説明

画像形成装置

【課題】排紙された用紙の温度上昇をより効率よく抑制できて両面印刷時の用紙同士の貼り付きをより確実に防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】この画像形成装置では、冷却ダクト25が排紙トレイ20に積載された用紙11だけでなく、反転ローラ22で反転搬送中の用紙11にも空気を吹き付けて冷却するので、両面印刷を行う場合でも排紙された用紙11の温度上昇を効率よく抑制できて用紙同士の貼り付きを確実に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、排紙された用紙同士の貼り付きを防止するために、排紙トレイ上の用紙を冷却ファンで冷やす構成が提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
ところで、画像形成装置で用紙温度が上昇し易い両面印字を行う場合に用紙をより効率良く冷却させる対処が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223093号公報
【特許文献2】特開2007−264416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、排紙された用紙の温度上昇をより効率よく抑制できて両面印刷時の用紙同士の貼り付きをより確実に防止できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の画像形成装置は、画像を形成した用紙を排紙する排紙ローラと、
上記排紙ローラの上方に配置されており、画像を片面に形成した用紙を正回転により予め定められた寸法だけ排紙してから逆回転して上記用紙を装置内に再搬送する反転ローラと、
上記用紙を上記排紙ローラへ搬送する第1の搬送路と上記用紙を上記反転ローラへ搬送する第2の搬送路とを選択的に形成する可動ガイドと、
片面または両面への印刷が終了したと共に上記排紙ローラから排紙された用紙を積載する排紙トレイと、
上記反転ローラから上記予め定められた寸法だけ排紙される用紙の上方かつ上記排紙トレイの上方に配置されていると共に上記排紙トレイに積載された用紙および上記反転ローラから排紙されて突き出した用紙に空気を吹き付ける空気吹出部とを備えることを特徴としている。
【0007】
この発明の画像形成装置によれば、上記空気吹出部によって、上記反転ローラから排紙されて突き出した反転搬送中の用紙に空気を吹き付けて反転搬送中の用紙を冷却できる。また、上記空気吹出部は、上記排紙トレイに積載された用紙に空気を吹き付けて上記積載された用紙を冷却できる。また、上記空気吹出部は、上記排紙ローラによって排紙中の用紙に空気を吹き付けて排紙中の用紙を冷却できる。さらに、上記空気吹出部から吹き付けられた空気で冷却された反転中の用紙が装置内に再搬送されることで装置内の温度上昇も抑制できる。なお、上記空気吹出部は、用紙の搬送方向と直交する幅方向のほぼ中央に空気を吹き付けるように配置して冷却効率を向上させることが望ましい。
【0008】
また、一実施形態の画像形成装置では、上記空気吹出部は、
上記排紙トレイに積載された用紙の表面および上記反転ローラから排紙されて突き出した用紙の表面に対して略垂直に空気を吹き付ける。
【0009】
この実施形態の画像形成装置によれば、上記空気吹出部は、用紙の表面に対して略垂直に空気を吹き付けるので、用紙を効率よく冷却できると共に吹き付けられた空気で用紙が位置ずれするのを抑制できる。
【0010】
また、一実施形態の画像形成装置では、上記反転ローラは、上記排紙ローラよりも上記用紙の搬送における下流側に配置されていると共に上記排紙ローラよりも上方に配置されている。
【0011】
この実施形態の画像形成装置によれば、上記反転ローラと排紙ローラとが用紙の搬送方向に位置がずれているので、装置の高さを抑制できる。
【0012】
また、一実施形態の画像形成装置では、両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送しているときは、上記反転ローラから排紙されて突き出した用紙の表面に対して略垂直に空気を吹き出す一方、両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送していないとき、および片面印刷モードでは、上記排紙トレイのうちの上記排紙ローラ直下の部分に向けて空気を吹き出すように、上記空気吹出部の空気吹出方向を制御する空気吹出方向制御部を備える。
