説明

画像形成装置

【課題】用紙を反転排出する処理時間を短縮すること。
【解決手段】複写機2は、主搬送路104と、排出ローラ対132と、主排出路128と、第1反転排出路6と、第2反転排出路10とを備えている。第1反転排出路6は、第1逆転ローラ対4Aが備えられかつ主搬送路104の下流端から分岐して搬入された用紙を、搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対132に向けて排出する。第2反転排出路10は、第2逆転ローラ対8が備えられかつ主搬送路104の下流端から分岐して搬入された用紙を、搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対132に向けて排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面に画像が形成された用紙を、表裏を反転して排出することができる画像形成装置(例えば、静電複写機、レーザプリンタ、ファクシミリ、これらの複合機)に関する。
【背景技術】
【0002】
先ず図4を参照して、上記形態の画像形成装置の、一つの従来例について説明する。画像形成装置である静電複写機100は、一部のみが図示されているほぼ直方体形状の装置本体である複写機本体102を備えている。複写機本体102は、相互に横方向(図4において左右方向)に間隔をおいて対向する一側102a及び他側102bと、上端102cとを備えている。複写機本体102内には、主搬送路104が、複写機本体102の一側102aから他側102bに向かってほぼ水平に延在するよう配設されている。複写機本体102内にはまた、主搬送路104に関連して、画像形成手段106が配設されている。画像形成手段106は、像担持体である感光体ドラム108と、感光体ドラム108の周囲に配置された、主帯電器110、露光手段であるレーザスキャニングユニット112、現像装置114、転写・分離ベルト機構116、クリーニング装置118、図示しない除電器などの作像エレメントを備えている。画像形成手段106はまた、主搬送路104における、転写・分離ベルト機構116よりも下流位置に配置された定着装置120を備えている。定着装置120は、熱ローラ121aと、熱ローラ121aに圧接された圧ローラ121bとからなる定着ローラ対121を備えている。
【0003】
主搬送路104における、感光体ドラム108よりも上流位置(図4において右方の位置)には、その上流から下流に向かって、搬送ローラ対122及びレジストローラ対124がその順に配置されている。主搬送路104における、定着装置120の下流位置には搬送ローラ対126が配設されている。複写機本体102の上端102c上には、図示しない露光走査装置が配設され、露光走査装置の上面には、原稿戴置台であるプラテンガラスが配設されている。複写機本体102の上端にはまた、図示しない自動原稿搬送装置が、プラテンガラスの上面を開閉可能に回動し得るよう配設されている。露光走査装置内には、自動原稿搬送装置により搬送される原稿の画像情報を読み取るための画像読み取り装置が備えられている。
【0004】
画像情報、例えば画像読み取り装置によって読み取られた画像情報は、レーザスキャニングユニット112によって、主帯電器110により一様に帯電された感光体ドラム108の表面に照射される。感光体ドラム108の表面には静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置114により現像される。他方、搬送ローラ対122により搬送された用紙は、レジストローラ対124により所定のタイミングで感光体ドラム108と転写・分離ベルト機構116との協働により形成される転写領域に向けて搬送される。用紙が転写領域を通過する間に、用紙の片面(図4において上面)には、感光体ドラム108の表面に形成された画像(トナー像)が転写・分離ベルト機構116によって転写される。片面に画像が転写された用紙は、転写・分離ベルト機構116により定着装置120に搬送・分離され、定着装置120を通過する間に画像が用紙の片面に定着される。片面に画像が定着された用紙は搬送ローラ対126によって更に下流に搬送される。以上のとおりにして、主搬送路104を用紙が搬送される間に、用紙の片面に画像が形成される。
【0005】
主搬送路104は、その下流端である搬送ローラ対126の直下流位置において、主排出路128と反転路130とに分岐されている。主排出路128は主搬送路104の延長上に配置され、主排出路128の下流端には排出ローラ対132が配設されている。主搬送路104及び主排出路128は、複写機本体102の一側102aから他側102bに向かってほぼ水平に延在するよう配設されている。排出ローラ対132は、複写機本体102の他側102bの内側に配設され、他側102bには、排出ローラ対132により排出される用紙をストックする図示しない排出トレイが配設されている。反転路130は、主搬送路104の下流端から下方に分岐しかつ反転して図4において右斜め下方に延び、逆転搬送路134に接続されている。反転路130には搬入ローラ対136が配設されている。主排出路128と反転路130との分岐部には、分岐爪138が配設されている。分岐爪138は、図示しないアクチュエータにより、主搬送路104を通して搬送された用紙を、主排出路128に向けて案内する第1の案内位置(不図示)と、反転路130に向けて案内する第2の案内位置(図4に示される位置)とに選択的に位置付けられる。逆転搬送路134は、主搬送路104の下方に間隔をおいて複写機本体102の横方向(図4において左右方向)に直線状に延在している。逆転搬送路134の、反転路130が合流する位置には、逆転ローラ対140が配設されている。
【0006】
