説明

画像形成装置

【課題】 新たな信号線の追加や省電力モード中の付属装置の監視を必要とせず、省電力モード中の付属装置の状態変化に対応でき、かつ、省電力モードからの復帰時間を短縮することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】 排紙アクセサリが接続可能な画像形成装置は、電力供給の開始に応じて画像形成部を画像形成可能な状態にする準備動作を開始させる制御コントローラ部100と、画像形成装置への排紙アクセサリの接続状態を記憶する不揮発RAM120を有する。制御コントローラ100は、電力供給の開始に応じて不揮発RAM120を参照して、電力供給が停止される前に排紙アクセサリが画像形成装置に接続されていたか否かを判別し、排紙アクセサリが接続されていなかった場合、排紙アクセサリからの排紙アクセサリに関する情報の受信を待たずに準備動作を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属装置が接続可能な画像形成装置であって、電力供給の開始に応じて画像形成可能な状態にする準備動作を開始する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置には、省電力を目的として、一部の機能以外の機能を停止させる省電力モード(スリープモード)機能を備えられたものがある。このような画像形成装置において、省電力モードから、通常の動作モードへの復帰の際の起動時間を短縮すること、すなわち、ユーザの待ち時間を短縮することが求められている。
【0003】
省電力モードに入る際にワークRAMに保持されているデータを不揮発RAMに退避し、省電力モードからの復帰時に不揮発RAMのデータをワークRAMに復帰させることが提案されている(特許文献1参照)。これにより、省電力モードからの復帰時間を短縮しようとするものである。
【0004】
また、省電力モードに入る際に、その旨を不揮発メモリに記憶し、電源オン時に不揮発メモリをチェックし、省電力モードからの復帰であると判断した場合には、初期化シーケンスを省略することが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
このような中、画像形成装置には、フィニッシャなどの様々な付属装置がオプションとして接続されるようになってきている。そして、画像形成装置の電源オン時には、画像形成装置は、画像形成装置に接続されている付属装置の種類や状態についてチェックを行う。画像形成装置は、付属装置からの種類や状態に関する情報の受信があるか所定時間待機し、付属装置からの受信がなければ、付属装置が接続されていないと判断する。この付属装置の種類や状態のチェックは、省電力モードからの復帰時にも行われており、復帰に要する時間短縮の阻害要因となっていた。
【0006】
省電力モードからの復帰時に、付属装置の種類のチェックを省略することによって、復帰に要する時間短縮を図ることが提案されている(特許文献3)。特許文献3では、省電力モード中の付属装置の脱着を検知するための信号線を設け、省電力モードに入る前に付属装置の情報を記憶しておく。そして、省電力モード中に付属装置の脱着が検知されるとその履歴を記憶しておく。省電力モードからの復帰時に、省電力モード中に付属装置の脱着の履歴がなければ、記憶しておいた付属装置の情報を用いて省電力モードからの復帰を行う。
【特許文献1】特開平11−007343号公報
【特許文献2】特開2002−354165号公報
【特許文献3】特開2006−326861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、省電力モード中の付属装置の脱着を検知するための信号線を追加する必要があるため、コストアップとなる。また、省電力モード中に付属装置の脱着を監視するため、そのために電力を要し、省電力化を阻害する。また、省電力モード中に付属装置の状態が変化することもある。例えば、省電力モード中にフィニッシャの排紙トレイ上のシートがユーザによって回収されたり、ステイプルの針が補充されたりして、省電力モード中に付属装置の状態が変化する場合がある。そのため、省電力モードからの復帰時にも付属装置の種類や状態のチェックが行われる必要がある。
【0008】
