説明

画像形成装置

【課題】感光体の表面との当接部位における残留トナー圧縮力を軽減し得て、感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部位からの残留トナーのすり抜けを抑制することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体12の表面とカウンタ方向で当接して転写後の残留トナーを掻き落とす弾性板状のクリーニングブレード32と、クリーニングブレード32よりも感光体12の回転方向の上流側で感光体12の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニングローラ33と、クリーニングローラ33及びクリーニングブレード32によって感光体12の表面から除去された残留トナーを残留トナー回収タンクに回収するトナー回収体34とを備え、クリーニングブレード32と感光体12との当接点がトナー回収体34の外径領域Lよりも感光体12の回転方向上流側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらを機能的に備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらを機能的に備えた複合機といった電子写真プロセスによる画像形成装置には、感光体から転写紙に転写しきれなかった残留トナーを除去するクリーニング方式として、感光体の表面にカウンタ方向で接触させて残留トナーを掻き取るウレタンゴム等の板状弾性体からなるクリーニングブレードを備えたクリーニング装置を配置したものが周知である。
【0003】
この際、クリーニングブレードによる残留トナーの掻き取り除去だけではクリーニング性能が不足するため、クリーニングブレードよりも感光体の回転方向上流側で感光体表面と接触することで残留トナーを除去する弾性体ローラや毛ブラシローラといったクリーニングローラを設置したものが知られている。
【0004】
また、感光体に、硬度が非常に高く、長寿命・低摩耗を実現したアモルファスシリコン感光体を用いた画像形成装置の場合には、感光体表面への帯電工程によって発生する放電生成物を除去するために、トナーに研磨粒子を外添し、感光体とクリーニングローラとのニップ部にトナーを介在させてクリーニングローラにトナーを付着させつつ感光体との接触回転で感光体表面を研磨するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
さらに、このようなクリーニングローラを配置した場合には、クリーニングローラに付着した残留トナーのトナー量を規制するために、クリーニングローラに当接するスクレーパを配置するのが望ましい。
【0006】
そして、クリーニングローラやクリーニングブレードによって感光体の表面から除去した残留トナーは、回収容器に回収される。また、回収容器に回収された残留トナーは、回収容器内に配置された螺旋(スクリュー又はスパイラル)形状の回転体であるトナー回収体によってクリーニング装置の奥行き方向に搬送され、回収されるのが一般的である。
【0007】
一方、近年の複写機やプリンタは、画像形成時に転写紙の搬送経路を短くし画像形成時間を短縮している。
【0008】
この転写紙の搬送経路を短くする構成として、転写紙を重力方向垂直上方に向けて搬送する縦紙搬送経路が多く採用されており、上述したクリーニング装置は、感光体に対して重力方向垂直上方に設置されることとなる(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
そのため、トナー回収体は、クリーニングブレードの近傍に設置して、でき得る限り感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部位へのトナーストレスを軽減する構成とするのが望ましい。
【0010】
尚、クリーニングローラの表面に付着した残留トナー量を規制するため、クリーニングローラの表面にカウンタ方向で当接するスクレーパを配置するのが望ましい(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−063157号公報
【特許文献2】特開2005−049620号公報
【特許文献3】特開2008−233664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上述したように、感光体に対して重量方向垂直上方にクリーニング装置を配置した場合、残留トナーが常時堆積し易いため、クリーニングローラと感光体の表面との当接位置、クリーニングブレードと感光体表面との当接位置、トナー回収体の配置等、これらの配置関係によっては、クリーニングローラとトナー回収体とによる残留トナーの回収搬送方向が重なってしまう等、感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部位に残留トナー圧縮力が増大して、感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部位から残留トナーがすり抜けてしまう要因となってしまうという問題が生じていた。
