説明

画像形成装置

【課題】本発明は片面が白紙のページとなってしまう印刷状況下においては裏紙を利用することで、紙資源を有効的に利用することを可能とすることを目的とする。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、裏紙又は新紙を格納したことをトレイ毎に設定することが可能な多段トレイ機構部21〜25と、片面又は両面印刷を切り替え且つ裏紙又は新紙の使用を切り替えて印刷する印刷部15と、両面印刷のときに両面のうち片面が白紙となるか否かを判断する判断部10と、この判断部10により、両面印刷中に片面が白紙となると判断した場合、前記印刷部が裏紙による片面印刷に切り替えて印刷するように制御する制御部12とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば片面印刷済み用紙の印刷されていない面に対しても印刷を行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮から紙やトナー及び電力等の資源節減が望まれている。そこで、紙資源の節減に関して言えば、両面印刷やマルチページ印刷といった印刷手法が一般的に採られている。例えば、特許文献1では、設定情報によって両面印刷またはマルチページ印刷を指定することにより、印刷資源を節減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置では、両面印刷を指定した場合に片面が白紙となる端数ページが発生してしまう印刷状況が多々あり、紙の有効利用を徹底することができないといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、片面が白紙のページとなってしまう印刷状況下においては裏紙を利用することで、紙資源を有効的に利用することを可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。さらに、裏紙による片面印刷と新紙による両面印刷が1ジョブ中に混在する場合であっても、印刷結果の有効面に目印を印刷することにより、紙資源を有効利用しつつ、更にユーザ所望の画像が形成された面を明確に識別することを可能とする画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述技術的な課題を解決するため、本発明の第1の態様による画像形成装置は、裏紙又は新紙を格納したことをトレイ毎に設定することが可能な多段トレイと、片面又は両面印刷を切り替え且つ裏紙又は新紙の使用を切り替えて印刷する印刷部と、両面印刷のときに両面のうち片面が白紙となるか否かを判断する判断部と、この判断部により、両面印刷中に片面が白紙となると判断した場合、印刷部が裏紙による片面印刷に切り替えて印刷するように制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様による画像形成装置は、裏紙又は新紙を格納したことをトレイ毎に設定することが可能な多段トレイと、片面又は両面印刷を切り替え且つ裏紙又は新紙の使用を切り替えて印刷する印刷部と、裏紙使用が優先されているか否かを判断すると共に、各ページが白紙であるか否かを判断するための判断部と、この判断部により裏紙使用が優先されていると判断された場合において、両面印刷を実行するときに、nページ及び(n+1)ページ目の両ページが白紙で無いと判断された場合、印刷部により新紙による両面印刷を実行するよう制御し、nページ目若しくは(n+1)ページ目のいずれかが白紙でないと判断され、(n+1)ページ目が白紙であると判断された場合、印刷部により裏紙による片面印刷実行するよう制御する制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像形成装置によれば、片面が白紙のページとなってしまう印刷状況下においては裏紙を利用することで、紙資源を有効的に利用することが可能となる。更に、裏紙による片面印刷と新紙による両面印刷が1ジョブ中に混在する場合でも印刷結果の有効面に目印を印刷することにより、紙資源を有効利用しつつ、更にユーザ所望の画像が形成された面を明確に識別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】多段トレイ媒体情報保持部に格納されている情報の一例を示す図である。
