説明

画像形成装置

【課題】中間転写体上の粒子層の固定力が向上する画像形成装置を得る。
【解決手段】中間転写体12の表面及び裏面に対面するようにしてマイクロ波照射装置22、24を設け、粒子供給装置16によって中間転写体12の表面に形成されたインク受容性の粒子層20を、該マイクロ波照射装置22、24によって加熱することで、粒子18の表面を軟化(あるいは溶融)させ、粒子18間で粘着力を発生させるようにしている。これにより、粒子間の結合力を大きくして、中間転写体12上の粒子18の移動或いは飛散を抑制し、粒子18の中間転写体12上からの離脱を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を吐出し記録媒体に画像を記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを利用した画像やデータ等の記録の一つとして、インクジェット記録方式がある。このインクジェット記録方式において、直接用紙にインク(水性、油性)を印字、あるいは熱溶融型インクを利用した中間転写記録方式などはすでに実用化されており、中でも水性インクを用いたインクジェットは揮発有機成分を含まず、熱溶融型インクに比べ消費エネルギーも少なくため環境特性が優れている。
【0003】
しかしながら、この水性インクを用いたインクジェットでは、インク中に水分を含むため、用紙のカール・カックルが生じ、印字品質、印字装置内の用紙搬送性に影響を及ぼしてしまう。また、普通紙上で特に発生しやすいがフェザリング(滲み)の問題も生じる。
【0004】
これらはインクの溶媒である水が原因であり、この課題を解決すべく、近年では、中間転写記録方式において、溶媒を吸収する吸液粒子を用いたインクジェットが提案されている。この吸液粒子を中間転写体上に層形成させることで、吸液粒子がインク中の水分を吸収し、該吸液粒子ごと用紙に転写することで、用紙への水の吸収が制限されて上記のような問題を解決することができる。
【0005】
例えば、特許文献1及び2では、中間転写体に対して吸水性の粉体(セット剤)を塗布する第1のセット剤塗布手段を設けており、この第1のセット剤塗布手段よりも中間転写体移動方向下流側に、該中間転写体に対してセット剤を塗布する再塗布ロール及び再塗布植毛ロールを備えた第2のセット剤塗布手段を備えている。そして、この第2のセット剤塗布手段によって、第1のセット剤塗布手段で塗布されたセット剤による粉体層をならしている。
【特許文献1】特開2006−137120号公報
【特許文献2】特開2001−58400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、中間転写体上の粒子層の固定力が向上する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、中間転写体と、前記中間転写体に、液体を受容する液体受容性粒子を供給する粒子供給手段と、前記液体受容性粒子を前記中間転写体上に仮固定させる仮固定手段と、前記中間転写体上に仮固定された液体受容性粒子に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記仮固定手段が、液体受容性粒子に熱を付与する熱付与手段であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記熱付与手段は、前記液体受容性粒子のガラス転移温度以上軟化温度以下となるように該液体受容性粒子に熱を付与することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記熱付与手段が、前記中間転写体上の前記液体受容性粒子に直接熱を付与する第1熱付与装置であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記熱付与手段が、前記中間転写体に熱を付与する第2熱付与装置であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記熱付与手段が、前記粒子供給手段と前記液滴吐出ヘッドの間に設けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記仮固定手段が、前記中間転写体又は前記液体受容性粒子に液体を供給する液体供給手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記液体供給手段が、前記粒子供給手段と前記液滴吐出ヘッドの間に設けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記液体供給手段が、前記粒子供給手段の、前記中間転写体の搬送方向の上流側に設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか1項に記載の画像形成装置において、前記中間転写体上に供給された前記液体受容性粒子で形成された粒子層の層厚を均一にする層厚均一化手段が設けられたことを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記層厚均一化手段が、前記粒子層に圧力を付与する圧力付与手段であることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記層厚均一化手段が、前記粒子層に振動を付与する振動付与手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、中間転写体上の液体受容性粒子の移動を抑制することができる。
【0020】
請求項2、3記載の発明によれば、液体受容性粒子に熱を与えることで液体受容性粒子の表面が溶融し、液体受容性粒子には粘着力が発生する。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、印字側の液体受容性粒子の粘着力を強くして液体受容性粒子の飛散を抑制することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、印字側の空隙は確保して、中間転写体側の液体受容性粒子の粘着力を強くすることができる。また、印字側及び中間転写体側から液体受容性粒子に熱を付与することで、液体受容性粒子に効率よく熱を付与することができる。
【0023】
請求項6、8に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドによる液滴の着弾時の運動エネルギーによって、液体受容性粒子が中間転写体上から弾き出されてしまうのを抑制することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、液体を液体受容性粒子に供給することで、液体受容性粒子同士(あるいは中間転写体と液体受容性粒子)が液架橋(あるいは粘着力)で結合するため、中間転写体上からの離脱を抑制することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、液体による液膜を中間転写体上で均一に形成することができる。
【0026】
請求項10〜12に記載の発明によれば、液体受容性粒子で形成された粒子層の層厚を均一にすることができ、中間転写体上で吸液力のバラツキを小さくする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同じ作用・機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置を示す構成図であり、図2は、第1の実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す構成図である。
【0029】
まず、第1実施形態に係る画像形成装置10の概要について説明する。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置10には、無端ベルト状の中間転写体12が回転可能に配設されている。この中間転写体12には、帯電装置14が設けられており、この帯電装置14によって中間転写体12の表面が帯電する。
【0031】
帯電装置14の、中間転写体12の搬送方向(矢印方向)に沿った下流側(なお、中間転写体12の搬送方向に沿った下流側(上流側)は、以下単に「下流側(上流側)」という場合もある)には、粒子供給装置16が設けられており、中間転写体12上の帯電している領域に、液体受容性粒子18(以下、「粒子18」という)を供給して中間転写体12上に粒子層20を形成する(なお、粒子18及び粒子層20については、便宜上粒径を拡大して図示している箇所もある)。このため、帯電装置14は、この粒子18と逆極性の電荷を中間転写体12表面に付与させるようにする。
【0032】
粒子供給装置16の下流側には、中間転写体12の表面及び裏面に対面するようにして、仮固定手段としてのマイクロ波照射装置(加熱手段)22、24がそれぞれ設けられており、中間転写体12上の粒子層20に熱を付与するようにしている。
【0033】
マイクロ波照射装置22、24の下流側には、インクジェット記録ヘッド26が配設されており、中間転写体12上の粒子層20にインク滴を吐出し、これによって粒子層20の表面に画像が形成される。
【0034】
このように、表面に画像が形成された粒子層20は、インクジェット記録ヘッド26の下流側に配設された転写定着装置28によって、給紙トレイ30から給紙された記録媒体32へ転写され、該記録媒体32は、そのまま画像形成装置10外の排出トレイ34へ排出される。
【0035】
次に、前述した各部材の詳細について説明する。
【0036】
<中間転写体>
本実施形態では、駆動ロール36、従動ロール38及び転写定着装置28を構成する転写定着ロール28B等が巻掛けられた無端ベルト状の中間転写体12について説明するが、本発明では、ベルト形状の中間転写体に限らず、円筒形状(ドラム形状)の中間転写体を適用させてもよい。なお、中間転写体12の表面に、中間転写体12から粒子層20を離型させるための離型層を設ける場合もある。
【0037】
ここで、中間転写体12は、静電力によりその表面に粒子18を供給保持させる為には、中間転写体12の表面が半導電性あるいは絶縁性で電荷保持特性を有する必要がある。このため、中間転写体12表面の電気的特性として、半導電性の場合は表面抵抗率が1010Ω/□以上1014Ω/□以下、体積抵抗率が10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、絶縁性の場合には表面抵抗率が1014Ω/□以上、体積抵抗率が1013Ω・cm以上の部材を用いる。
【0038】
中間転写体がベルト形状の場合、基材としては、画像形成装置10内におけるベルト回転駆動が可能で、必要な機械強度を持ち、特に転写/定着時に熱を使用する場合には、必要な耐熱性を持つものであればよい。
【0039】
具体的には、ポリイミド、ポリアミドイミド、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ステンレス等が使用されるが、本実施形態においては、一例として、厚さ100μmのポリイミドフィルムのベース層の上に厚さ100μmのエチレンプロピレンゴム(EPDM)の表面層が形成されたものが用いられる。この場合、表面抵抗値が1013Ω/□程度、体積抵抗値が1012Ω・cm程度(半導電性)である。
【0040】
一方、中間転写体がドラム形状の場合は、基材としてはアルミやステンレス等が考えられ、該基材上に半導電性、あるいは絶縁性のものをコーティングしたものを用いる。
【0041】
なお、転写定着装置28における定着工程において、電磁誘導による加熱方式を発揮するためには、転写定着装置28ではなく中間転写体12に発熱層を形成してもよい。発熱層には電磁誘導作用を生じる金属が用いられる。例えばニッケル、鉄、銅、アルミニウム、クロム等が選択可能である。
【0042】
<帯電装置>