【0013】
この実施形態の画像形成装置によれば、上記空気吹出部は、上記反転ローラで用紙を搬送しているとき以外は、上記排紙トレイのうちの熱がこもり易い上記排紙ローラ直下の部分に向けて空気を吹き出す。これにより、排紙トレイに積載された用紙の冷却効率を向上できる。
【0014】
また、一実施形態の画像形成装置では、片面印刷モードで印刷を行う場合は、両面印刷モードで印刷を行う場合に比べて、上記空気吹出部の空気吹出量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備える。
【0015】
この実施形態の画像形成装置によれば、用紙上のトナーの貼り付きによるタッキングが発生しない片面印刷モードでは、空気吹出部による空気吹出量を減少させるか空気の吹出を停止するので、消費電力を削減できる。
【0016】
また、一実施形態の画像形成装置では、両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送している反転動作中は、上記両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送していない非反転動作中に比べて、上記空気吹出部から吹き出す空気量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備える。
【0017】
この実施形態の画像形成装置によれば、外乱の影響を受け易い用紙の反転動作中は、空気吹出部から吹き出す空気量が少なくなるので、反転中の用紙の位置ずれを防ぐと共に用紙のばたつきによる騒音を防ぐことができる。
【0018】
また、一実施形態の画像形成装置では、印刷指示枚数を認識する印刷指示枚数識別部と、
上記印刷指示枚数識別部が認識した印刷指示枚数が予め定められた枚数未満の場合は、上記印刷指示枚数が上記予め定められた枚数以上の場合に比べて、上記空気吹出部から吹き出す空気量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備える。
【0019】
この実施形態の画像形成装置によれば、印刷枚数が少ない場合は温度の上昇が少ないので、空気吹出部からの吹き出し空気量を低減させるか空気の吹出を停止させることにより、消費電力を削減できる。
【0020】
また、一実施形態の画像形成装置では、上記排紙トレイに積載された用紙の温度または上記排紙トレイの温度を検出する温度検出部と、
上記温度検出部が検出した温度が予め定められた温度未満の場合は、上記温度検出部が検出した温度が上記予め定められた温度以上の場合に比べて、上記空気吹出部から吹き出す空気量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備える。
【0021】
この実施形態の画像形成装置によれば、上記温度検出部で検出した排紙トレイの温度または排紙トレイに積載された用紙の温度が低い場合は、空気吹出部からの吹き出し空気量を低減させるか空気の吹出を停止させるので、消費電力を削減できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の画像形成装置によれば、空気吹出部が排紙トレイに積載された用紙だけでなく、反転搬送中の用紙にも空気を吹き付けて冷却するので、両面印刷を行う場合でも排紙された用紙の温度上昇を効率よく抑制できて用紙同士の貼り付きを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の画像形成装置の第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】上記第1実施形態の排紙部の構成を示す図である。
【図3】上記第1実施形態と第2実施形態の制御ブロック図である。
【図4A】上記第2実施形態の反転時の風向制御の様子を示す図である。
【図4B】上記第2実施形態の非反転時の風向制御の様子を示す図である。
【図5A】上記第2実施形態の風向制御動作のフローチャートである。
【図5B】上記風向制御動作での反転制御のフローチャートである。
【図6A】上記第1,第2実施形態での風量制御動作のフローチャートである。
【図6B】上記風量制御動作での反転制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図1に、この発明の第1実施形態の画像形成装置の構成を示す。この画像形成装置は、給紙カセット13と、給紙カセット13から用紙11を引き出す給紙ローラ14と、給紙ローラ14が引き出した用紙11を中間転写ベルト16と転写ローラ17との間に供給する搬送ローラ15を有する。