本発明は、新たな信号線の追加や省電力モード中の付属装置の監視を必要とせず、省電力モード中の付属装置の状態変化に対応でき、かつ、省電力モードからの復帰時間を短縮することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、付属装置が接続可能な画像形成装置において、シートに画像を形成する画像形成手段と、電力供給の開始に応じて前記画像形成手段を画像形成可能な状態にする準備動作を開始させる制御手段と、前記付属装置から前記付属装置に関する情報を受信する受信手段と、前記画像形成装置への前記付属装置の接続状態を記憶する記憶手段と、を有し、前記制御手段は、前記電力供給の開始に応じて前記記憶手段を参照して、前記電力供給が停止される前に前記付属装置が前記画像形成装置に接続されていたか否かを判別し、前記付属装置が接続されていなかった場合、前記受信手段による前記付属装置からの情報の受信を待たずに前記準備動作を開始させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、新たな信号線の追加や電力供給がされていない間の付属装置の監視を必要とせず、電力供給がされていない間の付属装置の状態変化に対応でき、かつ、電力供給開始からの復帰時間を短縮することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態である画像形成装置900及び付属装置の断面図である。付属装置として、原稿給送装置1000、原稿読取装置950、フィニッシャ980が画像形成装置900に接続可能である。原稿給送装置1000は、原稿トレイ1001に載置された原稿を先頭頁から順に1枚ずつ、湾曲したパスを介してプラテンガラス902上を左から右へ向けて搬送し、排紙トレイ912へ排出する。プラテンガラス902上を搬送される原稿には、所定位置に静止した原稿読取ユニット904のランプ903の光がプラテンガラス902上の原稿に照射される。そして、原稿からの反射光がミラー905、906、907、レンズ908を介して読取センサ909に導かれ、原稿画像が読取センサ909により読み取られる。尚、原稿給送装置1000により原稿をプラテンガラス902上に搬送した後に停止させ、原稿読取ユニット904を左から右へ移動させることにより、原稿の読み取りを行うこともできる。
【0012】
読取センサ909により読み取られた原稿画像は、画像処理が施されて露光制御部910へ送られる。露光制御部910から出射されたレーザ光は感光ドラム911に照射され、感光ドラム911上に静電潜像が形成される。感光ドラム911上の静電潜像は現像器913によりトナーで現像され、感光ドラム911上のトナーはカセット914、915、手差し給紙部925、両面搬送パス924のいずれかから給送されたシートに転写帯電器916で転写される。トナーが転写されたシートは、定着部917でトナーの定着処理が施される。定着部917を通過したシートは、フラッパ921により一旦、パス922に導かれ、シートの後端がフラッパ921を抜けた後に、シートはスイッチバックされ、フラッパ921により排出ローラ918へ導かれる。これにより、トナーが転写された面を下向きの状態(フェイスダウン)で排出ローラ918により画像形成装置900から排出される。
【0013】
尚、手差し給紙部925からOHPシートなどの硬いシートに画像形成を行うときには、シートはパス922に導かれることなく、トナーが転写された面を上向きの状態(フェイスアップ)で排出ローラ918から排出される。また、シートの両面に画像形成する場合には、シートは定着部917からまっすぐ排出ローラ918へ導かれ、シートの後端がフラッパ921を抜けた直後に、シートがスイッチバックされ、フラッパ921により両面搬送パス924へ導かれる。排出ローラ918から排出されたシートは、フィニッシャ980へ送り込まれる。フィニッシャ980では、シートに対するシフト処理、綴じ処理、穴あけ等の後処理が行われる。また、フィニッシャ980上に設けられたインサータ990は、表紙、合紙等をフィニッシャ980に給送する。また、整合板982は、シートをずらして排出するシフトソートを行う場合に、シート搬送方向と垂直な方向にシートを移動させることにより、トレイ981上の奥又は手前にシートを排出する。また、ハードスイッチ930は画像形成装置全体に電源を供給するためのスイッチである。
【0014】
図2は、画像形成装置の制御ブロック図である。制御コントローラ部100は、画像形成装置900のシート搬送や、高圧、レーザ、定着器などの画像形成制御を司る。CPU101は、画像形成装置の制御プログラムを記憶したROM103から制御プログラムを順次読み取り、実行する。CPU101と各負荷は、アドレスバス及びデータバスによって接続されている。また、RAM104は、入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いるランダムアクセスメモリである。不揮発RAM120は、画像形成動作に関わるパラメータの記憶領域として使用される。
【0015】
