説明

画像形成装置

【課題】胴内排出型画像形成装置の用紙収容スペースの視認性を向上させて、排出された転写紙を取りやすくし、ユーザーの操作性を向上させる。
【解決手段】画像形成装置100は、本体ハウジング部120と、スキャナー部200と、これらの間に設けられ、排出された用紙が収容される用紙収容部及び用紙を排出する排出機能を有した第1支柱部300とを有する。このような画像形成装置100において、次式を満たす。
0.6≧La/Lb≧0.3
但し、La:後方に位置する第1支柱部の最前の前方部の位置と前方に位置するスキャナー部と本体ハウジング部の最前の前方部の位置との距離
Lb:スキャナー部の底面と胴内の用紙収容部における用紙排出トレーの最下位置との距離

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置、特に、排出された用紙を、原稿を読取る為のスキャナー部と、用紙を上部に排出する排出トレーを内蔵した本体ハウジング部との間に収容する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等を有する画像形成装置には、複写機能の使用時に排出される転写紙を収容する用紙収容部(排出部)や、ファクシミリ機能又は、プリンタ機能の使用時に排出される受信シートを蓄える為の用紙収容部(排出部)を備えたものがある。
【0003】
さらに、その用紙収容部を、原稿を読取る為のスキャナー部と、用紙を上部に排出する排出トレーを内蔵した本体ハウジング部との間に収容する画像形成装置(以下、胴内排出型画像形成装置という。)がある。
【特許文献1】特開2000−289917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような胴内排出型画像形成装置は、スキャナー部と排出トレーを内蔵した本体ハウジング部との間に、用紙が排出される。しかし、そのスキャナー部は、ユーザーが操作する為に、上部に制約があり、本体ハウジング部には、内蔵する給紙カセットや画像形成の為に必要なプロセスを収納しないといけない為、最低限のスペースが必要である。その為、そのスキャナー部と本体ハウジング部との間のスペース(以下、収容スペースという)が狭くなり、ユーザーとって識別しづらいという問題点があった。さらに、このような胴内排出型画像形成装置は、胴内排出のための空洞がある為に、装置全体が弱そうなイメージがある。
【0005】
又、スキャナー部、本体ハウジング部、及びその両者間の支柱部の前方部の色彩が、略同じであった為に、さらに、その収容スペースの視認性が悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、その収容スペースの視認性を向上させて、排出された転写紙を取りやすくし、ユーザーの操作性を向上させるようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、定着された後に排出された用紙が収容される用紙収容部と、前記用紙収容部を上部に内蔵した本体ハウジング部と、前記用紙収容部の上部にあり、かつ、原稿を読取る為のスキャナー部と、前記スキャナー部と本体ハウジング部との間にあり、定着された後の用紙を排出する排出機能を有し、かつ、前記スキャナー部を保持する第1支柱部と、前記スキャナー部と本体ハウジング部との間にあり、装置の後方で前記スキャナー部を保持する第2支柱部と、を有する画像形成装置において、画像形成装置本体の外壁の少なくとも一部が、前記第1支柱部の前方部で構成されており、且つ、次式を満たすことを特徴とする。
0.6≧La/Lb≧0.3
但し、La:後方に位置する第1支柱部の最前の前方部の位置と前方に位置するスキャナー部と本体ハウジング部の最前の前方部の位置との距離
Lb:スキャナー部の底面と胴内の用紙収容部における用紙排出トレーの最下位置との距離
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーは、画像形成装置を操作する状態では、第1支柱部の最前の前方部は見えないため、そのスキャナー部と本体ハウジング部との間に距離を感じることができる。又、少し離れた状態の位置では、第1支柱部の最前の前方部はよく見える為、そのスキャナー部と本体ハウジング部との間に一体を感じることができ、装置全体に力強さを感じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面に示す具体例に基づいて本発明を説明する。尚、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であって本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る胴内排出型の画像形成装置100を示す斜視図である。画像形成装置100は、基本的に、スキャナー部200、本体ハウジング部120、第1支柱部300、第2支柱部400とからなる。
【0011】
さらに、スキャナー部200には、操作部210が搭載されていて、ユーザーが、操作部210に入力することによって、画像形成装置100の操作を行う。そして、本体ハウジング部120の上部には、排出された用紙を、原稿を読取る為のスキャナー部200と、その用紙を上部で受ける排出トレーを内蔵した本体ハウジング部120との間に収容する為の用紙収容部が備えられている。
【0012】
さらに、本体ハウジング部120の下部には、前カバー101、内蔵カセット121(第1内蔵カセット122、第2内蔵カセット123)が、収納されている。
【0013】
