説明

画像形成装置

【課題】絶縁耐圧試験用電源のような外部電源を用いることなく、装置内部でリレーを強制オンさせる電力を供給し、画像形成装置の絶縁耐圧試験を行なう。
【解決手段】商用交流電源1と、商用交流電源1からDC電圧を生成するAC/DCコンバータと、商用交流電源1から電力供給される定着器のヒータ61と、商用交流電源1からヒータ61への電力供給経路に設けられたリレー53、54と、を備えた画像形成装置に、リレーを所定の時間だけオン状態に維持する電力を蓄えておくコンデンサ72と、外部スイッチ51の操作によりリレーを強制的にオン状態にさせるトランジスタ73と、を設けることにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に画像形成装置の絶縁耐圧試験に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の製造工程において必要とされる検査工程に、絶縁耐圧試験工程がある。この工程は、商用交流電源と装置フレームグランドとの間に所定の高電圧を印加して装置の絶縁を確認するものであり、各国安全規格において必須項目とされている試験である。
【0003】
従来行われていた画像形成装置の絶縁耐圧試験の概要について、以下に説明する。
【0004】
図5は、従来の画像形成装置の絶縁耐圧試験に関係する、電源及び定着器回路の回路図である。1はAC(交流)電源であり、商用交流電源に繋がる電源プラグ、又はインレットを介して電力供給される。2は、画像形成装置のフレームグランド(以下、「FG」と記す)である。3はラインフィルタのコモンモードコイル、4はラインフィルタのYコンデンサであり、画像形成装置の電源で発生したノイズが商用交流電源へ流出することを防止するための回路である。
【0005】
まず初めに、画像形成装置の駆動用電力を供給するための24V用のAC/DCコンバータについて説明する。
【0006】
5は、AC電源の整流を行なうダイオードブリッジであり、AC電源1を全波整流し、AC電圧からDC電圧に変換するものである。6は、整流後の電圧平滑を行なう1次平滑コンデンサである。7は、1次側電圧であるAC電圧から2次側電圧のDC電圧(24V)を生成するAC/DCコンバータを制御する電源ICであり、起動抵抗8にて電力供給され起動される。
【0007】
電源IC7が起動されると、1次側から2次側へ絶縁が保持された状態で電力変換するトランス9に通電を行なうため、電源IC7はFET(電界効果トランジスタ)10をオンする。FET10がオンされると、FET10から出力された電流は、電流検出抵抗11へ流れる。電流検出抵抗11で検出された電流は、電流検出抵抗11の電圧降下により電圧情報に変換され、この電圧情報は電源IC7へ入力される。電源IC7は、前記電圧情報により所定の電圧に達したことを検出すると、FET10をオフする。
【0008】
FET10がオフされると、トランス9の2次側出力からフライバック電圧が発生する。2次側で発生した電流は、2次側の電流を整流する2次整流ダイオード12を経由し、2次側の電流を平滑する2次平滑コンデンサ13に充電される。トランス9の2次側出力の放電が終了すると、再びFET10がオンされる。トランス9のドライブ巻き線9_2は、2次側出力電圧に比例した電圧を出力し、2次側電圧の上昇と共にその電圧が上昇していく。14は、ドライブ巻き線9_2の整流ダイオードであり、ドライブ巻き線9_2の電圧を整流し、後段の平滑コンデンサ15に充電を行い、DC電圧の生成を行なう。このDC電圧は電源IC7の電源に供給され、その駆動を行なう。
【0009】
一方で、ドライブ巻き線9_2から出力された電圧は、降圧するためのボトム電圧降圧用抵抗16に出力され、電源IC7のボトム点検出用端子へ出力される。ボトム点検出用端子は、FET10をオンさせるタイミングを検出するための端子であり、トランス9の1次巻き線と相似な電圧波形が入力される。電源IC7は、トランス9の1次巻き線の電圧が最小になるタイミングを検出し、その最小電圧になったタイミングでFET10をオンする制御を行なう。また、17はボトム検出調整コンデンサであり、ボトム検出タイミングの電圧波形遅延を行い、ボトム点のタイミングを微調整する。
【0010】
続いて24V電圧制御について説明を行なう。
【0011】