【図3】トレイ前面に具備された凹凸付きダイアル、該ダイアルの凹凸が当接するスイッチの構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の搬送系の機構図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】図5の手順により実現される印刷時のページ構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による裏紙使用優先印刷途中で給紙切れが発生した場合の処理手順を説明するフローチャートである。
【図8】図7の手順により実現される印刷時のページ構成を示す概念図である。
【図9】図7の手順により実現される印刷時の他のページ構成を示す概念図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の処理手順を説明するフローチャートである。
【図12】図11の手順により実現される印刷時のページ構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の画像形成装置に係る好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の画像形成装置は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0011】
先ず、図1には、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の構成を示すブロック図を示し説明する。図1に示されるように、画像形成装置1は、判断部10、印刷モード情報保持部11、制御部12、I/F部13、画像処理部14、印刷部15、多段(この例では、1st〜5thの5段)トレイ機構部21〜25、多段(この例では、1st〜5thの5段)トレイ媒体情報保持部31〜35から構成されている。尚、以下の説明では片面が印刷済みではあるが、もう一方の面は印刷が為されていない媒体、即ち片面のみ印刷可能な紙を「裏紙」と称することとする。
【0012】
このような構成において、判断部10は、裏紙を印刷に用いるタイミングを制御するものである。即ち、判断部10は、裏紙使用を優先するか否かによって、新紙による両面印刷や裏紙による片面印刷を制御部12に指示する役割を担う。印刷モード情報保持部11には、I/F部13を介してユーザにより操作入力された"裏紙使用を優先するか否か"の情報が格納されている。制御部12は、画像形成装置1全体の制御を司るものであり、電気的に接続されている各部の制御を担うものである。この制御部12は、例えば中央演算処理装置(CPU; Central Processing Unit)等により構成されている。
【0013】
I/F部13は、外部装置との制御信号や画像データの送受信を担うものであり、例えばLAN(Local Area Network)やUSB(Universal Serial Bus)に係る通信機能を備えている。また、画像形成装置1を利用するユーザと直接インタフェースする為の情報入力操作キー、及び該ユーザへの情報表示が可能な表示パネルを具備する。この操作キーと表示パネルを一体化し、所謂タッチパネルにより構成することも可能である。画像処理部14は印刷データを印刷部15が印刷可能なデータ形式に変換する。制御部12がI/F部13から受信した印刷ジョブデータは画像処理部14に送信され、画像処理部14は該印刷ジョブデータをラスタライズしてラスタデータを印刷部15に引き渡す。印刷部15は、画像を色のついたピクセルを縦横に並べた集合として扱うため、ラスタライズによりベクタ形式の情報を展開して、点の集まりに変換するのである。印刷部15は、画像処理部14より引き渡されたラスタデータに従って媒体に印刷を行う。
【0014】
多段トレイ機構部21〜25は媒体を格納し、印刷部15へ媒体の供給を適宜行うものである。この実施形態では、1st〜5thの5段トレイを例として挙げた。多段トレイ機構部21〜25はそれぞれ多段トレイ媒体情報保持部31〜35を備えている。この多段トレイ媒体情報保持部31〜35は、各トレイ機構部21〜25に格納されている媒体の種類や給紙方向の向き、及び媒体が格納されている量の情報を保持している。
【0015】
ここで、図2には、多段トレイ媒体情報保持部31〜35に格納されている情報の一例を示し説明する。各トレイ機構部21〜25のトレイに格納されている媒体の種類や給紙方向の向きは、画像形成装置1のスイッチのON/OFFの状態の組み合わせにより管理されている。スイッチが押されないと"0"、押されると"1"となる。媒体のサイズと給紙方向の向きについては、トレイ内の用紙押さえガイドと連動した公知の媒体サイズ検出機構にて画像形成装置1に設置された4つのスイッチをON/OFFすることで4ビットディジタル値に変換され、多段トレイ媒体情報保持部31〜35にて保持される。
【0016】
