そして、操作ディスプレイ部Bにより所望のコピー条件を設定した後コピースタートキー400(図3)を押す。そうすると、移動光学系23がガラス21の下面に沿って移動駆動されて、ガラス21上の原稿Oの下向き画像面が光学的に走査される。その原稿走査光が光電変換素子(固体撮像素子)であるCCD24に結像されて、RGB(レッド・グリーン・ブルー)の三原色で色分解読取りされる。読取られたRGBの各信号が画像処理部25に入力する。そして、画像処理部25で、C、M、Y、Kに処理された電気的画像情報がコントローラKに入力する。コントローラKは、レーザ走査機構Cを制御して、電気的画像情報に対応して変調したレーザ光を第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peに対してそれぞれ出力させる。
【0024】
プリンタモードの場合は、外部ホスト装置1000であるパーソナルコンピュータから装置本体100のコントローラKに電気的画像情報が入力して、画像形成装置がプリンタとして機能する。
【0025】
ファクシミリ受信モードの場合は、外部ホスト装置1000である相手方ファクシミリ装置から装置本体100のコントローラKに電気的画像情報が入力して、画像形成装置がファクシミリ受信機として機能する。
【0026】
ファクシミリ送信モードの場合は、原稿読取り部Aで光電読取りした原稿の電気的画像情報が画像処理部25からコントローラKに入力し、相手方ファクシミリ装置に送信されて、画像形成装置がファクシミリ送信機として機能する。
【0027】
図3は第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peの部分と、転写ベルト機構Dの部分の拡大図である。第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peは互いに同様の電子写真プロセス機構である。
【0028】
本例では、画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdが互いに異色の有色トナー(Y,M,C,K)による有色トナー像を記録材に順次に重ねて形成可能(順次重畳形成)な第1の画像形成手段としての機能を果たす。そして、画像形成Peが、記録材に形成された有色トナー像の上に透明トナーによる透明トナー像を重ねて形成可能(重畳形成)な第2の画像形成手段としての機能を果たす。
【0029】
即ち、各画像形成部は、それぞれ、像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラムと記す)1を有する。そして、このドラム1に作用するプロセス手段である、全面露光ランプ(除電ランプ)2、一次帯電器3、現像器4、転写帯電器5、ドラムクリーナ6等を有する。第1の画像形成部Paの現像器4には現像剤としてイエロー色Yのカラートナー(有色トナー)が供給装置により供給される。第2の画像形成部Pbの現像器4には現像剤としてマゼンタ色Mのカラートナーが供給装置により供給される。第3の画像形成部Pcの現像器4には現像剤としてシアン色Cのカラートナーが供給装置により供給される。第4の画像形成部Pdの現像器4には現像剤としてブラック色Bkのカラートナーが供給装置により供給される。第5の画像形成部Peの現像器5には現像剤として透明Tのクリアトナー(透明トナー)が供給装置により供給される。
【0030】
画像形成手段としての機能を果たす転写ベルト機構Dは、エンドレスの転写ベルト7と、この転写ベルト7を懸回張設した駆動ローラ7aとターンローラ7b・7cを有する。駆動ローラ7aが駆動モータMによりタイミングベルト装置等の動力伝達装置を介して回転駆動されることにより転写ベルト7が矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト7は、ポリエチレンテレフタレート樹脂シート(PET樹脂シート)や、ポリフッ化ビニリデン樹脂シート、ポリウレタン樹脂シートなどの誘電体樹脂のシートによって構成されている。そして、そのシートの両端部を互いに重ね合わせて接合し、エンドレス形状にしたものか、あるいは継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられている。
【0031】
ここで、クリアモードとは、カラートナーとクリアトナーを用いて、光沢の有る画像(クリア画像)の画像形成物(フルカラー画像形成物、モノクロ画像形成物、モノカラー画像形成物)を出力する画像形成モードである。
【0032】
非クリアモードとは、クリアトナーは用いず、カラートナーだけを用いた画像の画像形成物(フルカラー画像形成物、モノクロ画像形成物、モノカラー画像形成物)を出力する画像形成モードである。
【0033】
ここでは、非クリアモードでのフルカラー画像形成動作を説明する。クリアモードでの画像形成動作については後記(4)項で詳述する。
【0034】
非クリアモードの場合は、第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peの内、第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdにおいて画像形成が行われる。第5の画像形成部Peはドラム1の回転はなされるけれども、クリアトナー画像の形成は行なわれない。
【0035】
即ち、第1から第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peが所定に制御タイミングに合わせて順次に駆動される。その駆動により各画像形成部のドラム1が矢印の時計方向に回転する。また転写ベルト機構Dの転写ベルト7も回転駆動される。レーザ走査機構Cも駆動される。この駆動に同期して、第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdにおける一次帯電器3がドラム1の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。レーザ走査機構Cは第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdの各ドラム1の表面に画像信号に応じたレーザビーム走査露光Lを行う。これによって第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdの各ドラム1の表面に画像信号に応じた静電像が形成される。すなわちレーザ走査機構Cは光源装置から発せられたレーザ光を、ポリゴンミラー8を回転させて走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向し、fθレンズによりドラム1の母線上に集光して露光する。これにより、ドラム上に画像信号に応じた静電像が形成される。形成された静電像は現像器4によりトナー画像として現像される。
