説明

画像形成装置

【課題】消耗材を使用せず,機密情報を含む用紙を用紙束の中からであっても発見しやすいものとすることにより,情報の流出を抑制できる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のカラープリンタは,用紙を供給する用紙供給部と,用紙供給部によって供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有するものであって,画像形成部で形成される画像に機密情報が含まれるか否かを判定する機密判定部と,画像形成部で画像形成を受けた用紙における画像形成範囲外の箇所に外形加工を施す外形加工部と,機密判定部によって機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙について外形加工部に外形加工を実施させ,それ以外の用紙については外形加工を実施させない外形加工制御部とを有するものである。外形加工部の例としては,用紙端部を斜めに切断する切断部43とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,電子写真方式の画像形成装置に関する。さらに詳細には,機密情報を含む画像を印刷した用紙を不用意に裏紙として使用されることを防止する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より,資源の節約や経費削減等を目的に,片面に印刷済みのいわゆる裏紙を使用して印刷することがある。しかし,裏紙の裏面,すなわち1回目の印刷面に機密性の高い情報が印刷されている場合,不用意に裏紙として使用するとその情報が流出するおそれがある。
【0003】
そこで,例えば,特許文献1には,機密性の高い情報の印刷されている面をベタ画像で塗りつぶして,裏紙として使用できるようにする技術が開示されている。通常の画像形成時以外のときにあらかじめ,塗りつぶした用紙を作成しておくことで,画像形成時に生産性を落とすことなく裏紙を使用できるとされている。また,特許文献2には,ユーザ名等を含むスタンプマーク画像を形成し,文書画像に合成して印刷するシステムが開示されている。これにより,ユーザの注意を喚起して,情報の漏洩を抑止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−98778号公報
【特許文献2】特開2007−267399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,以下のような問題点があった。特許文献1に記載の技術では,ベタ画像で塗りつぶすために多くのトナーを消費することとなる。さらに,画像形成ユニットの消耗も進むため,画像形成装置全体としての寿命を短命化させるおそれがある。また,特許文献2に記載の技術では,用紙束の中に機密情報が印刷されている用紙が含まれているかどうかを知るためには,1枚ずつ見なければならない。この作業は繁雑である上,見落とすおそれも多分にある。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,消耗材を使用せず,機密情報を含む用紙を用紙束の中からであっても発見しやすいものとすることにより,情報の流出を抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,用紙を供給する用紙供給部と,用紙供給部によって供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置であって,画像形成部で形成される画像に機密情報が含まれるか否かを判定する機密判定部と,画像形成部で画像形成を受けた用紙における画像形成範囲外の箇所に外形加工を施す外形加工部と,機密判定部によって機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙について外形加工部に外形加工を実施させ,それ以外の用紙については外形加工を実施させない外形加工制御部とを有するものである。
【0008】
本発明の画像形成装置によれば,機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙には,外形加工が実施される。従って,画像の内容を調べることなく,用紙の外形形状によって,容易に他のものと区別することができる。さらに,外形が加工されているため,ユーザがその用紙を裏紙として使用することが抑止される。これにより,消耗材を使用せず,機密情報を含む用紙を用紙束の中からであっても発見しやすいものとすることができるので,情報の流出を効果的に抑制できる。
【0009】
さらに本発明では,外形加工部は,機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙の端部を切り取る切断部であることが望ましい。
このようなものであれば,消耗材を使用することなく,機密情報が含まれていると判定された画像が形成された用紙を,他のものと容易に区別できる。
【0010】
さらに本発明では,切断部は,切断刃と切断刃を用紙の搬送方向に交わる方向に移動させる移動部とを有し,外形加工制御部は,機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙の搬送につれて,移動部により切断刃を移動させることにより,該用紙の端部を斜めに切り取ることが望ましい。
このようなものであれば,切断線を揃えて他の用紙と重ねると,この切断された用紙の端部が,用紙束から突出する。従って,用紙束の中からでも,この切断された用紙を容易に抜き出すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば,消耗材を使用せず,機密情報を含む用紙を用紙束の中からであっても発見しやすいものとすることにより,情報の流出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本形態に係るカラープリンタの概略構成図である。
【図2】切断部を示す説明図である。
【図3】印刷済みの用紙を揃えた様子を示す説明図である。