逆転搬送路134は、反転路130との合流部を越えて主搬送路104の下流方向に直線状に延び、再反転路142に接続されている。再反転路142は、逆転搬送路134の逆転搬送方向(図4において左方)における下流端から下方に半円状に反転して、再給紙搬送路144に接続されている。再反転路142は、大径の反転ローラ146と、反転ローラ146に圧接された2個の小径の押さえローラ148とを備えている。片方の押さえローラ148は再反転路142の入口に配置され、他方の押さえローラ148は再反転路142の出口に配置されている。再給紙搬送路144は、逆転搬送路134の下方に間隔をおいてほぼ水平に複写機本体102の横方向に延在している。再給紙搬送路144には、3対の搬送ローラ対149が相互に間隔をおいて配置されている。
【0007】
複写機本体102内の図4において右端部には、給紙搬送路150が配設されている。給紙搬送路150は、複写機本体102の一側102aの内側を一側102aに沿ってほぼ鉛直方向に延びてから、図4において左斜め上方に傾斜して延びて、主搬送路104の上流端である搬送ローラ対122の直上流位置に接続されている。給紙搬送路150には、複数の給紙搬送ローラ対152が相互に間隔をおいて配置されている。上記再給紙搬送路144の下流領域(図4において右端領域)は、右上方にカーブして、給紙搬送路150において最上端に配置された給紙ローラ152の上流側に接続されている。
【0008】
再給紙搬送路144の下方には2個の用紙積載トレイ154及び156が配設され、用紙積載トレイ154及び156の下方には、図示しない複数の給紙カセットが配設されている。用紙積載トレイ154は、給紙路158を介して給紙搬送路150に接続されている。用紙積載トレイ154に関連して、複写機本体102内にはピックアップローラ160が配設され、給紙路158には、分離ローラ対162と2対の給紙ローラ対164とが、上流から下流に向かってこの順に配設されている。他方、用紙積載トレイ156は、給紙路165を介して給紙搬送路150に接続されている。用紙積載トレイ156に関連して、複写機本体102内にはピックアップローラ166が配設され、給紙路158には、分離ローラ対168が配設されている。給紙路165と給紙搬送路150との合流部には送りローラ169が配設されている。図示しない複数の給紙カセットと給紙搬送路150との間も、概ね上記したのと同じ構成をもって接続されている。
【0009】
逆転搬送路134の延長上に存在する、再反転路142の、反転ローラ146と押さえローラ148とのニップ部の下流側と、主排出路128における、排出ローラ対132の上流側との間には、反転排出路170が配設されている。反転排出路170は、片面に画像が形成された用紙を表裏反転し、画像面を下に向けて排出してページ順に揃えるための反転排出路であって、搬送ローラ対172が配設されている。再反転路142と反転排出路170との分岐部には分岐爪174が配設されている。分岐爪174は、図示しないアクチュエータにより、逆転搬送路134からスイッチバック(逆転搬送)された用紙を、反転排出路170に向けて案内する図示の第1の案内位置と、再反転路142に沿って搬送されるように案内する図示しない第2の案内位置とに選択的に位置付けられる。なお、再反転路142の一部は、図示しない第2の案内位置に位置付けられた分岐爪174と反転ローラ146の外周面の一部領域との協働により構成される。
【0010】
複写機100には、図示しない操作パネル及びコントローラが備えられている。コントローラはマイクロコンピュータから構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央処理手段(CPU)、制御プログラムを格納するROM及び演算結果等を格納する読み書き可能なRAM、タイマ、カウンタ及び入出力インターフェースなどを備えている。操作パネルは、電源スイッチ、データ類を直接入力するテンキーなどの各種入力キーが配設され、装置作動指令信号、複写モード、複写枚数などの各種信号をコントローラに送出する。コントローラは、操作パネルからの入力信号、装置本体102内に配設された用紙検知センサ、用紙検知スイッチなどから送られた信号などに基づき、制御プログラムに従って所定の演算処理を実行し、感光体ドラム108などの各種回転体を回転駆動する複数の電動モータ、分岐爪138などの被駆動体を駆動するアクチュエータなどに制御信号を出力する。なお、概ね以上のように構成された画像形成装置は、特許文献1に開示されている。
【0011】
次に、上記複写機100の三つの複写動作について説明する。複写機100において、「フェイスアップ排出モード」が設定されているとき、分岐爪138は不図示の第1の案内位置に位置付けられる。例えば、用紙積載トレイ154に積載された用紙は、ピックアップローラ160及び分離ローラ対162などにより1枚だけ給紙路158に送り出される。給紙路158に送り出され用紙は、給紙ローラ対164の各々により給紙搬送路150に搬出される。給紙搬送路150に搬出された用紙は、給紙搬送ローラ対152の各々により主搬送路104に給紙搬送され、先に述べたとおりにして片面に画像が形成される。主搬送路104を通して搬送された用紙は、不図示の第1の案内位置に位置付けられた分岐爪138により主排出路128に案内され、排出ローラ対132により図示しない排出トレイに画像面を上にして(フェイスアップで)排出される。
【0012】