2次平滑コンデンサ13の電圧は、抵抗分割された電圧検出抵抗18により検出され、基準電圧との比較を行なうシャントレギュレータ19へ出力される。シャントレギュレータ19は、基準電圧と検出された電圧との誤差量を検出し、シャントレギュレータの出力電流制限抵抗20を経由して1次側へ伝達するために、その誤差量を電圧制御用のフォトカプラ21へ出力する。電圧制御用のフォトカプラ21のアノードは、2次平滑コンデンサ13のラインに接続されて電力供給される。なお、本従来例では、2次平滑コンデンサ13の端子間の電圧を電圧24Rと呼ぶことにする。22、23は、それぞれ位相補償用のコンデンサと抵抗である。
【0012】
電源IC7は、フォトカプラ21を介して1次側に伝達された前記誤差量に従って、2次平滑コンデンサ13の端子間電圧が24Vになるように、FET10のオンデューティを制御する。なお、24は、1次側の位相補償用コンデンサであり、電圧制御ループが発振しないようにするためのものである。
【0013】
次に、画像形成装置の制御部への電力を供給するための3.3V用のAC/DCコンバータの説明を行なう。
【0014】
25は、AC電源1の全波整流を行なうダイオードブリッジであり、AC電圧はDC電圧に変換される。そして、1次平滑コンデンサ26によって整流後の電圧平滑が行われる。27は、1次側電圧であるAC電圧から2次側電圧のDC電圧(3.3V)を生成するAC/DCコンバータを制御する電源ICであり、起動抵抗28にて電力供給され、起動される。
【0015】
電源IC27が起動されると、1次側から2次側へ絶縁が保持された状態で電力変換するトランス29に通電を行なうため、電源IC27はFET30をオンする。FET30がオンされると、FET30から出力された電流は、電流検出抵抗31へ流れる。電流検出抵抗31で検出された電流は、電流検出抵抗31の電圧降下により電圧情報へ変換され、この電圧情報は電源IC27へ入力される。電源IC27は、前記電圧情報により所定の電圧に達したことを検出すると、FET30をオフする。
【0016】
FET30がオフされると、トランス29の2次側出力からフライバック電圧が発生する。2次側で発生した電流は、2次側の電流を整流する2次整流ダイオード32を経由し、2次側の電流を平滑する2次平滑コンデンサ33に充電される。トランス29の2次側出力の放電が終了すると、再びFET30がオンされる。トランス29のドライブ巻き線29_2は、2次側出力電圧に比例した電圧を出力し、2次側電圧の上昇と共に、その電圧が上昇していく。34は、ドライブ巻き線29_2の整流ダイオードであり、ドライブ巻き線29_2の電圧を整流し、後段のドライブ巻き線29_2の平滑コンデンサ35に充電を行い、DC電圧の生成を行なう。このDC電圧は、電源IC27の電源に供給され、その駆動を行なう。
【0017】
一方で、ドライブ巻き線29_2から出力された電圧は、降圧を行なうためのボトム電圧降圧用抵抗36に出力され、電源IC27のボトム点検出用端子へ出力される。ボトム点検出用端子は、FET30をオンさせるタイミングを検出するための端子であり、トランス29の1次巻き線と相似な電圧波形が入力される。電源IC27は、トランス29の1次巻き線の電圧が最小になるタイミングを検出し、その最小電圧になったタイミングでFET30をオンする制御を行なう。また、37はボトム検出調整コンデンサであり、ボトム検出タイミングの電圧波形遅延を行い、ボトム点のタイミングを微調整する。
【0018】
続いて3.3V電圧制御について説明を行なう。
【0019】
2次平滑コンデンサ33の電圧は、抵抗分割された電圧検出抵抗38により検出され、基準電圧との比較を行なうシャントレギュレータ39へ出力される。シャントレギュレータ39は基準電圧と検出された電圧との誤差量を検出し、シャントレギュレータの出力電流制限抵抗40を経由して1次側へ伝達するために、その誤差量を電圧制御用のフォトカプラ41へ出力する。電圧制御用のフォトカプラ41のアノードは、2次平滑コンデンサ33のラインに接続されて電力供給される。なお、本従来例では、2次平滑コンデンサの端子間の電圧を電圧3.3Vと呼ぶことにする。42、43は、それぞれ位相補償用のコンデンサと抵抗であり、位相補償を行なうものである。
【0020】
電源IC27は、フォトカプラ41を介して1次側に伝達された前記誤差量に従って、2次平滑コンデンサ33の端子間が3.3Vになるように、FET30のオンデューティを制御する。なお、44は、1次側の位相補償用コンデンサであり、電圧制御ループが発振しないようにするものである。
【0021】