【0013】
また、クリーニングローラの表面に付着した残留トナー量を規制するスクレーパを配置した場合には、そのスクレープ位置を残留トナーの堆積面よりも下方に設定してしまうと、残留トナーと一緒に混入してくる転写紙の紙粉(繊維)等がスクレーパに噛み込んでしまう要因ともなる。
【0014】
そして、このような紙粉等をスクレーパで噛み込んでしまうと、クリーニングローラの表面に筋状のクリーニング(摺擦)不良が発生し、このまま画像形成処理を継続してしまうと感光体の研磨ムラとなり、画像スジが発生してしまうという問題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、転写紙に転写する画像が形成される感光体と、該感光体よりも重力方向上方に配置されたクリーニング装置を備えた画像形成装置において、前記クリーニング装置は、前記感光体の表面に該感光体の回転方向とカウンタ方向で当接して転写後の残留トナーを掻き落とす弾性板状のクリーニングブレードと、該クリーニングブレードよりも前記感光体の回転方向の上流側で前記感光体の表面と当接し、該当接部において同一方向に当接回転して前記感光体の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニングローラと、前記クリーニングローラ及び前記クリーニングブレードによって前記感光体の表面から除去された残留トナーを残留トナー回収タンクに回収するトナー回収体を備え、前記クリーニングブレード先端と前記感光体との当接点が前記トナー回収体の外径領域よりも前記感光体の回転方向上流側に位置することを特徴とする。
【0016】
この際、前記トナー回収体は、螺旋形状で回転する回転体、平面板状の羽が回転する回転体、断面形状が楕円で回転する回転体、の何れかであるのが好ましい。
【0017】
また、前記感光体がアモルファスシリコンであり、トナーには研磨粒子が外添されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置は、感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部位における残留トナー圧縮力を軽減し得て、感光体の表面とクリーニングブレードとの当接部位からの残留トナーのすり抜けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置としての複合機の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置の要部の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置の要部の拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る変形例1のクリーニング装置の拡大断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る変形例2のクリーニング装置の拡大断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置の要部の拡大説明図である。
【図7】従来のクリーニング装置の拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るクリーニング装置による実験例の結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、複合機に適用し、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は、本発明の画像形成装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置としての複合機の説明図、図2は本発明の一実施形態に係るクリーニング装置を搭載した画像形成装置の要部の断面図、図3は本発明の一実施形態に係るクリーニング装置の要部の拡大断面図、図4は本発明の一実施形態に係る変形例1のクリーニング装置の拡大断面図、図5は本発明の一実施形態に係る変形例2のクリーニング装置の拡大断面図、図6は本発明の一実施形態に係るクリーニング装置の要部の拡大説明図、図7は従来のクリーニング装置の拡大断面図、図8は本発明の一実施形態に係るクリーニング装置による実験例の結果を示す図表である。
【0022】
(複合機の全体構成)
図1において、1は複写機・プリンタ・ファクシミリ・スキャナーの各機能を具備した画像形成装置としての複合機である。
【0023】
