説明

画像形成装置

【課題】 システムリソースの不足が予想される状況になった場合には,セキュリティ上問題のない所定の情報については,出力の禁止を解除して,出来るだけシステムエラーなどが生じないように配慮された画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 現在の時刻が前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯に含まれると判断された時に,前記リソース使用量計測手段によって計測されたシステムリソースの総量を計測し,該システムリソースの総量が予め定めた所定の基準量に達したと判断された場合に,予め定めた所定の種類の情報についてのみ,出力禁止を解除する出力禁止解除手段を備えてなる画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,複写機,プリンタ,ファクシミリなどの画像形成装置に係り,特にあらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する時間帯を設定して,設定時刻が来ると前記所定の出力処理を禁止する機能を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,FAXなどの画像形成装置には,ユーザが設定したある特定の時刻,たとえば9:00〜15:00など,その時間帯の間,あらかじめ設定した所定の出力処理を禁則する機能を備えた画像処理装置がある。上記あらかじめ設定した所定の出力処理としては,印刷処理,送信処理,記憶処理などがあり,上記設定された時間帯には,印刷を行わせない,送信を行わせない,記憶させないなどユーザが設定した機能を実行させないようにすることが可能である。
この機能の目的は,次の通りである。たとえばFAXやメール送信印刷機能などを搭載した画像形成装置の場合,それら受信処理は画像形成装置のシステムが起動している限り,一律に且つ無制限に実行してしまうのが一般的である。しかし,画像形成装置の現状の使用環境を鑑みると,多国間での連携業務や,業務の外部委託などによって同一の職場環境,また必ずしも同国間での作業環境とは限らないことがある。
例えば異国間業務となる場合,どうしても時差などの影響により,深夜誰もいない職場に置かれた画像形成装置に対して,FAXやメール送信などが行われ,送られてきた文書を自動的に出力してしまうことになるが,送られた文書が機密文書であった場合,セキュリティ問題が発生する可能性がある。
【0003】
具体的には,例えば,誰もいなくなった職場に送られたデータを画像形成装置が処理(印刷処理など)してしまった場合,翌日その職場に必ずしも職場社員が最初に出社するとは限らず,職場清掃人員など,部外者に情報漏洩してしまう危険性がある。
上記出力禁止機能は,こういった場合に備え,夜間,誰もいない状態になる場所に設定されている画像形成装置に対して,「XX:XX〜XX:XXの時間帯」には「出力禁止」と設定することによって,確実にその職場の担当者がいる状態でないと,処理させないようにした機能である。
このようなセキュリティの保てない状況は,上記夜間などに限らず,例えば昼休みや休日などにも起こりうるので,上記出力禁止機能は近年極めて重要視されつつある。
上記のような出力禁止機能を備えたファクシミリ装置の一例が,特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−135336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては,あらかじめ出力処理を禁止する時間帯を設定出来るので,無人化するであろう時間帯などを設定することで,有効にセキュリティを保つことができる手段を提供することが出来る。
ところで,印刷などの出力処理を禁止すると,着信したデータは,後刻出力できるように,一時的に所定に記憶手段に記憶しておくことになる。着信したデータが少ない内は,この処理で問題ないが,着信データが多くなると,着信データを記憶する場所が一杯になり,他の処理に必要な領域も確保できない場合が生じる。このような記憶領域を一般にシステムリソースと呼ぶが,システムリソースが上記のように乏しくなると,データ処理エラーなどが発生する可能性も高くなり,本来必要な処理が行われないばかりか,復旧に長時間を要するといった不都合を生じることにもなる。
これは,前記のように従来の処理禁止プログラムの場合,設定された処理禁止時間帯の間は,着信データなどについて無制限に保存処理を行ってしまうためであり,そのためにシステムリソースの容量が足りなくなることに起因する。
従って,本発明は,上記した事情に鑑みてなされたものであり,システムリソースの不足が予想される状況になった場合には,セキュリティ上問題のない所定の情報については,出力の禁止を解除して,出来るだけシステムエラーなどが生じないように配慮された画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は,
あらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する時間帯を設定する処理禁止時間帯設定手段と,