【0026】
上記中間転写ベルト16と感光体9と露光器(図示せず)等で作像部12が構成されている。上記感光体9から中間転写ベルト16にトナー画像が転写され、転写ローラ17によって中間転写ベルト16から用紙11にトナー画像が転写される。トナー画像が転写された用紙11は、定着ローラ18で加圧されながら加熱されてトナー画像が定着される。トナー画像が定着された用紙11は、図1に示す上昇位置にある可動ガイド21が形成する第1の搬送路F1に案内されて、排紙ローラ19に搬送され排紙ローラ19によって排紙トレイ20に排紙される。この排紙ローラ19から排紙されるのは、片面印字が指示されて片面印字が完了した用紙11、および両面印字が指示されて両面印字が完了した用紙11である。
【0027】
一方、両面印字が指示された場合で用紙11の残りの片面の印字が終了していない場合は、可動ガイド21を、回動軸21Aを中心にして図1において時計回りの方向に回動させて下降位置にさせて反転ローラ22への第2の搬送路F2が形成される。この場合は、用紙11は、下降位置の可動ガイド21に案内されて定着ローラ18から反転ローラ22に搬送される。反転ローラ22は、画像が片面に形成された用紙11を予め定められた寸法だけ排紙してから逆回転して用紙11を装置内に再搬送して両面印字ユニット23に搬送する。この両面印字ユニット23を通って搬送ローラ15から転写ローラ17へ搬送された用紙11は残りの片面に中間転写ベルト16からのトナー画像が転写され、さらに、定着ローラ18で加圧されながら加熱されてトナー画像が定着される。これにより両面に画像が形成された用紙11は、排紙ローラ19から排紙トレイ20に排紙されて積載される。
【0028】
この実施形態の画像形成装置は、図3の制御ブロック図に示すように、制御部をなすCPU27を有する。CPU27は、給紙ローラ14,搬送ローラ15,中間転写ベルト16,転写ローラ17,定着ローラ18,排紙ローラ19,反転ローラ22へ用紙搬送指示を行う。また、CPU27は、中間転写ベルト16への1次転写指示、転写ローラ17への2次転写指示、および定着ローラ18への定着指示を行う。また、このCPU27は、作像部12への作像指示、および可動ガイド21への搬送路切替指示を行う。
【0029】
また、この実施形態の画像形成装置では、排紙ローラ19からの用紙11を排紙するための排紙口5と、反転ローラ22からの用紙11を排紙するための排紙口6とを有している。これにより、1面目に印字された用紙11と2面目に印字された用紙11とのすれ違いがスムーズに行われるようにして、両面印字時の生産性の向上が達成される。
【0030】
一方で、一般に画像形成装置の印字速度や両面印字の生産性が上昇すると、定着後の温度が高い用紙が次々に排紙トレイ上に重ねられることになり、重なった用紙の自重の影響も加わり、隣接する用紙表面の固着前のトナーが貼り付き易くなる傾向がある。また、貼りついた用紙同士を剥がす際にトナーが剥がれて画像欠損となるいわゆるタッキングが起こり易くなる傾向もある。
【0031】
そこで、この実施形態の画像形成装置では、上記タッキングを防ぐために、本体10に取り付けられた空気吹出部としての冷却ダクト25を有する。この冷却ダクト25は、排紙トレイ20の上方に配置されていると共に反転ローラ22から予め定められた寸法だけ排紙される用紙11の上方に配置されている。この冷却ダクト25は、図3のCPU27からの用紙冷却指示を受けた冷却ファン24が回転することで発生された冷却風を吹き出す。図2に示すように、冷却ダクト25は、矢印Xで示す方向に冷却風を吹き出し、排紙トレイ20に積載された用紙11に冷却風を吹き付けて、上記積載された用紙11を冷却できる。また、冷却ダクト25は、矢印Xで示す方向に冷却風を吹き出して、反転ローラ22から排紙されて突き出した用紙11に冷却風を吹き付けて、反転搬送中の用紙11を冷却できる。さらに、冷却された反転中の用紙11が本体10内に再搬送されることで本体10内の温度上昇も抑制できる。
【0032】