本実施形態では、帯電装置14によって正の電荷(粒子18と逆極性の電荷)を中間転写体12表面に付与することにより、中間転写体12表面に正の電荷が帯電される。これにより、中間転写体12の表面に液体受容性の粒子18による粒子層20が形成されることとなるが、このとき該粒子層20を形成する方法は、一般的な電子写真のトナーを感光体に供給する方法を応用できる。
【0043】
すなわち、予め中間転写体12の表面に一般的な電子写真の帯電方式(帯電装置14による帯電など)により、電荷を供給する。なお、粒子18は、粒子供給装置16によって、中間転写体12表面の電荷と逆極性に摩擦帯電(1成分摩擦帯電方式や、2成分摩擦帯電方式)させる。
【0044】
このため、ここでは、粒子供給装置16の供給ロール16Aと中間転写体12の表面とで形成しうる電界による静電力により、粒子18が中間転写体12の表面に供給/吸着可能な電位を形成すればよい。
【0045】
したがって、本実施形態においては、帯電装置14にDC電源を接続し、帯電装置14と中間転写体12を挟んで配置されている従動ロール38(フレームグラウンドに接続)間に電圧を印加して、中間転写体12表面を帯電させる構成とする。
【0046】
帯電装置14における帯電ロールとしては、アルミニウム、ステンレススチール等を材料とする棒状又はパイプ状部材の外周面に導電性付与材を分散させた弾性層を形成し、体積抵抗率10Ω・cm以上10Ω・cm以下程度に調整したφ10mm以上25mm以下のロールなどが使用できる。
【0047】
弾性層は、ウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマー、エピクロルヒドリンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、シリコーン系ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、ポリノルボーネンゴム等の樹脂材料が単独又は二種以上の混合物として使用され、望ましい材料としては発泡ウレタン樹脂がある。
【0048】
上記発泡ウレタン樹脂としては、ウレタン系樹脂に中空ガラスビーズや熱膨張型マイクロカプセル等の中空体を混合分散して独立気泡構造を付与したものが望ましい。さらに、弾性層の表面を、厚さ5μm以上100μm以下の撥水性の被覆層で被覆してもよい。
【0049】
また、帯電装置14は、従動ロール38との間で中間転写体12を挟みつつ従動し、押圧位置では、接地された従動ロール38との間に所定の電位差が生じるため、中間転写体12の表面に電荷を与えることができる。ここでは帯電装置14により中間転写体12表面に例えば電圧1kvを印加し、中間転写体12表面を帯電させる。なお、帯電装置14をコロトロン等で構成してもよい。
【0050】
<粒子供給装置>
本実施形態による粒子供給装置16では、前述したように、中間転写体12の表面に粒子18を供給し、粒子層20を形成する。粒子供給装置16は、粒子18が収容される容器の、中間転写体12と対面する部分に供給ロール(導電性ロール)16Aが配設されており、該供給ロール16A側へ粒子18を押圧するように帯電ブレード(導電性ブレード)16Bが配置されている。この帯電ブレード16Bは、供給ロール16Aの表面に供給する粒子18の層厚を規制する機能も併せ持つ。
【0051】
帯電ブレード16Bによって粒子層20の層厚を規制するとともに、粒子18を中間転写体12表面の電荷と逆極性である負に帯電させ、供給ロール16Aで粒子18を中間転写体12上へ供給する。
【0052】
ここで、帯電ブレード16Bは供給ロール16A表面における粒子18の層厚を規制する働きを持つため、例えば、供給ロール16Aへの圧力を変化させて、供給ロール16A表面の粒子18の層厚を変化させる。
【0053】
すなわち、供給ロール16A表面上の粒子層20を例えば1層とし、中間転写体12の表面上に形成される粒子18の層を概1層に形成してもよく、また、帯電ブレード16Bの押圧力を低く制御して、供給ロール16A表面上に形成される粒子18の層厚を増加させ、中間転写体12表面上に形成される粒子層20の層厚を増加させてもよい。
【0054】
他の方法として、中間転写体12表面上に例えば1層の粒子層20を形成する供給ロール16Aと中間転写体12の周速を1とした場合、供給ロール16Aの周速を速くして中間転写体12上に供給される粒子18の数を増加させ、中間転写体12上の粒子層20の層厚を増加させるよう制御することができる。また上記方法を組み合わせて制御することも可能である。
【0055】
このようにして、液体受容性粒子の層20の層厚を制御することにより、粒子18の消費量を抑えつつ、形成された画像の表面が保護層で覆われたパターンを形成することができる。
【0056】
一方、供給ロール16Aはアルミ製の中実ロールが用いられ、帯電ブレード16Bは圧力をかけるためにウレタンゴムが貼付けられた金属板(SUSなど)が用いられる。また、帯電ブレード16Bはドクターブレード方式で形成され、供給ロール16Aと接触可能な長さとされている。
【0057】
帯電した粒子18は、供給ロール16A表面に例えば1層の粒子層を形成し、中間転写体12表面と対向する部位に搬送され、中間転写体12表面と近接すると、供給ロール16Aと中間転写体12表面との電位差により形成された電界により、静電力により中間転写体12表面に移動する。
【0058】
この時、中間転写体12表面に1層の粒子層20を形成するように、中間転写体12の移動速度と供給ロール16Aの回転速度を相対的に設定する(周速比)。この周速比は、中間転写体12の帯電量や粒子18の帯電量、供給ロール16Aと中間転写体12の位置関係等、他のパラメータに依存する。
【0059】
上記の、1層の粒子層20を形成する周速比を基準に、供給ロール16Aの周速を相対的に早くすることにより、中間転写体12上に供給される粒子数を増加させることができる。
【0060】
つまり、転写される画像濃度が低い(インク打ち込み量が少ない(例えば0.1g/m以上1.5g/m以下))場合には、粒子層20の層厚を必要最小限の厚さ(例えば、1μm以上5μm以下)とし、転写される画像濃度が高い(インク打ち込み量が多い(例えば4g/m以上15g/m以下))場合には、インク液体成分(溶媒や分散媒)を保持可能である充分な粒子層20の層厚(例えば10μm以上25μm以下)となるように制御することが望ましい。
【0061】
例えば、インク打ち込み量が少ない文字画像等の場合に、中間転写体12上の1層の粒子層20に対して画像形成を行った場合、インク中の画像形成材(顔料)は中間転写体12上の粒子層20表面に捕獲され、深さ方向に対して分布が少なくなるように、粒子層20表面や内部の粒子18空隙に固定される。
【0062】
また、図3(A)に示すように、最終的な画像となる画像層20Aの上に保護層となる粒子層20Bを設けたい場合は、粒子層20を3層程度の厚みとし、最上層にインクで画像形成を行えば、画像形成を行わない2層分の粒子層20Bが転写定着後には保護層となり、画像層表面に形成される(図3(B)参照)。
【0063】
あるいは2次色や3次色の画像等、インク打ち込み量が高い画像を形成する場合には、粒子層20を、インク液体成分(溶媒や分散媒)が保持可能で、記録材(例えば顔料)が捕獲され、最下層まで到達しない充分な粒子数となるように粒子18を積層させる。この場合、転写定着後の画像層表面に画像形成材(顔料)は露出せず、画像形成を行わない粒子18が画像表面に保護層として形成してもよい。
【0064】
<マイクロ波照射装置>
本実施形態による加熱装置40には、図1及び図2に示すように、マイクロ波照射装置22、24(電子レンジなどとほぼ同等のものが使用可)が用いられ、中間転写体12の表面(印字側)及び裏面に対面するようにして配設されている。このマイクロ波照射装置22、24によって、粒子18が加熱される。具体的には、粒子18のガラス転移温度(Tg)以上軟化温度以下となるように該粒子18に熱を付与する。
【0065】
粒子18のガラス転移温度は70℃、軟化温度は120℃であるため、粒子18を約90℃に加熱するように設定する。このため、このマイクロ波照射装置22、24では、周波数:800MHz〜30GHz(実施例 2.45GHz)、出力:100W〜1500W(実施例 1000W)に条件設定し、マイクロ波照射装置22、24のマイクロ波によって粒子18の粒子自体を直接加熱する。
【0066】
このように、マイクロ波照射装置22、24を中間転写体12の表面側及び裏面側に設けることで、粒子18に効率よく熱を付与することができ、粒子18全体の粘着力を上げ、粒子同士或いは粒子18と中間転写体12との固定力を向上させることができる。
【0067】
ここで、マイクロ波の吸収効率を上げるため、粒子層20には微量の水を塗布しておくことが望ましい。また、赤外線によって加熱する場合、粒子18にIR吸収剤を添加すると吸収効率が上がるので望ましい。
【0068】
また、加熱装置40として、マイクロ波照射装置22、24以外にも光照射装置(電子写真のフラッシュ定着器などが使用可)や、キセノンフラッシュランプ、パルスレーザーなどを用いてもよい。さらに、加熱装置40は、中間転写体12の表面側及び裏面側のうち、どちらか一方に設けてもよい。
【0069】
また、ここでは、中間転写体12或いは粒子18に対して、非接触である加熱装置40について例を挙げた。このように、中間転写体12或いは粒子18に対して、非接触とすることで、中間転写体12の回転動作等に対する影響は少なくなるが、必ずしも非接触の加熱装置40である必要はない。このため、中間転写体12或いは粒子18に接触する加熱装置42を用いてもよい。
【0070】
具体的には、図4に示すように、加熱源を内蔵する加熱・加圧ロール44を用いても良い。この場合、該加熱・加圧ロール44により粒子18は加圧されることとなるが、その圧力は10Pa〜10Paが好ましい。また、この場合の圧力は、加熱・加圧ロール44の自重によるものでもよいし、バネ等による印加であってもよい。
【0071】
また、加熱・加圧ロール44の材料は、樹脂材料、金属材料(アルミ、鉄など)、ゴム材料など圧力印加が可能であれば特に制限しない。また、加熱・加圧ロール44の表面は、粒子18の付着を防止するため、低表面張力化材料である、フッ素系樹脂(PFA、PTFE、ETFE、PVDF等、或いは、摩擦力低減化材料である、固体潤滑コーティング(二硫化モリブデン、グラファイト等)が好ましい。このような加熱・加圧ロール44を用いた場合、該加熱・加圧ロール44の設定温度は120℃である。
【0072】
なお、加熱・加圧ロール44の代わりにブレード(図示省略)を用いても良いし、また、図5に示すように、加熱ロール45と加圧ロール46に分けて、中間転写体12の表側に加圧ロール46を配設し、中間転写体12の裏面側に加熱ロール45を設けるようにしてもよい。ここで、加熱・加圧ロール44は必ずしも必要なものではなく、図6に示すように、中間転写体12の表側に、加熱・加圧ロール44が配設されていない構成でもよい。
【0073】
さらに、図7に示すように、中間転写体50に電熱線などの金属材質を用い、電流を流して中間転写体50を発熱させるようにしてもよい。この場合、別途加熱装置40、42等を用いる必要がないため、省スペース化が図られ、また、時間と場所を限定することなく加熱が可能である。
【0074】
また、粒子18との接触時間が長くとれるので、粒子18を効率よく加熱できる。さらに、この中間転写体50は、転写定着装置28での画像の転写定着時にも流用できる。つまり、これによると、転写定着装置28を構成する加熱ロール28Aにおいて、加熱源を内蔵させる必要が無くなる。
【0075】
また、中間転写体12の裏面側に加熱ロールや加熱板(図示省略)を配設するようにしてもよい。この場合、中間転写体12を介して粒子18を加熱することができれば特に制限はないため、設計自由度が高くなる。
【0076】