前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯の間は,前記あらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する処理禁止手段と,
当該画像処理装置が情報を出力するために使用するシステムリソースの使用量を計測するリソース使用量計測手段と,
をそなえてなる画像形成装置であって,
現在の時刻が前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯に含まれると判断された時に,前記リソース使用量計測手段によって計測されたシステムリソースの総量を計測し,該システムリソースの総量が予め定めた所定の基準量に達したと判断された場合に,予め定めた所定の種類の情報についてのみ,出力禁止を解除する出力禁止解除手段を備えてなる画像形成装置として構成されている。
予め定めた所定の種類の情報として,特にセキュリティを考慮する必要のない情報が設定される。
その結果,システムリソースに余裕が無くなった場合に,上記セキュリティを考慮する必要のない情報についての出力禁止が解除されるので,システムリソースの余裕が回復し,システムエラーにつながる不都合が解消される。
この場合,前記出力禁止解除手段によって出力が解除される所定の種類の情報に,出力解除に関する優先度を設定しておくことで,セキュリティの低いものから順に出力することが出来,システムリソースの不足を補うことと,セキュリティ保護の両方がバランスよく達成される。
前記優先度は,管理者があらかじめ定めておくことが出来る。
具体的には,当該画像処理装置がファクシミリである場合に,前記優先度が,通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートの順に優先して出力を解除するという優先度である画像形成装置が考えられる。
さらに,前記システムリソースの使用量の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え,前記出力禁止解除手段が,前記履歴記憶手段に記憶された前記システムリソースの使用量に応じて,出力が解除される情報の種類を変化させる画像形成装置が考えられる。
具体的には,前記出力禁止解除手段が,前記履歴記憶手段に記憶された前記システムリソースの使用量が予め定めた所定の量に達した場合に,優先度にかかわりなく前記通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートの出力を一挙に解除するものが考えられる。
さらに,解除された出力の態様(fax,メールなど)を選択するための出力態様選択手段を備え,前記出力禁止解除手段が,出力の解除された情報について,前記出力態様選択手段によって選択された出力態様について優先して出力するものであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記のように,現在の時刻が前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯に含まれると判断された時に,前記リソース使用量計測手段によって計測されたシステムリソースの総量を計測し,該使用されているシステムリソースの総量が予め定めた所定の基準量に達したと判断された場合に,予め定めた所定の種類の情報についてのみ,出力禁止を解除するものであり,上記予め定めた所定の種類の情報は通常セキュリティ上問題のない所定の種類の情報(例えば,管理情報など)に設定されるので,その分上記出力される情報の記憶などに用いられていた記憶領域が開放されることになり,システムエラーなどが生じなくなるように配慮された画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の出力禁止処理におけるルール設定処理の手順を示すフロー図。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の出力処理の手順を示すフロー図。
【図3】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の制御系統を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置のメニュー表示画面例を示す図。
【図5】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の時刻設定画面例を示す図。
【図6】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の禁止設定画面を示す図。
【図7】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の時刻変更設定設定画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて,添付した図面を参照して,本発明を具体化した実施形態について説明し,本発明の理解に供することとする。図3に示すこの実施形態にかかる画像形成装置の制御系統から説明する。
図3に示すように,本発明の実施形態に係る画像形成装置Xは,スキャナ機能,プリント機能,コピー機能及びファクシミリ機能を備えたいわゆる複合機であって,原稿読取装置としてスキャナ部6を備えている。