次に、24V出力ラインに接続されている回路の説明を行なう。45は、省エネ用のFETであり、画像形成装置の駆動を行なうモータ48やファン49などを駆動させる素子への電力供給を行なう24V出力ラインを制御して、電力の供給や遮断を行なう。画像形成装置がプリント動作を行なっていない場合、FET45をオフすることにより、その後段に接続されているモータ48やファン49などの負荷への電力供給を遮断し、消費電力の低減を行なう。FET45のオン/オフ制御は画像形成装置の制御を司るCPU50で行なう。なお、46はFET45のゲート抵抗であり、47はFET45のプルアップ抵抗である。なお、FET45の後段の電圧は、電圧24Uと呼ぶことにする。
【0022】
続いて、3.3V出力ラインに接続されている回路の説明を行なう。3.3V出力ラインの負荷として、CPU50や画像形成装置の状態を検知するセンサ等が接続されているが、CPU50以外の回路については絶縁耐圧試験に関係しないため、ここでは、その説明を省略する。51は、画像形成装置のテストプリントを行なうテストプリントスイッチである。CPU50は、テストプリントスイッチ51がオンされると3.3Vを検知し、オフされるとテストプリント用のプルダウン抵抗52を経由しFGに接続されるので、0Vを検知する。そして、CPU50は、テストプリントスイッチ51がオンされたことを検知すると、設定された画像をプリントするテストプリントを行なう。
【0023】
次に、シート材にトナーを熱定着させるための定着器回路の説明を行なう。AC電源1から分岐したAC電源のホット側と定着器間、及びAC電源のニュートラル側と定着器間にはそれぞれリレーが設けられ、CPU50からの信号により、熱定着させるための熱源であるヒータ61への通電経路が接続/切断される。本従来例では、53をAC電源のホット側リレーとし、54をAC電源のニュートラル側リレーとする。それぞれのリレーは、電圧24Rに接続されており、CPU50から出力されたリレーオン信号により、リレー駆動用のトランジスタ55、56がオンされて通電が行われ、それによりリレー53、54がオンされる。なお、57、58は、それぞれトランジスタ55、56のベース抵抗であり、59、60は、それぞれトランジスタ55、56のプルダウン抵抗である。
【0024】
ホット側リレー53を経由したAC電圧は、CPU50からの信号でリレー53をオン/オフ制御することにより、ヒータ61への通電比率が制御される。ヒータ61は、不図示の温度検知センサによりCPU50が設定した所定の温度になるよう温度制御するトライアック62にて、ヒータ61への印加電圧比率を制御され、温度制御される。トライアック62は1次と2次を絶縁するためのフォトトライアック63を介して、CPU50からのオン信号に従って、AC電圧のオン/オフ制御を行なう。なお、64はフォトトライアック63のフォトダイオードへ電流制限を行なう抵抗であり、65はフォトダイオードへの通電を行なうフォトトライアック駆動用のトランジスタである。また、66、67は、それぞれトランジスタ65のベース抵抗、プルダウン抵抗である。また、トライアック62の端子間に接続されている回路は、トライアックがスイッチングする際に発生するノイズを吸収するためのスパークキラー68である。
【0025】
続いて、絶縁耐圧試験の説明を行なう。絶縁耐圧試験については、例えば、特許文献1において、その簡略化した試験方法が開示されている。絶縁耐圧試験は画像形成装置がエンクロージャーで覆われている状態、すなわち、1次側の部材が画像形成装置の外部より絶縁されている状態で行われる。この試験は、AC電源1を供給するインレット部のホット側とFG2との間と、ニュートラル側とFG2との間に、それぞれ所定の高電圧を印加し、印加箇所での電流値が規定以下であることを確認することで、絶縁耐圧が確保されていることを確認するものである。
【0026】
また、リレーが2ヶ所設けられている画像形成装置の絶縁耐圧試験では、少なくともどちらか一方のリレーを外部より強制的にオンさせ、インレットに接続されている全ての1次側の部品に、絶縁耐圧用の所定の高電圧を印加できるようにする必要がある。前述したように、絶縁耐圧試験は1次側の部材が画像形成装置の外部から絶縁された状態で行われるため、コネクタ69を設け、画像形成装置の外部からリレーを強制的にオンさせるための電力を供給する必要がある。70はリレーを強制オンさせるための絶縁耐圧試験用の電源である。また、71はリレーを強制オンさせた時の電流が画像形成装置の電圧24Rラインへ逆流しないように設けられた逆流防止用のダイオードである。
【0027】
