説明

画像形成装置

【課題】二次転写同時定着部を通過した中間転写体の温度を画像形成に支障をきたさない程度に低下させる。
【解決手段】二次転写同時定着部4を通過した中間転写ベルト21に当接する冷却兼クリーニング部(冷却兼クリーニングローラ51)を有し、冷却兼クリーニング部5は冷却兼クリーニングローラ51と、クリーニングブレード52と、スイープローラ53と、送りローラ54と、廃棄液体現像剤搬送容器55と、ホルダー56と、ベアリング57と、送風パイプ58aと、送風パイプ58bと、支持部材59と、接続部材511と送風ファン512を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、画像形成ユニットから中間転写体にトナー像を一次転写し、さらに中間転写体から記録媒体にトナー像を二次転写かつ定着する二次転写同時定着部を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像規制装置において、画像形成部(感光体)において形成したトナー像を中間転写体に一次転写した後に、中間転写体からトナー像を印刷媒体にニ次転写する際に同時にトナー像を定着する、二次転写同時定着装置が用いられる場合がある。この方法では別途定着装置を配設する必要がなく、その分画像形成装置を簡素化できコストも抑えることができるというメリットがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−345145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置では、二次転写同時定着装置を通過した中間転写体が加熱され、温度が上昇した中間転写体と接することで画像形成部の感光体の温度が上昇し、画像形成に悪影響が生じる恐れがあるとともに、感光体からクリーニングされクリーニングユニットに貯留されている現像剤が熱の影響で固化してしまい感光体のクリーニングに支障をきたす恐れがある。
【0004】
本発明の課題は、二次転写同時定着装置を通過した後の中間転写体の温度を低減し、上述したような画像形成における悪影響の発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に画像形成装置は、画像形成部からトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写器と、中間転写体から記録媒体に二次転写かつ定着する二次転写同時定着部材を有する画像形成装置であって、中間転写体に当接する冷却兼クリーニング部を有するものである。
【0006】
この画像形成装置では、中間転写体に当接する冷却兼クリーニング部を有するので、二次転写同時定着部材を通過して温度が上昇した中間転写体を冷却し、画像形成に影響が生じないようにすることができる。さらに冷却兼クリーニング部によって中間転写体のクリーニングも行うことが可能となる。
【0007】
第2発明に係る画像形成装置は、第1発明の画像形成装置であって、前記冷却兼クリーニング部は冷却兼クリーニングローラを有する。
【0008】
第3発明に係る画像形成装置は、第1発明または第2発明の画像形成装置であって、前記冷却兼クリーニングローラはローラ部と、中空部と、軸部を有している。
【0009】
ここでは、ローラ部のよって中間転写体のクリーニングが可能となり。中空部に送風して中間転写体を冷却することができる。
【0010】
第4発明に係る画像形成装置は、第1発明から第3発明のいずれかの画像形成装置であって、前記冷却兼クリーニングローラのローラ部には中間転写体からローラ部にトナーを向かわせる電界を生じる電圧が印加されている。
【0011】
ここでは、冷却兼クリーニングローラのローラ部には中間転写体からローラ部にトナーを向かわせる電界を生じる電圧が印加されることによって、中間転写体に残留している現像剤のトナーをローラ部に吸着することで中間転写体のクリーニングを行うことができ。
【0012】
第5発明に係る液体試料分離抽出装置は、第1発明に記載の液体試料分離抽出装置であって、前記冷却兼クリーニング部はさらに送風部を有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、中間転写体の温度が画像形成に影響が生じないように冷却されるので、常に良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の画像形成装置の実施の一形態について説明する。なお、説明の便宜上、図面では部材の位置及び大きさ等は適宜強調して描かれている。また、以下の実施形態は、本発明の画像形成装置の一例として、カラープリンタを挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る画像形成装置は画像形成部を備えていればよく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する所謂複合機(MFP:Multi Function Peripheral)やコピー機能のみを備えたものでもよい。以下に説明するこれらの部材の具体的な構成や、その他の部材等については、適宜変更可能である。
【0015】
1.全体構成
図1〜図2を用いて本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ1の概略構成を説明する。図1は、カラープリンタ1の全体構成を示す概略断面図、図.2は、画像形成部の一つを拡大して示す断面図である。
【0016】
図1に示すように、カラープリンタ1には、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式の画像形成部2と、記録媒体の一例である用紙を収容する用紙収納部3と、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写するすると同時に定着する二次転写同時定着部4と、中間転写体の一例である中間転写ベルト21を冷却すると共に中間転写ベルトに残留した液体現像剤を中間転写ベルト21から除去する冷却兼クリーニング部5と、定着の完了した用紙を排紙する排出部7と、用紙収納部3から排出部7まで用紙を搬送する用紙搬送部6とが含まれている。