複合機1は、装置本体2の前面(紙面手前)から引き出し可能な給紙トレイ3と、装置本体2の側面に設けられた手差し給紙トレイ4と、複写機・ファクシミリ・スキャナーとして原稿を読み取るための自動原稿送り装置5と、自動原稿送り装置5を利用して読み取った原稿の読取データ又は図示を略するパーソナルコンピュータ等から出力された出力データに基づく画像データに応じてレーザ光(図示せず)を照射する露光デバイス6と、給紙トレイ3又は手差し給紙トレイ4から送られてきた転写紙(図示せず)の表面にトナー画像を形成する画像形成部7と、そのトナー画像を転写紙表面に定着する定着部8と、画像定着済みの転写紙を排出する排出部9と、画像形成装置のメインスイッチ10と、装置本体2の前面上向きに配置された液晶パネルスイッチ等の表示部11と、を備えている。
【0024】
露光デバイス6は、画像形成処理等に関わる各種駆動制御のための制御回路やメモリ等(図示せず)で処理された画像データに基づいてレーザ光を照射する。
【0025】
画像形成部7は、露光デバイス6から照射されたレーザ光により静電潜像が形成される像担持体としてのアモルファスシリコン製のドラム状の感光体12と、感光体12に形成された静電潜像をトナー像に現像するための現像装置13と、現像装置13に補給用トナーを供給するトナー収納容器14とを備えている。
【0026】
尚、トナー収納容器14は、装置本体2に対して着脱可能(交換可能)とされ、装置本体2の正面カバー(図示せず)を開放することによって装置本体2の前面からトナー収納容器14の着脱を行えるようになっている。
【0027】
また、図2に示すように、感光体12の周囲には、感光体12の回転方向(図示矢印参照)に沿う画像形成プロセス順に、帯電デバイス15・露光デバイス6(図2においてはレーザ光としてLBで示す)・現像装置13・転写デバイス(転写ローラ)16・クリーニングデバイス(クリーニング装置)17・除電デバイス18を備えている。
【0028】
これにより、感光体12が図示しない駆動手段によって所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動され、その表面が帯電デバイス15によって所定の極性・電位に帯電される。
【0029】
帯電後の感光体12は、その表面に露光デバイス6によって静電潜像が形成される。ここで、露光デバイス6は、パーソナルコンピュータ等から出力された印刷データに含まれる画像データに基づいて、感光体12の表面にレーザ光LBを照射し、感光体12の表面のレーザ光照射部分の電荷を除去して画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0030】
そして、感光体12の表面に形成された静電潜像は、現像装置13によって電荷を有するトナーが静電的に付着されて未定着トナー像として現像される。さらに、その未定着トナー像は、転写デバイス16によって転写紙に転写像として転写される。
【0031】
この際、転写紙に未定着トナー像を転写した感光体12は、クリーニングデバイス17によって残留トナー等の除去処理が行われた後、次の画像形成時の帯電のために除電デバイス18により除電処理が施される。
【0032】
(現像装置13の構成)
現像装置13は、内部にトナーを循環移動させつつ感光体12にトナーを供給するもので、トナー供給方向上流側から順に、一対のスパイラルフィーダ(攪拌ミキサー)19,20と、感光体12と対向する現像ローラ21とを回転可能に備えている。
【0033】
また、現像装置13の内部には、スパイラルフィーダ19,20の間を隔絶する隔壁13aが形成されている。この隔壁13aの両端は、現像装置13の縦壁との間に隙間が形成されており、トナー補給口13bの下方に設けられたスパイラルフィーダ19により現像装置13の一方(図2の紙面奥行き方向)へとトナーが攪拌搬送(往路)された後に、この一方側の隙間で折り返されてスパイラルフィーダ20により現像装置13の他方(図2の紙面手前方向)へとトナーが攪拌搬送(復路)されてこの他方側の隙間で再び折り返される循環経路が構成されている。
【0034】
さらに、現像装置13のトナー補給口13bの近傍の壁面には、現像装置13のトナー量を検出するトナーセンサ22が設けられている。
【0035】
現像ローラ21は、その周面が感光体12の周面と対向するように配置されている。従って、現像ローラ21に搬送されつつあるトナーは、現像ローラ21を介して感光体12の周面に供給され、これによって感光体12の周面に静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0036】
トナーセンサ22は、トナー補給口13bの近傍に設けられており、その出力信号に基づいてトナー補給口13b付近のトナー量が検出され、制御回路によってトナー収納容器14からのトナー補給量や補給タイミング等が制御される。
【0037】
(トナー収納容器14の構成)
トナー収納容器14は、補給用トナーが収納されると共にトナー補給口13bと対向するトナー供給口23aが形成された容器本体23と、容器本体23の上面開口を閉成するコンテナカバー24とを備えている。また、トナー収納容器14の内部には、一対のトナー攪拌部材25,26と、トナー補給口13bから補給用トナーを排出させるスパイラルロッド27と、駆動モータ等の駆動源(図示せず)の駆動によってこれらトナー攪拌部材25,26及びスパイラルロッド27を回転させる動力伝達系を構成する駆動部28と、を備えている。
