説明

画像形成装置

【課題】 簡易な構成によって、後処理された用紙の収容可能枚数を倍増させることが可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】 画像形成システム10は、画像形成装置12、後処理装置16、および中継搬送ユニット14を備える。後処理装置16は、導入部176、後処理部165、排紙トレイ164、第1の排紙部170、第2の排紙部178、および搬送手段を備える。排紙トレイ164は、後処理部にて後処理された用紙を収容可能に構成される。第1の排紙部170は、後処理部によって後処理された用紙を排紙トレイに排出するように構成される。第2の排紙部178は、後処理部によって後処理された用紙を中継搬送ユニット14の下方に空間に配置された画像形成装置12の排紙トレイ130に排出するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置および後処理装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において所望の画像形成処理が施された用紙は、通常、排紙部を介して排紙トレイに排出されユーザによって回収される。
【0003】
ところが、近年では、画像形成処理が施された用紙に対して、さらに穿孔処理、オフセット処理、ステープル処理、およびサドルステープル処理等の後処理を施すように構成された画像形成装置が広く用いられるようになってきている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−320661号公報
【特許文献2】特開2008−280148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1および2を含む従来の後処理装置においては、後処理された用紙はすべて後処理装置に備え付けられた排紙トレイ上に排出されている。このため、後処理された用紙の排紙可能枚数を増加させるためには、後処理装置自身に収納能力が高い排紙トレイを配備する必要が生じる。つまり、後処理装置に配備された排紙トレイの強度を上げるか、または後処理装置に配備された排紙トレイを多段構成にする等の改良が必要となる。
【0006】
しかしながら、このような改良には多くのコストが必要となる。例えば、収容可能枚数を倍増させるためには排紙トレイの強度も倍増させる必要があるが、後処理装置に配備された排紙トレイの強度を倍増するのは困難であり、また、非常にコストがかかるという問題があった。後処理装置の排紙トレイを多段構成にする場合には、排紙経路を多段排紙トレイに適合するように変更するか、または排紙トレイを上昇または下降させるための構成を追加する必要が生じる。
【0007】
この発明の目的は、簡易な構成によって、後処理された用紙の収容可能枚数を倍増させることが可能な画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成システムは、画像形成装置、後処理装置、および中継搬送ユニットを備える。画像形成装置は、用紙に対して画像形成処理を行うように構成される。後処理装置は、画像形成装置によって画像形成処理された用紙に対して後処理を行うように構成される。中継搬送ユニットは、画像形成装置から後処理装置に用紙を搬送するように構成され、かつ、下方に用紙の排出が可能な空間が生じるように配置される。
【0009】
後処理装置は、導入部、後処理部、排紙トレイ、第1の排紙部、第2の排紙部、および搬送手段を備える。導入部は、中継搬送ユニットから搬送される用紙を受け入れるように構成される。後処理部は、導入部を介して導入された用紙に対して後処理を行うように構成される。後処理部の例として、穿孔処理を行う穿孔部やステープル処理を行うステープル部が挙げられる。
【0010】
排紙トレイは、後処理部にて後処理された用紙を収容可能に構成される。第1の排紙部は、後処理部によって後処理された用紙を排紙トレイに排出するように構成される。
【0011】
第2の排紙部は、後処理部によって後処理された用紙を中継搬送ユニットの下方に空間に排出するように構成される。中継搬送ユニットの下方に空間には、例えば、画像形成装置の排紙トレイが配置されることが好ましいが、このような構成に限定されることはない。例えば、中継搬送ユニットの下方に画像形成装置に対して外付けされる給紙ユニットを配置し、この給紙ユニットの筐体上に後処理された用紙を排出することも可能である。
【0012】
搬送手段は、後処理部によって後処理された用紙を前記第2の排紙部まで搬送するように構成される。搬送手段の構成例として、後処理された用紙を処理トレイから持ち上げて搬送路に戻し、その搬送路を経由して用紙を第2の排紙部に搬送する構成や、後処理された用紙を後処理部から第2の排紙部に搬送し、用紙と物理的干渉を生じる部材を用紙の搬送経路から退避させる構成等が挙げられる。
【0013】