I/Oインターフェース106には、給紙系、搬送系、光学系の駆動を行うモータ107、クラッチ108、ソレノイド109、搬送されるシートを検知するための紙検知センサ110等が装置の各負荷に接続される。現像器913には現像器内のトナー量を検知するトナー残検センサ111が配置されており、その出力信号がI/Oインターフェース106に入力される。各負荷のホームポジション等を検知するためのスイッチ112の信号もI/Oインターフェース106に入力される。高圧ユニット113は、CPU101の指示に従って、1次帯電器、現像器913、転写前帯電器、転写帯電器916、分離帯電器へ高圧を出力する。セラミック基板等で形成されるヒータ116は、オンオフ信号によってAC電圧が供給される。
【0016】
画像処理コントローラ部150は、読取処理部170や、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部接続機器からの画像信号を画像処理し、レーザユニット117に書き込むためのデータを作成する。画像処理コントローラ部150は、読取処理部170からの画像信号を画像処理し、PC等の外部接続機器や、操作部200に接続されたUSBメモリ等の記録媒体に画像データを格納することもできる。読取処理部170は、原稿給送装置1000と原稿読取装置950を制御する。
【0017】
画像処理コントローラ部150のCPU151は、画像処理制御プログラムを記憶したROM153からプログラムを順次読み取り、実行する。また、RAM154は入力データの記憶や、作業用の記憶領域等として用いるランダムアクセスメモリである。
【0018】
記録処理IC157は、読取処理部170や、PC等の外部接続機器からの画像信号を画像処理し、露光制御部910内のレーザユニット117へ出力するべきPWMデータを生成する。レーザユニット117はPWMデータに応じてレーザを点灯する。レーザユニット117から出射されるレーザ光は、感光ドラム911を照射し、感光ドラム911を露光する。また、レーザユニット117から出射されるレーザ光は、非画像領域において露光制御部910内のBD(ビームディテクト)センサ114によって検知され、その出力信号(BD信号)がスキャナ制御IC121に入力される。スキャナ制御IC121は、BD信号を用いて、露光制御部910内のレーザ光走査用のポリゴンミラーを駆動するポリゴンモータの回転制御や、画像処理コントローラ部150に画像同期信号を出力する。
【0019】
不揮発RAM161は、画像処理に関わるパラメータの記憶領域として使用される。I/Oインターフェース156には、読取処理部170におけるモータ173や、ソレノイド174、センサ175等が接続される。読取処理IC160は、読取処理部170に実装される読取センサ909からの画像データの処理や、読取センサ909の駆動を、読取制御IC171を介して行っている。画像処理RAM159は、読取処理IC160が受信したデータや、PC等の外部接続機器からのデータを画像処理する際に、データを一時格納する記憶領域として使用される。LANコントローラ158は、LANケーブルを介して接続されるPC等の外部接続機器との通信を制御する。
【0020】
CPU151は、ユーザが画像形成装置を操作するためのユーザインターフェースである操作部200や、FAX通信制御を行うNCU185制御も行う。また、CPU151には、ドアの開閉状態を検知するドアセンサ191の検知結果が入力される。
【0021】
制御コントローラ部100のCPU101と、画像処理コントローラ部150のCPU151は、調歩式、またはクロック同期式のシリアル通信で接続されている。CPU101及び151間の通信により、画像形成装置のエンジン部への画像データの出力タイミングの制御や、画像形成装置の起動、終了、省電力モードへの移行制御を行う。
【0022】
排紙アクセサリコントローラ部130は排紙アクセサリ(付属装置)であるフィニッシャ980の制御を行う。CPU131は、フィニッシャ980制御プログラムを記憶したROM133からプログラムを順次読み取り、実行する。CPU131と各負荷は、アドレスバス及び、データバスによって接続されている。また、RAM134は、入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いるランダムアクセスメモリである。不揮発RAM132は、排紙動作に関わるパラメータの記憶領域として使用される。
【0023】
I/Oインターフェース139には、搬送系、光学系の駆動を行うモータ135、クラッチ136、ソレノイド137、搬送されるシートを検知するための紙検知センサ138等の各負荷に接続される。
【0024】