【0017】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBとを備える。
【0018】
中間転写ベルト21は、導電性を有し、使用可能な用紙搬送方向に直角な方向の長さが最大の用紙より幅広であって、無端状、すなわちループ状のベルト状部材であり、図1、図2において矢印で示すように時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を以下、表面と称し、他方の面を裏面と称する。
【0019】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写同時定着部4との間に配置される。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
【0020】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、感光体ドラム10と、帯電器11と、露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。また、画像形成ユニットのうち、最も二次転写同時定着部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
【0021】
各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBとキャリアタンクCCA、各画像形成ユニットに対応した、トナータンクCB、CY、CC、CMが設けられ、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
【0022】
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、図.2、図.3において反時計回りに回転可能な部材である。
【0023】
帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させることができる機器である。
【0024】
露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
【0025】
現像装置14(液体消費部)は、トナー(分散質)及び液体のキャリア(分散媒)を含む液体現像剤(混合液体)を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
【0026】
図2を参照して、現像装置14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラ帯電器147を含む。
【0027】
現像容器140は、内部にトナー粒子と液体のキャリアからなる液体現像剤の供給を受ける容器である。後述するが、この液体現像剤は、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。なお、液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部近傍の支持ローラ143へ向けて供給され、その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、パイプ82を通して液体現像剤循環装置で回収される(図3参照)。
【0028】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、下方から支える態様で供給ローラ142に当接されてニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向の斜め上に配置され、その周面には液体現像剤を保持するための溝が設けられている。図中に点線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0029】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142、143の回転に伴って、供給ローラ142の前記溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
【0030】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置されている。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転され(現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は供給ローラ142の表面と逆方向に移動する)、これにより現像ローラ141の周面には、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
【0031】
現像ローラ帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の帯電電位を与えることで、現像ローラ141に担持された現像剤層中のトナーを現像ローラ141の表面側に移動させ、現像効率を向上させる作用を果たすものである。現像ローラ帯電器147は、現像ローラ141の、供給ローラ142との接触部の回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部の上流側において、現像ローラ141の周面に対向するように設けられている。
【0032】
現像ローラ141は感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
【0033】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側であって、供給ローラ142との接触部の上流側において、現像ローラ141に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
【0034】
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、液体現像剤循環装置のパイプ81へ該液体現像剤を送り出す。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収装置146には液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラが備えられている。