上述の構成においては、後処理された用紙の排出先として画像形成装置側の排紙トレイ等を利用することが可能になるため、後処理装置側の排紙トレイを特段改良しなくても、後処理された用紙の収容可能枚数が倍増する。例えば、サドルステープルを行うために用紙を後処理装置内部に引き込む搬送路を有する後処理装置においては、この搬送路から分岐して第2の排紙部まで延設される別の搬送路と、この別の搬送路に用紙を選択的に案内する経路切り換え部材等を追加するだけで良くなる。
【0014】
このため、後処理装置側の排紙トレイの強度を倍増させたり、後処理装置側の排紙トレイに多段構成を採用したりするといった大規模の改良を行うことなく、後処理された用紙の収容可能枚数が倍増する。この結果、後処理された用紙の収容可能枚数の倍増に伴うコストアップを低く抑えることが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、簡易な構成によって、後処理された用紙の収容可能枚数を倍増させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システム10の概略を示している。図1に示すように、画像形成システム10は、画像形成装置12および後処理装置16を備えている。画像形成装置12および後処理装置16は、中継搬送ユニット14を介して接続されている。
【0017】
画像形成装置12は、画像読取部122、画像形成部124、および給紙部126を備えている。画像読取部122は、原稿が載置される原稿台、および原稿台に載置された原稿の画像を読み取り画像データを生成する光学系ユニット等を備えている。画像形成部124は、感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、および清掃装置等を備えており、用紙に対して電子写真方式の画像形成処理を行うように構成される。給紙部126は、複数の用紙カセットを備えており、指定された用紙カセットから画像形成部124に対して順次的に用紙を搬送するように構成される。
【0018】
画像形成部124にて画像形成処理された用紙は、第1の排紙部129を介して排紙トレイ130上に排紙されるか、または、第2の排紙部128および中継搬送ユニット14を介して後処理装置16に搬送される。ここでは、画像形成装置12が第1の排紙部129および第2の排紙部128を備える例を示しているが、排紙部が1つであっても本発明を実施することは可能である。
【0019】
図2は、後処理装置16の概略を示す図である。同図に示すように、後処理装置16は、後処理されるべき用紙を受け入れる導入部176、および後処理されて排出される用紙を収容する排紙トレイ164を備えており、導入部176および排紙トレイ164の間に第1の搬送路190が配設されている。第1の搬送路190に沿って穿孔ユニット166、第1のフラッパ180、搬送ローラ172、および第1の排紙部170が配置される。
【0020】
また、第1の搬送路190から分岐するように、用紙をサドルステープル部162に案内するための第2の搬送路192が配設される。第1の搬送路190の下流側の端部の下には、ステープル処理またはオフセット処理される用紙を載置するための処理トレイ165が配置される。処理トレイ165には、図示しない整合板、ステープル処理される用紙を整合爪等の位置決め部材に向って押し付けるための整合ローラ174、および処理トレイ165上の用紙の後端を再び第1の搬送路190に案内するための可動ガイド186が配置される。
【0021】
上述の穿孔ユニット166は、第1の搬送路190に導入された用紙に対して選択的に穿孔処理を行うように構成される。第1のフラッパ180は、第1の搬送路190から第2の搬送路192に用紙を選択的に導くように構成される。搬送ローラ172は、正逆両方向に用紙を搬送可能に構成されており、用紙を第1の搬送路190から処理トレイ165に搬送する機能、および用紙を第1の搬送路190から第2の搬送路192の下流側に搬送する機能を備える。
【0022】
第1の排紙部170は、選択的に接触または離間する1対のローラによって構成されている。第1の排紙部170も搬送ローラ172と同様に、正逆両方向に用紙を搬送可能に構成されている。
【0023】
第2の搬送路192に沿って第2のフラッパ182が配設される。第2のフラッパ182は、第2の搬送路192を搬送される用紙を選択的に第3の搬送路194に案内するように構成される。第3の搬送路194には、第2の排紙部178が配設される。第2の排紙部178は、導入部176と同一の側面における導入部176とは異なる高さの位置に設けられており、後処理された用紙を画像形成装置12に設けられた排紙トレイ130に排出するように構成される。
【0024】
後処理装置16では、画像形成装置12からの信号に基づいて、用紙に対して穿孔処理、ステープル処理、オフセット処理、またはサドルステープル処理を実行する。また、穿孔処理またはステープル処理が実行される場合には、後処理装置16は、画像形成装置12からの信号に基づいて、後処理された用紙を第1の排紙部170または第2の排紙部178のいずれかを介して排出する。