本体ハウジング部120とスキャナー部200との間に、それぞれスキャナー部200を支える第1支柱部300、第2支柱部400がある。
【0014】
第1支柱部300は、画像形成装置100の左側で、本体ハウジング部120に立設しながらスキャナー部200を支えている。同じく、第2支柱部400は、画像形成装置100の後ろ側で、本体ハウジング部120に立設しながらスキャナー部200を支えている。図1、図2に示されているように、当該画像形成装置100を前方から見て、用紙収容部の左側の側面に第1支柱部300が配置されている一方で、右側の側面において用紙収容部は開放されている。
【0015】
(A)第1実施形態
本体ハウジング部120、スキャナー部200及び第1支柱部300のうち、少なくとも用紙収容部に隣接する部分の色彩が、その他の部分の色彩よりも濃くされた第1実施形態を、図1,2に基づいて説明する。本体ハウジング部120、スキャナー部200及び第1支柱部300のうち、少なくとも用紙収容部に隣接する部分600が、その他の部分、例えば用紙カセット121の色彩より、濃くされている。
【0016】
色彩が濃いということは、例えば、JISで定められているマンセル値の値が低く、例えば、N1〜N2ぐらいの範囲をいう。その収容スペース500の影と用紙収容部に隣接する部分600の色彩が近くなるので、その収容スペース500の視認性を向上させて、排出された転写紙を取りやすくし、つまり、ユーザーの操作性を向上させるという効果がある。
【0017】
また、その色彩の差を認識できる方向から、排出された用紙を取り出すことが出来るように用紙収容部が構成されているので、より一層、排出された転写紙を取りやすくし、つまり、ユーザーの操作性を向上させるという効果がある。
【0018】
(B)第2実施形態
本体ハウジング部120、スキャナー部200及び第1支柱部300のうち、少なくとも用紙収容部に隣接する部分の色彩が、その他の部分の色彩よりも暗く、マンセルチャート(JIS)のマンセル値における明度の差が3以上とされた第2実施形態を、図1,2に基づいて説明する。この第2実施形態では、本体ハウジング部120、スキャナー部200及び第1支柱部300のうち、少なくとも用紙収容部に隣接する部分600が、その他の部分、例えば用紙カセット121の色彩よりも暗く、マンセルチャート(JIS)のマンセル値における明度の差が3以上とされている。
【0019】
第2実施形態によれば、その収容スペース500の影と用紙収容部に隣接する部分600の色彩が近くなり、さらに、その他の部分、例えば用紙カセット121とのマンセル値の差が3以上であるので、用紙収容部に隣接する部分600とその他の部分が離れたイメージを受ける為、よりその収容スペース500の視認性を向上させて、排出された転写紙を取りやすくし、つまり、ユーザーの操作性を向上させるという効果がある。
【0020】
また、その色彩の差を認識できる方向から、排出された用紙を取り出すことが出来るように用紙収容部が構成されているので、より一層、排出された転写紙を取りやすくし、つまり、ユーザーの操作性を向上させるという効果がある。
【0021】
(C)第3実施形態
本体ハウジング部120、スキャナー部200及び第1支柱部300のうち、少なくとも用紙収容部に隣接する部分の色彩が、マンセルチャート(JIS)のマンセル値で2以下とされた第3実施形態を、図1,2に基づいて説明する。この第3実施形態では、用紙収容部に隣接する部分600の色彩が、マンセルチャート(JIS)のマンセル値が2以下とされている。
【0022】
第3実施形態によれば、その収容スペース500の影と用紙収容部に隣接する部分600の色彩が近くなるので、その収容スペース500の視認性を向上させて、排出された転写紙を取りやすくし、つまり、ユーザーの操作性を向上させるという効果がある。
【0023】
(D)第4実施形態
スキャナー部200に設けられた操作部210の色彩を、本体ハウジング部120、スキャナー部200及び第1支柱部300のうち、用紙収容部に隣接する部分の色彩と、略同等とした第4実施形態を、図1、2、3に基づいて説明する。この第4実施形態では、操作部210の色彩が、用紙収容部に隣接する部分600の色彩と略同等とされている。
【0024】
第4実施形態によれば、操作部210と用紙収容部に隣接する部分600を、その他の部分、例えば用紙カセット121に対して差別化したので、その収容スペース500と操作部210の視認性を向上させて、ユーザーの操作性を向上させるという効果がある。
【0025】
(E)第5実施形態
次式を満たす第5実施形態に係る胴内排出型画像形成装置を、図3,4に基づいて説明する。
0.6≧La/Lb≧0.3
La:後方に位置する第1支柱部の最前の前方部の位置と前方に位置するそのスキャナー部と本体ハウジング部の最前の前方部の位置との距離
Lb:そのスキャナー部の底面と胴内の用紙収容部における用紙排出トレーの最下位置との距離
【0026】
従来、このような胴内排出型画像形成装置では、スキャナー部200、本体ハウジング部120、第1支柱部300の前方部の位置は、同一若しくは、略同一であり、つまり、ほぼLa=0〜30(mm)、Lb=200〜400(mm)、La/Lb=0〜0.15の範囲である。
【0027】
さらに、従来は、上記の数式をたてて、その数式を満たす範囲に基づいて、第1支柱部300の前方部の位置を、設定するという技術思想はなかった。つまり、(La/Lb)の値で、第1支柱部300の前方部の最適な位置を決めていなかった。
【0028】