【0036】
上記のような電子写真プロセス動作により、第1の画像形成部Paのドラム1の周面にはフルカラー画像のイエロー成分像に対応するYトナー像が形成される。第2の画像形成部Pbのドラム1の周面にはフルカラー画像のマゼンタ成分像に対応するMトナー像が形成される。第3の画像形成部Pcのドラム1の周面にはフルカラー画像のシアン成分像に対応するCトナー像が形成される。第4の画像形成部Pdのドラム1の周面にはフルカラー画像のブラック成分像に対応するBkトナー像が形成される。第5の画像形成部Peはドラム1の回転はなされるけれども、クリアトナー像の画像形成は行なわれない。
【0037】
一方、大容量給紙装置200、第1の給紙カセットE1、第2の給紙カセットE2、手差し給紙トレイE3の内で選択指定された給紙部の給紙ローラが駆動される。これにより、その給紙部に積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙される。そして、複数の搬送ローラ、及びレジストローラ9を経て転写ベルト機構Dの転写ベルト7上に供給される。転写ベルト7上に供給された記録材Pは転写ベルト7による搬送で、第1〜第5の各画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peの転写部に順次に送られる。各画像形成部の転写部はドラム1と転写ベルト7との接触部である。
【0038】
転写ベルト7が回転駆動されて、所定の位置にあることが確認されると、記録材Pは、レジストローラ9から転写ベルト7に送り出され、第1の画像形成部Paの転写部へ向けて搬送される。これと同時に画像書き出し信号がオンとなり、それを基準として所定の制御タイミングで第1の画像形成部Paのドラム1に対し画像形成がなされる。そして、そのドラム1の下面側の転写部で転写帯電器5が電界又は電荷を付与することにより、ドラム1上に形成された第1色目のYトナー像が記録材P上に転写される。この転写により記録材Pは転写ベルト7上に静電吸着力でしっかりと保持され、引き続いて第2〜第4の画像形成部Pb・Pc・Pdの転写部へ順次に搬送される。そして、記録材Pは更に第2〜第4の画像形成部Pb・Pc・Pdの各ドラム上に形成された、M、C、Bkの各色のトナー像の順次重畳転写を受ける。これにより記録材P上に未定着の4色フルカラーのY+M+C+Bkのトナー像が合成形成される。第5の画像形成部Peにおいては、ドラム1は回転されるけれども、クリアトナー画像の画像形成は行なわれないから、この第5の画像形成部Peの転写部におけるクリアトナー画像の記録材Pに対する転写はない。
【0039】
転写帯電器5は接触帯電器を用いた。また、転写帯電手段は転写時に寄与する電流を適正電流で一定にすると画像が安定することが知られている。そこで、記録材の種類(厚さ、材質等)や吸湿条件等により、体積抵抗値が変化した場合にも一定電流が得られる様に定電流制御を行うことが一般的である。
【0040】
4色フルカラーのトナー像が合成形成された記録材Pは、転写ベルト7の搬送方向下流部で分離帯電器10により除電されて静電吸着力が減衰されることによって、転写ベルト7の末端から離脱する。特に、低湿環境では記録材Pが乾燥して電気抵抗が高くなるため、転写ベルト7との静電吸着力が大きくなり、分離帯電器10の効果は大きくなる。通常、分離帯電器10は、トナー像未定着の状態で記録材Pに帯電するため、非接触帯電器が用いられる。11は転写ベルト7面のクリーニング装置である。
【0041】
転写ベルト7から離脱した記録材Pは、搬送ベルト12により、記録材に形成された未定着のトナー像を記録材面に熱定着させる定着手段である定着装置Fに導入される。本実施例において、定着装置Fは図5に示すような熱ローラ定着装置である。この熱ローラ定着装置Fについては後記(3)項において詳述する。定着装置Fに導入された記録材Pは、定着ローラ51と加圧ローラ52との圧接部である定着ニップ部Nに進入して挟持搬送される。これにより、記録材Pが加熱・加圧されて、各有色トナー像の混色及び記録材Pへの定着が行われる。定着ニップ部Nを通った記録材Pは定着排紙ローラ56により排出搬送され、図5の実線示の第1姿勢に切換えられているセレクタ13の上側を通り、本体排紙ローラ14に中継ぎされて、排紙口15から機外の排紙トレイ19に排紙される。
【0042】
両面画像形成モードが選択されている場合には、定着装置Fを出た1面目画像形成済みの記録材Pは、図5の2点鎖線示の第2姿勢に切換えられたセレクタ13によって反転再給紙機構G側に進路変更される。そして、この反転再給紙機構Gの反転部(スイッチバック機構)20で表裏反転されて、両面搬送パス26に送られ、中間トレイ27に一旦収納される。中間トレイ27に収納された記録材は、所定の制御タイミングで駆動された給紙ローラにより中間トレイ27からレジストローラ9に向けて送り出される。このレジストローラ9から再度、転写ベルト機構Dの転写ベルト7上に2面目が上向きの状態で給紙される。そして、1面目に対する画像形成の場合と同様に、第1〜第4の画像形成ステーションPa・Pb・Pc・Pdにより2面目に対する4色フルカラーのトナー像の合成形成が実行される。2面目に対するトナー像の形成を受けた記録材Pは転写ベルト7から分離されて定着装置Fへ搬送され、2面目に対するトナー像の定着処理を受ける。
【0043】