【0035】
一次転写器である一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
【0036】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置であって、残留現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備えている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置の外部に搬送するための部材であって、クリーニング装置26内に配置されている。
【0037】
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に摺接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0038】
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
【0039】
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写同時定着部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。
【0040】
図1に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、カラープリンタ1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセット31と給紙ローラ32と用紙分離ローラ対33を有している。
【0041】
二次転写同時定着部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写すると同時にトナー像を用紙に熱と圧力を用いて用紙に定着する部分であって、中間転写ベルト21を支持する支持兼定着ローラ41と、支持ローラに対向して配置された二次転写兼加圧ローラ42とを有している。なお、支持兼定着ローラ41には支持兼定着ローラ41を加熱するヒータ41aが内蔵され、二次転写兼加圧ローラ42には二次転写兼加圧ローラ42を過熱するヒータ42bが内蔵され、それぞれ、用紙の転写・定着時に所定温度範囲になるように支持兼定着ローラ41と二次転写兼加圧ローラ42を加熱する。
【0042】
冷却兼クリーニング部5は、用紙にトナー像を転写し定着させた後の中間転写ベルト21を冷却すると共に中間転写ベルト21に残留した液体現像剤を除去する部分であって、二次転写同時定着部4の中間転写ベルト21の回転方向下流側であり、中間転写ベルト21のクリーニング部22の中間転写ベルト21の回転方向上流側に配置されている。また、冷却兼クリーニング部5の詳細については後述する。
【0043】
用紙搬送部6は、複数の搬送ローラ対を備え、用紙収納部3から二次転写同時定着部4及び排出部6に用紙を搬送する部分であって、搬送ローラ対61と、レジストローラ対62とを有している。
【0044】
排出部7は、二次転写同時定着部4でトナー像が転写・定着された用紙が排出される部分であって、複数の排出ローラ対71とカラープリンタ1の上面に設けられた排出トレイ72を有している。
【0045】
中間転写ベルト21のクリーニング部22はクリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bを有する。ここでは、クリーニングローラ22aには正規トナーとは逆極性に帯電しているトナーが中間転写ベルト21からクリーニングローラ22aに移動するような電界が生じるような電圧が(本実施例では+300V)クリーニングローラ22aに印加されている。
【0046】
2.液体現像剤循環装置
図3に一つの液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示す。他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同じ構成である。この液体現像剤循環装置LYは、感光体ドラム10へ液体現像剤を供給した後に現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤(トナーとキャリア液との混合物)を循環させ再利用するための装置である。
【0047】
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271、現像剤収容容器272、固形分濃度検出装置273、キャリアタンク274、トナータンク275、液量検出装置276、現像剤リザーブタンク277、液体現像剤供給装置(供給ノズル)278、液体現像剤分離装置28、複数のポンプP1〜P11及び制御部90を備えている。
【0048】
残留現像剤タンク271は、現像装置14に第1パイプ81及び第2パイプ82を介して接続され、現像装置14側から回収された液体現像剤を収容可能なタンクである。第1パイプ81及び第2パイプ82の途中には、それぞれ第1ポンプP1及び第5ポンプP5が取り付けられている。
【0049】
感光体ドラム10へトナーを供給した後に、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた液体現像剤は、第1ポンプP1の駆動により第1パイプ81を通して残留現像剤タンク271に送られる。また、現像容器140内において供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて貯留された液体現像剤は、第5ポンプP5の駆動により第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に送られる。
【0050】
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271と接続されている。現像剤収容容器272は、残留現像剤に現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い現像剤、あるいはキャリア液を加えることで、トナー濃度を適正範囲に調整すると共に、残留現像剤のトナー濃度を適正範囲に調整するものである。このトナー濃度が調整された液体現像剤は、現像装置14に補給される。現像剤収容容器272は残留現像剤タンク271と第3パイプ83を介して接続されており、この第3パイプ83には第2ポンプP2が取り付けられている。残留現像剤タンク271内の液体現像剤は、第2ポンプP2の駆動により第3パイプ83を通して現像剤収容容器272に送られる(以上、回収系統)。