複写機100において、「フェイスダウン排出モード」が設定されているとき、分岐爪138は図示された第2の案内位置に位置付けられ、分岐爪174は図示された第1の案内位置に位置付けられる。主搬送路104を通して搬送された、片面に画像が形成された用紙は反転路130に案内される(図4において、符号P1はこの状態の用紙を示している)。反転路130に案内された用紙は、搬入ローラ対136により逆転搬送路134に表裏が反転されて搬入される。逆転搬送路134に搬入された用紙は、正転させられる逆転ローラ対140により逆転搬送路134を主搬送路104の上流方向に送られる。逆転ローラ対140は、用紙の後端部(逆転搬送路134への搬入方向における後端部)がニップされたときに正転が停止させられる(図4において、符号P2はこの状態の用紙を示している)。
【0013】
続いて逆転ローラ対140が逆転され、逆転ローラ対140にニップされた用紙(表裏反転して画像面が下向き)は、逆転搬送路134の延長上に存在する反転ローラ146と押さえローラ148とのニップ部に向けて逆転搬送され、ニップされる。反転ローラ146と押さえローラ148とによりニップされた用紙は、図示の第1の案内位置に位置付けられた分岐爪174により、反転排出路170に向けて案内される。反転排出路170に案内された用紙は、搬送ローラ対172及び排出ローラ対132により図示しない排出トレイに画像面を下にして(フェイスダウンで)排出される。
【0014】
上記複写機100において、「両面画像形成モード」が設定されているとき、分岐爪138は図示された第2の案内位置に位置付けられ、分岐爪174は不図示の第2の案内位置に位置付けられる。主搬送路104を通して搬送された、片面に画像が形成された用紙は、先に述べた「フェイスダウン排出モード」におけるのと同じ如くして、反転路130を通して逆転搬送路134に表裏が反転されて搬入された後、逆転された逆転ローラ対140により逆転搬送路134の延長上に存在する反転ローラ146と押さえローラ148とのニップ部に向けて逆転搬送され、ニップされる。反転ローラ146と押さえローラ148によりニップされた用紙は、不図示の第2の案内位置に位置付けられた分岐爪174により再反転路142に案内され、再反転路142を移動する間に再反転させられる。再反転させられた用紙は、再反転路142の下流端に位置する反転ローラ146と押さえローラ148のニップ部に搬送されてニップされ、再給紙搬送路144に搬入される。
【0015】
再給紙搬送路144に搬入された用紙は、表裏再反転して画像面が上向きの状態で搬送ローラ対149の各々により搬送されて、給紙搬送路150の最下流端領域に配置された給紙搬送ローラ対152の上流側に搬出される。給紙搬送路150に搬出された用紙は、主搬送路104に更に反転して再搬入される。画像面を下にして主搬送路104に再搬入された用紙が再び主搬送路104を搬送される間に、画像形成手段106により用紙の他面にも画像が形成される。このようにして両面に画像が形成された用紙は、図示の第2の案内位置から不図示の第1の案内位置に切り換えられた分岐爪138により主排出路128に案内され、排出ローラ132により図示しない排出トレイに排出される。
【特許文献1】特開2005−114979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記複写機100において、「フェイスダウン排出モード」が設定された場合には、一般的に、片面に画像が形成された用紙を表裏反転し、画像面を下に向けて不図示の排出トレイに連続的に排出してページ順に揃える複写動作が遂行される。この複写動作における1枚目の用紙と2枚目の用紙の搬送タイミングを、図3(水平に延在する2点鎖線で仕切られた上側)に示すタイミングチャート及び図4を参照して説明する。先ず、1枚目の用紙の搬送タイミングについて説明する。この搬送タイミングは、先に述べた図示しないコントローラによる制御ステップ(ステップ[1]〜[8])により説明することができる。
【0017】
コントローラは、最初に、ステップ[1]において用紙の先端が定着ローラ対121を通過したか否かを判断する。コントローラは、用紙の先端が定着ローラ対121を通過したと判断すると、ステップ[2]に進んで、用紙の先端が正転する逆転ローラ対140のニップ部に到達したか否かを判断する。用紙の先端が逆転ローラ対140のニップ部に到達したと判断したならば、ステップ[3]において、用紙の後端部が逆転ローラ対140のニップ部に到達したか否かを判断し、到達したと判断したならば、逆転ローラ対140の正転を停止させる。用紙は逆転搬送路134においてスイッチバック待機位置に位置付けられる(図4において符号P2で示される位置)。なお、用紙の先端(又は先端部)、後端(又は後端部)とは、用紙の搬送方向を基準としたものである。したがって、搬送方向が逆転すると、用紙の先端(又は先端部)と後端(又は後端部)とが逆転することになる。
【0018】
コントローラは、所定時間経過後、ステップ[4]において、逆転ローラ対140の逆転を開始させる。逆転搬送路134に搬入された方向に対し逆方向へ搬送された用紙の先端部が反転ローラ146と押さえローラ148にニップされた後、コントローラは、ステップ[5]において、逆転ローラ対140による用紙のニップを解除するとともに逆転を停止させる。コントローラは、ステップ[6]において用紙の後端が逆転ローラ対140のニップ部に対応する位置を通過したと判断したならば、ステップ[7]に進んで、逆転ローラ対140のニップを復活させかつ正転を開始させる。コントローラは、ステップ[8]に進んで、用紙の後端が排出ローラ対132のニップ部を通過したと判断したならば、1枚目の用紙の制御を終了する。用紙がステップ[1]から[8]に至るまでの時間、すなわち搬送時間は、図示しないタイマーにより容易に測定可能である。
【0019】