本従来例では、2個のリレーで構成された画像形成装置を用いて説明を行なった。例えば、n個のリレーで構成された画像形成装置の場合は、前述したようにインレットに接続されている全ての1次側の部品に絶縁耐圧用の高電圧を印加するために、少なくともn−1個のリレーを強制オンさせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2002−258640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかしながら、上記従来例においては、以下に示す問題点があった。
【0030】
絶縁耐圧試験を行なう際は、画像形成装置が完成状態である必要がある。したがって、前述したコネクタ69は、完成状態で画像形成装置外部からアクセス可能な位置に設けられている必要がある。そのため、静電気による放電でコネクタ69に接続された素子が破壊されないように、静電気対策を行なう必要がある。もし、静電気によりリレーを強制的にオンさせる回路が破壊された場合、本来の異常状態を回避するためのリレー動作ができなくなるからである。静電気対策の例としては、コネクタ69の周囲に避雷針を設けて外部からの静電気を放電させる構成や、コネクタ69を覆う蓋を設けて絶縁耐圧試験の終了後に蓋を閉め、外部からの静電気をコネクタ69に放電させない構成が考えられる。
【0031】
また、シート材の給紙や排紙用オプションを備えている画像形成装置であれば、絶縁耐圧試験用のコネクタを別途設ける代わりに、排紙用オプションと画像形成装置を接続するオプション用コネクタにリレーを強制的にオンさせる信号を割り当てる構成も考えられる。オプション用コネクタは、元々ユーザからの静電気が放電しないように対策が施されているため、別途静電気対策を行なう必要はない。しかしながら、前述したようなリレーを強制的にオンさせるためには、いずれの場合も、コネクタからリレーへ信号を中継するための電線も必要であり、装置を複雑化させている要因となっていた。
【0032】
本発明は上記問題に鑑み、簡単な回路の追加と簡単な操作により、前述した絶縁耐圧試験用電源70のような外部電源を用いることなく、リレーを強制オンさせる電力を供給し、画像形成装置の絶縁耐圧試験を行なうことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
前記課題を解決するため、本発明では、画像形成装置を次のとおりに構成する。
【0034】
商用交流電源と、
前記商用交流電源からDC電圧を生成するAC/DCコンバータと、
前記商用交流電源から電力供給される定着器のヒータと、
前記商用交流電源から前記ヒータへの電力供給経路に設けられたリレーと、
を備えた画像形成装置において、
前記リレーを所定の時間だけオン状態に維持する電力を蓄えておく電力蓄積手段と、
外部スイッチの操作により前記リレーを強制的にオン状態にさせるリレー強制オン手段と、を備えた画像形成装置。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、外部電源を用いることなく簡単な回路の追加と簡単な操作で、リレーを強制的にオンさせる電力を供給し、画像形成装置の絶縁耐圧試験を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例1の絶縁耐圧試験に関する電源及び定着器回路の回路図
【図2】実施例1の絶縁耐圧試験を行なう際のタイムチャート
【図3】実施例2の絶縁耐圧試験に関する電源及び定着器回路の回路図
【図4】実施例2の絶縁耐圧試験を行なう際のタイムチャート
【図5】従来の絶縁耐圧試験に関係する電源及び定着器回路の回路図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態を実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0038】
図1は、本実施例における画像形成装置の絶縁耐圧試験に関係する電源及び定着器回路の回路図である。本実施例の電源回路の動作、及び定着器回路の動作は、前述した従来例と同じであるため詳しい説明は省略し、以下では従来例と比べての変更点と追加点に関して詳しく説明を行なう。
【0039】
図1において、61は、シート材にトナーを熱定着させるための定着器のヒータであり、熱定着させるための熱源である。そして、AC電源1から分岐したAC電源のホット側とヒータ間、及びAC電源のニュートラル側とヒータ間にそれぞれリレー53、54が設けられ、CPU50の制御により、AC電源1からヒータ61への電力供給経路の接続/切断が行われる。