【0051】
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナーの濃度を検出するための装置である。現像剤収容容器272に接続されている環状の第4パイプ84に、固形分濃度検出装置273が接続されている。この環状の第4パイプ84には第4ポンプP4が取り付けられている。現像剤収容容器272内の液体現像剤は、第4ポンプP4の駆動により第4パイプ84の入口端から固形分濃度検出装置273へ導かれ、その後、第4パイプ84の出口端から現像剤収容容器272に戻される。
【0052】
キャリアタンク274は、キャリア液を収納するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも高いと判定された場合に、キャリアタンク274から現像剤収容容器272内にキャリア液が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が下げられる。なお、キャリアタンク274内のキャリア量が規定値より少なくなった場合は不図示のパイプを通してキャリアタンクCCAからキャリアの供給を受けるように構成されている。キャリアタンク274と現像剤収容容器272とは第5パイプ85で接続されており、前記キャリア液の供給は、第5パイプ85の途中に設けられた第3ポンプP3の駆動によって実行される(第2供給系統)。
【0053】
トナータンク275は、現像装置14で用いられる現像剤よりもトナー濃度が高い液体現像剤を収納するタンクである。固形分濃度検出装置273により、現像剤収容容器272内のトナーの濃度が適正範囲よりも低いと判定された場合に、トナータンク275から現像剤収容容器272内にトナー濃度が高い液体現像剤が供給され、容器272内の液体現像剤のトナー濃度が上げられる。トナータンク275内の液多雨現像剤量が規定値より少なくなった場合は不図示のパイプを通して対応するトナータンクCBまたはCYまたはCCまたはCMから液体現像剤の供給を受けるように構成されている。トナータンク275と現像剤収容容器272とは第6パイプ86で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第6パイプ86の途中に設けられた第8ポンプP8の駆動によって実行される(第1供給系統)。
【0054】
液量検出装置276は、現像剤収容容器272内の液体現像剤量を検出するための装置であって、現像剤収容容器272内に配置されている。液量検出装置276は、現像剤収容容器272内における液体現像剤の液面高さが所定高さ位置以上となったときに該液体現像剤と接触するように配置された液面検知部材276aと、該液面検知部材276aを駆動するモータ(図略)とを備えている。液面検知部材276aが、液体現像剤の液面と接触することに伴う前記モータの負荷変化に基づいて、液体現像剤量を検出する。
【0055】
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤を収納するタンクである。現像剤リザーブタンク277は、現像剤収容容器272と第7パイプ871で接続されており、第7パイプ871の途中に設けられた第6ポンプP6の駆動によって、現像剤収容容器272から液体現像剤の供給を受ける。
【0056】
供給ノズル278は、現像剤リザーブタンク277に貯留された液体現像剤を、現像装置14(現像容器140)へ供給するための部材である。供給ノズル278と現像剤リザーブタンク277とは第8パイプ872で接続されており、前記液体現像剤の供給は、第8パイプ872に取り付けられた第7ポンプP7の駆動によって実行される(以上、第3供給系統)。
【0057】
なお、図示は省略しているが、残留現像剤タンク271、キャリアタンク274、トナータンク275及び現像剤リザーブタンク277の適所には、これらタンク内の液面高さを検知するための液量検出装置が備えられている。
【0058】
液体現像剤分離装置28は、クリーニング装置26で回収された残留現像剤からトナーとキャリア液とを分離し、トナーとキャリア液とを別々に抽出する装置である。クリーニング装置26と液体現像剤分離装置28との間は、第9ポンプP9が取り付けられた第9パイプ881で接続されている。第9ポンプP9の駆動により、クリーニング装置26内の残留現像剤は、液体現像剤分離装置28に送られる。また、液体現像剤分離装置28とキャリアタンク274との間には、第10ポンプP10が取り付けられた第10パイプ882が設けられている。液体現像剤分離装置28で抽出されたキャリア液は、第10ポンプP10の駆動によってキャリアタンク274へ送られる。
【0059】
3.冷却兼クリーニング部5
図4と図5を参照して冷却兼クリーニング部5の構成を説明する。
【0060】
図4は冷却兼クリーニング部5の概略断面図である。図5は冷却兼クリーニング部5を上方から見た上面図である。なお、図5は理解の容易のために、クリーニングブレード52と、スイープローラ53と、送りローラ54と廃棄液体現像剤搬送容器55は図示を省略している。
【0061】
冷却兼クリーニング部5は冷却兼クリーニングローラ51と、クリーニングブレード52と、スイープローラ53と、送りローラ54と、廃棄液体現像剤搬送容器55と、ホルダー56と、ベアリング57と、送風パイプ58aと、送風パイプ58bと、支持部材59と、接続部材511と送風ファン512を有している。
【0062】
冷却兼クリーニングローラ51は、内部が中空となっている管状部材であり、中間転写ベルト21の表面に接している。冷却兼クリーニングローラ51はローラ部51a、中空部51b、軸部51cを有している。冷却兼クリーニングローラ51は、その内部の中空部51bにカラープリンタ1機外の空気を通過させる。そして、そのローラ部51aを通して中間転写ベルト21の表面に接触することにより、二次転写同時定着部を通過して温度が上昇した中間転写ベルト21から熱を奪い中間転写ベルト21を冷却する。