制御コントローラ部100のCPU101と、排紙アクセサリコントローラ部130のCPU131は、調歩式、またはクロック同期式のシリアル通信で接続されている。CPU101及び131間の通信により、画像形成装置からフィニッシャ980へのシートの受け渡しタイミングや排紙処理制御、省電力モードへの移行制御を行っている。また、制御コントローラ部100は、画像処理コントローラ部及びに排紙アクセサリコントローラ部130と通信を介してお互いの情報を通知し合う。
【0025】
図3は、画像形成装置の操作部200の外観図である。タッチパネル式のLCD表示部201は、画像形成装置のモード設定や状態表示などを行う。10キー202は、0から9までの数字キーと、数値設定をデフォルト値に戻すためのクリアキーを有する。ユーザモードキー209は、画像形成装置の各機能のデフォルト値設定や、ユーザが任意に行うことが可能な階調補正などの調整を実行するための調整モードに入るためのキーである。ユーザモードキー209により、IP(InternetProtocol)アドレスなど各種ネットワークの設定なども可能である。スタートキー203は、コピー機能やスキャン機能などを実行させるためのキーである。ストップキー204は、コピー機能やプリント機能、スキャン機能などのジョブを中止するためのキーである。
【0026】
ソフト電源キー205は、省電力モードに移行するため、及び、省電力モードから復帰するためのキーである。省電力モード中に電源が投入されているデバイスは、LANコントローラ158だけである。本実施形態の画像形成装置は、LANケーブルからの通信コマンド、または操作部200のスイッチからの信号を受信することで省電力モードを解除し、通常の動作モードへ移行することができる。節電モードキー206は、定着部917をユーザモードで設定されたレベルで温調制御するためにユーザが押下するキーである。リセットキー207は、LCD表示部201や10キー202などで設定された機能をデフォルト値にリセットするためのキーである。ガイドキー208は、LCD表示部201において設定される各コピー機能やプリント機能、スキャン機能等の説明を表示するためのキーである。
【0027】
図4は、画像形成装置の電源構成を示すブロック図である。ハードスイッチ930がオンされることによって、商用電源がトランス405と整流部406を介してレギュレータ401に供給される。レギュレータ401は、3.3Vと24Vを生成し、画像処理コントローラ部150と制御コントローラ部100と排紙アクセサリコントローラ部130に供給している。FETスイッチ400は、制御コントローラ部100と排紙アクセサリコントローラ部130への電源の供給を切り替えることができる。リモート信号402はFETスイッチ400のオフ/オンを制御するための信号であり、画像処理コントローラ部150によって制御される。
【0028】
画像処理コントローラ部150は、操作部200から省電力モード開始の指示があったことに応じて、制御コントローラ部100へシリアル通信を介して省電力モードの開始を通知する。その後、画像処理コントローラ部150は、リモート信号402をオフして制御コントローラ部100及び排紙アクセサリコントローラ部130への電力供給を停止する。画像処理コントローラ部150は、操作部200から省電力モードから復帰する指示があったことに応じて、リモート信号402をオンして各コントローラ部への電力供給を開始する。その後、画像処理コントローラ部150は、制御コントローラ部100へシリアル通信を介して省電力モードからの復帰を通知する。制御コントローラ部100への電力供給と連動して、モータ107、クラッチ108、ソレノイド109、高圧制御113、ヒータ116、レーザユニット117等の画像形成部への電力供給が行われる。また、排紙アクセサリコントローラ部130への電力供給と連動して、モータ135、クラッチ136、ソレノイド137等のシート搬送部への電力供給が行われる。
【0029】
図5は省電力モードを開始するときの制御コントローラ部100が行う処理のフローチャートである。省電力モードの開始が画像処理コントローラ部150より通知されると(S500)、排紙アクセサリの接続状態情報を不揮発RAM120にバックアップする(S501)。この接続状態情報には、画像形成装置に接続されている排紙アクセサリの有無及び排紙アクセサリの種類等が含まれる。そして、省電力モード移行許可を画像処理コントローラ部150に対して通知(S502)する。省電力モード移行許可の通知を受けた画像処理コントローラ部150はリモート信号402をオフし、省電力モードに移行する。
【0030】