【0040】
商用交流電源であるAC電源1より電力供給されると24V用AC/DCコンバータが起動され、電圧24RにDC電圧の24V電圧が生成される。そして、アノードが電圧24R側に接続されている逆流防止用のダイオード71を経由し、ホット側リレー53、ニュートラル側リレー54にそれぞれ24V電圧が印加される。ここで、逆流防止用のダイオード71を経由した後のカソード側の電圧を電圧24Zとする。
【0041】
72は、ニュートラル側リレー54への電源供給部である電圧24Zとグランド間に挿入された絶縁耐圧試験駆動用コンデンサ(電力蓄積手段)である。コンデンサ72は、AC電圧1を印加するインレットが抜かれ、電圧が印加されなくなった状態で、絶縁耐圧試験の高電圧を印加する所定の時間(数秒間)だけニュートラル側リレー54をオン状態で維持できる電荷を保持するために設けられている。
【0042】
73はニュートラル側リレー54を画像形成装置外部からの操作により強制的にオンさせるためのリレー強制オン用のトランジスタである。74、75はそれぞれリレー強制オン用のトランジスタ73のベース抵抗とプルダウン抵抗である。
【0043】
76は、外部スイッチであるテストプリントスイッチ51を電圧24Zにプルアップするテストプリント兼リレー強制オン信号用のプルアップ抵抗である。そして、テストプリントスイッチ51がオンされると、テストプリント用のプルダウン抵抗52を経由し、CPU50への過電圧印加を防止するための過電圧防止用のコンデンサ93に、電圧24Zからの電荷が充電される。
【0044】
また、コンデンサ93に発生する電圧は、プルアップ抵抗76とテストプリント用のプルダウン抵抗52で抵抗分圧された3.3Vであり、この電圧はCPU50とリレー強制オンさせるための第1のリレー強制オントランジスタ77へ印加される。なお、78、79は、それぞれ第1のリレー強制オントランジスタ77のベース抵抗とプルダウン抵抗である。
【0045】
リレー強制オン信号を兼ねたテストプリントスイッチ51のオン操作により第1のリレー強制オントランジスタ77のベースにリレー強制オン信号が印加され、第2のリレー強制オントランジスタ80がオンし、リレー強制オン用のトランジスタ73をオンさせる。なお、81、82、83は、それぞれ第2のリレー強制オントランジスタ80のベース抵抗、プルアップ抵抗、コレクタ抵抗である。
【0046】
次に、AC電圧1が印加されている状態で、3.3V用AC/DCコンバータが起動され、電圧3.3Vラインに電圧が発生している場合、リレー強制オン用のトランジスタ73が強制オフ状態になる回路の説明を行なう。電圧3.3Vが発生すると、リレー強制オン禁止用のトランジスタ84がオンされ、その結果、リレー強制オン用のトランジスタ73のベースがFG2へ接続され、トランジスタ73は強制的にオフ状態となる。なお、85、86はそれぞれ前記リレー強制オン禁止用のトランジスタ84のベース抵抗とプルダウン抵抗である。
【0047】
このように、AC電圧1が印加されている通常運用時では、外部よりテストプリントスイッチ51の如何なる操作を行なっても、リレー強制オン用のトランジスタ73がオンしないように回路が構成されており、テストプリントスイッチ51のオン操作は無効となる。これにより、異常時やスタンバイ時にヒータ61への電力供給経路を切断するホット側リレー53とニュートラル側リレー54を、CPU50によって確実に制御することができるようになる。
【0048】
図2は、本実施例における絶縁耐圧試験を行なう際のタイムチャートである。
【0049】
時間タイミング87において、AC電源1をオンすると、24V用AC/DCコンバータ、及び3.3V用AC/DCコンバータが起動され、電圧24Rライン、電圧24Zライン、電圧24Uライン及び電圧3.3Vラインにそれぞれ電圧が発生する。続いて、時間タイミング88において、AC電源1をオフすると、電圧24Uラインと電圧3.3Vラインの電圧は接続されている負荷により、その電圧は瞬時に減少する。一方、電圧24Zラインは逆流防止用のダイオード71により負荷と切断されているため、その電圧の減少が抑制される。
【0050】