ローラ部51aはSUS材等の金属材料で構成され、中間転写ベルト21に接触することによって中間転写ベルト21表面から二次転写定着後に中間転写ベルト21表面に残留した残留液体現像剤を除去する。具体的にはローラ部51aにトナーが中間転写ベルト21からローラ部51aに移動するような電界を生じる電圧(本実施例ではー300V)を印加することで、中間転写ベルト21表面に残留したトナーを管状部材51bに吸着させて中間転写ベルト21から除去する。また、ローラ部51aが中間転写ベルト21に接触することで無極性液体であるキャリア液を吸着して除去する。軸部51cはローラ部51aから外方へ突出するように設けられ、後述のベアリング57によって回転自在に支持されている。なお、軸部51cもその内部が中空状の部材である。
【0063】
クリーニングブレード52は、冷却兼クリーニングローラ51の管状部材51bの表面に当接して、冷却兼クリーニングローラ51から残留液体現像剤を除去する部材である。
冷却兼クリーニングローラ51から除去された残留現像剤はクリーニングブレード52の上面を流下する。
【0064】
スイープローラ53は、残留液体現像剤はその粘度が高く水などの粘度の低い流体のように自然には流れ落ちにくいため、残留液体現像剤を下流側に付勢するために設けられている。スイープローラ53は、クリーニングブレード52の表面を流下する残留液体現像剤に接し、クリーニングブレード52には接しない位置に配置された、残留液体現像剤をクリーニングブレード52上面下流側に流れるように送り出す部材である。
【0065】
送りローラ54はクリーニングブレード52表面を流下した残留液体現像剤を、冷却兼クリーニングローラ51の軸方向に搬送し、不図示の廃棄現像剤容器まで搬送するミキサー状の部材である。
【0066】
廃棄液体現像剤搬送容器55は送りローラ54の周囲を覆い、送りローラ54によって残留液体現像剤を廃棄現像剤容器まで送る際に、外部に廃棄液体現像剤が漏洩するのを防止するために設けられた部材である。
【0067】
ホルダー56は冷却兼クリーニングローラ51を支持し、冷却兼クリーニングローラ51と後述の送風パイプ58を接続するための部材である。ホルダー56の内部には後述するベアリング57と支持部材59が配設されている。なお、ホルダー56は冷却兼クリーニングローラ51の軸部51cの両側にそれぞれ1個ずつ設けられている。ホルダー56は冷却兼クリーニングローラ51が中間転写ベルト21を若干量(本実施例では0.5mm)押し下げるようにカラープリンタ1の筐体に固定配置されている。このことによって冷却兼クリーニングローラ51のローラ部51cは中間転写ベルト21に圧接され、中間転写ベルト21の回転に伴って冷却兼クリーニングローラ51は中間転写ベルト21に従動回転する。
【0068】
ベアリング57は、冷却兼クリーニングローラ51を回転自在に支持するための部材であってホルダー56内に配設されている。なお、ベアリング57には冷却兼クリーニングローラ51の軸部51cが挿通されている。
【0069】
送風パイプ58aは、図5において冷却兼クリーニングローラ51の右側の軸部51cと後述の接続部材511の間に配置され、冷却兼クリーニングローラ51に空気を送出するための部材である。送付パイプ58aの一端は接続部材511と接続され、他端は支持部材59によって支持されている。なお、ベアリング57と支持部材59は約1mmの間隙をおいて配置されているので、送風パイプ58aと冷却兼クリーニングローラ51の軸部51cは約1mmの間隙をおいて対面していることになる。この間隙を設けることによって回転する冷却兼クリーニングローラ51の軸部51cと送風パイプ58aが接触することによって双方が損傷することを避けることができる。
【0070】
送風パイプ58bは、図5において冷却兼クリーニングローラ51の左側の軸部51cと不図示のカラープリンタ1の外壁間に配置され、冷却兼クリーニングローラ51に空気を排出するための部材である。送付パイプ58Aの一端は前述の外壁511と接続されて外部に開口し、他端は支持部材59によって支持されている。なお、ベアリング57と支持部材59は約1mmの間隙をおいて配置されているので、送風パイプ58bと冷却兼クリーニングローラ51の軸部51cは約1mmの間隙をおいて対面していることになる。
この間隙を設けることによって回転する冷却兼クリーニングローラ51の軸部51cと送風パイプ58bが接触することによって双方が損傷することを避けることができる。
【0071】
接続部材511は、送風パイプ58aと送風ファン512を接続する漏斗状の部材である。接続部材511は、送風パイプ58aと送風ファン512にそれぞれ固定配置されている。
【0072】
送風ファン512は、冷却兼クリーニングローラ51にカラープリンタ1の外部の空気を送るための部材であって、不図示のモータによって駆動される。また、送風ファン512の図5において右端部はカラープリンタ1の不図示の外壁に接続され、外部に開口している。送風ファン512の外部への開口部には、ゴミなどの侵入を防ぐために不図示のフィルターが設けられている。送風ファン512の図5において左端部は接続部材511に固定接続されている。なお、送風ファン512によって送り込まれた空気の流れる方向を図5において矢印で示した。
【0073】
ここでは、送風ファン512をカラープリンタ1の操作者が操作する前面側に設け、送風パイプ58bの開口端をカラープリンタ1の背面側に設けたほうがよい。そうすることで、操作者に温まった排気が当たらず、操作者が不快感を知覚することが避けられる。
4.動作
先ず、カラープリンタ1の画像形成動作を説明する。カラープリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けたカラープリンタ1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成部2で形成された画像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
【0074】