ここで、中間転写体12の表面側に加熱装置を設けることで、印字側の粒子18の粘着力を強くして、粒子18の飛散を抑制することができ、中間転写体12の裏面側に加熱装置を設けることで、印字側の空隙を確保して、中間転写体12側の粒子18の粘着力を強くすることができる。
【0077】
以上、加熱装置については複数の装置を例に挙げたが、異なる装置を複数用いても良い。例えば、図8に示すように、中間転写体50を用い、中間転写体50の表面側に加熱・加圧ロール44を配設し、中間転写体50の裏面側に加圧ロール48を設け、中間転写体12の表側に加圧ロール46を配設するようにしてもよい。
【0078】
また、図9に示すように、中間転写体50の表面側にマイクロ波照射装置22を配設し、中間転写体50の裏面側に加熱ロール45を設けるようにしてもよい。
【0079】
このように、各加熱装置を複数設けた場合は、その組み合わせて応じて、各装置の設定条件が変わる。
【0080】
<インクジェット記録ヘッド>
図1に示すように、本実施形態によるインクジェット記録ヘッド26では、粒子層20にインク滴26Aを付与するが、このインクジェット記録ヘッド26は各色ごとのインクジェット記録ヘッド26K、26C、26M、26Yで構成され、所定の画像情報に基づき、所定の位置に各インクジェット記録ヘッド26K、26C、26M、26Yから各色毎のインク滴26Aが吐出されカラー画像が形成される。
【0081】
つまり、中間転写体12の表面に形成された粒子層20に、画像信号に基づいてインクジェット記録ヘッド26からインク滴26Aが吐出され、カラー画像が形成されることとなる。インクジェット記録ヘッド26から吐出されたインク滴26Aは、粒子層20に打ち込まれ、インク滴26Aは粒子18内に形成された粒子間空隙により速やかに吸収され、記録材(例えば、顔料)は粒子18表面又は粒子18を構成する粒子間空隙に捕獲(トラップ)される。
【0082】
この場合、粒子層20の表面に多くの記録材をトラップすることが望ましい。粒子18内の粒子間空隙がフィルターの効果を発揮し、粒子層20表面に記録材をトラップすると共に、粒子18内の粒子間空隙に記録材が捕獲され固定されることにより発現される。
【0083】
粒子層20の表面及び粒子18内の粒子間空隙に記録材を確実にトラップさせるために、インクと粒子18を反応させることにより、記録材を速やかに不溶化(凝集)させる方法を採用してもよい。具体的には、上記反応はインクと多価金属塩との反応や、pH反応型を応用することが可能である。
【0084】
また、記録媒体の幅と同等又はそれ以上の幅を持つライン型インクジェット記録ヘッドが望ましいが、従来のスキャン型のインクジェット記録ヘッドを用いて、中間転写体上に形成された粒子層に順次画像を形成してもよい。インクジェット記録ヘッド26のインク吐出手段は、圧電素子駆動型、発熱素子駆動型等、インク吐出可能な手段であれば制限はない。インク自体も従来の染料を色材としたインクを用いることができるが、画像安定性(耐候性、耐光性など)の観点から顔料インクが望ましい。
【0085】
<転写定着装置>
本実施形態による転写定着装置28は、加熱源を内蔵する加熱ロール28Aと、中間転写体12を挟んで対向する転写定着ロール28Bと、を備えており、加熱ロール28A及び転写定着ロール28Bとして、アルミコアの外表面にシリコーンゴムが被覆され、更にその上をPFAチューブで被覆された部材が使用される。
【0086】
そして、加熱ロール28Aのヒーターにより粒子層20が加熱され、かつ転写定着ロール28Bによって中間転写体12から記録媒体32側へ圧力が加わることで、表面にカラー画像が形成された粒子層20は、カラー画像ごと記録媒体32に転写されると共に該カラー画像が記録媒体32に定着される。
【0087】
このとき、非画像部における粒子18を構成する有機樹脂粒子がガラス転移温度(Tg)以上に加熱されることにより軟化し(あるいは溶融され)、圧力により中間転写体12から粒子層20が離形され、記録媒体32上に転写される。この時、加熱によって転写定着性が向上する。
【0088】
本実施形態では加熱ロール28Aの表面を160℃に制御している。この時、粒子層20に保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写後もそのまま粒子層20内に保持され、定着される。また転写定着装置28より前に、中間転写体12に予備加熱を行ってもよい。
【0089】
なお、記録媒体32としては、浸透媒体(例えば、普通紙や、インクジェットコート紙等)、非浸透媒体(例えば、アート紙、樹脂フィルムなど)、いずれも適用することができる。また、記録媒体は、これらに限られず、その他、半導体基板など工業製品も含まれる。
【0090】
また、画像が形成された粒子層20を記録媒体32に定着させる場合、粒子層20の加熱あるいは加圧のいずれかを用いる方法、あるいは加熱及び加圧の両方を用いる方法等あるが、加熱及び加圧の両方を用いた方法が望ましく、また、この場合、実質的に同時に行う方がよい。
【0091】
また、この加熱/加圧を制御することで、粒子層20の表面物性を制御し、グロス(光沢度)を制御することが可能である。また、加熱/加圧した後、画像(粒子層20)が転写された記録媒体32を中間転写体12から剥離するときに、粒子層20が冷却された後に中間転写体12から剥離させるようにしてもよい。冷却方法は、自然冷却や空冷等の強制冷却などが考えられる。これらのプロセスに対しては、中間転写体12としてはベルト形状が望ましい。
【0092】
インク画像は中間転写体12上に形成された粒子18層の表層部に形成され(記録材(顔料)が粒子層20の表面にトラップされる)、記録媒体32に転写される事により、インク画像が粒子18の粒子層20により保護されるように形成されることがよい。
【0093】
粒子18層に受容/保持されたインク液体成分(溶媒や分散媒)は、転写定着後も粒子18層内に保持され、自然乾燥にて除去される。
【0094】
なお、本実施形態では、転写定着装置28として、加熱源を内蔵する加熱ロール28Aと対向する転写定着ロール28Bとで構成したが、ヒーター加熱方法、オーブン方式、電磁誘導加熱方式等も使用できる。
【0095】
ここで、上記実施形態で好適に適用する液体受容性粒子及びインクについて詳細に説明する。以下、符号は省略して説明する。
【0096】
<液体受容性粒子>
液体受容性粒子は、インクが当該粒子と接触したとき、インク成分を受容するものである。ここで、インク受容性とは、インク成分の少なくとも一部(少なくとも液体成分)を保持することを示す。そして、液体受容性粒子は、例えば、全単量体成分に対して極性基を持つ極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下の有機樹脂を少なくとも含んで構成されている。具体的には、液体受容性粒子は、例えば、上記有機樹脂を含んで構成される粒子(以下、親水性有機粒子と称する。)を有する構成が挙げられる(以下、この親水性有機粒子を含んで構成される粒子を「母粒子」と称する)。
【0097】
ここで、液体受容性粒子が親水性であるとは、全単量体成分に対する極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下の有機樹脂を少なくとも含むことを意味する。この液体受容性粒子は疎水性に比べ粘着性が高い性質をもつ。
【0098】
液体受容性粒子は、母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態でもよいし、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態であってもよい。
【0099】
ここで、母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態の場合、液体受容性粒子がインクを受容する際、インクが液体受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分を親水性有機粒子によってインク液体成分が吸液される。
【0100】
このようにして、液体受容性粒子はインクを受容する。そして、インクを受容した液体受容性粒子を記録媒体に転写することで、記録が行われる。
【0101】
他方、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態の場合、液体受容性粒子がインクを受容する際、まず、インクが液体受容性粒子に付着すると、少なくともインクの液体成分を複合体粒子を構成する粒子(少なくとも親水性有機粒子)間の空隙(以下、粒子間空隙をトラップ構造と称する場合がある)により捕獲(トラップ)する。このとき、インクの成分のうち記録材は、液体受容性粒子表面に付着又はトラップ構造により捕獲(トラップ)される。このようにして、液体受容性粒子はインクを受容する。そして、インクを受容した液体受容性粒子を記録媒体に転写することで、記録が行われる。
【0102】
このトラップ構造によるインク液体成分の捕獲(トラップ)は、粒子間の空隙(物理的な粒子壁構造)による物理的及び/又は化学的な捕獲である。
【0103】
そして、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態を適用することで、当該複合体粒子を構成する粒子間の空隙(物理的な粒子壁構造)による捕獲(トラップ)に加え、親水性有機粒子によってインク液体成分が吸液・保持される。
【0104】
また、親水性有機粒子によってもインク液体成分が吸収、保持される。
【0105】
また、液体受容性粒子の転写後、液体受容性粒子を構成する親水性有機粒子の成分は、インクに含まれる記録材の結着樹脂や被覆樹脂としても機能する。さらに、液体受容性粒子が複合体粒子の場合、そのトラップ構造に記録材をトラップする。特に、液体受容性粒子を構成する親水性有機粒子の成分として、透明樹脂を適用することが望ましい。
【0106】
なお、記録材として顔料等の不溶成分、分散粒子状物を用いたインク(例えば顔料インク)の定着性(耐擦性)を改善するためにはインクに多量の樹脂添加が必要だが、インク(その処理液含む)中に多量のポリマーを添加すると、インク吐出手段のノズル目詰り等の信頼性が悪化してしまう。これに対し、上記構成では、液体受容性粒子を構成する有機樹脂成分が当該樹脂の機能を果たすことも可能である。
【0107】
ここで、「前記複合体粒子を構成する粒子間の空隙」、即ち「トラップ構造」は、少なくとも液体を捕獲し得る物理的な粒子壁構造である。そして、この空隙の大きさは、最大口径で、0.1μm以上5μm以下であることが望ましく、より望ましくは0.3μm以上1μm以下である。特に、空隙の大きさは、記録材、特に例えば体積平均粒径100nmの顔料をトラップし得る大きさであることがよい。なお、最大開口径が50nm未満の微細孔が存在してもよい。また、空隙や毛細管は粒子内部で通じていることがよい。
【0108】
この空隙の大きさは、次のようにして求める。粒子表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置に読み取り、2値化処理により空隙を検出し、空隙の大きさ、及び、分布を解析することで求めることが可能である。
【0109】
このように、トラップ構造は、インクの成分のうち液体成分のみならず、記録材もトラップすることがよい。インク液体成分と共に記録材、特に顔料をトラップ構造に捕獲(トラップ)させると、液体受容性粒子内部に記録材が偏在することなく保持・固定される。なお、インクの液体成分は、主にインク溶媒や分散媒(ビヒクル液体)である。
【0110】
以下、液体受容性粒子についてさらに詳細に説明する。液体受容性粒子は、上述のように母粒子を親水性有機粒子単独の粒子(一次粒子)で構成した形態であってもよく、母粒子を少なくとも親水性有機粒子が集合した複合体粒子で構成した形態あってもよい。そして、複合体粒子を構成する親水性有機粒子以外の粒子としては無機粒子や多孔質粒子などが挙げられる。無論、母粒子は複数の親水性有機粒子のみが集合した複合体粒子で構成してもよい。また、母粒子表面に付着させる粒子としては、疎水性有機粒子以外にも例えば無機粒子が挙げられる。