なお、上記冷却ダクト25は、用紙11の搬送方向と直交する幅方向のほぼ中央に空気を吹き付けるように配置して冷却効率を向上させることが望ましい。また、冷却ダクト25は、排紙トレイ20に積載された用紙11の表面に対して略垂直に冷却風を吹き付けることが望ましい。積載された用紙11の表面に対して略垂直に冷却風を吹き付けることで、用紙11を効率よく冷却できると共に吹き付けられた冷却風で用紙11が位置ずれするのを抑制できる。すなわち、積載された用紙に対して斜めに冷却風を当てると用紙の位置ずれが起こり易くなるのである。
【0033】
また、この実施形態では、反転ローラ22は、排紙ローラ19よりも上記用紙11の搬送における下流側に配置されていると共に排紙ローラ19よりも上方に配置され、反転ローラ22と排紙ローラ19とが用紙11の搬送方向に位置がずれているので、本体10の高さを抑制できる。
【0034】
(第2の実施の形態)
次に、この発明の第2実施形態の画像形成装置を説明する。この第2実施形態の画像形成装置は、図4A,図4Bに示すように、冷却ダクト25に、冷却ダクト25が吹き出す冷却風の風向を変更する風向変更板35が取り付けられている。この風向変更板35を備える点が、この第2実施形態が前述の第1実施形態と異なる点である。よって、この第2実施形態では、風向変更板35の動作を主に説明する。
【0035】
この風向変更板35は、両面印刷モードで反転ローラ22が用紙11を搬送しているときには、CPU27によって、図4Aに示すように、水平姿勢に制御される。この風向変更板35の姿勢制御は、一例として図示しないソレノイド等を駆動させて風向変更板35を回動させることで行われる。これにより、冷却ダクト25は、図4Aの矢印41で示すように、反転ローラ22から所定寸法だけ排紙されて突き出した用紙11の表面に対して略垂直に冷却風が吹き出して反転中の用紙11を効率よく冷却する。一方、両面印刷モードにおいて反転ローラ22が用紙11を搬送していないとき、および片面印刷モードにおいては、風向変更板35は、CPU27によって、図4Bに示すように、排紙トレイ20のうちの排紙ローラ19直下の部分20Aを指し示すような垂直姿勢に制御される。これにより、冷却ダクト25は、図4Bの矢印42で示すように、排紙トレイ20のうちの排紙ローラ19直下の部分20Aに向けて冷却風を吹き出す。よって、排紙トレイ20に積載された用紙11の冷却効率を向上できる。
【0036】
次に、CPU27による風向変更板35の姿勢制御動作を、図5Aおよび図5Bに示すフローチャートを参照して説明する。
【0037】
ステップS1では、印字枚数nを1として、ステップS2へ進み、印字指示を行い、次のステップS3では、風向変更板35を図4Bの垂直姿勢に制御する。次に、ステップS4では、印字モード識別部31が識別した印字モードが両面印刷モードであるか否かを判断し、両面印刷モードであると判断すれば、ステップS5に進み、両面印刷モードではないと判断すれば、ステップS14に進む。ステップS14では、n枚目の用紙の1面目の印字を行い、ステップS15で排紙ローラ19を正転させる。次に、ステップS16で(n+1)枚目の印刷すべき用紙があるか否かを判断し、印刷すべき用紙があると判断すればステップS17で、(n+1)をnとしてステップS14に戻る一方、次の印刷すべき用紙がないと判断すれば本動作を終了する。
【0038】
一方、ステップS5では、両面印字モードであるので、n枚目の用紙11の2面目(裏面)の印字を行い、ステップS6に進んで反転制御を行う。このステップS5では、n枚目の用紙11の裏面に2×n頁目の印字を行うこととなる。たとえば、n=1の場合は、1枚目の用紙に2頁目の印字を行ってから反転制御を行う。
【0039】
この反転制御は、図5BのフローチャートのステップS31で、可動ガイド21を下降位置にして反転ローラ22への搬送路を形成し、ステップS32で反転ローラ22を正転させ、ステップS33で風向変更板35を図4Aに示す水平姿勢に制御する。これにより、冷却ダクト25は、反転ローラ22で反転中の用紙11の表面に対して略垂直に冷却風が吹き出して反転中の用紙11を効率よく冷却する。次に、ステップS34に進み、反転ローラ22を逆転させて用紙11を本体10内に再搬送する。そして、ステップS35で可動ガイド21を上昇位置にする。そして、反転ローラ22で用紙11を再搬送してしまってから、ステップS36で風向変更板35を図4Bに示す垂直姿勢に制御する。よって、反転ローラ22で用紙11を搬送していない非反転時には、冷却ダクト25は、排紙トレイ20のうちの排紙ローラ19直下の部分20Aに向けて冷却風を吹き出して排紙トレイ20に積載された用紙11を効率よく冷却する。上記風向変更板35およびステップS3とステップS33,S36が空気吹出方向制御部を構成している。