次に2枚目の用紙の搬送タイミングについて説明する。2枚目の用紙の搬送タイミングも、コントローラによって、1枚目の用紙と同じステップ[1]〜[8]で制御され、したがって搬送時間も実質的に同じであるが、1枚目の用紙に対し搬送タイミングが相対的に相違する。すなわち、図3に示されているように、2枚目の用紙のステップ[1]の搬送タイミングは、2枚目の用紙のステップ[2]及び[3]が、それぞれ1枚目の用紙のステップ[5]及び[7]よりも遅れるよう、1枚目の用紙の搬送タイミングに対し設定される。具体的に説明すると、2枚目の用紙は、1枚目の用紙に対し、逆転ローラ対140による1枚目の用紙のニップが解除されかつ逆転が停止させられた(1枚目の用紙のステップ[5])後に、先端が逆転ローラ対140のニップ部に到着するステップ[2]が遂行されるよう、ステップ[1]の搬送タイミングが設定される。その結果、2枚目の用紙は、逆転ローラ対140のニップが復活させられかつ正転を開始させられた(1枚目の用紙のステップ[7])後に、後端部が逆転ローラ対140のニップ部に到着する(ステップ[3])ことになる。以下、3枚目、4枚目・・・の用紙も、同様にして連続的に搬送される。
【0020】
上記説明から明らかなように、複写機100においては、用紙の反転排出は、用紙を、両面に画像を形成する場合に使用される逆転搬送路134に搬送してから逆転ローラ対140を逆転させることにより行われるので、搬送距離が長くなり、その結果、1枚の用紙を反転排出する処理時間が長くなる。また、複数の用紙を連続して反転排出する場合、搬送時間を短縮するためには、先行する用紙と、後に続く用紙とを逆転搬送路134に配設された逆転ローラ対140のニップ位置において一時的に相互に重合させざるを得ないので、逆転ローラ対140のニップ解除及びニップ復帰の各作動を必要とする。その結果、反転排出する処理時間が長くなる。また、逆転ローラ対140のニップ解除及びニップ復帰の各作動を行うための作動機構及びアクチュエータを必要とするので、構成が複雑となる。
【0021】
本発明の主目的は、用紙を反転排出する処理時間を短縮することができる、新規な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明によれば、
片面に画像が形成された用紙を、表裏を反転して排出することができる画像形成装置において、
画像形成手段が備えられかつ搬送される用紙の片面に画像が形成される主搬送路と、用紙を排出する排出ローラ対と、主搬送路を搬送された用紙を主搬送路の下流端から表裏を反転することなく排出ローラ対まで案内する主排出路と、第1逆転ローラ対が備えられかつ主搬送路の下流端から分岐して搬入された用紙を第1逆転ローラ対により搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対に向けて排出する第1反転排出路と、第2逆転ローラ対が備えられかつ主搬送路の下流端から分岐して搬入された用紙を第2逆転ローラ対により搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対に向けて排出する第2反転排出路とを備えている、
ことを特徴とする画像形成装置、が提供される。
主搬送路を搬送された用紙を主搬送路の下流端から分岐して、第1反転排出路における第1逆転ローラ対の、反転排出方向下流側に案内する第1分岐路及び第2反転排出路における第2逆転ローラ対の、反転排出方向下流側に案内する第2分岐路と、主搬送路を搬送された用紙を主搬送路の下流端において主排出路又は第1分岐路又は第2分岐路に選択的に分岐・ガイドする分岐・ガイド手段とを備えている、ことが好ましい。
第1逆転ローラ対は、第1反転排出路の反転排出方向における下流端領域に配設され、第2逆転ローラ対は、第2反転排出路の反転排出方向における下流端領域に配設されている、ことが好ましい。
第1反転排出路の、第1逆転ローラ対の反転排出方向上流側から分岐しかつ主搬送路の下流端から搬入された用紙を第1逆転ローラ対により表裏を反転して搬送する反転路と、第3逆転ローラ対が備えられかつ反転路から反転搬入された用紙を第3逆転ローラ対により搬送方向を逆転して搬出する逆転搬送路と、逆転搬送路から逆転搬出された用紙を再反転する再反転路と、再反転路から再反転して搬入された用紙を更に反転して主搬送路の上流に再搬入する再給紙搬送路とを備えている、ことが好ましい。
第1反転排出路の、第1逆転ローラ対の反転排出方向上流側には、主搬送路の下流端から搬入された用紙を第1反転排出路又は反転路に選択的に案内する分岐爪が配設されている、ことが好ましい。
相互に水平横方向に間隔をおいて対向する一側及び他側と、上端とを有するほぼ直方体形状の装置本体を備え、主搬送路及び主排出路は、装置本体の一側から他側に向かってほぼ水平に延在するよう配設され、第1反転排出路は、主排出路の、排出ローラ対の上流側から主搬送路の上流に向かって下方に延びてから装置本体の他側の内側を該他側に沿って下方に延在するよう配設され、第2反転排出路は、主排出路の、排出ローラ対の上流側から主搬送路の上流に向かって上方に延びてから装置本体の上端の内側を該上端に沿ってほぼ水平に延在するよう配設されている、ことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に従って構成された画像形成装置である複写機の実施の形態を、図1及び図2を参照して詳細に説明する。なお、図1に示す複写機2において、図4に示す複写機100と実質的に同一部分は同一符号で示し、説明は省略する。
【0024】
図1を参照して、片面に画像が形成された用紙を、表裏を反転して排出することができる複写機2は、主搬送路104と、排出ローラ対132と、主排出路128と、第1逆転ローラ対4A、4B及び4Cが備えられた第1反転排出路6と、第2逆転ローラ対8が備えられた第2反転排出路10とを備えている。なお、複写機100において逆転ローラ対140と称した逆転ローラ対は、複写機2においては第3逆転ローラ対と称することとする。