【0111】
液体受容性粒子の具体的な構成としては、例えば、図10に示すように、親水性有機粒子201A単独の粒子(一次粒子)で構成した母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有する液体受容性粒子200の形態が挙げられる。また、図11に示すように、親水性有機粒子201Aと無機粒子201Bとが複合化された複合体粒子の母粒子201と、母粒子201に付着された無機粒子202と、を有する液体受容性粒子210の形態も挙げられる。なお、この複合体粒子の母粒子は各粒子間の空隙により空隙構造が形成される。
【0112】
ここで、母粒子を複合体粒子で構成する場合、親水性有機粒子と他の粒子との質量比率(親水性有機粒子:他の粒子)は、例えば、他の粒子が無機粒子の場合、5:1乃至1:10の範囲であることが挙げられる。
【0113】
また、母粒子の粒径は、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。
【0114】
また、母粒子を複合体粒子で構成する場合、そのBET比表面積(N)が例えば1m/g以上750m/g以下の範囲であることが挙げられる。
【0115】
そして、母粒子を複合体粒子で構成する場合、複合体粒子は、例えば、粒子が半焼結状態で造粒されることで得られる。半焼結状態とは、粒子形状がある程度の残っており、当該粒子間で空隙を保持している状態を示す。なお、複合体粒子は、トラップ構造にインク液体成分がトラップされたとき、粒子の少なくとも一部が解離する、即ち複合体粒子が解体され、これを構成する粒子がばらけてもよい。
【0116】
次に、親水性有機粒子について説明する。親水性有機粒子は、例えば、全単量体成分に対する極性単量体の比率が10mol%以上90mol%以下であり、望ましくは15mol%以上85mol%以下であり、さらに望ましくは30mol%以上80mol%以下である有機樹脂を含んで構成されている。具体的には、親水性有機粒子は、上記極性単量体の比率の有機樹脂(以下、吸水性樹脂と称する)を含んで構成されることがよい。
【0117】
ここで、極性単量体とは、極性基としてエチレンオキサイド基、カルボン酸、スルホン酸、置換若しくは未置換のアミノ基、水酸基、アンモニウム基及びこれらの塩を含む単量体である。例えば、正帯電性付与の場合、例えば(置換)アミノ基、アンモニウム基、(置換)ピリジン基やそのアミン塩、4級アンモニウム塩等の造塩化構造の単量体であることが望ましい。負帯電付与の場合、カルボン酸(塩)、スルホン酸(塩)等の有機酸(塩)構造の単量体であることが望ましい。
【0118】
なお、極性単量体の比率は、次のようにして求める。まず質量分析、NMR,IRなどの分析手法から有機成分の構成を特定する。その後、JIS K0070又はJIS K2501に準拠して、有機成分の酸価、塩基価を測定する。有機成分の構成、及び、酸価/塩基価から極性単量体の比率を計算で求めることができる。以下同様である。
【0119】
親水性有機粒子は例えば吸液性樹脂で構成される。吸液したインク液体成分(例えば水、水性溶媒)が樹脂(ポリマー)の可塑剤として作用するため、軟化して定着性に寄与することが可能である
吸液性樹脂は弱吸液性樹脂であることが好適である。この弱吸液性樹脂とは、例えば液体として水を吸収する場合、樹脂質量に対して数%(≒5%)から数百%(≒500%)、望ましくは5%以上150%以下程度の吸液が可能な親液性樹脂を意味する。
【0120】
吸液性樹脂は、例えば、親水性単量体の単独重合体、或いは親水性単量体と疎水性単量体との両単量体から構成された共重合体で構成することができるが、弱吸水性樹脂とするためには当該共重合体が望ましい。なお、単量体だけでなく、ポリマー/オリゴマー構造などのユニットをスタートに他のユニットを共重合させるグラフト共重合体やブロック共重合体でもよい。
【0121】
ここで、親水性単量体としては、−OH、−EOユニット(エチレンオキサイド基)、−COOM(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等である。)、−SOM(Mは例えば水素、Na、Li、K等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン類等)、−NR(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等である。)、−NRX(Rは例えば、H、アルキル、フェニル等であり、Xは例えば、ハロゲン、硫酸根、カルボン酸等の酸アニオン類、BF、等々である。)等を含む単量体が挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、不飽和カルボン酸、クロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。また、親水性ユニットもしくは単量体としては、セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、でんぷん誘導体、単糖類・多糖類誘導体、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、等の重合性カルボン酸類やこれらの(部分)中和塩類、ビニルアルコール類、ビニルピロリドン、ビニルピリジンやアミノ(メタ)アクリレート及びジメチルアミノ(メタ)アクリレートの如き誘導体、更にはこれらのオニウム塩類、アクリルアミドやイソプロピルアクリルアミド等のアミド類、ポリエチレンオキサイド鎖含有ビニル化合物類、水酸基含有ビニル化合物類、多官能カルボン酸と多価アルコールから構成されるポリエステル類、特にトリメリット酸の如き3官能以上の酸を構成成分として含有し末端カルボン酸や水酸基を多く含む分岐ポリエステル、ポリエチレングリコール構造を含むポリエステル、等も挙げられる。
【0122】
疎水性単量体としては、疎水性基を有する単量体が挙げられ、具体的には、例えばオレフィン(エチレン、ブタジエン等)、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。疎水性ユニットもしくは単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等、及びこれらの誘導体も挙げられる。
【0123】
この親水性単量体と疎水性単量体との共重合体である吸液性樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン/(メタ)アクリル酸/(無水)マレイン酸類共重合体、エチレン/プロピレン等のオレフィン系ポリマー(又はこの変性体、又は共重合によるカルボン酸ユニット導入物)、トリメリット酸等で酸価を向上した分岐ポリエステル、ポリアミド等が好適に挙げられる。
【0124】
吸液性樹脂には、例えば、中和塩構造(例えばカルボン酸など)を含むことが挙げられる。このカルボン酸などの中和塩構造は、カチオン(例えばNa,Li等の一価金属カチオン等)を含むインクを吸液したとき、当該カチオンとの相互作用で、アイオノマーを形成する。
【0125】
吸液性樹脂には、置換或いは未置換アミノ基や、置換或いは未置換ピリジン基を含むことも望ましい。当該基は、殺菌効果や、アニオン基を有する記録材(例えば顔料や染料)との相互作用を及ぼす。
【0126】
ここで、吸液性樹脂において、親水性ユニット(親水性単量体)と疎水性ユニット(親水性単量体)とのモル比(親水性単量体:疎水性単量体)は、例えば5:95乃至70:30が挙げられる。
【0127】
また、吸収性樹脂は、インクから供給されるイオンによりイオン架橋してもよい。具体的には、吸水性樹脂中が(メタ)アクリル酸やマレイン酸等のカルボン酸を含む共重合体やカルボン酸を有する(分岐)ポリエステル等、樹脂中にカルボン酸を含むユニットを存在させることができる。樹脂中のカルボン酸と水性インク等の液体から供給されるアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、有機アミン・オニウムカチオン等とでイオン架橋や酸・塩基相互作用等が生じる。
【0128】
吸液性樹脂及び疎水性有機粒子を構成する非吸液性樹脂(以下、まとめて有機樹脂と称する)の共通の特性について説明する。
【0129】
吸液性樹脂は、直鎖構造でもよいが、分嵯構造がよい。また、吸液性樹脂は、非架橋もしくは低架橋であることが望ましい。また、吸液性樹脂は直鎖構造のランダム共重合体やブロック共重合体でもよいが、分岐構造の重合体(分岐構造のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含む)が更に好適に使用できる。例えば、重縮合で合成されるポリエステルの場合、分岐構造で末端基を増加させることができる。この分岐構造は、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート類等のいわゆる架橋剤を合成時に添加したり(例えば1%未満の添加)、架橋剤と共に開始剤を多量添加することで合成することが一般的な手法の一つである。
【0130】
吸液性樹脂には、更には低分子の4級アンモニウム塩類や有機ホウ酸塩類、サリチル酸誘導体の造塩化合物類等、電子写真トナー用帯電制御剤を吸液性樹脂に添加してもよい。導電性の制御は酸化スズや酸化チタン等の導電性(ここで、導電性とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。以下、他も特記がない限り同様である。)、半導電性(ここで、半導電性とは例えば体積抵抗率が10Ωcm以上1013Ωcm以下を意味する。以下、他も特記がない限り同様である。)の無機物質添加が有効である。
【0131】
吸液性樹脂は、非結晶樹脂であることがよく、そのガラス転移温度(Tg)は、例えば40℃以上90℃以下が挙げられる。ガラス転移温度は、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いることができる。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との融点を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0132】
吸液性樹脂の軟化温度は以下のように測定した。島津製作所(株)製フローテスターCFT500Cを用い、開始温度50℃〜max温度170℃、昇温速度3℃/min、予熱時間300sec、シリンダー圧力10kgf/cm2 、ダイL×D=1.0mm×1.0mmの条件で等速昇温した時の軟化状態を測定する。試料としては、吸液性樹脂を1〜3g精秤して用いる。プランジャー断面積は10cm2 とする。測定方法は、等速昇温するに従い、試料は徐々に加熱され流出がはじまる。さらに昇温すると溶融状態となった試料が大きく流出し、プランジャー降下が停止し、1回の測定を終了する。各温度における流出量を60〜150℃まで3℃きざみで測定し、見かけ粘度η’(Pa・s)を得る。この際、見かけ粘度η’(Pa・s)が1×104 Pa・sとなる温度を、吸液性樹脂の軟化温度と定義する。
【0133】
吸液性樹脂の重量平均分子量は、例えば3000以上30万以下が挙げられる。重量平均分子量は、以下の条件で行ったものである。例えば、GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6ml/min.、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0134】
吸液性樹脂の酸価は、例えばカルボン酸基(−COOH)換算で50mgKOH/g以上777mgKOH/g以下が挙げられる。このカルボン酸基(−COOH)換算での酸価の測定は次のように行った。
