説明

画像形成装置

【課題】 画像形成中には閉じ、非画像形成時である待機状態では開き冷却エアーをファンへ導入する開閉弁を設けることで揮発ガスを含む定着近傍の高温雰囲気を、効率よく捕集しフィルターを介して機外へ排気するとともに、その吸引力を作り出すファンが高温下にさらされ劣化していくことを防ぐ。
【解決手段】 定着近傍の雰囲気を捕集する風路Aと定着装置の画像形成時の状態と待機時の状態との移行動作に連動し、冷却エアーを導入する開閉弁を開閉させる風路Bとを設け、画像形成装置の動作状態に応じて風路Bの弁の開閉状態も変え、同一のファンで各風路から吸引し合流させたエアーをファン下流の風路中にあるフィルターを介して機外へ排出する。
定着装置の定着ローラを離間させる動作に連動させ、冷却エアーの導入弁の開閉を行い、定着ローラ当接時は冷却導入弁が閉じ、定着ローラ離間時は冷却導入弁が開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート材に転写された画像に熱を与え定着させる画像形成装置であって、定着近傍から揮発したガスを、フィルターを通じて機外へ排出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に関する従来例としては、特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平7−104617号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高温環境にさらされる定着器近傍の雰囲気中には、高温下にさらされた部品から揮発したガスも含まれている。その揮発ガスの中には異臭を発するものもあり、そのまま機外へ排出されないように、定着近傍の雰囲気をファンにより強制的に捕集し、フィルターを介して機外へ排気している。
【0004】
定着近傍の高温エアーだけを吸引できるような風路とすれば、揮発ガスの捕集効率を高めることができる。しかし、高温度の定着近傍の雰囲気を捕集し排気するファンは高温度にさらされてしまい、高温度でファンを使用すると回転軸受け部の劣化が急速に進行し、異音発生や焼きつきが発生しやすくなるため、ファン故障の原因のひとつとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における画像形成装置は、
(1)シート材表面に画像を転写した後に発熱体を備えた定着装置により定着させる画像形成装置において、
定着装置よりも搬送下流にあり、かつ、上方に配置された搬送ガイドには、定着が完了したシート材を次工程へ向けての搬送路の空間からエアーを吸引する吸引口が配置されており、
搬送ガイドに設けた吸入口から定着装置近傍の高温エアーをファンへ向け送る第一の風路と、定着近傍雰囲気よりも冷たい機内のエアー、もしくは、外気をファンへ向け送る第二の風路とを備えていることを特徴とする。
【0006】
(2)又、第二の風路には冷却吸入口に開閉可能な弁があり、定着装置の発熱状態に応じて、開閉状態を変えることを特徴としており、
(3)第二の風路の開閉弁は、画像形成する発熱量が大きな場合は閉じて、画像形成が終了し発熱量の小さくなった待機状態では開くことも特徴としている。
【0007】
(4)更に、定着装置の画像形成する状態から、画像形成が終了し待機状態へ移行する際に、行われる駆動切り替え動作、もしくは、定着ローラ間の離間動作に連動して第二の風路の開閉弁が開閉することを特徴としており、
(5)ファンよりも下流風路中には活性炭フィルター、もしくは、触媒フィルターが設けられており、定着されたシート材が搬送される搬送路空間から吸入したエアーを、該フィルターを通してから機外へ排出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、定着近傍の高温エアーによってファンを高温下にさらしてしまう時間を短くすることができるので、ファン故障の原因である軸受け劣化を防げ、ファンの寿命が延ばせる。
【0009】
また、定着器で熱せられ、定着近傍で揮発ガスが発生するときは。第二の風路は閉じられているので、ファンの吸引能力を定着近傍の雰囲気の吸引力にのみ使用できるので、揮発ガスに対しての高い捕集効率も維持することができる。
【0010】
フィルターを介して機外へ排出することができるので、画像形成装置からの異臭発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明を適応した画像形成装置を説明するための図である。
【0013】