モノクロ画像形成物あるいはモノカラー(単色)画像形成物の出力も可能である。この場合は、その画像形成モードが選択されることで、第1〜第5の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pd・Peのうち選択された画像形成モードに対応した画像形成部が画像形成動作する。他の画像形成部はドラム1の回転駆動はなされるけれども画像形成動作はなされない。そして、画像形成動作した画像形成部の転写部において、転写ベルト機構Dで搬送される記録材Pにトナー画像を転写するシーケンスが実行される。
【0044】
(2)操作ディスプレイ部B
図4は操作ディスプレイ部Bの平面図である。400は複写開始を指示するコピースタートキーである。401は標準モードに戻すためのリセットキーである。標準モードは、「モノクロ−片面−非クリア」の画像形成の設定にしてある。402はガイダンス機能を使用するときに押下するガイダンスキーである。403は設定枚数等の数値を入力するテンキーである。404は数値をクリアするクリアキーである。405は連続コピー中にコピーを停止させるストップキーである。406は各種モードの設定やプリンタの状態を表示する液晶表示部およびタッチパネルである。407は連続コピー中あるいはファックスやプリンタとして使用中に割り込んで緊急コピーをとるための割り込みキーである。408は個人別や部門別にコピー枚数を管理するための暗証キーである。409は画像形成装置本体の電源をON/OFFするためのソフトスイッチである。410は画像形成装置の機能を変更するときに使用する機能キーである。411は、オートカセットチェンジのON/OFFや省エネモードに入るまでの設定時間の変更など、予めユーザーが項目を設定するユーザモードに入るためのユーザモードキーである。451は両面画像形成モード選択キー、452はフルカラー画像形成モード選択キー、453はモノカラー画像形成モード選択キーである。
【0045】
(3)定着装置F
図5の熱ローラ定着装置Fについて、さらに詳しく説明する。51と52はそれぞれ回転自在に軸受支持させた回転体である定着ローラ(定着部材)と加圧ローラ(加圧部材)であり、上下に並行に配列して、かつ圧接させて、定着ニップ部Nを形成させている。
【0046】
定着ローラ51は、同心円状に3層構造を採用しており、コア部分51a、弾性層51b、離型層51cを有する。コア部分51aは直径44mm・厚さ5mmのアルミニウム製中空パイプにより構成される。弾性層51bはJIS−A硬度50度・厚さ2.5mmのシリコンゴムにより構成される。離型層51cは厚さ50μmのPFAにより構成される。コア部分51aの中空パイプ内部には、熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプH1が配設されている。
【0047】
加圧ローラ52も、上記定着ローラ51と同様に、コア部分52a、弾性層52b、離型層52cの3層構造である。ただし、弾性層52bは厚さ3mmのシリコンゴムを用いる。これは弾性層52bにより定着ニップ部Nの幅を稼ぐためである。H2は加圧ローラ52のコア部分52aの中空パイプ内部に配設した熱源(ローラ加熱ヒータ)としてのハロゲンランプである。
【0048】
定着ローラ51と加圧ローラ52は所定の押圧力で圧接させて記録材搬送方向において所定幅の加熱・加圧部としての定着ニップ部Nを形成させている。加圧ローラ52の加圧力は、総圧で294N(30kgf)とした。このときの定着ニップ部Nの幅は7mmであった。
【0049】
定着ローラ51と加圧ローラ52は駆動モータ(不図示)により矢印の方向に互いに圧接しながら回転駆動される。ヒータH1・H2はそれぞれ電源回路Q1・Q2(図2)から電力が供給されて発熱する。定着ローラ51と加圧ローラ52はこのヒータH1・H2の発熱によりそれぞれ内側から加熱される。ヒータH1は、800W、ヒータH2は、500Wのヒータを用いた。そして、定着ローラ51と加圧ローラ52の表面温度がそれぞれに接触させたサーミスタ等の温度センサTH1・TH2によりモニタされ、その検知温度に関する電気的情報がコントローラKの定着制御部K1に入力する。定着制御部K1は、その入力情報に基づいて、定着ローラ51と加圧ローラ52のそれぞれの表面温度(定着温度)が所定の制御温度(目標温度)に維持されるように、電源回路Q1・Q2からヒータH1・H2への供給電力を制御する。すなわち、定着ローラ51と加圧ローラ52を所定の制御温度に温調管理することで定着ニップ部Nでの温度を管理する。
【0050】
53は定着ローラ51の表面に離型剤としてのジメチルシリコーンオイル等を塗布する離型剤塗布装置である。54は定着ローラ51の表面を拭掃して清掃するウエブ方式のクリーニング装置である。55は加圧ローラ52の表面を拭掃して清掃するウエブ方式のクリーニング装置である。ウエブは耐熱性クリーニング部材である。
【0051】
定着ローラ51と加圧ローラ52とが回転駆動され、また、それらのローラ51・52がそれぞれヒータH1・H2により内部加熱されて表面温度がそれぞれの所定の制御温度に立ち上げられて温調される。この状態において、転写ベルト機構D側から搬送ベルト12により未定着トナー画像が形成された記録材Pが定着装置F内に導入される。そして、定着ニップ部Nに進入して挟持搬送されていく過程において、定着ローラ51と加圧ローラ52により加熱され、またニップ圧により加圧される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の多重トナー画像が溶融混色してフルカラー画像として記録材Pの表面に定着される。定着ニップ部Nから出た記録材Pは不図示の分離爪によって定着ローラ51または加圧ローラ52から分離され、定着排紙ローラ56に中継ぎされて、定着装置Fから送り出される。
【0052】
離型剤塗布装置53は定着ローラ51の表面にシリコーンオイルを塗布して、記録材Pが定着ニップ部Nを通過する際に、トナーが定着ローラ51の表面に付着しないようにしている。クリーニング装置54・55はそれぞれ定着ローラ51と加圧ローラ52の表面にオフセットしたトナーを除去する。
【0053】
