説明

画像形成装置

【課題】省電力によって発熱を抑えるとともに、コストダウンと低騒音を実現することができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】駆動源であるモータM2〜M4から現像器4a〜4d、フィードローラ16、リタードローラ17及びレジストローラ19、定着装置22及び排紙ローラ23,24(各種プロセス機器の回転部材)への駆動伝達経路に電磁クラッチCLを介設して成る画像形成装置において、前記電磁クラッチCLをクローズタイプ(逆動作型の電磁バネクラッチ)とする。本発明によれば、電磁クラッチCLをクローズタイプとしたため、画像形成動作中は電磁クラッチCLへの通電はなされず、従って、省電力によって発熱が抑えられるとともに、コストダウンと低騒音が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源であるモータから各種プロセス機器の回転部材への駆動伝達経路に電磁クラッチを介設して成る画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、駆動源であるモータから感光ドラムや現像器等の各種プロセス機器への駆動伝達経路に電磁クラッチが介設され、この電磁クラッチによってモータから各種プロセス機器への駆動伝達をON/OFFすることが行われているが、電磁クラッチにはオープンタイプのものが専ら使用されていた。ここで、オープンタイプの電磁クラッチは、これへの通電をONすると駆動を連結(ON)し、通電をOFFすると駆動伝達を遮断(OFF)するものである。
【0003】
尚、特許文献1には、主入力歯車と出力軸とを連繋する電磁クラッチと副入力歯車と中間軸とを連結する電磁クラッチの一方をクローズタイプとし、他方をオープンタイプとした正逆転装置が提案されている。
【特許文献1】特開平2−256943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来用いられているオープンタイプの電磁クラッチは、構成が簡単でコスト的にも有利である他、正逆両方向の回転にも対応できるために設計自由度が高く、応答性も安定している等の利点を有しているが、特に高速のタンデムプリンタ等においては駆動が殆ど連結された状態で運転されるために電磁クラッチに3W〜4W程度の電流が常時流れ、コイルの発熱が無視できない状態となる。このように電磁クラッチが発熱すると、コストダウンや部品の一体化を目的としたシャフトや周りの筐体の樹脂化が阻害される可能性がある。
【0005】
又、特にタンデム型のフルカラー画像形成装置には多くの電磁クラッチが使用されているため、同時に駆動連結が必要なときに大電流を必要とするために電源容量が大きくなるという問題がある。
【0006】
更に、オープンタイプの電磁クラッチでは、駆動連結の際に鉄板同士が衝突するために騒音が大きく、鉄板同士の擦れによって発生する微鉄粉が周囲に飛散し、歯車の歯面や軸、周りの電気基板に微鉄粉が付着してこれらの動作が害されるという問題もある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、省電力によって発熱を抑えるとともに、コストダウンと低騒音を実現することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、駆動源であるモータから各種プロセス機器の回転部材への駆動伝達経路に電磁クラッチを介設して成る画像形成装置において、前記電磁クラッチをクローズタイプとしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記クローズタイプの電磁クラッチを逆動作型の電磁バネクラッチで構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記プロセス機器として複数の像担持体と現像器をタンデムに並設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、電磁クラッチをクローズタイプとしたため、画像形成動作中は電磁クラッチへの通電はなされず、従って、省電力によって発熱が抑えられるとともに、コストダウンと低騒音が実現される。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、クローズタイプの電磁クラッチを逆動作型の電磁バネクラッチで構成したため、該電磁バネクラッチにはバネを開放するだけの低電流を通電すれば良く、省電力を図って発熱を低く抑えることができる。又、電磁バネクラッチはバネを軸に巻き付けながら駆動を連結するために低騒音が実現され、軸とバネの間の半クラッチ状態は一瞬であるために摩耗粉が発生することがなく、特に軸を樹脂化することによって音と摩耗粉の発生を効果的に防ぐことができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、多くの電磁クラッチが使用されるタンデム型の画像形成装置において省電力とコストダウン、低騒音及びコストダウンを効果的に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に係る画像形成装置の正断面図、図2は同画像形成装置の駆動系の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示す画像形成装置はタンデム型のカラー画像形成装置であって、その本体100内の中央部には、マゼンタ画像形成ユニット1M、シアン画像形成ユニット1C、イエロー画像形成ユニット1Y及びブラック画像形成ユニット1BKが一定の間隔で一列に配置されている。
【0017】