画像形成装置は着脱自在なプロセスカートリッジ2をトナー色の異なる、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック4種類を有している。このプロセスカートリッジ2にはそれぞれ、像担持体である電子写真感光ドラム3、表面を帯電させるための帯電手段4、感光ドラム上のトナーにより画像を形成するための現像手段5、転写後の残留トナーを除去するクリーニング手段6が設けられている。スキャナーユニット7からレーザー光が照射され、感光ドラム3上に形成されたトナー像を中間転写ユニット8のベルト裏面に配置された1次転写ローラによって、ベルト表面へのトナー像転写を行う。同様の工程を下流にあるプロセスカートリッジ2b、2c、2dとで順次行い、ドラム表面のトナー像をドラムに対向して設けられている中間転写ベルト表面へ、各色ドラムのトナー像の一次転写を順次終了させることで、ベルト表面にフルカラーの画像が形成される。シート材カセット11に収納されているシート材Sは、ピックアップローラ9とからなる分離手段とにより一枚ずつ分離給送されて送り出されて行く。この送り出されたシート材は、搬送ローラ対10によって画像形成部に搬送され、所定の画像を形成される。
【0014】
用紙カセットから一枚ずつ分離給紙されたシート材Pをレジストローラユニット12により,ベルト表面に形成されたフルカラー画像に同期するタイミングで中間転写ベルト8と2次転写ローラ13などからなる画像形成部へ搬入する。中間ベルト表面のトナー像を、シート材Pに転写するため中間ベルト表面にシート材カセット11から送られたシート材Pを押圧し、かつ帯電したトナー像と逆極性の電圧を印可することで、シート材にトナー像を転写し、シート材Pに所望の画像を用紙Pの上面に印字する。
【0015】
さらに、画像形成部の下流には、シート材P上に転写したトナー像をシート材Pに定着させるための定着ユニット14が設けられている。画像の転写が終了したシート材Pを、発熱体を有した定着ユニット14を通過させることによって、シート材Pへトナー像を定着させている。画像が定着されたシート材は、搬送ガイド50によって次工程へ向けてガイドされ、排出ローラ20によって機外へ排出され、排出ローラ20の下方にある積載トレイ21へと積載される。
【0016】
定着14よりも下流でかつ上方にある搬送ガイド50には搬送路側のエアーを吸引する吸入口50a〜50gが複数設けられており、紙幅方向に並んで配置されている。搬送ガイド50の搬送路とは反対側の面は吸入口からのエアーを運ぶ風路Aとなっており、発熱体51よりも紙幅方向で外側に配置されたファン52へと通じる風路Aの一部を形成している。その風路Aとは異なる風路でファン52へ通じる風路Bがあり、風路Bのファンと反対側かもしくは風路途中には開閉可能な弁54が設けられている。
【0017】
画像形成をしている稼働中には、定着装置14はトナー像をシート材へ定着するために大きな熱量を発するため、画像形成装置の定着装置近傍の雰囲気は非常に高い温度に達している。定着近傍の部品は高温環境下にさらされることとなるが、それらの部品の中には高温環境下において揮発ガスを発するものもあり、異臭となるものもある。
【0018】
揮発するガスがそのまま機外へ排出されないように、ファン52で強制的にフィルター53へ送り込み、揮発ガスの成分を除去したうえで、機外へ排出する。画像形成中は、揮発ガスの捕集率を高めるためにファン52の吸引力のほぼすべての吸引力を定着近傍の雰囲気の吸引にあてている。
【0019】
画像形成中は風路Aのみからの定着近傍雰囲気への吸引にファンを活用できるので定着14を通過したシート材からの内部、および、表面コート剤から揮発し、定着下流搬送路に充満した揮発ガスの捕集もれを防ぐことができる。
【0020】
ファン下流に設けたフィルターで異臭原因の物質を除去した後に機外へ排出することで、機外への異臭放出を防ぐことができる。
【0021】
画像形成が終了し、定着装置の発熱量が少なくなると、揮発するガス量も少なくなるのでファンの吸引力をすべて定着近傍の雰囲気の吸引に当てなくてもよくなる。そこで、画像形成が終了したら、風路Bにある開閉弁54を開け外気を取り入れ、ファン52の吸引力によってファン52へと送り込まれることになる。本実施例では、定着装置14が待機状態へ移行する際に行うローラ離間動作に連動して、開閉弁54の開閉を行う。定着ローラが離間するために開閉レバー55が図示しないカム回転により、支点56を中心に時計回りに回転する。回転した開閉レバー55によって、開閉弁54も支点54aを中心に回転し、外気と風路Bが連結される。よって、画像形成が終了し待機状態へと移行するのと同時に風路Bの外気との連結も行われ、風路Aからの定着雰囲気の高温エアーに混ざって、風路Bからの冷たい外気もファン52へと送り込まれることになるので、ファンの温度も下がり、軸受けの劣化の進行もなくすことができる。
【0022】