そこで、上記の数式を満たすことで、操作する状態(図4のア)では、第1支柱部300の最前の前方部は見えず、少し離れた状態の位置にいる(図4のイ)時は、第1支柱部300の最前の前方部は、はっきりと確認できる位置にある。例えば、第5実施形態の胴内排出型画像形成装置では、La=80(mm)、Lb=200(mm)、La/Lb=0.4である。
【0029】
つまり、ユーザーは、操作する状態(図4のア)では、第1支柱部300の最前の前方部は見えないため、そのスキャナー部200と本体ハウジング部120との間に距離を感じることができる。又、少し離れた状態の位置にいる(図4のイ)では、第1支柱部300の最前の前方部はよく見える為、そのスキャナー部200と本体ハウジング部120との間に一体を感じることができ、装置全体に力強さを感じることができる。
【0030】
さらに、詳しく説明すると、このような胴内排出型画像形成装置は、胴内排出に空洞がある為に、装置全体が弱そうなイメージがある。
【0031】
ここで、(La/Lb)≧0.6の場合は、第1支柱部の最前の前方部が、図4のア、イの位置の両方とも、見えなくなる傾向になり、装置全体に強度的な問題が生じる。又、(La/Lb)≦0.3の場合は、第1支柱部の最前の前方部が、図4のア、イの位置の両方とも、見える傾向になり、スキャナー部200、本体ハウジング部120、第1支柱部300に一体感がでるので、胴内排出型スペースから、紙が取り出しにくくなる。
【0032】
(F)第6実施形態
次式を満たす第6実施形態に係る胴内排出型画像形成装置を、図3,4に基づいて説明する。
0.8≧La/Lc≧0.6
La:後方に位置する第1支柱部の最前の前方部の位置と前方に位置するそのスキャナー部と本体ハウジング部の最前の前方部の位置との距離
Lc:そのスキャナー部の底面と胴内の用紙収容部における用紙排出トレーとの間の平均距離
【0033】
例えば、第6実施形態の胴内排出型画像形成装置では、La=80(mm)、Lc=120(mm)、La/Lc=0.667である。第5実施形態と同様に、上記の数式を満たすことで、操作する状態(図4のア)では、第1支柱部300の最前の前方部は見えず、少し離れた状態の位置にいる(図4のイ)時は、第1支柱部300の最前の前方部は、はっきりと確認できる位置にある。
【0034】
つまり、ユーザーは、操作する状態(図4のア)では、第1支柱部300の最前の前方部は見えないため、そのスキャナー部200と本体ハウジング部120との間に距離を感じることができる。又、少し離れた状態の位置にいる(図4のイ)では、第1支柱部300の最前の前方部はよく見える為、そのスキャナー部200と本体ハウジング部120との間に一体を感じることができ、装置全体に力強さを感じることができる。
【0035】
ここで、(La/Lc)≧0.8の場合は、第1支柱部300の最前の前方部が、図4のア、イの位置の両方とも、見えなくなる傾向になり、装置全体に強度的な問題が生じる。又、(La/Lc)≦0.6の場合は、第1支柱部300の最前の前方部が、図4のア、イの位置の両方とも、見える傾向になり、スキャナー部200、本体ハウジング部120、第1支柱部300に一体感がでるので、胴内排出型スペースから、紙が取り出しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る胴内排出型の画像形成装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の正面図であって、エリアを示した図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の正面図であって、胴内スペースを示した図である。
【図4】図1に示す画像形成装置の右側面図である。
【符号の説明】
【0037】
100 画像形成装置
101 前カバー
120 本体ハウジング部
121 内蔵カセット
200 スキャナー部
210 操作部
300 第1支柱部
400 第2支柱部
500 収容スペース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着された後に排出された用紙が収容される用紙収容部と、
前記用紙収容部を上部に内蔵した本体ハウジング部と、
前記用紙収容部の上部にあり、かつ、原稿を読取る為のスキャナー部と、
前記スキャナー部と本体ハウジング部との間にあり、定着された後の用紙を排出する排出機能を有し、かつ、前記スキャナー部を保持する第1支柱部と、
前記スキャナー部と本体ハウジング部との間にあり、装置の後方で前記スキャナー部を保持する第2支柱部と、を有する画像形成装置において、
画像形成装置本体の外壁の少なくとも一部が、前記第1支柱部の前方部で構成されており、且つ、
次式を満たすことを特徴とする画像形成装置。
0.6≧La/Lb≧0.3
但し、La:後方に位置する第1支柱部の最前の前方部の位置と前方に位置するスキャナー部と本体ハウジング部の最前の前方部の位置との距離
Lb:スキャナー部の底面と胴内の用紙収容部における用紙排出トレーの最下位置との距離

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−83721(P2008−83721A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311954(P2007−311954)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【分割の表示】特願2006−292375(P2006−292375)の分割
【原出願日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】