本発明の対象である画像処理装置は,上記のような複合機としての複写機やファクシミリ以外にも,原稿読み取りを目的とするスキャナそのものであってもよい。
まず,図3に示すブロック図を参照しつつ,本発明の実施形態に係る画像形成装置Xの主要部の構成について説明する。
図3に示すように,画像形成装置Xは,メイン制御部1,操作・表示部2,データ記憶部3,画像処理演算部4,NIC5,スキャナ部6,プリント部7及びファクシミリ部8,時計部9等を備え,それらがバス11を通じて情報の受け渡しが可能な状態で接続されている。
【0010】
前記操作・表示部2は,情報を入力するための操作部2aと情報(画像を含む)を表示する表示部2bとを備えるものである。その操作部2aは,例えば,液晶表示装置の表面に設けられたタッチパネルやシートキー等である。また,前記表示部2bは,例えば,液晶表示装置である。この操作・表示部2により,利用者に対するマンマシンインターフェースが構成されている。
前記データ記憶部3は,原稿から読み取って得られた画像データや,画像データのプリント処理等の際に,必要に応じてその処理データを記憶する読み書き自在な大容量の不揮発メモリである。
この実施形態において問題となる着信された画像データや,ユーザのために印刷するための管理データなどもこのデータ記憶部3に一時的に記憶される。従って,データ記憶部3は,本発明におけるシステムリソースの一例である。
またシステムリソースの使用量の履歴もここに記憶される。この意味でデータ記憶部3は,この発明における履歴記憶手段の一例でもある。
さらに,後記する処理禁止開始時刻及び処理禁止終了時刻もこのデータ記憶部3に記憶される。
【0011】
前記画像処理演算部4は,専用の信号処理回路或いはDSP(Digital Signal Processor)等により構成され,画像データについて各種画像処理を行い,所定の印刷ジョブ記述言語で記述された印刷ジョブを画像形成に用いるビットマップ画像データに変換する処理や,外部装置へ送信する画像データ(例えば,JPEG形式等の所定の符号化がなされた画像データ等)の生成処理等を行うものである。
FAX受信した画像や管理データを印刷データに変換したりするのもこの画像処理演算部4の役目である。
【0012】
前記NIC5は,例えば標準規格IEEE802.3に準拠したLAN及びインターネット等からなるネットワークを通じて,情報処理端末や電子メールサーバ等の外部装置との間でデータ(スキャナ部6による読み取り画像のデータを含む)の送受信を行う通信インターフェースである。
前記スキャナ部6は,不図示のガラス製の原稿台上に載置された原稿や,不図示のADFにより搬送される原稿から,その原稿に形成された画像をそのカラー(R,G,B)を区別して読み取るカラースキャナである。
【0013】
前記プリント部7は,前記メイン制御部1によって制御されるいわゆるプリントエンジンであり,不図示の給紙カセットに収容された記録紙を1枚ずつ順次送り出し,所定の画像形成位置を経て排紙トレイまで搬送するとともに,その画像形成位置において,前記スキャナ部6により原稿から読み取られた原稿の画像データや,画像処理演算部4により生成された印刷用の画像データ等に基づいて,記録紙(記録材の一例)に画像を形成(出力)する機器及びその機器を制御するMPU等の部品の集合である。この発明におけるFAX受信された画像や管理データの画像を印刷するのもこのプリント部7の役割である。
前記ファクシミリ部8は,NCU(Network Control Unit)やモデム等の通信手段を備え,ダイヤルアップや通信相手(相手局)との間で通信方法を決定するネゴシエーション処理等を行い,電話回線を通じて他のファクシミリ装置とファクシミリデータ(スキャナ部6による読み取り画像データ)の送受信を行うものである。
また,時計部9は,この実施形態における出力処理禁止の開始時刻や終了時刻を記憶する一種の記憶部である。その機能は,後述される。
【0014】
前記メイン制御部1は,前記スキャナ部6,前記プリント部7,前記ファクシミリ部8,前記操作・表示部2,前記データ記憶部3,前記画像処理演算部4,及び時計部9の各々を制御するものである。
例えば,メイン制御部1は,プリント部7に,NIC5を通じて受信される印刷ジョブに基づく印刷処理(画像形成処理)を実行させる。また,メイン制御部1は,ファクシミリ部8に,指定された送信先の電話番号を発呼して送信対象となる画像データを送信したり,受信したファクシミリ画像を前記プリント部7を用いて印字出力するファクシミリ送信処理を実行させる。さらに,メイン制御部1は,スキャナ部6に,原稿からその原稿に形成された画像を読み取るスキャン処理を実行させる。
このようにメイン制御部1は,インストールされた種々のプログラムに基づいて本発明における種々の機能を実行する手段を構成する。