次に画像を形成する場合には、定着装置14のローラ対が離間状態から当接状態へと移行するのに連動して、今度は逆に側に開閉レバー55と、開閉弁54が回転するため、外気の導入がされなくなる。
【0023】
なお、図2は、第1の実施例における搬送ガイド内部風路を説明するための図である。
【実施例2】
【0024】
図3は他の実施例の説明図であり、この実施例では、定着装置への駆動力を利用し、冷却風の導入の切り替えを行っている。
【0025】
画像形成が終了し待機状態へと移行する際に、定着ローラへの駆動を逆転し、ローラを離間させることはすでに知られている。本実施例では、その正転逆転をする定着装置への駆動列G1から途中分岐するギア列G2を形成し、開閉弁54の開閉力を得るものである。
【0026】
分岐されたギア列には揺動するギア60を含ませてあり、画像形成中の定着ローラへ駆動を伝達する時には、揺動ギア60が連結しない側へ移動し、分岐ギア列G2のギア駆動は揺動ギア部でとぎれることになる。
【0027】
次に画像形成が終了し待機状態となる際には、定着ローラへの駆動が逆転するが、今度は揺動ギア60が連結する側へ移動するため駆動力が開閉弁の回転中心にまで伝えられる。支点54aには開閉弁54と一体的に形成されている扇形状のギア61があり、駆動力により回転する。ギア61の回転と同時に開閉弁54が支点54aを中心に回転し、風路Bが外気と連結する。風路Bから外気冷却エアーがファン52へと導入されるので、ファンが高温にさらされる時間を少なくできるので、軸受け劣化などがなくなる。
【0028】
さらに待機状態から画像形成状態へと移行する際には、定着装置14への駆動が正転となり、揺動ギア60が連結しない側へ移動する。そうすると開閉弁はバネ62により閉じる側に付勢されており、ギア駆動が解除されるとバネ62により、開閉弁54は閉じる。画像形成中は開閉弁54が閉じられるので、ファン52の吸引力を定着近傍の雰囲気への捕集にだけ活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施例を説明するための斜視図。
【図2】第1の実施例における搬送ガイド内部風路を説明するための図。
【図3】第2の実施例を説明するための図。
【符号の説明】
【0030】
14 定着
50 吸入口付き搬送ガイド
50a〜50g 吸入口
51 発熱体
52 ファン
53 フィルター
54 冷却導入開閉弁
54a 開閉弁回転中心
55 開閉レバー
60 揺動ギア
61 弁中心の扇ギア
62 開閉バネ
A,B 独立風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材表面に画像を転写した後に発熱体を備えた定着装置により定着させる画像形成装置において、
定着装置よりも搬送下流にあり、かつ、上方に配置された搬送ガイドには、定着が完了したシート材を次工程へ向けての搬送路の空間からエアーを吸引する吸引口が配置されており、
搬送ガイドに設けた吸入口から定着装置近傍の高温エアーをファンへ向け送る第一の風路と、定着近傍雰囲気よりも冷たい機内のエアー、もしくは、外気をファンへ向け送る第二の風路とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
第二の風路には冷却吸入口に開閉可能な弁があり、定着装置の発熱状態に応じて、開閉状態を変えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第二の風路の開閉弁は、画像形成する発熱量が大きな場合は閉じて、画像形成が終了し発熱量の小さくなった待機状態では開くことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
定着装置の画像形成する状態から、画像形成が終了し待機状態へ移行する際に、行われる駆動切り替え動作、もしくは、定着ローラ間の離間動作に連動して
第二の風路の開閉弁が開閉することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置
【請求項5】
ファンよりも下流風路中には活性炭フィルター、もしくは、触媒フィルターが設けられており、定着されたシート材が搬送される搬送路空間から吸入したエアーを、該フィルターを通してから機外へ排出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−31577(P2009−31577A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196155(P2007−196155)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】