また、トレイに格納されている媒体が新紙か裏紙か否かについては、図3に示されるように、多段トレイ機構部21〜25のトレイ前面に具備された凹凸付きダイアル40を回転させ、該ダイアル40の凹凸が画像形成装置1に設けられたスイッチ41に当接してON/OFFすることで"0"が新紙、"1"が裏紙として判別される。このダイアル40を回転させることにより、ユーザは媒体格納時に任意で裏紙か新紙かを設定することができる。媒体の格納量については、公知の検出機構にてセンサからの入力を元に特定の閾値で3ビットディジタル値に変換され、多段トレイ媒体情報保持部31〜35にて保持されることになる。
【0017】
以上を踏まえると、各トレイの多段トレイ媒体情報保持部31〜35は、各トレイに格納されている媒体に対して8ビットの情報を保持している。例えば、1stトレイ機構部21に設置されたスイッチのON/OFFのパターンが"1001_1_111"であるとき、多段トレイ媒体情報保持部31に取り込まれる媒体情報は"A3 タテ 裏紙 フル格納"という具合に設定され、保持されることになる。
【0018】
次に図4には本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置1の搬送系の機構図を示し説明する。この図4に示されるように、画像形成装置1のプリンタ機構部50は、1stトレイ51、2ndトレイ52、3rdトレイ53、4thトレイ54、5thトレイ55、K色イメージドラム(トナーカートリッジ付属)56、Y色イメージドラム(トナーカートリッジ付属)57、M色イメージドラム(トナーカートリッジ付属)58、C色イメージドラム(トナーカートリッジ付属)59、K色LEDヘッド60、Y色LEDヘッド61、M色LEDヘッド62、C色LEDヘッド63、転写ベルト64、定着器65を具備する。図中の太線は媒体の搬送ルートを表しており、媒体は複数のローラによって搬送される。尚、符号2a〜2jの矢印は、媒体の搬送方向を表している。1st〜5thトレイは、前述した多段トレイ機構21乃至25の一部をなすものである。
【0019】
このような構成において、プリンタ機構部50の1st乃至5thトレイ51−55は印刷用媒体(この例では、裏紙或いは新紙)をストックしておく部位であり、印刷起動がかかると所望のサイズが格納されているトレイから矢印2a,2b,2c,2d,2eの方向へ給紙され、矢印2fの方向へローラで印刷部まで搬送される。K,Y,M,Cの各色のイメージドラム56−59では帯電した各色のドラムに各色のLEDヘッド60−63が発光することで潜像が形成され、転写ベルト64により紙に画像が転写される。定着器65は、転写された画像の紙への定着を行う。片面印刷指定の場合は、このまま表面のみの印刷で矢印2jの方向へ排紙される。その一方、両面印刷指定の場合は、矢印2g,2h,2iの方向へ紙が搬送されることで印刷面が反転し、裏面も印刷されることで両面印刷が行われることになる。
【0020】
以下、図5のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の処理手順を説明する。尚、図6には印刷時のページ構成を示し、先に示した図1,4の構成図と併せて適宜参照して、制御の流れにつき説明を進める。
【0021】
先ず、画像形成装置1の電源が投入されると、制御部12は画像形成装置1の初期化(イニシャライズ)を行い、画像形成装置1の機能をスタンバイ状態にする。初期化が完了した画像形成装置1は、外部装置(例えばパーソナルコンピュータ)とインタフェースすることが可能となる。ここでは、例えば図6に示されるように、I/F部13を介して、4ページ目に白紙を含む総ページ数xの印刷ジョブデータが画像形成装置1に送信されてきた場合を想定して、以下の説明を進める。
【0022】
I/F部13は、外部装置から画像形成装置1宛のジョブを受信し、制御部12に受信データ(印刷ジョブデータ)の転送を開始する。制御部12は該印刷ジョブデータを受信する(S101)。続いて、制御部12は判断部10に対して、裏紙を含む印刷を実行して良いか否かの判定を求める。ここで、判断部10は予めユーザの"裏紙を使用する印刷を優先するか否か"といった意向を前述した態様で保持している印刷モード情報保持部11に対して問い合わせを行い、裏紙を優先して使用するか否かを判断し、裏紙を含む印刷を実行して良いか否かの判定結果を制御部12に返答する(S102)。
【0023】