図6は、制御コントローラ部100によって実行される制御のフローチャートである。ソフト電源キー205が押された時、もしくは、LANコントローラ158がプリントジョブを受け付けた時、画像処理コントローラ部150によってリモート信号402をオンにする。リモート信号402がオンになると、制御コントローラ部100及び排紙アクセサリコントローラ部130に電力が供給される(S600)。
【0031】
電力供給が開始されると、制御コントローラ部100は排紙アクセサリの構成認識を開始する(S601)。具体的には、排紙アクセサリコントローラ部130から排紙アクセサリから構成情報(ステイプルの有無や排紙アクセサリの有するトレイ数等)及び制御情報(機器間のシート受け渡し搬送速度等)の受信を待機する。制御コントローラ部100は、排紙アクセサリの構成情報及び制御情報を受信したことによって排紙アクセサリの構成を認識した場合、または、所定時間TL1が経過した場合(S602)は、ステップS607へ進む。
【0032】
所定時間TL1の起点は、ステップS601における排紙アクセサリの構成認識を開始するとき、すなわち排紙アクセサリの構成情報等が受信されるのを待機開始するときである。所定時間TL1は、排紙アクセサリが画像形成装置に接続されていないことを確定するためのタイムアウト時間であり、例えば3秒とする。排紙アクセサリが画像形成装置に接続されていないときは、排紙アクセサリコントローラ部130から構成情報等が通知されないので、これをもって排紙アクセサリが接続されているか否かを判別できる。これにより、排紙アクセサリが画像形成装置に接続されているかどうかを検知するためのセンサを設ける必要がないので、コストを抑えることができる。
【0033】
ステップS602で、所定時間TL1が経過していない、または、排紙アクセサリの構成認識ができていない場合、省電力モードからの復帰かどうかの判断を行う(S603)。省電力モードからの復帰かどうかは、電源オン時に画像処理コントローラ部150より省電力モードからの復帰が通知されたか否かにより判断する。ステップS603において、省電力モードからの復帰でないと判断した場合、すなわち、ハードスイッチ930をオンされた通常の電源オンである場合は、ステップS602へ戻る。ステップS603において、省電力モードからの復帰であると判断した場合、不揮発RAM120から排紙アクセサリの接続状態情報を読み出す(S604)。不揮発RAM120に記憶されている接続状態情報は、前述したステップS501にて書き込まれたものである。そして、不揮発RAM120から読み出した接続状態情報を参照して、省電力モードに移行する前に、画像形成装置に排紙アクセサリが接続されていたかを判断する(S605)。
【0034】
ステップS605において、排紙アクセサリが省電力モード移行前に接続されていたと判断した場合、所定時間TL1が経過したか、または、排紙アクセサリの構成認識ができたかを判断する(S606)。ステップS605において、排紙アクセサリが省電力モード移行前に接続されていなかったと判断した場合は、直ぐにステップS607へ進む、すなわち、後述するステップS606をパスする。この場合、排紙アクセサリが接続されていない構成であるとして処理を続ける。これにより、排紙アクセサリが接続されていないにも関わらず、省電力モードからの復帰時に、排紙アクセサリからの通知を待ち続ける無駄な時間を排除することが可能となる。
【0035】
ステップS606において、排紙アクセサリの構成を認識した場合、または、所定時間TL1が経過した場合は、ステップS607へ進む。所定時間TL1が経過していない、または、排紙アクセサリの構成認識ができていない場合は、ステップS606の処理を続ける。従って、ステップS606で、待機開始から所定時間経過しても排紙アクセサリの構成情報等の受信がない場合には、ステップS607へ進むことになる。ここで、排紙アクセサリの構成が確定するのを待つのは、省電力モード中に排紙アクセサリの状態が変化する可能性を想定し、制御コントローラ部100が最新の排紙アクセサリの状態情報を取得するためである。ここで、省電力モード中の排紙アクセサリの状態変化とは、例えば、省電力モード中に排紙アクセサリのトレイ上のシートがユーザによって取り除かれる場合や、省電力モード中に排紙アクセサリのドアが開けられる場合を想定している。
【0036】
ステップS607では、ステップS602またはS606で排紙アクセサリの構成を認識できたときは、この認識した排紙アクセサリの構成で確定し、この情報を画像処理コントローラ部150へ通知する。そして、省電力モードからの復帰処理を開始する(S608)。省電力モードからの復帰処理とは、定着部917を定着可能温度まで加熱(温度調整)する処理等、画像形成装置を画像形成可能な状態にするための準備動作をいう。省電力モードからの復帰処理には、露光制御部910のポリゴンモータを所定の速度まで加速する処理や、感光ドラム911の表面電位を整えるために高圧制御しながら感光ドラム911を回転させる処理なども含まれる。画像処理コントローラ部150は排紙アクセサリの構成情報を通知されると、操作部200上のLCD表示部201に排紙アクセサリに関する画面を表示する。そして、省電力モードからの復帰処理の終了を待ち、復帰処理が終了するとスタートキー203の受付を許可、すなわち、画像形成処理の開始指示の受付を許可する(スタンバイ状態)。