【0025】
続いて、図3〜図5を用いて後処理装置16における用紙の搬送手順の一例を説明する。後処理された用紙を排紙トレイ164に排出する手順は公知のものと同一であるため説明を省略し、ここではステープル処理された用紙を画像形成装置12の排紙トレイ130に排出する手順について説明する。
【0026】
図3(A)は、後処理されるべき用紙が導入部176を介して第1の搬送路190に導入されている状態を示している。第1の搬送路190上の用紙は、図3(B)に示すように、搬送ローラ172によって処理トレイ165の方に搬送される。そして、図3(C)に示すように用紙が処理トレイ165上に導入された後には、第1の排紙部170によって用紙がステープル部168の方に搬送される。
【0027】
続いて、図4(A)に示すように、用紙は整合ローラ174によってステープル部168の方に搬送され、図示しない整合爪に当接することによって用紙の後端が揃えられ、図示しない整合板によって整合処理が行われる。後処理装置16は、共にステープル処理されるべき後続の用紙についても図3(A)〜図3(C)および図4(A)で説明したものと同様の処理を行い、共にステープル処理されるべき用紙群のすべてが整合された後に、ステープル部168にステープル処理を実行させる。
【0028】
用紙群202に対するステープル処理がされた後には、図4(B)に示すように、用紙群は第1の排紙部170によって排紙トレイ164の方に搬送される。図4(B)において用紙郡202の後端が可動ガイド186の配置位置を越えたときに、可動ガイド186が上方に回動し、用紙群202の後端が上方に持ち上げられる。可動ガイド186を回動させる機構については、モータまたはソレノイド等の公知の機構を採用することが可能である。その後、図4(C)に示すように、用紙群202は第1の搬送路190に戻され、さらに第1のフラッパ180によって第2の搬送路192に案内される。
【0029】
続いて、図5(A)に示すように、用紙群202は第2のフラッパ182によって第3の搬送路194に案内される。そして、図5(B)に示すように、用紙群202は、第2の排紙部178によって画像形成装置12の排紙トレイ130に排出される。
【0030】
以上のように画像形成システム10では、後処理装置16に第2の排紙部178を設けたことによって画像形成装置12の排紙トレイ130にも用紙を排出することが可能になる。その結果、後処理された用紙の排紙態様のバリエーションを簡易に増加させることが可能になる。このため、後処理された用紙の仕分けが行い易くなるとともに、後処理された用紙の排紙可能枚数を倍増させることが可能になる。
【0031】
図6は、本発明の別の実施形態に係る画像形成システム100の概略を示している。画像形成システム100の基本的構成は上述の画像形成システム10と同様であるため、その説明を省略する。画像形成システム100では、処理トレイ165から第2の排紙部178まで用紙束202を搬送する構成が上述の画像形成システム10と異なっている。
【0032】
具体的には、画像形成システム100では、処理トレイ165から第2の排紙部178まで直接的に搬送するための第4の搬送路196が別途形成されている。また、第4の搬送路196から分岐するように、用紙200または用紙群202をサドルステープル部162に案内するための第5の搬送路198が配設されている。
【0033】
第4の搬送路196および第5の搬送路198の分岐部には、用紙200または用紙群202を選択的に第5の搬送路198に導くための第3のフラッパ185が配設されている。
【0034】
図8(A)は、用紙群202がステープル部168によってステープル処理された直後の状態を示している。このとき、ステープル部168は、用紙搬送方向に直交する幅方向に退避することによって、用紙束202が第4の搬送路196に案内される際に用紙束202との間で物理的干渉が発生しないようにする。また、整合時に用いる整合爪等の位置決め部材も、用紙束202の搬送経路から退避することによって、用紙束202との間で物理的干渉が生じるのが防止される。例えば、位置決め部材として、選択的に起き上がるように構成された整合爪や、昇降可能に支持された整合爪を用いると良い。
【0035】
用紙群202の搬送経路から物理的干渉を生じさせ得る部材が退避した後に、図8(B)に示すように、用紙群202は第4の搬送路196に進入し、第4の搬送路196上を第2の排紙部178の方に向って搬送される。そして、その後、図8(C)に示すように、第2の排紙部178を介して用紙束202が画像形成装置12の排紙トレイ130上に排出される。
【0036】