【図4】切断形状の他の例を示す説明図である。
【図5】切断形状の他の例を示す説明図である。
【図6】切断形状の他の例を示す説明図である。
【図7】切断形状の他の例を示す説明図である。
【図8】切断形状の他の例を示す説明図である。
【図9】切断形状の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明を具体化した形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,電子写真方式のカラープリンタに本発明を適用したものである。
【0014】
本形態のカラープリンタ1は,図1に示すように,トナー像形成部10を中心に図中下方に給紙部20,図中上方に定着部30と後処理部40とを有するものである。図示のカラープリンタ1では,そのトナー像形成部10は,いわゆるタンデム方式のものである。すなわち,中間転写ベルト11を有し,それに沿って4つの感光体12と1次転写部13,1つの2次転写部15等が設けられているものである。
【0015】
本形態のカラープリンタ1は,画像形成時には,画像情報に基づいて,各色のトナー像をそれぞれの感光体12上に形成する。そして,それを1次転写部13によって,中間転写ベルト11上に重ね合わせる。さらに,2次転写部15によって,記録紙等にまとめて転写する。なお,トナー像形成部としては,図示のタンデム方式のものに限らず,トナー像を形成するための既知の他の方式のものを採用することもできる。
【0016】
給紙部20は,図1に示すように,2つの給紙カセット21,22と,1つの手差しトレイ23とを有するものである。給紙カセット21,22は,このカラープリンタ1に対して着脱可能であり,その中に画像形成を行うための記録紙Pを収納するものである。手差しトレイ23は,開閉可能な挿入口であり,トレイ上に記録紙をセットして使用するものである。これら複数の給紙カセット21,22または手差しトレイ23のうち,どの箇所に収納されている記録紙を使用するかについては,通常,印刷の開始前にユーザの指示を受けるようになっている。
【0017】
いずれの給紙箇所から給紙された場合でも,記録紙は給紙部20から図1中で上向きに運ばれ,トナー像形成部10に至る。ここで,中間転写ベルト11と2次転写部15との間を通過しつつ,トナー像が転写される。トナー像は,記録紙のうち中間転写ベルト11に接する側の面(図中で左側の面)に転写される。
【0018】
トナー像が転写された記録紙は,図1中で上方に配置されている定着部30へと運ばれる。定着部30は,加熱ローラ31と加圧ローラ32とを有しているものである。これらのローラ31,32の間のニップにトナー像を載置している記録紙を通過させ,その通過中に,記録紙を加熱するとともに加圧するものである。それによって,トナー像を形成しているトナーを溶融させて用紙に定着させる。
【0019】
定着部30によってトナー像が定着された記録紙は,図1中にさらに上方に示している後処理部40に運ばれる。後処理部40は,排出ローラ対41と排出トレイ42と,それらの間に位置する切断部43とを有しているものである。この排出ローラ対41は,正逆いずれの向きにも回転させることができるものである。従って,排出ローラ対41に挟まれた記録紙は,図中左向きに運ばれて排出トレイ42へ排出されるか,あるいは逆に,図中右向きに運ばれて内部へ引き込まれる。この逆向きの搬送は,例えば,両面印刷の場合に,その記録紙の裏面にさらに印刷を行うために使用される。
【0020】
また,切断部43は,図2に示すように,用紙を切断するためのカッター刃45とカッター刃45を移動させる移動部46とを有しているものである。移動部46は,カッター刃45を用紙搬送方向に対して直角方向へ移動させることができる。通常の状態では,カッター刃45は移動部46によって用紙経路の範囲外に引き出されている。機密情報が含まれる画像を印刷した用紙が,この切断部43の箇所を通過している期間に限り,移動部46によってカッター刃45は,排出ローラ対41による用紙の進行に合わせて,用紙経路の範囲内へと移動される。
【0021】
これにより,用紙は,カッター刃45に接触しつつ搬送されることにより,カッター刃45によって切断される。従って,機密情報が含まれる画像が形成された用紙は,その端部などが切り取られて,他の用紙とは外形の異なる状態に加工されて排出される。なお,切り屑を溜めておき,適宜取り出して屑を捨てることができるような屑受けを備えることが好ましい。
【0022】
本形態では,図2に示すように,移動部46は,用紙がカッター刃45の箇所を通過する期間中に少しずつ,用紙搬送方向に垂直な方向へカッター刃45を移動させる。このようにすれば,用紙の端部は斜めに切り取られる。なお,排出ローラ対41は,通常,一つながりのローラではなく,この図に示すように,複数個の小ローラが共通の回転軸によって回転されるものである。本形態では,カッター刃45の移動範囲とこの各小ローラの配置とが重ならないようにされている。
【0023】
さらに本形態のカラープリンタ1は,各部を制御するための制御部50を有している。制御部50は,通常の画像形成のための各部の制御に加え,機密情報を含む画像を取り扱うための制御を行うものである。画像形成しようとする画像データが,機密情報を含むものであるか否かは,例えば,ユーザによって操作パネル等を使用して指定をうけるようにすればよい。あるいは,画像データ中に機密であることを示す情報を埋め込んだり,画像データに付加情報を付けて送信する等によっても行うことができる。
【0024】
制御部50は,画像データが機密情報を含むものであると判断した場合に,移動部46を制御して切断処理を行わせる。すなわち,その画像データの画像を形成した用紙が後処理部40へ到達するタイミングに合わせて,カッター刃45を用紙の搬送される範囲内へと移動させる。そして,その用紙が後処理部40を通過し終わるまでにカッター刃45を徐々に移動させることにより,用紙の端部を斜めに切断させる。一方,機密情報を含まない画像であると判断した場合には,カッター刃45は用紙搬送範囲外へ引き出されたままであり,用紙の切断は行わない。
【0025】