【0037】
図7は、省電力モードからの復帰時間について、本実施形態と従来例を対比して説明するためのタイミングチャートである。T1は省電力モードからの復帰トリガが発生したタイミング、すなわち、省電力モード状態でソフト電源キー205が押されたタイミングである。タイミングT1から、画像処理コントローラ部150の初期化処理P1が開始される。タイミングT2でリモート信号402はオンされ、制御コントローラ部100及び排紙アクセサリコントローラ部130における処理が開始される。制御コントローラ部100は構成確定処理P2を開始する。
【0038】
ここで、従来では、排紙アクセサリが画像形成装置に接続されていない場合には、所定時間TL1が経過するまで待機するため、タイミングT4まで構成確定処理に時間を要していた。そのため、従来では、タイミングT4から省電力モード復帰処理P3が開始されていた。省電力モード復帰処理P3は、前述したステップS608の処理である。そして、タイミングT6で省電力モード復帰処理P3が終了すると、画像処理コントローラ部150は画像形成開始指示の受付を許可する。画像形成開始指示を受け付けた場合、画像形成処理P4を行い、タイミングT8で画像形成処理が終了する。
【0039】
これに対して、本実施形態によれば、制御コントローラ部100は、タイミングT3において、初期化処理P1が終了した画像処理コントローラ部150より省電力モードからの復帰であることを通知される(前述のステップS603)。そして、排紙アクセサリが画像形成装置に接続されていない場合には、所定時間TL1が経過するのを待つことなく、省電力モードからの復帰処理P3を開始する。そして、タイミングT5で省電力モード復帰処理P3が終了すると、画像処理コントローラ部150は画像形成開始指示の受付を許可する。画像形成開始指示を受け付けた場合、画像形成処理P4を行い、タイミングT7で画像形成処理が終了する。図7からもわかるように、画像形成処理可能なタイミングに関して、従来(タイミングT6)に比べて本実施形態(タイミングT5)は早めることができる。このように、省電力モードからの復帰時間を短縮することができ、ユーザの待ち時間を短縮することができる。
【0040】
図8は、制御コントローラ部100によって実行される第二の実施形態の制御フローチャートである。ステップS700からS705、及びステップS708からS709は、図6のステップS600からS605、及びステップS607からS608と同じなので、説明を省略する。
【0041】
ステップS705において、排紙アクセサリが省電力モード移行前に接続されていたと判断した場合、その排紙アクセサリの種類に対応した所定時間TL2を図9に示されるテーブルに基づいて設定する(S706)。図9に示されるように、省電力モード移行前に接続されていた排紙アクセサリが、ステイプラ、ソータ、またはパンチャの場合、所定時間TL2を1秒に設定する。また、省電力モード移行前に接続されていた排紙アクセサリが、インサータまたはスタッカの場合、所定時間TL2を2秒に設定する。この設定時間の違いは、排紙アクセサリからの構成情報及び制御情報が制御コントローラ部100へ送信されるタイミングの違いを考慮したものである。このタイミングの違いは、各排紙アクセサリが電源オン時に実行する立上げ処理や内部チェック等に要する時間が異なることに起因する。インサータやスタッカなどは制御対象数が多いため、全ての制御対象のチェックのために時間を要するからである。
【0042】
所定時間TL2を設定すると、所定時間TL2が経過したか、または、排紙アクセサリの構成認識ができたかを判断する(S707)。ステップS707において、排紙アクセサリの構成を認識した場合、または、所定時間TL2が経過した場合は、ステップS708へ進む。所定時間TL2が経過していない、または、排紙アクセサリの構成認識ができていない場合は、ステップS707の処理を続ける。
【0043】
このように所定時間TL2を設定することにより、省電力モード中に排紙アクセサリが外されていた場合に、所定時間TL1(例えば3秒)でタイムアウトするよりも早く省電力モードからの復帰処理を開始することができる。なお、省電力モード中に新たな排紙アクセサリが追加され、省電力モードからの復帰処理に進んだ後で排紙アクセサリから構成情報等が送信されてきた場合には、排紙アクセサリの構成を再確定する必要がある。排紙アクセサリの構成を再確定した場合は、省電力モードからの復帰処理を再度最初からやり直す。