ここで、本実施例において用いているトナーについて説明する。まず、トナーは、ポリエステル系の樹脂を使用したトナーを用いた。トナーは粉砕法によって製造することも可能であるが、トナーを製造する方法としては、懸濁重合法・界面重合法・分散重合法等の媒体中で直接トナーを製造する方法(重合法)が好ましく挙げられる。トナーの成分、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0054】
クリアトナーの製造方法としては、本実施例では、カラートナーと同じポリエステル樹脂を用いて、カラー顔料を混ぜずに製造したものを用いた。ガラス転移点(Tg)は、特にこれに限定されるわけではない。クリアトナーの樹脂の種類や分子量を変更すると、溶融特性が変わり、同じ定着条件でも、異なるグロスが得られる。
【0055】
したがって、カラートナーよりも、ガラス転移点(Tg)が低く溶けやすいポリエステル樹脂を用いてクリアトナーを製造して、カラートナーと比べて、グロスの高いクリアトナーとして用いても良い。また、逆に、ガラス転移点(Tg)がカラートナーよりも高く溶け難いポリエステル樹脂により、グロス低いクリアトナーを用いたりすることもできる。
【0056】
なお、クリアトナーの透明度については、定着後の状態でほぼ透明となっていれば良くこれを達成できる範囲内の透明度であれば良い。また、本例で用いるクリアトナーは、未定着の状態では白色となっている。これは、粒径5〜10μm程度に粉砕されたクリアトナーは、トナー表面でほとんどの光が散乱され、光の透過/吸収が非常に少ないため白く見える。従って、クリアトナーは、定着工程でトナーに与える熱エネルギーが少ない場合には、完全に透明にはならず、白っぽく見えることもある。しかし、このような状態でも、クリアトナーが記録材から剥がれてしまったりせずに、目標の光沢度(グロス)になっていれば、画像品質は満足されていると言える。
【0057】
次に、画像データ量について説明する。本発明の説明に用いている画像データ量とは、原稿となる画像のC、M、Y、Kの各色に分解された画像情報の1画素当たりのデータ量である。各色の最大の画像データ量を100%として表す。この0〜100%の画像データ量に応じて、画像形成すべきトナー量が計算される。
【0058】
トナー量とは、記録材上に画像形成される1画素当たりのトナーの量である。トナー量も、画像データ量と同様に、0〜100%で表す。1cmに画像形成した場合のトナーの重量を載り量という。単色で100%のトナー量のときに、その色の最大濃度となる。
【0059】
この最大濃度を基準にして、トナー量の0〜100%に対応して、画像濃度が直線的に0〜100%になるように、現像条件などの本体プロセス条件を決定する。
【0060】
最大濃度は、トナーの特性、定着装置(定着器)の定着条件、記録材の種類などによって左右される。また、各色の最大濃度をどの濃度にするかといった画像設計によっても異なる。
【0061】
本実施例では、プロセススピードは100mm/secとした。定着ローラ51、加圧ローラ52の制御温度(目標温度)は、ともに、160℃とした。
【0062】
このとき、坪量80g/mのA2グロスコート紙を用いて、トナーの載り量0.5mg/cmで、全色ともに、濃度1.8が得られた。このトナーの載り量0.5mg/cmを1色の最大載り量とした。
【0063】
このデータをもとに、出力すべき画像の各色の画像データ量に対して、色調が一致するように、いわゆるガンマ補正などの画像補正を行い各々の画素ごとのトナー量を算出し画像形成が行われる。そして、各色のトナーを重ね合わせて、様々な色を表現する。このとき、理論上は、カラー画像情報としては、最大で400%の画像データ量となる。さらに、クリアトナーの画像情報も100%追加される。
【0064】
クリアトナー像は、濃度ではなく所望の光沢度になる載り量を設定する。クリアトナーのグロスは、坪量が150g/mのA2グロスコート紙にクリアトナーで画像形成を行ったところ、0.5mmg/cmの載り量で60度グロス測定において、60%のグロスを得た。グロスの測定方法は、日本電色工業株式会社製ハンディ型光沢計(PG−1M)を用いた(JIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法に準拠)。
【0065】
クリアトナーの最大載り量は、カラートナーの最大載り量と一致している必要は無く、所望のグロスが得られる載り量を最大載り量として良い。
【0066】
上記したように、理論上は、カラー画像情報としては、最大で400%の画像データ量となるが、実際の画像形成において、400%のトナーが用いられることはない。つまり、以下に説明するUCRや、GCRといった方法を用いて、カラー画像の最大画像データ量が180%〜240%になるように設定している。
【0067】
UCRとはUnder Color Removal(下色除去)のことである。カラー原稿を4色分解するときに、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)の3色が重なった部分にはグレーの成分が発生する。その成分をスミ版(Bk版)に置き換える時の方式で、ある程度以上の濃さのグレー成分をスミ版に置き換えトータルの画像データ量を減らすことを目的としている。
【0068】
GCRとはGray Component Replacement(グレー置換)のことである。色分解画像において、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)の比率が同じ点は、黒またはグレーになる。この部分をK(ブラック)に置き換えることによって、網点の比率を下げることが可能になり、網点総面積率が低くなることをいう。
【0069】
本実施例では、これらの手法を用いて、カラートナー量とクリアトナー量とを足しあわせた総トナー量を210%(1.05mg/cm)とした。
【0070】
なお、本例の定着器の定着能力としては、トナー量が210%(1.05mg/cm)となるときでも定着処理を適切に行うことができるように構成されている。
【0071】
(4)クリアモード