【0135】
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
【0136】
以上説明した吸液性樹脂は、いずれの形態であっても極性単量体の比率を上記範囲に制御して使用される。
【0137】
親水性有機粒子の粒径は、その一次粒子を母粒子とする場合、球換算平均粒径が例えば0.1μm以上50μm以下(望ましくは0.5μm以上25μm以下、より望ましくは1μm以上10μm以下)の範囲が挙げられる。一方、複合体粒子を構成する場合、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。
【0138】
親水性有機粒子の液体受容性粒子全体に対する比率は、例えば質量比で75%以上望ましくは85%以上であり、より望ましくは90%以上99%以下)の範囲が挙げられる。
【0139】
次に、親水性有機粒子と共に複合粒子を構成する無機粒子、及び母粒子に付着させる無機粒子について説明する。無機粒子としては、非多孔質粒子、多孔質粒子のいずれも使用することができる。無機粒子としては、無色、淡色或いは白色の粒子(例えば、コロイダル・シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等)が挙げられる。これら無機粒子は、表面処理(部分疎水化処理、特定官能基導入処理等)を施されてもよい。例えば、シリカの場合には、シリカの水酸基をトリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシランなどのシリル化剤で処理してアルキル基を導入する。シリル化剤によって脱塩酸が生じ、反応が進む。この際、アミンを添加すると塩酸を塩酸塩にして反応を促進することもできる。疎水性基としてアルキル基やフェニル基を有するシランカップリング剤やチタネート系、ジルコネート系等のカップリング剤の処理量や処理条件を制御することでコントロールできる。また、脂肪族アルコール類や高級脂肪酸及び同誘導体類での表面処理も可能である。また、(置換)アミノ基や四級アンモニウム塩構造を有するシランカップリング剤等のカチオン性官能基を有するカップリング剤類、フルオロシランの様なフッ素系官能基を有するカップリング剤、その他カルボン酸等のアニオン性官能基を有するカップリング剤類での表面処理も可能である。なお、これらの無機粒子は、親水性有機粒子内部に含まれる、所謂内添されていてもよい。
【0140】
また、複合体粒子を構成する無機粒子の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上30μm以下(望ましくは50nm以上10μm以下、より望ましくは0.1μm以上5μm以下)の範囲が挙げられる。一方、母粒子に付着させる無機粒子の粒径は、例えば球換算平均粒径で10nm以上1μm以下(望ましくは10nm以上0.1μm以下、より望ましくは10nm以上0.05μm以下)の範囲が挙げられる。
【0141】
次に、液体受容性粒子のその他添加剤について説明する。まず、液体受容性粒子には、インクの成分を凝集又は増粘させる成分を含むことが望ましい。
【0142】
この機能を有する成分は、上記吸液性樹脂粒子を構成する樹脂(樹脂吸水性樹脂)の官能基として含んでもよいし、化合物として含んでもよい。当該官能基としては、例えば、カルボン酸、多価金属カチオン、ポリアミン類等などが挙げられる。
【0143】
また、当該化合物としては、無機電解質、有機酸、無機酸、有機アミンなどの凝集剤が好適に挙げられる。
【0144】
無機電解質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、及び、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
【0145】
具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、蓚酸カリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム等のアルカリ金属類の塩、及び、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
【0146】
有機酸としては、具体的にはアルギニン酸、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、システイン、シュウ酸、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、マロン酸、リシン、リンゴ酸、及び、一般式(1)で表される化合物、これら化合物の誘導体などが挙げられる。
【0147】
【化1】


ここで、式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、又はSOを表す。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。Rはアルキル基を表し、Rとして望ましくは、CH,C、COHである。なお、Rは式中に含んでいてもよいし、含んでいなくても構わない。Xとして望ましくは、CO、NH、NR,Oであり、より望ましくは、CO、NH、Oである。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。Mとして望ましくは、H、Li、Na、K、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等であり、より望ましくは、H、Na,Kであり、更に望ましくは、水素原子である。nは、3以上7以下の整数である。nとして望ましくは、複素環が6員環又は5員環となる場合であり、より望ましくは、5員環の場合である。mは、1又は2である。一般式(1)で表される化合物は、複素環であれば、飽和環であっても不飽和環であってもよい。lは、1以上5以下の整数である。
【0148】
一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。具体的には、2−ピロリドン−5−カルボン酸、4−メチル−4−ペンタノリド−3−カルボン酸、フランカルボン酸、2−ベンゾフランカルボン酸、5−メチル−2−フランカルボン酸、2,5−ジメチル−3−フランカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、4−ブタノリド−3−カルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、2−ピロン−6−カルボン酸、4−ピロン−2−カルボン酸、5−ヒドロキシ−4−ピロン−5−カルボン酸、4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、3−ヒドロキシ−4−ピロン−2,6−ジカルボン酸、チオフェンカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、2,3−ジメチルピロール−4−カルボン酸、2,4,5−トリメチルピロール−3−プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、2,5−ジオキソ−4−メチル−3−ピロリン−3−プロピオン酸、2−ピロリジンカルボン酸、4−ヒドロキシプロリン、1−メチルピロリジン−2−カルボン酸、5−カルボキシ−1−メチルピロリジン−2−酢酸、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンペンタカルボン酸、1,2,5,6−テトラヒドロ−1−メチルニコチン酸、2−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸等の化合物が挙げられる。
【0149】
有機酸としては、望ましくは、クエン酸、グリシン、グルタミン酸、コハク酸、酒石酸、フタル酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。より望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩である。さらに望ましくは、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくは、これらの化合物誘導体、又は、これらの塩である。
【0150】
有機アミン化合物としては、1級、2級、3級及び4級アミン及びそれらの塩のいずれであっても構わない。具体例としては、テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミン、ベンザルコニウム、アルキルピリジウム、イミダゾリウム、ポリアミン、及び、それらの誘導体、又は、塩等が挙げられる。具体的には、アミルアミン、ブチルアミン、プロパノールアミン、プロピルアミン、エタノールアミン、エチルエタノールアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチルメチルアミン、エチルベンジルアミン、エチレンジアミン、オクチルアミン、オレイルアミン、シクロオクチルアミン、シクロブチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジエチレントリアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジプロピルアミン、ジヘキシルアミン、ジペンチルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルエチレンジアミン、ジメチルオクチルアミン、1,3−ジメチルブチルアミン、ジメチル−1,3−プロパンジアミン、ジメチルヘキシルアミン、アミノ−ブタノール、アミノ−プロパノール、アミノ−プロパンジオール、N−アセチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチルアミン、セチルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソペンチルアミン、トリエタノールアミン、トリオクチルアミン、トリチルアミン、ビス(2−アミノエチル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(2−エチルヘキシル)アミン、ビス(トリメチルシリル)アミン、ブチルアミン、ブチルイソプロピルアミン、プロパンジアミン、プロピルジアミン、ヘキシルアミン、ペンチルアミン、2−メチル−シクロヘキシルアミン、メチル−プロピルアミン、メチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ラウリルアミン、ノニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレシジアミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムク口ライド、ステアラミドメチルビリジウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン重合体、モノアリルアミン重合体等が挙げられる。
【0151】
より望ましくは、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、エタノールアミン、プロパンジアミン、プロピルアミンなどが使用される。
【0152】
これら凝集剤の中でも、多価金属塩(Ca(NO)、Mg(NO)、Al(OH)、ポリ塩化アルミニウム等)が好適に用いられる。
【0153】
凝集剤は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、凝集剤の含有量としては、0.01質量%以上30質量%以下であることが望ましい。より望ましくは、0.1質量%以上15質量%以下であり、更に望ましくは、1質量%以上15質量%以下である。