例えば,あらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する時間帯を設定する処理禁止時間帯設定のプログラムを実行する処理禁止時間帯設定手段,前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯の間は,前記あらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する処理禁止手段,当該画像形成装置が情報を出力するために使用するシステムリソースの使用量を計測するリソース使用量計測手段,現在の時刻が前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯に含まれると判断された時に,前記リソース使用量計測手段によって計測されたシステムリソースの総量を計測し,該システムリソースの総量が予め定めた所定の基準量に達したと判断された場合に,予め定めた所定の種類の情報についてのみ,出力禁止を解除する出力禁止解除手段はすべてこのメイン制御部1により実行される。
【0015】
続いて,上記メイン制御部1によって実行される各種の機能について,その実施手順に基づいて説明する。
ここに,S1,S2…は前記メイン制御部1が実行する処理手順(ステップ)の識別符号である。
以下の処理に先立って,図6(a)に示すような画面から禁止機能を設定するかどうか,禁止機能の種類,禁止処理の開始時刻,終了時刻があらかじめ設定されている。その結果,禁止された時間帯に,その機能(例えば,プリンタ受信,FAX受信,FAX転送など)を使用しようとすると,図6(b)に示すように,「この機能は現在使用禁止です」というコメントと共に,禁止された時間帯が表示される。また図7に示すような画面からの入力によって,現在時刻を変更した時に,そのことをE−Mailで通知するか,システムを一時停止するか,現在時刻設定の際に,ユーザ認証を行うかといった基本的な条件が設定されているものとする。ここではユーザ認証行う,と設定されていることを前提とし,ユーザのIDとパスワードが予めデータ記憶部3に記憶されていることを前提とした手順を説明する。
【0016】
禁止処理には2つのルール(後記する絶対時刻に基づく処理と相対時刻に基づく処理)があって,いずれのルールに従って禁止処理をするかを事前に設定する必要がある。
図1は,上記禁止処理の計測時間に関する時刻設定のルールを設定するための手順であり,通常は,ユーザの一例としての管理者によって処理される例を以下に示す。
最初にメイン制御部1は,図4に示すメニュー画面を前記操作・表示部2に表示する。ここで管理者が時刻管理のボタンB1を押すと,図1に示す処理が開始される。
前記したように処理はユーザ認証を必要とすると事前に設定されているので,処理が開始されると,メイン制御部1は,ユーザのIDとパスワードの入力を促す(S1)べく,例えば図5(a)に示すような入力画面を前記操作・表示部2に表示する。
【0017】
ここでユーザ名(ID)とパスワードが入力されると(S2でYES),メイン制御部1は,その入力内容をあらかじめデータ記憶部3に記憶されているID及びパスワードと照合する。
照合結果がOKであれば(S3でYES),メイン制御部1は,図5(c)に示す現在時刻の設定を変更するかどうかの選択画面を表示する(S4)。
ここで「現在時刻の設定を変更する」のボタンB2が押される(S5でYES)と,メイン制御部1は続いて図6(c)に示す絶対時刻と相対時刻の選択画面を表示する(S6)。
【0018】
この画面には,変更後の時刻を基準として,禁止処理の開始及び終了の時間帯を再設定することを求めるボタン(絶対時刻設定ボタン)B3と,変更後の時刻との差分を反映して禁止処理の開始及び終了の時間帯の時刻を再設定することを求めるボタン(相対時刻設定ボタン)B4とが表示されており,いずれかのボタンが押される(S7においてYES)と,選択されたボタンに応じたルールが前記データ記憶部3に記憶される。即ち,管理者によって絶対時刻設定ボタンB3が押されると,次の現在時刻を設定する手順によって設定される時刻を,時計部9により計測される時刻を基準とする絶対時刻とするルール(実際には絶対時刻を示すフラグがデータ記憶部3に記憶され)が記憶され,相対時刻設定ボタンB4が押されると,次の現在時刻を設定する手順によって設定される時刻を,前記時計部9により計測される時刻との相対時刻とするルール(実際には絶対時刻を示すフラグがデータ記憶部3に記憶されない)が記憶される(S8)。
さらにメイン制御部1は図5(b)に示したような現在時刻を設定する画面を表示し,ここで設定ボタンB5が押されると,この画面で入力された現在時刻をデータ記憶部3に記憶する(S9)。
以上で,絶対時刻で計算するか,相対時刻(差分で時刻を設定)で計算するかのルールとユーザ(ここでは管理者)にとっての現在時刻が設定される。
【0019】
上記各種設定が行われている状態で画像形成装置X(この場合ファクシミリ)がファクシミリ情報を受信した場合の禁止処理及び出力処理の手順について図2を参照して説明する。
この実施形態では,画像形成装置の一例としてファクシミリが用いられる場合を想定しているが,それ以外の画像形成装置としてプリンタや複写機(複合機能を備えたものを含む)についても同様に適用される。
この処理はS10のファクシミリ受信待ち状態から開始される。ファクシミリ情報が受信されると,メイン制御部1によって時計部9が参照されて行われる現在時刻が前記S8で設定された処理禁止時間帯に含まれるか否かの判断される(S11)。