このS102にて、ユーザが裏紙使用を優先せず、新紙を優先して使用したいと判定された場合には、制御部12はユーザ指定の用紙を格納しているトレイを各トレイの媒体情報保持部31乃至35の媒体情報に基づき検索し、所望のサイズの新紙給紙用のトレイに切り替える。さらに、制御部12は、画像処理部14に印刷ジョブデータを転送する。画像処理部14は、この印刷ジョブデータをラスタライズし、このラスタライズデータを印刷部15に送出する(S103)。印刷部15は、該ラスタライズデータを受け取り、制御部12から指示された指定レイアウトにより、所望とされる両面/片面印刷を行い(S104)、こうして処理を終了する。
【0024】
一方、S102にてユーザが裏紙を優先して使用したいと判定された場合、制御部12は印刷指定が両面指定か片面指定かを判定する(S105)。ここで、片面指定であると判定されたときは、制御部12はユーザ指定の用紙を格納しているトレイを各トレイの媒体情報保持部31乃至35の媒体情報に基づき検索し、所望のサイズの裏紙給紙のトレイに切り替え、片面印刷指定を印刷部15に対して行う。そして、制御部12は、印刷ジョブデータを画像処理部14に転送する。画像処理部14は、印刷ジョブデータをラスタライズし、ラスタライズデータを印刷部15に送出する(S106)。印刷部15は、該ラスタライズデータを受け取り、ユーザ所望の裏紙のみの片面印刷を行い(S107)、こうして処理を終了する。
【0025】
次に、S105にて両面印刷が指定された場合には、制御部12は印刷起動をかける前にジョブの総ページ数(ここでは、総ページ数をxとする)とページ毎の印刷データの有無を確認し、それら情報を判断部10に送信する。判断部10は、制御部12から送信された情報を基に、処理ページ番号(nとする)と印刷データの有無の対比表を作成し、nページ目が白紙であるかを把握する。ここで、判断部10は、総ページ数xが奇数であった場合にはn=x+1ページ目が白紙であるとの情報を付加する。このような白紙ページ解析作業の終了後、判断部10は印刷を開始すべく、制御部12に印刷準備が整った旨を通知する(S108)。
【0026】
この通知を受けると、制御部12は、これから印刷を行う処理ページ番号nに1をセットする(S109)。そして、制御部12は判断部10が先に作成した対比表に従い、nページ目が白紙か否かの判定を行う(S110)。
【0027】
そして、S110にて、nページ目が白紙でないと判定した場合には、制御部12は(n+1)ページ目が白紙か否かの判定を行う(S111)。そして、nページ及び(n+1)ページ目の両ページが白紙で無い場合、制御部12は両面印刷を印刷部15に指定し、各トレイの多段トレイ媒体情報保持部31〜35からユーザ所望のサイズの新紙が格納されているトレイを検索し、所望の給紙を指示する。更に、制御部12は、画像処理部14に2ページ分の印刷ジョブデータを転送し、画像処理部14は前記ジョブデータをラスタライズする(S112)。そして、印刷部15は、画像処理部14からのラスタライズデータを受信し、2ページ分のデータを新紙1枚に対し両面印刷する(S113)。
【0028】
一方、S110でnページ目が白紙でないと判定され、S111で(n+1)ページ目が白紙であると判定された場合、制御部12は片面印刷を印刷部15に指定し、各トレイの多段トレイ媒体情報保持部31〜35からユーザ所望のサイズの裏紙が格納されているトレイを検索し、給紙を指示する。更に、制御部12は画像処理部14にnページ目の印刷ジョブデータを転送し、画像処理部14は該ジョブデータをラスタライズする(S116)。印刷部15は、画像処理部14からラスタライズデータを受信し、nページ目のデータを裏紙1枚に対し片面印刷する(S117)。
【0029】
また、S110でnページ目が白紙であると判定された場合、(n+1)ページ目が白紙であるか否かを判定する(S118)。そして、(n+1)ページ目が白紙でないと判定された場合、制御部12は片面印刷を印刷部15に指定し、各トレイの多段トレイ媒体情報保持部31〜35からユーザ所望のサイズの裏紙が格納されているトレイを検索し、給紙を指示する。更に、制御部12は、画像処理部14に(n+1)ページ目の印刷ジョブデータを転送し、画像処理部14は該ジョブデータをラスタライズする(S119)。印刷部15は、画像処理部14からラスタライズデータを受信し、(n+1)ページ目のデータを裏紙1枚に対し片面印刷する(S120)。
【0030】
一方、S110,S118でnページ目と(n+1)ページ目が共に白紙であると判定された場合には、制御部12は、前記2ページ分の白紙データを印刷せずに、次のステップ(S114)に移行することになる。
【0031】