クリアモードは、カラートナー(有色トナー)とクリアトナー(透明トナー)を用いて記録材に最終画像を形成する画像形成モードである。
【0072】
クリアモードでは、第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdによるカラートナー像の形成に加えて、第5の画像形成部Peによるクリアトナー像の形成がなされる。
【0073】
本装置をプリンタとして用いる際、外部ホスト装置1000であるパーソナルコンピュータで、クリア画像が扱える画像ソフトを用いて、出力したい画像を作成する。そして、作成された画像データをもとに、RIP(Raster Image Processor)部で、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)+クリアの各色の画像情報に変換される。各色の画像情報に変換された画像データは、プリンタドライバによって、出力機器に合わせた画像情報に変換して、画像形成装置本体に電気信号が送られる。
【0074】
クリアモードには、カラートナーによって記録材に画像形成を行い定着する第1の画像形成・定着を行った後に、その上から他のカラートナーとクリアトナーによって記録材に順次画像形成を行い定着する第2の画像形成・定着を行うモードを有している。
【0075】
つまり、本例では、有色トナーと透明トナーを用いて記録材にフルカラー画像を形成する際、記録材へのトナー像の形成処理/定着処理を複数回に分けて行うことで最終画像を形成するモードを選択可能な構成とされている。
【0076】
また、本例では、クリアトナーによる未定着トナー像の定着処理の際に、少なくとも1色分のカラートナーによる未定着トナー像の定着処理も併せて行う構成となっている。このようにすることで、2回目(最終回目)の定着処理時に、1回目の定着処理により既に定着された状態にあるカラートナー像の一部(クリアトナーによって覆われていない領域)が画像不良となってしまうのを抑制することができる。
【0077】
この場合、カラー画像データ量とクリア画像データ量とを足し合わせた画像データ量に応じて、第1の画像形成・定着の画像形成時に記録材に形成するカラー画像の画像データ量をコントローラKにより変更可能である。
【0078】
後述するように、画像データ量(トナーの載り量)が設定値未満であれば、このような記録材へのトナー像の形成処理/定着処理を複数回に分けずに1回で行うモードが切替え手段として機能するコントローラKにより選択される。
【0079】
言い換えると、単位画素当たりの画像データ量(単位面積当たりのトナーの載り量に対応する)が設定値以上であれば、記録材へのトナー像の形成処理/定着処理を複数回に分けて行うモードがコントローラKにより選択される。このとき、画像データ量の算出は、すべての画素について行なわれる。
【0080】
つまり、コントローラKは、透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量に対応する情報に応じて記録材へのトナー像の形成と定着処理を複数回に分けて実行するか否かを切替えることを特徴としている。
【0081】
より具体的には、コントローラKは、透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が設定値未満となるときは、記録材へのトナー像の形成と定着処理を1回で行う。
【0082】
コントローラKは、透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が設定値以上となるとき、透明トナー像を形成すべき領域についてはトナー像の形成と定着処理を複数回に分けて実行させる。そして、有色トナー像のみを形成すべき領域についてはトナー像の形成と定着処理を全て最終回目に実行させる。
【0083】
コントローラKは、透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が設定値以上となるときは、次のように制御する。即ち、定着済みのトナー像が定着手段と再度接触することが無いように、有色トナーによるトナー像の形成と定着処理を分けて実行させる。
【0084】
図6は本実施例におけるクリアモードの制御フロー図である。
【0085】
本実施例においては、コントローラKは、外部ホスト装置1000からインターフェース部が受信した電気的画像情報に基づいて、クリアトナー像を形成すべき領域のカラートナーの載り量+クリアトナーの載り量を足した量を算出する。
【0086】
具体的には、本実施例では、設定値として210%以上となる画素があるかどうかを判断する。つまり、クリアトナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が210%以上となる領域があるかどうかをコントローラKが判断する。
【0087】
そして、210%以上となる画素がない場合は、「1回定着モード」を選択、実行する。210%以上となる画素がある場合は「2回定着モード」を選択、実行する。
【0088】
トナー量の分割については、下記、(1)式を用いて全ての画素について計算を行った。
【0089】
Dc=At−Bmax・・・・(1)式
ここで、
Dc:1回目に画像形成するカラートナー量(%)
At:その画素の総トナー量(%)
Bmax:閾値となるトナー量(%)
Bmaxは本実施例では210%である。本実施例では、Atは最大310%なので、Dcは最大100%である。
【0090】
本実施例では、クリアの画像は、全面にクリアトナーを形成する場合と、部分的にクリアマーキングする場合の区別せずに、全ての画素について、上記式に基づいて、1回定着か、2回定着かを判断する。
【0091】
2回定着と判断された場合には、カラートナー量(%)Dcを1回目に画像形成し、残りのトナー量を2回目の画像形成時に画像形成する。
【0092】
このように、クリアトナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総トナー載り量に応じて、1回定着モードか2回定着モードかを切替えるように構成したことで、画像形成に要する時間が不要に長くなってしまうのを防止することができる。つまり、カラートナーとクリアトナーを用いた画像形成を、定着不良が発生するのを防止しつつ、短時間で完了させることができる。