【0154】
液体受容性粒子には、離型剤が含まれていることがよい。離型剤は、上記吸液性樹脂に含ませてもよいし、親水性有機樹脂粒子と共に離型剤の粒子を複合化して含ませてもよい。
【0155】
この離型剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などが挙げられる。これらの中でも結晶性化合物を適用することがよい。
【0156】
<インク>
実施形態で適用されるインクは水性インクが使用される。水性インク(以下、単にインクと称する)は、記録材に加え、インク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒)を含んでいる。また、必要に応じて、その他、添加剤を含んでいてもよい。
【0157】
まず、記録材について説明する。記録材としては、主に色材が挙げられる。色材としては、染料、顔料のいずれも用いることができるが、顔料であることがよい。顔料としては有機顔料、無機顔料のいずれも使用でき、黒色顔料ではファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられる。黒色とシアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用してもよい。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0158】
また、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等を顔料として使用することも可能である。
【0159】
黒色顔料の具体例としては、Raven7000,Raven5750,Raven5250,Raven5000 ULTRAII,Raven 3500,Raven2000,Raven1500,Raven1250,Raven1200,Raven1190 ULTRAII,Raven1170,Raven1255,Raven1080,Raven1060(以上コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R,Regal330R,Regal660R,Mogul L,Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch 900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black 18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex35,Printex U,Printex V,Printex140U,Printex140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25,No.33,No.40,No.47,No.52,No.900,No.2300,MCF−88,MA600,MA7,MA8,MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
シアン色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Blue−1,−2,−3,−15,−15:1,−15:2,−15:3,−15:4,−16,−22,−60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
マゼンタ色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red−5,−7,−12,−48,−48:1,−57,−112,−122,−123,−146,−168,−177,−184,−202, C.I.Pigment Violet −19等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
黄色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Yellow−1,−2,−3,−12,−13,−14,−16,−17,−73,−74,−75,−83,−93,−95,−97,−98,−114,−128,−129,−138,−151,−154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
ここで、色材として顔料を使用した場合には、併せて顔料分散剤を用いることが望ましい。使用可能な顔料分散剤としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0164】
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体が好適に用いられる。親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体としては、縮合系重合体と付加重合体とが使用できる。縮合系重合体としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体としては、α,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体を組み合わせて共重合することにより目的の高分子分散剤が得られる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体の単独重合体も用いることができる。
【0165】
親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、りん酸基等を有する単量体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【0166】
疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0167】
高分子分散剤として用いられる、望ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有する単量体を共重合させてもよい。
【0168】
上記高分子分散剤としては、例えば重量平均分子量で2000以上50000以下のものが挙げられる。
【0169】
これら顔料分散剤は、単独で用いても、二種類以上を併用しても構わない。顔料分散剤の添加量は、顔料により大きく異なるため一概には言えないが、一般に顔料に対し、合計で0.1質量%以上100質量%以下が挙げられる。
【0170】
色材として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
【0171】
また、水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、Cabot260、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
【0172】
自己分散顔料としては、その表面に官能基として少なくともスルホン酸、スルホン酸塩、カルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料であることが望ましい。より望ましくは、表面に官能基として少なくともカルボン酸、又はカルボン酸塩を有する顔料である。
【0173】
更に、樹脂により被覆された顔料等を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のマイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等を使用することもできる。
【0174】
また、高分子物質を上記顔料に物理的に吸着又は化学的に結合させた樹脂分散型顔料を用いることもできる。
【0175】
記録材としては、その他、親水性のアニオン染料、直接染料、カチオン染料、反応性染料、高分子染料等や油溶性染料等の染料類、染料で着色したワックス粉・樹脂粉類やエマルション類、蛍光染料や蛍光顔料、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フェライトやマグネタイトに代表される強磁性体等の磁性体類、酸化チタン、酸化亜鉛に代表される半導体や光触媒類、その他有機、無機の電子材料粒子類などが挙げられる。
【0176】
記録材の含有量(濃度)は、例えばインクに対して5質量%以上30質量%以下が挙げられる。
【0177】
記録材の体積平均粒径は、例えば10nm以上1000nm以下であることが挙げられる。
【0178】
記録材の体積平均粒径とは、記録材そのものの粒径、又は記録材に分散剤等の添加物が付着している場合には、添加物が付着した粒径をいう。体積平均粒径の測定装置には、マイクロトラックUPA粒度分析計 9340 ( Leeds&Northrup社製 )を用いた。その測定は、インク4mlを測定セルに入れ、所定の測定法に従って行った。なお、測定時の入力値として、粘度にはインクの粘度を、分散粒子の密度は記録材の密度とした。
【0179】
次に、水溶性有機溶媒について説明する。水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が使用される。
【0180】
水溶性有機溶媒の具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2−へキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトールなどの糖アルコール類、キシロース、グルコース、ガラクトースなどの糖類等が挙げられる。
【0181】
多価アルコール類誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0182】
含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
【0183】
含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0184】
水溶性有機溶媒としては、その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
【0185】
水溶性有機溶媒は、少なくとも1種類以上使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、例えば1質量%以上70質量%以下が挙げられる。
【0186】
次に、水について説明する。水としては、特に不純物が混入することを防止するため、イオン交換水、超純水、蒸留水、限外濾過水を使用することが望ましい。
【0187】
次に、その他の添加剤について説明する。インクには、界面活性剤を添加することができる。
【0188】
これら界面活性剤の種類としては、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、望ましくは、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が用いられる。
【0189】
以下、界面活性剤の具体例を列挙する。
【0190】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等が使用でき、望ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等が用いられる。
【0191】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物等が挙げられ、望ましくは、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、アセチレングリコール、アセチレングリコールのポリオキシエチレン付加物が用いられる。
【0192】