【0025】
第1反転排出路6は、主搬送路104の下流端、広くは定着装置120よりも下流位置であって定着装置120に比較的近い位置である下流端、実施形態においては搬送ローラ対126の直下流位置から第1逆転ローラ対4A、又は4A及び4B、又は4A及び4B及び4Cの正転により搬入された用紙を、それらの逆転により搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対132に向けて排出する、又は再給紙搬送路144に画像形成面を上に向けて搬入させるためのものであって、主排出路128の、排出ローラ対132の上流側から主搬送路104の上流に向かって下方にカーブしながら延びてから、複写機本体102の他側102bの内側を他側102bに沿って下方に直線状に延在するよう配設されている。図示の実施形態において、第1逆転ローラ対は、3個(4A、4B及び4C)備えられているが、反転排出(フェイスダウンによる排出)だけであれば、少なくとも1個(例えば4A)配設されていればよい。第1逆転ローラ対4Aは、第1反転排出路6の反転排出方向(図1において概ね下から上に向かう方向)における下流端領域に配設されている。
【0026】
第1反転排出路6と再給紙搬送路144との間には、再給紙バイパス路180が配設されている。再給紙バイパス路180は、第1反転排出路6において、最も下方に配設された第1逆転ローラ対4Cの反転排出方向の直下流位置から分岐して、再反転路142の下流端位置(反転ローラ146と、図1において下方に位置する押さえローラ148とのニップ部)に接続されている。第1反転排出路6と再給紙バイパス路180の分岐部には、分岐爪182が配設されている。分岐爪182は、図示しないアクチュエータにより、第1の案内位置(図1において実線で示される位置)と、第2の案内位置(図1において2点鎖線で示される位置)とに選択的に位置付けられる。分岐爪182が第1の案内位置に位置付けられているとき、第1反転排出路6内に搬入された用紙は、第1逆転ローラ対4A、4B及び4Cの逆転により排出ローラ対132に案内される。また、第1反転排出路6に搬入されかつ後端部が第1逆転ローラ対4Cにニップされて停止させられた後、分岐爪182が第2の案内位置に位置付けられると、第1逆転ローラ対4Cの逆転により、第1逆転ローラ対4Cにニップされた用紙は、再給紙バイパス路180を通って再給紙搬送路144に画像形成面を上にして搬入させられる。なお、再給紙バイパス路180が配設されない実施形態においては、分岐爪182、第1逆転ローラ対4B及び4Cは不要となる。
【0027】
第2反転排出路10は、主搬送路104の下流端から第2逆転ローラ対8の正転により搬入された用紙を、第2逆転ローラ対8の逆転により搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対132に向けて排出するものであって、主排出路104の、排出ローラ対132の上流側から主搬送路104の上流に向かって上方にカーブしながら延びてから、複写機本体102の上端102cの内側を上端102cに沿ってほぼ水平に直線状に延在するよう配設されている。第2逆転ローラ対8は、第2反転排出路10の反転排出方向(図1において概ね上から左下方に向かう方向)における下流端領域に配設されている。
【0028】
主搬送路104は、主搬送路104の下流端において、主排出路128、第1分岐路12及び第2分岐路14に分岐している。主排出路128は、主搬送路104の延長上に位置している。第1分岐路12は、主搬送路104を搬送された用紙を、主搬送路104の下流端から分岐して、第1反転排出路6における第1逆転ローラ対4Aの、反転排出方向下流側に案内する。また第2分岐路14は、主搬送路104を搬送された用紙を、主搬送路104の下流端から分岐して、第2反転排出路10における第2逆転ローラ対8の、反転排出方向下流側に案内する。主搬送路104の下流端には、主搬送路104を搬送された用紙を、主搬送路104の下流端において主排出路128又は第1分岐路12又は第2分岐路14に選択的に分岐・ガイドする分岐・ガイド手段である分岐・ガイド部材16が配設されている。
【0029】
図2を参照して、分岐・ガイド部材16は、図示しないアクチュエータにより、主搬送路104を通して搬送された用紙を、主排出路128に向けて直線状に案内する第1の案内位置[図2(a)]と、第1分岐路12に向けて案内する第2の案内位置[図2(b)]と、第2分岐路14に向けて案内する第3の案内位置[図2(c)]とに選択的に位置付けられる。分岐・ガイド部材16は、例えば、矩形状の横断面を有する筒形状に形成され中空部内を用紙が通過できるよう構成されている。分岐・ガイド部材16は、用紙搬送方向に直交する水平方向に間隔をおいて対向する側壁の外側にそれぞれ配設された支持軸17を介して複写機本体102に回動自在に支持されている。分岐・ガイド部材16は、駆動源、例えば図示しない電動モータにより上記各案内位置に選択的に回動させることができる。このように構成された分岐・ガイド部材16は、例えば、特開2006−199452号公報に開示されているので、更なる説明は省略する。
【0030】
反転路130は、第1反転排出路6の、第1逆転ローラ対4の反転排出方向上流側から分岐しかつ主搬送路104の下流端から搬入された用紙を第1逆転ローラ対4により表裏を反転して逆転搬送路134に向けて搬送するよう構成されている。再反転路142は、反転ローラ146の外周面に沿ってほぼ半円状に、2個の押さえローラ148間を延在するよう配設されている。第1反転排出路6と反転路130との分岐部には、分岐爪184が配設されている。分岐爪184は、図示しないアクチュエータにより、第1の案内位置(図1において実線で示される位置)と、第2の案内位置(図1において2点鎖線で示される位置)とに選択的に位置付けられる。分岐爪184が第1の案内位置に位置付けられているとき、第1分岐路12を通った用紙は、正転する第1逆転ローラ対4Aにより第1反転排出路6内に案内される。また、分岐爪184が第2の案内位置に位置付けられているとき、第1分岐路12を通った用紙は、正転する第1逆転ローラ対4Aにより反転路130に案内される。