用紙束の情報が不要となった場合でも,機密情報を含む画像が形成された用紙を裏紙として使用することは情報の流出のおそれがあるため好ましくない。そこで,裏紙として使用する前に,用紙束のうち,機密情報を含むものだけは,抜き出して処分することが推奨される。しかし,用紙束の用紙を一枚ずつ見て,その画像の内容を判別することはかなり煩雑な作業である。
【0026】
本形態のカラープリンタ1で,機密情報を含む画像が形成された用紙は,その端部が斜めに切り取られている。そこで,その切断側を揃えて用紙をまとめると,図3に示すように,用紙束から斜めに飛び出すことになる。従って,用紙束となっていてもその用紙Pだけを特定して抜き出すことは容易である。この用紙束の情報が不要となって,ユーザが裏紙とする場合に,この用紙Pだけを束から抜き出して裁断処理等をすることは容易であり,機密情報の漏洩は効果的に抑止される。
【0027】
なお,カッター刃45によって切り取られる範囲は,画像形成領域の外部とすることが望ましい。このようにすれば,形成した画像を損なうことなく,用紙の外形を加工することができる。従って,用紙の外形によって,その画像に機密情報が含まれていることが容易に判断できる。
【0028】
なお,カッター刃45の移動のさせ方によって,切り取る箇所やその形状はいろいろなものが考えられる。例えば,用紙の切断中は移動させないこととすれば,図4に示すように,用紙端部を真っ直ぐに切り取ることができる。また,カッター刃45を両端部にそれぞれ備えて,それぞれ移動させることによって,図5に示すように,両側を切り取ることもできる。このように切断しても,他の用紙とは大きさや形状が異なるので,容易に抜き出すことができる。
【0029】
また,排出ローラ対41を暫時停止させ,カッター刃45を用紙搬送方向に直角に移動させれば,図6に示すように切断することもできる。図4の切断形状と図6の切断形状とは,用紙セットの向きによっても切り換え可能である。また,これらを組み合わせれば,図7に示すように両辺をともに短くすることもできる。さらには,図8や図9に示すように,いろいろな形状のものが考えられる。どのようなものでも,その外形形状が通常の用紙とは異なることから,ユーザに裏紙として使用したくないという気持ちを起こさせるので,機密情報の流出が有効に抑止される。
【0030】
さらには,切断以外の方法を採用して,機密情報を含むか否かを区別することもできる。例えば,後処理部40として,紙折り装置を有しているものとすれば,用紙端部等を折ることにより区別することもできる。斜めに折れば,より効果的である。または,パンチ孔開け装置を有するものとしてもよい。例えば,用紙端部にパンチ孔をあけることで,区別することができる。あるいは,孔開けの際に打ち抜いてしまうのでなく,一部分が繋がった形状にとどまるように切り込みを入れるようにしても良い。いずれの方法によっても,用紙の外形形状が通常のものとは異なり,容易に区別されるので,機密情報の流出は効果的に抑止される。
【0031】
以上詳細に説明したように,本形態のカラープリンタ1によれば,後処理部40を有しているので,機密情報が含まれる画像を形成する場合には,その用紙の外形が加工される。従って,用紙束となっていても,機密情報が含まれている用紙のみを抜き出して処理することは容易である。例えば,後処理部40として,用紙の端部を斜めに切断するものとすれば,切断線を揃えて用紙束を片寄せすることにより,機密情報が含まれている用紙のみが斜めに飛び出す。従って,容易に判別できる。これにより,消耗材を使用せず,機密情報を含む用紙を用紙束の中からであっても発見しやすいものとすることにより,情報の流出を抑制できるカラープリンタ1となっている。
【0032】
なお,本形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,後処理部40以外の箇所のカラープリンタの構成はいずれも例示であり,変形が可能であることは言うまでもない。また,カラープリンタに限らず,モノクロプリンタ,コピー機,FAX機等にも適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 カラープリンタ
40 後処理部
45 カッター刃
46 移動部
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を供給する用紙供給部と,前記用紙供給部によって供給された用紙に画像を形成する画像形成部とを有する画像形成装置において,
前記画像形成部で形成される画像に機密情報が含まれるか否かを判定する機密判定部と,
前記画像形成部で画像形成を受けた用紙における画像形成範囲外の箇所に外形加工を施す外形加工部と,
前記機密判定部によって機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙について前記外形加工部に外形加工を実施させ,それ以外の用紙については外形加工を実施させない外形加工制御部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記外形加工部は,機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙の端部を切り取る切断部であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において,
前記切断部は,切断刃と前記切断刃を用紙の搬送方向に交わる方向に移動させる移動部とを有し,
前記外形加工制御部は,機密情報が含まれると判定された画像が形成された用紙の搬送につれて,前記移動部により前記切断刃を移動させることにより,該用紙の端部を斜めに切り取ることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−13260(P2011−13260A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154781(P2009−154781)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】