以上のようにして制御部12は2ページ分の処理を行った後、次のページの印刷準備の為に処理ページ番号nをインクリメント(+2)する(S114)。そして、制御部12は最終ページまで印刷を行ったか否かの判定を次に印刷すべきページnと最終ページxとを比較することで判断を行う(S115)。ここで、n>xの条件となっていなければS110に戻り、上記動作を繰り返す。一方、n>xの条件となったとき、制御部12は最後ページまで印刷を行ったと判断し、動作を終了する。
【0032】
以上の処理によれば、図6に示されるような印刷が実現される。即ち、この例は、総ページ数xで4ページ目が白紙となってしまう場合に前記フローに従って印刷を行った例である。1ページ目と2ページ目は両面印刷を新紙で行い、3ページ目は4ページ目が白紙であるので片面印刷を裏紙で行う。そして、xページ目は最終ページであり、(x+1)ページ目は白紙となるので、片面印刷を裏紙で行う。
【0033】
次に図7のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による裏紙使用優先印刷途中で給紙切れが発生した場合の処理手順を説明する。尚、図8には新紙による両面印刷中にnページ目で新紙が給紙切れとなった場合、図9は裏紙による片面印刷中にnページ目で裏紙が給紙切れとなった場合のページ構成を示し、先に示した図1の構成図と併せて適宜参照して説明を進める。
【0034】
給紙切れが発生すると、制御部12は現在両面新紙印刷中であるか否かを判定する(S201)。ここで、新紙を用いた両面印刷中であると判定された場合、制御部12は判断部10に対して裏紙を優先して使用するか否か(裏紙優先使用モードか否か)の問い合わせを行い(S202)、裏紙を優先して使用する場合は、制御部12は多段トレイ媒体情報保持部31〜35に対して現在印刷している媒体のサイズと同一の裏紙を格納しているか否かを検索し(S203)、合致するものがあれば給紙トレイを同一サイズの裏紙のものに切り替え、印刷部15に対し片面印刷命令を送信し(S204)、印刷を継続する。即ち、この場合には、両面新紙印刷中に用紙切れとなった場合であっても、裏紙優先使用モードであれば、同一サイズの裏紙があれば、該裏紙による片面印刷が継続される。
【0035】
一方、S201において、両面新紙印刷中でないと判定された場合、制御部12は、片面裏紙印刷中であるか否かを判定する(S205)。そして、裏紙を用いた片面印刷中である場合には、制御部12は多段トレイ媒体情報保持部31〜35に対し現在印刷している媒体のサイズと同一の新紙を格納しているか否かを検索し(S206)、合致するものがあれば、給紙トレイを同一サイズの新紙のものに切り替え、印刷部113に対し両面印刷命令を発行し(S207)、印刷を継続する。即ち、この場合には、片面裏紙印刷中に用紙切れとなった場合であっても、同一サイズの新紙があれば、該新紙による両面印刷が継続されることになる。
【0036】
S202にてユーザが新紙両面印刷を希望する場合や、S205にてユーザが新紙片面印刷を希望する場合、S203やS206にて代替の媒体が検索できなかった場合は、制御部12はI/F部13を通じてユーザに対し、給紙切れが発生している旨を報知し(S208)、給紙切れのトレイへの給紙が行われるまで待機状態となる。
【0037】
以上の処理によれば、図8,9に示されるような印刷が実現される。即ち、図8に示されるように、nページ目まで両面印刷を新紙で行っていたところ、新紙給紙切れが発生した場合には、裏紙使用優先モードであって同一サイズの裏紙があるならば、(n+1)ページ目以降が同一サイズの裏紙への片面印刷に切り替えられ、印刷が継続される。また、図9に示されるように、nページ目まで片面印刷を裏紙で行っていたところ、裏紙給紙切れが発生した場合には、同一サイズの新紙があるならば、(n+1)ページ目以降が同一サイズの新紙への両面印刷に切り替えられ、印刷が継続されることになる。
【0038】
尚、第1の実施形態では、新紙両面印刷時に片面のみ印刷となる場合に裏紙を使用するとしたが、白紙ページ部を削除して、前ページに前倒しする事で新紙両面印刷を連続で行い、最終ページに白紙が残る場合にのみ裏紙を使用するといった形態でもよい。
【0039】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態は、裏紙又は新紙を格納したことをトレイ毎に設定することが可能な多段トレイ機構部21〜25と、片面又は両面印刷を切り替え且つ裏紙又は新紙の使用を切り替えて印刷する印刷部15と、両面印刷のときに両面のうち片面が白紙となるか否かを判断する判断部10と、判断部10により、両面印刷中に片面が白紙となると判断した場合、前記印刷部が裏紙による片面印刷に切り替えて印刷するように制御する制御部12と、を有することを特徴とする。
【0040】