その他、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤や、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0193】
これらの界面活性剤は単独で使用しても混合して使用してもよい。また界面活性剤の親水性/疎水性バランス(HLB)は、溶解性等を考慮すると3以上20以下の範囲であることが望ましい。
【0194】
これらの界面活性剤の添加量は、0.001質量%以上5質量%以下が望ましく、0.01質量%以上3質量%以下が特に望ましい。
【0195】
また、インクには、その他、浸透性を調整する目的で浸透剤、インク吐出性改善等の特性制御を目的でポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等や、導電率、pHを調整するために水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属類の化合物等、その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、及びキレート化剤等も添加することができる。
【0196】
次に、インクの好適な特性について説明する。まず、インクの表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが挙げられる。
【0197】
ここで、表面張力としては、ウイルヘルミー型表面張力計(協和界面科学株式会社製)を用い、23℃、55%RHの環境において測定した値を採用した。
【0198】
インクの粘度は、1.5mPa・s以上30mPa・s以下であることが挙げられる。
【0199】
ここで、粘度としては、レオマット115(Contraves製)を測定装置として用いて、測定温度は23℃、せん断速度は1400s−1の条件で測定した値を採用した。
【0200】
なお、インクは、上記構成に限定されるものではない。記録材以外に、例えば、液晶材料、電子材料など機能性材料を含むものであってもよい。
【0201】
(作用・効果)
以下、本実施形態に係る画像形成装置の作用について説明する。
【0202】
インク受容性の粒子18を用いたプロセスにおいて、中間転写体12上の粒子層20の形成の状態によって画質が左右される。静電プロセスを用いて層形成を行った場合、粒子18が低帯電性であるため付着力は小さくなる傾向があるが、このように中間転写体12或いは隣り合う粒子18との付着力が小さい粒子18は、搬送中に中間転写体12上から離脱したり、画像形成時に、図12(A)に示すように、インクジェット記録ヘッド26のインク滴26Aの、着弾時の運動エネルギー、浸透の毛管力、表面張力等によって該粒子18が移動し、中間転写体12上から離脱したりする。
【0203】
これにより、図12(B)に示すように、浮遊粒子54が発生し、機内汚染、または浮遊粒子54のインクジェット記録ヘッド26のノズル面への付着が生じ、インク滴26Aの吐出不良や噴射特性の信頼性が低下し、結果画質が低下する。
【0204】
つまり、形成された画像において、高画質、高吸収(高速化)を得るためには、中間転写体12上の粒子18の固定力を向上させることができればよい。
【0205】
このため、図1及び図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10では、中間転写体12の表面及び裏面に対面するようにしてマイクロ波照射装置22、24を設け、粒子供給装置16によって中間転写体12の表面に形成されたインク受容性の粒子層20を、該マイクロ波照射装置22、24によって加熱することで、粒子18の表面を軟化(あるいは溶融)させ、粒子18間で粘着力を発生させるようにしている。
【0206】
これにより、粒子間の結合力を大きくして、粒子層20中での余分な空隙を埋めると共に、さらに粒子18の個々の粒子を変形させて粒子間空隙を微細化し、粒子層中の粒子密度を増加させる。また、粒子18を複合体粒子で構成すると、その複合体粒子が解体し個々の粒子がばらけて、粒子層中での余分な空隙が粒子層20で埋まるため、より粒子層中の粒子密度が増加する。
【0207】
このように、粒子層中の粒子密度が増加し、粒子間空隙が微細化されると、粒子間の空隙による吸液力(即ち毛細管力)が上昇すると共に、粒子間の空隙によるインクの保持性が向上する(高吸収化)。また、粒子間の結合力を大きくすることで、中間転写体12上の粒子18の移動或いは飛散を抑制し、粒子18の中間転写体12上からの離脱を防ぐ。
【0208】
ここで、マイクロ波照射装置22、24によって粒子18に与える温度は、粒子18のガラス転移温度以上軟化温度以下となるようにしている。ガラス転移温度以上の熱を該粒子18に与えることで、粒子18の粘着力を発生させ粒子間の結合力を大きくすることができる。また、粒子18の軟化温度以下とするのは、粒子間の空隙保持のためであり、粒子18が液化して粒子層20の表面が造膜するのを防止する。
【0209】
なお、本実施形態では、粒子供給装置16に設けた帯電ブレード16Bによって、供給ロール16Aの表面に供給する粒子18の層厚を規制して、粒子層20を形成させるようにしたが、図13に示すように、粒子供給装置16の下流側に、圧力付与装置56として押圧ロール58を配設し、中間転写体12上に形成された粒子層20に対し、その表面側から圧力を付与してもよい。
【0210】
これにより、粒子層中の粒子密度をさらに増加させ、粒子間空隙をさらに微細化させることができる。また、粒子層20の厚み又は吸液力のばらつきが抑制され(粒子層20表面の凹凸が平坦化され)、画質のムラの低減、光沢ムラが向上されると共に、当該層中の粒子間の空隙の大きさのばらつきも抑制されて、インクが付与された領域でインクが留まりやすくなり、インクの広がりが抑制される。
【0211】
ここで、この押圧ロール58は、例えば、粒子供給装置16とマイクロ波照射装置22との間に、回転可能に支持されると共に、中間転写体12の表面に対して垂直方向に移動可能に配設される。このため、押圧ロール58は、粒子層20の層厚方向に所定の圧力が付与されるように、バネ部材などによって支持・固定される。そして、中間転写体12上に供給された粒子層20が、押圧ロール58と中間転写体12の間に搬送されると、押圧ロール58が回転しつつ、その自重により粒子層20を表面側から押圧する。
【0212】
また、押圧ロール58には、その粒子層20と接する表面が粒子18の帯電極性と同極性で帯電されるように、電圧を印加する。具体的には、粒子18が負極性に帯電されているときは、押圧ロール58は負極性に帯電され、粒子18が正極性に帯電されているときは、押圧ロール58は正極性に帯電される。
【0213】
このように、押圧ロール58を帯電させると、押圧ロール58が粒子層20へ圧力を付与するため接触したとき、押圧ロール58の表面と粒子18とが静電的に反発作用が働くため、該押圧ロール58表面には粒子18が付着し難くなる。
【0214】
ここで、押圧ロール58は、例えば、金属ロールや、金属シャフトに弾性層を形成した弾性ロールが適用される。金属ロールとしては、例えば、ステンレス、アルミ、鉄などで構成されたものが適用され得る。弾性ロールの場合、金属シャフトとしては、同様に、例えば、ステンレス、アルミ、鉄などで構成されたものが適用され得る。
【0215】
一方、弾性層としては、樹脂材料や、ゴム材料が適用され得る。また、弾性層には、発泡材料が適用されていてもよいし、導電剤などを含ませ導電性を付与してもよい。また、押圧ロール58の表面には、固体潤滑剤などでコーティングすることも好適に行われる。
【0216】
ここで、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、スチレンブタジエン樹脂などが挙げられる。
【0217】
また、ゴム材料としては、例えば、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR(スチレン−ブタジエン共重合ゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合ゴム)、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、エポキシゴム等が挙げられる。
【0218】
さらに、導電剤としては、導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げられる。また、イオン導電剤としては、例えば、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げられる。
【0219】
固体潤滑剤としては、PFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂;二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ヨウ化カドミウム、ヨウ化鉛、二セレン化モリブデン、グラファイト、フッ化グラファイト、フタロシアニン等の層状物質などが挙げられる。
【0220】
なお、圧力付与装置56としては、ロール形状に限られず、ブレード形状、ベルト形状であってもよい。この形態の場合でも、例えば、上記樹脂材料やゴム材料によって各形状の部材を構成することができる。
【0221】
また、ここでは、押圧ロール58によって粒子層20に圧力を付与することで、粒子層20の厚みのばらつきを抑制すると共に粒子層中の粒子密度を増加させたが、粒子層20の層厚の均一化を図ることができればよいため、これに限るものではない。
【0222】
例えば、図14に示すように、圧力付与装置56に代えて、振動付与装置60を用いても良い。この振動付与装置60としては、例えば、筐体から超音波が発生する超音波振動子を内蔵した装置が適用されている。超音波振動子としては、ピエゾ素子(例えば、ジルコン酸チタン酸鉛:PZTなど)などが挙げられる。
【0223】
振動付与装置60は、中間転写体12の表面と対面し、中間転写体12上の粒子層20と非接触となるように設けてもよいし、接触するように設けてもよい。また、中間転写体12の裏面と対面するように振動付与装置60を設け、該中間転写体12に非接触或いは接触するように配置してもよい。本実施形態では、中間転写体12の表面と対面するように振動付与装置60を設け、粒子層20と非接触となるようにしている。
【0224】
振動付与装置60は、中間転写体12上に供給された粒子層20が、中間転写体12の回転に伴って当該振動付与装置60の下に搬送されてくると、超音波によって粒子層20に振動が付与される。粒子層20は、振動が付与されると、粒子層中の粒子も振動し余分な空隙が粒子層20で埋められ、粒子間空隙が微細化され、粒子層中の粒子密度が増加される。
【0225】
また、振動付与装置60によって振動が付与されることで、粒子層20の厚みのばらつきが抑制され、画質のムラの低減、光沢ムラが向上されると共に、当該層中の粒子間の空隙の大きさのばらつきが抑制されて、インクが付与された領域でインクが留まりやすくなり、インクの広がりが抑制される。
【0226】
ここで、振動付与装置60による振動周波数は、2kHz以上100kHz以下の範囲が望ましく、より望ましくは、5kHz以上50kHz以下、さらに望ましくは10kHz以下40kHz以下である。
【0227】
また、振動付与装置60も圧力付与装置56同様、粒子層20と接する表面が粒子18の帯電極性と同極性で帯電されるように、電圧が印加されている。具体的には、粒子18が負極性に帯電されているときは、振動付与装置60は負極性に帯電され、粒子18が正極性に帯電されているときは、振動付与装置60は正極性に帯電される。
【0228】
なお、振動付与装置60としては、筐体に超音波振動子を内蔵した装置に限られず、偏芯回転部材(例えば、偏芯カムなど)などのタッピング部材を適用してもよい。このタッピング部材は、粒子層20に接触するように中間転写体12上に対向して設け、直接振動を付与する。また、タッピング部材を中間転写体12の裏面側に設ける場合、中間転写体12の裏面と接触するようにタッピング部材を設けて、中間転写体12を振動させ、この振動により粒子層20へ振動を付与する。さらに、圧力と振動との双方を付与する圧力・振動付与装置を用いても良い。