現在時刻が読み出されて,現在,処理禁止時間帯である(S11でYES)と判断されると処理はS12に移る。現在,処理禁止時間帯でない(S11でNO)と判断されると処理はS13aに移って,受信したファクシミリ情報が出力(印刷)されて,処理は最初のファクシミリ情報受信待ちの状態に戻る。
【0020】
S11で現在処理禁止時間帯であると判断された場合には,あらかじめ定められた所定量のシステムリソースがあるか,例えば,前記データ記憶部3にあらかじめ定めたある程度の余裕をみた記憶容量残があるか否かが判断される(S12)。システムリソースは上記のようなデータ記憶部3のみでなく,出力処理のために使用され,出力が完了されるまでデータが保持されるあるゆる資源を含む概念であるが,ここではデータ記憶部3が例示される。
予め定められた所定量のシステムリソースが残っていると判断された場合には,受信したファクシミリ情報が出力(印刷)されて,処理は最初のファクシミリ情報受信待ちの状態に戻る(S13b)。
【0021】
一方,S12において,システムリソースの残量が,所定量以上無いと判断された場合(S12においてNO)には,あらかじめ定められた所定期間内のシステムリソースの使用履歴をチェックする(S14)。
このチェックは,前記データ記憶部3における使用履歴をチェックすることにより行われる。
データ記憶部3には,情報の記憶された量とその記憶日時が一緒に書き込まれているので,例えば,S11におけるファクシミリ情報の受信時から,過去1時間といった所定期間における情報記憶量を計算することが容易であり,この所定期間内の情報記憶量という履歴情報を参照することで,この所定期間内にどの程度急激に情報の記憶が行われているかが推測される。
このようなシステムリソースの使用履歴から見て所定期間内に記憶量が急激に増えていると判断される場合には,そのまま無制限にファクシミリ情報の受信を続けていると,遅からずデータ記憶部3の余裕が無くなって,システムエラーが生じる可能性が高いことを物語っている。
従って,メイン制御部1は,システムリソースの使用履歴が所定量以上であると判断した場合(S15でYES)には,データ記憶部3を検索して,予め定めた所定の種類の保存情報があればそれをすべて出力する(S16)。
予め定めた所定の種類の保存情報の一例としては,通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートがある。これらは,外部からの受信情報ではなく,当該画像形成装置そのものの管理に関する情報であるので,比較的高度のセキュリティを維持する必要がない。そこで,データ記憶部3の余裕が無い場合には,出力することでデータ記憶部3の余裕を確保するほうがよいから,そのような低セキュリティ情報が含まれていればそれを出力してデータ記憶部3の空き領域を広げるのである。
【0022】
前記S15でシステムリソースの使用履歴における使用量が所定量以上でなければ(S15でNO),当面セキュリティの低いデータから出力すればよいと考えられ,データ記憶部3に記憶された情報のどれを出力するかを判断するために,記憶されている情報の優先度をチェックする(S17)。
データ記憶部3に記憶された情報には,前記のように通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートといったその種類に関する情報も含まれている。
また,管理者は,予めどの情報がセキュリティ上の高度性を持っているかの情報(優先度)を保存しておく。この実施形態の場合には,一般の実務にならって,通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートについてこの順にセキュリティが低く設定されている。従って,システムリソースが足りなくなっている状況では,この順に出力して,データ記憶部3の空き領域を増やす。
【0023】
即ち,次の手順としてメイン制御部1は,データ記憶部3に,最優先に出力すること(つまりセキュリティの度合いが低いこと)が設定されている通信結果レポートが含まれているか否かを判断する(S18)。通信結果レポートが含まれている場合(S18でYES)には,データ記憶部3に記憶された通信結果レポートをすべて出力し(S19),S12のシステムリソース量の判断処理に戻る。通信結果レポートが含まれていない場合(S18でNO)には,処理をS20に進める。
S20では,データ記憶部3に,管理レポートが含まれているか否かを判断する。管理レポートが含まれている場合(S20でYES)には,データ記憶部3に記憶された管理レポートをすべて出力し(S21),S12のシステムリソース量の判断処理に戻る。また,管理レポートが含まれていない場合(S20でNO)には,処理をS22に進める。
S22では,データ記憶部3に,エラーレポートが含まれているか否かを判断する。エラーレポートが含まれている場合(S22でYES)には,データ記憶部3に記憶されたエラーレポートをすべて出力し(S23),S12のシステムリソース量の判断処理に戻る。また,エラーレポートが含まれていない場合(S22でNO)には,処理をS24に進める。
【0024】