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3の給紙カセット31に収容されている用紙が給紙ローラ32によって給紙カセット31から取り出されて、分離ローラ対32によって一枚ずつ用紙搬送部6に送出される。用紙搬送部6の搬送ローラ対61によって用紙はレジストローラ対62まで送られ用紙の搬送姿勢が補正されて一旦用紙は停止させられる。そして、中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせてレジストローラ対62から二次転写同時定着部4に送り込まれ、二次転写同時定着部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写されると同時に定着される。
【0075】
カラートナー像が転写された用紙はさらに排出部7に送られ、排出ローラ対71よってカラープリンタ1の外部に設けられた排出トレイ72に排紙される。二次転写・定着後に温度が上昇した中間転写ベルト21は冷却兼クリーニングローラ51によって冷却される。
二次転写・定着後に、中間転写ベルト21に残留した残留液体現像剤は、冷却兼クリーニングローラ51によって除去される。さらに冷却兼クリーニングローラ51によって 中間転写ベルト21から除去されなかった帯電極性が正規のトナーと異なるトナーとキャリア液は中間転写ベルト21のクリーニング部22のクリーニングローラ22aによって除去される。ここまでの中間転写ベルト21のクリーニングにおいても中間転写ベルト21から除去されなかった液体現像剤(キャリア液と帯電性が極端に低いトナー)や紙粉等はクリーニングブレード22bによって除去される。
【0076】
ここで、中間転写ベルト21の中間転写ベルト21のクリーニング部22の直前で測定した温度は、冷却兼クリーニングローラを有さない場合は75度であったのに対し、冷却兼クリーニングローラを設けた場合には43度であり、画像形成に影響はみなれなかった。
【0077】
次に、現像装置14に液体現像剤を供給する動作、すなわち液体現像剤の循環動作について説明する。
【0078】
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は、現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、第1パイプ81を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、供給ローラ142から現像ローラ141へ供給されずに現像容器140にて回収された液体現像剤も、第2パイプ82を通して残留現像剤タンク271に回収される。さらに、クリーニング装置26で回収された残量現像剤から液体現像剤分離装置28にて抽出されたキャリア液が、キャリアタンク274へ回収される。このような液体循環を実行させるため、第1、第5、第9、第10ポンプP1、P5、P9、P10は、制御部90によって駆動制御される。
【0079】
現像剤収容容器272内の液体現像剤量が無くなると、制御部90は、第2ポンプP2を駆動させて、残留現像剤タンク271から現像剤収容容器272に残留現像剤を供給させる。現像剤収容容器272が残留現像剤で満たされると、固形分濃度検出装置273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。この検出結果に応じて、制御部90は、第3ポンプP3又は第8ポンプP8を駆動させて、必要量のキャリア液又は高濃度液体現像剤を現像剤収容容器272へ供給させる。その後、再度固形分濃度検出装置273により液体現像剤のトナー濃度が検出される。そして、トナー濃度が適正範囲ならば、必要に応じて液体現像剤は現像剤リザーブタンク277へ供給される。
【0080】
5.他の実施形態
(a)画像形成ユニットは4個の場合を例示したが、4個より少なくても多くても良い。
【0081】
(b)また、上記実施形態では、支持兼定着ローラと二次転写兼加圧ローラの両方にヒータを設けたが、どちらか一方に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】カラープリンタの全体概略図。
【図2】画像形成部の一つを拡大して示す断面図。
【図3】液体現像剤循環装置の構成図。
【図4】冷却兼クリーニング部の断面図。
【図5】冷却兼クリーニング部の上面図。
【符号の説明】
【0083】
1 カラープリンタ(画像形成装置)
2 画像形成部
5、冷却兼クリーニング部
51 冷却兼クリーニングローラ
52 クリーニングブレード
53 スイープローラ
54 送りローラ
56 ホルダー
57 ベアリング
58a、58b 送風パイプ
59 支持部材
511 接続部材
512 送風ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部からトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写器と、中間転写体から記録媒体に二次転写かつ定着する二次転写同時定着部材を有する画像形成装置であって、
中間転写体に当接する冷却兼クリーニング部を有する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記冷却兼クリーニング部は冷却兼クリーニングローラを有する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却兼クリーニングローラはローラ部と、中空部と、軸部を有している、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却兼クリーニングローラのローラ部には中間転写体からローラ部にトナーを向かわせる電界を生じる電圧が印加されている、
請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却兼クリーニング部はさらに送風部を有している、
請求項1に記載の液体試料分離抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−157178(P2009−157178A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336401(P2007−336401)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】