続いて、時間タイミング89において、テストプリントスイッチ51をオンすると、リレー強制オン用のトランジスタ73がオンされ、ニュートラル側リレー54がオンされる。ニュートラル側リレー54がオンされている間にFG2に対して、AC電源1のホットラインとニュートラルラインに所定の高電圧を印加させ、絶縁耐圧試験を行なう。絶縁耐圧試験後は、時間タイミング90において、テストプリントスイッチ51をオフし、絶縁耐圧試験の終了となる。
【0051】
以上説明したように、絶縁耐圧試験用の電力をコンデンサに蓄積させることにより、リレーを強制オンさせるために外部から電力を供給していた従来の作業が不要となり、簡単な操作により画像形成装置の絶縁耐圧試験を行なうことができる。また、外部から電力を与える従来の構成においては、強制的にリレーオンを行なうためのコネクタを設け、さらにコネクタからリレーまで電力を伝送する束線が必要であった。本発明では、簡単な回路の追加により、これらコネクタや束線が不要となり、装置の簡素化を図ることができる。
【実施例2】
【0052】
図3は本実施例における画像形成装置の絶縁耐圧試験に関係する電源及び定着器回路の回路図である。本実施例の電源回路の動作、及び定着器回路の動作は、実施例1と同様に前述した従来例と同じであるため、詳しい説明は省略する。本実施例では、実施例1で説明した絶縁耐圧試験駆動用のコンデンサ72と逆流防止用のダイオード71を削除し、テストプリント兼リレー強制オン信号用のプルアップ抵抗76の接続先を電圧24Zから電圧24Rへ変更し、さらに簡単な回路を追加した。また、絶縁耐圧試験用のコンデンサとしては、24V用の2次平滑コンデンサ13を流用することにより、回路のコストダウンを図っている。以下では、前述した実施例1との追加点と変更点に関して詳しく説明する。
【0053】
本実施例でも、絶縁耐圧試験時には、一旦、AC電源1をオンし、続いてAC電源1をオフすることにより、一時的にリレーを強制オンさせるための電力を画像形成装置の2次平滑コンデンサ13内に蓄積させる。以下、そのメカニズムについて説明する。
【0054】
FET45は、24V用AC/DCコンバータ出力の負荷であるモータやファンなどへの電力の供給や遮断といった、負荷への電力供給制御を行なう。そして、プリント動作していない時にFET45をオフすることにより、24V用AC/DCコンバータの後段の負荷への出力を遮断し、省エネ効果を得るものであることは前述したとおりである。
【0055】
本実施例では、FET45を省エネ効果に加え、24V用の2次平滑コンデンサ13をリレー強制オン用の電力を一時的に蓄える手段として使用するために、負荷切断手段としても利用する。そこで、AC/DCコンバータの出力電圧である電圧24Uラインの電圧を検知するために、24U電圧検知用の抵抗91を設け、抵抗分圧された信号をCPU50へ入力する。なお、94は、CPU50への過電圧入力を防止するための過電圧防止用のツェナーダイオードである。
【0056】
CPU50は、省エネ用のFET45がオン状態に限り、電圧24Uラインの電圧を検知し、その電圧が所定の電圧以下になると、FET45をオフし、24V用AC/DCコンバータの出力に接続されている負荷を切断し、負荷への電力供給を遮断する。すなわち、省エネ用のFET45がオンの状態で電圧24Uラインの電圧が下がる場合は、AC電源1が切断された状態であり、一時的に24V用の2次平滑コンデンサ13には電荷が溜まった状態となる。
【0057】
また、本実施例では、CPU50への電力供給が断たれても、FET45のオフ状態が継続されるように、FET45のゲート駆動用にトランジスタ95を設けている。これにより、AC電源1が切断され、CPU50への電力供給が断たれた状態であっても、FET45はオフ状態になるため、一時的に24V用の2次平滑コンデンサ13に電荷が溜まった状態となる。なお、96、97は、それぞれトランジスタ95のベース抵抗、プルダウン抵抗である。
【0058】
そして、実施例1で説明したように、テストプリントスイッチ51をオンすることにより、リレー強制オン用のトランジスタ73がオンされ、ニュートラル側リレー54がオンする。また、FET45がオフ状態でAC電源1が切断された場合は、元々FET45がオフ状態であるため、2次平滑コンデンサ13には電荷が溜まった状態となっている。よって、FET45がオン/オフどちらの場合であっても、AC電源1が切断された直後は、2次平滑コンデンサ13には電荷が溜まった状態となっている。
【0059】
図4は、実施例2における絶縁耐圧試験を行なう際のタイムチャートである。
【0060】