【0093】
1回定着モードは、予めカラートナー量の分割処置をすることなしに、必要全てのカラートナーとクリアトナーによって記録材上に画像形成を行う。そして、そのカラートナー画像+クリアトナー画像を一度に定着してクリア画像の画像形成物を出力するモードである。
【0094】
2回定着モードは、記録材に対する画像形成を、1回目の画像形成・定着と、2回目の画像形成・定着との2回に分けて実行する。そして、この場合、総トナー量に応じて、第1の画像形成・定着の画像形成時に記録材に形成するカラートナー量を変更可能にして、クリア画像の画像形成物を出力するモードである。
【0095】
この2回定着モードにおいては、コントローラKは、カラー画像データを元に計算したカラートナー量を、1回目の画像形成用と、2回目の画像形成用の2つのデータに分割する。即ち、コントローラKは、入力した電気的画像情報に基づいて、総トナー量に応じて、1回目の画像形成時に記録材に積層するカラートナー量を変更する。このトナー量の変更(トナー量の分割)によって、記録材に2回目の画像形成を行う場合には、2回目の定着時に形成する画像にクリアトナー画像以外にカラートナー画像が含まれる場合もある。
【0096】
そして、1回目の画像形成用のトナー量のデータに基づいて、カラートナー(第1の有色トナー)によって記録材に1回目の画像形成(第1の有色トナー像を形成する第1の形成工程)が実行される。そして、そのカラートナー像を定着する1回目の定着(第1の定着工程)が実行される。
【0097】
その後に、2回目の画像形成用のトナー量のデータに基づいて、定着済みのカラートナー画像の上に、クリアトナーもしくはカラートナー(第2の有色トナー)とクリアトナーによる画像形成が順次行なわれる。つまり、記録材のカラートナー画像が定着された面に、2回目の画像形成(第2の有色トナー像を形成する第2の形成工程、クリアトナー像を形成する第3の形成工程)が実行される。そして、このクリアトナーを含む最終画像を定着する2回目の定着(第2の定着工程)が実行される。なお、このとき、トナー量のデータに基づいて、1回目にY,M,C,Kトナー像を形成/定着し、2回目にクリアトナー像を形成/定着する場合も有り得る。
【0098】
このようにして、記録材に対する画像形成を、1回目の画像形成・定着と、2回目の画像形成・定着との2回に分けて実行することで、最終的に、クリア画像の載った画像形成物を出力する。
【0099】
具体的に、2回定着モードでは、まず、第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdで記録材Pにカラートナーによる1回目の画像形成が行われる。その記録材Pが定着装置Fに導入されて、そのカラートナー画像の定着(1回目の定着)がなされる。そして、定着装置Fを出た、1回目の画像形成・定着済みの記録材Pが、図5の2点鎖線示の第2姿勢に切換えられたセレクタ13によって反転再給紙機構G側に進路変更される。この反転再給紙機構G側に入った記録材は、表裏の反転が行われることなく搬送パス26を通り、レジストローラ9から、再び、転写ベルト7上に搬送される。そして、第5の画像形成部Peにおいてクリアトナーの画像形成が行われる。又は、第1から第4の画像形成部Pa・Pb・Pc・Pdでカラートナーの画像形成と、第5の画像形成部Peでクリアトナーによる画像形成が実行される。これにより、1回目の画像形成・定着済みの記録材Pのカラートナー画像の上に、クリアトナー画像、又はカラートナー画像とクリアトナー画像が形成(2回目の画像形成)される。その記録材が再び定着装置Fに導入されて、2回目の画像形成時のトナー画像の定着(2回目の定着)がなされる。定着装置Fの定着ニップ部Nを通った記録材Pは定着排紙ローラ56により排出搬送される。そして、片面画像形成モードの場合は、実線示の第1姿勢に切換えられているセレクタ13の上側を通り、本体排紙ローラ14に中継ぎされて、排紙口15から機外の排紙トレイ19に排紙される。
【0100】
反転再給紙機構Gにより記録材Pの表裏を反転する制御は、フラッパ21によって、そのまま搬送パス26に向わせる場合と、反転パス20を通ってから、搬送パス26に向かわせる場合とで切換えている。
【0101】
このようにクリアトナーによって部分的にマーキングを行った場合、定着済みのカラートナー像が形成された領域のうち、クリアトナーによって覆われている領域では発生しないものの、クリアトナーによって覆われていない領域で画像不良が発生する恐れがある。この画像不良とは、0.1〜3mm程度のブツブツとした光沢ムラであった。
【0102】
これは、定着ニップ中に入り込んだ少量の空気が定着ローラとトナーとの間に挟まり定着ローラとトナー表面との接触を妨げるために光沢ムラになる現象であることが判明した。
【0103】
つまり、未定着トナーを定着する際には空気は未定着トナーの間の隙間から逃げることができるが、2回定着方法を用いた場合には1回目に定着されたトナー画像面は平滑された傾向にある為この空気が逃げられずに画像不良が発生してしまったものと考えられる。
【0104】
そこで、上述したように2回定着を行うと、1回目に画像形成・定着したカラー画像部は、2回目の画像形成によって、未定着トナーに覆われるので、未定着トナーの隙間から空気が逃げることができるため、画像不良が発生しなくなる。
【0105】
上記の例では、画像形成/定着処理を2回に分けて行う際、有色トナー(Y,M,C,K)による画像分割単位を色単位で行っている。つまり、例えば、1回目にY、一部のM、2回目に残りのM、C、Kといった画像分割手法を採用せずに、1回目にY、M、2回目にC、Kといった有色トナーによる画像分割手法を採用している。なぜならば、有色トナーの1色分について画像形成を分割すると、同じ色のハーフトーン画像を2回に分けて形成することになり、画像濃度や色味が安定しないという別の課題が発生するからである。
【0106】