【0040】
次に、図5AのステップS7に進み、印字すべき(n+1)枚目の用紙があるか否かを判断し、(n+1)枚目の用紙があると判断したときはステップS8に進み、(n+1)枚目の用紙がないと判断したときはステップS18に進む。このステップS18では、両面印字ユニット23を通って搬送ローラ15から転写ローラ17へ搬送されたn枚目の用紙11の1面目(表の面)に中間転写ベルト16からのトナー画像が転写され、さらに、定着ローラ18で加圧されながら加熱されてトナー画像が定着される。つまり、このステップS18では、n枚目の用紙11の表面に(2n−1)頁目の印字を行う。たとえば、n=1の場合は、1枚目の用紙に1頁目の印字を行う。
【0041】
次に、ステップS19で排紙ローラ19を正転させて両面印字された用紙11を排紙トレイ20に排紙し本動作を終了する。
【0042】
一方、ステップS8では、(n+1)枚目の用紙の2面目に印字する。つまり、このステップS8では、(n+1)枚目の用紙の裏面に2(n+1)頁目の印字を行う。たとえば、n=1の場合は、2枚目の用紙に4頁目の印字を行う。次に、ステップS9に進んで、(n+1)枚目の用紙について前述の図5Bのフローチャートに従う反転制御を行う。
【0043】
次に、ステップS10に進み、両面印字ユニット23を通って搬送ローラ15から転写ローラ17へ搬送されたn枚目の用紙11は1面目に中間転写ベルト16からのトナー画像が転写され、さらに、定着ローラ18で加圧されながら加熱されてトナー画像が定着される。つまり、このステップS10では、n枚目の用紙の表面に(2n−1)頁目の印字を行う。たとえば、n=1の場合は、1枚目の用紙に1頁目の印字を行う。
【0044】
次に、ステップS11に進み、排紙ローラ19を正転させる。次に、ステップS12に進み、印字すべき(n+2)枚目の用紙があるか否かを判断し、(n+2)枚目の用紙があると判断したときはステップS13に進み、(n+2)枚目の用紙がないと判断したときはステップS20に進む。ステップS13では、(n+1)をnとしてステップS8に戻る。
【0045】
一方、ステップS20では、(n+1)枚目の用紙の1面目(表の面)に印字する。このステップS20では、(n+1)枚目の用紙の表面に{2(n+1)−1}頁目の印字を行う。たとえば、n=1の場合は、2枚目の用紙に3頁目の印字を行う。次に、ステップS21に進んで、排紙ローラ19を正転させて(n+1)枚目の用紙を排紙して本動作を終了する。
【0046】
このように、この実施形態では、両面印刷モードで反転ローラ22が用紙11を反転させているときには、風向変更板35を図4Aの水平姿勢にして冷却ダクト25から用紙11に対して略垂直に冷却風を吹き付けて反転中の用紙11を効率よく冷却する。一方、反転ローラ22が用紙11を搬送していないとき、および片面印刷モードにおいては、風向変更板35を図4Bの垂直姿勢にして冷却ダクト25から排紙トレイ20のうちの排紙ローラ19直下の部分20Aに向けて冷却風を吹き出して、排紙トレイ20に積載された用紙11の冷却効率を向上できる。
【0047】
なお、この実施形態では、上記の如く、両面印字の場合は、裏面(2面目)を先に印字した後、反転搬送を行い、表面(1面目)を印字している。また、生産性を向上させるために、1枚目の用紙の2面目を印字した後、その1枚目の用紙が反転経路を通過している期間に2枚目の用紙を給紙カセット13から給紙する2枚循環方式としている。
【0048】
次に、CPU27で冷却ファン24の回転速度を制御して冷却ダクト25から吹き出す空気量を制御する動作を、図6Aおよび図6Bに示すフローチャートを参照して説明する。このフローチャートのステップS53,S55,S60,S62,S64,S83,S86が空気吹出量制御部を構成している。
【0049】
ステップS51では、印字枚数nを1として、ステップS52へ進み、印字指示を行い、次のステップS53では、冷却ファン24を全速で回転させて冷却ダクト25からの冷却風の吹出量を最大にする。次に、ステップS54に進み、印字モード識別部31が識別した印字モードが両面印刷モードか否かを判断し、両面印刷モードであると判断すれば、ステップS55に進み、両面印刷モードではないと判断すれば、ステップS64に進む。ステップS64では、冷却ファン24の回転速度を低下させて冷却ダクト25が吹き出す冷却風の風量を減らす。このステップS64での冷却ファン24の風量は、一例として上記最大の吹出量の50%に設定する。