上記各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1BKには、像担持体としての感光ドラム2a,2b,2c,2dがそれぞれ配置されており、各感光ドラム2a〜2dの周囲には、帯電器3a,3b,3c,3d、現像器4a,4b,4c,4d、一次転写手段としての転写ローラ5a,5b,5c,5d、クリーニング装置6a,6b,6c,6dがそれぞれ配置されている。
【0018】
ここで、前記感光トラム2a〜2dは、ドラム状の感光体であって、図2に示すモータM1によって図示矢印方向(時計方向)に所定のプロセススピードで回転駆動される。又、前記帯電器3a〜3dは、不図示の帯電バイアス電源から印加される帯電バイアスによって感光ドラム2a〜2dの表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。
【0019】
更に、前記現像器4a〜4dは、マゼンタ(M)トナー、シアン(C)トナー、イエロー(Y)トナー、ブラック(BK)トナーをそれぞれ収容しており、各感光ドラム2a〜2d上に形成された各静電潜像に各色のトナーを付着させて各静電潜像を各色のトナー像として可視像化するものであって、これらは図2に示すモータM2によって駆動される。
【0020】
又、一次転写手段としての前記転写ローラ5a〜5dは、各一次転写部にて中間転写ベルト7を介して各感光ドラム2a〜2dに当接可能に配置されている。ここで、中間転写ベルト7は、二次転写対向ローラ8とテンションローラ9との間に張設されて各感光ドラム2a〜2dの上面側に走行可能に配置されており、前記二次転写対向ローラ8は、二次転写部において中間転写ベルト7を介して二次転写ローラ10に当接可能に配置されている。又、テンションローラ9の近傍にはベルトクリーニング装置11が設けられている。尚、中間転写ベルト7の材質としては、例えばポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の誘電体樹脂が選定される。
【0021】
ところで、装置本体100内の各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1BKの上方には、前記各現像器4a〜4dにトナーを補給するためのトナーコンテナ12a,12b,12c,12dが一列に並設されている。
【0022】
又、装置本体100内の各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1BKの下方にはレーザースキャナユニット(LSU)13が配置され、その下方の本体100の底部には給紙カセット14が着脱可能に設置されている。そして、給紙カセット14には複数枚の不図示の記録材(用紙)が積層収容されており、この給紙カセット14の近傍には、給紙カセット14から記録材を1枚ずつ取り出すピックアップローラ15と、取り出された記録材を搬送パスLへと送り出すフィードローラ16とリタードローラ17が設けられている。
【0023】
又、装置本体100の側部を上下方向に延びる前記搬送パスLには、記録材を搬送する搬送ローラ18と、記録材を一時待機させて後に所定のタイミングで前記二次転写対向ローラ8と二次転写ローラ10との当接部である二次転写部へと供給するレジストローラ19が設けられている。尚、搬送パスLの横には、記録材の両面に画像を形成する場合に使用される別の搬送パスL’が形成されており、この搬送パスL’には複数の搬送ローラ21が適当な間隔で設けられている。
【0024】
而して、前記フィードローラ16とリタードローラ17及びレジストローラ19は、図2に示すモータM3によって回転駆動される。
ところで、装置本体100内の一側部に縦方向に配置された前記搬送パスLは、装置本体100の上面に設けられた排紙トレイ21まで延びており、その途中には定着装置22及び複数の排紙ローラ23,24が設けられており、これらの定着装置22と排紙ローラ23,24は図2に示すモータM4によって駆動される。
【0025】
次に、以上の構成を有するカラー画像形成装置による画像形成動作について説明する。
【0026】
画像形成開始信号が発せられると、各画像形成ユニット1M,1C,1Y,1BKにおいて各感光ドラム2a〜2dが図1の矢印方向(時計方向)に所定のプロセススピードで回転駆動され、これらの感光ドラム2a〜2dは、一次帯電器3a〜3dによって一様に帯電される。又、レーザースキャナユニット13は、各色毎のカラー画像信号によって変調されたレーザー光を出射し、そのレーザー光を各感光ドラム2a〜2dの表面に照射し、各感光ドラム2a〜2d上に各色のカラー画像信号に対応した静電潜像をそれぞれ形成する。
【0027】
そして、先ず、マゼンタ画像形成ユニット1Mの感光ドラム2a上に形成された静電潜像に、該感光ドラム2aの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加された現像器4aによってマゼンタトナーを付着させ、該静電潜像をマゼンタトナー像として可視像化する。このマゼンタトナー像は、感光ドラム2aと転写ローラ5aとの間の一次転写部(転写ニップ部)において、トナーと逆極性の一次転写バイアスが印加された転写ローラ5aの作用によって、図1の矢印方向に回転駆動されている中間転写ベルト7上に一次転写される。
【0028】
上述のようにしてマゼンタトナー像が一次転写された中間転写ベルト7は、次のシアン画像形成ユニット1Cへと移動する。そして、シアン画像形成ユニット1Cにおいても、前記と同様にして、感光ドラム2b上に形成されたシアントナー像が一次転写部において中間転写ベルト7上のマゼンタトナー像に重ねて転写される。
【0029】