さらに、制御部12は、裏紙による片面印刷のときにどのトレイからも裏紙の給紙が不可となった場合には、裏紙がトレイに追加格納されるまで待機するか、若しくは他のトレイに同一サイズの新紙が格納されているかを検索し、同一サイズの新紙があれば引き続き印刷を行うのか否かを判断し、引き続き新紙で印刷を行う場合は両面印刷に切り替えて印刷するよう制御することを特徴する。
【0041】
また、制御部12は、新紙による両面印刷のときにどのトレイからも新紙給紙が不可となった場合には、新紙がトレイに追加格納されるまで待機するのか、若しくは他のトレイに同一サイズの裏紙が格納されているのかを検索し、同一サイズの裏紙があれば引き続き印刷を行うのか否かを判断し、引き続き裏紙で印刷を行う場合は片面印刷に切り替えて印刷するよう制御することを特徴とする。
【0042】
従って、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置によれば、片面が白紙のページとなってしまう印刷状況下においては裏紙を利用することで、紙資源を有効的に利用することが可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に用いる画像形成装置100の構成を示すブロック図である。尚、ここでは、先に示した図1と同一構成については同一符号を付して重複した説明を省略し、特徴的な部分を中心に説明する。第2の実施形態に係る画像形成装置100は、第1の実施形態の構成に加え、有効面判別データ付与部101、トナー残量監視部102、シアン(C;Cyan)色のイメージドラムとトナーカートリッジ110、マゼンタ(M;Magenta)色のイメージドラムとトナーカートリッジ111、イエロー(Y;Yellow)色のイメージドラムとトナーカートリッジ112、ブラック(K;Key)色のイメージドラムとトナーカートリッジ113の構成が追加されている。
【0044】
このような構成において、有効面判別データ付与部101は、裏紙使用が優先される場合に現在印刷中の各ページに対し、有効面を判別する目印としてジョブ印刷実行日時や各ページ及び総ページ数を印刷データ等に埋め込むデータを生成する。トナー残量監視部102は、各色のトナー残量を監視するものであり、トナーカートリッジが取り付けられたイメージドラム110〜113から得られるアナログ残量検出値を公知の変換方法によりディジタル値に変換して値を保持する。そして、制御部12は、不図示の計時デバイス(例えばRTC(Real Time Clock))を具備しており、有効面判別データ付与部101に対して時刻や現在のトナー残量情報、印刷ジョブの総ページ数xやジョブ内の白紙ページ情報を提供する。また、制御部12は、これら情報と印刷ジョブデータをマージし、画像処理部14へマージ後のデータを送信する。
【0045】
以下、図11のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置100の処理手順を詳細に説明する。ここで、図12には第2の実施形態の印刷ページ構成例を示し、図10と併せて適宜参照して説明を進める。
【0046】
画像形成装置100がI/F部13を介して印刷ジョブを受信すると(S301)、制御部12はI/F部13から印刷ジョブデータを引き上げ、判断部10に対して問い合わせをして裏紙を優先的に使用するか否かを判断する(S302)。ここで、ユーザが裏紙使用を優先していないと判断された場合、即ち新紙のみの印刷を印刷モード情報保持部11に設定している場合は、新紙を用いた所望の印刷が実行され(S303)、動作を終了する。
【0047】
一方、ユーザが裏紙使用を優先していると判断された場合、即ち裏紙を含む印刷を印刷モード情報保持部11に設定している場合は、制御部12はトナー残量監視部102からK,C,M,Yの各色のトナー残量情報を取得し、ジョブデータの印刷にはK色を、有効面判別データ付与部101が各ページに付与する目印にはC色、M色、Y色のうち最も残量が多いものを使用するものと判断し、1ジョブの印刷が終了するまでは該採用色を一貫して使用するものとする(S304)。
【0048】
続いて、印刷を開始すべく、制御部12は、白紙を除く実際に印刷するページ数のカウンタの値をkとし、kに1をセットする(S305)。そして、制御部12は新紙両面印刷を行うか裏紙片面印刷を行うかを判定する(S306)。ここで、新紙両面印刷を行うと判定された場合には、有効面判別データ付与部101は、判断部10の白紙ページ解析結果に基づき、白紙を除いた実際の印刷ページおよび白紙のページを除いた実際の総印刷ページと制御部12がジョブ印刷処理を開始した時刻を目印データとして制御部12に送信する。制御部12は、kページ目及び(k+1)ページ目の印刷データにトナー残量が最も多いカラー色にて目印データの埋め込みを行う(S307)。