【0050】
次に、ステップS65に進み、n枚目の用紙の1面目に印字し、次のステップS66で排紙ローラ19を正転させる。次に、ステップS67で(n+1)枚目の印刷すべき用紙があるか否かを判断し、印刷すべき用紙があると判断すればステップS68で、(n+1)をnとしてステップS65に戻る一方、次の印刷すべき用紙がないと判断すれば本動作を終了する。
【0051】
一方、ステップS55では、冷却ファン24の回転速度を低下させて冷却ダクト25が吹き出す冷却風の風量を減らす。このステップS55での冷却ファン24の風量は、一例として上記最大の吹出量の90%に設定する。次に、ステップS56に進み、n枚目の用紙11の2面目(裏面)の印字を行い、ステップS57に進んで反転制御を行う。
【0052】
この反転制御は、図6BのフローチャートのステップS81で、可動ガイド21を下降位置にして反転ローラ22への搬送路を形成し、ステップS82で反転ローラ22を正転させ、ステップS83で冷却ファン24の回転速度を低下させて冷却ダクト25が吹き出す冷却風の風量を減らす。このステップS83での冷却ファン24の風量は、一例として上記最大の吹出量の70%に設定する。
【0053】
次に、ステップS84に進み、反転ローラ22を逆転させて用紙11を本体10内に再搬送し、ステップS85で可動ガイド21を上昇位置にし、次にステップS86で冷却ファン24を全速で回転させ冷却ダクト25からの冷却風の吹出量を最大にする。
【0054】
次に、図6AのステップS58に進み、印字すべき(n+1)枚目の用紙があるか否かを判断し、(n+1)枚目の用紙があると判断したときはステップS59に進み、(n+1)枚目の用紙がないと判断したときはステップS69に進む。このステップS69では、両面印字ユニット23を通って搬送ローラ15から転写ローラ17へ搬送されたn枚目の用紙11は1面目(表の面)に中間転写ベルト16からのトナー画像が転写され、さらに、定着ローラ18で加圧されながら加熱されてトナー画像が定着される。これにより、n枚目の用紙11の1面目(表の面)に印字し、ステップS70で排紙ローラ19を正転させて両面印字された用紙11を排紙トレイ20に排紙し本動作を終了する。
【0055】
一方、ステップS59では、用紙温度検出部33からの検出信号により排紙トレイ20に積載された用紙11の温度を検出して、この温度が50℃以上か否かを判断し、50℃以上と判断すればステップS60に進み、50℃未満と判断すればステップS61に進む。ステップS60では、冷却ファン24を全速で回転させて冷却ダクト25からの冷却風の吹出量を最大にする。一方、ステップS61では、nが20以上か否かを判断し、nが20以上であると判断すればステップS62に進み、nが20未満であると判断すればステップS63に進む。このステップS61が印刷指示枚数識別部32を構成している。
【0056】
ステップS62では、冷却ファン24を全速で回転させて冷却ダクト25からの冷却風の吹出量を最大にする。一方、ステップS63では、(n+1)枚目の用紙の2面目(裏面)に印字してから、ステップS71に進んで、(n+1)枚目の用紙について前述の図6Bのフローチャートに従う反転制御を行う。次に、ステップS72に進み、両面印字ユニット23を通って搬送ローラ15から転写ローラ17へ搬送されたn枚目の用紙11は1面目(表の面)に中間転写ベルト16からのトナー画像が転写され、さらに、定着ローラ18で加圧されながら加熱されてトナー画像が定着される。これによって、n枚目の用紙の1面目(表の面)に印字される。次に、ステップS73に進み、排紙ローラ19を正転させる。次に、ステップS74に進み、印字すべき(n+2)枚目の用紙があるか否かを判断し、(n+2)枚目の用紙があると判断したときはステップS75に進み、(n+2)枚目の用紙がないと判断したときはステップS76に進む。ステップS75では、(n+1)をnとしてステップS59に戻る。一方、ステップS76では、(n+1)枚目の用紙の1面目(表の面)に印字し、ステップS77に進んで、排紙ローラ19を正転させて(n+1)枚目の用紙11を排紙して本動作を終了する。
【0057】
このように、この実施形態では、用紙上のトナーの貼り付きによるタッキングが発生しない片面印刷モードでは、冷却ファン24の回転数を低下させて冷却ダクト25からの冷却風の吹出量を減少させるので、消費電力を削減できる。
【0058】