さらに説明すると、電子写真方式では、面積階調によって、画像濃度を変更している。したがって、1回目の画像に2回目の画像が重ねるべきところ、万が一重ならなかった場合には、トナー画象部の面積が大きく変わってしまい、それに伴って画像の濃度や色味が大きく変わってしまう恐れがあるからである。
【0107】
本実施例では、イエローの画像で説明したが、この色や、色順に限定されないことは言うまでもない。しないことが好ましい。
【0108】
上記の例では、画像分割方法として、Dc≧0となった画素の画像だけでなく、たとえば、イエロー単色の画像を全て、1回目に画像形成している。なお、本例の画像形成装置では、Y、M、C、Kの色順で画像形成を行っている。
【0109】
しかし、この方法では、1回目に画像形成されて定着されたイエロートナーの上に、2回目の画像形成工程においてトナーが重ねて形成されない場合には、2回目の定着工程で更に熱エネルギーを受けることになるので画像不良が発生する恐れがある。
【0110】
そこで、イエロー画像の全ての画素に対して、2回目に画像形成されるトナーが存在するかどうかを計算し、その結果、イエロー単色の部分が無い場合には、1回目にイエロー単色の画像を全て画像形成する上述の画像分割方法を採用するのが好ましい。この方法のメリットは、イエロー単色の色ズレや濃度不良が発生しないことである。
【0111】
一方、イエロー画像の全ての画素に対して、2回目に画像形成されるトナーが存在するかどうかを計算した結果、イエロー単色の部分が有る場合には、次に説明する画像分割方法を採用するのが好ましい。
【0112】
つまり、(1)式のDc≧0となり、2回定着と判断した場合には、定着済みのトナー像が定着器と再度接触することが無いように、画像形成/定着工程を2回に分けて実行させるのが好ましい。
【0113】
また、(1)式のDc≧0となり、2回定着と判断した場合には、Dc≧0となったクリアトナー像を形成する領域についてのみ上述と同様に画像形成/定着を分割する構成としても良い。つまり、カラートナー像のみを形成する領域については、定着済みのトナー像が定着器と再度接触することが無いように、画像形成/定着工程を全て2回目(最終回目)に実行させるのが好ましい。このような画像分割方法を採用すれば、イエロートナーが熱エネルギーを過多に受けることによる画像不良の発生を防止することができる。
【0114】
また、本実施例では、2回に分けるトナー量の閾値を210%にしたが、これに限定されるわけではない。
【0115】
以上、説明したように、カラートナーとクリアトナーによって画像形成を行い定着する画像形成装置において、一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生せず、所望の光沢が得られる画像形成装置を提供することができた。
【0116】
即ち、カラートナーとクリアトナーを用いた記録材へのトナー像の形成と定着処理を複数回に分割して行うことで、定着時に受ける熱エネルギー不足による画像不良の発生を防止する。その際、記録材へのトナー像の形成と定着処理の分割を色単位で行うことで、画像濃度不良や色味変動が生じるのを防止することができる。
【0117】
[実施例2]
本実施例では、a)全面均一光沢を狙って、クリアトナーを全面に打つ場合と、b)マーキングなどクリアトナーを部分的に打つ場合と、で定着設定を変える構成について説明する。即ち、上記a)は、記録材の画像形成可能領域の全面にクリアトナーによる画像形成を行う場合である。また、b)は、記録材の画像形成可能領域について部分的にクリアトナーによる画像形成を行う場合である。使用した画像形成装置は、実施例1と同様で、制御のみを変更したものを用いた。
【0118】
通常、電子写真では、記録材表面の光沢は変化せず、トナー部の光沢は濃度によって変化するために、画像によって光沢が不均一になり、画像品位を落とす。そこで、クリアトナーを全面に打って均一な光沢にすることができる。
【0119】
しかしながら、全面にクリアトナーを乗せると、定着しなければならない画像データ量が増えるために、カラートナーの定着が弱いと、出力後に、トナーが剥がれやすいといった問題が発生する。また、出力後のクリアトナーの光沢が若干低い場合が発生した。
【0120】
全面にクリアトナーを乗せると、1回目の画像形成・定着により定着されているカラートナーが2回目の画像形成・定着の定着時に一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生することはない。
【0121】
そこで、全面にクリアトナーを打つ場合には、定着性を高める構成とし、部分的にマーキングする場合には、通常の設定に戻すことで解決することができた。
【0122】
定着性を高めるとは、定着の温度設定を高くしたり、定着速度を遅くしたり、定着ローラの加圧力を上げたりして、記録材とトナーに加えるエネルギーが増えるように設定することである。
【0123】
このような方法によって、定着性を高めると、消費するエネルギーが増えたり、単位時間当たりの出力枚数が減少したり、といった弊害が発生するため、部分的なマーキングの時は通常設定に戻すことが好ましい。
【0124】
本実験では、クリアトナーにより部分的にマーキングするとは、会社名や、ブランド名などのロゴマークをイメージして行ったが、実際の画像は、このようなマークに限定されるわけではなく、画像面の一部に配置された写真画像などの場合もある。
【0125】
そこで、コントローラKは、クリアトナーによる画像形成が、部分的なマーキングか、全面かの判断を、入力した電気的画像情報に基づいて行う。具体的には、画像データの1画素について、カラートナーのある部分で、かつ、クリアトナーの画像データが無い画素があるか、無いか、で判断している。即ち、ある場合は部分的なマーキングであり、無い場合は全面であると判断して、両者間で定着設定を変える制御をする。
【0126】
図7は本実施例におけるクリアモードの制御フロー図である。実施例1の場合と同様に、コントローラKは、外部ホスト装置1000から入力した電気的画像情報に基づいて、記録材に形成するトナー画像の、カラートナー+クリアトナーの最終的な総トナー量を演算する。そして、総トナー量が210%を越える画素があるかどうかを判断する。そして、210%を越える画素がない場合は、「1回定着モード」を実行する。210%を越える画素がある場合は「2回定着モード」を実行する。ここで、1回定着モードにおける定着装置Fの定着設定を「標準設定」とする。