【0049】
続いて、制御部12は、画像処理部14に対して目印データとマージしたデータを送信し、印刷部15には両面印刷を指定する。そして、制御部12は、多段トレイ媒体情報保持部31〜35を検索し、ユーザが所望とする新紙が格納されているトレイからの給紙を手配する(S308)。そして、印刷部15は、画像形成部14からラスタライズ済みのkページ目及び(k+1)ページ目のラスタライズデータを取得し、新紙による両面印刷を行う(S309)。続いて、制御部12は、白紙を除く実際の印刷ページであるkを2ページ分インクリメントし(S310)、印刷すべきデータがあるか否かの判定を行う(S311)。そして、印刷すべきデータがある場合にはS306へ移行し上記処理を繰り返し、印刷すべきデータが無い場合には動作を終了する。
【0050】
一方、S306において、裏紙片面印刷であると判定された場合には、有効面判別データ付与部101は、判断部10の白紙ページ解析結果に基づき白紙を除いた実際の印刷ページ及び白紙のページを除いた実際の総印刷ページと制御部12がジョブ印刷処理を開始した時刻を目印データとして制御部12に送信する。制御部12は、kページ目の印刷データにトナー残量が最も多いカラー色にて目印データの埋め込みを行う(S312)。
【0051】
続いて、制御部12は、画像処理部14に対して目印データとマージしたデータを送付し、印刷部15には片面面印刷を指定する。そして、多段トレイ媒体情報保持部31〜35を検索し、ユーザが所望とする裏紙が格納されているトレイからの給紙を手配する(S313)。印刷部15は、画像形成部14からラスタライズ済みのkページ目のラスタライズデータを取得し、裏紙片面印刷を行う(S314)。そして、制御部12は、白紙を除く実際の印刷ページであるkを1ページ分インクリメントし(S315)、印刷すべきデータがあるか否かの判定を行う(S311)。そして、印刷すべきデータがある場合にはS306へ移行し上記処理を繰り返し、印刷すべきデータが無い場合には動作を終了する。
【0052】
以上の処理によれば、図12に示されるような印刷が実現される。即ち、図12に示されるように、n=1〜7までの印刷ジョブが受信された場合、印刷ジョブのn=1,2については、印刷データがあるので、実際の印刷ページをk=1,2として、目印データがマージされたデータが新紙に両面印刷される。n=3については印刷データがあるが、n=4については白紙であり印刷データがないので、裏紙を優先的に使用する場合には、印刷ジョブのn=3については、実際の印字ページk=3として、目印データがマージされたデータが裏紙に片面印刷される。印刷ジョブのn=5,6については、n=4の印刷がなされなかったので実際の印刷ページはk=4,5となり、双方ともに印刷データがあるので、新紙に両面印刷されることになる。そして、印刷ジョブのn=7については、最後のページであり、印刷データがあるので、裏紙を優先的に使用する場合には、実際の印刷ページk=6として、目印データがマージされたデータが裏紙に片面印刷される。
【0053】
尚、本実施形態では、ジョブデータの印刷にはK色を、有効面判別データの目印にはカラーのC色、M色、Y色のうち最も残量が多いものを使用するとしたが、適応はK色のみのモノクロ印刷には限らないことは勿論である。
【0054】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態は、判断部10にて裏紙を含む印刷を行うと判断した場合に、制御部12は、印刷部15により印刷するページの特定個所に有効面を判別する為の目印を印刷するよう制御することを特徴とする。更に、有効面を判別する為の目印は、例えば、当該画像形成装置内のトナー残量が最も多いK以外の色で印刷することを特徴とする。
【0055】
従って、本発明の第2の実施形態によれば、裏紙片面印刷と新紙の両面印刷が1ジョブ中に混在する場合でも印刷結果の有効面に目印が印刷されることにより、紙資源を有効利用しつつ更にユーザ所望の画像が形成された面を明確に識別することが可能となる。
【0056】
上述の各実施形態に説明した画像形成装置は、プリンタ(インクジェットプリンタ、シリアルインパクトドットマトリクス(SIDM)プリンタ、シングルファンクションプリンタ(SFP)など)や、ファクシミリ、複写装置、及びこれらの複合機であるMFP装置においても利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
10 判断部
11 印刷モード情報保持部
12 制御部