【0229】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、第1の実施形態に係る画像形成装置と略同一の内容については説明を省略する。
【0230】
第1の実施形態では、中間転写体12上の粒子18の固定力を向上させるため、図1に示すように、加熱装置としてのマイクロ波照射装置22、24を用いたが、第2の実施形態では、図15及び図16に示すように、粒子供給装置16の下流側に、中間転写体12の表面と対面するように、液体供給手段としての超音波ミスト発生装置62を配設し、ミスト状、あるいは液滴の状態で、粒子層20へ液体を均一に散布する。
【0231】
これにより、隣り合う粒子同士(あるいは中間転写体12と粒子18)が液架橋(あるいは粘着力)で結合して中間転写体12上の粒子18の離脱を抑制する。
【0232】
ここで、液体は画質(色)に影響を与えない、無色透明、淡色であることが望ましく、粒子間にぬれ広がりやすい液体であることが必要となる。このため、この液体は、インクよりも表面張力が低く、表面張力が50mN/m以下、より好ましくは30mN/m以下のものがよい。
【0233】
具体的には、界面活性剤、インク溶媒、アルカリ性液体であり、液体はインクと相溶性のあるもの、実施の形態では水性インクを用いているため、水性の液体である。
【0234】
また、液体は粒子18との相溶性(溶解性)の有無にかかわらず用いることが可能であり、溶解する場合は、粒子18の表層を溶かして付着力を発生させるが、溶解しない場合でも、粒子18の表面にぬれ広がることで界面張力で付着力が発生する。
【0235】
超音波ミスト発生装置62では、粒径100nmのミスト状の大きさから10μmまでの液滴を用いることができるが、超音波ミスト発生装置62以外にも蒸気発生装置(加湿器)、スプレー、インクジェットヘッド等を用いることができる。
【0236】
インクジェットヘッドの場合、液滴の粒径が大きくなるが(5μm〜10μm)、正確な量を付与することができる。また、インクジェットヘッドの駆動は、ヘッド本来のドットとしての吐出でなくてもよいため、複数滴が同時に噴射するスプラッシュ状態でも可能である。また、低表面張力の液体を用いて濡れ広がることを利用すれば、液体の間隔は画像解像度以下でも可能である。
【0237】
なお、ここでは、粒子供給装置16の下流側に、超音波ミスト発生装置62を配設し、粒子層20へ液体を散布するようにしたが、粒子層20の中間転写体12からの離脱を抑制することができればよいため、これに限るものではない。
【0238】
例えば、粒子供給装置16の上流側に超音波ミスト発生装置62を配設し、粒子供給装置16の上流側で中間転写体12に液体を付与するようにしてもよい。これにより、中間転写体12と粒子18が粘着力で結合して、中間転写体12上の粒子18の離脱を抑制する。
【0239】
また、この場合、液体供給手段として、非接触型の超音波ミスト発生装置62を用いても良いが、ここでは、中間転写体12上に粒子層20が形成されていないため、図17に示すように、接触型の液体供給装置64を用いることができる。この液体供給装置64には、例えば、ロールの他、ウェブ、ブレード、コーター等を用いることができ、これらの表面に液体を保持できるようにする(アニロックスロール、高分子多孔質ロール、不職布等)。
【0240】
ここで、液体塗布量は、粒子18のインク滴の吸液を阻害しない量にするため、膜厚換算で1nm〜10μmが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。また、液体は中間転写体12にぬれ広がりやすい液体(低表面張力)であることが必要である。
【0241】
さらに、図18に示すように、粒子供給装置16の上流側及び下流側に、それぞれ液体供給装置64と超音波ミスト発生装置62を配設し、粒子層20の上下に液体を付与するようにしてもよい。中間転写体12に液体供給をする場合、前述した帯電ロール14を用いて中間転写体12に電荷を与えても液体供給時に電荷が減衰してしまうのでここでは14を用いた帯電は困難である。そこで供給ロール16Aと中間転写体12との間に電界発生させて粒子を中間転写体12へと移動させる。そのために供給ロール16Aに液体受容性粒子と同極の電位を与える。この構成は前述した実施例でも適用可能である。
【0242】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、図19に示すように、圧力付与装置56を設けることで、液体による液膜を中間転写体12上で均一に形成することができ、中間転写体12上の粒子18の固定力を向上させるには、より効果的となる。なお、圧力付与装置56は、粒子供給装置16と超音波ミスト発生装置62の間に配置した方がよい。
【0243】
以上、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド26は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の画像データに基づいて選択的にインク滴26Aが吐出されてフルカラーの画像が記録媒体32に記録されるようになっているが、記録媒体上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、工業的に用いられる液滴吐出(噴射)装置全般に対して、本発明に係る装置を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す構成図である。
【図3】(A)、(B)は、第1実施形態に係る液体受容性粒子層を示す構成図である。
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第1変形例を示す構成図である。
【図5】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第2変形例を示す構成図である。
【図6】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第3変形例を示す構成図である。
【図7】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第4変形例を示す構成図である。
【図8】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第5変形例を示す構成図である。
【図9】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第6変形例を示す構成図である。
【図10】本実施形態に係る液体受容性粒子の一例を示す概念図である。
【図11】本実施形態に係る液体受容性粒子の他の一例を示す概念図である。
【図12】(A)、(B)は、液体受容性粒子の動作について説明する説明図である。
【図13】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第7変形例を示す構成図である。
【図14】第1実施形態に係る画像形成装置の主要部の第8変形例を示す構成図である。
【図15】第2実施形態に係る画像形成装置を示す構成図である。
【図16】第2実施形態に係る画像形成装置の主要部を示す構成図である。
【図17】第2実施形態に係る画像形成装置の主要部の第1変形例を示す構成図である。
【図18】第2実施形態に係る画像形成装置の主要部の第2変形例を示す構成図である。
【図19】第2実施形態に係る画像形成装置の主要部の第3変形例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0245】
10 画像形成装置
12 中間転写体
16 粒子供給装置
18 液体受容性粒子
20 粒子層
22 マイクロ波照射装置(仮固定手段、熱付与手段)
26 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
28 転写定着装置
40 加熱装置(仮固定手段、熱付与手段)
42 加熱装置(仮固定手段、熱付与手段)
44 加熱・加圧ロール(仮固定手段、熱付与手段)
45 加熱ロール(仮固定手段、熱付与手段)
46 加圧ロール(圧力付与手段、層厚均一化手段)
48 加圧ロール(圧力付与手段、層厚均一化手段)
50 中間転写体(仮固定手段、熱付与手段)
56 圧力付与装置(圧力付与手段、層厚均一化手段)
58 押圧ロール(圧力付与手段、層厚均一化手段)
60 振動付与装置(振動付与手段、層厚均一化手段)
62 超音波ミスト発生装置(仮固定手段、熱付与手段)
64 液体供給装置(仮固定手段、熱付与手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体と、
前記中間転写体に、液体を受容する液体受容性粒子を供給する粒子供給手段と、
前記液体受容性粒子を前記中間転写体上に仮固定させる仮固定手段と、
前記中間転写体上に仮固定された液体受容性粒子に液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記仮固定手段が、液体受容性粒子に熱を付与する熱付与手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記熱付与手段は、前記液体受容性粒子のガラス転移温度以上軟化温度以下となるように該液体受容性粒子に熱を付与することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記熱付与手段が、前記中間転写体上の前記液体受容性粒子に直接熱を付与する第1熱付与装置であることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記熱付与手段が、前記中間転写体に熱を付与する第2熱付与装置であることを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記熱付与手段が、前記粒子供給手段と前記液滴吐出ヘッドの間に設けられたことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記仮固定手段が、前記中間転写体又は前記液体受容性粒子に液体を供給する液体供給手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記液体供給手段が、前記粒子供給手段と前記液滴吐出ヘッドの間に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記液体供給手段が、前記粒子供給手段の、前記中間転写体の搬送方向の上流側に設けられたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記中間転写体上に供給された前記液体受容性粒子で形成された粒子層の層厚を均一にする層厚均一化手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記層厚均一化手段が、前記粒子層に圧力を付与する圧力付与手段であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記層厚均一化手段が、前記粒子層に振動を付与する振動付与手段であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−73094(P2009−73094A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245403(P2007−245403)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】