時間タイミング87において、AC電源1をオンすると、24V用AC/DCコンバータ、及び3.3V用AC/DCコンバータが起動され、電圧24Rライン、電圧24Uライン及び電圧3.3Vラインにそれぞれ電圧が発生する。続いて、時間タイミング88において、AC電源1をオフすると、電圧24Uラインと電圧3.3Vラインの電圧は、後段の負荷により、その電圧は瞬時に減少する。しかし、電圧24Uラインは前述したように、CPU50により電圧検知されており、所定の閾値電圧である24Uライン閾値電圧92でFET45がオフされるため、電圧24Rラインの電圧の減少が抑制される。
【0061】
続いて、時間タイミング89において、テストプリントスイッチ51をオンすると、リレー強制オン用のトランジスタ73がオンされ、ニュートラル側リレー54がオンされる。ニュートラル側リレー54がオンしている間に、FG2に対してAC電源1のホットラインとニュートラルラインに所定の高電圧の印加を行い、絶縁耐圧試験を行なう。絶縁耐圧試験後は、時間タイミング90において、テストプリントスイッチ51をオフさせ、絶縁耐圧試験の終了となる。
【0062】
以上説明したように、絶縁耐圧試験用の電力をコンデンサに蓄積させることにより、リレー強制オンさせるために外部から電圧を供給していた従来の作業が不要となり、簡単な操作により画像形成装置の絶縁耐圧試験を行なうことができる。また、外部から電力を与える従来の構成においては、強制リレーオンを行なうためのコネクタを設け、さらに、コネクタからリレーまで電力を伝送する束線が必要であった。本発明では、簡単な回路の追加により、これらコネクタや束線が不要となり、装置の簡素化を図ることができる。さらに、実施例2では、実施例1で設けていた絶縁耐圧試験駆動用のコンデンサ72も不要となり、回路のコストダウンも図ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 商用交流電源
13、72 コンデンサ
51 テストプリントスイッチ
53、54 リレー
61 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源と、
前記商用交流電源からDC電圧を生成するAC/DCコンバータと、
前記商用交流電源から電力供給される定着器のヒータと、
前記商用交流電源から前記ヒータへの電力供給経路に設けられたリレーと、
を備えた画像形成装置において、
前記リレーを所定の時間だけオン状態に維持する電力を蓄えておく電力蓄積手段と、
外部スイッチの操作により前記リレーを強制的にオン状態にさせるリレー強制オン手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電力蓄積手段は、前記AC/DCコンバータの出力とグランド間に挿入されたコンデンサであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電力蓄積手段は、アノードが前記AC/DCコンバータの出力に接続されたダイオードのカソードとグランド間に挿入されたコンデンサであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記AC/DCコンバータの出力に接続された負荷への電力の供給や遮断を制御する電力供給制御手段と、
前記AC/DCコンバータの出力電圧を検知する電圧検知手段と、を備え、
前記電圧検知手段が、前記AC/DCコンバータの出力電圧が所定の電圧以下であることを検知した場合、前記電力供給制御手段により前記負荷への電力供給を遮断することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記商用交流電源より電力供給された前記AC/DCコンバータが駆動している場合には、前記リレー強制オン手段を無効にすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記リレー強制オン手段は、テストプリントスイッチであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の時間は、絶縁耐圧試験において高電圧を印加する時間であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−123262(P2011−123262A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280418(P2009−280418)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】