【0031】
次に、上記複写機2の三つの複写動作について説明する。複写機2において、「フェイスアップ排出モード」が設定されているとき、分岐・ガイド部材16は第1の案内位置[図2(a)]に位置付けられる。先に述べた複写機100におけるのと同じ如くして、例えば用紙積載トレイ154から主搬送路104に給紙搬送された用紙の片面には、先に述べたとおりにして画像が形成される。主搬送路104を通して搬送された用紙は、第1の案内位置[図2(a)]に位置付けられた分岐・ガイド部材16により主排出路128に案内され、排出ローラ対132により図示しない排出トレイに画像面を上にして(フェイスアップで)排出される。
【0032】
複写機2において、「フェイスダウン排出モード」が設定されているとき、用紙は、第1反転排出路6経由又は第2反転排出路10経由で排出される。
【0033】
用紙が第1反転排出路6経由で排出される場合、分岐・ガイド部材16は第2の案内位置[図2(b)]に位置付けられ、分岐爪184は、第1の案内位置(図1において実線で示される位置)に、また分岐爪182は、第1の案内位置(図1において実線で示される位置)に、それぞれ位置付けられる。主搬送路104を通して搬送されかつ、片面に画像が形成された用紙は、第1分岐路12を通って第1反転排出路6に案内される。第1反転排出路6に案内された用紙は、第1逆転ローラ対4A、又は4A及び4B、又は4A及び4B及び4Cの正転により図1において下方に送られる(用紙のサイズにより使用される第1逆転ローラ対の数が相違する)。用紙の後端部が第1逆転ローラ対4Aにニップされたとき、第1逆転ローラ対4A、又は4A及び4B、又は4A及び4B及び4Cの回転が停止させられる。続いて第1逆転ローラ対4A、又は4A及び4B、又は4A及び4B及び4Cが逆転させられ、用紙は、第1反転排出路6を排出ローラ対132に向けて逆方向に搬送させられ、排出ローラ対132によって、図示しない排出トレイに画像面を下にして(フェイスダウンで)排出される。
【0034】
他方、用紙が第2反転排出路10経由で排出される場合、分岐・ガイド部材16が第3の案内位置[図2(c)]に位置付けられる。主搬送路104を通して搬送されかつ、片面に画像が形成された用紙は、第2分岐路14を通って第2反転排出路10に案内される。第2反転排出路10に案内された用紙は、第2逆転ローラ対8の正転により図1において右上方に送られ、用紙の後端部が第2逆転ローラ対8にニップされたとき、第2逆転ローラ対8の回転が停止させられる。続いて第2逆転ローラ対8が逆転させられ、用紙は、第2反転排出路10を排出ローラ対132に向けて逆方向に搬送させられ、排出ローラ対132によって、図示しない排出トレイに画像面を下にして(フェイスダウンで)排出される。なお、複数の用紙が連続してフェイスダウンで排出される場合については後述する。
【0035】
上記複写機2において、「両面画像形成モード」が設定されているとき、用紙は、反転路130、逆転搬送路134、再反転路142及び再給紙搬送路144を経由して主搬送路104に再給紙される、又は第1反転排出路6、再給紙バイパス路180及び再給紙搬送路144を経由して主搬送路104に再給紙される。
【0036】
用紙が、反転路130、逆転搬送路134、再反転路142及び再給紙搬送路144を経由して主搬送路104に再給紙される場合、分岐・ガイド部材16は第2の案内位置[図2(b)]に位置付けられ、分岐爪184は第2の案内位置(図1において2点鎖線で示される位置)に位置付けられる。主搬送路104を通して搬送された、片面に画像が形成された用紙は、第1分岐路12及び反転路130を通して逆転搬送路134に表裏が反転されて搬入された後、逆転された第3逆転ローラ対140により再反転路142に逆転搬送される。この用紙は、再反転路142を移動する間に再反転させられ、先に述べたとおりにして、再給紙搬送路144、給紙搬送路150及び主搬送路104を搬送される間に他面にも画像が形成される。このようにして両面に画像が形成された用紙は、該用紙の通過後に第1の案内位置[図2(a)]に切り換えられた分岐・ガイド部材16により主排出路128に案内され、排出ローラ対132により図示しない排出トレイに排出される。
【0037】
他方、用紙が、第1反転排出路6、再給紙バイパス路180及び再給紙搬送路144を経由して主搬送路104に再給紙される場合、分岐・ガイド部材16は第2の案内位置[図2(b)]に位置付けられ、分岐爪184は第1の案内位置(図1において実線で示される位置)に位置付けられ、分岐爪182は第2の案内位置(図1において実線で示される位置)に位置付けられる。主搬送路104を通して搬送された、片面に画像が形成された用紙は、第1分岐路12から第1反転排出路6に搬入される。そして用紙の後端部が最下方に位置する第1逆転ローラ対4Cにニップされると、第1逆転ローラ対4Cの正転が停止される。分岐爪182が第1の案内位置(図1において2点鎖線で示される位置)に切り換えられた後、第1逆転ローラ対4Cが逆転させられ、用紙は再給紙バイパス路180を通って再給紙搬送路144に搬送される。再給紙搬送路144に搬送された用紙は、先に述べたとおりにして、給紙搬送路150及び主搬送路104を搬送される間に他面にも画像が形成され、該用紙の通過後に第1の案内位置[図2(a)]に切り換えられた分岐・ガイド部材16により主排出路128に案内され、排出ローラ対132により図示しない排出トレイに排出される。