なお、上記タッキングは、隣接する用紙上のトナーの貼り付きが原因であり、両面印字モードで発生するので、片面印字モードでは冷却ファン24は必ずしも起動させる必要は無いが、この実施形態では、片面印字モードでの水蒸気対策として冷却ファン24を起動している。すなわち、用紙11は、定着ローラ18で急激に熱せられ、用紙11に含まれていた水分が水蒸気として上昇し、本体10から湯気が白い煙のように昇る様子が見られることがある。これをユーザが火災と誤認しないために、冷却ファン24を稼動させて湯気を散らしている。ただし、このとき、片面印字モードでの冷却ファン24の風量を両面印字モードでの冷却ファン24の風量と同じ風量にすると、排紙ローラ19付近で水蒸気が急激に冷やされて結露を起こすので、片面印字モードでの冷却ファン24の風量を両面印字モードでの冷却ファン24の風量よりも少なくすることが望ましい。なお、冷却ファン24の風量を減少させる替わりに、冷却ダクト25の吹出口の開口面積を減少させることで、冷却ダクト25が吹き出す冷却風の風量を減少させてもよい。もっとも、電力消費量の削減が優先される場合には、片面印字モードでは冷却ファン24を停止する制御としてもよい。
【0059】
また、両面印刷モードにおいて反転ローラ22によって用紙11を搬送している反転動作中は、両面印刷モードにおいて反転ローラ22によって用紙11を搬送していない非反転動作中に比べて、冷却ダクト25からの冷却風の吹出量を減少させる。これにより、外乱の影響を受け易い用紙の反転動作中は、冷却風の吹出量を少なくして、反転中の用紙11の位置ずれを防ぐと共に用紙11のばたつきによる騒音を防止できる。すなわち、図2に例示するように、反転ローラ22によって反転中の用紙11は冷却ダクト25に接近しているので、反転中の用紙11に排紙トレイ20に積載された用紙11を冷却するための風量を吹き付けると、用紙11が反転ローラ22からずれて印字画像がスキューする可能性がある。また、反転ローラ22だけで保持され、先端が自由な状態にある用紙11に強い風を当てると、用紙11がバタついて騒音の原因となる可能性もある。なお、反転中の用紙11を冷却しなくてもタッキングが発生しないような印字速度,定着温度の場合においては、反転ローラ22による用紙の反転中は冷却ファン24を停止させる制御としてもよい。
【0060】
また、1ジョブの印字枚数が多くなると、一度に多量の用紙11が排紙トレイ20上に積載されるので、熱の逃げ場が無くなり、排紙トレイ20上の用紙11の温度が急上昇する。また、排紙トレイ20上の積載枚数が多くなる程、積載された用紙11の重みでトナーが貼り付き易くなる。
【0061】
そこで、この実施形態では、1ジョブで予め定められた規定枚数(一例として20枚)以上の印字指示がなされた場合に冷却ファン24の風量を最高値にする一方、1ジョブでの印字指示が上記規定枚数未満の場合には冷却ファン24の風量を低下させる風量制御を行っている。これにより、用紙温度が上昇してトナーが貼り付き易くなったときの冷却能力を確保しつつ、電力消費を抑えることができる。なお、印字枚数が少ない場合で、用紙11を冷却しなくてもタッキングが発生しないような印字速度,定着温度の場合においては、反転ローラ22による用紙の反転中は冷却ファン24を停止させる制御としてもよい。
【0062】
また、前回のジョブで印字済みの用紙が排紙トレイ20上に残っている場合や、1ジョブの途中で排紙トレイ20上に積載された用紙を取り去った場合などでは、排紙トレイ20上に実際に積載されている用紙枚数を印字枚数識別部32で認識するのが難しくなる。
【0063】
そこで、この実施形態では、用紙温度検出部33が排紙トレイ20上の用紙11の温度や排紙トレイ20自体の温度を検出した温度が規定温度(一例として50℃)以上である場合に、冷却ファン24の風量を最高値にする。一方、上記検出した温度が規定値未満かつ印字枚数が上記規定枚数未満である場合に、冷却ファン24の風量を低減させることで、電力消費を抑えることができる。なお、印字枚数が少ない場合で、用紙11を冷却しなくてもタッキングが発生しないような印字速度,定着温度の場合には、冷却ファン24の風量を減少させる替わりに、冷却ファン24を停止させる制御としてもよい。なお、上記第2実施形態において図6A,図6Bのフローチャートで説明した冷却ファン24の風量制御動作は、前述した第1実施形態で採用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 本体
11 用紙
12 作像部
13 給紙カセット
14 給紙ローラ
15 搬送ローラ