13 I/F部
14 画像処理部
15 印刷部
21〜25 多段トレイ機構部
31〜35 多段トレイ媒体情報保持部
40 ダイアル
41 スイッチ
100 画像形成装置
101 有効面判別データ付与部
102 トナー残量監視部
110 C色のイメージドラムとトナーカートリッジ
111 M色のイメージドラムとトナーカートリッジ
112 Y色のイメージドラムとトナーカートリッジ
113 K色のイメージドラムとトナーカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏紙又は新紙を格納したことをトレイ毎に設定することが可能な多段トレイと、
片面又は両面印刷を切り替え且つ裏紙又は新紙の使用を切り替えて印刷する印刷部と、
両面印刷のときに両面のうち片面が白紙となるか否かを判断する判断部と、
前記判断部により、両面印刷中に片面が白紙となると判断した場合、前記印刷部が裏紙による片面印刷に切り替えて印刷するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、裏紙による片面印刷のときにどのトレイからも裏紙の給紙が不可となった場合には、裏紙がトレイに追加格納されるまで待機するか、若しくは他のトレイに同一サイズの新紙が格納されているかを検索し、同一サイズの新紙があれば引き続き印刷を行うのか否かを判断し、引き続き新紙で印刷を行う場合は両面印刷に切り替えて印刷するよう制御することを特徴する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、新紙による両面印刷のときにどのトレイからも新紙給紙が不可となった場合には、新紙がトレイに追加格納されるまで待機するのか、若しくは他のトレイに同一サイズの裏紙が格納されているのかを検索し、同一サイズの裏紙があれば引き続き印刷を行うのか否かを判断し、引き続き裏紙で印刷を行う場合は片面印刷に切り替えて印刷するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断部にて裏紙を含む印刷を行うと判断した場合に、前記制御部は、前記印刷部により印刷するページの特定個所に有効面を判別する為の目印を印刷するよう制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記有効面を判別する為の目印は、当該画像形成装置内のトナー残量が最も多い黒以外の色で印刷することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
裏紙又は新紙を格納したことをトレイ毎に設定することが可能な多段トレイと、
片面又は両面印刷を切り替え且つ裏紙又は新紙の使用を切り替えて印刷する印刷部と、
裏紙使用が優先されているか否かを判断すると共に、各ページが白紙であるか否かを判断するための判断部と、
前記判断部により裏紙使用が優先されていると判断された場合において、両面印刷を実行するときに、nページ及び(n+1)ページ目の両ページが白紙で無いと判断された場合、前記印刷部により新紙による両面印刷を実行するよう制御し、nページ目若しくは(n+1)ページ目のいずれかが白紙であると判断された場合、前記印刷部により裏紙による片面印刷実行するよう制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、給紙切れが発生すると、両面新紙印刷中であるか否かを判定し、新紙を用いた両面印刷中であると判定された場合には、前記判断部に対して裏紙を優先して使用するか否かの問い合わせを行い、裏紙を優先して使用する場合は同一サイズの裏紙があれば、前記印刷部により該裏紙による片面印刷を継続するよう制御し、両面新紙印刷中でないと判定された場合には、片面裏紙印刷中であるか否かを判定し、裏紙を用いた片面印刷中である場合には、同一サイズの新紙があれば、前記印刷部により該新紙による両面印刷を継続するよう制御することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記裏紙を含む印刷を行うと場合に、前記制御部は、前記印刷部により印刷するページの特定個所に有効面を判別する為の目印を印刷するよう制御することを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−247400(P2010−247400A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97912(P2009−97912)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】