【0038】
上記説明から明らかなように、用紙の両面に画像を形成する場合、二つの反転可能な搬送経路を使用することができるので、複数の用紙の両面に連続して画像を形成するに際しては、前後の用紙が重なることなく搬送タイミングをずらせて順次搬送することができ、処理時間の短縮が可能である。
【0039】
次に、複写機2において、「フェイスダウン排出モード」が設定された場合の複写動作における1枚目の用紙と2枚目の用紙の搬送タイミングを、図3(水平に延在する2点鎖線で仕切られた下側)に示すタイミングチャート及び図1を参照して説明する。先ず、1枚目の用紙の搬送タイミング(第1反転排出路6を利用)について説明する。この搬送タイミングは、先に述べた図示しないコントローラによる制御ステップにより説明することができるが、複写機100における制御ステップ[1]〜[8]に対応するステップには同じ番号を付し、搬送タイミングの相対関係が対比できるようにしている(図3)。
【0040】
コントローラは、最初に、ステップ[1]において用紙の先端が定着ローラ対121を通過したと判断すると、ステップ[2]に進んで、用紙の先端が正転する第1逆転ローラ対4Aのニップ部に到達したか否かを判断する。用紙の先端が第1逆転ローラ対4Aのニップ部に到達したと判断したならば、ステップ[3´]において用紙後端が分岐ガイド部材16を通過したか否かを判断し、通過したと判断したならば、所定時間経過後、用紙の後端部が第1逆転ローラ対4Aのニップ部に到達したと判断し(ステップ[3])、第1逆転ローラ対4Aの正転を停止させる(用紙が第1逆転ローラ対4B、又は第1逆転ローラ対4B及び4Cに跨っている場合には、第1逆転ローラ対4B、又は第1逆転ローラ対4B及び4Cの正転も同時に停止させる)。コントローラは、所定時間経過後、ステップ[4]において、第1逆転ローラ対4Aの逆転を開始させる(用紙が第1逆転ローラ対4B、又は第1逆転ローラ対4B及び4Cに跨っている場合には、第1逆転ローラ対4B、又は第1逆転ローラ対4B及び4Cの逆転も同時に開始させる)。コントローラは、次のステップ[8]に進んで、用紙の後端が排出ローラ対132のニップ部を通過したと判断したならば、1枚目の用紙の制御を終了する。
【0041】
次に2枚目の用紙の搬送タイミング(第2反転排出路10を利用)について説明する。2枚目の用紙の搬送タイミングも、コントローラによって、1枚目の用紙と同じステップ[1]〜[4]及び[8]で制御され、したがって搬送時間も実質的に同じであるが、1枚目の用紙に対し搬送タイミングが相対的に相違する。すなわち、図3に示されているように、2枚目の用紙のステップ[1]の搬送タイミングが、1枚目の用紙のステップ[4]よりも若干遅れるよう設定される。すなわち、2枚目の用紙は、1枚目の用紙に対し、第1逆転ローラ対4Aの逆転が開始されてから所定時間経過後、先端が定着ローラ対121を通過するようステップ[1]が設定される。その結果、2枚目の用紙は、1枚目の用紙が排出ローラ対132のニップ部を通過した後に、後端部が第2逆転ローラ対8に到着して第2逆転ローラ対8の正転が停止させられることになる(ステップ[3])。所定時間経過後、2枚目の用紙は、第2逆転ローラ対8の逆転開始(ステップ[4])により排出ローラ対132に向かって逆方向に搬送される。コントローラは、後端が排出ローラ対132のニップ部を通過したと判断したならば(ステップ[8])、2枚目の用紙の制御を終了する。以下、3枚目、4枚目・・・の用紙も、同様にして連続的に搬送される。
【0042】
上記説明から明らかなように、本発明に係る複写機2においては、用紙の反転排出は、第1反転排出路6及び/又は第2反転排出路10を利用して行うことができるので、用紙を、両面に画像を形成する場合に使用される逆転搬送路134に搬送してから逆転ローラ対140を逆転させることにより行う複写機100に較べて、搬送距離が短くなり、その結果、1枚の用紙を反転排出する処理時間が短縮される。すなわち、第1反転排出路6及び第2反転排出路10は、用紙が主搬送路104の下流端から分岐して搬入されるよう構成されているので、主搬送路104の下流端から用紙が反転される位置までの距離が逆転搬送路134を経由する搬送距離に較べて短く、時間の短縮が可能となる。このことは、図3に示す搬送タイミングにおいて、複写機100においては、ステップ[1]〜[8]を要するのに対し、本発明に係る複写機2においては、ステップ[1]〜[4]及び[8]と短縮されることからも容易に理解できる。
【0043】
また、複数の用紙を連続して反転排出する場合、本発明に係る複写機2においては、複写機100における如く、先行する用紙と、後に続く用紙とを逆転搬送路134に配設された第3逆転ローラ対140のニップ位置において一時的に相互に重合させるための、第3逆転ローラ対140のニップ解除及びニップ復帰の各作動を必要としない。その結果、先行する用紙の後端と、後に続く用紙の先端との間隔は、第3逆転ローラ対140における反転動作によって制約されることがない。すなわち、本発明に係る複写機2においては、先行する用紙の後端が分岐・ガイド部材16を通過した後、分岐・ガイド部材16を、第2の案内位置[図2(b)]から第3の案内位置[図2(c)]に切り換えるためのわずかな時間をおいて、後に続く用紙を分岐・ガイド部材16に搬入させることができるので、複数の用紙を連続して反転排出する処理時間の短縮が可能となるのである。このことは、図3に示す搬送タイミングにおいて、複写機100においては、ステップ[1]〜[8]を要するのに対し、本発明に係る複写機2においては、複写機100におけるステップ[5]〜[7]が不要となることからも容易に理解できる。