S24では,データ記憶部3に,指定したユーザの権限データが含まれているか否かを判断する。権限データが含まれている場合(S24でYES)には,データ記憶部3に記憶された指定したユーザ(比較的セキュリティ度の低いユーザ)に権限のある情報をすべて出力する(S25)。また,ユーザの権限データが含まれていない場合(S24でNO)には,データ記憶部3に出力してもよいデータが全くないので,前記表示部2bにエラー表示を行い,S12のシステムリソース量の判断処理に戻ると共に,ファクシミリ情報が送られてきても受信を拒否し,さらに管理レポートなどの出力データの作成を停止し(S26),処理を最初のS10(ファクシミリ受信待ち状態)に戻す。
【0025】
以上述べたように,この実施形態では,現在の時刻が前記予め設定された処理禁止時間帯に含まれると判断された時に,前記残っているシステムリソースの総量を算出し,該システムリソースの総量が予め定めた所定の基準量に達したと判断された場合に,予め定めた所定の種類の情報についてのみ,出力禁止を解除するものであり,上記予め定めた所定の種類の情報は通常セキュリティ上問題のない所定の種類の情報(例えば,管理情報など)に設定されるので,その分上記出力される情報の記憶などに用いられていた記憶領域が開放されることになり,システムエラーなどを生じなくすることができる。
上記実施形態においては,データ記憶部3に記憶されている情報量が予め定めた所定量を超えた時には,どのような出力を行うかについても予め定めておくことが出来る。例えば,電子メールによる出力であれば,それほどセキュリティを低下させることがないので,まず電子メールによって出力し,その後に必要であればプリントによる出力を行うと言った態様も本発明の一部である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は,予め設定された時間帯における所定の出力処理を禁止する機能を備えた画像形成装置に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0027】
B1〜B5…ボタン
9…時計部
3…データ記憶部
S1〜…ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する時間帯を設定する処理禁止時間帯設定手段と,
前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯の間は,前記あらかじめ設定された所定の出力処理を禁止する処理禁止手段と,
当該画像処理装置が情報を出力するために使用するシステムリソースの使用量を計測するリソース使用量計測手段と,
を備えてなる画像形成装置であって,
現在の時刻が前記処理禁止時間帯設定手段によって設定された処理禁止時間帯に含まれると判断された時に,前記リソース使用量計測手段によって計測されたシステムリソースの総量を計測し,該システムリソースの総量が予め定めた所定の基準量に達したと判断された場合に,予め定めた所定の種類の情報についてのみ,出力禁止を解除する出力禁止解除手段を備えてなる画像形成装置。
【請求項2】
前記出力禁止解除手段によって出力が解除される所定の種類の情報に,出力解除に関する優先度が設定されてなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記優先度が,管理者があらかじめ定めた種類の情報を優先して出力を解除するという優先度である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
当該画像処理装置がファクシミリである場合に,前記優先度が,通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートの順に優先して出力を解除するという優先度である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
さらに,前記システムリソースの使用量の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え,
前記出力禁止解除手段が,前記履歴記憶手段に記憶された前記システムリソースの使用量に応じて,出力が解除される情報の種類を変化させるものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力禁止解除手段が,前記履歴記憶手段に記憶された前記システムリソースの使用量が予め定めた所定の量に達した場合に,優先度にかかわりなく前記通信結果レポート,管理レポート,エラーレポートの出力を一挙に解除するものである請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
さらに,解除された出力の態様(fax,メールなど)を選択するための出力態様選択手段を備え,
前記出力禁止解除手段が,出力の解除された情報について,前記出力態様選択手段によって選択された出力態様について優先して出力するものである請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−114774(P2011−114774A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271525(P2009−271525)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】