【0044】
以上のように、省電力モードへの移行前に排紙アクセサリの接続状態情報を保存しておき、省電力モード復帰時にその接続状態情報に基づいてタイムアウト時間を短縮することによって、省電力モードからの復帰に要する時間を短縮できる。
【0045】
上述した実施形態では、排紙アクセサリについて説明したが、原稿読取装置に原稿を給送する原稿給送アクセサリ、画像形成装置にシートを給紙する給紙アクセサリなどのアクセサリ(付属装置)にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】操作部の外観図である。
【図4】電源供給概略図である。
【図5】省電力モードへの移行時のフローチャートである。
【図6】省電力モードからの復帰時のフローチャートである。
【図7】省電力モードからの復帰時のタイミングチャートである。
【図8】省電力モードからの復帰時のフローチャートである。
【図9】所定時間TL2を設定するためのテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
100 制御コントローラ部
130 排紙アクセサリコントローラ部
150 画像処理コントローラ部
200 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付属装置が接続可能な画像形成装置において、
シートに画像を形成する画像形成手段と、
電力供給の開始に応じて前記画像形成手段を画像形成可能な状態にする準備動作を開始させる制御手段と、
前記付属装置から前記付属装置に関する情報を受信する受信手段と、
前記画像形成装置への前記付属装置の接続状態を記憶する記憶手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記電力供給の開始に応じて前記記憶手段を参照して、前記電力供給が停止される前に前記付属装置が前記画像形成装置に接続されていたか否かを判別し、前記付属装置が接続されていなかった場合、前記受信手段による前記付属装置からの情報の受信を待たずに前記準備動作を開始させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記電力供給が停止される前に前記付属装置が接続されていた場合、前記受信手段による前記付属装置からの情報の受信を待機し、前記受信の後に前記準備動作を開始させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記受信手段による前記付属装置からの情報の受信を待機する際、待機開始から所定時間経過しても前記受信がないことに応じて前記準備動作を開始させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定時間経過しても前記受信がないことに応じて、前記記憶手段に前記付属装置が接続されていないことを記憶させることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記付属装置の種類を記憶しておき、
前記制御手段は、前記電力供給が停止される前に前記付属装置が接続されていた場合、前記記憶手段に記憶された前記付属装置の種類に対応した所定時間を設定し、待機開始から前記所定時間経過しても前記受信がないことに応じて前記準備動作を開始させることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
電力供給の開始及び停止の指示を入力する操作手段と、
前記操作手段から入力された指示に応じて前記制御手段及び前記画像形成手段への電力供給を制御する電力供給手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記付属装置は、排紙アクセサリ、給紙アクセサリ、及び原稿給送アクセサリの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記付属装置は、ステイプラ、ソータ、パンチャ、インサータ、及びスタッカの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−300746(P2009−300746A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155358(P2008−155358)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】