【0044】
本発明に係る複写機2においてはまた、複写機100において必要としていた、第3逆転ローラ対140のニップ解除及びニップ復帰の各作動を行うための作動機構及びアクチュエータが不要であるので、構成が簡単となる。
【0045】
本発明に係る複写機2においてはまた、主搬送路104及び主排出路128は、複写機本体102の一側102aから他側102bに向かってほぼ水平に延在するよう配設され、第1反転排出路6は、主排出路104の、排出ローラ対132の上流側から主搬送路104の上流に向かって下方に延びてから複写機本体102の他側102bの内側を他側102bに沿って下方に延在するよう配設され、第2反転排出路10は、主排出路104の、排出ローラ対132の上流側から主搬送路104の上流に向かって上方に延びてから複写機本体102の上端102cの内側を上端102cに沿ってほぼ水平に延在するよう配設されている。このような構成は、第1反転排出路6及び第2反転排出路10を、最小限のスペースで配設することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に従って構成された複写機の実施形態を示す構成概略図である。
【図2】図1に示す複写機に備えられた分岐・ガイド手段の構成概略図であって、(a)、(b)及び(c)は、分岐・ガイド手段がそれぞれ異なった作動位置に位置付けられた状態を示す構成概略図である。
【図3】本発明による複写機及び従来の複写機において、それぞれ連続して反転排出される2枚の用紙の搬送タイミングを示すチャートである。
【図4】従来の複写機の一例を示す構成概略図である。
【符号の説明】
【0047】
2:複写機
4A、4B、4C:第1逆転ローラ対
6:第1反転排出路
8:第2逆転ローラ対
10:第2反転排出路
104:主搬送路
106:画像形成手段
128:主排出路
132:排出ローラ対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面に画像が形成された用紙を、表裏を反転して排出することができる画像形成装置において、
画像形成手段が備えられかつ搬送される用紙の片面に画像が形成される主搬送路と、用紙を排出する排出ローラ対と、主搬送路を搬送された用紙を主搬送路の下流端から表裏を反転することなく排出ローラ対まで案内する主排出路と、第1逆転ローラ対が備えられかつ主搬送路の下流端から分岐して搬入された用紙を第1逆転ローラ対により搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対に向けて排出する第1反転排出路と、第2逆転ローラ対が備えられかつ主搬送路の下流端から分岐して搬入された用紙を第2逆転ローラ対により搬送方向を逆転しかつ表裏を反転して排出ローラ対に向けて排出する第2反転排出路とを備えている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
主搬送路を搬送された用紙を主搬送路の下流端から分岐して、第1反転排出路における第1逆転ローラ対の、反転排出方向下流側に案内する第1分岐路及び第2反転排出路における第2逆転ローラ対の、反転排出方向下流側に案内する第2分岐路と、主搬送路を搬送された用紙を主搬送路の下流端において主排出路又は第1分岐路又は第2分岐路に選択的に分岐・ガイドする分岐・ガイド手段とを備えている、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
第1逆転ローラ対は、第1反転排出路の反転排出方向における下流端領域に配設され、第2逆転ローラ対は、第2反転排出路の反転排出方向における下流端領域に配設されている、請求項3記載の画像形成装置。
【請求項4】
第1反転排出路の、第1逆転ローラ対の反転排出方向上流側から分岐しかつ主搬送路の下流端から搬入された用紙を第1逆転ローラ対により表裏を反転して搬送する反転路と、第3逆転ローラ対が備えられかつ反転路から反転搬入された用紙を第3逆転ローラ対により搬送方向を逆転して搬出する逆転搬送路と、逆転搬送路から逆転搬出された用紙を再反転する再反転路と、再反転路から再反転して搬入された用紙を更に反転して主搬送路の上流に再搬入する再給紙搬送路とを備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1反転排出路の、第1逆転ローラ対の反転排出方向上流側には、主搬送路の下流端から搬入された用紙を第1反転排出路又は反転路に選択的に案内する分岐爪が配設されている、請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
相互に水平横方向に間隔をおいて対向する一側及び他側と、上端とを有するほぼ直方体形状の装置本体を備え、主搬送路及び主排出路は、装置本体の一側から他側に向かってほぼ水平に延在するよう配設され、第1反転排出路は、主排出路の、排出ローラ対の上流側から主搬送路の上流に向かって下方に延びてから装置本体の他側の内側を該他側に沿って下方に延在するよう配設され、第2反転排出路は、主排出路の、排出ローラ対の上流側から主搬送路の上流に向かって上方に延びてから装置本体の上端の内側を該上端に沿ってほぼ水平に延在するよう配設されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−236997(P2009−236997A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79694(P2008−79694)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】