16 中間転写ベルト
17 転写ローラ
18 定着ローラ
19 排紙ローラ
20 排紙トレイ
21 可動ガイド
22 反転ローラ
23 両面印字ユニット
24 冷却ファン
25 冷却ダクト
27 CPU
31 印字モード識別部
32 印字枚数識別部
33 用紙温度検出部
35 風向変更板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成した用紙を排紙する排紙ローラと、
上記排紙ローラの上方に配置されており、画像を片面に形成した用紙を正回転により予め定められた寸法だけ排紙してから逆回転して上記用紙を装置内に再搬送する反転ローラと、
上記用紙を上記排紙ローラへ搬送する第1の搬送路と上記用紙を上記反転ローラへ搬送する第2の搬送路とを選択的に形成する可動ガイドと、
片面または両面への印刷が終了したと共に上記排紙ローラから排紙された用紙を積載する排紙トレイと、
上記反転ローラから上記予め定められた寸法だけ排紙される用紙の上方かつ上記排紙トレイの上方に配置されていると共に上記排紙トレイに積載された用紙および上記反転ローラから排紙されて突き出した用紙に空気を吹き付ける空気吹出部とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
上記空気吹出部は、
上記用紙の幅方向の略中心となる位置に空気を吹き付けるように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
上記空気吹出部は、
上記排紙トレイに積載された用紙の表面および上記反転ローラから排紙されて突き出した用紙の表面に対して略垂直に空気を吹き付けることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
上記反転ローラは、上記排紙ローラよりも上記用紙の搬送における下流側に配置されていると共に上記排紙ローラよりも上方に配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1、2、4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送しているときは、上記反転ローラから排紙されて突き出した用紙の表面に対して略垂直に空気を吹き出す一方、両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送していないとき、および片面印刷モードでは、上記排紙トレイのうちの上記排紙ローラ直下の部分に向けて空気を吹き出すように、上記空気吹出部の空気吹出方向を制御する空気吹出方向制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
片面印刷モードで印刷を行う場合は、両面印刷モードで印刷を行う場合に比べて、上記空気吹出部の空気吹出量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送している反転動作中は、上記両面印刷モードで上記反転ローラによって用紙を搬送していない非反転動作中に比べて、上記空気吹出部から吹き出す空気量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
印刷指示枚数を認識する印刷指示枚数識別部と、
上記印刷指示枚数識別部が認識した印刷指示枚数が予め定められた枚数未満の場合は、上記印刷指示枚数が上記予め定められた枚数以上の場合に比べて、上記空気吹出部から吹き出す空気量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、
上記排紙トレイに積載された用紙の温度または上記排紙トレイの温度を検出する温度検出部と、
上記温度検出部が検出した温度が予め定められた温度未満の場合は、上記温度検出部が検出した温度が上記予め定められた温度以上の場合に比べて、上記空気吹出部から吹き出す空気量を減少させるか上記空気吹出部による空気の吹出を停止させる空気吹出量制御部を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2010−256781(P2010−256781A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109210(P2009−109210)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】