以下同様にして、中間転写ベルト7上に重畳転写されたマゼンタ及びシアントナー像の上に、イエロー及びブラック画像形成ユニット1Y,1BKの各感光ドラム2c,2d上にそれぞれ形成されたイエロー及びブラックトナー像が各一次転写部において順次重ね合わせられ、中間転写ベルト7上にはフルカラーのトナー像が形成される。尚、中間転写ベルト7上に転写されないで各感光ドラム2a〜2d上に残留する転写残トナーは、各クリーニング装置6a〜6dによって除去され、各感光ドラム2a〜2dは次の画像形成に備えられる。
【0030】
そして、中間転写ベルト7上のフルカラートナー像の先端が二次転写対向ローラ8と二次転写ローラ10間の二次転写部(転写ニップ部)に達するタイミングに合わせて、給紙カセット14からピックアップローラ15とフィードローラ16及びリタードローラ17によって搬送パスLへと送り出された記録材がレジストローラ19によって二次転写部へと搬送される。そして、二次転写部に搬送された記録材に、トナーと逆極性の二次転写バイアスが印加された二次転写ローラ10によってフルカラーのトナー像が中間転写ベルト7から一括して二次転写される。
【0031】
而して、フルカラーのトナー像が転写された記録材は、定着装置22へと搬送され、フルカラーのトナー像が加熱及び加圧されて転写材の表面に熱定着され、トナー像が定着された転写材は、排紙ローラ23,24によって排紙トレイ21上に排出されて一連の画像形成動作が完了する。尚、記録材上に転写されないで中間転写ベルト7上に残留する転写残トナーは、前記ベルトクリーニング装置11によって除去され、中間転写ベルト7は次の画像形成に備えられる。
【0032】
ところで、図2に示すように、モータM2から現像器4a〜4dへの駆動伝達経路には電磁クラッチCLが介設され、モータM3からフィードローラ16、リタードローラ17及びレジストローラ19への駆動伝達経路にはクラッチCLが介設され、モータM4から定着装置22及び排紙ローラ23,24への駆動伝達経路には電磁クラッチCLが介設されているが、これらの電磁クラッチCLにはオープンタイプのものが使用されている。
【0033】
本実施の形態では、オープンタイプの電磁クラッチCLとして逆動作型の電磁バネクラッチを使用している。この逆動作型の電磁バネクラッチは、これへの通電が遮断(OFF)されるとバネが軸に巻き付いて駆動伝達をONし、これに通電がなされるとバネの軸への巻き付きを開放して駆動伝達をOFFするものである。
【0034】
而して、本実施の形態では、電磁クラッチCLとしてクローズタイプである逆動作型の電磁バネクラッチを使用したため、画像形成動作中は電磁クラッチCLへの通電はなされず、従って、省電力によって発熱が抑えられるとともに、コストダウンと低騒音が実現される。特に、本実施の形態に係るフルカラー画像形成装置のように複数の感光ドラム2a〜2dや現像器4a〜4dを並設して成るタンデム型の画像形成装置にあっては、多くの電磁クラッチCLを使用するために大きな効果が得られる。
【0035】
又、電磁クラッチCLに逆動作型の電磁バネクラッチを使用した結果、該電磁バネクラッチにはバネを開放するだけの低電流を通電すれば良く、省電力を図って発熱を低く抑えることができる。そして、電磁バネクラッチはバネを軸に巻き付けながら駆動を連結するために低騒音が実現され、軸とバネの間の半クラッチ状態は一瞬であるために摩耗粉が発生することがなく、特に軸を樹脂化することによって音と摩耗粉の発生を効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る画像形成装置(カラー画像形成装置)の正断面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置(カラー画像形成装置)の駆動系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
1M マゼンタ画像形成ユニット
1C シアン画像形成ユニット
1Y イエロー画像形成ユニット
1BK ブラック画像形成ユニット
2a〜2d 感光ドラム(像担持体)
3a〜3d 一次帯電器
4a〜4d 現像器
5a〜5d 転写ローラ
6a〜6d クリーニング装置
7 中間転写ベルト
8 二次転写対向ローラ
9 テンションローラ
10 二次転写ローラ
11 ベルトクリーニング装置
12a〜12d トナーコンテナ
13 レーザースキャナユニット(LSU)
14 給紙カセット
15 ピックアップローラ
16 フィードローラ
17 リタードローラ
18 搬送ローラ
19 レジストローラ
20 搬送ローラ
21 排紙トレイ
22 定着装置
23,24 排紙ローラ
CL 電磁クラッチ
L,L’ 搬送パス
M1〜M4 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源であるモータから各種プロセス機器の回転部材への駆動伝達経路に電磁クラッチを介設して成る画像形成装置において、
前記電磁クラッチをクローズタイプとしたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記クローズタイプの電磁クラッチを逆動作型の電磁バネクラッチで構成したことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセス機器として複数の像担持体と現像器をタンデムに並設したことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−25429(P2009−25429A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186523(P2007−186523)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】