【0038】
トナー攪拌部材25,26は、容器本体23の一方の側面(駆動部28側)から他方の側面に跨って設けられている。また、トナー攪拌部材25,26は、軸部29と、軸部29に設けられた複数の攪拌羽根30と、を備えている。
【0039】
(クリーニングデバイス17)
転写工程後の残留トナーを回収するクリーニングデバイス17は、図3に示すように、感光体12の上部(重力方向上方)に設置され、これにより、転写紙搬送経路は、感光体12の図示左側面から上方に搬送される縦搬送方式となっている(図1参照)。
【0040】
クリーニングデバイス17は、感光体12に向けて開放する筐体31と、この筐体31の感光体回転方向下流側の底面に固定されて感光体12の表面に感光体12の回転方向とカウンタ方向で当接して転写後の残留トナーを掻き落とす弾性板状のクリーニングブレード32と、クリーニングブレード32よりも感光体12の回転方向の上流側で感光体12の表面に当接回転して感光体12の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニングローラ33と、クリーニングローラ33及びクリーニングブレード32によって感光体12の表面から除去された残留トナーを残留トナー回収タンク(図示せず)に回収するトナー回収体34と、クリーニングローラ33の表面にカウンタ方向で当接してクリーニングローラ33の表面に付着した残留トナー量を規制するスクレーパ35と、を備えている。
【0041】
クリーニングブレード32は、本実施の形態においては、硬度70°、自由長10mm、厚さ2.2mmの板状ウレタンゴムからなり、感光体12への中心方向食込み量は1.2mmに設定している。
【0042】
クリーニングローラ33は、本実施の形態においては、EPDM等の発泡体から構成されており、肉厚t=2mm、外径φ14mmである。また、クリーニングローラ33は、本実施の形態においては、感光体12に対して1.2倍の周速で回転している。尚、感光体12の周速は、100mm/secである。
【0043】
トナー回収体34には、本実施の形態においては、スパイラル状のものが用いられている。尚、トナー回収体34には、図4に示すように、平面板状の羽が回転する回転体36として構成しても良いし、図5に示すように、断面形状が楕円で回転する回転体37として構成しても良い。
【0044】
スクレーパ35は、クリーニングローラ33と感光体12との当接部よりもクリーニングローラ33の回転方向下流側に配置されており、本実施の形態においては、厚さ80μmのSUS板を先端エッジ部でクリーニングローラ33に接触させている。これにより、スクレーパ35は、クリーニングローラ33と感光体12との当接部で残留トナーを介在して接触回転し、その押圧力によりクリーニングローラ33の表面に付着した残留トナーを掻き落とすことができる。また、スクレーパ35は、クリーニングローラ33及びクリーニングブレード32の周りに除去した残留トナーが堆積し、クリーニングローラ33の表面に除去した残留トナーが付着するため、この付着した残留トナーのトナー量を均一に規制する機能を具備している。
【0045】
このような構成においては、クリーニングブレード32、クリーニングローラ33、スクレーパ35で除去された残留トナーは、感光体12の回転力、クリーニングローラ33の回転力により各回転方向へ押し出されながらトナー回収体34へと搬送され、このトナー回収体34により紙面奥行き方向(又は手前方向)へと搬送され、クリーニングデバイスの外部に配置した残留トナー回収タンク(図示せず)に回収される。
【0046】
この際、図6に示すように、クリーニングブレード32先端部の感光体12との当接部がトナー回収体34の外径領域Lよりも内側にある場合(図6のD,Eの場合)には、クリーニングローラ33の回転方向及び感光体12の回転方向によるトナー送り方向とトナー回収体34の回転方向によるトナー送り方向とにより(図3〜5の矢印参照)、クリーニングブレード32と感光体12との当接部で残留トナーが最も圧縮される状態となる。このような残留トナーの圧縮が発生すると、クリーニングブレード32のエッジ部のトナー圧力が上昇してしまい、そのエッジ部から残留トナーがすり抜けるクリーニング不良が発生してしまう。そこで、感光体12に対するトナー回収体34及びクリーニングブレード32との当接部がトナー回収体34の外径領域Lよりも感光体12の回転方向上流側になるように位置関係を変更させることにより、トナー回収体34の送り方向がクリーニングブレード32当接部方向にならないようにした。
【0047】