【0127】
コントローラKは、2回定着モードに移行した場合には、上記のように、カラートナー上にクリアトナーが無い画素があるか、無いか、を判断する。ある場合は、マーキングなどクリアトナーを部分的に打つ画像形成である。無い場合は、全面均一光沢を狙って、クリアトナーを全面に打つ画像形成である。そして、前者の場合は「標準定着モード」に移行し、後者の場合は「定着条件変更モード」に移行する。
【0128】
クリアトナーを全面に打つ画像形成は、クリアトナーを全面均一に載せても良いし、カラートナーのトナー量の情報をもとに、総トナー量が均一になるように、クリアトナー量を調整しても良い。
【0129】
標準定着モードに移行した場合は、定着装置Fの定着設定を標準設定としたままで、2回定着モードが実行される。
【0130】
定着条件変更モードに移行した場合は、画像データ分割の次に、定着装置Fの定着条件が変更されて、この変更された定着条件の下で、2回定着モードが実行される。定着装置Fの定着条件の変更は、標準設定よりも定着時のエネルギーを所定に上げるように変更される。具体的には、定着条件の変更は、標準設定時よりも、定着スピードを遅くしたり、定着温度を上げたり、さらに定着ローラの圧力を強くしたりする制御である。
【0131】
たとえば、定着速度の標準設定は100mm/secであるが、全面クリアの2回定着モードが実行されると、80mm/secに変更される。
【0132】
このようにすることで、より均一な全面クリア画像が得られた。
【0133】
さらに、定着温度の標準設定は160℃であるので、全面クリアの2回定着モードは180℃の温度設定にしても良い。
【0134】
クリアトナーは、定着条件によって、光沢が様々に変化する。したがって、所望の光沢となるように、光沢をさらに上げたい場合や、光沢をあまりあげたくない場合には、定着速度、定着温度、加圧力さらに細かく設定することが好ましい。
【0135】
以上、説明したように、カラートナーとクリアトナーによって画像形成を行い定着する画像形成装置において、一度定着されたカラートナー部に画像不良が発生せず、所望の光沢が得られる画像形成装置を提供することができた。
【0136】
実施例1や実施例2のようなクリアモードは、片面画像形成モード時に限られず、両面画像形成モード時の場合の第2面に対する画像形成時にも適用できる。また、フルカラー画像形成モード時に限られず、モノクロ画像形成モード時、モノカラー画像形成モード時にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】実施例1における画像形成装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】制御系統の概略のブロック図である。
【図3】図1の部分的な拡大図である。
【図4】操作ディスプレイ部の平面図である。
【図5】熱ローラ定着装置の拡大図である。
【図6】実施例1におけるクリアモードの制御フロー図である。
【図7】実施例2におけるクリアモードの制御フロー図である。
【符号の説明】
【0138】
100・・画像形成装置(装置本体)、200・・大容量給紙ユニット、Pa〜Pe・・第1〜第5の画像形成部、F・・熱ローラ定着装置、P・・記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異色の有色トナー像を記録材に重ねて形成可能な第1の画像形成手段と、記録材に形成された有色トナー像の上に透明トナー像を重ねて形成可能な第2の画像形成手段と、記録材に形成されたトナー像を熱定着させる定着手段と、を有する画像形成装置において、
透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量に対応する情報に応じて記録材へのトナー像の形成と定着処理を複数回に分けて実行するか否かを切替える切替え手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記切替え手段は、透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が設定値未満となるときは、記録材へのトナー像の形成と定着処理を1回で行うことを特徴とする請求項1の画像形成装置。
【請求項3】
透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が設定値以上となるとき、透明トナー像を形成すべき領域についてはトナー像の形成と定着処理を複数回に分けて実行させ、有色トナー像のみを形成すべき領域についてはトナー像の形成と定着処理を全て最終回目に実行させることを特徴とする請求項1又は2の画像形成装置。
【請求項4】
透明トナー像を形成すべき領域におけるトナーの単位面積当たりの最大総載り量が設定値以上となるとき、定着済みのトナー像が上記定着手段と再度接触することが無いように、有色トナーによるトナー像の形成と定着処理を分けて実行させることを特徴とする請求項1又は2の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の画像形成手段は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の有色トナー像を記録材に形成可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの画像形成装置。

【図3】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−299254(P2008−299254A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147972(P2007−147972)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】