上述の画像形成システム10および100では、システムの省スペース化を図るために、画像読取部122および画像形成部124の間に形成された空間に排紙トレイ130を配置し、かつ、この空間に排紙トレイ130の上を越えるように中継搬送ユニット14を配置するように構成しているが、排紙トレイ130や中間搬送ユニット14の配置はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示す画像形成システム102のように、大容量給紙カセット18を画像形成装置120に外付けするような構成であれば、大容量給紙カセット18の上方を越えるように中継搬送ユニット14を配置し、第2の排紙部178から大容量給紙カセット18の上方の空間に用紙束を排出するようにすることも可能である。ただし、この場合、第2の排紙部178から排出された用紙束202を収容するためのトレイ179を後処理装置16の側面に配設しておくことが好ましい。
【0037】
以上の実施形態では、画像形成装置12の排紙トレイ130に搬送するための搬送路の一部をサドルステープル処理時に用いる第2の搬送路192によって構成しているが、本発明を実施するにあたって後処理装置16がサドルステープル部162を備えることは必須条件ではない。後処理装置16がサドルステープル部162を備えない場合には、第1の搬送路190から第2の排紙部178まで用紙を搬送するための搬送路を別途設計するようにすると良い。
【0038】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの概略を示す図である。
【図2】後処理装置の概略を示す図である。
【図3】後処理後の用紙を第2の排紙部まで搬送する手順を説明する図である。
【図4】後処理後の用紙を第2の排紙部まで搬送する手順を説明する図である。
【図5】後処理後の用紙を第2の排紙部まで搬送する手順を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る画像形成システムの概略を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る後処理装置の概略を示す図である。
【図8】後処理後の用紙を第2の排紙部まで搬送する手順を説明する図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る画像形成システムの概略を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10−画像形成システム
12−画像形成装置
14−中継搬送ユニット
16−後処理装置
170−第1の排紙部
172−搬送ローラ
178−第2の排紙部
186−可動ガイド
190−第1の搬送路
192−第2の搬送路
194−第3の搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して画像形成処理を行うように構成された画像形成装置と、
前記画像形成装置によって画像形成処理された用紙に対して後処理を行うように構成された後処理装置と、
前記画像形成装置から前記後処理装置に用紙を搬送するように構成され、かつ、下方に用紙の排出が可能な空間が生じるように配置された中継搬送ユニットと、
を備えた画像形成システムであって、
前記後処理装置は、
前記中継搬送ユニットから搬送される用紙を受け入れるための導入部と、
前記導入部を介して導入された用紙に対して後処理を行うように構成された後処理部と、
前記後処理部にて後処理された用紙を収容可能な排紙トレイと、
前記後処理部によって後処理された用紙を前記排紙トレイに排出するように構成された第1の排紙部と、
前記後処理部によって後処理された用紙を前記中継搬送ユニットの下方に空間に排出するように構成された第2の排紙部と、
前記後処理部によって後処理された用紙を前記第2の排紙部まで搬送するように構成された搬送手段と、
を備えた画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、画像形成処理された用紙が排出される排紙トレイを備えており、
前記中継搬送ユニットは、前記画像形成装置の前記排紙トレイの上方に配置されており、
後処理された用紙が前記第2の排紙部によって前記画像形成装置の前記排紙トレイの上に排出される請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、画像読取部および画像形成部を備えており、
前記画像読取部および前記画像形成部の間に空間が形成されるように、前記画像読取部および前記画像形成部が構成されており、
前記排紙トレイおよび前記中継搬送路が、前記画像読取部および前記画像形成部の間の空間に配置された請求項1または2に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−217423(P2010−217423A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63297(P2009−63297)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】