ここで、図7に示すように、クリーニングブレード32の先端の感光体12との当接位置がトナー回収体34の回転外径Lの範囲内にあると、クリーニングローラ33の回転方向及び感光体12の回転方向によるトナー送り(図7の矢印a参照)とトナー回収体34の回転方向によるトナー送り(図7の矢印b参照)とにより、クリーニングブレード32の先端でトナーが最も圧縮される状態となる。そして、この残留トナーの圧縮により、クリーニングブレード32の先端部分におけるトナー圧力が上昇し、その先端部分と感光体12の間から残留トナーがすり抜けるクリーニング不良が発生してしまう。
【0048】
これに対し、感光体12に対するトナー回収体34及びクリーニングブレード32との当接部がトナー回収体34の外径領域Lよりも感光体12の回転方向上流側になるように位置関係を変更させれば、上述したクリーニングブレード32の先端付近でのトナー圧力の集中を緩和することができる。
【0049】
具体的には、図6の各位置A,B,C,D,Eにおいて、クリーニング不良の発生有無の確認実験を行った。この実験では、トナー回収体34の位置を固定し、クリーニングブレード32の先端部をA〜Eまでの位置で変更して感光体12に当接した。その当接部は、全て3mm間隔でずれており、C位置をトナー回収体34の回転外径の端部直下位置とした。そして、常温常湿環境下でA4用紙を6%印字濃度で2万枚印字した後、温度32.5℃、湿度80%の環境下で5千枚の印字を行い、クリーニング不良の発生有無を画像にて確認した。
【0050】
図8はこの実験により確認した結果を示しており、この結果によれば、図3に示した構成のクリーニングブレード32の感光体への当接部は、トナー回収体34の外径領域Lより感光体12の回転方向上流側にすることがクリーニング不良に対して有効であることがわかった。
【0051】
ところで、上記実施の形態では、クリーニングローラ33とクリーニングブレード32とで感光体12の残留トナーを除去し、その除去した残留トナーをトナー回収体34で回収する構成を開示したが、クリーニングローラ33とトナー回収体34との間に、残留トナーをトナー回収側へと補助的に搬送するトナー搬送体(例えば、断面楕円形状の回転体)を設けた構成にも同様に対応させることが可能である。
【0052】
このように、本発明の画像形成装置としての複合機1にあっては、クリーニングブレード32の先端の感光体12との当接位置をトナー回収体34の回転外径よりも感光体12の回転方向上流側に配置したことにより、感光体12の表面との当接部位における残留トナー圧縮力を軽減し得て、感光体12の表面とクリーニングブレード32との当接部位からの残留トナーのすり抜けを抑制することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…複合機(画像形成装置)
12…感光体
17…クリーニングデバイス
32…クリーニングブレード
33…クリーニングローラ
34…トナー回収体
35…スクレーパ
36…回転体
37…回転体
L…外径領域
LB…レーザ光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写紙に転写する画像が形成される感光体と、該感光体よりも重力方向上方に配置されたクリーニング装置を備えた画像形成装置において、
前記クリーニング装置は、
前記感光体の表面に該感光体の回転方向とカウンタ方向で当接して転写後の残留トナーを掻き落とす弾性板状のクリーニングブレードと、
該クリーニングブレードよりも前記感光体の回転方向の上流側で前記感光体の表面と当接し、該当接部において同一方向に当接回転して前記感光体の表面に付着した残留トナーを除去するクリーニングローラと、
前記クリーニングローラ及び前記クリーニングブレードによって前記感光体の表面から除去された残留トナーを残留トナー回収タンクに回収するトナー回収体を備え、
前記クリーニングブレード先端と前記感光体との当接点が前記トナー回収体の外径領域よりも前記感光体の回転方向上流側に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナー回収体は、螺旋形状で回転する回転体であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー回収体は、平面板状の羽が回転する回転体であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー回収体は、断面形状が楕円で回転する回転体であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体がアモルファスシリコンであり、トナーには研磨粒子が外添されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−107186(P2011−107186A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258939(P2009−258939)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】